JP2015167953A - ステンレス箔の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 厚さが0.10mm以下のステンレス箔の製造方法において、仕上げ圧延を行うとき、ワークロール直径:30〜90mm、ワークロール表面粗さ(Ra):0.03μm以下のワークロールを用いて、圧下率:18〜30%、圧延速度:150m/min以下、潤滑油粘度:10mm2/S以下の条件で冷間圧延を行って、表面粗さ(Ra)を0.03μm以下とするステンレス箔の製造方法。
【選択図】 図1
Description
このような薄膜多結晶太陽電池の基板にはステンレス製の箔材(以下、ステンレス箔)を適用する検討が進められており、そのステンレス箔は平滑な表面肌が求められている。この薄膜多結晶太陽電池に用いるステンレス鋼箔として、例えば、特開2013−208639号公報(特許文献1)として、ステンレス鋼板表面の圧延方向と垂直な方向の算術平均粗さRaが0.03μm以下であり、鋼板表面において、深さ0.5μm以上且つ開口面積10μm2以上であるマイクロピット存在密度が0.01mm2当たり10.0個以下であり、且つ前記ピットの開口部面積率が1.0%以下で分布している調質圧延されたステンレス鋼板の発明がある。
しかしながら、ドライスキンパスは潤滑剤を用いないことから、かえって表面にきずが発生しやすいという問題がある。きずが発生すると表面粗さが局所的に荒れてしまうと言う問題も生じる。また、特許文献1で具体的に示されるステンレス鋼の厚みはせいぜい0.5mmという厚いものであり、太陽電池用ステンレス箔に求められるような0.10mm以下の箔材については十分な検討がなされていない。
本発明の目的は、厚さが0.10mm以下のステンレス箔において、仕上げ圧延後の表面にきず等の表面欠陥の発生を防止しつつ、表面粗さをより確実に低くすることが可能なステンレス箔の製造方法粗を提供することである。
即ち本発明は、厚さが0.10mm以下のステンレス箔の製造方法において、仕上げ圧延を行うとき、ワークロール直径:30〜90mm、ワークロール表面粗さ(Ra):0.03μm以下のワークロールを用いて、圧下率:18〜30%、圧延速度:150m/min以下、潤滑油粘度:10mm2/S以下の条件で冷間圧延を行って、表面粗さ(Ra)を0.03μm以下とするステンレス箔の製造方法である。
<仕上げ圧延時のワークロール直径:30〜90mm>
本発明では仕上げ圧延時のワークロールの直径を30〜90mmとして、ステンレス箔の厚さや製品形状を整える必要がある。これは、ワークロールの直径が30mm未満であると仕上げ圧延時にステンレス箔にしわや折れが発生しやすくなり、一方、ワークロールの直径が90mmを超えると圧延荷重が高くなり、18%から30%の圧下率を確保できずに鏡面肌を得られないからである。
<仕上げ圧延時のワークロール表面粗さ(Ra):0.03μm以下>
また、本発明では仕上げ圧延時のワークロール表面粗さ(Ra)を0.03μm以下とする。これはワークロールの表面粗さ(Ra)が0.03μmを超えて粗くなると、後述する圧延速度や潤滑油粘度を調整しても仕上げ圧延後のステンレス箔の表面粗さ(Ra)を0.03μm以下にすることができないためである。好ましいワークロールの表面粗さ(Ra)は0.02μm以下である。
本発明では、前述のワークロールを用いて仕上げ圧延を行う。仕上げ圧延時の圧下率を18〜30%とするのは、ステンレス箔の厚さと所望の表面粗さに調整するためである。圧下率が18%未満であると所望の表面粗さを超えてしまうためである。一方、圧下率が30%を超えると油膜切れによりロール焼けを起こし肌(表面粗さ)が悪化するためである。
<圧延速度:150m/min以下>
また、本発明では仕上げ圧延時の圧延速度を150m/min以下の比較的低速とする。これは、圧延速度が150m/minを超えて高速になると、潤滑剤が油膜切れを起こしやすく、ロール焼けが発生しやすくなるためである。表面粗さを滑らかとして光沢肌を得るには圧延速度は低速の方が好ましく、100m/min以下が好ましい。更に好ましくは50m/min以下である。なお、圧延速度の下限は特に限定しないが、過度に低速となると生産性が悪化することから、現実的には30m/minを下限とすると良い。
<潤滑油粘度:10mm2/S以下>
また、本発明では潤滑剤を用いるため、その粘度が重要となる。潤滑油粘度が10mm2/Sを超えると仕上げ圧延時にオイルピットが多量、或いは更に、深く発生しやすくなってしまい仕上げ圧延後の表面粗さ(Ra)を0.03μm以下にすることができなくなる。そのため、潤滑油粘度は10mm2/S以下に限定する。
なお、潤滑油粘度の調整は、例えば、潤滑剤の温度を加熱装置などを用いて高め、潤滑油粘度を低粘度化させても良い。
なお、本発明でいう太陽電池用ステンレス箔の代表的な成分としては、例えば、JIS−G4305で示されるフェライト系ステンレス鋼やその改良合金であれば良い。フェライト系ステンレス鋼は熱膨張係数がオーステナイト系ステンレス鋼よりも小さく、太陽電池用ステンレス箔に好適である。中でも、質量%で、0.12%以下のC、0.75%以下のSi、1.0%以下のMn、16.0〜18.0%のCrを含み、残部はFeと不純物のJIS−SUS430の使用が好ましい。
用いた太陽電池用ステンレス箔の素材はJIS−SUS430であり、その組成を表1に示す。また、仕上げ圧延の条件を表2に示し、仕上げ圧延後のステンレス箔の表面粗さ(Ra)を表3で示す。なお、表面粗さはAFM(原子間力顕微鏡)を用いて、得られたステンレス箔の中央部表面について、幅方向に測定を行ったものでキズや模様等の表面欠陥の有無を目視及び電子顕微鏡で確認した。図1に本発明No.1の仕上げ圧延後の太陽電池用ステンレス箔表面の電子顕微鏡写真を示す。
一方、圧下率と潤滑油粘度が本発明で規定する範囲から外れるNo.11は、表面粗さが得られていない。潤滑油粘度が本発明で規定する範囲からはずれるNo.12は、使用ワークロール径に対し圧下率が過大なためロール焼けが発生した。ロール径、圧下率とワークロール粗さが本発明で規定する範囲からはずれるNo.13は表面粗さが得られていない。ロール径とワークロール粗さが本発明で規定からはずれるNo.14は表面粗さが得られていない。ロール径・ワークロール粗さ、圧下率と圧延速度が本発明で規定する範囲からはずれるNo15は、表面粗さが得られていない。
以上のことから、本発明の太陽電池用ステンレス箔の製造方法を適用すると、厚さが0.06mm以下の太陽電池用ステンレス箔において、仕上げ圧延後の表面にきず等の表面欠陥の発生をより確実に防止することができる。
Claims (1)
- 厚さが0.10mm以下のステンレス箔の製造方法において、
仕上げ圧延を行うとき、
ワークロール直径:30〜90mm、ワークロール表面粗さ(Ra):0.03μm以下のワークロールを用いて、
圧下率:18〜30%、圧延速度:150m/min以下、潤滑油粘度:10mm2/S以下の条件で冷間圧延を行って、表面粗さ(Ra)を0.03μm以下とする
ことを特徴とするステンレス箔の製造方法。
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