JP2015157780A - 防虫剤 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)害虫が産卵するのを阻害する産卵阻害効果
(2)害虫の卵の孵化を抑制する孵化抑制作用
(3)孵化した若齢幼虫を死滅させる若齢幼虫の殺虫作用
(4)害虫を忌避する忌避作用
(5)害虫を死滅させる殺虫作用
(6)害虫の増殖を抑制する増殖抑制作用
原料として、トドマツの葉を用い、以下のようにしてトドマツ精油を得た。すなわち、トドマツ葉を圧砕式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したもの約50kgを、図1に示すマイクロ波蒸留装置の蒸留槽に投入し、攪拌しながら蒸留槽内の圧力を、約20KPaの減圧条件下に保持し、(蒸気温度は約67℃)1時間マイクロ波照射し精油を蒸留した。得られた精油の量は180mLであり、投入試料に対する精油の割合は、0.34%であった。
製造例1と同じトドマツの葉を用い、以下の水蒸気蒸留法により、トドマツ精油を得た。すなわち、圧搾式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したスギ葉約101gをパイレックス(登録商標)ガラス製フラスコに入れ、5〜8倍量の水を加えた後、当該フラスコを湯浴中で90〜100℃に加熱し沸騰させる。精油採取管には加熱前に基準線まで水を入れておいた。6時間煮沸を続けて精油を蒸留したところ、精油を0.8mLが得られた。投入試料に対する精油の割合は、0.79%であった。
図2に示す卵孵化抑制試験装置20を用いた。直径4cmの金属製のかご21を載置台22上に設置し、21内部には製造例1で得たトドマツ精油50μlを含浸させた濾紙23を置き、これを内容積0.4リットルのガラス製ふたつき容器24のほぼ中央に置き、その底部に産卵後1日の衣類害虫であるイガの卵26を20個載せた1辺2.5cmの正方形のサージ25を直径4.6cmのプラスチック製シャーレ27上に置いた。温度25℃、相対湿度70%RHの条件下に14日間保存した後、容器の蓋を開け、孵化した卵の数を数え、孵化していた場合には、孵化直後の若齢幼虫の生死を判別し、下記式より孵化率(生存していた若齢幼虫の数の全体数に対する百分率)を求めた。結果を表1に示す。なお試験物質を何も入れないものをブランクとした。試験は3回行いその平均値を求めた。
製造例1で得たトドマツ精油について、図3及び図4に示した試験装置を用い、その成虫忌避効果を調べた。なお、比較として上記精油を入れないものを用いた。
図3に示すように、試験装置30は、試験区31と対照区32(それぞれ内径約85mm×深さ110mmで、容量570mlのポリプロピレン製円筒容器)を、通路パイプ33(内径12mm×長さ50mm、厚さ3mm)で連通するように構成されており、試験害虫が2つの区を自由に行き来できるようになっている。またこの試験装置の試験区31内には、直径4.6cmのシャーレ34が、対照区32には、試験区31内に設置されたものと同形のシャーレ34がそれぞれ設置されている。更に、試験装置30の通路パイプ33上部には、図4に示されるように、サイズ30mm×20mmの空気孔36(ナイロンメッシュで覆われており、試験害虫の通り抜けはできない)を形成し、試験区31で揮散した防虫剤が通路パイプ33を伝わって対照区32に移動することがないようにしている。
上記した試験装置を用いる防虫試験において、まず試験区31及び対照区32のそれぞれの蓋37を開け、それぞれのシャーレ34に穀物として玄米(あきたこまち)1.0gを入れ、図3に示す位置に設置した。次に、製造例1で得たトドマツ精油50μlを3cm×3cmのろ紙に含浸させ、当該含浸紙をステンレス籠35に入れ、試験区31に設置した。そして、対象害虫であるコクゾウムシの成虫を試験区31と対照区32にそれぞれ10匹ずつ計20匹入れた。
図5に示す試験装置40を用いた。直径5cm、高さ6cmの円柱形PET製プラスチック容器41内において、製造例1で得たトドマツ精油を100μl含浸させた25mm×25mmの含浸紙42を含むステンレス籠43を試験装置40の中に設置し、ステンレス籠43の外にはコナナガシンクイムシ成虫10頭を入れ、玄米44(あきたこまち)1gを入れた直径4.3cmのガラス製シャーレ45を当該容器41の底面に設置し、PET製の空気穴をあけた蓋体46で密封した。25℃相対湿度70%RHの恒温槽に暗条件にて24時間静置後、コナナガシンクイムシの生死数を数え下記式にて死亡率(%)を算出した。試験は3回行いその平均値を求めた。なお、ブランクとしてトドマツ精油を含浸させない含浸紙42を用いて、上記と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
図6に示すように、羽化後24時間以内のタバコシバンムシ成虫10頭を、6×6cm角ウールサージ51を敷いた、直径9cm、高さ1.5cmの滅菌済みプラシャーレ52内に投入し、そこに製造例1で得たトドマツ精油30μlを含浸させた濾紙53をシャーレ52中央に入れた。温度25℃相対湿度70%RH恒温槽内で5日間静置して、成虫の死亡頭数をカウントし、下記式より死亡率を求めた。またサージ上の卵の数をカウントした。試験は3回行いその平均値を求めた。この結果を表4に示す。なお、濾紙のみを用いたものをブランクとした。
穀物害虫用防虫剤:
エタノール15gに、製造例2で得たトドマツ精油0.01g及び他の防虫剤成分としてのトウガラシ粉末0.1gを混合したものにヒドロキシプロピル化グアーガム10gをエタノール24gに溶解したものを加え、攪拌した後水を加えて100gにし、縦35mm×横35mm×高さ75mmの容器に充填した。これを3時間静置し、ゲル状の穀物類害虫防虫剤を得た。
常温揮散性衣類害虫用防虫剤:
下記表5に示す処方を125mm×65mmのパルプ製ろ紙に含浸させたものを、通気性を有するプラスチックケースに収納して衣類害虫用固型防虫剤を調製した。
エアゾール剤:
以下の処方を、市販の200mlエアゾール缶に充填することによって、エアゾール剤を調製した。
有効成分:製造例2で得たトドマツ精油 1ml
溶媒 :エタノール 39.0ml
噴射剤 :LPG 30.0ml
噴射剤 :イソペンタン 30.0ml
スプレー剤:
以下の処方のスプレー剤を、市販の150mlトリガー製容器に収納してスプレー剤を調製した。
有効成分:製造例1で得たトドマツ精油 0.1g
溶剤 :エタノール 10g
香料 0.05g
界面活性剤 0.1g
イオン交換水 89.75g
燻蒸剤:
製造例1で得たトドマツ精油10g、アゾジカルボンアミド55g及びタルク35gを混練し、造粒、乾燥して燻蒸剤を調製した。
加熱蒸散剤:
製造例1で得たトドマツ精油100mgを3cm×3cmのパルプ製マットに含浸させ加熱蒸散剤を得た。このものは、加熱ヒーターに接置させることにより有効成分を蒸散する。
送風蒸散剤:
パルプ製の粒状含浸体(平均粒径5mm)50gに、製造例1で得たトドマツ精油50mLを含浸させ、送風蒸散剤を得た。このものは、ファン式の防虫器により有効成分を蒸散する。
2 … … 蒸留槽
3 … … マイクロ波加熱装置
4 … … 撹拌はね
5 … … 気流流入管
6 … … 蒸留物流出管
7 … … 冷却装置
8 … … 加熱制御装置
9 … … 減圧ポンプ
10 … … 圧力調整弁
11 … … 圧力制御装置
12 … … 蒸留対象物
13 … … 蒸留物
20 … … 卵孵化抑制試験装置
21 … … 金属製かご
22 … … 載置台
23 … … 濾紙
24 … … ガラス製容器
25 … … サージ
26 … … 卵
27 … … シャーレ
30 … … 成虫忌避試験装置
31 … … 試験区
32 … … 対照区
33 … … 通路パイプ
34 … … シャーレ
35 … … ステンレス籠
36 … … 空気孔
37 … … 蓋
40 … … 死亡率試験装置
41 … … PET製プラスチック容器
42 … … 含浸紙
43 … … ステンレス籠
44 … … 玄米
45 … … シャーレ
46 … … 蓋体
51 … … ウールサージ
52 … … シャーレ
53 … … 濾紙
Claims (11)
- マツ科モミ属に属する植物の圧搾液、抽出物または蒸留物を有効成分として含有することを特徴とする防虫剤。
- マツ科モミ属に属する植物の圧搾液、抽出物または蒸留物が、マツ科モミ属に属する植物の葉の圧搾液、抽出物または蒸留物である請求項1記載の防虫剤。
- 有効成分が、マツ科モミ属に属する植物の蒸留物であって、マツ科モミ属に属する植物を減圧下で加熱して蒸留を行うことによって得られる蒸留物である請求項1または2に記載の防虫剤。
- 有効成分が、マツ科モミ属に属する植物を減圧下で加熱して蒸留を行うことによって得られる蒸留物の油性画分である請求項3記載の防虫剤。
- 加熱が、マイクロ波加熱により行われるものである請求項3または4に記載の防虫剤。
- マツ科モミ属に属する植物が、トドマツである請求項1ないし5のいずれかの項記載の防虫剤。
- 鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、シラミ目害虫、半翅目害虫及び双翅目害虫よりなる群から選ばれる1種または2種以上の害虫を対象とするものである請求項1〜6のいずれかの項記載の防虫剤。
- 繊維害虫及び/または穀物害虫用である請求項7記載の防虫剤。
- 産卵阻害用、卵孵化抑制用、若齢幼虫殺虫用、忌避用、殺虫用または増殖抑制用である請求項1〜8のいずれかの項記載の防虫剤。
- 請求項1〜9のいずれかの項記載の防虫剤を常温自然蒸散、加熱蒸散、送風蒸散、薫蒸又は噴霧により環境中に放出させて害虫に作用させることを特徴とする防虫方法。
- 請求項1〜9のいずれかの項記載の防虫剤を害虫に接触させて作用させることを特徴とする防虫方法。
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