JP2015155741A - サイレントチェーン - Google Patents

Abstract

【課題】ガイドプレートとスプロケット歯との衝突的な接触を回避し、摩擦損失および騒音の発生を防止するサイレントチェーンを提供すること。
【解決手段】ガイドプレート１２０が、スプロケット噛合側に形成された主ガイド部１２１と、チェーン長手方向の前端縁部または後端縁部の少なくとも一方に形成された追加ガイド部１２２とを有し、追加ガイド部１２２は、同一のガイド列１１０に配置されたミドルプレート１３０の外フランク部１３１よりもチェーン長手方向に向けて突出し、スプロケットＳとの噛み合い時に、チェーン幅方向においてスプロケット歯Ｓ１に重なる大きさで形成されているサイレントチェーン１００。
【選択図】図２

Description

本発明は、前後一対のピン孔を有した左右一対のガイドプレート、および、左右一対のガイドプレート間に配置され前後一対のピン孔を有したミドルプレートから成るガイド列と、前後一対のピン孔を有した複数のインナープレートから成る非ガイド列とを、連結ピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンに関する。

従来、前後一対のピン孔を有した左右一対のガイドプレート、および、左右一対のガイドプレート間に配置され前後一対のピン孔を有したミドルプレートから成るガイド列と、前後一対のピン孔を有した複数のインナープレートから成る非ガイド列とを、ピン孔に挿入された連結ピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンが知られている（例えば特許文献１参照。）。

従来のサイレントチェーンでは、ガイドプレートがチェーン長手方向の中央部に形成されたガイド部をスプロケット噛合側に有し、サイレントチェーンをスプロケットに巻き掛けた状態では、ガイドプレートのガイド部が、チェーン幅方向に見た時にスプロケット歯に重なり、チェーン幅方向におけるスプロケットに対するサイレントチェーンの位置や姿勢を規制する。

特開平１０−２３８５９７号公報

ところが、サイレントチェーンの走行時には、サイレントチェーンの走行状態が様々に変化し、例えば、スプロケットに対してサイレントチェーンがチェーン幅方向に横振れを生じることがあり、この横振れが生じた状態でスプロケットとサイレントチェーンとが噛み合いを開始すると、ガイドプレートの端面とスプロケット歯の歯先とが衝突的に接触し、摩擦損失および騒音が発生することがあるという問題があった。

本発明は、これらの問題点を解決するものであり、ガイドプレートとスプロケット歯との衝突的な接触を回避し、摩擦損失および騒音の発生を防止するサイレントチェーンを提供することを目的とするものである。

本発明は、前後一対のピン孔を有した左右一対のガイドプレート、および、前記左右一対のガイドプレート間に配置され前後一対のピン孔を有したミドルプレートから成るガイド列と、前後一対のピン孔を有した複数のインナープレートから成る非ガイド列とを、連結ピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンであって、前記ガイドプレートは、スプロケット噛合側に形成された主ガイド部と、チェーン長手方向の前端縁部または後端縁部の少なくとも一方に形成された追加ガイド部とを有し、前記追加ガイド部は、同一のガイド列に配置されたミドルプレートの外フランク部よりもチェーン長手方向に向けて突出し、スプロケットとの噛み合い時に、チェーン幅方向においてスプロケット歯に重なる大きさで形成されていることにより、前記課題を解決するものである。

本請求項１に係る発明によれば、ガイドプレートが、スプロケット噛合側に形成された主ガイド部に加えて、チェーン長手方向の前端縁部または後端縁部の少なくとも一方に形成され、同一のガイド列に配置されたミドルプレートの外フランク部よりもチェーン長手方向に向けて突出し、スプロケットとの噛み合い時に、チェーン幅方向においてスプロケット歯に重なる追加ガイド部を有することにより、主ガイド部および追加ガイド部の２箇所によってスプロケットに対するサイレントチェーンのチェーン幅方向の位置や姿勢を確実に矯正することが可能であるため、噛み合い開始時におけるガイドプレートとスプロケット歯との衝突的な接触を回避し、摩擦損失および騒音の発生を防止することができる。

本請求項２に係る発明によれば、追加ガイド部が少なくともチェーン長手方向の前端縁部に形成されていることにより、スプロケットとの噛み合い時に、より早いタイミングで追加ガイド部がスプロケット歯に被さり追加ガイド部による位置や姿勢の矯正効果を得ることができる。
本請求項３に係る発明によれば、追加ガイド部がチェーン幅方向の内側に向けて湾曲していることにより、左右の追加ガイド部間のチェーン幅方向の間隔を狭め、スプロケットとの噛み合い時におけるスプロケット歯と追加ガイド部との間の隙間を狭める、または、左右の追加ガイド部によってスプロケット歯を挟み込むことが可能であるため、追加ガイド部によるサイレントチェーンの位置や姿勢の矯正効果を向上することができる。
本請求項４に係る発明によれば、追加ガイド部が、チェーン幅方向に弾性変形可能に形成されていることにより、スプロケット歯と追加ガイド部との過度な接触を抑制し、ガイドプレートとスプロケット歯との間の摩擦損失を抑制できる。
本請求項５に係る発明によれば、追加ガイド部が、ガイドプレートの前端縁部および後端縁部の両方にそれぞれ形成されていることにより、主ガイド部および追加ガイド部によるサイレントチェーンの位置や姿勢の矯正効果を向上することができるばかりでなく、ガイドプレートの形状を前後対称とすることができる。
本請求項６に係る発明によれば、追加ガイド部が、ガイドプレートの前端縁部または後端縁部の一方に形成され、ガイドプレートが、ガイドプレートの前端縁部または後端縁部の他方に、受け凹部を有していることにより、追加ガイド部の大きさや形状等の設計自由度を向上しつつ、追加ガイド部が前側または後側のガイドプレートに干渉することを回避することができる。

第１実施形態のサイレントチェーンを示す平面図。 第１実施形態のサイレントチェーンがスプロケットに噛み合った状態を示す説明図。 図２の一部分を拡大して示す説明図。 第１実施形態の変形例であるサイレントチェーンを示す説明図。 第２実施形態のサイレントチェーンを示す説明図。 第２実施形態のサイレントチェーンがスプロケットに噛み合った状態を示す説明図。

以下に、本発明の第１実施形態に係るサイレントチェーン１００について、図１〜図３に基づいて説明する。

サイレントチェーン１００は、自動車エンジン用のタイミングシステムに組み込まれるタイミングチェーンとして構成され、複数のスプロケットＳに掛け回され、所定軌道上を走行するものである。サイレントチェーン１００とスプロケットＳとで、サイレントチェーン伝動装置を構成している。

サイレントチェーン１００は、図１に示すように、複数のガイド列１１０と複数の非ガイド列１４０とを、チェーン長手方向に半ピッチずらして交互に配置し、連結ピン１６０によって屈曲可能に連結したものである。

ガイド列１１０は、図１に示すように、チェーン幅方向の両外側に配置された左右一対のガイドプレート１２０と、左右一対のガイドプレート１２０の間に配置された複数のミドルプレート１３０とから構成されている。非ガイド列１４０は、チェーン幅方向に並列配置された複数のインナープレート１５０から構成されている。

ガイドプレート１２０とミドルプレート１３０とインナープレート１５０とは、チェーン長手方向に並べて形成された一対のピン孔をそれぞれ有している。複数のガイド列１１０と複数の非ガイド列１４０とは、ミドルプレート１３０およびインナープレート１５０のピン孔に連結ピン１６０を遊嵌状態で挿入するとともに、ガイドプレート１２０のピン孔に連結ピン１６０の両端側を固定することで、屈曲可能に連結される。ミドルプレート１３０とインナープレート１５０とは、スプロケットＳのスプロケット歯Ｓ１と噛み合うための一対のＶ字状リンク歯をスプロケット噛合側にそれぞれ有している。

ガイドプレート１２０は、図２に示すように、サイレントチェーン１００をスプロケットＳに巻き掛けた状態で、チェーン幅方向に見た時にスプロケット歯Ｓ１に重なるように位置して、スプロケットＳに対するサイレントチェーン１００のチェーン幅方向の位置や姿勢を規制する主ガイド部１２１および追加ガイド部１２２をそれぞれ有している。

主ガイド部１２１は、図２に示すように、ガイドプレート１２０のスプロケット噛合側におけるチェーン長手方向の中央部に形成されている。

追加ガイド部１２２は、図２に示すように、ガイドプレート１２０のスプロケット噛合側におけるチェーン長手方向（チェーン進行方向）の前端縁部および後端縁部の両方にそれぞれ形成されている。追加ガイド部１２２は、図２に示すように、同一のガイド列１１０に配置されたミドルプレート１３０の外フランク部（外股部）１３１よりもチェーン長手方向に向けて突出している。また、追加ガイド部１２２は、図２に示すように、半ピッチずれてガイドプレート１２０の前後に位置するインナープレート１５０の内フランク部（内股部）１５１よりもチェーン長手方向に向けて突出している。これら追加ガイド部１２２は、スプロケットＳに巻き掛けた状態でサイレントチェーン１００を最も屈曲させた状態でも、前側または後側に位置する追加ガイド部１２２に干渉しない。

なお、第１実施形態のサイレントチェーン１００では、上述したように、追加ガイド部１２２がガイドプレート１２０の前端縁部および後端縁部の両方にそれぞれ形成されているが、図４に示すように、追加ガイド部１２２を前端縁部のみに形成してもよい。また、追加ガイド部１２２を後端縁部のみに形成してもよい。

次に、本発明の第２実施形態に係るサイレントチェーン２００について、図５および図６に基づいて説明する。ここで、第２実施形態では、一部構成以外は、前述した第１実施形態と全く同じである。そのため、第１実施形態に関する明細書および図面に示す１００番台の符号を２００番台の符号に読み替えることによって、相違点以外の構成については、その説明を省略する。

第２実施形態のサイレントチェーン２００では、図５に示すように、ガイドプレート２２０のチェーン長手方向の前端縁部に、追加ガイド部２２２が形成されているとともに、ガイドプレート２２０のチェーン長手方向の後端縁部に、受け凹部２２３が形成されている。

追加ガイド部２２２は、図５に示すように、チェーン長手方向に向けて延びるように形成され、チェーン幅方向に弾性変形可能に形成されている。また、追加ガイド部２２２は、チェーン幅方向の内側に向けて湾曲して形成され、換言すると、追加ガイド部２２２の先端がガイドプレート２２０のプレート部分よりもチェーン長手方向の内側に位置するように、追加ガイド部２２２が湾曲している。

受け凹部２２３は、後側の追加ガイド部２２２との干渉を回避するために、ガイドプレート２２０の後端縁部に内側に向けて凹むように形成されている。

なお、上述した追加ガイド部２２２をガイドプレート２２０の後端縁部に形成するとともに、受け凹部２２３をガイドプレート２２０の前端縁部に形成してもよい。

上述した実施形態では、サイレントチェーンが自動車エンジン用のタイミングチェーンであるものとして説明したが、本発明のサイレントチェーンの用途はこれに限定されず、伝動用チェーンや搬送用チェーン等の如何なるものでもよい。
また、サイレントチェーンの各構成部品の材料については、金属や樹脂等の如何なるものでもよい。

１００、２００ ・・・ サイレントチェーン
１１０ ・・・ ガイド列
１２０、２２０ ・・・ ガイドプレート
１２１、２２１ ・・・ 主ガイド部
１２２、２２２ ・・・ 追加ガイド部
２２３ ・・・ 受け凹部
１３０ ・・・ ミドルプレート
１３１ ・・・ 外フランク部
１４０ ・・・ 非ガイド列
１５０、２５０ ・・・ インナープレート
１５１ ・・・ 内フランク部
１６０ ・・・ 連結ピン
Ｓ ・・・ スプロケット
Ｓ１ ・・・ スプロケット歯

Claims (6)

1. 前後一対のピン孔を有した左右一対のガイドプレート、および、前記左右一対のガイドプレート間に配置され前後一対のピン孔を有したミドルプレートから成るガイド列と、前後一対のピン孔を有した複数のインナープレートから成る非ガイド列とを、連結ピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンであって、
   前記ガイドプレートは、スプロケット噛合側に形成された主ガイド部と、チェーン長手方向の前端縁部または後端縁部の少なくとも一方に形成された追加ガイド部とを有し、
   前記追加ガイド部は、同一のガイド列に配置されたミドルプレートの外フランク部よりもチェーン長手方向に向けて突出し、スプロケットとの噛み合い時に、チェーン幅方向においてスプロケット歯に重なる大きさで形成されていることを特徴とするサイレントチェーン。
2. 前記追加ガイド部は、少なくともチェーン長手方向の前端縁部に形成されていることを特徴とする請求項１に記載のサイレントチェーン。
3. 前記追加ガイド部は、チェーン幅方向の内側に向けて湾曲していることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のサイレントチェーン。
4. 前記追加ガイド部は、チェーン幅方向に弾性変形可能に形成されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のサイレントチェーン。
5. 前記追加ガイド部は、前記ガイドプレートの前端縁部および後端縁部の両方にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載のサイレントチェーン。
6. 前記追加ガイド部は、前記ガイドプレートの前端縁部または後端縁部の一方に形成され、
   前記ガイドプレートは、前記ガイドプレートの前端縁部または後端縁部の他方に、受け凹部を有していることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載のサイレントチェーン。

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