JP2015169574A - 衛星信号受信装置、電子時計、および衛星信号受信方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】衛星信号受信装置は、全地球航法衛星システムで用いられるGNSS衛星、および、地域航法衛星システムで用いられるRNSS衛星を含む位置情報衛星を検索し、検索により捕捉された衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段(受信装置122)と、受信手段(受信装置122)を制御する受信制御手段41と、RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定する地域判定手段43と、を有し、受信制御手段41は、地域判定手段43によりRNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、RNSS衛星を優先的に検索する。
【選択図】図3
Description
準天頂衛星システムは、日本で常に天頂付近に1基の衛星が見えるように、複数の軌道面(準天頂軌道)にそれぞれ配置された準天頂衛星を組み合わせて利用する衛星システムである。準天頂衛星の軌道は、軌道傾斜角(赤道面からの軌道面の傾き)をもって、地球の自転と同じ周期で地球を周回している。このため、図16に示すように、非対称の8の字の軌道102となる。
この準天頂衛星は、日本では常に天頂方向にあることから、GPS衛星が山やビルなどで隠れてしまい見えない場所でも、準天頂衛星からの信号は受けることができる可能性が高い。
特許文献1の衛星電波受信機では、準天頂衛星をサーチする準天頂衛星サーチ手段と、準天頂衛星サーチ手段による準天頂衛星のサーチ後に、非準天頂衛星をサーチする非準天頂衛星サーチ手段を備えている。
したがって、準天頂衛星が存在しない国で特許文献1の衛星電波受信機を使用すると、最初に受信できない準天頂衛星のサーチを行うので、非準天頂衛星の受信も遅れることとなり、衛星の検索時間が長くなり、受信時間も大幅に長くなるという課題がある。
このような課題は、日本の準天頂衛星システム(QZSS)における準天頂衛星を受信可能な衛星電波受信機に限らず、GPSのような全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)に用いられるGNSS衛星と、QZSSのような一部の地域のみで受信可能な地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigation Satellite System)に用いられるRNSS衛星とを受信可能であり、かつ、腕時計のように携帯可能で様々な場所で受信可能な衛星信号受信装置に共通する課題である。
このため、RNSS衛星を早期に捕捉できる可能性が高まり、RNSS衛星を受信しない場合や優先して検索しない場合に比べて、位置情報衛星の検索処理や、衛星信号の受信処理を短縮することができる。
すなわち、時刻情報を取得する場合は1基の位置情報衛星からの衛星信号を受信すれば時刻情報を取得できる。したがって、RNSS衛星を受信可能な地域であれば、RNSS衛星の検索を優先させることで、RNSS衛星を早期に捕捉でき、かつ、衛星信号の受信時間も短くできる。
また、位置情報を取得する場合は、少なくとも3基、好ましくは4基の位置情報衛星からの衛星信号を受信する必要がある。したがって、RNSS衛星を受信可能な地域であれば、RNSS衛星の検索を優先させることで、4基のうちの1基分はRNSS衛星を早期に捕捉することで対応でき、他の3基分のGNSS衛星を捕捉できればよい。したがって、4基のGNSS衛星を捕捉する場合に比べて、位置情報衛星の検索時間を短くでき、衛星信号の受信時間も短くできる。
さらに、地域判定手段の判定により、RNSS衛星を受信できない地域と判定された場合は、受信制御手段はRNSS衛星を優先して検索しない。例えば、受信制御手段は、GNSS衛星を優先して検索し、その後、RNSS衛星を検索する。このため、受信できないRNSS衛星を検索する前に、GNSS衛星を検索して捕捉することができる。したがって、RNSS衛星を受信できない地域と判定された場合も、RNSS衛星の検索処理を行う前に検索処理を終了できる確率が高まり、このため、位置情報衛星の検索時間を短くでき、衛星信号の受信時間も短くできる。
そして、位置情報衛星の検索処理(捕捉処理)や、衛星信号の受信処理の時間を短縮することで、受信処理時の消費電力も低減できる。本発明の衛星信号受信装置を、腕時計のように、ユーザーに携帯されて様々な国や場所で受信操作が行われる携帯機器に組み込んだ場合、受信処理の消費電力を低減できる。このため、一次電池や二次電池を電源とする携帯機器の持続時間を長くできる。
本発明によれば、位置情報衛星を検索する場合に、天頂方向に位置して衛星信号の受信感度の高いRNSS衛星を前半に検索できるので、1基あるいは4基の位置情報衛星の捕捉が完了するまでの平均的な検索時間を短縮することができる。したがって、検索に係る消費電力を低減できる。
受信制御手段は、最初に記憶手段に記憶されている位置情報衛星を検索する。この際、記憶手段にGNSS衛星のみが記憶されている場合には、記憶されているGNSS衛星を検索する。また、RNSS衛星のみが記憶されている場合には、記憶されているRNSS衛星を検索する。
さらに、GNSS衛星およびRNSS衛星が記憶されている場合には、これらの衛星を検索する。この場合、RNSS衛星を先に検索してもよいし、GNSS衛星を先に検索してもよい。
そして、記憶手段に記憶された位置情報衛星の検索によって、設定された数の衛星を捕捉できていない場合は、記憶手段に記憶されていないRNSS衛星を検索する。RNSS衛星を検索しても、設定された数の衛星を捕捉できていない場合は、さらに、記憶手段に記憶されていないGNSS衛星を検索する。
このような構成により、記憶手段に記憶された位置情報衛星を優先して検索すると、前回と同じ時刻に受信処理を行った場合等では、前回捕捉できた位置情報衛星を再度捕捉できる可能性が高く、位置情報衛星を捕捉できる時間を短縮できる。
また、前回の受信時刻と異なる時刻に受信した場合等では、記憶手段に記憶されている位置情報衛星を捕捉できない場合があるが、この場合には、RNSS衛星をGNSS衛星よりも先に検索するため、GNSS衛星を先に検索する場合に比べて位置情報衛星を捕捉できる時間を短縮できる。
これにより、1基あるいは4基の位置情報衛星の捕捉が完了するまでの平均的な検索時間を短縮することができる。したがって、検索に係る消費電力を低減できる。
一方、測位受信は、通常、タイムゾーンが異なる地域に移動した場合に行われることが多い。また、現在、すべてのタイムゾーンにおいて、RNSS衛星を受信できる国や地域は少ない。したがって、ユーザーがタイムゾーンの異なる国や地域に移動した場合、RNSS衛星を受信できる地域である可能性は低くなる。このため、RNSS衛星を優先的に検索しても、RNSS衛星から送信される衛星信号を受信できる可能性が低いので、測位受信時には、RNSS衛星を優先的に検索しないことにより、位置情報衛星の検索にかかる時間を短縮できる可能性が高まる。したがって、位置情報衛星を捕捉して衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて位置情報を算出するまでの時間を短縮することができる。
受信制御手段は、通常コールドスタート時であればすべての位置情報衛星を検索するが、地域判定手段によりRNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、RNSS衛星のみを検索する。
このため、RNSS衛星を早期に捕捉できる可能性が高まり、GNSS衛星を受信する場合に比べて、位置情報衛星の検索処理や、衛星信号の受信処理を短縮することができる。
すなわち、時刻情報を取得する場合は1基の位置情報衛星からの衛星信号を受信すれば時刻情報を取得できる。したがって、RNSS衛星を受信可能な地域であれば、RNSS衛星のみを検索させることで、RNSS衛星を早期に捕捉でき、かつ、衛星信号の受信時間も短くできる。
そして、RNSS衛星のみを検索する場合、検索処理(捕捉処理)や、衛星信号の受信処理の時間が短縮し、受信処理時の消費電力も低減できる。したがって、本発明の衛星信号受信装置を、腕時計のように、ユーザーに携帯されて様々な国や場所で受信操作が行われる携帯機器に組み込んだ場合、受信処理の消費電力を低減できる。このため、一次電池や二次電池を電源とする携帯機器の持続時間を長くできる。
また、例えば、外部操作部の操作により、ユーザーが誤ってRNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域であるにもかかわらず、RNSS衛星から送信される衛星信号を受信できない地域であると入力する場合がある。このような場合であっても、本発明では、GNSS衛星の検索がされた後に、RNSS衛星の検索がされる。このため、ビル等に囲まれた位置で受信処理を行ったために、低仰角のGNSS衛星を捕捉できない場合でも、高仰角に位置するRNSS衛星を捕捉して衛星信号を受信することができる。このため、例えば、4基の位置情報衛星を捕捉する必要がある測位受信の際に、RNSS衛星を含めて捕捉でき、結果として受信処理時間を短縮できる。
なお、タイムゾーンの選択には、間接的にタイムゾーンを選択することも含まれる。例えば、ユーザーが選択した国名、都市名、地域名等にタイムゾーンが対応付けられている場合において、ユーザーが国名、都市名等を外部操作手段で選択することにより、間接的にタイムゾーンが選択され、当該タイムゾーンに基づいてRNSS衛星を受信可能な地域か否かが判定される。
このため、ユーザーは表示手段を視認することにより、現在捕捉している位置情報衛星の種類を容易に認識できる。
本発明においても、前記衛星信号受信装置および電子時計と同じく、位置情報衛星の検索時間を短縮し、消費電力を低減できる。
本発明においても、前記衛星信号受信装置および電子時計と同じく、位置情報衛星の検索時間を短縮し、消費電力を低減できる。
全地球航法衛星システムで用いられるGNSS衛星としては、GPS衛星(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、Galileo(ヨーロッパ共同体)、Beidou(中国)が例示できる。また、地域航法衛星システムで用いられるRNSS衛星としては、準天頂衛星(日本)、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)(インド)、DORIS(Doppler Orbitography and Radio-positioning Integrated by Satellite)(フランス)、Beidou(中国)が例示できる。
本実施形態では、GNSS衛星として、GPS衛星を例示して説明し、RNSS衛星として、準天頂衛星を例示して説明する。すなわち、以下の実施形態においてGPS衛星および準天頂衛星との記載は、GNSS衛星およびRNSS衛星を意味する。
図1に示すように、電子時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星100、もしくは、準天頂衛星101のうち、少なくとも1つの位置情報衛星(GPS衛星100、もしくは準天頂衛星101)からの衛星信号を受信して時刻情報を取得し、少なくとも3つの位置情報衛星(GPS衛星100、もしくは準天頂衛星101)からの衛星信号を受信して位置情報を算出するように構成されている。なお、GPS衛星100は、位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。また、準天頂衛星101も、位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星100および複数の準天頂衛星101が地球の上空を複数周回している。
電子時計1は、使用者の手首に装着される腕時計であり、時刻等を表示する表示装置10と、入力装置70とを備える。
電子時計1は、外装ケース30を備えている。外装ケース30は、金属で形成された円筒状のケース31に、セラミックで形成されたベゼル32が嵌合されて構成されている。外装ケース30の二つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル32を介してカバーガラス33で塞がれており、裏面側の開口は金属で形成された裏蓋34で塞がれている。
外装ケース30の内側には、ベゼル32の内周に取り付けられているダイヤルリング111と、光透過性の文字板11と、文字板11を貫通した指針軸26と、指針軸26に取り付けられた指針21,22,23と、各指針21,22,23およびインジケーター針24,25を駆動する駆動機構140などが備えられている。
指針軸26は、外装ケース30の平面視中心を通り、表裏方向に延在する中心軸に沿って設けられている。
表示装置10は、文字板11、指針21,22,23、インジケーター針24,25を備える。
文字板11の大部分は、光および1.5GHz帯のマイクロ波が透過し易い非金属の材料(例えば、プラスチックまたはガラス)で形成されている。
文字板11は、インジケーター針24に対応する第一目盛112と、インジケーター針25に対応する第二目盛113とを備える。なお、インジケーター針25および第二目盛113は、後述するように本発明の表示手段に該当する。
第一目盛112に記載された「DST(daylight saving time)」は夏時間を意味する。後述するボタン72とリューズ71とを操作して、インジケーター針24を「DST」の「ON」または「OFF」に合わせることで、電子時計1に夏時間のON/OFFを設定することができる。
第一目盛112に記載された飛行機形状の記号は、機内モードを表す。ボタン72とリューズ71とを操作して、インジケーター針24を飛行機形状の記号に合わせて機内モードを選択することで、電子時計1の衛星信号の受信を停止させることができる。
第一目盛112に記載された「E」と「F」は、電池残量を示す。
第一目盛112に記載された「1」と「4+」は受信モードを示す。時刻情報を取得する測時モード(測時受信処理)の際は、インジケーター針24は、「1」を指し示し、位置情報を取得する測位モード(測位受信処理)の際は、インジケーター針24は、第一目盛112の「4+」を指し示す。これにより、ユーザーは、電子時計1が測位モードにあるのか測時モードにあるのかを第一目盛112を見ることで認識できる。
文字板11の周囲には、ダイヤルリング111が配置されている。ダイヤルリング111は、外周端が、ベゼル32の内周面に接触しているとともに、一面がカバーガラス33と並行している平板部分と、内周端が文字板11に接触するように、文字板11側へ傾斜した傾斜部分を備えている。ダイヤルリング111は、平面視においてはリング形状となっており、断面視においてはすり鉢形状となっている。ダイヤルリング111の平板部分と、傾斜部分と、ベゼル32の内周面とによりドーナツ形状の収納空間が形成されており、この収納空間内には、リング状のアンテナ体110が収納されている。
ダイヤルリング111には、指針21,22,23によって時刻を指示する目盛(インデックス)と、タイムゾーンの時差を示す数字が表示されている。
ベゼル32には、タイムゾーンの都市名を示す略語が表示されている。
本発明の外部操作手段としての入力装置70は、リューズ71と、3つのボタン72、73、74を備える。入力装置70を操作すると、その手動操作に応じた処理が実行される。
具体的には、リューズ71を1段引くと、現在設定されているタイムゾーンが指針21(秒針)で表示される。現在設定されているタイムゾーンを変更したい場合は、この状態で、リューズ71を右回転させると、指針21が時計回りに移動し、タイムゾーンが順次選択される。一方、この状態でリューズ71を左回転させると、「−1」ずつ減算されたタイムゾーンが選択される。そして、リューズ71を押し込むことで、選択されたタイムゾーンが確定する。
すなわち、リューズ71を回転させることで、指針21(秒針)も連動して移動し、指針21をダイヤルリング111やベゼル32に表示されたタイムゾーンの時差や都市名に合わせることで、タイムゾーンを手動で選択できる。
また、リューズ71を2段引いた状態で、右回転させると指針21,22,23を移動させ、現在時刻表示を手動修正可能となる。
ボタン73を第1設定時間(例えば3秒以上、6秒未満)押して離すと、測時モードでの手動受信処理(強制受信処理)が実行される。受信処理中、インジケーター針24は、測時モードを示す「1」を指示する。
また、ボタン73を第1設定時間よりも長い第2設定時間(例えば6秒以上)押して離すと、測位モードでの手動受信処理(強制受信処理)が実行される。受信処理中、インジケーター針24は、測位モードを示す「4+」を指示する。
さらに、ボタン73を第1設定時間よりも短い短時間(例えば3秒未満)押して離すと、前回の受信処理の結果を表示する結果表示処理が行われる。すなわち、最も直近に受信したモードは、インジケーター針24が「1」または「4+」を指すことで示す。また、受信結果は、指針21が「Y」(受信成功)、または、「N」(受信失敗)を指すことで示す。なお、本実施形態では、「Y」は13秒位置、「N」は18秒位置に設定されている。
各ボタン72、73、74を押した際に実行される処理は、上記のものに限定されず、電子時計1の機能に応じて適宜設定すればよい。
文字板11と、駆動機構140が取り付けられている地板125との間には、光発電を行うソーラーパネル135が備えられている。ソーラーパネル135は、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する複数のソーラーセル(光発電素子)を直列接続した円形の平板である。また、ソーラーパネル135は、太陽光の検出機能も有している。文字板11、ソーラーパネル135および地板125には、指針軸26が貫通する穴が形成されているとともに、カレンダー小窓15の開口部が形成されている。
駆動機構140は、地板125に取り付けられ、回路基板120で裏面側から覆われている。駆動機構140は、指針21(秒針)を駆動するステップモーターと、指針22(分針)および指針23(時針)を駆動するステップモーターと、インジケーター針24を駆動するステップモーターと、インジケーター針25を駆動するステップモーターとを備える。さらに、電子時計1は、カレンダー小窓15で日付を表示する日車を備えているので、日車を駆動するためのステップモーターも備える。
回路基板120は、充電回路80、記憶装置60、本発明の受信手段および情報取得手段としての受信装置(受信モジュール)122、および制御装置40を備えている。また回路基板120の受信装置122が設けられた側には、リチウムイオン電池などの二次電池130が配置されている。充電回路80は、ソーラーパネル135が発電した電力を二次電池130に充電する。また、この回路基板120とアンテナ体110とは、アンテナ接続ピン115を用い接続されている。
アンテナ体110は、リング形状の誘電体を基材として、これに金属のアンテナパターンをメッキや銀ペースト印刷などにより形成したものである。このアンテナ体110は、文字板11の外周に配置されており、ベゼル32の内周面側に配置され、さらにプラスチックで形成されたダイヤルリング111、およびカバーガラス33で覆われているため、良好な受信を確保することが可能となっている。誘電体としては、酸化チタンなどの高周波で使える誘電材料を樹脂に混ぜて成形することができ、これにより誘電体の波長短縮と相俟ってアンテナをより小型化できる。
図3は、電子時計1の回路構成を示すブロック図である。電子時計1は、受信装置122、制御装置40、計時装置50(計時手段)、記憶装置60(記憶手段)、入力装置70(外部操作手段)を備えている。制御装置40は、受信制御手段41、時刻修正手段42、地域判定手段43を備えている。受信制御手段41は、自動受信制御部411と手動受信制御部412とを備えている。
受信装置122は、二次電池130に蓄積された電力で駆動される負荷であり、制御装置40によって駆動されると、アンテナ体110を通じてGPS衛星100もしくは準天頂衛星101から送信される衛星信号を受信する。そして、受信装置122は、衛星信号の受信に成功した場合には、取得した軌道情報やGPS時刻情報などの情報を制御装置40へ送信する。一方、衛星信号の受信に失敗した場合には、受信装置122は、その旨の情報を制御装置40へ送信する。なお、受信装置122の構成は、公知のGPS受信回路の構成と同様であるため、その説明を省略する。
計時装置50は、二次電池130に蓄積された電力で駆動される水晶振動子等を備え、水晶振動子の発振信号に基づく基準信号を用いて時刻データを更新する。
記憶装置60は、図4に示すように、時刻データ記憶部600と、衛星番号記憶部660と、タイムゾーンデータ記憶部680と、定時受信時刻記憶部690とを備えている。
時刻データ記憶部600には、受信時刻データ610と、閏秒更新データ620と、内部時刻データ630と、時計表示用時刻データ640と、タイムゾーンデータ650とが記憶される。
受信時刻データ610には、衛星信号から取得した時刻情報(GPS時刻)が記憶される。この受信時刻データ610は、通常は計時装置50によって1秒毎に更新され、衛星信号を受信した際には、取得した時刻情報(GPS時刻)によって修正される。
閏秒更新データ620には、少なくとも現在の閏秒のデータが記憶される。すなわち、衛星信号のサブフレーム4、ページ18(図5参照)には、閏秒に関するデータとして、「現在の閏秒」、「閏秒の更新週」、「閏秒の更新日」、「更新後の閏秒」の各データが含まれる。このうち、本実施形態では、少なくとも「現在の閏秒」のデータを、閏秒更新データ620に記憶している。
また、図示しないが、測位受信処理で得られた位置情報(緯度、経度)、すなわち電子時計1の現在位置を記憶するようにしてもよい。
制御装置40は、電子時計1を制御するCPUで構成されている。制御装置40は、受信装置122を制御して受信処理を実行する受信制御手段41を備える。受信制御手段41は、自動受信制御部411と、手動受信制御部412とを備える。また、制御装置40は、受信装置122で受信した衛星信号に含まれる時刻情報を取得し、この時刻情報によって前記受信時刻データ610で計時している時刻を修正する時刻修正手段42を備える。さらに、制御装置40は、ユーザーの滞在する国の位置を判定する地域判定手段43を備えている。
自動受信制御部411は、定時受信時刻記憶部690に設定された定時受信時刻になった場合と、ソーラーパネル135の発電電圧または発電電流が設定値以上となった場合に、受信装置122を作動して測時モードでの受信処理を行う。
すなわち、自動受信制御部411は、計時時刻、具体的には内部時刻データ630が、定時受信時刻記憶部690に記憶された定時受信時刻になった際に、受信装置122を作動する。これを定時受信処理という。
また、自動受信制御部411は、ソーラーパネル135の発電電圧または発電電流が設定値以上となり、屋外においてソーラーパネル135に日光が照射していると判断できる場合に、受信装置122を作動する。なお、ソーラーパネル135の発電状態で受信装置122を作動する処理の回数は、1日に1回などに制約してもよい。
なお、自動受信制御部411による時刻情報の受信処理は、前回ユーザーが手動で選択することにより設定されるタイムゾーンデータ650や、測位受信により取得した位置情報により設定されるタイムゾーンデータ650に基づいて、準天頂衛星101を優先的に検索するか否かを判定し、当該判定に基づいてGPS衛星100もしくは準天頂衛星101を検索し、衛星信号を受信する。
手動受信制御部412は、ユーザーが入力装置70のボタン73を押して強制受信操作を行った場合に、受信装置122を作動して受信処理を行う。
この際、手動受信制御部412は、前述の通り、ボタン73を押している時間に応じて、測時モードでの受信処理と、測位モードでの受信処理を切り替えて実行する。
例えば、日本標準時(JST)は、UTCに対して9時間進めた時刻(UTC+9)であるため、測位モードで取得した位置情報が日本である場合には、制御装置40は、タイムゾーンデータ記憶部680から日本標準時の時差情報(+9時間)を読み出してタイムゾーンデータ650に記憶する。このため、時計表示用時刻データ640は、UTCである内部時刻データ630にタイムゾーンデータを加算した時刻となる。
ここで、前記各取得情報が含まれるGPS衛星100から送信される衛星信号の航法メッセージについて、説明する。なお、航法メッセージは、50bpsのデータとして衛星の電波に変調されている。
図5(A)〜図5(C)は、航法メッセージの構成について説明するための図である。
図5(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星100から6秒で送信される。したがって、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星100から30秒で送信される。
週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報であり、1週間単位で更新される。
サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメーター(各GPS衛星100の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメーター(全GPS衛星100の概略軌道情報)が含まれている。
したがって、電子時計1は、リセット後や電源投入時のように、内部に週番号データ(日付情報)を記憶していない場合のみ、サブフレーム1の週番号データを取得すれば良い。そして、週番号データを記憶している場合は、電子時計1は、6秒毎に送信されるTOWを取得すれば、現在時刻が分かる。このため、電子時計1は、通常、時刻情報としてTOWのみを取得する。
準天頂衛星101から送信される衛星信号の航法メッセージは、可能な限りGPSの衛星信号と互換性を保つように設計されている。ただし、準天頂衛星101に固有のデータ等、一部について相違する。この航法メッセージの詳細な説明は省略する。
次に、電子時計1の受信処理について、図6および図7のフローチャートも参照して説明する。
図6は、受信処理手順を示すフローチャートであり、図7は、測時受信モードにおける測時受信処理の実行手順を示すフローチャートである。
なお、図6に示す受信処理は、受信制御手段41の手動受信制御部412により実行される手動受信処理である。
一方、ステップS11により、ユーザーによりボタン73が第1設定時間押されていないと判定すると(S11でNO)、手動受信制御部412は、ボタン73が第2設定時間(6秒以上)押されたか否かを判定する(S13)。これにより、ボタン73が第2設定時間押されたと判定すると(S13でYES)、手動受信制御部412は、測位受信処理を実行する(S14)。
また、ステップS12の測時受信処理およびステップS14の測位受信処理が完了すると、手動受信制御部412は、通常時刻を表示する通常時刻表示モードに戻す。
次に、ステップS12の測時受信処理について詳しく説明する。なお、測時受信処理は、手動受信制御時および自動受信制御時のいずれの場合においても、同様の処理が実行される。なお、前述したように、受信制御手段41は、現在上空に存在し衛星信号を受信できる衛星を把握していないコールドスタート状態で受信制御を行う。
まず、受信制御手段41は、図7に示すように、準天頂衛星システム(QZSS)の準天頂衛星101を優先検索するか否かを判定する(S121)。具体的には、受信制御手段41は、地域判定手段43を制御し、記憶装置60の時刻データ記憶部600に記憶されたタイムゾーンデータ650に基づいて、QZSSの準天頂衛星101から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定する。
すなわち、図8には、都市(地域)ごとに設定されるタイムゾーンと、そのタイムゾーンがGPSもしくはQZSSのいずれの位置情報衛星を優先検索すべきかが示されている。例えば、ステップS14においてなされた測位受信処理により、位置情報が取得され、ユーザーが「TOKYO」にいる場合は、タイムゾーン「+9」であり、QZSSの準天頂衛星101を優先検索すべき地域であることがわかる。一方、ユーザーが「LONDON」にいる場合は、タイムゾーン「0」であり、GPSのGPS衛星100を優先検索すべき地域であることがわかる。すなわち、地域判定手段43は、タイムゾーンデータ650とこの関係とに基づいて、QZSSの準天頂衛星101から送信される衛星信号を受信できる地域であるか否かを判定する。
なお、このタイムゾーンとQZSSの優先検索がされる地域との関係は、タイムゾーンデータ記憶部680に記憶されている。
ここで、最初に実行される位置情報衛星(GPS衛星100および準天頂衛星101)の検索は、感度閾値「−130dBm」にて実行される。すなわち、受信装置122は、衛星信号の受信レベルの高い位置情報衛星を検索する。このため、受信レベルの高い位置情報衛星(準天頂衛星101や天頂方向に位置するGPS衛星100)が存在する場合には、短い時間で位置情報衛星を捕捉することができる。
また、ステップS122により準天頂衛星101の検索が行われた後も同様に、受信制御手段41は、受信装置122を制御し、GPS衛星100の検索処理を実行する。
すなわち、ステップS121により、QZSSの準天頂衛星101を優先的に検索すると判定された場合(S121でYES)に、受信制御手段41は、受信装置122を制御し、図9(A)に示すように、検索順に従って、まず、衛星番号(PRN)193,194の準天頂衛星101を検索し(S122)、その後、衛星番号(PRN)1〜32のGPS衛星100を検索する(S123)。なお、図9(A)は、2つの準天頂衛星101を検索する例であるが、準天頂衛星101の検索数は準天頂衛星101の運用数に応じて設定すればよい。
一方、ステップS121により、QZSSの準天頂衛星101を優先的に検索しないと判定された場合(S121でNO)に、受信制御手段41は、受信装置122を制御し、図9(B)に示すように、衛星番号(PRN)193,194の準天頂衛星101を検索することなく、衛星番号(PRN)1〜32のGPS衛星100を検索する(S123)。
なお、位置情報衛星の検索中は、インジケーター針25は、捕捉している位置情報衛星の種類を表示する。すなわち、準天頂衛星101のみを捕捉している場合は「QZSS」の文字を指示し、GPS衛星100のみを捕捉している場合は「GPS」の文字を指示し、GPS衛星100および準天頂衛星101を捕捉している場合は「QZSS&GPS」の文字を指示する。
一方、所定時間が経過していなければ(S127でNO)、受信制御手段41は、所定の衛星数が捕捉されたか否かを判定する(S128)。ここで、測時受信では、少なくとも1基の位置情報衛星から送信される衛星信号を取得することで時刻情報を取得できることから、例えば、2基の位置情報衛星を捕捉したか否かを検索する。衛星検索に要する消費電流は大きい為、所定の衛星数が捕捉されば検索を終了し、さらに、位置情報衛星を検索することがないので、無駄な消費電流を低減する事が可能である。これにより、所定の衛星数が捕捉できなかったと判定すると(S128でNO)、受信制御手段41は、所定回数検索を繰り返したか否かを判定する(S129)。
ここで、測時受信処理では、前述したように、最初に実行される位置情報衛星(GPS衛星100および準天頂衛星101)の検索は、感度閾値「−130dBm」にて実行される。本実施形態では、感度閾値「−130dBm」にて位置情報衛星(位置情報生成から送信される衛星信号)が検索されない場合、通常、感度閾値を徐々に下げて、より受信レベルが低い衛星信号も取得できる処理がなされる。例えば、本実施形態では、感度閾値を「−135dBm」、「−140dBm」に下げて、最大3回の位置情報衛星の検索がなされる。
一方、ステップS128において、所定の衛星数が捕捉されたと判定された場合は(S128YES)、捕捉している衛星から時刻情報が受信されるまで、上記ステップS125からS127の処理を繰り返す。
なお、ステップS129において、所定回数(3回)の検索を繰り返したと判定すると(S129でYES)、受信制御手段41は、測時受信処理を終了する。
上述した本発明の第1実施形態における電子時計1(衛星信号受信装置)によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態では、受信制御手段41は、測時受信処理を開始すると、受信装置122を制御して全ての位置情報衛星を検索する。この際、地域判定手段43によりQZSSの準天頂衛星101から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、準天頂衛星101を優先的に、具体的には最初に検索する。このため、準天頂衛星101を早期に捕捉できる可能性が高まり、準天頂衛星101を受信しない場合や優先して検索しない場合に比べて、位置情報衛星の検索処理や、衛星信号の受信処理を短縮することができる。
すなわち、時刻情報を取得する場合は1基の位置情報衛星からの衛星信号を受信すれば時刻情報を取得できる。したがって、準天頂衛星101を受信可能な地域であれば、準天頂衛星101の検索を優先させることで、準天頂衛星101を早期に捕捉でき、かつ、衛星信号の受信時間も短くできる。
さらに、地域判定手段43により、QZSSの準天頂衛星101を受信できない地域と判定された場合は、受信制御手段41はQZSSの準天頂衛星101を優先して検索しないため、受信できない準天頂衛星101を検索する前に、GPSのGPS衛星100を捕捉することができる。したがって、準天頂衛星101を受信できない地域と判定された場合も、準天頂衛星101の検索処理を行う前に検索処理を終了できる確率が高まり、このため、位置情報衛星の検索時間を短くでき、衛星信号の受信時間も短くできる。
そして、測時受信処理時に位置情報衛星の検索処理(捕捉処理)や、衛星信号の受信処理の時間を短縮することで、受信処理時の消費電力も低減できる。このため、電子時計1の持続時間を長くできる。
一方、測位受信は、準天頂衛星101の衛星信号を受信できない国等に移動して行われる確率が高い。このため、いずれの国でも受信可能なGPS衛星100を優先的に検索することで、位置情報衛星の検索にかかる時間を短縮できる。したがって、位置情報衛星を捕捉して衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて位置情報を算出するまでの時間を短縮することができる。
本実施形態では、位置情報衛星から送信される衛星信号の受信レベルが高い位置情報衛星があれば、この位置情報衛星を、閾値を高く設定した最初の探索で捕捉できる可能性が高い。
ここで、図10に示す閾値が高い方が、位置情報衛星の探索時間を短くできる。このため、本実施形態によれば、例えば、低い閾値「−140dBm」に固定して探索を行う場合と比べて、早期に受信レベルが高い位置情報衛星を捕捉できる。
捕捉された位置情報衛星からは、すべての位置情報衛星の探索が終了する前に、衛星信号をデコードするので、順次、情報を受信できる。また、受信レベルが高い位置情報衛星の方が、信号が安定している為、取得情報の受信成功率は高い。このため、早期に受信レベルが高い準天頂衛星101を捕捉できることで、衛星信号情報の受信により、早期に受信を成功させる事ができる。
一方で、受信レベルが低い位置情報衛星は、閾値を順次下げた状態で検索することにより捕捉できる。
具体的な例としては、例えば、図10のステップ1で捕捉できる受信レベルである衛星番号(PRN)が193の準天頂衛星101と、衛星番号(PRN)11のGPS衛星100が存在している場合、図9(A)の順番でQZSSの準天頂衛星101を優先して検索する場合、検索時間(0.3秒)とデコード時間(4秒)との和である受信時間は、4.3秒となる。これに対し、準天頂衛星101を優先せずにGPS衛星100を最初に検索した場合は、図9(B)の順番で検索した場合、検索時間(3.3秒)とデコード時間(4秒)との和である受信時間は、7.6秒となる。すなわち、準天頂衛星101を優先して検索した受信時間は、優先しなかった場合に比べて約半分の受信時間となる。
すなわち、本実施形態では、測時受信処理における時刻情報を取得するまでの受信時間が短くなるため、使用者であるユーザーが受信開始から終了までの待ち時間が短くなる為、利便性を向上できる。また、二次電池130の電池容量が20mAHで、通常時刻表示の動作を行っている時の消費電流を0.5μA、受信を行う時の消費電流を30mA、準天頂衛星101を優先して検索した場合の受信時間を4.3秒、準天頂衛星101を優先せずに検索した受信時間を7.6秒とし、1日1回の測時受信処理を行ったとする。この条件でソーラーパネル135による充電が無い状態の電子時計1の持続時間は、準天頂衛星101を優先して検索した場合は約1.1年(20mAH/(0.5μA+30mA×4.3秒/(60×60×24)秒)/24/365)であり、準天頂衛星を優先して検索しない場合は約0.7年(20mAH/(0.5μA+30mA×7.6秒/(60×60×24)秒)/24/365)である。すなわち、本実施形態では、電子時計1の持続時間を長くすることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る電子時計1について、図面に基づいて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る電子時計1の測時受信処理手順を示すフローチャートである。
第2実施形態の電子時計1は、測時受信処理手順が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態の測時受信処理と同様の処理については、同番号を付し、説明を省略する。したがって、第1実施形態と異なる点、すなわち、測時受信処理についてのみ詳しく説明する。
まず、受信制御手段41は、図11に示すように、前回取得した位置情報衛星の衛星番号(PRN)が衛星番号記憶部660に記憶されているか否かを判定する(S131)。これにより、前回取得した位置情報衛星の衛星番号(PRN)が衛星番号記憶部660に記憶されていると判定すると(S131でYES)、受信制御手段41は、受信装置122を制御し、衛星番号記憶部660に記憶された衛星番号(PRN)の位置情報衛星(例えば、衛星番号(PRN)5のGPS衛星100および衛星番号(PRN)196の準天頂衛星101)を検索する(S132)。
なお、衛星番号記憶部660に準天頂衛星101のみが記憶されている場合には、記憶されている準天頂衛星101を検索する。さらに、衛星番号記憶部660にGPS衛星100および準天頂衛星101が記憶されている場合には、これらの位置情報衛星を検索する。この場合、準天頂衛星101を先に検索してもよいし、GPS衛星100を先に検索してもよい。
すなわち、図12には、地図データを所定の範囲ごとに区切られた80個のブロックごとに設定されるタイムゾーンブロックと、そのタイムゾーンブロックのそれぞれにタイムゾーンとGPSのGPS衛星100もしくはQZSSの準天頂衛星101のいずれの位置情報衛星を優先検索すべきかが示されている。例えば、図6のステップS14においてなされた測位受信処理により、位置情報が取得され、取得した位置情報が「5−B」のブロックに含まれていると判定された場合は、「5−B」のブロックは、タイムゾーン+9と設定されているので、タイムゾーン+9と判定される。また、QZSSの準天頂衛星101を優先検索すべき地域であることがわかる。一方、取得した位置情報が「1−H」のブロックに含まれている場合は、「5−B」のブロックは、タイムゾーン+6と設定されているので、タイムゾーン+6と判定される。また、GPSのGPS衛星100を優先検索すべき地域であることがわかる。すなわち、地域判定手段43は、各タイムゾーンブロックで設定された優先検索するGPS,QZSS(図12参照)に基づいて、QZSSの準天頂衛星101から送信される衛星信号を受信できる地域であれば、準天頂衛星101を優先検索すべき地域であると判定する。
このタイムゾーンブロックとQZSSの準天頂衛星101の優先検索がされる地域との関係は、タイムゾーンデータ記憶部680に記憶されている。
一方、ステップS133により、取得した位置情報が含まれるブロックがQZSSの準天頂衛星101からの衛星信号を受信できないブロックであると地域判定手段43により判定された場合、受信制御手段41は、準天頂衛星101を優先検索しないと判定する(S133でNO)。そして、受信制御手段41は、受信装置122を制御し、GPS衛星100のみを検索する(S135)。
本実施形態では、上記第1実施形態の効果を奏する上、以下の効果がある。
本実施形態の電子時計1では、受信装置122により捕捉した位置情報衛星の衛星番号(PRN)を衛星番号記憶部660に記憶し、受信制御手段41は、受信処理の開始時に最初に衛星番号記憶部660に記憶されている位置情報衛星を検索する。このため、例えば、前回と同時刻に受信処理を行った場合など、同じ位置情報衛星を受信できる条件であれば、位置情報衛星を捕捉できる時間を短縮でき、検索に係る消費電力を低減できる。
また、衛星番号記憶部660に記憶されている位置情報衛星を捕捉できない場合は、準天頂衛星101を捕捉できるタイムゾーンであるかを判定して検索処理を行うため、位置情報衛星を捕捉できる時間を短縮でき、検索に係る消費電力を低減できる。
また、タイムゾーンブロックとQZSSの準天頂衛星101の優先検索がされる地域との関係は、第1実施形態で用いたタイムゾーンとQZSSの優先検索がされる地域との関係に比べてより細かい設定が可能であるので、準天頂衛星101を優先検索するか否かをより正確に判定できる。
なお、上記実施形態では、ステップS124で、捕捉した衛星番号を衛星番号記憶部660に記憶する処理を行ったが、ステップS125で、時刻情報を取得して受信に成功した衛星番号のみを衛星番号記憶部660に記憶するようにしてもよい。
次に、本発明の第3実施形態に係る電子時計1について、図面に基づいて説明する。
図14は、本発明の第3実施形態に係る電子時計1の測時受信処理手順を示すフローチャートである。
第3実施形態の電子時計1は、測時受信処理手順が上記各実施形態と異なる。なお、第1実施形態の測時受信処理と同様の処理については、同番号を付し、説明を省略する。したがって、第1実施形態と異なる点、すなわち、測時受信処理についてのみ詳しく説明する。
一方、ステップS121により、地域判定手段43によりQZSSの準天頂衛星101のみを検索しないと判定された場合(S140でNO)、受信制御手段41は、まず、衛星番号(PRN)1〜32のGPS衛星100を検索する(S141)。そして、受信制御手段41は、GPS衛星100の検索の後、衛星番号(PRN)193,194の準天頂衛星101を検索する(S142)。すなわち、準天頂衛星101のみを検索しないと判定された場合、受信制御手段41は、図15(B)に示すように、GPS衛星100を検索した後、図15(A)に示すように、衛星番号(PRN)193〜197の準天頂衛星101を順番に検索する。
なお、測位受信処理は前記第1実施形態と同様に行えばよい。
本実施形態の電子時計1では、前記各実施形態の作用効果に加え、以下の効果を奏する。
受信制御手段41は、地域判定手段43によりQZSSの準天頂衛星101のみを検索すると判定された場合(準天頂衛星101から送信される衛星信号を受信可能な地域が選択された場合)は、準天頂衛星101のみを検索する。このため、準天頂衛星101の衛星信号を受信できる場合には、検索処理や受信処理を短時間で終了できる。一方、屋内や地下などのQZSSの準天頂衛星101の衛星信号を受信できない場所で受信処理を行った場合は、検索処理や受信処理を短時間で終了でき、無駄な受信処理を継続することを防止できる。
また、地域判定手段43により、QZSSの準天頂衛星101のみを検索しないと判定された場合(準天頂衛星101の衛星信号を受信し難い地域が選択された場合)は、受信制御手段41は、まずGPS衛星100を検索した後、準天頂衛星101も検索するので、いずれかの位置情報衛星を捕捉することができる。
なお、地域判定手段43は、前述したタイムゾーンとQZSSの優先検索がされる地域との関係と、タイムゾーンブロックとQZSSの優先検索がされる地域との関係と、のいずれかを用いて準天頂衛星101のみを検索するか否かを判定することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
第2実施形態においては、ステップS133において、測位受信の結果に基づいて、そのユーザーが所定のタイムゾーンブロックに属する場合に、QZSSの準天頂衛星101を優先的に検索することとしたが、これに限られない。例えば、図16に示すように、地図データをブロックごとに分割することなく、所定の範囲103内に測位受信処理で取得した位置情報(緯度、経度)が位置する場合に、QZSSの準天頂衛星101を優先的に検索するようにしてもよい。
第2実施形態においては、衛星番号記憶部660に前回の受信時に記憶した衛星番号(PRN)が記憶されているか否かを判定することとしたが、これに限られない。例えば、衛星番号記憶部660には、前回の受信処理時に位置情報衛星を捕捉できなかった場合は、それ以前の情報を記憶しておいてもよい。また、前回の受信処理時に位置情報衛星を捕捉した場合には、それ以前に受信した際の記録を消去して上書きしてもよいし、受信日時とともに追加して記憶することで、過去5回分などの受信記録を記憶してもよい。
Claims (15)
- 全地球航法衛星システムで用いられるGNSS衛星、および、地域航法衛星システムで用いられるRNSS衛星を含む位置情報衛星を検索し、前記検索により捕捉された衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を制御する受信制御手段と、
前記RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定する地域判定手段と、を有し、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、前記RNSS衛星を優先的に検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、検索する位置情報衛星の数の半分より前に前記RNSS衛星を検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
前記位置情報衛星を記憶する記憶手段を有し、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、最初に前記記憶手段に記憶されている前記位置情報衛星を検索し、その後、前記記憶手段に記憶されていないRNSS衛星を検索し、前記記憶手段に記憶されていないGNSS衛星を検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、最初に前記RNSS衛星を検索し、その後、GNSS衛星を検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記受信制御手段は、前記衛星信号から現在時刻を取得する測時受信処理と、前記衛星信号に基づく位置情報を取得する測位受信処理とを実行可能に構成され、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、前記測時受信処理の際は前記RNSS衛星を優先的に検索し、前記測位受信処理の際は前記RNSS衛星を優先的に検索しないことを特徴とする衛星信号受信装置。 - 全地球航法衛星システムで用いられるGNSS衛星、および、地域航法衛星システムで用いられるRNSS衛星を含む位置情報衛星を検索し、前記検索により捕捉された衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を制御する受信制御手段と、
前記RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定する地域判定手段と、を有し、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、前記RNSS衛星のみを検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信不能な地域と判定された場合に、前記GNSS衛星を優先的に検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記受信制御手段は、前記地域判定手段により前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信不能な地域と判定された場合に、前記GNSS衛星のみを検索することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
ユーザーにより操作される外部操作手段を有し、
前記地域判定手段は、前記ユーザーによる前記外部操作手段の操作により選択されるタイムゾーンに基づいて前記RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
前記受信制御手段は、前記衛星信号から現在時刻を取得する測時受信処理と、前記衛星信号に基づく位置情報を取得する測位受信処理とを実行可能に構成され、
前記地域判定手段は、前回測位受信処理に成功して取得した位置情報に基づいて前記RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
捕捉している位置情報衛星の種類を表示する表示手段を有することを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項11のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
ユーザーにより操作される外部操作手段を有し、
前記受信制御手段は、前記ユーザーによる前記外部操作手段の操作により前記受信手段により検索する位置情報衛星を選択できることを特徴とする衛星信号受信装置。 - 請求項1から請求項12のいずれかに記載の衛星信号受信装置と、
時刻を計時する計時手段と、を有することを特徴とする電子時計。 - 全地球航法衛星システムで用いられるGNSS衛星、および、地域航法衛星システムで用いられるRNSS衛星を含む位置情報衛星を検索し、前記検索により捕捉された衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段を有する衛星信号受信装置の衛星信号受信方法であって、
前記RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定する地域判定ステップと、
前記衛星信号を受信する受信処理時に、前記地域判定ステップにより前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、前記RNSS衛星を優先的に検索する受信制御ステップと、を備えることを特徴とする衛星信号受信装置の衛星信号受信方法。 - 全地球航法衛星システムで用いられるGNSS衛星、および、地域航法衛星システムで用いられるRNSS衛星を含む位置情報衛星を検索し、前記検索により捕捉された衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段を有する衛星信号受信装置の衛星信号受信方法であって、
前記RNSS衛星から送信される衛星信号が受信可能な地域か否かを判定する地域判定ステップと、
前記衛星信号を受信する受信処理時に、前記地域判定ステップにより前記RNSS衛星から送信される衛星信号を受信可能な地域と判定された場合に、前記RNSS衛星のみを検索する受信制御ステップと、を備えることを特徴とする衛星信号受信装置の衛星信号受信方法。
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