JP7353845B2 - ダニ用忌避剤及びダニの忌避方法 - Google Patents

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本発明は、ダニ用忌避剤及びダニの忌避方法に関し、さらに詳細には、例えばコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のクモ網ダニ目の害虫に対するダニ用忌避剤及びダニの忌避方法に関する。
従来より、ダニに対する忌避剤が種々提案されており、近年ではピレスロイド系化合物等が広く使用されている。
また、安全性の高い天然成分や食品成分が忌避剤として使用されることも公知である。例えば、スギ枝葉部を水蒸気蒸留して得られるスギ精油を含水極性有機溶媒で抽出した殺ダニ剤(特許文献1)や、ヒノキ、タイワンヒノキ、スギ、ヒバの枝葉または根幹から抽出した精油のうち少なくとも一種またはそれらの混合物を有効成分として含有することを特徴とする衛生害虫用ダニ防除剤(特許文献2)が知られている。
しかしながら、これらの忌避剤はダニに対しての効果が弱く、十分な忌避効力が得られないという問題を有していた。したがって、高い忌避効果を備え、かつ一般家庭においても手軽に使用できる高度の安全性を兼ね備えた忌避剤が望まれている。
特開平 6-239714号公報 特開平 1-193204号公報
従って、本発明は、ダニに対して十分な忌避効力を有するとともに、人体に対して安全性が高く、一般家庭でも手軽に使用できる忌避剤の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意研究を重ねていたところ、フェランドレンがダニに対し優れた忌避効果を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、フェランドレンを有効成分として含有するダニ用忌避剤を提供するものである。
また本発明は、上記忌避剤を環境中に放出するか、または害虫に接触させることにより作用させるダニの忌避方法である。
本発明の忌避剤はダニに対し、優れた忌避効果を有するとともに、殺ダニ効果を備えるものであり、かつ天然由来の成分であるため安全性の高いものである。したがって、一般家庭においても手軽に使用することができ、ダニによる被害を効果的に予防・除去し得るものである。
マイクロ波蒸留装置の図である。 実施例1のコナヒョウヒダニの忌避率の試験装置を示す図である。
本発明の忌避剤は、フェランドレンを有効成分とするものである。フェランドレンにはα-フェランドレンとβ-フェランドレンの2種類があり、いずれも本発明の忌避剤として用いることができるが、好ましくはβ-フェランドレンである。β-フェランドレンは、下記の化学式(1)で示される。
フェランドレンは公知の化合物であり、合成で、あるいは天然の植物等の精油から単離することにより入手することができるものである。
本発明のダニ用忌避剤は、上記フェランドレンをそのまま、あるいはこれを適当な担体と組み合わせることにより調製することができる。例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンアルコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等の溶剤中に、上記有効成分を、0.01質量%(以下、単に「%」と表記する)ないし99%程度の濃度で溶解させることにより、本発明のダニ用忌避剤を製造することができる。
また、本発明のダニ用忌避剤には、他の香料成分を配合することにより、調合香料ともなる製剤を製造することも可能である。他の香料成分としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β-フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ-ブチルラクトン、クマリン等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料等が挙げられる。
本発明のダニ用忌避剤の有効成分としては、フェランドレンに代え、これを含有する精油等を用いることも可能である。フェランドレンを含有する精油としては、マツ科モミ属に属する植物の精油等を挙げることができる。マツ科モミ属に属する植物としては、トドマツ、モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、シラベ、バルサムファー、ミツミネモミ、ホワイトファー、アマビリスファー、アオトドマツ、カリフォルニアレッドファー、グランドファー、ノーブルファー等を挙げることができるが、これらのうちトドマツが忌避効果等に優れるため好ましく用いられる。
本発明の忌避剤の原料としては、上記マツ科モミ属に属する植物の植物体全てまたはその一部(例えば、果実、種子、葉、樹皮、根茎、花など)が用いられる。これらのうち、間伐・枝打ちされる樹木の有効利用の観点や、忌避効果が高いことから、葉の部分が好適に用いられる。葉の部分は、そのまま用いても良いが、好ましくは、粉砕機や圧砕機等により粉砕・圧砕して使用される。
上記マツ科モミ属に属する植物の植物体全体またはその一部から蒸留物を得る。蒸留物は、常圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留等によって得ることができる。
これらのうち、蒸留物が好ましく、特に減圧下で加熱して蒸留を行うことによって得られたものが、濃縮、精製等の手間をかけることなく、香りの嗜好性が高くかつ高い忌避効力を有するため好ましい。また、加熱はヒーターによる加熱でもかまわないが、マイクロ波による加熱が加熱効率の点で好ましく、特に水を加えずにマイクロ波を照射して加熱することが好ましい。マイクロ波を照射することにより、植物中に含まれる水分子が直接加熱されて水蒸気が生じ、これが移動相として作用して植物中の揮発性成分が蒸留されるため、この蒸留方法は、揮発性成分の沸点による減圧蒸留的な要素と、水蒸気蒸留的な要素とを包含するものと考えられる。このような蒸留物は、例えば図1に示す装置を使用することにより得ることができる。図中、1はマイクロ波蒸留装置、2は蒸留槽、3はマイクロ波加熱装置、4は撹拌はね、5は気流流入管、6は蒸留物流出管、7は冷却装置、8は加熱制御装置、9は減圧ポンプ、10は圧力調整弁、11は圧力制御装置、12は蒸留対象物、13は蒸留物をそれぞれ示す。
この装置1では、蒸留対象物12となる原料のマツ科モミ属に属する植物を蒸留槽2中に入れ、撹拌はね4で撹拌しながら、蒸留槽2の上面に設けられたマイクロ波加熱装置3からマイクロ波を放射し、原料を加熱する。この蒸留槽2は、気流流入口5および蒸留物流出管6と連通されている。気流流入管5は、空気あるいは窒素ガス等の不活性ガスを蒸留槽2中に導入するものであり、この気流は、蒸留槽2の下部から導入される。また、蒸留物流出管6は、原料からの蒸留物を、蒸留槽2の上部から外に導出するものである。
上記蒸留槽2内部は、これに取り付けられた温度センサおよび圧力センサ(共に図示せず)により温度および圧力が測定されるようになっており、加熱制御装置8および圧力制御装置11、圧力調整弁10を介してそれぞれ調整されるようになっている。
また、蒸留物流出管6を介して蒸留槽2から流出した気体状の蒸留物は、冷却装置7により液体に代えられ、蒸留物13として得られる。この蒸留物13には、油性画分13aと水性画分13bが含まれるが、このうち油性画分13aが好適に用いられる。
蒸留にあたっては、上記蒸留槽2内の圧力を、3ないし95キロパスカル、好ましくは、3ないし40キロパスカル、さらに好ましくは3ないし20キロパスカル程度として行なえば良く、その際の蒸気温度は40℃から100℃になる。圧力が3キロパスカル以下では植物中の揮散性成分の蒸気圧上昇が抑制され、また、水蒸気蒸留的要素より、各成分の沸点による減圧蒸留的要素が主となり、沸点の低いものから順に流出してしまうため、水よりも沸点の高い成分の抽出が効率的に行われないという点及び忌避効率が低くかつ香りの嗜好性で劣る高沸点成分が多く抽出されてしまう点で好ましくない。また、95キロパスカル以上では、原料の温度が高くなるため、エネルギーロスが大きく、原料の酸化も促進されてしまうという点で好ましくない。また、蒸留時間は、0.2ないし8時間程度、好ましくは、0.4ないし6時間程度とすれば良い。0.2時間以下では植物中の未抽出成分が多く残存してしまい、8時間以上では原料が乾固に近い状態となってしまうため、抽出効率が低下するという点で好ましくない。
更に、蒸留槽2内に導入する気体としては、空気でもかまわないが、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましく、その流量としては、1分当たりの流量が、蒸留槽2の0.001ないし0.1容量倍程度とすれば良い。
以上のようにして得られたマツ科モミ属に属する植物の蒸留物は、フェランドレンを通常5~30%、好ましくは15~25%含有するものであり、これを本発明の忌避剤の有効成分としてそのまま用いることもできるが、常法により、更に精製してフェランドレンの含有量を高めた画分を用いることが好ましい。
本発明の忌避剤は、単独の有効成分として製剤化してもよいが、更に適当な物質を配合して常法により製剤化することにより調製することが好ましい。本発明の忌避剤の剤型としては、特に限定はなく、液剤、ゲル剤、固形剤等の形態にすることができる。
液剤を調製するために使用できる溶媒としては、特に限定されずに従来より公知の液状担体を用いることができるが、身体に対して安全性の高い物を使用することが好ましい。具体的には、水;ヘキサン、パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素系化合物;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等のアルキルアルコール類;アリルアルコール等のアルケニルアルコール類;ベンジルアルコール等の芳香族環含有アルコール類;オイゲノール等のフェノール類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系化合物;アセトン等のケトン系化合物;酢酸、オレイン酸等の脂肪酸系化合物;酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステル等のエステル系化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系化合物;2-フェノキシエタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール等のグリコールエーテル系化合物;ごま油、リノール油、サラダ油等の植物油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いられる。
これらの溶媒は、忌避剤全体に対して、0.1~99.9%となるように配合することが好ましく、1~99%となるように配合することが特に好ましい。更に好ましくは、10~90%である。
この液剤の調製に当たっては、必要により界面活性剤を添加することもできる。使用できる界面活性剤としては、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の従来公知の界面活性剤が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また本発明の忌避剤は、上記した液剤を適当な担体に含浸、担持させて、固形状又はシート状の固形剤とすることができる。担持させる担体としては特に限定されないが、例えば、木、紙、織布、不織布、シリカ、タルク、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、セルロースビーズ、セラミック、ポリプロピレン等の樹脂製ペレット等を挙げることができる。
更に本発明の忌避剤は、上記した液剤をゲル化剤でゲル化させたゲル剤とすることができる。このゲル化剤としては、従来公知のものが挙げられ、例えば、カラギーナン、ジェランガム、寒天、ゼラチン、グアーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸ソーダ、セルロース誘導体、ジベンジリデン-D-ソルビトール、ヒドロキシプロピル化多糖類、ステアリン酸イヌリン、アクリル酸ナトリウム等の高吸水性樹脂、オクチル酸アルミニウム等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
上記のようにして得られる本発明の忌避剤の好ましい使用方法としては、本発明の忌避剤を環境中に放出させて使用する方法が挙げられる。環境中に放出させる方法としては、液剤、固形剤、ゲル剤等の本発明の忌避剤を、常温で自然に蒸散させる方法や、強制的に蒸散させる方法が挙げられる。強制的に蒸散させる方法としては、加熱による蒸散、送風による蒸散、薫蒸による蒸散等が挙げられる。また、環境中に放出させる方法として噴霧による方法等を使用しても良い。
上記の強制的蒸散方法のうち、加熱による蒸散は、例えば、実開平2-78077号公報等に開示されているような、薬液ボトル内に収納した忌避剤を吸い上げ芯で吸い上げ、吸い上げ芯の上部等を加熱ヒーターで加熱することにより蒸散させるようにした加熱蒸散器や、実開平1-116072号公報等に開示されているようなマット状の含浸体に忌避剤を含浸し、このマットを加熱ヒーター上に載置することにより蒸散させるようにした加熱蒸散器等を用いて行うことができる。
また、送風による蒸散は、例えば、特開平11―308955号公報等に開示されているような薬剤保持体と送風機を備え、その薬剤保持体に送風機により発生する気流を接触させることで、忌避剤を放出口から環境中に放出するファン式忌避装置等を用いて行うことができる。
更に、燻蒸による蒸散は、例えば、実開昭54-148267号公報等に開示されているような、上部開口の容器に、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジド化合物等の有機発泡剤と忌避剤を収納した収納室を形成させ、収納室の底部を加熱手段により加熱することで発泡剤が分解して発生する窒素ガス、炭酸ガス等により、忌避剤を蒸散させる燻蒸装置等を用いて行うことができる。
噴霧による散布は、噴霧器を用い、液剤をスプレーする方法や、適当な噴射剤を用いたエアゾールを使用して行うことができる。スプレー剤とする場合には、上記した液剤と、トリガースプレー、アトマイザー等の噴霧手段とを組み合わせればよい。またエアゾール剤とする場合には、上記した液剤と、LPG、イソペンタン等のエアゾール用担体と、エアゾール缶等のエアゾールの噴霧手段と組み合わせればよい。
また、本発明の忌避剤の好ましい他の使用方法としては、本発明の忌避剤を、液体又は固体状態で、ダニに接触させて使用する方法が挙げられる。この場合、設置された忌避剤に、ダニが接触することによって忌避効果を発揮させることができる。
本発明の忌避剤は、これを、物置、タンス、押入、クローゼット、衣装ケース、衣類収納袋、布団収納袋、居間、寝室等の室内、玄関等の空間に設置、適用することにより、有効成分が上記環境中に放出され、あるいは、ダニに接触することによって、ダニを効果的に忌避させることができる。また本発明の忌避剤は、ダニが生息している畳、絨毯、カーペット、床、布団、枕、ソファー、衣類等の対象物に直接噴霧、散布、塗布等して適用してもよい。
なお本発明の忌避剤には他の従来公知のダニ防除成分を配合しても良く、これによりさらに優れた忌避効果を発揮することができる。これらの他のダニ防除成分としては、例えば、エンペントリン、トランスフルスリン、アレスリン、フェノトリン、プロフルトリン、メトフルトリン、エミネンス等のピレスロイド系化合物;ジクロルボス、ダイアジノン、フェニトロチオン、マラチオン等などの有機リン剤;N,N-ジエチル-m- トルアミド(DEET)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2-エチル-1,3- ヘキサンジオール、ジ-n- プロピルイソシンコメロネート、p-ジクロロベンゼン、ジ-n- ブチルサクシネート、カラン-3,4- ジオール、1-メチルプロピル2-(2- ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシラート等の化合物;メントール、ベチバー油、パチョウリ油、クローブ油、スギ、ヒノキ、タイワンヒノキ、ヒバの精油などの植物精油等が挙げられ、これらの1種を単独で使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の忌避剤のうち好ましいものの例の一つとしては、安全性が特に高い点から、シリコーン系化合物とフェランドレン、上記マツ科モミ属に属する植物の蒸留物とを組み合わせた忌避剤を挙げることができる。また、本発明の忌避剤を液体又は固体状態で、ダニに接触させて使用する場合には、ピレスロイド系化合物等の上記他の公知のダニ防除成分を配合することも好ましいが、本発明の忌避剤を環境中に放出させて使用する場合には、安全性の点からピレスロイド系化合物等を含有させず、単独の忌避有効成分とする忌避剤が好ましい。
以上説明した本発明の忌避剤は、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、ヒゼンダニ、マダニ、イエダニ、ツメダニ、ミナミツメダニ等のダニ目の害虫に対して優れた忌避効果を発揮する。また本発明の忌避剤は、これらのダニ目害虫に対して殺ダニ効果をも備えるものである。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
製 造 例 1
原料として、トドマツの葉を用い、以下のようにしてトドマツ精油を得た。すなわち、トドマツ葉を圧砕式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したもの約50kgを、図1に示すマイクロ波蒸留装置の蒸留槽に投入し、攪拌しながら蒸留槽内の圧力を、約20KPaの減圧条件下に保持し、(蒸気温度は約67℃)1時間マイクロ波照射し精油を蒸留した。得られた精油の量は180mLであり、投入試料に対する精油の割合は、0.34%であった。
製 造 例 2
製造例1と同じトドマツの葉を用い、以下の水蒸気蒸留法により、トドマツ精油を得た。すなわち、圧搾式粉砕機(KYB製作所製)で粉砕したトドマツ葉約101gをパイレックス(登録商標)ガラス製フラスコに入れ、5~8倍量の水を加えた後、当該フラスコを湯浴中で90~100℃に加熱し沸騰させた。精油採取管には加熱前に基準線まで水を入れておいた。6時間煮沸を続けて精油を蒸留したところ、精油を0.8mLが得られた。投入試料に対する精油の割合は、0.79%であった。
実 施 例 1(コナヒョウヒダニの忌避試験1)
JIS L 1920「繊維製品の防ダニ性能試験方法」に準じて、ダニの飼育、密度の調整等を行い、図2に示す装置で忌避試験を行った。すなわち、(+)α-ピネン、(-)α-ピネン、(±)カンフェン又はβ-フェランドレンをそれぞれジエチルエーテルで濃度1%に希釈して、各溶液60mgを布に塗布し供試片とした。当該供試片を、直径40mm、高さ8mmのプラスチック製の軟膏容器の蓋にいれ、その中央に誘引用培地0.05gを置いた。直径90mm、高さ20mmのガラスシャーレに生存コナヒョウヒダニ約10000匹を含むダニ培地(飼育培地用粉末飼料と乾燥酵母を質量比1:1で混合したもの;誘引用培地も同じ)2.0gを均一に広げ、その中央部に上記軟膏容器蓋を置いた。これを金属製トレー上に置き、更にこのトレーを湿度調整のため飽和食塩水を入れた食品保存用プラスチック製容器に収容した。当該容器に蓋をして密封し、温度25℃±1℃の室内に設置した。設置から24時間放置した後、供試片及び誘引用培地の全生存ダニ数をカウントした。薬剤処理をしない布を用いたものをブランクとし、この試験を3回繰り返した。3回の試験の合計のカウント数を求め、下記の式により忌避率を求めた。結果を表1に示す。
[数1]
忌避率(%)=[(ブランクのろ紙上及び誘引用培地の生存ダニ数-薬剤処理区の供試片上及び誘引用培地の生存ダニ数)/ブランクのろ紙上及び誘引用培地の生存ダニ数]×100
Figure 0007353845000002
表1に示すとおり、α-ピネン等のテルペン化合物はほとんどダニに対する忌避作用を示さなかったのに対し、β-フェランドレンは90%以上と高い忌避効果を示した。またβ-フェランドレンは殺ダニ効果を有することも示唆された。
製 剤 例 1
ゲル状ダニ忌避剤:
イソパラフィン85gに、β-フェランドレン3gを混合したものにオクチル酸アルミニウム5gを加え、60℃に加熱して攪拌した。これを縦35mm×横35mm×高さ75mmの容器に充填し、室温で3時間静置し、ゲル状のダニ忌避剤を得た。
製 剤 例 2
常温揮散性ダニ忌避剤:
β-フェランドレン0.2gを125mm×65mmのパルプ製ろ紙に含浸させたものを、通気性を有するプラスチックケースに収納して固型忌避剤を調製した。
製 剤 例 3
エアゾール剤:
以下の処方を、市販の200mlエアゾール缶に充填することによって、エアゾール剤を調製した。
有効成分:β-フェランドレン 0.5ml
溶媒 :エタノール 39.0ml
噴射剤 :LPG 30.0ml
噴射剤 :イソペンタン 30.0ml
製 剤 例 4
スプレー剤:
以下の処方を、市販の150mlトリガー製容器に収納してスプレー剤を調製した。
有効成分:β-フェランドレン 0.5g
プロフルトリン 0.01g
溶剤 :エタノール 10g
香料 0.05g
界面活性剤 0.1g
イオン交換水 89.74g
製 剤 例 5
燻蒸剤:
β-フェランドレン3g、アゾジカルボンアミド55g及びタルク35gを混練し、造粒、乾燥して燻蒸剤を調製した。
製 剤 例 6
加熱蒸散剤:
β-フェランドレン300mgを3cm×3cmのパルプ製マットに含浸させ加熱蒸散剤を得た。このものは、加熱ヒーターに接置させることにより有効成分を蒸散する。
製 剤 例 7
粒状忌避剤:
パルプ製の粒状含浸体(平均粒径5mm)50gに、β-フェランドレン15mLを含浸させ、通気性の不織布の袋に入れて粒状の忌避剤を得た。
製 剤 例 8
常温揮散性ダニ忌避剤:
β-フェランドレン0.15g及びエンペントリン0.01gを125mm×65mmのパルプ製ろ紙に含浸させたものを、通気性を有するプラスチックケースに収納して固形忌避剤を調製した。
使 用 例 1
製剤例2で得られた常温揮散性ダニ忌避剤2個を衣類とともにポリエチレン製の衣類収納袋(75cm×80cm×32cm)に入れてダニの忌避を行った。
使 用 例 2
製剤例8で得られた常温揮散性ダニ忌避剤2個を寝具とともにポリエチレン製の布団収納袋(150cm×100cm)に入れてダニの忌避を行った。
使 用 例 3
製剤例2で得られた常温揮散性ダニ忌避剤2個を衣類とともに75L(40cm×75cm×25cm)の衣装ケースに入れてダニの忌避を行った。
本発明の忌避剤の有効成分であるβ-フェランドレンは、ダニ目の害虫に対して優れた忌避効果を発揮するものであり、しかも人体に対して安全であり、安定性も高い。従って、本発明の忌避剤は、一般家庭においても手軽に使用でき、有用性の高いものである。
1 … … マイクロ波蒸留装置
2 … … 蒸留槽
3 … … マイクロ波加熱装置
4 … … 撹拌はね
5 … … 気流流入管
6 … … 蒸留物流出管
7 … … 冷却装置
8 … … 加熱制御装置
9 … … 減圧ポンプ
10 … … 圧力調整弁
11 … … 圧力制御装置
12 … … 蒸留対象物
13 … … 蒸留物
20 … … ガラスシャーレ
21 … … ダニ培地
22 … … 軟膏容器の蓋
23 … … 供試片
24 … … 誘引用培地

Claims (5)

  1. β-フェランドレンを有効成分として含有することを特徴とするダニ用忌避剤であって、ダニがコナヒョウヒダニ及び/又はヤケヒョウヒダニであるダニ用忌避剤。
  2. 請求項1記載の忌避剤を常温自然蒸散、加熱蒸散、送風蒸散、薫蒸又は噴霧により環境中に放出させてダニに作用させることを特徴とするダニの忌避方法であって、ダニがコナヒョウヒダニ及び/又はヤケヒョウヒダニであるダニの忌避方法。
  3. 請求項1記載の忌避剤をダニに接触させて作用させることを特徴とするダニの忌避方法であって、ダニがコナヒョウヒダニ及び/又はヤケヒョウヒダニであるダニの忌避方法。
  4. 請求項1記載の忌避剤を常温自然蒸散、加熱蒸散、送風蒸散、薫蒸又は噴霧により環境中に放出させてダニに作用させることを特徴とするダニの忌避方法であって、ダニがコナヒョウヒダニ及び/又はヤケヒョウヒダニであるダニの忌避方法。
  5. 請求項1記載の忌避剤をダニに接触させて作用させることを特徴とするダニの忌避方法であって、ダニがコナヒョウヒダニ及び/又はヤケヒョウヒダニであるダニの忌避方法。
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