JP2015172466A - セラミックスファイバーブロック及びこれを用いた炉内ライニング構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シート状のセラミックスファイバーブランケットを葛折り状に折り畳んでなるブロック体10と、折り目部10aが形成されている、ブロック体10の一方の面に装着された取付け用部材21とを備え、取付け用部材21を介して工業炉の内面に設置されるセラミックスファイバーブロック31であって、取付け用部材21は、平面視して矩形状の金具25と、金具25の長辺方向に延在し、金具25の短辺方向に1列又は複数列配設された棒状体27とを備え、各列の棒状体27は、20mm以上の長さを有するセラミックス焼結体1本又は複数本から構成され、各列の棒状体27の長さが金具25の長辺長さの60%以上100%以下とされている。
【選択図】図2
Description
図14に示すように、内止方式では、先ず、工業炉の外殻を構成する鉄皮12の内面に所定の間隔でスタッドボルト14を溶接する。次いで、鉄皮12の内面に厚さ25mm程度のCFブランケット13を貼り付け、CFブロック30をCFブランケット13に向けて押込み、CFブロック30の金具25に形成されたボルト孔25aにスタッドボルト14を挿入させる。金具25を貫通するスタッドボルト14に、ボックスレンチ16を用いてナット15を螺合し、CFブロック30を炉内面に固定する。
例えば、特許文献1では、使用に伴うCFブロックの劣化は炉内稼働面側のCFの劣化が原因であるとしている。具体的には、高温用CFブロック(結晶質CFブロック)の場合、結晶質ファイバーが堅いため、折り目部で繊維の切断が発生し、施工性の悪化と共に使用後の劣化が早くなるとし、低温用CFブロック(非晶質CFブロック)では、折れ目部に凹凸があるため、耐スケール性改善目的のコーティング材の塗布が困難となり、コーティング材の剥離や局部変質が発生するとしている。
そこで、特許文献1では、CFブロックの稼働面側を平たく切除して切断面を炉内稼働面側に露出させる発明が開示されている。
そこで、特許文献2では、アルミナ含有率を適切な量とした結晶質CFを用いてCFブロックを形成することで、耐風速性を向上する発明が開示されている。
本願発明者らは、CFブロックの経時劣化は、CFブロック背面に装着されている取付け用部材の変形が大きな要因であることを発見した。具体的には、ブロック体の複数の折り目部から高温の炉内雰囲気ガスがブロック体内に進入することで金具が部分的に加熱されて歪みが発生することを発見した。
[STEP1]工業炉内の高温雰囲気に曝されたブロック体10の稼働面側CFが焼けて変形することにより、ブロック体10の復元力が失われ、ブロック体10の稼働面側から焼結収縮Sが始まる(図1(A)参照)。
[STEP2]ブロック体10の焼結収縮Sが進行して、ブロック体10の折り目部10a(図1(B)の折り目部10aの焼結収縮S箇所における、隣接する折り目部10aとの境界部)における通気性が高まり、高温ガスがブロック体10の背面側に到達する。その結果、金具25の複数箇所が局部加熱Hされて、局部的な温度差に起因する座屈が金具25の複数箇所で発生し、金具25が立体変形する(図1(B)参照)。
[STEP3]ブロック体10の折り目部10aや隣接するCFブロック30との境界部の隙間が拡大し、高温ガスの通気が促進される(図1(C)参照)。その結果、CFブロック30が変形して金具25背面への高温ガスの通気が促進され、ブロック体10全体(稼働面、背面、側面)並びに金具25が劣化する。
[STEP4]ブロック体10並びに金具25の経時劣化が顕在化する。
そこで、第1の発明は、シート状のセラミックスファイバーブランケットを葛折り状に折り畳んでなるブロック体と、折り目部が形成されている、前記ブロック体の一方の面に装着された取付け用部材とを備え、前記取付け用部材を介して工業炉の内面に設置されるセラミックスファイバーブロックであって、
前記取付け用部材は、平面視して矩形状の金具と、前記金具の長辺方向に延在し、前記金具の短辺方向に1列又は複数列配設された棒状体とを備え、
前記各列の棒状体は、20mm以上の長さを有するセラミックス焼結体1本又は複数本から構成され、前記各列の棒状体の長さが前記金具の長辺長さの60%以上100%以下とされていることを特徴としている。
前記取付け用部材が帯板状のセラミックス焼結体であることを特徴としている。
前記ブロック体に接触している前記取付け用部材の接触面の裏側の面と工業炉の内面に設置されたライニング材との間の空隙全部に不定形耐火物又はセラミックスファイバーが充填されていることを特徴としている。
本発明の一実施の形態に係るセラミックスファイバーブロック(CFブロック)31の形状を図2に示す。CFブロック31は、セラミックスファイバー(CF)からなるブロック体10と、CFブロック31を工業炉の内面に固定するための取付け用部材21と、取付け用部材21をブロック体10に装着するためのビーム材11とから概略構成されている。
取付け用部材21は平面視して矩形状とされ、複数の折り目部10aからなるブロック体10の一方の面に装着されている。なお、取付け用部材21は、折り目部10aの折り目方向と直交する方向に配置されている。
なお、ビーム材11には、SUS310S等の耐熱金属が使用されている。
一方、取付け用部材21の短辺の長さは、CFブロック31を工業炉の内面に固定するボルト等の固定治具の配置の都合より、25mm以上であることが好ましい。本実施の形態における取付け用部材21の短辺の長さは45mm(一部65mm)である。なお、取付け用部材21の短辺の長さが、長辺の長さの1/4以下であると、取付け用部材21の短辺方向の撓み(変形量)が長辺方向の変形量に比べて極めて小さくなるので、取付け用部材21の短辺方向の補強を省略することができる。
なお、本明細書では、棒状体一列の長さ/金具の長辺長さを、「棒状体の補強長さ比率」と呼ぶことがある。
同図より、棒状体の補強長さ比率を60%以上にすると、取付け用部材の変形量が9mm以下となることがわかる。取付け用部材の変形量が9mm以下の場合、CFブロックの折り目部の隙間や隣接するCFブロックとの境界部における隙間が拡大しないことがわかっている。そこで、棒状体の補強長さ比率は60%以上とする。
一方、棒状体の補強長さ比率の上限については、取付け用部材の長辺方向の全長を棒状体によって補強できれば十分なので、100%とする。
取付け用部材の座屈の原因となる温度上昇は局部的と考えられるが、図12に示すように、セラミック焼結体の1本の長さが20mm以上であれば、実炉天井部暴露試験における取付け用部材の変形量は9mm以下となる。従って、棒状体を構成するセラミックス焼結体1本の長さは20mm以上とする。
(1)上面が平坦な定盤を用意し、その上に取付け用部材を置く。その際、取付け用部材の両端近傍が定盤に接地し、取付け用部材の中央近傍が定盤から浮くように、取付け用部材を定盤上に置く。
(2)定盤と取付け用部材との間の隙間をノギスで測定し、その最大値を取付け用部材の変形量とする。
図4に第1の変形例に係る取付け用部材22を示す。本例における取付け用部材22は、短辺がわ断面が逆Ω字状とされた平面視矩形状の金具26(チャンネルの長辺がわ両縁部に鍔26cが形成された金具26)と、金具26の長辺がわ両縁部に配設された棒状体27とから構成されている。鍔26cの長辺方向中間部には、棒状体27を保持するため、金具26の長辺がわ縁部をL字状に折り曲げた保持部26dが形成されている。棒状体27は、鍔26cと保持部26dで画成された空間に挿入されている。
セラミックス焼結体としては、棒状体27と同様、Al2O3系セラミック焼結体などを使用することができる。
図7は、CFブロック31を用いた炉内ライニング構造の部分断面図である。本ライニング構造は、工業炉の外殻を構成する鉄皮12の内側に張り付けられた厚さ25mm程度のCFブランケット13(ライニング材の一例)と、CFブランケット13上に碁盤目状に配設されたCFブロック31とから構成されている。
また、図9は、取付け用部材24を用いた炉内ライニング構造の変形例を示したものである。本ライニング構造では、CFブロック32の取付け用部材24とCFブランケット13との間に、不定形耐火物又はCFからなる充填材29の層が形成されている。
ラボ試験及び実機試験では、ブロック体の折り目部からの炉内雰囲気ガスの進入を模擬するため、内止方式に使用されるガイドパイプを折り目部に挟み込むことで隙間を設けた試験用ブロック体を作製した。ラボ試験及び実機試験に使用した試験用ブロック体(寸法:300mm×300mm×300mm)を図10に示す。
なお、試験用ブロック体には、新日本サーマルセラミック(株)製のZ−BLOK(登録商標)に用いられているCFブランケット(最高使用温度:1400℃、密度:130kg/m3)を使用した。
a)取付け用部材A:板厚1mmのSUS310S材を折り曲げて作製した短辺がわ断面がC字状とされた金具(長辺長さ:260mm、短辺長さ:45mm、厚さ:6.5mm)からなる取付け用部材
b)取付け用部材B:取付け用部材Aの空隙にCFを充填した取付け用部材
c)取付け用部材C:取付け用部材Aの一方又は両方の凹部に棒状体を嵌め込んだ取付け用部材
d)取付け用部材D:取付け用部材Cの空隙にCFを充填した取付け用部材
e)取付け用部材E:帯板状のセラミックス焼結体(長辺長さ:260mm、短辺長さ:45mm、厚さ:6.5mm)からなる取付け用部材
f)取付け用部材F:板厚1mmのSUS310S材を折り曲げて作製した短辺がわ断面がC字状とされた金具(長辺長さ:260mm、短辺長さ:65mm、厚さ:6.5mm)の一方の凹部に棒状体を嵌め込んだ取付け用部材
また、棒状体の補強長さ比率は、54%、62%、100%の3種類、セラミックス焼結体1本の長さは、260mm、20mm、10mmの3種類とした。
また、実機試験では、試験用CFブロック(試験用ブロック体+取付け用部材A〜F)を連続加熱炉の天井に半年間張り付けて暴露試験を行った。その間における当該部位の炉内雰囲気温度は1280℃であった。試験終了後、試験用ブロック体の折り目部に設けた隙間の拡大の有無について点検した後、試験用CFブロックを解体し、前述した方法により取付け用部材や棒状体の変形量を測定した。
棒状体で補強されていない取付け用部材A、B、Eを使用した結果を表1に、棒状体で補強された取付け用部材C、D、Fを使用した結果を表2にそれぞれ示す。
・セラミックス焼結体からなる取付け用部材は、ラボ及び実機試験における取付け用部材の変形量が0.1mm以下となり、折り目部にも異常は認められなかった。
・取付け用部材が金具のみ並びに金具に充填材を充填しただけのものは、実機試験における取付け用部材の変形量が9mm超となり、折り目部の隙間拡大が認められた。
・棒状体の補強長さ比率が60%以上且つセラミックス焼結体1本の長さが20mm以上の取付け用部材は、棒状体の列数にかかわらず、ラボ及び実機試験における取付け用部材の変形量が9mm以下となり、折り目部にも異常は認められなかった。
・棒状体の列が増加すると、取付け用部材の変形量が減少する。
・金具に充填材を充填すると、取付け用部材の変形量が減少する。
そこで、取付け用部材のクリープ変形量を求めるため、比較例1の取付け用部材について、当該取付け用部材の両端を煉瓦で支えて橋状とし、その中央に荷重3.5kgを掛けて730℃×30時間のクリープ試験を実施したところ、取付け用部材の変形量は1.5mmであった。一方、ラボ試験における比較例1の取付け用部材の変形量は4.1mmであり、クリープ試験結果の約3倍の変形量を示している。
従って、表1及び表2の試験結果は、本願発明者らが発見したCFブロックの経時劣化メカニズムによるものであり、クリープ変形ではないことが確認された。
Claims (3)
- シート状のセラミックスファイバーブランケットを葛折り状に折り畳んでなるブロック体と、折り目部が形成されている、前記ブロック体の一方の面に装着された取付け用部材とを備え、前記取付け用部材を介して工業炉の内面に設置されるセラミックスファイバーブロックであって、
前記取付け用部材は、平面視して矩形状の金具と、前記金具の長辺方向に延在し、前記金具の短辺方向に1列又は複数列配設された棒状体とを備え、
前記各列の棒状体は、20mm以上の長さを有するセラミックス焼結体1本又は複数本から構成され、前記各列の棒状体の長さが前記金具の長辺長さの60%以上100%以下とされていることを特徴とするセラミックスファイバーブロック。 - シート状のセラミックスファイバーブランケットを葛折り状に折り畳んでなるブロック体と、折り目部が形成されている、前記ブロック体の一方の面に装着された取付け用部材とを備え、前記取付け用部材を介して工業炉の内面に設置されるセラミックスファイバーブロックであって、
前記取付け用部材が帯板状のセラミックス焼結体であることを特徴とするセラミックスファイバーブロック。 - 請求項1記載のセラミックスファイバーブロックを用いた炉内ライニング構造であって、
前記ブロック体に接触している前記取付け用部材の接触面の裏側の面と工業炉の内面に設置されたライニング材との間の空隙全部に不定形耐火物又はセラミックスファイバーが充填されていることを特徴とするセラミックスファイバーブロックを用いた炉内ライニング構造。
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