JP2014074388A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】静粛性及び応答性の両立。
【解決手段】バルブタイミング調整装置1は、クランク軸と連動して回転する駆動回転体10、並びにカム軸2と連動して回転する従動回転体20を有し、それら駆動回転体10及び従動回転体20間の相対位相を調整する歯車減速機構8であって、歯車部18,22,52,54の噛合箇所を潤滑する潤滑油が内燃機関から内部に導入され、当該潤滑油を外部へ排出する排出出口86を形成する歯車減速機構8と、排出出口86を閉塞する閉塞位置、並びに排出出口86を開放する開放位置が規定され、それら閉塞位置及び開放位置の間を往復移動する可動体92と、内燃機関が設定温度Ts以上の高温状態になると、可動体92を閉塞位置に付勢する一方、内燃機関が設定温度Ts未満の低温状態になると、可動体92を開放位置に付勢する感温体94と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置に、関する。
従来、クランク軸及びカム軸のうち一方と他方とに連動して回転する連動回転体間の相対位相を、歯車減速機構により調整するようにしたバルブタイミング調整装置が、知られている。こうした装置の一種として特許文献に開示のものでは、内燃機関から歯車減速機構内部へ潤滑液を導入することで、歯車要素の噛合箇所を潤滑して、耐久性を高めている。
特開2009−209794号公報
さて、特許文献1の開示装置では、クランク軸との駆動回転体を軸受する軸受等には、潤滑液を外部へ排出する排出出口が、形成されている。このように排出出口から常に潤滑液が排出される構成では、歯車減速機構の内部に潤滑液が滞留し難くなる。その結果、歯車要素の噛合箇所に生じる隙間が少しでも増大すると、歯車要素同士の当接により異音を発生させるおそれがあるため、静粛性の点で望ましくない。
そこで、歯車減速機構の排出出口を常に閉塞する方策も、考えられる。しかし、かかる方策は、内燃機関の温度が低下して潤滑液の粘度が上昇した場合に、歯車要素の回転を阻害してしまうため、応答性の点で望ましくない。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、静粛性及び応答性を両立させるバルブタイミング調整装置を、提供することにある。
本発明は、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸(2)が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、クランク軸及びカム軸の一方と連動して回転する第一連動回転体(10)、並びにクランク軸及びカム軸の他方と連動して回転する第二連動回転体(20)を有し、それら第一連動回転体及び第二連動回転体間の相対位相を調整する歯車減速機構(8)であって、歯車要素(18,22,52,54)の噛合箇所を潤滑する潤滑液が内燃機関から内部に導入され、当該潤滑液を外部へ排出する排出出口(86)を形成する歯車減速機構と、排出出口を閉塞する閉塞位置、並びに排出出口を開放する開放位置が規定され、それら閉塞位置及び開放位置の間を往復移動する可動体(92)と、内燃機関が設定温度(Ts)以上の高温状態になると、可動体を閉塞位置に付勢する一方、内燃機関が設定温度未満の低温状態になると、可動体を開放位置に付勢する感温体(94)と、を備えることを特徴とする。
このような本発明では、内燃機関が設定温度以上の高温状態になると、歯車減速機構の排出出口を閉塞する閉塞位置に、可動体が感温体により付勢される。これによれば、粘度の低い潤滑液が歯車減速機構の内部に滞留し易くなるので、歯車要素の回転阻害を招くことなく、歯車要素の当接による異音の発生を抑制できる。
一方、内燃機関が設定温度未満の低温状態になると、本発明では、歯車減速機構の排出出口を開放する開放位置に、可動体が感温体により付勢される。これによれば、粘度の高くなった潤滑液を排出出口から外部へ排出させて、歯車要素の回転阻害を抑制できる。しかも内燃機関は、始動時には低温状態にあるが、始動後の通常運転時には高温状態へと移行し得るので、歯車要素の当接による異音の発生が潤滑液の排出により懸念される期間を、可及的に短縮できる。
以上のことから本発明は、静粛性及び応答性の両立を可能にするのである。
また、本発明のさらなる特徴として、感温体は、熱膨張率の高低が異なる高膨張層(94a)及び低膨張層(94b)を有するバイメタルであり、低膨張層は、高膨張層の排出出口側に積層されて可動体を付勢する。
この特徴のように、感温体として高低の膨張層を有するバイメタルは、内燃機関が設定温度以上の高温状態になると、高膨張層が排出出口側の低膨張層よりも大きく膨張することで、可動体を当該排出出口側の閉塞位置へ確実に付勢できる。一方、感温体としてのバイメタルは、内燃機関が設定温度未満の低温状態になると、高膨張層が排出出口側の低膨張層よりも大きく収縮することで、当該排出出口側とは反対側の開放位置へと確実に可動体を付勢できる。これらの付勢作用によれば、内燃機関の温度に応じた排出出口の開閉を的確に制御して、静粛性及び応答性の両立を確固たるものとなし得るのである。
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置の基本構成を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1の要部を拡大して示す断面図である。 図4の開閉構造の作動を説明するための断面模式図である。 図4の開閉構造の作動を説明するための断面模式図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置1は、車両において内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に、設置されている。尚、本実施形態においてカム軸2は、内燃機関の「動弁」のうち吸気弁(図示しない)を機関トルクの伝達によって開閉するものであり、装置1は、当該吸気弁のバルブタイミングを調整する。
(基本構成)
以下、装置1の基本構成について説明する。装置1は、アクチュエータ4、通電制御回路部7及び歯車減速機構8等を組み合わせてなる。
アクチュエータ4は、例えばブラシレスモータ等の電動モータであり、内燃機関の固定節に固定されるケース5と、当該ケース5により正逆回転自在に支持される制御軸6とを有している。通電制御回路部7は、例えば駆動ドライバ及びその制御用マイクロコンピュータ等から構成され、ケース5の外部及び/又は内部に配置されてアクチュエータ4と電気的に接続されている。通電制御回路部7は、アクチュエータ4への通電を制御することで、制御軸6を回転駆動する制御トルクを発生する。
歯車減速機構8は、「第一連動回転体」としての駆動回転体10、「第二連動回転体」としての従動回転体20、遊星キャリア40及び遊星歯車50を備えている。
図1〜3に示すように、全体として中空状に形成される駆動回転体10は、歯車減速機構8の他の構成要素20,40,50を、内部の収容室82に収容している。駆動回転体10は、伝達部材13、筒部材15、歯車部材12及びカバー部材14を、カム軸2側からこの順で螺子止めしてなる。有底円筒状の歯車部材12は、歯底円の内周側に歯先円を有する駆動側内歯車部18を、周壁部に形成している。
図1,3に示すように有底円筒状の伝達部材13は、周壁部から径方向外側へ突出する複数のスプロケット歯19を、周方向に等間隔に有している。伝達部材13は、それらスプロケット歯19とクランク軸の複数のスプロケット歯との間でタイミングチェーン(図示しない)が掛け渡されることで、クランク軸と連繋する。かかる連繋形態により、クランク軸の機関トルクがタイミングチェーンを通じて伝達部材13に伝達されるときには、駆動回転体10がクランク軸と連動して周方向の一側(図2の反時計方向且つ図3の時計方向)に回転する。
有底円筒状の従動回転体20は、円筒状の筒部材15に同軸上に内嵌することで、駆動回転体10を相対回転可能に支持している。従動回転体20は、カム軸2に同軸上に連結される連結部21を、底壁部に形成している。このような支持並びに連結形態により従動回転体20は、カム軸2と連動して駆動回転体10と同じ周方向の一側(図3の時計方向)に回転しつつ、当該回転体10に対しては周方向の両側に相対回転可能となっている。
従動回転体20はさらに、歯底円の内周側に歯先円を有する従動側内歯車部22を、周壁部に形成している。従動側内歯車部22は、駆動側内歯車部18に対して軸方向にずれて配置されている。従動側内歯車部22の内径は駆動側内歯車部18の内径よりも小さく設定され、また従動側内歯車部22の歯数は駆動側内歯車部18の歯数よりも少なく設定されている。
図1〜3に示すように円筒状の遊星キャリア40は、周壁部において回転体10,20及び制御軸6と同軸上の内周壁面に、入力部41を形成している。入力部41には、継手43の嵌合する嵌合溝42が設けられ、当該継手43を介して制御軸6が遊星キャリア40と連結されている。かかる連結形態により遊星キャリア40は、制御軸6と一体となって周方向両側に回転しつつ、駆動側内歯車部18に対しては周方向両側に相対回転可能となっている。
図1に示すように遊星キャリア40は、周壁部において回転体10,20及び制御軸6と同軸上の内周壁面に、同軸支持部44を形成している。同軸支持部44は、歯車部材12の底壁部の中心孔17を軸受する転がり軸受45を介して、駆動回転体10を相対回転可能に支持している。
図1〜3に示すように遊星キャリア40は、周壁部において回転体10,20及び制御軸6とは偏心する外周壁面に、偏心支持部46を形成している。偏心支持部46は、遊星歯車50の中心孔51を軸受する転がり軸受47を介して、遊星歯車50を遊星運動可能に支持している。ここで遊星運動とは、遊星歯車50が偏心支持部46の偏心軸線周りに自転しつつ、遊星キャリア40の回転軸線周りに公転する運動をいう。
段付円筒状の遊星歯車50は、歯底円の外周側に歯先円を有する駆動側外歯車部52と従動側外歯車部54とを、それぞれ周壁部の大径部分と小径部分とに形成している。駆動側外歯車部52及び従動側外歯車部54の歯数は、それぞれ駆動側内歯車部18及び従動側内歯車部22の歯数よりも同数ずつ少なく設定されている。駆動側外歯車部52は、駆動側内歯車部18の内周側に偏心して配置され、当該内歯車部18と噛合している。従動側外歯車部54は、駆動側外歯車部52から軸方向にずれて且つ従動側内歯車部22の内周側に偏心して配置され、当該内歯車部22と噛合している。
このように回転体10,20間を遊星歯車50により歯車連繋してなる差動歯車式の歯車減速機構8は、制御軸6に与えられる制御トルクに従って、駆動回転体10に対する従動回転体20の相対位相を回転体間位相として調整する。バルブタイミングは、かかる回転体間位相の調整により、内燃機関の運転状況に適したタイミングとなる。
ここで具体的には、制御軸6が駆動回転体10と同速に回転することで、遊星キャリア40が駆動側内歯車部18に対して相対回転しないとき、遊星歯車50は、遊星運動することなく回転体10,20と共に回転する。その結果、回転体間位相は変化しないので、バルブタイミングが保持される。一方、制御軸6が駆動回転体10よりも高速に回転することで、遊星キャリア40が駆動側内歯車部18に対する進角側へ相対回転するときには、遊星歯車50が遊星運動して、従動回転体20が駆動回転体10に対する進角側へと相対回転する。その結果、回転体間位相は進角側へ変化するので、バルブタイミングが進角する。また一方、制御軸6が駆動回転体10に対して低速に又は逆方向に回転することで、遊星キャリア40が駆動側内歯車部18に対する遅角側へ相対回転するときには、遊星歯車50が遊星運動して、従動回転体20が駆動回転体10に対する遅角側へと相対回転する。その結果、回転体間位相は遅角側へ変化するので、バルブタイミングが遅角する。
(潤滑構造)
図1,4に示すように装置1は、歯車減速機構8の内部を潤滑するために、潤滑構造80を備えている。潤滑構造80は、「潤滑液」として内燃機関からエンジン潤滑油が導入される収容室82に、導入入口84及び排出出口86を組み合わせてなる。
具体的に従動回転体20は、連結部21を貫通することで駆動回転体10内部の収容室82に開口する導入入口84を、有している。図1に示すように導入入口84は、内燃機関においてクランク軸の機関トルクにより駆動されるメカポンプ9の吐出口9aに対し、カム軸2の導入通路2aを介して連通している。こうした構成により内燃機関の運転中は、内燃機関のメカポンプ9から導入通路2aに吐出された潤滑油が、導入入口84を通じて収容室82に導入される。さらに、収容室82に導入された潤滑油は、図5,6に二点鎖線矢印で示すように、金属製の「歯車要素」である内歯車部22,18と外歯車部54,52との各噛合箇所や、金属製の転がり軸受47,45等に順次供給されることになる。
ここで、図4に示すように転がり軸受45,47は、開放型のラジアル玉軸受であり、それぞれ内部が軸方向の一端45a,47aと他端45b,47bとにて円環孔状に開放されている。転がり軸受45の一端45aは、転がり軸受47の他端47bと軸方向に対向しているのに対し、転がり軸受45の他端45bは、駆動回転体10の外部に連通する円環板状カバー部材14の内周側空間へと向かって、開口している。こうした構成により、転がり軸受47の一端47aまで供給された潤滑油は、図5に二点鎖線矢印で示すように、転がり軸受47の他端47bから転がり軸受45の一端45aに供給され、さらに転がり軸受45の他端45bから外部に排出される。即ち本実施形態では、転がり軸受45の他端45bにおいて潤滑油を外部に排出する開放部分が、円環孔状の排出出口86を形成しているのである。
(開閉構造)
図1,4に示すように装置1は、内燃機関の温度に応じて排出出口86を開閉するために、開閉構造90を備えている。開閉構造90は、可動体92及び感温体94を組み合わせてなる。
金属製の可動体92は、排出出口86と同軸の円環板状に形成され、転がり軸受45の他端45bと対向する軸方向に往復移動可能に、配置されている。可動体92の内径は、排出出口86の内径よりも小さく設定されていると共に、可動体92の外径は、排出出口86の外径よりも大きく設定されている。これらの内外径設定により可動体92は、図6に示すように転がり軸受45の他端45bと軸方向に面接触する閉塞位置へと移動することで、排出出口86を径方向及び周方向の全域にて閉塞する。一方で可動体92は、図5に示すように転がり軸受45の他端45bから軸方向に離間する開放位置へと移動することで、排出出口86を径方向及び周方向の全域にて開放する。
ここで、図4に示すように本実施形態では、転がり軸受45よりも径方向の外側領域Aoに、内歯車部18と外歯車部52との噛合箇所が位置している。かかる位置形態により、可動体92が転がり軸受45の排出出口86を閉塞するときには、転がり軸受47を通過した潤滑油を、内歯車部18と外歯車部52との噛合箇所へと導いて滞留させることが、可能となるのである。
このような可動体92に対して、バイメタルからなる感温体94は、図5に示すように排出出口86と同軸の円環板状に形成され、可動体92を軸方向に挟んで転がり軸受45とは反対側に、配置されている。感温体94の外周部は、可動体92の外周部に嵌合固定されているのに対し、感温体94の外周部は、カバー部材14の内周部に嵌合固定されている。感温体94は、熱膨張率の高低が異なる高膨張層94a及び低膨張層94bを、有している。低膨張層94bは、高膨張層94aよりも線膨張係数が低く、且つ高膨張層94aの排出出口86側に積層されている。
以上の構成により開閉構造90では、図6に示すように内燃機関の温度Tが設定温度Ts以上となるとき、高膨張層94aが低膨張層94bよりも大きく膨張することで、排出出口86側の閉塞位置に可動体92が付勢される。一方、図5に示すように内燃機関の温度Tが設定温度Ts未満となるときには、高膨張層94aが低膨張層94bよりも大きく収縮することで、図6に示す排出出口86とは反対側の開放位置に可動体92が付勢される。尚、設定温度Tsは、始動後の内燃機関が異音抑制の必要な通常運転状態となるときの下限温度T、例えば5℃に予め設定される。
(作用効果)
ここまで説明した装置1の作用効果を、以下に説明する。
装置1では、内燃機関が設定温度Ts以上の高温状態になると、歯車減速機構8の排出出口86を閉塞する閉塞位置に、可動体92が感温体94により付勢される。これによれば、粘度の低い潤滑油が歯車減速機構8の内部に滞留し易くなるので、歯車部18,22,52,54の回転阻害を招くことなく、歯車部18,52の当接又は歯車部22,54の当接による異音の発生を抑制できる。
一方、内燃機関が設定温度Ts未満の低温状態になると、装置1では、歯車減速機構8の排出出口86を開放する開放位置に、可動体92が感温体94により付勢される。これによれば、粘度の高くなった潤滑油を排出出口86から外部へ排出させて、歯車部18,22,52,54の回転阻害を抑制できる。しかも、上述した設定温度Tsの設定により内燃機関は、始動時には低温状態にあるが、始動後の通常運転時には高温状態へと移行し得るので、歯車部18,52の当接又は歯車部22,54の当接に異音の発生が潤滑油の排出により懸念される期間を、可及的に短縮できる。
以上のことから装置1は、静粛性及び応答性の両立を可能にするのである。
また、感温体94として高低の膨張層94a,94bを有するバイメタルは、内燃機関が設定温度Ts以上の高温状態になると、高膨張層94aが排出出口86側の低膨張層94bよりも大きく膨張することで、可動体92を当該排出出口86側の閉塞位置へ確実に付勢できる。一方、感温体94としてのバイメタルは、内燃機関が設定温度Ts未満の低温状態になると、高膨張層94aが排出出口86側の低膨張層94bよりも大きく収縮することで、当該排出出口86側とは反対側の開放位置へと確実に可動体92を付勢できる。これらの付勢作用によれば、内燃機関の温度に応じた排出出口86の開閉を的確に制御して、静粛性及び応答性の両立を確固たるものとなし得るのである。
さらに、各回転体10,20の回転に伴って遠心力が作用する潤滑油は、駆動回転体10を軸受する転がり軸受45の排出出口86が閉塞されると、当該転がり軸受45よりも径方向の外側領域Aoに滞留し易くなる。故に、外側領域Aoに位置する内歯車部18及び外歯車部52の噛合箇所では、排出出口86が閉塞される高温状態での低粘度の潤滑油により、特に歯車部18,52の回転阻害を招くことなく、異音の抑制機能を発揮できる。したがって、静粛性及び応答性の両立に貢献可能となるのである。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
具体的に変形例1としては、開放型のラジアルころ軸受を転がり軸受45,47の少なくとも一方に採用してもよい。また、変形例2として、排出出口86を転がり軸受45以外に形成してもよく、その場合には、潤滑液を予封入した封入型の転がり軸受や、滑り軸受を転がり軸受45,47の少なくとも一方に採用してもよい。
さらに、変形例3としては、内燃機関の温度に応じて可動体92を閉塞位置と開放位置とに付勢可能な感温体94であれば、バイメタル以外のものを利用して開閉構造90を構成してもよい。またさらに、変形例4としては、クランク軸により駆動されるメカポンプ9からではなく、電動ポンプから吐出されるエンジン潤滑油を「潤滑液」に採用してもよい。
加えて、変形例5としては、回転体10をカム軸2と連動回転させると共に、回転体20をクランク軸と連動回転させてもよい。また加えて、変形例6としては、回転体10,20間の相対位相である回転体間位相を調整可能なものであれば、上述した差動歯車式以外の構造の歯車減速機構8を採用してもよい。
さらに加えて、変形例7として本発明は、吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用可能である。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、2a 導入通路、8 歯車減速機構
9 メカポンプ、9a 吐出口、10 駆動回転体、18 駆動側内歯車部、20 従動回転体、22 従動側内歯車部、45,47 転がり軸受、52 駆動側外歯車部、54 従動側外歯車部、80 潤滑構造、82 収容室、84 導入入口、86 排出出口、90 開閉構造、92 可動体、94 感温体、94a 高膨張層、94b 低膨張層
Ao 外側領域、T 温度、Ts 設定温度

Claims (3)

  1. 内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸(2)が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
    前記クランク軸及び前記カム軸の一方と連動して回転する第一連動回転体(10)、並びに前記クランク軸及び前記カム軸の他方と連動して回転する第二連動回転体(20)を有し、それら第一連動回転体及び第二連動回転体間の相対位相を調整する歯車減速機構(8)であって、歯車要素(18,22,52,54)の噛合箇所を潤滑する潤滑液が前記内燃機関から内部に導入され、当該潤滑液を外部へ排出する排出出口(86)を形成する歯車減速機構と、
    前記排出出口を閉塞する閉塞位置、並びに前記排出出口を開放する開放位置が規定され、それら閉塞位置及び開放位置の間を往復移動する可動体(92)と、
    前記内燃機関が設定温度(Ts)以上の高温状態になると、前記可動体を前記閉塞位置に付勢する一方、前記内燃機関が設定温度未満の低温状態になると、前記可動体を前記開放位置に付勢する感温体(94)と、
    を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記感温体は、熱膨張率の高低が異なる高膨張層(94a)及び低膨張層(94b)を有するバイメタルであり、
    前記低膨張層は、前記高膨張層の前記排出出口側に積層されて前記可動体を付勢することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記歯車減速機構は、前記第一連動回転体を軸受する転がり軸受(45)を有し、当該転がり軸受に前記排出出口を形成し、
    前記噛合箇所(18,52)は、前記転がり軸受よりも径方向の外側領域(Ao)に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
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