JP2015148183A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、このような潤滑を行うには、オイルジェットを新設したり、チェーンテンショナーから油が漏れるように設計したりする必要があり、内燃機関の構造が複雑化する問題があった。また、バルブタイミング調整装置の内部を潤滑する潤滑油とは別に油を供給することになり、油の消費量が増大し、エンジンの動力損失が大きくなる問題があった。
本発明は、特に第1回転体に特徴がある。第1回転体は、スプロケットに対し径方向内側であって軸方向で当該スプロケットと重なる位置に、潤滑油を外部に排出する排出口を有している。
本明細書において、「軸方向でスプロケットと重なる位置に排出口が位置している」とは、スプロケットの軸方向範囲の端に排出口の縁が位置している場合も含む。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1に示す。バルブタイミング調整装置10は、内燃機関100のクランクシャフト101に対しカムシャフト102を相対回転させることによって、カムシャフト102が開閉駆動する図示しない吸気弁のバルブタイミングを調整するものであり、クランクシャフト101からカムシャフト102までの駆動力伝達系に設けられている。クランクシャフト101は、特許請求の範囲に記載の「駆動軸、第1軸」であり、カムシャフト102は、特許請求の範囲に記載の「従動軸、第2軸」であり、吸気弁は、特許請求の範囲に記載の「バルブ」である。
先ず、バルブタイミング調整装置10の全体構成について図1〜図4を参照して説明する。便宜上、図2〜図4には、後述のボルト43等の図示を省略している。
図1に示すように、バルブタイミング調整装置10は、モータ105により駆動される電動式であり、ハウジング20、ロータ40、偏心軸45および遊星回転体50を備えている。ハウジング20は、フロントハウジング21、リアハウジング25および中間ハウジング29から構成されている。モータ105は、例えば図示しないチェーンカバーに固定される。
フロントハウジング21、中間ハウジング29およびリアハウジング25は、ボルト33によって互いに固定されている。
次に、バルブタイミング調整装置10の特徴構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、フロントハウジング21の筒部22は、軸方向で中間ハウジング29とは反対側の一端部がモータ105に対し径方向外側に被さるように設けられている。フロントハウジング21のフランジ部23は、筒部22の他端部から突き出している。フロントハウジング21は、モータ105との間に第1排出油路61および第2排出油路62を区画している。
以上説明したように、第1実施形態では、ハウジング20は、外壁にスプロケット24を一体に形成し、またスプロケット24に対し径方向内側であって軸方向で当該スプロケット24と重なる位置に潤滑油の排出口65を有している。
このように構成することで、位相可変機構55および軸受32、47を潤滑したあと排出口65から排出される潤滑油は、遠心力により飛ばされ、排出口65に対し径方向外側に位置するスプロケット24およびチェーン103にかかる。特に、第1実施形態のように、フロントハウジング21の軸方向の一端にスプロケット24が形成され、当該一端の開口が排出口65に設定される場合、排出口65から排出された潤滑油の少なくとも一部は、フロントハウジング21の一端面66を伝ってスプロケット24およびチェーン103に確実に供給される。
これにより、ハウジング20内から外部に至るまでの油排出経路は、排出口65で絞られている。したがって、第1排出油路61および第2排出油路62に潤滑油が留まり易くなる。留まった潤滑油は、位置が固定されているモータ105に対してフロントハウジング21が相対回転することによってかき混ぜられる。そのため、潤滑油による冷却効果が高まる。さらに、ハウジング20内の潤滑油がすぐに流れ出ることが抑制されるので、油の消費量を低減することができる。
第1実施形態のように、ハウジング20の囲いの中に内歯車31を形成しつつ、スプロケット24をモータ105側に配置する構成において、製造コストの面でハウジング20を軸方向で分割せざるを得ない場合に、調芯部材73を設けることでカムシャフト102とスプロケット24との同軸度を高めることができる。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置について図5を参照して説明する。
図5に示すように、バルブタイミング調整装置80では、ハウジング81のフロントハウジング82の筒部83は、スプロケット24の軸方向中央部に排出口84を有している。排出口84は、筒部83を径方向へ貫通している貫通孔85の出口である。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置について図6を参照して説明する。
図6に示すように、バルブタイミング調整装置90では、ハウジング91のフロントハウジング92の筒部93は、当該筒部93を径方向へ貫通する貫通孔94の出口に排出口95を有している。排出口95は、一端面66側の縁が軸方向でスプロケット24と重なる位置に形成されている。
本発明の他の実施形態では、ハウジングは、3つに分割されず、1つまたは2つの部材から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジングは、軸方向でモータに被さっていなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジング内から排出口に至るまでの油排出経路の流路断面積は、一定であってもよいし、徐々に大きくなっていてもよい。
前述の実施形態では、位相可変機構55は、内歯車とこれに内接する遊星回転体とから構成される変速部を2つ備えていた。これに対し、本発明の他の実施形態では、位相可変機構は、変速部を1つだけ備えていてもよいし、3つ以上備えていてもよい。また、本発明の他の実施形態では、他の型式の減速機が設けられてもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整装置は、内燃機関の排気バルブのバルブタイミングを調整するものであってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
20、81、91・・・第1回転体
24 ・・・スプロケット
40 ・・・第2回転体
44 ・・・第2供給油路
55 ・・・位相可変機構
65、84、95・・・排出口
100 ・・・内燃機関
101 ・・・駆動軸
102 ・・・従動軸
103 ・・・チェーン
104 ・・・第1供給油路
105 ・・・モータ
Claims (5)
- 内燃機関(100)の駆動軸(101)から従動軸(102)までの駆動力伝達系に設けられ、従動軸が開閉駆動するバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10、80、90)であって、
駆動軸および従動軸の一方を第1軸とし、他方を第2軸とすると、
筒状であり、外壁にスプロケット(24)を一体に形成し、当該スプロケットに巻き掛けられるチェーン(103)により前記第1軸に連結され、前記第1軸に連動して回転可能な第1回転体(20、81、91)と、
前記第1回転体の一端部(25)側に設けられ、前記第1回転体に対し相対回転可能であり、前記第2軸に固定され当該第2軸と一体に回転可能であり、前記第2軸の第1供給油路(104)に接続される第2供給油路(44)を有している第2回転体(40)と、
前記第1回転体内に設けられ、前記第1回転体と前記第2回転体とを回転伝達可能に連結し、前記第1回転体の他端部(21、82、92)側に設けられるモータ(105)により回転駆動されると前記第1回転体に対する前記第2回転体の回転位相を変更することができ、前記第2供給油路から供給される潤滑油により潤滑される位相可変機構(55)と、
を備え、
前記第1回転体は、前記スプロケットに対し径方向内側であって軸方向で当該スプロケットと重なる位置に、潤滑油を外部に排出する排出口(65、84、95)を有していることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記第1回転体は、前記モータに対し径方向外側に被さるとともに前記スプロケットを一体に形成している第1筒部(22、83、93)と、当該第1筒部から径方向内側に突き出して前記位相可変機構を支持している第1フランジ部(23)と、を有し、
前記第1フランジ部は、軸方向で当該第1フランジ部と対向する前記モータの側壁面(63)との間に、潤滑油を前記排出口に導く第1排出油路(61)を区画し、
前記第1筒部は、径方向で当該第1筒部と対向する前記モータの外壁面(64)との間に、潤滑油を前記排出口に導く第2排出油路(62)を区画していることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記排出口の開口面積は、前記第1排出油路の流路断面積の最大値より小さいことを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第1回転体の前記第1フランジ部は、前記側壁面とは反対側に凹んで前記第1排出油路の流路断面積を拡大している凹部(67)を有することを特徴とする請求項3に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記第1回転体は、前記第1筒部および前記第1フランジ部から構成されているフロントハウジング(21、82、92)と、前記第2回転体に対し径方向外側に位置している第2筒部(26)、および、前記第2筒部から径方向内側に突き出して前記第2軸に嵌合している第2フランジ部(27)から構成されているリアハウジング(25)と、前記フロントハウジングと前記リアハウジングとの間に設けられている環状の中間ハウジング(29)と、を有し、
前記位相可変機構は、前記モータの出力軸(106)に連結され、当該出力軸に対し偏心する偏心部(46)を有している偏心軸(45)と、前記出力軸と同軸上に位置し、前記中間ハウジングと一体に形成されている内歯車(31)と、前記内歯車と噛み合い、前記偏心軸により前記偏心部まわりに回転可能に支持され、前記出力軸が回転すると、前記内歯車との噛み合い位置を変えながら前記出力軸まわりに公転しつつ、前記出力軸の回転に対し減速して前記偏心部まわりに回転する遊星回転体(50)と、前記遊星回転体の前記偏心部まわりの回転を前記第2回転体に伝達する回転伝達手段(52、41)と、を有し、
前記フロントハウジングの外壁面(71)、前記中間ハウジングの外壁面(72)、および前記リアハウジングの外壁面(68)に嵌合している筒状の調芯部材(73)をさらに備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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