JP2015150902A - シートベルト用リトラクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】巻取ドラムとともに回転する偏心部材を用いて、リトラクタの状態を制御する制御部材を巻取ドラムの回転に正確に連動して回転させる。
【解決手段】偏心部材81の回転に伴い、回転歯車82は、巻取ドラム10に対して減速して回転する。伝達機構85は、複数の伝達孔86と複数の伝達突起87を有し、回転歯車82の回転を制御部材70に伝達する。複数の伝達孔86は、180°以下の間隔で回転歯車82又は制御部材70の一方に形成される。複数の伝達突起87は、180°以下の間隔で回転歯車82又は制御部材70の他方に形成され、回転歯車82の回転時に、それぞれ伝達孔86内で移動する。伝達孔86の内周と伝達突起87の外周が接触して、回転歯車82の回転を制御部材70に伝達する。
【選択図】 図24

Description

本発明は、回転可能な巻取ドラムにシートベルトのウエビングを巻き取るシートベルト用リトラクタに関する。
自動車等の車両には、一般に、シートに座った乗員を保護するため、リトラクタを備えたシートベルト装置が搭載されている。乗員は、リトラクタの巻取ドラムから引き出したウエビング(シートベルト)を装着し、車両の緊急時(例えば、衝突時)に、ウエビングによりシートに拘束される。その際、リトラクタは、車両の加速度、又は、ウエビングの引き出しの加速度を検知して、ロック機構により、巻取ドラムの引出方向の回転を止める。これにより、ウエビングの引き出しが停止して、乗員がウエビングにより拘束される。このシートベルト用リトラクタに関して、従来、巻取ドラムに連動して回転する制御部材(カムリング)により、ロック機構(引出阻止機構)の状態を切り替えるリトラクタ(シートベルト装置)が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載された従来のリトラクタでは、巻取ドラムとともに回転する偏心部材(偏心ディスク)により、制御ホイールが、巻取ドラムの軸線に対して偏心した状態で転動しつつ、巻取ドラムに対して減速して回転する。制御ホイールは、矩形状の駆動孔を有し、制御部材は、駆動孔内に配置される駆動ピンを有する。制御ホイールの転動と回転に伴い、駆動ピンが駆動孔内で制御ホイールの半径方向に移動し、同時に、制御ホイールが駆動ピンを回転方向に移動させる。移動する駆動ピンにより、制御部材は、巻取ドラムに連動して、巻取ドラムの軸線を中心に回転する。回転する制御部材により、ロック機構が作動状態と待機状態とに切り替えられて、リトラクタの状態が切り替えられる。ロック機構が作動状態になると、リトラクタの状態は、ウエビングの巻き取りのみが可能な自動ロック状態(ALR)になり、ロック機構が待機状態になると、リトラクタの状態は、車両の緊急時にロック機構が作動する緊急ロック状態(ELR)になる。
このように、従来のリトラクタでは、制御ホイールにより回転する制御部材を用いて、ロック機構の状態を切り替えて、リトラクタの状態を制御する。ところが、制御ホイールと制御部材が互いに軸線をずらした状態で回転するため、制御ホイールと制御部材の回転中に、制御部材の駆動ピンは駆動孔内で制御ホイールの半径方向に移動する。これに対し、駆動ピンが制御ホイールの半径方向に移動できるように、駆動孔は矩形状に形成されている。しかしながら、駆動ピンは駆動孔内で制御ホイールの円周方向には移動できないため、制御ホイールの回転と転動により複雑に変位する駆動孔の位置に対応して、駆動ピンが制御ホイールの円周方向に変位する。その結果、制御部材の回転が巻取ドラムの回転に正確に連動せず、制御部材が不規則に回転する虞がある。また、制御部材によるリトラクタの状態の制御が安定せず、リトラクタの状態を正確に切り替えるのが難しい。
ここで、偏心部材を用いずに、制御部材(第1カムプレート)を巻取ドラム(スプール)の回転に連動して回転させて、制御部材によりリトラクタの状態を制御するリトラクタ(ウエビング巻取装置)も知られている(特許文献2参照)。
特許文献2に記載された従来のリトラクタでは、ピニオンが巻取ドラムとともに回転して、二段ギヤの大径ギヤがピニオンにより回転する。また、制御部材の内周ギヤが二段ギヤの小径ギヤにより回転して、制御部材が巻取ドラムに対して減速して回転する。回転する制御部材により、リトラクタの状態は、ロック機構が加速度検知機構により作動する緊急ロック状態と、加速度検知機構によるロック機構の作動を阻止する阻止状態とに切り替えられる。
この従来のリトラクタでは、加速度検知機構は、車両の加速度を検知してロック機構を作動するVセンサーと、ウエビングの引き出しの加速度を検知してロック機構を作動するWセンサーからなる。ウエビングの全量を巻取ドラムに巻き取ったときには、リトラクタの状態が阻止状態になり、ロック機構の作動が阻止される。ところが、この従来のリトラクタでは、複数のギヤのみからなる減速機構により、制御部材を巻取ドラムに対して減速して回転させており、偏心部材を用いたリトラクタに比べて、減速機構の構造が複雑になる。また、複数のギヤを正確に噛み合わせるため、各ギヤを精度よく形成する必要もある。加えて、複数のギヤを確実に噛み合わせるため、或いは、各ギヤの強度を確保するため、複数のギヤを薄くるのが困難であり、減速機構が厚くなる傾向がある。
特開2001−213275号公報 特開2004−90672号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、リトラクタの巻取ドラムとともに回転する偏心部材を用いて、リトラクタの状態を制御する制御部材を巻取ドラムの回転に正確に連動して回転させることである。
本発明は、ウエビングを巻き取る巻取ドラムと、巻取ドラムをウエビングの巻取方向と引出方向に回転可能に支持する支持体と、巻取ドラムの軸線を中心に巻取ドラムに対して相対的に回転する制御部材と、巻取ドラムの回転を減速して制御部材に伝達して制御部材を回転させる減速機構と、を備えたシートベルト用リトラクタである。また、減速機構は、巻取ドラムとともに回転する偏心部材と、巻取ドラムの軸線を中心に円形状に配置されて支持体に固定された複数の固定歯と、複数の固定歯の内側で偏心部材と複数の固定歯により巻取ドラムに対して減速して回転する回転歯車と、回転歯車の回転を制御部材に伝達する伝達機構と、を有する。回転歯車は、複数の固定歯よりも少ない数の外周歯を有し、巻取ドラムの軸線に対して偏心した状態で回転可能に偏心部材に支持されて、偏心部材の回転に伴い複数の固定歯に沿って移動しつつ各固定歯に順に噛み合って回転する。伝達機構は、回転歯車又は制御部材の一方の軸線を中心とする円周方向に180°以下の間隔で回転歯車又は制御部材の一方に形成された円形状の複数の伝達孔と、回転歯車又は制御部材の他方の軸線を中心とする円周方向に180°以下の間隔で回転歯車又は制御部材の他方に形成され、回転歯車の回転時に、それぞれ伝達孔内で移動する複数の伝達突起と、を有し、伝達孔の内周と伝達突起の外周が接触して、回転歯車の回転を制御部材に伝達する。
本発明によれば、リトラクタの巻取ドラムとともに回転する偏心部材を用いて、リトラクタの状態を制御する制御部材を巻取ドラムの回転に正確に連動して回転させることができる。
第1実施形態のシートベルト用リトラクタの斜視図である。 分解されたシートベルト用リトラクタの斜視図である。 分解されたシートベルト用リトラクタの斜視図である。 完全に分解されたシートベルト用リトラクタの斜視図である。 分解されたハウジングユニットの斜視図である。 可動パウルとラチェットギヤを模式的に示す側面図である。 分解された巻取ドラムユニットの斜視図である。 巻取ドラムユニットの断面図である。 図8のX1−X1線を矢印方向にみた巻取ドラムユニットの断面図である。 プリテンショナユニットの内部構造を示す断面図である。 図1の矢印W3方向からみたシートベルト用リトラクタの側面図である。 図11のX2−X2線を矢印方向にみたシートベルト用リトラクタの断面図である。 分解されたメカニズムカバーユニットと巻取バネユニットの斜視図である。 分解されたメカニズムカバーユニットと巻取バネユニットの斜視図である。 ロッキングギヤとロックアームの斜視図である。 メカニズムカバーユニットの断面図である。 クラッチの斜視図である。 ロック機構の動作を示す図である。 ロック機構の動作を示す図である。 噛合パウルの斜視図である。 噛合パウルの周辺を模式的に示す図である。 ロック機構の動作を示す図である。 偏心部材、回転歯車、及び、制御部材の斜視図である。 メカニズムカバーユニットの側面図である。 1組の伝達孔と伝達突起を示す図である。 回転歯車と伝達機構の関係について説明するための図である。 減速機構の動作を示す図である。 作動部材、配置部材、及び、付勢手段の斜視図である。 メカニズムカバーユニットの斜視図である。 メカニズムカバーユニットの側面図である。 図30のY1部の断面図である。 制御部材の回転に伴う切替機構の動作を示す図である。 制御部材の回転に伴う切替機構の動作を示す図である。 制御部材の回転に伴う切替機構の動作を示す図である。 伝達機構の変形例を示す図である。 伝達機構の変形例を示す図である。 伝達機構の変形例を示す図である。 伝達機構の変形例を示す図である。 伝達機構の変形例を示す図である。 伝達機構の比較例を示す図である。 伝達機構の比較例を示す図である。 伝達機構の比較例を示す図である。 伝達機構の比較例を示す図である。 第2実施形態のシートベルト用リトラクタに設けられた加速度センサーを示す図である。 加速度センサーのセンサーレバーを示す斜視図である。 メカニズムカバーユニットの側面図である。 メカニズムカバーユニットの側面図である。
本発明のシートベルト用リトラクタ(以下、リトラクタという)の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のリトラクタは、シートベルトのウエビングを巻き取るウエビング巻取装置であり、車両用のシートベルト装置に設けられる。リトラクタを備えたシートベルト装置は、車両に搭載され、シートに座った乗員をウエビング(シートベルト)により保護する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のリトラクタ1の斜視図である。図2、図3は、複数のユニットに分解されたリトラクタ1の斜視図であり、互いに異なる方向からみたリトラクタ1を示している。図2は、リトラクタ1を図1と同じ方向からみて示し、図3は、リトラクタ1を図1のW1方向からみて示している。図1〜図3では、帯状のウエビング2を点線で示している。
図示のように、リトラクタ1は、ハウジングユニット3と、巻取ドラム10を有する巻取ドラムユニット4と、プリテンショナユニット5と、メカニズムカバーユニット6と、巻取バネユニット7を備えている。ウエビング2の端部が巻取ドラム10に取り付けられて、ウエビング2が巻取ドラム10の外周に巻き取られる。巻取ドラム10は、アルミニウム合金等により形成されている。
巻取ドラム10がハウジングユニット3内に配置された状態で、プリテンショナユニット5とメカニズムカバーユニット6は、巻取ドラム10のドラム軸方向外側に配置されて、ハウジングユニット3の側面に固定される。ドラム軸方向は、巻取ドラム10の軸線U1の方向であり、ドラム軸方向外側は、巻取ドラム10を基準にしたドラム軸方向における外側である。プリテンショナユニット5とメカニズムカバーユニット6は、ハウジングユニット3の外側で、巻取ドラムユニット4のドラム軸方向の両端部を覆い、巻取ドラムユニット4を回転可能に支持する。巻取バネユニット7は、メカニズムカバーユニット6に固定されて、メカニズムカバーユニット6のドラム軸方向外側の端面を覆う。
リトラクタ1は、ハウジングユニット3、プリテンショナユニット5、及び、メカニズムカバーユニット6から構成される支持体1Aを備えている。支持体1Aは、車両に取り付けられて、巻取ドラム10をウエビング2の巻取方向Mと引出方向Pに回転可能に支持する。巻取方向Mは、ウエビング2の巻取時における巻取ドラム10の回転方向であり、引出方向Pは、ウエビング2の引出時における巻取ドラム10の回転方向である。
ウエビング2の巻き取りと引き出しに伴い、巻取ドラム10は、支持体1Aにより支持された状態で、軸線U1回りに巻取方向Mと引出方向Pに回転する。巻取ドラムユニット4は、スチール又は亜鉛合金により形成されたラチェットギヤ8を有し、通常時には、巻取ドラム10と一体に回転する。巻取バネユニット7は、巻取ドラム10(巻取ドラムユニット4)を巻取方向Mに付勢する付勢機構であり、かつ、ウエビング2を巻取ドラム10に巻き取る巻取手段である。巻取バネユニット7により、巻取ドラム10は、巻取方向Mに回転する。ウエビング2は、回転する巻取ドラム10に巻き取られてリトラクタ1内に収納される。その状態から、ウエビング2は、巻取ドラム10を引出方向Pに回転しながらリトラクタ1から引き出される。
メカニズムカバーユニット6は、巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ8に隣接し、ラチェットギヤ8とともに巻取ドラム10の回転を止めるロック機構9を構成する。ロック機構9は、引出方向Pに回転する巻取ドラム10をロックするロック手段である。ウエビング2の急激な引き出しと車両の速度の急激な変化に反応して、ロック機構9が作動する。ロック機構9により、巻取ドラム10の引出方向Pの回転が止められて、ウエビング2の引き出しが停止する。その際、ラチェットギヤ8の歯(ラチェット歯)8Aにより、ラチェットギヤ8の回転が止められて、巻取ドラムユニット4及び巻取ドラム10の回転が止められる。
プリテンショナユニット5は、車両の緊急時(例えば、衝突時)に、巻取ドラム10を巻取方向Mに回転する。これにより、ウエビング2が巻取ドラム10に巻き取られて、ウエビング2の弛みが除かれる。プリテンショナユニット5は、複数のネジ5Aによりハウジングユニット3に固定されるとともに、一対のストッパーピン5Bとプッシュナット5Cによりハウジングユニット3に固定される。
図4は、完全に分解されたリトラクタ1の斜視図であり、リトラクタ1を図1の反対側(W2方向)からみて示している。
図示のように、複数の部品を組み合わせることで、リトラクタ1の各ユニット3〜7が組み立てられる。また、複数のユニット3〜7を合体することで、リトラクタ1が製造される。以下、これらリトラクタ1の各部について、順に詳しく説明する。
図5は、分解されたハウジングユニット3の斜視図であり、ハウジングユニット3を図4と同じ方向からみて示している。
図示のように、ハウジングユニット3は、巻取ドラム10を収容するハウジング20と、プロテクタ3Aと、加速度センサー3Bと、加速度センサー3Bを覆うセンサーカバー3Cと、ラチェットギヤ8のラチェット歯8Aに係合する可動パウル9Aと、パウルリベット9Bと、リターンスプリング9Cを有する。ハウジング20と可動パウル9Aは、スチール等により形成され、プロテクタ3Aは、合成樹脂により形成されている。加速度センサー3Bは、車両の加速度を検知する第1の加速度検知機構(車両の加速度検知機構)1Bである。
ハウジング20は、車体に固定される背板部21と、背板部21の両側縁部から突出する一対の側壁部22、23(第1側壁部22、第2側壁部23)と、一対の側壁部22、23に固定された2つの固定板24と、背板部21に取り付けられたブラケット25からなる。ブラケット25は、スチール等により形成されている。プロテクタ3Aは、ウエビング2の通過孔3Dを有し、ブラケット25の取付孔25Aに取り付けられる。ウエビング2は、プロテクタ3Aの通過孔3Dに通され、巻き取り及び引き出し時に通過孔3Dを通過する。
ハウジング20は、第1側壁部22に形成された第1開口部26と、第1開口部26に繋がるパウル収容部26Aと、第2側壁部23に形成された第2開口部27を有する。巻取ドラム10がハウジング20内に収容されたときに、ラチェットギヤ8が第1開口部26に配置され、巻取ドラム10の一端部が第2開口部27に配置される。その状態で、メカニズムカバーユニット6が第1側壁部22に取り付けられ、プリテンショナユニット5が第2側壁部23に取り付けられる。
加速度センサー3Bは、車両の緊急時に、車両の加速度を検知してロック機構9を作動させる緊急ロック作動装置であり、センサーホルダー3Dと、慣性質量体3Eと、センサーレバー3Fを有する。センサーホルダー3Dとセンサーレバー3Fは、合成樹脂により形成されている。慣性質量体3Eは、金属製の球体からなり、センサーホルダー3Dの凹部に配置されて、センサーホルダー3Dとセンサーレバー3Fの間に移動可能に保持される。センサーレバー3Fは、慣性質量体3Eを上方から覆い、センサーホルダー3Dに上下方向に移動可能に取り付けられる。
加速度センサー3Bがセンサーカバー3C内に挿入されて、センサーホルダー3Dがセンサーカバー3Cに取り付けられる。センサーカバー3Cは、第1側壁部22の取付孔28に挿入されて、第1側壁部22に取り付けられる。その状態で、センサーレバー3Fのロック爪3Gは、上方に突出し、センサーカバー3C外に位置する。車両の緊急事態(例えば、衝突、急ブレーキ)により、車両の加速度が所定の加速度を超えたときに、慣性質量体3Eは、慣性力によりセンサーホルダー3Dの上で移動して、センサーレバー3Fを上方へ押す。加速度センサー3Bは、慣性質量体3Eの移動により、車両の加速度を検知する。センサーレバー3Fのロック爪3Gは、慣性質量体3Eにより押されて、上方に移動する。
可動パウル9Aは、ラチェット歯8Aに係合する係合爪9Dと、可動パウル9Aの一端部に形成された連動ピン9Eと、可動パウル9Aの他端部に形成された円筒状のボス9Fを有する。ボス9Fは、ハウジング20の内側から第1側壁部22の取付孔29Aに挿入され、パウルリベット9Bにより、第1側壁部22に回転可能に取り付けられる。リターンスプリング9Cは、ねじりコイルバネからなり、パウルリベット9Bの頭部を囲むように配置される。リターンスプリング9Cの一端部は、連動ピン9Eに取り付けられ、リターンスプリング9Cの他端部は、第1側壁部22の取付孔29Bに取り付けられる。リターンスプリング9Cにより、可動パウル9Aは、パウル収容部26Aに向かって付勢されて、パウル収容部26A内に収容される。連動ピン9Eは、可動パウル9Aからハウジング20の外側まで突出する。
ロック機構9は、連動ピン9Eに連結され、連動ピン9Eにより可動パウル9Aを移動させる。これにより、可動パウル9Aが、ボス9Fを中心に回転して、パウル収容部26Aの内外方向に移動する。回転移動により、可動パウル9Aは、ラチェットギヤ8(図3参照)から離れ、或いは、ラチェットギヤ8に接近する。また、可動パウル9Aは、係合爪9Dがラチェット歯8Aに係合しない非ロック位置(パウル収容部26A内の位置)と、係合爪9Dがラチェット歯8Aに係合するロック位置(パウル収容部26A外の位置)との間で移動する。可動パウル9Aがロック位置に移動することで、係合爪9Dがラチェットギヤ8のラチェット歯8Aに係合する。
図6は、可動パウル9Aとラチェットギヤ8を模式的に示す側面図である。また、図6は、ロック位置に移動した可動パウル9Aを実線で示し、非ロック位置に移動した可動パウル9Aを点線で示している。
図示のように、係合爪9Dとラチェット歯8Aの係合時には、可動パウル9Aがロック位置に向かって移動して、係合爪9Dがラチェット歯8Aに係合する。これにより、可動パウル9Aがラチェットギヤ8に係合する。可動パウル9Aにより、ラチェットギヤ8の引出方向Pの回転が止められて、ラチェットギヤ8と巻取ドラム10がロックされる。従って、可動パウル9Aは、ロック機構9の一部をなし、巻取ドラム10の引出方向Pの回転を止める。
可動パウル9Aとラチェットギヤ8は、巻取ドラム10が引出方向Pに回転するときのみ係合するようになっており、ラチェット歯8Aと係合爪9Dは、ラチェットギヤ8の引出方向Pの回転のみを止めるように傾けられている。係合爪9Dがラチェット歯8Aから外れたときに、可動パウル9Aとラチェットギヤ8の係合が解除される。可動パウル9Aは、リターンスプリング9Cにより、パウル収容部26A内の非ロック位置に向かって常に付勢されている。そのため、係合の解除に伴い、可動パウル9Aは、ラチェットギヤ8から離れて、非ロック位置に移動し、パウル収容部26A内に収容される。同時に、ラチェットギヤ8と巻取ドラム10のロックが解除されて、ウエビング2の引き出しと巻き取りが可能になる。
図7は、分解された巻取ドラムユニット4の斜視図であり、図4の一部を示している。図8は、巻取ドラムユニット4の断面図であり、軸線U1を含む面で切断した巻取ドラムユニット4を示している。
図示のように、巻取ドラムユニット4は、円盤状のラチェットギヤ8と、ウエビング2の巻取方向Mと引出方向Pに回転可能な巻取ドラム10と、円柱状のトーションバー11と、ワイヤ12を有する。ラチェットギヤ8は、外周全体に形成された複数のラチェット歯8Aと、巻取ドラム10側に形成された環状凹部8Bと、中央部から突出する軸部(ラチェット軸部)8Cを有する。
巻取ドラム10は、一端部に形成された内歯車10Aと、軸線U1に沿って形成された軸孔部10Bと、円筒状のボス10Cと、他端部に形成された環状部10Dと、環状部10Dに形成された固定部10Eを有する。内歯車10Aの複数の歯10Fは、内歯車10Aの内周全体に形成されて、内歯車10Aの内側に突出する。軸孔部10Bは、巻取ドラム10の一端部で閉じ、巻取ドラム10の他端部に開口する。ボス10Cは、巻取ドラム10の一端部の中央に形成されている。ラチェット軸部8Cとボス10Cは、巻取ドラム10の軸線U1に位置し、巻取ドラムユニット4は、ラチェット軸部8Cとボス10Cにより回転可能に支持される。環状部10Dは、巻取ドラム10の他の部分よりも細い小径部である。ワイヤ12の一端部12Aは、環状部10Dの固定部10Eに嵌め込まれて、固定部10Eに固定される。その状態で、ワイヤ12は、環状部10Dの周囲に配置される。
トーションバー11は、巻取ドラム10の軸孔部10Bに挿入されて、軸孔部10B内に配置される。また、トーションバー11は、例えばスチールからなり、スプライン11A、11Bを有する。一方のスプライン11Aは、トーションバー11の一端部に形成されて、軸孔部10B内で巻取ドラム10の一端部に固定される。他方のスプライン11Bは、トーションバー11の他端部に形成されて、ラチェットギヤ8の中央部に固定される。ラチェットギヤ8は、トーションバー11に固定されて、巻取ドラム10に装着される。巻取ドラム10の環状部10Dは、ラチェットギヤ8の環状凹部8Bに収容される。ワイヤ12は、線材(例えば、スチール製の線材)であり、環状部10Dとともに環状凹部8Bに収容されて、ラチェットギヤ8内に配置される。
図9は、図8のX1−X1線を矢印方向にみた巻取ドラムユニット4の断面図である。
図示のように、ワイヤ12の一端部12Aが固定部10Eに固定され、ワイヤ12が屈曲路8Dと摺動路8Eに配置される。屈曲路8Dはラチェットギヤ8に形成され、摺動路8Eはラチェットギヤ8と環状部10Dの間に形成されている。
ロック機構9(可動パウル9A)によりラチェットギヤ8(図7、図8参照)の回転が止められた状態で、乗員が車両の前方に移動すると、ウエビング2に大きな力(引出力)が作用する。この引出力が所定値を超えてウエビング2が引き出されたときに、巻取ドラム10に引出方向Pの回転トルクが作用し、巻取ドラム10が引出方向Pに回転する。これにより、トーションバー11のスプライン11Aが回転して、トーションバー11が捻じれ変形する。トーションバー11は、第1のエネルギー吸収機構であり、捻じれ変形により、衝撃エネルギーを吸収する。同時に、巻取ドラム10がラチェットギヤ8に対して引出方向Pに回転して、ワイヤ12が屈曲路8Dと円弧状の摺動路8E内で摺動する(図9参照)。これに伴い、ワイヤ12は、屈曲路8Dでしごかれて順に屈曲し、巻取ドラム10の環状部10Dに巻き取られる。ワイヤ12は、第2のエネルギー吸収機構であり、摺動抵抗と屈曲抵抗により、衝撃エネルギーを吸収する。
図10は、プリテンショナユニット5の内部構造を示す断面図である。
図10及び図4に示すように、プリテンショナユニット5は、ガス発生部5Dと、パイプシリンダ5Eと、ピストン5Fと、ピニオンギヤ5Gと、クラッチ機構5Hを有する。パイプシリンダ5E、ピストン5F、及び、ピニオンギヤ5Gは、スチール等により形成されている。ガス発生部5Dは、車両の制御部から受信した作動信号に応じて、パイプシリンダ5Eの一端部内でガスを発生する。パイプシリンダ5Eは、ベースプレート5I、カバープレート5J、及び、ベースブロック5Kの間に配置されて、ハウジング20の第2側壁部23に固定される。ピストン5Fは、ゴム等により形成されたシールプレート5Lを有し、ガス発生部5Dから供給されるガスにより、パイプシリンダ5E内で移動する。ピニオンギヤ5Gは、パイプシリンダ5Eの開口部5Mに配置され、ベースプレート5Iの支持孔5N内で回転する。ピストン5Fの移動時に、ピニオンギヤ5Gは、ピストン5Fのラック5Pと噛み合い、巻取方向Mに回転する。
クラッチ機構5Hは、支持孔5Nを貫通したピニオンギヤ5Gの外周に取り付けられる。また、クラッチ機構5Hは、パウルガイド5Qと、複数のクラッチパウル5Rと、ピニオンギヤ5Gに固定されたパウルベース5Sと、環状のベアリング5Tを有する。クラッチパウル5Rとパウルベース5Sは、スチール等により形成され、パウルガイド5Qとベアリング5Tは、合成樹脂により形成されている。ベアリング5Tがパウルガイド5Qに固定されて、クラッチパウル5Rとパウルベース5Sがベアリング5Tとパウルガイド5Qの間に挟まれる。パウルベース5Sがピニオンギヤ5Gとともに回転したときに、パウルベース5Sは、パウルガイド5Qに対して相対的に回転して、複数のクラッチパウル5Rを押す。これに伴い、複数のクラッチパウル5Rは、パウルガイド5Qにガイドされてクラッチ機構5Hから突出し、ピニオンギヤ5Gとともに回転する。
巻取ドラム10のボス10Cは、ベアリング5Tの内周に挿入され、ベアリング5Tにより回転可能に支持される(図8参照)。巻取ドラム10の内歯車10Aは、クラッチ機構5Hの外側に配置される。通常時には、巻取ドラム10は、ピニオンギヤ5Gに対して自由に回転する。これに対し、車両の緊急時には、プリテンショナユニット5が作動して、ピニオンギヤ5Gが巻取方向Mに回転し、クラッチパウル5Rがクラッチ機構5Hから突出する。続いて、クラッチパウル5Rが内歯車10A(歯10F)に係合し、ピニオンギヤ5Gの回転が巻取ドラム10に伝達される。巻取ドラム10は、巻取方向Mに回転して、ウエビング2を巻き取る。これにより、ウエビング2の弛みが除かれて、乗員が座席にしっかりと拘束される。プリテンショナユニット5の作動後に、ロック機構9により、巻取ドラム10の引出方向Pの回転が止められて、第1と第2のエネルギー吸収機構により、衝撃エネルギーが吸収される。
図11は、図1の矢印W3方向からみたリトラクタ1の側面図である。図12は、図11のX2−X2線を矢印方向にみたリトラクタ1の断面図である。
図示のように、メカニズムカバーユニット6は、巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ8に連結されて、ラチェット軸部8Cを回転可能に支持する。巻取バネユニット7は、メカニズムカバーユニット6により、ラチェットギヤ8に連結される。
図13、図14は、分解されたメカニズムカバーユニット6と巻取バネユニット7の斜視図であり、巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ8も示している。図13は、メカニズムカバーユニット6と巻取バネユニット7を図4と同じ方向からみて示し、図14は、メカニズムカバーユニット6と巻取バネユニット7を図13の反対側からみて示している。
図示のように、ラチェットギヤ8は、メカニズムカバーユニット6のロッキングギヤ30に連結される。ロッキングギヤ30は、合成樹脂により形成され、ラチェット軸部8Cが挿入される軸孔31と、4つの嵌合突起31Aと、中央部から突出する軸部(ギヤ軸部)32を有する。4つの嵌合突起31Aは、ラチェットギヤ8に形成された4つの嵌合凹部8Fに嵌合する。ロッキングギヤ30は、ラチェットギヤ8に取り付けられて、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)と一体に回転する。ギヤ軸部32は、メカニズムカバーユニット6を貫通して、巻取バネユニット7に取り付けられる。
巻取バネユニット7(付勢機構)は、渦巻バネ7Aと、バネケース7Bと、メカニズムカバーユニット6に接するバネシート7Cと、バネシャフト7Dを有する。バネケース7B、バネシート7C、及び、バネシャフト7Dは、合成樹脂により形成されている。渦巻バネ7Aの外端K1は、バネケース7Bに固定され、渦巻バネ7Aの内端K2は、バネシャフト7Dに固定される。バネケース7Bは、渦巻バネ7Aとバネシャフト7Dを収容する。バネシート7Cは、バネケース7Bに取り付けられるシート部材であり、かつ、バネケース7B内の渦巻バネ7Aとバネシャフト7Dを覆うカバー部である。バネシャフト7Dは、バネケース7Bに回転可能に取り付けられる。ギヤ軸部32は、支持孔7Eに挿入されてバネシート7Cにより回転可能に支持され、バネシャフト7Dに固定される。バネシャフト7Dは、ロッキングギヤ30とラチェットギヤ8を介して、巻取ドラムユニット4に連結される。
バネシャフト7Dは、巻取ドラムユニット4の巻取ドラム10と一体に回転し、かつ、渦巻バネ7Aの付勢力を巻取ドラム10に伝達する。巻取バネユニット7は、渦巻バネ7Aにより、巻取ドラム10をウエビング2の巻取方向Mに常に付勢する。また、ウエビング2の引出時には、巻取ドラム10の回転により渦巻バネ7Aが巻かれる。ウエビング2の巻取時には、渦巻バネ7Aの付勢により、巻取ドラム10が巻取方向Mに回転して、ウエビング2が巻取ドラム10に巻き取られる。
メカニズムカバーユニット6は、メカニズムカバー6Aと、円形状のロッキングギヤ30と、ロックアーム40と、センサースプリング45と、クラッチ50と、噛合パウル13と、ロック機構9の状態を切り替える切替機構60を有する。メカニズムカバー6A、ロックアーム40、クラッチ50、及び、噛合パウル13は、合成樹脂により形成されている。また、メカニズムカバー6Aは、ロック機構9を収容する収容部材であり、ロック機構9は、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向内側(巻取ドラム10が位置する側)に配置される。メカニズムカバー6Aは、巻取ドラム10とロック機構9のドラム軸方向外側に配置されて、巻取ドラム10が位置するドラム軸方向内側にロック機構9を収容する。
メカニズムカバー6Aは、ロック機構9を収容する第1収容部6Bと、加速度センサー3Bを収容する第2収容部6Cと、巻取ドラム10の軸部を支持する支持部(ドラム支持部)6Dと、ドラム支持部6Dを貫通する挿入孔6Eを有する。第1収容部6Bは、ロック機構9の一部であるロッキングギヤ30、ロックアーム40、及び、クラッチ50を収容する。加速度センサー3Bは、第2収容部6Cに挿入されて、第2収容部6Cに取り付けられる。その状態で、センサーレバー3Fのロック爪3Gは、第2収容部6Cの開口6Fに配置され、開口6Fを通って第1収容部6B内に移動する。
巻取ドラム10の軸部は、巻取ドラム10の回転時に、巻取ドラム10の回転運動の中心となる部分であり、巻取ドラム10とともに回転する。ここでは、ロッキングギヤ30のギヤ軸部32が、巻取ドラム10の軸部であり、ドラム支持部6Dに形成された挿入孔6Eに挿入されて、メカニズムカバー6Aを貫通する。ドラム支持部6Dは、挿入孔6Eに挿入されたギヤ軸部32を回転可能に支持する。ギヤ軸部32は、ドラム支持部6Dにより支持されて回転する。
ロックアーム40は、ロッキングギヤ30に変位可能に連結され、変位によりロック機構9を作動する。これに伴い、ロック機構9の一部であるロッキングギヤ30、ロックアーム40、及び、クラッチ50により、可動パウル9Aが、非ロック位置からロック位置に移動する。可動パウル9Aは、巻取ドラム10をロックして、巻取ドラム10の引出方向Pの回転を止める。
図15は、ロッキングギヤ30とロックアーム40の斜視図であり、図13の一部を示している。図16は、メカニズムカバーユニット6の断面図であり、組み立てられたメカニズムカバーユニット6の一部を示している。
図示のように、ロッキングギヤ30は、複数の歯33を有するラチェットホイール34と、円柱状のアーム支持部35と、センサースプリング45を支持する支持ピン36を備えている。ラチェットホイール34は、ロッキングギヤ30の外周に形成された環状部材からなり、巻取ドラム10とともに回転可能になっている。複数の歯33は、ラチェットホイール34の引出方向Pの回転のみを止めるように傾けられており、ラチェットホイール34の外周全体に形成されている。
ロックアーム40は、長手方向の一端部(係合端部)41と他端部(自由端部)42の間に形成された貫通孔43を有し、湾曲形状に形成されている。アーム支持部35を貫通孔43に挿入することで、ロックアーム40が、アーム支持部35に取り付けられる。アーム支持部35は、ロックアーム40を回転可能に支持し、ロックアーム40は、アーム支持部35によりロッキングギヤ30に回転可能に連結される。ロックアーム40は、ラチェットホイール34の内側に配置され、アーム支持部35を中心に回転する。センサースプリング45は、ロックアーム40と支持ピン36の間に配置されて、ロックアーム40の他端部42を引出方向Pに付勢する。この付勢により、ロックアーム40の他端部42は、ロッキングギヤ30のストッパー37に接触する。
ロックアーム40は、巻取ドラム10及びロッキングギヤ30とともに引出方向Pと巻取方向Mに回転する。通常時には、センサースプリング45の付勢により、ロックアーム40の他端部42は、ロッキングギヤ30のストッパー37に接触する状態に維持される。これに対し、車両の緊急時には、ロックアーム40の他端部42がストッパー37から離れて、ロックアーム40が変位する。
具体的には、ウエビング2の引き出しの加速度が所定の加速度を超えたときに(即ち、引出方向Pに回転する巻取ドラム10の引出方向Pの加速度(回転の加速度)が所定の加速度を超えたときに)、回転するロッキングギヤ30に対して、慣性による遅れがロックアーム40に生じる。その結果、ロックアーム40がセンサースプリング45を圧縮しつつ回転して、ロックアーム40の一端部41がロッキングギヤ30の半径方向外側に変位する。これに伴い、後述するように、リトラクタ1のロック機構9が作動する。なお、各部材(又は、各部材の一部)の半径方向とは、各部材の軸線を中心として、軸線に直交する直線の方向である。
このように、ロックアーム40とセンサースプリング45は、巻取ドラム10から引き出されるウエビング2の引き出しの加速度(巻取ドラム10の引出方向Pの加速度)を検知する第2の加速度検知機構(ウエビング2の加速度検知機構)1Cの一部を構成する。この第2の加速度検知機構1Cは、車両の緊急時に、ウエビング2の引き出しの加速度を検知して、ロック機構9を作動させる。また、ロックアーム40は、巻取ドラム10の引出方向Pの加速度に応じてロック作動方向L(図16参照)に変位可能な変位部材であり、加速度に反応して所定のロック作動方向Lに変位する。ロック作動方向Lは、ロック機構9を作動するための方向であり、ここでは、ロックアーム40の一端部41がロッキングギヤ30の半径方向外側に変位する方向である。ロック機構9は、ロック作動方向Lに変位したロックアーム40により作動する。
なお、ロックアーム40がロック作動方向Lに変位する際には、ロックアーム40が変位してもよく、ロックアーム40が巻取ドラム10及びロッキングギヤ30に対して相対的に変位してもよい。或いは、ロックアーム40が、変位しつつ巻取ドラム10及びロッキングギヤ30に対して相対的に変位してもよい。従って、ロックアーム40の変位には、このような各態様での変位を含む。
ロックアーム40は、ロック作動方向Lに変位可能にロッキングギヤ30に連結されてロッキングギヤ30とともに回転する。また、アーム支持部35は、変位部材用支持部であり、回転によりロックアーム40をロック作動方向Lへ変位させる。ロックアーム40は、ロック作動方向Lとロック作動方向Lの反対方向に回転することで、両方向に変位する。センサースプリング45の付勢により、ロックアーム40がロック作動方向Lの反対方向に変位(回転)し、ロックアーム40の一端部41がロッキングギヤ30の半径方向内側に変位する。
ロック機構9は、ロックアーム40のロック作動方向Lへの変位により作動し、巻取ドラム10の引出方向Pの回転を止める。その際(図13、図14参照)、クラッチ50が、ロックアーム40によりロッキングギヤ30に連結されて、ロッキングギヤ30とともに回転する。回転するクラッチ50により、可動パウル9Aが、非ロック位置からロック位置に移動する。クラッチ50は、環状の内壁51と、内壁51の内周に形成されたクラッチギヤ52と、内壁51を囲む環状の外壁53と、内壁51の中心に位置する中心孔54を有する。ロッキングギヤ30のギヤ軸部32が中心孔54に挿入されて、ロッキングギヤ30及び巻取ドラムユニット4がクラッチ50に対して相対的に回転する。ロッキングギヤ30のラチェットホイール34は、内壁51と外壁53の間に配置される(図16参照)。ロックアーム40は、内壁51の内側に配置され、ロックアーム40の一端部41は、クラッチギヤ52に係合する。
図17は、クラッチ50の斜視図であり、2つの方向からみたクラッチ50を示している。図17Aは、ロッキングギヤ30側からみたクラッチ50を示し、図17Bは、図17Aの反対側からみたクラッチ50を示している。
図示のように、クラッチギヤ52は、内壁51の内周全体に形成された複数の係合歯からなり、ロック作動方向Lに変位したロックアーム40の一端部41と係合する。ロッキングギヤ30が引出方向Pに回転するときのみ、ロックアーム40の一端部41が、クラッチギヤ52に引っ掛かるようにして係合する。クラッチギヤ52とロックアーム40の係合により、クラッチ50がロッキングギヤ30に連結される。その状態で、ロッキングギヤ30及びロックアーム40が引出方向Pに回転し、クラッチ50がロックアーム40により押されて引出方向Pに回転する。
クラッチ50は、外壁53の一部に形成された弾性変形部55と、弾性変形部55に形成された可動突起56と、外壁53の外側に形成された誘導部57と、誘導部57に形成された細長い誘導孔58を有する。可動突起56は、クラッチ50の半径方向外側に突出し、弾性変形部55の弾性変形により、クラッチ50の半径方向内側に動く。可動パウル9Aの連動ピン9E(図5、図16参照)は、誘導孔58に挿入されて、誘導孔58内で移動しつつ誘導部57により誘導される。可動パウル9Aは、リターンスプリング9Cにより非ロック位置に向かって付勢されており、通常時には非ロック位置に維持される。その際、連動ピン9Eは、誘導孔58の一端部58A(図16参照)に位置する。連動ピン9Eにより、誘導部57が押さえられて、クラッチ50の位置が維持される。また、クラッチ50は、連動ピン9Eにより巻取方向Mに付勢される。
ウエビング2の通常の引出時には、停止したクラッチ50に対して、巻取ドラム10とロッキングギヤ30が引出方向Pに回転する。その際、ロックアーム40の一端部41は、クラッチギヤ52から離れた位置に配置され、ロックアーム40は、クラッチギヤ52に係合しない状態に維持される。これに対し、ウエビング2の急激な引き出しにより、巻取ドラム10の引出方向Pの加速度が所定の加速度を超えたときに、ロックアーム40が、巻取ドラム10の引出方向Pの加速度に応じてロック作動方向Lに変位する。ロックアーム40が回転によりロック作動方向Lに変位する際には、ロックアーム40の一端部41がクラッチギヤ52に向かって変位する。続いて、ロック機構9が作動して、巻取ドラム10がロックされる。
図18、図19は、ロック機構9の動作を示す図であり、メカニズムカバーユニット6の内部構造を示している。また、図18、図19は、クラッチ50の一部を削除して、クラッチ50に隠れる部分を示している。
図示のように、ロック機構9は、ロックアーム40の変位により作動する。具体的には、ロックアーム40のロック作動方向Lの変位に伴い(図18A参照)、ロックアーム40の一端部41が、クラッチギヤ52に接近して、クラッチギヤ52に係合する。クラッチギヤ52は、ロック作動方向Lに変位したロックアーム40と係合して、ロックアーム40を停止する。
クラッチギヤ52とロックアーム40により、クラッチ50は、ロッキングギヤ30に連結されて、ロッキングギヤ30及び巻取ドラム10とともに引出方向Pに回転する。これに伴い、可動パウル9Aの連動ピン9Eが、誘導部57により押されて誘導孔58内を移動する。連動ピン9Eは、誘導部57により誘導されて、誘導孔58に沿ってクラッチ50の中心側に移動する。この連動ピン9Eの移動により、可動パウル9Aがロック位置に移動して、可動パウル9Aの係合爪9Dがラチェットギヤ8のラチェット歯8Aに係合する(図18B参照)。
ロック機構9は、可動パウル9Aにより巻取ドラム10をロックする。ロック機構9により、巻取ドラム10の引出方向Pの回転が止められて、ウエビング2の引き出しが停止する。クラッチ50の回転中に、クラッチ50の可動突起56は、メカニズムカバー6Aの固定突起6Gに接触して、クラッチ50の半径方向内側に動く。固定突起6Gは、第1収容部6Bの内壁に形成されて、第1収容部6B内に突出する。ロック機構9の作動が完了するときに、可動突起56は、固定突起6Gを超えた位置で停止する。
ウエビング2の巻き取りにより、巻取ドラム10がウエビング2の負荷から解放されると、巻取ドラム10とロッキングギヤ30が巻取方向Mに回転する。その際、可動突起56が固定突起6Gに引っ掛かるため、クラッチ50のクラッチギヤ52に対して、ロッキングギヤ30とロックアーム40が相対的に回転する。これに伴い、ロックアーム40の一端部41とクラッチギヤ52の間に隙間が生じて、ロックアーム40がクラッチギヤ52から解放される。ロックアーム40がクラッチギヤ52から外れることで、ロックアーム40とクラッチギヤ52の係合が解除される。また、ロックアーム40がロック作動方向Lの反対方向に変位し、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される(図19A参照)。ラチェットギヤ8の巻取方向Mへの回転に伴い、可動パウル9Aの係合爪9Dは、ラチェットギヤ8のラチェット歯8Aから解放される。
その後、リターンスプリング9Cの付勢により、可動パウル9Aが非ロック位置に向かって移動して、可動パウル9Aの連動ピン9Eが誘導孔58内を移動する。同時に、連動ピン9Eにより、誘導部57が押されて、クラッチ50が巻取方向Mに回転する。クラッチ50の可動突起56は、メカニズムカバー6Aの固定突起6Gにより、クラッチ50の半径方向内側に動いて、固定突起6Gを超える。続いて、可動パウル9Aは、クラッチ50を回転しつつ非ロック位置に復帰する(図19B参照)。これにより、連動ピン9Eが誘導孔58の一端部58Aまで移動して、クラッチ50が元の状態に復帰する。また、係合爪9Dとラチェット歯8Aとの係合が解除されて、ロック機構9による巻取ドラム10のロックが解除される。以降、ウエビング2の引き出しと巻き取りが可能になる。
このように、ロック機構9は、上記した第2の加速度検知機構1Cにより作動するウエビング感応式ロック機構であり、ウエビング2の急激な引き出しに反応してウエビング2の引き出しを停止する。また、ロック機構9は、加速度センサー3B(第1の加速度検知機構1B)により作動する車体感応式ロック機構であり、車両の速度の急激な変化に反応してウエビング2の引き出しを停止する。ロック機構9、噛合パウル13、及び、加速度センサー3Bが、車体感応式ロック機構を構成する。加速度センサー3Bが噛合パウル13によりロック機構9を作動させて、ロック機構9が上記と同様に巻取ドラム10をロックする。噛合パウル13(図13、図14参照)は、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う噛合部材であり、歯33への噛み合いにより、クラッチ50をロッキングギヤ30に連結する。
図20は、噛合パウル13の斜視図である。
図示のように、噛合パウル13は、円筒状の取付部14と、取付部14から突出する板状の受け部15と、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う噛合爪16を有する。噛合パウル13が取付部14を中心に回転して、噛合パウル13(噛合爪16)が移動する。なお、噛合パウル13がラチェットホイール34の歯33に噛み合うというときには、噛合爪16が歯33に噛み合う。
クラッチ50(図16、図17参照)は、外壁53に形成されたフランジ53Aと、フランジ53Aに形成された円柱状のパウル支持部59と、フランジ53Aに形成されたストッパー53Bを有する。パウル支持部59が取付部14に挿入されて、噛合パウル13がパウル支持部59に取り付けられる。パウル支持部59は、噛合パウル13を回転可能に支持し、噛合パウル13は、パウル支持部59によりクラッチ50に回転可能に取り付けられる。噛合パウル13が自重により回転するときには、噛合パウル13がストッパー53Bに接触して、噛合パウル13の回転が止められる。その状態で、噛合爪16は、外壁53の開口53Cに配置される。また、加速度センサー3Bにより、噛合爪16は、開口53Cを通って外壁53の内側に移動する。
図21は、噛合パウル13の周辺を模式的に示す図であり、加速度センサー3Bの一部も示している。
図示のように、噛合パウル13は、ラチェットホイール34の歯33に噛み合わない位置(非噛合位置C1)(図21A参照)と、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う位置(噛合位置C2)(図21B参照)とに移動(回転)する。通常時には、噛合パウル13は、非噛合位置C1に配置され、センサーレバー3Fのロック爪3Gは、噛合パウル13の近傍に位置する。
車両の加速度が所定の加速度を超えたときには、慣性質量体3Eが移動して、慣性質量体3Eにより、センサーレバー3Fとロック爪3Gが上方へ移動する。ロック爪3Gにより、噛合パウル13(受け部15)が上方に押されて、噛合爪16がラチェットホイール34に接近する。噛合パウル13は、非噛合位置C1から噛合位置C2に移動して、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う。噛合パウル13とラチェットホイール34の歯33は、ラチェットホイール34が引出方向Pに回転するときのみ噛み合うように形成されている。ラチェットホイール34が巻取方向Mに回転するときには、噛合パウル13(噛合爪16)は、歯33の外面を相対的に摺動し、歯33の先端において歯33を乗り越える。
噛合パウル13は、ロック機構9の一部を構成しており、ロック機構9は、噛合パウル13の噛合位置C2への移動により作動する。噛合パウル13がラチェットホイール34の歯33に噛み合ったときに、噛合パウル13とラチェットホイール34により、クラッチ50がロッキングギヤ30に連結される。続いて、ウエビング2が引き出されると、噛合パウル13が歯33に噛み合う状態で、クラッチ50が、ロッキングギヤ30及び巻取ドラム10とともに引出方向Pに回転する。これに伴い、ロックアーム40の変位によりロック機構9が作動するときと同様に(図18、図19参照)、ロック機構9が作動する。ロック機構9は、クラッチ50の回転により、上記と同様に動作する。
図22は、ロック機構9の動作を示す図であり、メカニズムカバーユニット6の内部構造を示している。また、図22は、クラッチ50の一部を削除して、クラッチ50に隠れる部分を示している。
図示のように、可動パウル9Aがクラッチ50の回転によりロック位置に移動して、ロック機構9が可動パウル9Aにより巻取ドラム10をロックする(図22A参照)。ロック機構9により、巻取ドラム10の引出方向Pの回転が止められて、ウエビング2の引き出しが停止する。クラッチ50の可動突起56は、固定突起6Gを超えた位置で停止する。車両の加速度が所定の加速度以下になったときに、慣性質量体3Eが重力により元の位置に移動し、センサーレバー3Fとロック爪3Gが下方へ移動する(図22B参照)。
ウエビング2の巻き取りにより、巻取ドラム10がウエビング2の負荷から解放されると、巻取ドラム10とロッキングギヤ30が巻取方向Mに回転する。その際、可動突起56が固定突起6Gに引っ掛かるため、クラッチ50に対して、ロッキングギヤ30とラチェットホイール34が相対的に回転する。これに伴い、噛合爪16と歯33の間に隙間が生じて、噛合パウル13がラチェットホイール34から解放される。噛合パウル13は、歯33から外れて、自重により非噛合位置C1に移動する。また、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。その後、可動パウル9Aが非ロック位置に復帰し、クラッチ50が元の状態に復帰する(図19B参照)。これにより、ロック機構9による巻取ドラム10のロックが解除される。
次に、メカニズムカバーユニット6の切替機構60について説明する(図13、図14参照)。切替機構60は、ロック機構9の状態を切り替えて、リトラクタ1の状態を切り替える切替手段である。切替機構60により、ロック機構9は、作動状態と待機状態とに切り替えられる。作動状態は、ロック機構9が作動する状態であり、作動状態のロック機構9は、巻取ドラム10をロックして、巻取ドラム10の引出方向Pの回転を止める。この作動状態では、ロック機構9は、巻取ドラム10の引出方向Pの回転のみを止めて、巻取ドラム10の巻取方向Mの回転を許容する。待機状態は、ロック機構9が作動まで待機する状態であり、待機状態のロック機構9は、車両の緊急時に作動する。待機状態では、切替機構60がロック機構9を作動することはなく、ロック機構9は、巻取ドラム10の引出方向Pと巻取方向Mの回転を許容する。この待機状態中に、ロック機構9は、切替機構60から独立して作動可能であり、車両の緊急時に、ウエビング感応式ロック機構と車体感応式ロック機構として作動する。
リトラクタ1の状態を切り替える際に、切替機構60は、ロック機構9の作動を制御して、ロック機構9の状態を切り替える。切替機構60により、リトラクタ1の状態は、使用目的に対応して、自動ロック状態(ALR)と緊急ロック状態(ELR)とに切り替えられる。自動ロック状態は、ロック機構9が常に作動する状態である。緊急ロック状態は、車両の緊急時に、ロック機構9が上記した第1の加速度検知機構1B又は第2の加速度検知機構1Cにより作動する状態である。
具体的には、切替機構60により、ロック機構9が待機状態から作動状態に切り替えられて、リトラクタ1が緊急ロック状態から自動ロック状態に切り替えられる。自動ロック状態では、ロック機構9の作動により、ウエビング2が引き出せなくなり、ウエビング2の巻き取りのみが可能になる。例えば、チャイルドシートや荷物をシートに固定するときに、リトラクタ1が自動ロック状態に切り替えられる。また、切替機構60により、ロック機構9が作動状態から待機状態に切り替えられて、リトラクタ1が自動ロック状態から緊急ロック状態に切り替えられる。緊急ロック状態では、ロック機構9の待機により、ウエビング2の巻き取り及び引き出しが可能である。ただし、車両の緊急時には、ロック機構9が作動して、ロック機構9により巻取ドラム10がロックされる。その結果、巻取ドラム10の引出方向Pの回転が止められて、ウエビング2の引き出しが停止する。
切替機構60は、ロック機構9を作動する作動部材61と、作動部材61を所定位置に配置する配置部材62と、リトラクタ1の状態を制御する制御部材70と、付勢手段63と、減速機構80を有する。制御部材70は、配置部材62を移動する円形状の移動部材でもあり、配置部材62の移動により、リトラクタ1の状態を制御する。減速機構80は、駆動体である偏心部材81と、回転可能な円形状の回転歯車82と、複数の歯(固定歯)83からなる固定歯車84と、回転歯車82の回転を制御部材70に伝達する伝達機構(回転伝達機構)85を有する。作動部材61、配置部材62、制御部材70、偏心部材81、及び、回転歯車82は、合成樹脂により形成されている。
減速機構80は、偏心部材81と回転歯車82により、巻取ドラム10と制御部材70に連結される。固定歯車84は、複数の固定歯83を有する内歯車である。固定歯車84の複数の固定歯83は、リトラクタ1の支持体1Aに固定されて、リトラクタ1及び切替機構60内での位置が固定されている。ここでは、複数の固定歯83は、メカニズムカバー6Aに形成され、巻取ドラム10の軸線U1を中心に円形状に配置されている。メカニズムカバー6Aは、ロック機構9の収容部材であり、切替機構60及び減速機構80の各部は、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向外側(巻取ドラム10が位置する側の反対側)に設けられている。
巻取バネユニット7は、巻取ドラム10の付勢機構であり、メカニズムカバー6Aと切替機構60のドラム軸方向外側に配置され、メカニズムカバー6Aに取り付けられる。切替機構60は、巻取バネユニット7とメカニズムカバー6Aの間に位置して、巻取バネユニット7に覆われる。このように、リトラクタ1は、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向外側に配置されて切替機構60を覆うカバー部材を備えている。ここでは、カバー部材は、切替機構60を覆う巻取バネユニット7のカバー部からなる。カバー部は、巻取バネユニット7のメカニズムカバー6A側に位置する部分であり、バネシート7Cからなる。バネシート7Cは、切替機構60を覆うシート部材であり、制御部材70のドラム軸方向外側に配置される。制御部材70は、カバー部材であるバネシート7Cに隣接し、バネシート7Cに沿って配置される。バネシート7Cは、制御部材70のドラム軸方向外側に配置されて、制御部材70のドラム軸方向の動きを規制する。
複数の固定歯83(固定歯車84)と回転歯車82は、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向外側に設けられて、互いに噛み合う(図13参照)。また、複数の固定歯83は、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向外側の面(外側面)6Hに設けられている。ここでは、複数の固定歯83が、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向の外側面6Hに一体に形成されて、外側面6Hからドラム軸方向外側に突出する。回転歯車82と偏心部材81は、複数の固定歯83の内側に配置されて、メカニズムカバー6Aに隣接する。メカニズムカバー6Aの外側面6Hは、ロック機構9と回転歯車82の間に位置する規制面であり、回転歯車82のドラム軸方向の動きを規制する。
上記したように、ロッキングギヤ30のギヤ軸部32は、巻取ドラム10の軸部であり、メカニズムカバー6Aのドラム支持部6Dに支持されている。また、ギヤ軸部32は、ドラム支持部6Dの挿入孔6Eを貫通して、挿入孔6Eからドラム軸方向外側に突出する。偏心部材81は、挿入孔6Eから突出するギヤ軸部32に取り付けられる取付孔81Aを有し、取付孔81A内のギヤ軸部32とともに回転する。ギヤ軸部32を取付孔81Aに挿入することで、偏心部材81がギヤ軸部32に回転不能に取り付けられる。
ギヤ軸部32は、偏心部材81の取付孔81Aを貫通して、取付孔81Aからドラム軸方向外側に突出する。制御部材70は、取付孔81Aから突出するギヤ軸部32に取り付けられる中心孔71を有し、中心孔71内のギヤ軸部32に対して相対的に回転する。ギヤ軸部32を中心孔71に挿入することで、制御部材70が、ギヤ軸部32に回転可能に支持され、巻取ドラム10の軸線U1を中心に、巻取ドラム10に対して相対的に回転する。制御部材70は、回転歯車82のドラム軸方向外側に配置されて、回転歯車82に隣接する。回転歯車82のドラム軸方向外側で、制御部材70は、回転歯車82のドラム軸方向の動きを規制する。
図23は、偏心部材81、回転歯車82、及び、制御部材70の斜視図であり、図14の一部を示している。図24は、メカニズムカバーユニット6の側面図であり、図13の矢印W4方向からみたメカニズムカバーユニット6を示している。図24では、制御部材70を点線で示し、制御部材70に隠れる減速機構80を実線で示している。
図示のように、偏心部材81の外周は、円形状に形成され、偏心部材81の取付孔81Aは、偏心部材81の円形状の外周の中心(偏心部材81の中心U2)に対して偏心するように形成されている。即ち、取付孔81Aの中心は、偏心部材81の中心U2に一致せず、中心U2と偏心部材81の外周の間に位置する。ギヤ軸部32が取付孔81Aに取り付けられたときに、取付孔81Aの中心は、巻取ドラム10の軸線U1に位置する。また、偏心部材81の中心U2は、巻取ドラム10の軸線U1から所定の距離(偏心量)を隔てて位置する。偏心部材81は、円形状の偏心カムであり、巻取ドラム10の軸線U1に対して中心U2が偏心した状態で、巻取ドラム10と一体に軸線U1(取付孔81Aの中心)回りに回転する。偏心部材81の回転により、偏心部材81の中心U2は、巻取ドラム10の軸線U1を中心に回転移動する。
回転歯車82は、複数の外周歯82Aを有する外歯車であり、円形状の中心孔82Bと、伝達機構85の一部である円形状の複数の伝達孔86を有する。複数の外周歯82Aは、回転歯車82の外周に形成された歯(外歯)であり、複数の固定歯83よりも少ない数の歯からなる。ここでは、回転歯車82は、18個の外周歯82Aを有し、固定歯車84は、19個の固定歯83を有する。中心孔82Bは、回転歯車82の中心に形成された嵌合孔であり、偏心部材81の円形状の外周に回転可能に嵌合する。偏心部材81が回転歯車82の中心孔82Bに嵌め込まれて、回転歯車82が中心孔82B内の偏心部材81に回転可能に取り付けられる。回転歯車82の軸線(回転中心)U3は、偏心部材81の中心U2に一致し、巻取ドラム10の軸線U1から所定の距離(偏心量)を隔てて位置する。偏心部材81は、中心孔82B内で回転して、回転歯車82を複数の固定歯83に沿って移動させる。
複数の固定歯83、回転歯車82、及び、偏心部材81は、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向外側で、メカニズムカバー6Aと制御部材70の間に位置する。固定歯車84の内径は、回転歯車82の外径よりも大きく、複数の固定歯83は、偏心部材81と回転歯車82を囲む。複数の固定歯83は、複数の外周歯82Aよりも多い数の内歯であり、回転歯車82の外周歯82Aに噛み合う。また、複数の固定歯83は、巻取ドラム10の軸線U1を中心とする同一円上に位置するとともに、円の円周方向に等間隔に配置されている。なお、複数の固定歯83は、それらの内側で回転する回転歯車82に噛み合う噛合部であればよい。従って、例えば、複数の固定歯83は、円形部の内周に形成してもよく、或いは、互いに離間した状態で円形状に配置された複数の突起であってもよい。
複数の固定歯83の内側で、回転歯車82は、巻取ドラム10の軸線U1に対して偏心した状態で回転可能に偏心部材81に支持されて、偏心部材81に対して相対的に回転する。偏心部材81と回転歯車82は、複数の固定歯83に対して偏心し、回転歯車82は、複数の固定歯83の内の一部に接触する。回転歯車82に接触する固定歯83を除いて、隙間が回転歯車82と固定歯83の間に形成される。偏心部材81の回転に伴い、回転歯車82は、巻取ドラム10の軸線U1に対して偏心した状態で、回転する偏心部材81により、複数の固定歯83に沿って移動する。
偏心部材81が1回転することで、回転歯車82は、複数の固定歯83の内側で、複数の固定歯83に沿って1周移動する。回転歯車82の移動中に、回転歯車82が複数の固定歯83の内の一部に順に接触して、複数の固定歯83の内の一部と複数の外周歯82Aの内の一部が順に噛み合う。この噛み合いにより、回転歯車82が、巻取ドラム10及び偏心部材81の回転に連動して、軸線U3(中心U2)回りに回転する。回転歯車82は、回転しつつ移動して、複数の固定歯83に沿って転動する。回転歯車82の回転により、回転歯車82の軸線U3は、巻取ドラム10の軸線U1を中心に回転移動する。
回転歯車82の複数の伝達孔86は、同じ内径の円形状に形成された2つ以上の円形孔からなり、回転歯車82の軸線U3から所定距離を隔てた位置に、互いに間隔を開けて形成されている。また、中心孔82Bと外周歯82Aの間において、複数の伝達孔86は、回転歯車82の軸線U3を中心とする円周方向に180°以下の間隔(角度間隔)で、回転歯車82に形成されている。ここでは、複数の伝達孔86は、回転歯車82の軸線U3を中心とする円(同一円)の円周方向に等間隔(等角度間隔)に配置されており、軸線U3を中心とする同一円上に位置する。具体的には、4つの伝達孔86が、中心孔82Bを囲んで、軸線U3を中心とする円周方向に90°間隔に配置され、軸線U3から等距離の位置にある。
なお、リトラクタ1に関して伝達孔86の位置と間隔を規定するときには、伝達孔86の位置と間隔は、伝達孔86の中心を基準に規定される。そのため、伝達孔86の位置は伝達孔86の中心の位置であり、伝達孔86の間隔は伝達孔86の中心の間隔である。例えば、複数の伝達孔86が同一円上に位置するというときには、複数の伝達孔86の中心が同一円上に位置する。複数の伝達孔86の間隔が円周方向に180°以下の間隔であるというときには、複数の伝達孔86の中心の間隔が円周方向に180°以下の間隔である。また、複数の伝達孔86を円周方向に180°以下の間隔で形成するときには、複数の伝達孔86の円周方向の間隔に180°より大きい間隔がなく、全ての間隔が180°以下になるように、複数の伝達孔86を形成する。このような状態を、180°以下の間隔という。従って、2つの伝達孔86を有する回転歯車82では、2つの伝達孔86は、180°より大きい間隔にならないように、180°の間隔で形成される。
制御部材70は、中心孔71と、環状の外周部72と、外周部72に形成された円弧状の外縁凸部73と、伝達機構85の一部である柱状(ここでは、円柱状)の複数の伝達突起87を有する。外縁凸部73は、外周部72の一部に形成され、制御部材70からメカニズムカバー6Aに向かって突出する。制御部材70の外縁凸部73は、回転歯車82のドラム軸方向外側からメカニズムカバー6Aに向かって形成されて、制御部材70の半径方向において、複数の固定歯83の外側に配置される。
制御部材70の軸線(回転中心)U4は、巻取ドラム10の軸線U1に一致しており、制御部材70は、巻取ドラム10と同軸になっている。また、制御部材70の軸線U4は、回転歯車82の軸線U3から所定の距離を隔てて位置しており、回転歯車82は、制御部材70の軸線U4に対して偏心した状態で回転する。回転歯車82の回転に伴い、制御部材70は、回転歯車82の回転に連動して、軸線U1、U4回りに回転する。
複数の伝達突起87は、同じ外径の円柱状に形成された2つ以上の円柱部からなり、制御部材70の軸線U4から所定距離を隔てた位置に、互いに間隔を開けて形成されている。また、中心孔71と外周部72の間において、複数の伝達突起87は、制御部材70の軸線U4を中心とする円周方向に180°以下の間隔(角度間隔)で、制御部材70に形成されている。ここでは、複数の伝達突起87は、制御部材70の軸線U4を中心とする円(同一円)の円周方向に等間隔(等角度間隔)に配置されており、軸線U4を中心とする同一円上に位置する。具体的には、複数の伝達孔86と同じ数(4つ)の伝達突起87が、中心孔71を囲んで、軸線U4を中心とする円周方向に90°間隔に配置され、軸線U4から等距離の位置にある。複数の伝達突起87は、複数の伝達孔86が配置される円と同じ直径の円上に配置される。
なお、リトラクタ1に関して伝達突起87の位置と間隔を規定するときには、伝達突起87の位置と間隔は、伝達突起87の中心を基準に規定される。そのため、伝達突起87の位置は伝達突起87の中心の位置であり、伝達突起87の間隔は伝達突起87の中心の間隔である。例えば、複数の伝達突起87が同一円上に位置するというときには、複数の伝達突起87の中心が同一円上に位置する。複数の伝達突起87の間隔が円周方向に180°以下の間隔であるというときには、複数の伝達突起87の中心の間隔が円周方向に180°以下の間隔である。また、複数の伝達突起87を円周方向に180°以下の間隔で形成するときには、複数の伝達突起87の円周方向の間隔に180°より大きい間隔がなく、全ての間隔が180°以下になるように、複数の伝達突起87を形成する。このような状態を、180°以下の間隔という。従って、2つの伝達突起87を有する制御部材70では、2つの伝達突起87は、180°より大きい間隔にならないように、180°の間隔で形成される。
伝達機構85は、複数の伝達孔86と、それぞれ伝達孔86内で常に移動可能な複数の伝達突起87を有する。回転歯車82の軸線U3と制御部材70の軸線U4を一致させた状態で回転歯車82と制御部材70を組み合わせたときに、複数の伝達孔86の位置と複数の伝達突起87の位置は互いに一致する。複数の伝達突起87は、それぞれ対応する伝達孔86に挿入されて伝達孔86内に配置される。ここでは、伝達機構85は、それぞれ円周方向に等角度間隔に配置された複数の伝達孔86と複数の伝達突起87からなる複数組の伝達孔86と伝達突起87を有する。これら複数組の伝達孔86と伝達突起87により、伝達機構85は、回転歯車82の回転を制御部材70に連続して伝達して、制御部材70を回転歯車82の回転方向と同じ方向に回転する。
複数の伝達突起87は、伝達孔86の内径よりも小さい所定の外径に形成され、複数の伝達孔86に対応する位置に形成されている。複数の伝達突起87は、それぞれ対応する伝達孔86内に配置されて、回転歯車82の回転時に、それぞれ伝達孔86内で移動する。回転歯車82の軸線U3を制御部材70の軸線U4に一致させたときに、複数組の伝達孔86と伝達突起87のぞれぞれで、伝達突起87の中心が伝達孔86の中心に一致する。その状態から、回転歯車82が巻取ドラム10及び制御部材70に対して偏心することで、伝達突起87が、伝達孔86の内周側に相対的に移動し、伝達孔86の内周(内周面)に接触する。伝達機構85は、伝達孔86の内周と伝達突起87の外周を接触させて、回転歯車82の回転を制御部材70に伝達する。
図25は、1組の伝達孔86と伝達突起87を示す図であり、図24の一部を示している。
図示のように、回転歯車82の回転時には、制御部材70の伝達突起87は、伝達孔86の内周に沿って移動し、伝達孔86の内周により押される。これにより、回転歯車82の回転が制御部材70に伝達されて、制御部材70が回転する。
図26は、回転歯車82と伝達機構85の関係について説明するための図である。
図示のように、回転歯車82が複数の固定歯83に沿って移動するときに、回転歯車82の軸線軌跡Z1は、所定の直径の円形状をなす(図26A参照)。軸線軌跡Z1は、偏心部材81により複数の固定歯83に沿って移動する回転歯車82の軸線U3の軌跡である。回転歯車82の軸線軌跡Z1は、巻取ドラム10の軸線U1を中心とする円形状をなし、巻取ドラム10とともに回転する偏心部材81の中心U2の軌跡に一致する。軸線軌跡Z1の半径は、軸線U1から軸線U3(中心U2)までの距離であり、巻取ドラム10に対する回転歯車82(偏心部材81)の偏心量Z2である。
伝達孔86の半径Z3は、回転歯車82の偏心量Z2と伝達突起87の半径Z4の和(Z2+Z4)に設定される(図26B参照)。伝達孔86が半径Z3の円形状に形成された場合に、回転歯車82の軸線軌跡Z1は、伝達孔86内における伝達突起87の中心軌跡Z5と一致する形状の軌跡をなす。中心軌跡Z5は、伝達突起87が伝達孔86の内周に接触して1周移動するときの、伝達孔86内における伝達突起87の中心U5の軌跡である。伝達突起87の中心U5は、伝達孔86の内周に接触する部分における伝達突起87の中心である。中心軌跡Z5の中心は、伝達孔86の中心U6に位置する。また、伝達突起87の中心軌跡Z5は、回転歯車82の円形状の軸線軌跡Z1と同じ直径の円形状をなす。このようにしたときに、伝達突起87は、回転歯車82の移動と回転に合わせて、伝達孔86の内周に沿って円滑に移動する。
図27は、減速機構80の動作を示す図であり、減速機構80と制御部材70の一部を図24に対応させて示している。ただし、図27Aには、回転歯車82のみを示している。図27Bは、巻取ドラム10がウエビング2の巻取方向Mに回転するときの、減速機構80の動作を左から右に向かって順に示している。また、図27Bは、巻取ドラム10の回転に伴い巻取方向Mに45°ずつ回転する偏心部材81を示すとともに、偏心部材81の回転に伴い変化する回転歯車82と制御部材70の状態を示している。
図示のように、偏心部材81は、巻取ドラム10の軸線U1に対して中心U2が偏心した状態で、巻取ドラム10とともに回転する。偏心部材81により、回転歯車82は、複数の固定歯83の内側で、一部の固定歯83に順に接触しつつ複数の固定歯83に沿って移動する。回転歯車82が複数の固定歯83の配置方向(円周方向)に移動するときに、複数の外周歯82Aは、固定歯83と順に噛み合って、回転歯車82を次第に回転させる。回転歯車82が複数の固定歯83に沿って1周移動する間に、外周歯82Aの数と固定歯83の数の差の分だけ、回転歯車82は、巻取ドラム10及び偏心部材81の回転方向の反対方向に回転する。これにより、回転歯車82は、巻取ドラム10の回転速度よりも遅い回転速度で回転する。
ここでは、巻取方向Mに回転する偏心部材81により、回転歯車82が複数の固定歯83に沿って1周移動して、回転歯車82が1個の外周歯82Aに対応する角度だけ引出方向Pに回転する。具体的には、外周歯82Aは18個あるため、1個の外周歯82Aに対応する角度は、360°の18分の1の角度(20°)である。回転歯車82は、偏心部材81が45°回転する毎に2.5°回転し、偏心部材81が360°回転したときに20°回転する。
このように、複数の固定歯83の内側で、回転歯車82は、偏心部材81と複数の固定歯83により、巻取ドラム10に対して減速して回転する。その際、回転歯車82は、偏心部材81の回転に伴い、複数の固定歯83に沿って移動しつつ、各固定歯83に順に噛み合って、巻取ドラム10に対して減速して回転する。回転歯車82の回転中に、伝達突起87は、伝達孔86の内周により、回転歯車82の回転方向の後ろ側から押される。即ち、1つの伝達孔86の内周は、回転歯車82の回転方向の後ろ側に位置する半分の部分(180°の範囲)(伝達部という)で、伝達突起87を回転歯車82の回転方向に押す。従って、伝達孔86と伝達突起87により、回転歯車82の回転を制御部材70に常に伝達するためには、2組以上の伝達孔86と伝達突起87を180°以下の間隔で設ける必要がある。この条件を満たすように、複数の伝達孔86と複数の伝達突起87は、それぞれ180°以下の間隔で形成されている。また、伝達突起87の中心軌跡Z5は、回転歯車82の円形状の軸線軌跡Z1と同じ直径の円形状をなす。
このような伝達孔86と伝達突起87を有する伝達機構85では、回転歯車82の回転時に、複数の伝達突起87は、それぞれ伝達孔86内で円滑に移動する。また、複数組の伝達孔86と伝達突起87の内の少なくとも1組において、伝達突起87の外周が伝達孔86の内周の伝達部に接触する状態に維持される。回転歯車82の移動と回転に伴い、各伝達突起87が伝達孔86の伝達部から離れることはあるが、全ての伝達突起87が伝達孔86の伝達部から同時に離れることはない。複数の伝達突起87の内の少なくとも1つが、回転歯車82の回転方向の後ろ側(伝達部)で伝達孔86の内周に接触し、伝達孔86の内周に沿って移動しつつ、伝達孔86の内周により押される。少なくとも1つの伝達突起87が伝達孔86の伝達部により押されることで、複数の伝達突起87は、回転歯車82の回転を制御部材70に常に伝達する。これにより、制御部材70が回転する。回転歯車82と制御部材70は、回転歯車82が1周移動する毎に、所定角度回転する。
少なくとも1つの伝達突起87が伝達孔86の伝達部に接触する状態で、複数の伝達突起87は、それぞれ伝達孔86内で移動する。これに伴い、制御部材70が回転歯車82とともに円滑に回転し、制御部材70の回転が回転歯車82の回転に正確に同期する。また、巻取ドラム10と制御部材70の回転量の比率が変化するのが防止される。回転歯車82の回転方向が変化したときでも、伝達機構85により、回転歯車82の回転が制御部材70に正確に伝達される。従って、制御部材70が巻取ドラム10の回転に正確に連動して回転する。減速機構80は、巻取ドラム10の巻取方向Mと引出方向Pの回転を減速して、偏心部材81から制御部材70に巻取ドラム10の回転を伝達する。これにより、制御部材70は、巻取ドラム10の回転速度よりも遅い回転速度で、かつ、巻取ドラム10の回転方向の反対方向に回転する。ここでは、ウエビング2の全体が引き出される間に、制御部材70が360°以下の所定角度だけ回転する。
制御部材70(図13、図14参照)は、巻取ドラム10に対して減速して回転する減速部材であり、回転角度に基づいて、トラクタ1の状態を制御する。減速機構80により、制御部材70は、巻取ドラム10の回転(ウエビング2の巻取ドラム10からの引き出し、及び、ウエビング2の巻取ドラム10への巻き取り)に連動して回転する。これにより、制御部材70が、巻取ドラム10から引き出されたウエビング2の引出長さ、及び、巻取ドラム10に巻き取られたウエビング2の巻取長さに対応して回転して、リトラクタ1の状態を制御する。
切替機構60は、回転する制御部材70によりリトラクタ1の状態を制御して、リトラクタ1の状態を緊急ロック状態と自動ロック状態とに切り替える。その際、切替機構60は、制御部材70によりロック機構9の作動を制御して、ロック機構9を作動状態と待機状態とに切り替えて、リトラクタ1の状態を切り替える。切替機構60により、ロック機構9の状態とリトラクタ1の状態は、ウエビング2の引出長さと巻取長さに対応して制御されて切り替えられる。また、制御部材70は、回転により配置部材62を移動するカム部材であり、配置部材62により作動部材61の位置を制御する。切替機構60は、制御部材70により配置部材62と作動部材61の位置を制御して、ロック機構9の状態とリトラクタ1の状態を切り替える。
配置部材62は、制御部材70に従動するカムフォロアであり、かつ、ロック機構9の状態とリトラクタ1の状態を切り替える切替レバーである。作動部材61は、配置部材62に連動する連動部材であり、かつ、ロック機構9の作動と非作動を切り替える作動スイッチ(切替スイッチ)である。ロック機構9は、作動部材61により作動して、巻取ドラム10の引出方向Pの回転を止める。メカニズムカバー6Aは、複数の固定歯83の外側に、円柱状の第1、第2回転軸(回転用の軸)6I、6Jと、開口6Fの近傍に位置する貫通口6Kを有する。第1回転軸6Iは、作動部材用回転軸であり、作動部材61は、第1回転軸6Iに回転可能に取り付けられる。第2回転軸6Jは、配置部材用回転軸であり、配置部材62は、第2回転軸6Jに回転可能に取り付けられる。
作動部材61は、メカニズムカバー6Aに向かって突出する押部61Aを有し、加速度センサー3Bと同様に、押部61Aにより噛合パウル13を押して、ロック機構9を作動する。押部61Aは、貫通口6Kに挿入されて、貫通口6K内で移動する。また、加速度センサー3Bのロック爪3G(図21参照)と同様に、押部61Aは、噛合パウル13の近傍に位置し、作動部材61の移動により上方に移動して、噛合パウル13を上方に押す。作動部材61により、噛合パウル13は、非噛合位置C1から噛合位置C2に移動して、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う。噛合パウル13が噛合位置C2へ移動することで、噛合パウル13とラチェットホイール34により、クラッチ50がロッキングギヤ30に連結される。続いて、ロック機構9が上記と同様に作動する(図22参照)。
図28は、作動部材61、配置部材62、及び、付勢手段63の斜視図であり、図13の一部を示している。図29は、メカニズムカバーユニット6の斜視図であり、3つの方向からみたメカニズムカバーユニット6を示している。また、図29は、メカニズムカバーユニット6内における作動部材61、配置部材62、付勢手段63、及び、噛合パウル13を示している。
図示のように、切替機構60の各部をメカニズムカバー6Aに取り付ける際に、作動部材61と配置部材62は、異なる回転軸6I、6Jに取り付けられて、連動して回転可能に組み合わされる。付勢手段63は、弾性変形可能な付勢部材(ばね、ゴム、弾性部材等)(ここでは、スチール製の線材により形成されたばね)からなり、作動部材61と配置部材62に取り付けられる。この付勢手段63は、作動部材用付勢手段、かつ、配置部材用付勢手段であり、作動部材61と配置部材62を、それぞれ所定方向に付勢する。
作動部材61は、第1回転軸6Iに取り付けられる円筒状の取付部61Bと、取付部61Bから突出するアーム部61Cと、付勢手段63により付勢される付勢部61Dを有する。作動部材61は、取付部61B(第1回転軸6I)を中心に回転して、回転方向に移動する。作動部材61の押部61Aは、アーム部61Cの先端に形成されている。付勢部61Dは、アーム部61Cの反対側で取付部61Bに形成されている。
配置部材62は、第2回転軸6Jに取り付けられる円筒状の取付部62Aと、取付部62Aから突出するアーム部62Bと、制御部材70に接触する接触部62Cと、付勢手段63により付勢される付勢部62Dと、作動部材61に作用する作用突起62Eと、制御部材70の通過部62Gを有する。配置部材62は、取付部62A(第2回転軸6J)を中心に回転して、回転方向に移動する。接触部62Cと付勢部62Dは、アーム部62Bの先端に形成されている。作用突起62Eは、アーム部62Bよりも短く、取付部62Aからアーム部62Bの反対側に突出する。作動部材61のアーム部61Cは、配置部材62の取付部62Aと作用突起62Eに沿って配置される。作用部62Fが、作用突起62Eの先端に形成され、作動部材61のアーム部61Cに接触する。配置部材62のアーム部62Bは、作動部材61の付勢部61D側に配置される。作用部62Fがアーム部61Cに接触する状態で、付勢部61D、62Dは、隙間を開けて配置される。通過部62Gは、接触部62Cに形成された凹部からなる。
付勢手段63の環状の2つの端部は、それぞれ作動部材61の付勢部61Dと配置部材62の付勢部62Dに取り付けられる。付勢手段63により、作動部材61と配置部材62は、付勢部61D、62Dが離れる方向に、同じ力(付勢力)で付勢される。この付勢力により、トルク(回転のモーメント)が作動部材61と配置部材62に作用する。配置部材62の回転中心と付勢部62Dとの距離は、作動部材61の回転中心と付勢部61Dとの距離よりも長くなっている。そのため、付勢手段63の付勢力により作動部材61と配置部材62にトルクが作用した際に、配置部材62に作用するトルクは、作動部材61に作用するトルクよりも大きくなる。また、配置部材62の回転中心と作用部62Fとの距離は、作動部材61の回転中心とアーム部61Cの作用部62Fと接触する位置との距離よりも短くなっている。その結果、作用部62Fからアーム部61Cに加わる力が、アーム部61Cから作用部62Fに加わる力よりも大きくなる。アーム部61Cは、作用部62Fに押されて移動する。
配置部材62は、アーム部61Cを押しつつ回転(移動)する。同時に、作動部材61が回転して、アーム部61Cがメカニズムカバー6Aのストッパー6L(図24参照)に接触する。ストッパー6Lにより、作動部材61と配置部材62は、作動部材61によりロック機構9が作動しない位置に維持される。作動部材61は、押部61Aにより噛合パウル13を押さず、噛合パウル13を非噛合位置C1に配置する。切替機構60はロック機構9を作動せず、ロック機構9は待機状態に維持される。その状態から、接触部62Cは、制御部材70に接触し、制御部材70により、付勢手段63の付勢力に抗して移動する。接触部62Cの移動に伴い、配置部材62が回転(移動)して、作用部62Fが移動する。同時に、付勢手段63の付勢により、アーム部61Cが作用部62Fに接触した状態で、作動部材61が回転する。このように、配置部材62と作動部材61は、連動して回転する。
作動部材61がストッパー6Lから離れる方向に移動するのに伴い、作動部材61は、押部61Aにより噛合パウル13をラチェットホイール34に向かって押して、噛合パウル13を噛合位置C2に配置する。また、制御部材70により、配置部材62は、付勢手段63の付勢力に抗して、作動部材61によりロック機構9を作動させる位置に維持される。同時に、作動部材61は、付勢手段63の付勢力により、ロック機構9を作動させる位置に維持される。切替機構60はロック機構9を作動して、ロック機構9は作動状態に維持される。
その状態で、ラチェットホイール34が巻取方向Mに回転すると、噛合パウル13は、ラチェットホイール34の歯33に沿って変位しつつ、ラチェットホイール34の半径方向外側に押される。これに伴い、押部61Aが噛合パウル13により押されて、アーム部61Cが作用部62Fから離れる。その結果、作動部材61が回転して、付勢手段63が作動部材61により更に圧縮される。付勢手段63の付勢により、押部61Aは、噛合パウル13に接触した状態に維持され、噛合パウル13の変位に合わせて変位する。従って、リトラクタ1は、以上のように構成される作動部材61の変位機構64を備える。
図30は、メカニズムカバーユニット6の側面図であり、図13の矢印W4方向からみたメカニズムカバーユニット6を示している。図31は、図30のY1部の断面図である。図31Aは、非噛合位置C1に配置された噛合パウル13を示し、図31Bは、噛合位置C2に配置された噛合パウル13を示している。
図示のように、作動部材61と配置部材62は、それぞれ回転軸6I、6Jを中心に回転して、回転方向に移動する。即ち、リトラクタ1は、作動部材61と配置部材62を回転により移動させる回転手段65を備えており、回転手段65は、2つの回転軸6I、6Jを有する。回転手段65により、配置部材62は、作動部材61とともに回転により移動(図30の矢印H1)する。配置部材62の移動(回転)に連動して、作動部材61は、回転により移動(図30、図31の矢印H2)する。これにより、作動部材61は、ロック機構9を作動しない非作動位置E1と、ロック機構9を作動する作動位置E2に移動(回転)する。
作動部材61の非作動位置E1は、噛合パウル13が非噛合位置C1に配置される位置である(図31A参照)。作動部材61は、非作動位置E1への移動により噛合パウル13を非噛合位置C1に配置する。噛合パウル13はラチェットホイール34の歯33に噛み合わず、ロック機構9は待機状態に維持される。作動部材61の作動位置E2は、噛合パウル13が噛合位置C2に配置される位置である(図31B参照)。作動部材61は、作動位置E2への移動により噛合パウル13を噛合位置C2に配置する。噛合パウル13は、押部61Aにより押されて、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う。ロック機構9は、作動状態に維持される。配置部材62により、作動部材61は、非作動位置E1から作動位置E2に移動して、噛合パウル13によりロック機構9を作動する。ロック機構9は、歯33と噛合パウル13の噛み合いに伴い作動する。
付勢手段63により、作動部材61は、作動位置E2に向かって常に付勢され、押部61Aにより噛合パウル13を押す。噛合パウル13は、ラチェットホイール34に接触したときに、押部61Aによりラチェットホイール34に押し付けられる。これに対し、配置部材62は、付勢手段63により、作動部材61を非作動位置E1に移動する方向(押部61Aを噛合パウル13から離す方向)に常に付勢されている。図30では、付勢手段63により、作動部材61は、反時計回りに回転するように付勢され、配置部材62は、時計回りに回転するように付勢されている。
上記したトルクの差により、作動部材61は、配置部材62に押されて、ストッパー6Lに接触する(図30参照)。その状態で、配置部材62の接触部62Cは固定歯83近傍に位置し、配置部材62は第1位置F1に配置される。配置部材62の第1位置F1は、作動部材61が非作動位置E1に配置される位置であり、作動部材61は、配置部材62により非作動位置E1に配置される。その状態から、配置部材62は、第1位置F1の外側の第2位置F2に向かって移動して、第2位置F2に配置される。第2位置F2は、作動部材61が作動位置E2に配置される位置である。配置部材62の移動に伴い、付勢手段63の付勢力により、作動部材61が作動位置E2に向かって移動して、押部61Aは噛合パウル13に接近する。
配置部材62は、回転手段65により回転して、第1位置F1と第2位置F2に配置される。同時に、配置部材62は、作動部材61とともに移動して、作動部材61を非作動位置E1と作動位置E2に配置する。付勢手段63は、配置部材62を第1位置F1に向かって付勢している。配置部材62が付勢手段63の付勢力により第2位置F2から第1位置F1に移動して、作動部材61が作動位置E2から非作動位置E1に移動する。
制御部材70により配置部材62が第1位置F1から第2位置F2に移動するときに、作動部材61は、付勢手段63の付勢力により、非作動位置E1から作動位置E2に移動する。これにより、噛合パウル13がラチェットホイール34に押し付けられる(図31B参照)。噛合パウル13は、引出方向Pに回転するラチェットホイール34の歯33のみに噛み合う。その状態で、ラチェットホイール34が巻取ドラム10とともに巻取方向Mに回転すると、噛合パウル13が、上記したように歯33により押される。噛合パウル13は、歯33に沿って変位して、複数の歯33を順に乗り換える。噛合パウル13の変位に伴い、配置部材62が停止した状態で、作動部材61が、付勢手段63の付勢力に抗して、変位機構64により変位する。
配置部材62が第2位置F2に維持された状態で、変位機構64により、噛合パウル13は、巻取ドラム10とともに巻取方向Mに回転するラチェットホイール34の歯33に沿って変位する。これにより、ラチェットホイール34の巻取方向Mの回転中に、噛合パウル13が複数の歯33に噛合可能な状態に確実に維持される。ラチェットホイール34が引出方向Pに回転すると、噛合パウル13が再び歯33に噛み合う。
配置部材62(図30、図31参照)は、作動部材61とともに移動して、作動部材61を非作動位置E1と作動位置E2とに移動させる。この移動により、作動部材61と配置部材62は、噛合パウル13の位置を制御するとともに、ロック機構9の状態とリトラクタ1の状態を切り替える。配置部材62により作動部材61が非作動位置E1に移動すると、噛合パウル13が非噛合位置C1に移動して、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。これにより、ロック機構9の状態が待機状態に切り替えられて、リトラクタ1の状態が緊急ロック状態に切り替えられる。配置部材62により作動部材61が作動位置E2に移動すると、噛合パウル13が噛合位置C2に移動して、クラッチ50がロッキングギヤ30に連結される。これにより、ロック機構9の状態が作動状態に切り替えられて、リトラクタ1の状態が自動ロック状態に切り替えられる。
制御部材70により、配置部材62は、第1位置F1と第2位置F2に配置されて、作動部材61を非作動位置E1と作動位置E2に配置する。制御部材70は、巻取ドラム10の回転に連動して回転し、回転に伴い、配置部材62を第1位置F1と第2位置F2とに移動させる。制御部材70は、外周部72と、外縁凸部73と、配置部材62を第1位置F1に維持する第1維持部74と、変更部75と、配置部材62を移動する移動部76と、配置部材62を第2位置F2に維持する第2維持部77と、解放部78を有する。配置部材62の接触部62Cは、制御部材70の各部73、75、76、77に接触する。
外周部72は、制御部材70の半径方向外側に拡張された拡張部72Aを有し、複数の固定歯83を覆う。拡張部72Aは、外周部72の一部に円弧状に形成されている。外縁凸部73は、拡張部72Aの縁に形成された円弧状凸部であり、複数の固定歯83の一部を囲むように配置される。第1維持部74は、複数の固定歯83と外縁凸部73(第2維持部77)の間に形成される円弧状の通路74Aを有する。第1維持部74の通路74Aは、拡張部72Aとメカニズムカバー6Aの間の空間からなる。通路74Aの一端部は、移動部76により塞がれ、通路74Aの他端部は、第2維持部77の終端部79において開放されている。
配置部材62の接触部62Cは、通路74Aの他端部から第1維持部74の通路74A内に入り、通路74A内で外縁凸部73に沿って相対的に移動する。その際、外縁凸部73は、配置部材62の通過部62Gを通過し、配置部材62(接触部62C)は、固定歯83近傍の第1位置F1に配置される。接触部62Cが通路74A外に位置するときに、配置部材62は、固定歯83近傍の第1位置F1に配置され、制御部材70の外周部72に沿って相対的に移動する。従って、制御部材70の第1維持部74は、通路74Aと、通路74A外に位置する制御部材70の周辺部74Bからなる。周辺部74Bは、制御部材70の外周部72に沿う円弧状の周辺空間であり、通路74Aに繋がる。
外縁凸部73は、制御部材70の円周方向に延びる円弧部73Aと、円弧部73Aの端部に繋がる先端部73Bを有し、円弧部73Aと先端部73Bの間の箇所で制御部材70の半径方向内側に屈曲する。第2維持部77は、外縁凸部73の円弧部73Aからなり、移動部76は、外縁凸部73の先端部73Bからなる。変更部75は、先端部73B(移動部76)と、先端部73Bに繋がる円弧部73A(第2維持部77)の端部からなり、第1維持部74の終端部に位置する。変更部75と拡張部72Aの間に形成されたスリット70Aにより、変更部75は、拡張部72Aから切り離されている。変更部75が配置部材62の通過部62Gを通過するときに、変更部75は、配置部材62の接触部62Cに押されて、制御部材70の半径方向外側(図30の矢印H3参照)に弾性変形する。
図32〜図34は、制御部材70の回転に伴う切替機構60の動作を示す図であり、リトラクタ1を図30と同様に示している。図32Cは、図32BのY2部を模式的に示す断面図である。
図示のように、ウエビング2の引き出し又は巻き取りにより巻取ドラム10が引出方向P又は巻取方向Mに回転すると、減速機構80により、制御部材70が巻取ドラム10の回転方向の反対方向に回転する。また、制御部材70の回転に伴い、配置部材62は、制御部材70の円周方向に相対的に移動するとともに、制御部材70の各部72〜77に沿って相対的に移動する。
ウエビング2を巻取ドラム10に完全に巻き取ったときには、配置部材62の接触部62Cは、第1維持部74(周辺部74B)に配置される(図32A参照)。第1維持部74により、配置部材62が第1位置F1に維持されて、作動部材61が非作動位置E1に維持される。続いて、ウエビング2の引き出しにより制御部材70が回転すると、配置部材62(接触部62C)が第1維持部74(通路74A、周辺部74B)に沿って相対的に移動する。また、ウエビング2の引き出しと巻き取りに伴い、配置部材62は、第1維持部74において、制御部材70の円周方向に相対的に移動する。巻取ドラム10からウエビング2が所定の引出長さ引き出されるまで、接触部62Cが第1維持部74に配置されて、配置部材62が第1維持部74により第1位置F1に維持される。その結果、ロック機構9の状態が待機状態に維持され、リトラクタ1の状態が緊急ロック状態に維持される。
巻取ドラム10からウエビング2が所定の引出長さ引き出されるときに(図32B参照)、配置部材62が変更部75に沿って相対的に変位し、変更部75により、配置部材62の位置が第1維持部74から移動部76による移動位置に変更される。移動部76による移動位置は、配置部材62が移動部76により移動可能になる位置である。配置部材62は、移動位置まで移動した後、移動部76により移動する。ここでは、ウエビング2の引き出しによる制御部材70の回転に伴い、配置部材62の接触部62Cが、第1維持部74の通路74A内で、変更部75に接近する(図32C参照)。続いて、接触部62Cが、通過部62G内の変更部75に接触して、変更部75を制御部材70の半径方向外側に押す。これにより、変更部75が、弾性変形して、通過部62Gを通過する(図33A参照)。
変更部75は、配置部材62により弾性変形して、配置部材62の位置を第1維持部74から移動部76による移動位置に変更する。また、変更部75が通過部62Gを完全に通過したときに、変更部75は、元の形状に復帰する。同時に、移動部76が第1維持部74の終端部(通路74A)を塞ぐ元の位置に復帰し、接触部62Cが移動部76に接触可能な位置に配置される。
なお、制御部材70の全体は合成樹脂により形成されており、制御部材70の一部である変更部75は配置部材62により弾性変形する。これに対し、変更部75のみを、制御部材70の他の部分とは別の部品にしてもよい。この場合には、変更部75を、弾性変形可能な材料(例えば、合成樹脂、又は、ステンレス鋼の板)により形成して、制御部材70に固定する。
所定の引出長さ引き出されたウエビング2を巻取ドラム10に巻き取るときに、制御部材70の移動部76が、制御部材70の回転に伴い、配置部材62を第1位置F1から第2位置F2に移動させる(図33B参照)。移動部76は、第2維持部77に向かって傾斜する傾斜部(ここでは、傾斜凸部)からなり、固定歯83近傍の位置から円弧部73A(第2維持部77)まで形成されている。また、移動部76は、制御部材70の回転方向に対して、移動部76による移動位置から第2維持部77に向かって傾斜し、第2維持部77の前端部に繋がる。
ウエビング2の巻き取りによる制御部材70の回転に伴い、配置部材62は、移動部76に接触し、移動部76に沿って次第に移動して、移動部76により第1位置F1から第2位置F2に誘導される。従って、移動部76は、配置部材62を第1位置F1から第2位置F2に誘導する誘導部でもある。
配置部材62が移動部76により移動する際には、配置部材62の接触部62Cが、付勢手段63の付勢により移動部76に押し付けられた状態で、移動部76により誘導されて、第2維持部77に向かって移動する。これにより、配置部材62が、制御部材70の半径方向外側に向かって移動して、第1位置F1から第2位置F2に移動する(図34A参照)。同時に、作動部材61が非作動位置E1から作動位置E2に移動して、ロック機構9の状態が待機状態から作動状態に切り替えられる。このように、緊急ロック状態で巻取ドラム10からウエビング2が所定の引出長さ引き出されることで、切替機構60は、ロック機構9の状態を切り替えて、リトラクタ1の状態を緊急ロック状態から自動ロック状態に切り替える。
ここでは、ウエビング2が巻取ドラム10から完全に引き出されるときに、変更部75により、配置部材62の位置が、第1維持部74から移動部76による移動位置に変更される。従って、ウエビング2が巻取ドラム10から完全に引き出されるまで、配置部材62は、第1維持部74により第1位置F1に維持される。また、巻取ドラム10から完全に引き出されたウエビング2を巻取ドラム10に巻き取るときに、配置部材62が移動部76により移動する。切替機構60は、ウエビング2が巻取ドラム10から完全に引き出されることで、リトラクタ1の状態を緊急ロック状態から自動ロック状態に切り替える。
移動部76と第2維持部77が繋がる箇所では、外縁凸部73が、なだらかに屈曲して湾曲形状をなす。そのため、配置部材62の接触部62Cは、移動部76から第2維持部77まで円滑に移動する。接触部62Cは、第2維持部77に接触し、付勢手段63の付勢により第2維持部77に押し付けられる。接触部62Cが第2維持部77により押さえられることで、配置部材62が、第2維持部77により保持される。第2維持部77は、第1維持部74の半径方向外側に巻取ドラム10の軸線U1を中心とした円弧状に形成された円弧部73Aからなり、第1維持部74の一部(通路74A)を囲む。所定の引出長さ引き出されたウエビング2の巻取ドラム10への巻取中に、配置部材62は、第2維持部77に接触して、第2維持部77により第2位置F2に維持される。ここでは、完全に引き出されたウエビング2の巻取中に、配置部材62が第2位置F2に維持される。第2維持部77は、制御部材70の円周方向に沿って所定長さに形成されている。
配置部材62が第2位置F2に維持されることで、作動部材61が作動位置E2に維持される。作動位置E2の作動部材61により(図31B参照)、噛合パウル13は、噛合位置C2に配置されて、ラチェットホイール34の歯33に噛み合う。その状態で、ウエビング2が引き出されると、クラッチ50がロッキングギヤ30及び巻取ドラム10とともに引出方向Pに回転して、噛合パウル13が作動部材61から離れる(図22参照)。また、ロック機構9が作動して巻取ドラム10をロックする。
ウエビング2の巻取時には、噛合パウル13が、一旦、ラチェットホイール34の歯33から外れる。続いて、噛合パウル13は、作動部材61の押部61Aに接触して、押部61Aにより押し上げられ、作動位置E2の作動部材61により再び噛合位置C2に配置される(図31B参照)。その結果、ロック機構9の状態が作動状態に維持されて、リトラクタ1の状態が自動ロック状態に維持される。ロック機構9により、巻取ドラム10の引出方向Pの回転のみが止められる。
ウエビング2の巻き取りによる制御部材70の回転に伴い(図34B参照)、配置部材62(接触部62C)は、第2維持部77に沿って相対的に移動するとともに、第2維持部77の終端部79及び制御部材70の解放部78に向かって相対的に移動する。第2維持部77により、配置部材62は、ウエビング2が巻取ドラム10に所定の巻取長さ巻き取られるまで第2位置F2に維持される。また、ウエビング2が巻取ドラム10に所定の巻取長さ巻き取られたときに、配置部材62は、第2維持部77の終端部79から外れて、解放部78により第1維持部74に向かって解放される。配置部材62は、ウエビング2が巻取ドラム10に完全に巻き取られる前に、終端部79から外れる。
配置部材62の接触部62Cは、終端部79に達した後、第2維持部77から外れる。これにより、接触部62Cが第2維持部77により押さえられた状態から解放されて、配置部材62が第2維持部77から解放される。制御部材70の解放部78は、終端部79に続く部分であり、第2維持部77から第1維持部74まで形成された解放領域からなる。解放部78において、配置部材62は、制御部材70に接触することなく、制御部材70の半径方向内側に向かって、第2維持部77から第1維持部74まで移動する。
ウエビング2が巻取ドラム10に所定の巻取長さ巻き取られて、配置部材62が第2維持部77の終端部79から外れたときに、解放部78は、配置部材62を第2維持部77から第1維持部74に向かって解放する(図30参照)。この解放に伴い、配置部材62は、付勢手段63の付勢により、第2維持部77(第2位置F2)から第1維持部74(第1位置F1)に直ちに移動する。同時に、配置部材62により、作動部材61が作動位置E2から非作動位置E1に直ちに移動して、ロック機構9の状態が作動状態から待機状態に直ちに切り替えられる。このように、自動ロック状態でウエビング2が巻取ドラム10に所定の巻取長さ巻き取られることで、切替機構60は、ロック機構9の状態を切り替えて、リトラクタ1の状態を自動ロック状態から緊急ロック状態に直ちに切り替える。その後、ウエビング2は、巻取ドラム10に巻き取られ、又は、巻取ドラム10から引き出される。
以上説明したように、第1実施形態のリトラクタ1(図24、図27参照)では、複数の伝達突起87が、それぞれ伝達孔86内で円滑に移動して、回転歯車82の回転を制御部材70に常に伝達する。そのため、巻取ドラム10とともに回転する偏心部材81を用いて、リトラクタ1の状態を制御する制御部材70を、巻取ドラム10の回転に正確に連動して回転させることができる。また、切替機構60により、ロック機構9の状態とリトラクタ1の状態を正確に切り替えることができる。制御部材70が規則的に回転するため、制御部材70によるロック機構9の状態とリトラクタ1の状態の制御が安定するとともに、ロック機構9の状態とリトラクタ1の状態が設定通りに切り替えられる。
切替機構60により、ロック機構9の作動を制御して、リトラクタ1の状態を正確に制御することができる。その結果、リトラクタ1の状態を、ウエビング2の巻き取りのみが可能な状態(自動ロック状態)とウエビング2の巻き取り及び引き出しが可能な状態(緊急ロック状態)とに正確に切り替えることができる。
複数の伝達突起87の中心軌跡Z5が、それぞれ回転歯車82の軸線軌跡Z1と同じ直径の円形状をなすときには(図26B参照)、複数の伝達突起87が、それぞれ回転歯車82の移動と回転に合わせて、各伝達孔86の内周に沿って円滑に移動する。これにより、回転歯車82の回転を制御部材70に円滑に伝達することができる。
複数の伝達孔86(図23参照)は、同じ内径の円形状に形成されて、回転歯車82の軸線U3を中心とする同一円の円周方向に等角度間隔に配置されている。また、複数の伝達突起87は、同じ外径の円柱状に形成されて、制御部材70の軸線U4を中心とする同一円の円周方向に等角度間隔に配置されている。これら伝達孔86と伝達突起87からなる複数組の伝達孔86と伝達突起87により回転歯車82の回転を制御部材70に伝達するときには、同じ最大荷重が、複数組の伝達孔86と伝達突起87に加えられる。また、複数の伝達突起87が、伝達孔86の内周に均等に接触する。そのため、複数組の伝達孔86と伝達突起87の耐久性を向上することができる。
伝達孔86と伝達突起87の数を増やすことで、切替機構60が、より確実に動作する。また、各伝達突起87に要求される強度が低くなるため、伝達突起87の外径と伝達孔86の内径を小さくでき、回転歯車82と制御部材70の直径も小さくすることができる。回転歯車82を薄くした場合でも、回転歯車82の回転を制御部材70に確実に伝達することができる。回転歯車82と制御部材70の寸法に応じて、切替機構60とリトラクタ1を小型化することができる。
なお、巻取バネユニット7(図3参照)は、プリテンショナユニット5のドラム軸方向外側に配置して、プリテンショナユニット5を介して巻取ドラム10に連結してもよい。この場合には、巻取バネユニット7に替えて、カバー部材が、メカニズムカバー6Aのドラム軸方向外側に配置されて、メカニズムカバー6Aに取り付けられる。カバー部材は、メカニズムカバーユニット6の切替機構60を覆い、制御部材70のドラム軸方向外側で、制御部材70の動きを規制する。
巻取ドラム10からウエビング2が所定の引出長さ引き出されるまで(図30参照)、制御部材70の第1維持部74により、配置部材62が第1位置F1に維持される。このウエビング2の所定の引出長さは、任意の長さに設定される。従って、所定の引出長さは、ウエビング2の全長であってもよく、全長よりも短い長さであってもよい。
伝達孔86は、回転歯車82を貫通する孔であってもよく、回転歯車82を貫通しない孔(回転歯車82に形成された凹みを含む)であってもよい。また、上記したように(図26B参照)、複数の伝達突起87の中心軌跡Z5は、それぞれ回転歯車82の軸線軌跡Z1と同じ直径の円形状をなす。この中心軌跡Z5の条件が満たされる限り、全ての伝達突起87の外径が同じ外径である必要はない。また、伝達孔86は、伝達突起87の外径に対応した内径に形成すればよい。
部品に設定される公差の範囲、又は、部品の組み立ての便宜のために、複数の伝達突起87の実際の半径が、半径Z4よりも若干小さくなることがある。この場合には、ガタが伝達突起87と伝達孔86に発生する。このようにガタがある状態であっても、伝達機構85に3組以上の伝達孔86と伝達突起87を設けることで、3組以上の伝達孔86と伝達突起87が互いのガタを補って、少なくとも1つの伝達突起87が伝達孔86の伝達部により押される。その結果、回転歯車82の回転を制御部材70に確実に伝達することができる。
上記したように(図24参照)、複数の伝達孔86の位置と複数の伝達突起87の位置は、回転歯車82の軸線U3と制御部材70の軸線U4を一致させた状態で互いに一致し、複数の伝達突起87は、それぞれ伝達孔86内に配置されて伝達孔86内で移動する。この伝達孔86と伝達突起87の条件を満たして伝達機構85が作動する限り、全ての伝達孔86を回転歯車82の軸線U3を中心とする同一円上に位置させる必要はない。即ち、全ての伝達孔86を、互いに異なる円上に位置させてもよく、一部の伝達孔86を、他の伝達孔86とは異なる円上に位置させてもよい。同様に、全ての伝達突起87を制御部材70の軸線U4を中心とする同一円上に位置させる必要もない。即ち、全ての伝達突起87を、互いに異なる円上に位置させてもよく、一部の伝達突起87を、他の伝達突起87とは異なる円上に位置させてもよい。
ここでは(図27参照)、4組の伝達孔86と伝達突起87を有する伝達機構85について説明したが、伝達機構85は、2組以上の伝達孔86と伝達突起87を有していればよい。また、複数組の伝達孔86と伝達突起87は、180°以下の任意の間隔で配置することができる。
図35〜図39は、伝達機構85の変形例を示す図であり、図27と同様に、減速機構80と制御部材70の一部を示している。
図35に示す伝達機構85Aは、等角度間隔(180°間隔)に配置された2組の伝達孔86と伝達突起87を有する。図36〜図38に示す伝達機構85B、85C、85Dは、それぞれ3組の伝達孔86と伝達突起87を有する。また、図36に示す伝達機構85Bでは、3組の伝達孔86と伝達突起87は、等角度間隔(120°間隔)に配置されている。図37に示す伝達機構85Cでは、3組の伝達孔86と伝達突起87は、一部の間隔が異なるように配置されている。図38に示す伝達機構85Dでは、3組の伝達孔86と伝達突起87は、全ての間隔が異なるように配置されている。図35〜図38に示す例では、複数組の伝達孔86と伝達突起87が180°以下の間隔で配置されているため、伝達機構85A〜85Dは、上記した伝達機構85と同様に、回転歯車82の回転を制御部材70に常に伝達する。
図39に示す伝達機構85Eは、図37に示す伝達機構85Cと同様に、一部の間隔が異なるように配置された複数組(ここでは、3組)の伝達孔86と伝達突起87を有する。複数の伝達孔86は、回転歯車82の軸線U3を中心とする円周方向に180°以下の間隔で、回転歯車82に形成されている。また、複数の伝達突起87は、制御部材70の軸線U4を中心とする円周方向に180°以下の間隔で、制御部材70に形成されている。
しかしながら、1つの伝達孔86は、他の伝達孔86よりも回転歯車82の軸線U3に近い位置に形成され、1つの伝達突起87は、他の伝達突起87よりも制御部材70の軸線U4に近い位置に形成されている。その結果、図37に示す伝達機構85Cと相違して、図39に示す伝達機構85Eでは、1組の伝達孔86と伝達突起87が、他の2組の伝達孔86と伝達突起87よりも偏心部材81に近い位置に配置される。この場合でも、それぞれ伝達孔86内で移動する複数の伝達突起87により、図37に示す伝達機構85Cと同様に、回転歯車82の回転を制御部材70に常に伝達することができる。
図40〜図43は、伝達機構85の比較例を示す図であり、図27と同様に、減速機構80と制御部材70の一部を示している。
図40〜図42に示す伝達機構85F〜85Hでは、回転歯車82の回転中に、回転歯車82の回転が制御部材70に正確に伝達されずに、各図のバツ印と三角印を付した矢印の箇所で、伝達異常が発生する。また、図43に示す伝達機構85Iでは、回転歯車82と制御部材70の回転が妨げられる。そのため、伝達機構85F〜85Iでは、制御部材70を巻取ドラム10の回転に正確に連動して回転させることができない。
具体的には、図40に示すように、伝達機構85Fは、1組の伝達孔86と伝達突起87を有する。偏心部材81が巻取方向Mに45°から180°まで回転する間は、伝達突起87が伝達孔86の内周(伝達部)から離れる。その結果、伝達突起87が伝達孔86の伝達部により押されず、制御部材70の回転が停止する。続いて、偏心部材81が巻取方向Mに180°から225°まで回転する間に、制御部材70は、停止中の分も含めて、引出方向Pに10°回転する。
図41に示すように、伝達機構85Gは、180°より大きい間隔で配置された2組の伝達孔86と伝達突起87を有する。偏心部材81が巻取方向Mに45°から90°まで回転する間は、伝達突起87が伝達孔86の内周から離れる。その結果、伝達突起87が伝達孔86の伝達部により押されず、制御部材70の回転が停止する。続いて、偏心部材81が巻取方向Mに90°から135°まで回転する間に、制御部材70は、停止中の分も含めて、引出方向Pに5°回転する。
図42に示すように、伝達機構85Hは、等角度間隔(180°間隔)に配置された2組の伝達孔86Aと伝達突起87を有する。伝達孔86Aは、角丸長方形に形成され、2つの半円部と2つの直線部を有する。伝達孔86Aの半円部の内径は、図27に示す伝達孔86の内径と同じ寸法である。偏心部材81が巻取方向Mに135°から180°まで回転する間、及び、偏心部材81が巻取方向Mに315°から360°まで回転する間は、伝達突起87が伝達孔86Aの内周から離れる。その結果、伝達突起87が伝達孔86Aの伝達部により押されず、制御部材70の回転が停止する。また、偏心部材81が巻取方向Mに180°から225°まで回転する間、及び、偏心部材81が巻取方向Mに360°から405°まで回転する間に、制御部材70は、停止中の分も含めて、引出方向Pに5°回転する。
図43に示すように、伝達機構85Iは、等角度間隔(180°間隔)に配置された2組の伝達孔86Bと伝達突起87を有する。伝達孔86Bは、楕円形に形成されている。伝達孔86Bの長径は、図27に示す伝達孔86の直径と同じ寸法であり、伝達孔86Bの短径は、図27に示す伝達孔86の直径よりも小さい寸法である。この伝達機構85Iでは、減速機構80を組み立てた際に、回転歯車82の移動を妨げるように、2つの伝達突起87が、それぞれ伝達孔86Bの内周に接触する。これら2組の伝達孔86Bと伝達突起87により、回転歯車82と制御部材70の回転が妨げられる。
第1実施形態のリトラクタ1では(図24参照)、伝達孔86が回転歯車82に形成され、伝達突起87が制御部材70に形成されている。これに対し、伝達孔86を回転歯車82に形成せずに、制御部材70に伝達孔86を形成してもよい。この場合には、複数の伝達孔86は、制御部材70の軸線U4を中心とする円周方向に180°以下の間隔で、制御部材70に形成される。また、複数の伝達突起87は、回転歯車82の軸線U3を中心とする円周方向に180°以下の間隔で、回転歯車82に形成される。複数の伝達孔86と複数の伝達突起87は、以上説明した伝達孔86と伝達突起87の条件を満たすように形成される。
回転歯車82の回転時に、複数の伝達突起87は、それぞれ伝達孔86内で円滑に移動する。その際、複数の伝達突起87の内の少なくとも1つが、伝達孔86の内周(伝達部)に接触した状態に維持される。また、複数の伝達突起87は、接触する伝達孔86の内周に沿って移動しつつ、伝達孔86の内周を押して、回転歯車82の回転を制御部材70に常に伝達する。回転歯車82の回転中に、伝達孔86の内周は、回転歯車82の回転方向の前側に位置する半分の部分(180°の範囲)(伝達部)において、伝達突起87により回転歯車82の回転方向に押される。
このように、複数の伝達孔86は、回転歯車82又は制御部材70の一方の軸線を中心とする円周方向に180°以下の間隔で、回転歯車82又は制御部材70の一方に形成される。これに対し、複数の伝達突起87は、回転歯車82又は制御部材70の他方の軸線を中心とする円周方向に180°以下の間隔で、回転歯車82又は制御部材70の他方に形成され、回転歯車82の回転時に、それぞれ伝達孔86内で移動する。伝達機構85は、伝達孔86の内周と伝達突起87の外周が接触して、回転歯車82の回転を制御部材70に伝達する。
(第2実施形態)
次に、第1実施形態のリトラクタ1と一部が異なる第2実施形態のリトラクタについて説明する。第2実施形態のリトラクタは、基本的には、第1実施形態のリトラクタ1と同様に構成され、第1実施形態のリトラクタ1と同様の効果を発揮する。従って、以下では、既に説明した事項と相違する事項を説明し、既に説明した事項と同じ事項の説明は省略する。また、第1、第2実施形態のリトラクタの相違点は、切替機構60と加速度センサー3B(第1の加速度検知機構1B)のみであるため、第2実施形態のリトラクタに関しては、切替機構60と加速度センサー3Bについてのみ説明する。
ここで、リトラクタがシートの背もたれに取り付けられている場合には、背もたれを倒したときに、リトラクタが傾いて、加速度センサー3Bの慣性質量体3Eが移動することがある(図21参照)。これに伴い、加速度センサー3Bが車両の加速度を検知したときと同様に、ロック機構9が加速度センサー3Bにより作動して、ウエビング2がリトラクタから引き出せなくなる。その際、シートベルトが無人のシートに装着されていると、背もたれがウエビング2により固定されて、背もたれを起こすのが阻害される。第2実施形態のリトラクタでは、切替機構60の制御部材70により、加速度センサー3Bによるロック機構9の作動を制御して、ウエビング2による背もたれの固定を防止する。
図44は、第2実施形態のリトラクタ101に設けられた加速度センサー3Bを示す図であり、図21と同様に、加速度センサー3Bの一部と噛合パウル13の周辺を示している。図45は、加速度センサー3Bのセンサーレバー3Fを示す斜視図である。
図示のように、第1実施形態のリトラクタ1と同様に、加速度センサー3Bが車両の加速度を検知したときに、慣性質量体3Eが移動して、慣性質量体3Eにより、センサーレバー3Fとロック爪3Gが上方へ移動する(図44B参照)。噛合パウル13は、ロック爪3Gにより上方に押されて、非噛合位置C1から噛合位置C2に移動する。これにより、噛合パウル13がラチェットホイール34の歯33に噛み合い、ロック機構9が作動する。
また、加速度センサー3Bは、ロック爪3Gの先端に制限部3Hを有する。制限部3Hにより、加速度センサー3Bの作動が制限されて、加速度センサー3Bが、ロック機構9を作動しない状態(非作動状態)(図44A参照)に維持される。非作動状態では、ロック爪3Gは、噛合パウル13から離れた位置(噛合パウル13の下方の位置)に配置され、噛合パウル13は、非噛合位置C1に配置される。制限部3Hは、ロック爪3Gからメカニズムカバー6A(図13、図14参照)に向かって突出し、メカニズムカバー6Aを貫通する。
図46、図47は、メカニズムカバーユニット6の側面図であり、図30と同様に、メカニズムカバー6Aと切替機構60を示している。
図示のように、加速度センサー3Bの制限部3Hは、メカニズムカバー6Aに形成された貫通口6Mに挿入されて、貫通口6M内で移動する。加速度センサー3Bがロック機構9を作動しないときには、制限部3Hは、貫通口6Mの下端部に位置する(図46A参照)。また、加速度センサー3Bが車両の加速度を検知したときに、センサーレバー3Fとロック爪3Gの上方への移動により、貫通口6M内で、制限部3Hは、上方に向かって貫通口6Mの上端部まで移動する(図46B参照)。これに伴い、ロック機構9が作動する。
切替機構60は、減速機構80と制御部材70を有する。第1実施形態と同様に、減速機構80により、制御部材70は、巻取ドラム10に対して減速して回転する。制御部材70は、環状部70Bと、制限部3Hを停止する扇形の停止部70Cを有する。停止部70Cは、環状部70Bから制御部材70の半径方向外側に突出し、制御部材70の回転により、開放位置と閉鎖位置に移動する。開放位置(図46参照)では、停止部70Cは、貫通口6Mの全体と重ならず、貫通口6Mの全体を開放する。閉鎖位置(図47参照)では、停止部70Cは、貫通口6Mの所定部(下端部を除く部分)に重なり、貫通孔6Mの所定部を閉鎖する。制限部3Hは、貫通口6Mから停止部70Cに接触する位置まで突出する。
制限部3Hが貫通口6Mの下端部に位置するときに、制御部材70の回転により、停止部70Cは開放位置から閉鎖位置に移動する(図47参照)。停止部70Cが閉鎖位置にある間は、制限部3Hが停止部70Cに接触して、制限部3Hの上方への移動が妨げられ、制限部3Hが停止部70Cにより停止する。その結果、制限部3Hにより、加速度センサー3Bの作動が制限されて、加速度センサー3Bが非作動状態(図44A参照)に維持される。また、リトラクタ101の状態は、加速度センサー3Bによるロック機構9の作動を阻止する阻止状態に維持される。
制御部材70の回転により、停止部70Cは閉鎖位置から開放位置に移動する(図46参照)。停止部70Cが開放位置にある間は、制限部3Hは、停止部70Cに接触せず、貫通口6M内で自由に移動する。その結果、加速度センサー3Bの作動が制限部3Hにより制限されず、車両の緊急時には、加速度センサー3Bがロック機構9を作動させる(図46B、図44B参照)。また、リトラクタ101の状態は、ロック機構9が加速度センサー3Bにより作動する緊急ロック状態に維持される。このように、切替機構60は、回転する制御部材70によりリトラクタ101の状態を制御して、リトラクタ101の状態を緊急ロック状態と阻止状態に切り替える。
ここでは、ウエビング2の巻取ドラム10への巻き取りが完了したときには、停止部70Cが閉鎖位置に配置されて、リトラクタ101の状態が阻止状態になっている。その状態から、巻取ドラム10からウエビング2が所定の引出長さ引き出されることで、停止部70Cが開放位置に移動して、切替機構60が、リトラクタ101の状態を阻止状態から緊急ロック状態に切り替える。従って、乗員がシートベルトを装着するときには、リトラクタ101の状態は緊急ロック状態になる。
緊急ロック状態でウエビング2が巻取ドラム10に巻き取られた際には、切替機構60は、リトラクタ101の状態を緊急ロック状態から阻止状態に切り替える。即ち、ウエビング2が巻取ドラム10に巻き取られる間に、切替機構60により、リトラクタ101の状態が緊急ロック状態から阻止状態に切り替えられる。そのため、背もたれを倒した場合であっても、加速度センサー3Bによりロック機構9が作動せず、上記したウエビング2による背もたれの固定が防止される。また、巻取ドラム10から引き出されるウエビング2の引出長さが所定の引出長さになるまで、リトラクタ101の状態は阻止状態に維持される。
以上説明した切替機構60による切替動作においても、第1実施形態と同様に、偏心部材81を用いて、制御部材70を巻取ドラム10の回転に正確に連動して回転させることができる。そのため、切替機構60により、リトラクタ101の状態を正確に切り替えることができる。なお、第1実施形態と第2実施形態の切替機構60を組み合わせてもよく、この場合には、1つの制御部材70(又は、2つの制御部材70)により、リトラクタの状態を、緊急ロック状態、自動ロック状態、及び、阻止状態に切り替える。
1・・・リトラクタ、1A・・・支持体、1B・・・第1の加速度検知機構、1C・・・第2の加速度検知機構、2・・・ウエビング、3・・・ハウジングユニット、3A・・・プロテクタ、3B・・・加速度センサー、3C・・・センサーカバー、4・・・巻取ドラムユニット、5・・・プリテンショナユニット、6・・・メカニズムカバーユニット、6A・・・メカニズムカバー、6B・・・第1収容部、6C・・・第2収容部、6D・・・ドラム支持部、6E・・・挿入孔、6F・・・開口、6G・・・固定突起、6H・・・外側面、6I・・・第1回転軸、6J・・・第2回転軸、6K・・・貫通口、6L・・・ストッパー、7・・・巻取バネユニット、8・・・ラチェットギヤ、8A・・・ラチェット歯、9・・・ロック機構、9A・・・可動パウル、10・・・巻取ドラム、11・・・トーションバー、12・・・ワイヤ、13・・・噛合パウル、14・・・取付部、15・・・受け部、16・・・噛合爪、20・・・ハウジング、21・・・背板部、22・・・第1側壁部、23・・・第2側壁部、24・・・固定板、25・・・ブラケット、26・・・第1開口部、26A・・・パウル収容部、27・・・第2開口部、30・・・ロッキングギヤ、31・・・軸孔、32・・・ギヤ軸部、33・・・歯、34・・・ラチェットホイール、35・・・アーム支持部、36・・・支持ピン、37・・・ストッパー、40・・・ロックアーム、41、42・・・端部、43・・・貫通孔、45・・センサースプリング、50・・・クラッチ、51・・・内壁、52・・・クラッチギヤ、53・・・外壁、54・・・中心孔、55・・・弾性変形部、56・・・可動突起、57・・・誘導部、58・・・誘導孔、59・・・パウル支持部、60・・・切替機構、61・・・作動部材、62・・・配置部材、63・・・付勢手段、64・・・変位機構、65・・・回転手段、70・・・制御部材、71・・・中心孔、72・・・外周部、73・・・外縁凸部、74・・・第1維持部、75・・・変更部、76・・・移動部、77・・・第2維持部、78・・・解放部、79・・・終端部、80・・・減速機構、81・・・偏心部材、82・・・回転歯車、83・・・固定歯、84・・・固定歯車、85・・・伝達機構、86・・・伝達孔、87・・・伝達突起、101・・・リトラクタ、M・・・巻取方向、P・・・引出方向。

Claims (8)

  1. ウエビングを巻き取る巻取ドラムと、巻取ドラムをウエビングの巻取方向と引出方向に回転可能に支持する支持体と、巻取ドラムの軸線を中心に巻取ドラムに対して相対的に回転する制御部材と、巻取ドラムの回転を減速して制御部材に伝達して制御部材を回転させる減速機構と、を備え、
    減速機構は、巻取ドラムとともに回転する偏心部材と、巻取ドラムの軸線を中心に円形状に配置されて支持体に固定された複数の固定歯と、複数の固定歯の内側で偏心部材と複数の固定歯により巻取ドラムに対して減速して回転する回転歯車と、回転歯車の回転を制御部材に伝達する伝達機構と、を有し、
    回転歯車は、複数の固定歯よりも少ない数の外周歯を有し、巻取ドラムの軸線に対して偏心した状態で回転可能に偏心部材に支持されて、偏心部材の回転に伴い複数の固定歯に沿って移動しつつ各固定歯に順に噛み合って回転するシートベルト用リトラクタであって、
    伝達機構は、回転歯車又は制御部材の一方の軸線を中心とする円周方向に180°以下の間隔で回転歯車又は制御部材の一方に形成された円形状の複数の伝達孔と、回転歯車又は制御部材の他方の軸線を中心とする円周方向に180°以下の間隔で回転歯車又は制御部材の他方に形成され、回転歯車の回転時に、それぞれ伝達孔内で移動する複数の伝達突起と、を有し、伝達孔の内周と伝達突起の外周が接触して、回転歯車の回転を制御部材に伝達するシートベルト用リトラクタ。
  2. 請求項1に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    複数の伝達孔の位置と複数の伝達突起の位置は、回転歯車の軸線と制御部材の軸線を一致させた状態で互いに一致し、
    複数の伝達突起は、それぞれ伝達孔内に配置されて伝達孔内で移動するシートベルト用リトラクタ。
  3. 請求項1又は2に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    伝達孔の内周に接触して移動する伝達突起の中心軌跡が、複数の固定歯に沿って移動する回転歯車の円形状の軸線軌跡と同じ直径の円形状をなすシートベルト用リトラクタ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    複数の伝達孔は、同じ内径の円形状に形成されて、回転歯車又は制御部材の一方の軸線を中心とする同一円の円周方向に等角度間隔に配置され、
    複数の伝達突起は、同じ外径の円柱状に形成されて、回転歯車又は制御部材の他方の軸線を中心とする同一円の円周方向に等角度間隔に配置されたシートベルト用リトラクタ。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    巻取ドラムの引出方向の回転を止めるロック機構と、
    車両の緊急時に、車両の加速度、又は、巻取ドラムから引き出されるウエビングの引き出しの加速度を検知して、ロック機構を作動させる加速度検知機構と、
    回転する制御部材によりリトラクタの状態を制御して、リトラクタの状態を、ロック機構が加速度検知機構により作動する緊急ロック状態とロック機構が常に作動する自動ロック状態とに切り替える切替手段と、
    を備えたシートベルト用リトラクタ。
  6. 請求項5に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    制御部材は、巻取ドラムから引き出されたウエビングの引出長さ、及び、巻取ドラムに巻き取られたウエビングの巻取長さに対応して回転して、リトラクタの状態を制御し、
    切替手段は、巻取ドラムからウエビングが所定の引出長さ引き出されることで、リトラクタの状態を緊急ロック状態から自動ロック状態に切り替え、自動ロック状態でウエビングが巻取ドラムに所定の巻取長さ巻き取られることで、リトラクタの状態を自動ロック状態から緊急ロック状態に切り替えるシートベルト用リトラクタ。
  7. 請求項1ないし4のいずれかに記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    巻取ドラムの引出方向の回転を止めるロック機構と、
    車両の緊急時に、車両の加速度を検知してロック機構を作動させる加速度検知機構と、
    回転する制御部材によりリトラクタの状態を制御して、リトラクタの状態を、ロック機構が加速度検知機構により作動する緊急ロック状態と加速度検知機構によるロック機構の作動を阻止する阻止状態とに切り替える切替手段と、
    を備えたシートベルト用リトラクタ。
  8. 請求項7に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    制御部材は、巻取ドラムから引き出されたウエビングの引出長さ、及び、巻取ドラムに巻き取られたウエビングの巻取長さに対応して回転して、リトラクタの状態を制御し、
    切替手段は、巻取ドラムからウエビングが所定の引出長さ引き出されることで、リトラクタの状態を阻止状態から緊急ロック状態に切り替え、緊急ロック状態でウエビングが巻き取りドラムに巻き取られた際には、リトラクタの状態を緊急ロック状態から阻止状態に切り替えるシートベルト用リトラクタ。
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