JP2015147922A - 複合砥粒とその製造方法と研磨方法と研磨装置 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、本発明は、環境に影響の少ないスラリーを使用して、サファイアを湿式研磨する、研磨方法と研磨装置を提供することを目的とする。
サファイアを湿式研磨するための砥粒であって、モース硬度が7以上9以下の粒子状の第1の研磨剤と、上記被研磨材に対してメカノケミカルな作用を有する粒子状の第2の研磨剤と、スラリーのために使用する純水に対して難溶性のものであって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる粒子状の摩擦熱反応剤の混合物が、メカニカルアロイ法により直接結合され粒子状に一体化されている複合砥粒。
上記第1の研磨剤は、Al2O3、ZrSiO4またはZrO2であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める構成1に記載の複合砥粒。
上記第2の研磨剤は、Cr2O3、Fe2O3、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める構成1に記載の複合砥粒。
上記第2の研磨剤としてSiO2を選択したとき、上記第1の研磨剤として、SiO2よりもモース硬度が大きいものが選択される構成1に記載の複合砥粒。
上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO4)2、Li3PO4及びAlK(SO4)2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める構成1に記載の複合砥粒。
上記第1の研磨剤は、Al2O3、ZrSiO4またはZrO2であって、上記第2の研磨剤は、Cr2O3、Fe2O3、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO4)2、Li3PO4及びAlK(SO4)2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料である構成1に記載の複合砥粒。
構成1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化させた複合砥粒。
構成1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化する複合砥粒の製造方法。
純水中に構成1または6に記載の複合砥粒を分散させたスラリーを使用して、上記被研磨材を湿式研磨する研磨方法。
100ミリリットルの純水中に上記複合砥粒を15重量パーセントの濃度で分散させてスラリーを構成したとき、摂氏25度におけるpHが5以上9以下となるように構成1または6に記載の複合砥粒の配合を選定した、サファイアを湿式研磨する研磨方法。
構成1または6に記載の複合砥粒のみかけ比容(静置法)が、0.5ml/g以上200ml/g以下であるようにした、サファイアを湿式研磨するためのスラリー。
合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に構成9乃至11のいずれかに記載のスラリーを供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に構成1または6に記載の複合砥粒を分散させて固定し、かつ、上記パッド上に純水を供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
研磨スラリーの温度を調整する温度制御装置を設けた構成12または13に記載の研磨装置。
複合砥粒に光を照射する手段を備えた構成12または13に記載の研磨装置。
2種の研磨剤と摩擦熱反応剤とが、機械的エネルギにより直接結合され粒子状に一体化されている。粒子間の結合エネルギが大きいので、研磨処理中に砥粒が分解することがない。いずれの砥粒も複合砥粒の外表面に露出しており、研磨処理中に被研磨材と直接接触する。複合砥粒の外表面と被研磨材との摩擦により発生する熱で摩擦熱反応剤が反応し、第2の研磨剤のメカノケミカルな作用を促進し、研磨レートを向上させることができる。メカニカルアロイ法は、機械的エネルギにより直接結合された複合砥粒を製造するための最適な方法である。
<構成9の効果>
純水中に複合砥粒を分散させたスラリーは、環境に対する影響が小さい。
<構成11の効果>
純水中に分散させるのに最適な比重の複合砥粒が得られる。
<構成12の効果>
被研磨材をパッドに弾力を用いて押しつけると、パッドの上面に分散した複合砥粒と被研磨材との間の圧力を高めて、摩擦熱を効果的に発生させることができる。
<構成13の効果>
バッド上に複合砥粒を固定して純水を供給しても、湿式研磨ができる。
<構成14の効果>
予め研磨スラリーを加温しておけば、摩擦熱反応剤の化学反応を促進できる。さらに、スラリーを循環させ繰り返して使用する際に、最適な一定の温度条件下で研磨処理ができる。
<構成15の効果>
砥粒の光による励起作用により、化学反応を促進出来る。
本発明の複合砥粒10は、サファイアを研磨するために使用される。本発明の複合砥粒10は、図1に示すように、第1の研磨材13と第2の研磨剤13と摩擦熱反応剤14とが直接結合されたものである。この複合砥粒10は、粒子状に一体化されたものである。直接結合されているというのは、接着剤等の結合材料が使用されていないという意味である。
本発明の複合砥粒を使用する研磨装置は、例えば、この図に示す構造が適する。研磨定盤20は矢印32の方向に回転駆動される。研磨定盤20の上面は研磨パッド22により覆われている。保持装置24は被研磨材26(サファイア基板)を研磨パッド22に押しつけて支持するための装置である。注液器28から矢印30の方向に、スラリーが供給される。スラリーは純水に複合砥粒を分散させたものである。研磨パッド22の表面に押しつけられた被研磨材26は、複合砥粒によって研磨される。スラリーは研磨処理中に連続して定量ずつ供給される。
これらは、比較例として列挙したものである。FIG3Aに示した砥粒は、複数種類の研磨剤を混合したものである。A研磨材16とB研磨材18とを混合してスラリーとともに研磨装置に供給する。B研磨材18はA研磨材16の研磨作用を促進する機能を持つ。この場合、A研磨材16とB研磨材18の比重が相違するので、FIG3Bに示すように、両者がスラリー内で分離してしまう。両者が均一に混ざり合って被研磨材に接触しないと、研磨促進効果が発揮できない。
実施例1の複合砥粒は、酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ケイ素(SiO2)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを一体化したものである。これらをそれぞれ50重量部、37.5重量部、12.5重量部の割合で混合した。ボールミリング(Ball Milling)法によりこれらを外径1μm以下の粉末になるまで粉砕して、さらに約0.5時間機械的衝撃を加え続けることにより複合砥粒を得た。その中から平均粒度2μmの複合砥粒を選別して使用した。
研磨前はアルミニウム(Al)とシリコン(Si)とカルシウム(Ca)の全体に占める割合がそれぞれ38.2重量%、43.8重量%、17.9重量%であった。研磨処理後は41.2重量%,42.3重量%,16.5重量%であった。アルミニウム成分以外の成分の全体に占める割合はほぼ変化していなかった。アルミニウム成分の割合が増加した原因は、サファイアを研磨した研磨屑が新たに含まれたためと考えられる。
いずれも、毎分0.7〜1.0μmという高い研磨レートを実現した。LiCO3とCa3(PO4)2以外の材料を摩擦熱反応剤として使用したとき,研磨前の測定値は、pH4.63 8.0、研磨後の測定値はpH4.2〜8.2の範囲内であった。LiCO3とCa3(PO4)2を摩擦熱反応剤として使用したとき、研磨前の測定値は、それぞれpH10.1と9.0、研磨後の測定値はそれぞれpH11.2と9.6であった。いずれも、弱酸性〜弱アルカリ性の範囲内であり、作業環境への悪影響を抑えることができる。しかも、廃液処理が簡便になる。高温で高アルカリ雰囲気となる領域が微少領域であるから、スラリーのpHに大きく影響しないことがわかった。
サンプル1と表示した部分は、Al2O3とSiO2とCaCO3を一体化した複合砥粒を、サファイアの研磨に使用した結果を示す。サンプル2と表示した部分は、Al2O3とFe2O3とCaCO3を一体化した複合砥粒を、サファイアの研磨に使用した結果を示す。サンプル3と表示した部分は、Al2O3とCr2O3とCaCO3を一体化した複合砥粒を、サファイアの研磨に使用した結果を示す。
(1)複合砥粒にモース硬度が7〜9の研磨剤を含めたこと
モース硬度が7〜9の研磨剤は、ZrSiO4とAl2O3とZrO2である。これらの研磨剤は、被研磨材に対して物理的な力を加えて塑性変形層(アモルファス層)を形成する働きをする。さらに、これらの研磨剤は、メカノケミカル研磨材で変質させた変質層を剥ぎ取る働きをする。
メカノケミカル研磨材は、Cr2O3、Fe2O3またはSiO2である。サファイア(Al2O3)と同形置換( isomorphous substitution )を起こし易い。同型置換とは、イオン半径が近似する物質同士が、外部から圧力や熱を加えられると、イオン群が互いに置き換わる現象である。
摩擦熱反応剤として炭酸カルシウム(CaCO3)を使用した場合の化学反応を説明する。炭酸カルシウムは、複合砥粒と被研磨材の研磨面との摩擦により発生した摩擦熱で、CaOとCO2に分解する。さらに摩擦熱により摂氏数百度の熱が発生したとき、酸化カルシウムCaOが水と反応して発熱し、水酸化カルシウム(Ca(OH2))が生成される。この反応は、被研磨材と複合砥粒とが接触したきわめて狭い領域でのみ生じる。この反応により被研磨材が変質する。同時に、高温の強アルカリ雰囲気で、メカノケミカル研磨剤の化学反応が加速されると考えられる。
実験例1〜8は、第1の研磨剤にAl2O3を使用し、第2の研磨剤にSiO2を使用し、それぞれ別の摩擦熱反応剤を使用した複合砥粒を使用した実験結果である。これらの複合砥粒は、いずれも、全体に占める割合が、第1の研磨剤は50重量%、第2の研磨剤は37.5重量%、摩擦熱反応剤は12.5重量%で構成されている。研磨条件は全て同一である。被研磨材は、サファイアウエハを平均粒度#325のGC(green carbonite)で研磨した後の表面粗さRa−0.22μmのものである。研磨前のスラリーの温度は摂氏25度であった。サファイアを1時間研磨した後のスラリーの温度を測定した。研磨レートは、研磨後の被研磨材の厚みを測定して、1分(min)あたりの研磨量を計算して求めたものである。
この実施例は、研磨圧力を変更したことによる研磨レートの変化を確認するためのものである。この図は、保持装置24が被研磨材26を研磨定盤20の方向に押しつける研磨圧力を1平方センチメートルあたり160グラム(g/cm2)、300g/cm2)、500g/cm2の3種類の実験結果を示している。研磨装置のその他の運転条件は、図10の実施例と同一である。
12 第1の研磨材
13 第2の研磨剤
14 摩擦熱反応剤
16 A研磨材
18 B研磨材
17 スラリー
19 高分子材料
20 研磨定盤
22 研磨パッド
24 保持装置
25 温度制御装置
26 被研磨材
28 注液器
29 光照射装置
30 矢印
32 矢印
33 矢印
34 貫通孔
Claims (15)
- サファイアを湿式研磨するための砥粒であって、
モース硬度が7以上9以下の粒子状の第1の研磨剤と、
上記被研磨材に対してメカノケミカルな作用を有する粒子状の第2の研磨剤と、
スラリーのために使用する純水に対して難溶性のものであって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる粒子状の摩擦熱反応剤の混合物が、
メカニカルアロイ法により直接結合され粒子状に一体化されている複合砥粒。 - 上記第1の研磨剤は、Al2O3、ZrSiO4またはZrO2であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める請求項1に記載の複合砥粒。
- 上記第2の研磨剤は、Cr2O3、Fe2O3、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める請求項1に記載の複合砥粒。
- 上記第2の研磨剤としてSiO2を選択したとき、上記第1の研磨剤として、SiO2よりもモース硬度が大きいものが選択される請求項1に記載の複合砥粒。
- 上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO4)2、Li3PO4及びAlK(SO4)2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める請求項1に記載の複合砥粒。
- 上記第1の研磨剤は、Al2O3、ZrSiO4またはZrO2であって、
上記第2の研磨剤は、Cr2O3、Fe2O3、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、
上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO4)2、Li3PO4及びAlK(SO4)2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料である請求項1に記載の複合砥粒。 - 請求項1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化させた複合砥粒。
- 請求項1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化する複合砥粒の製造方法。
- 純水中に請求項1または6に記載の複合砥粒を分散させたスラリーを使用して、上記被研磨材を湿式研磨する研磨方法。
- 100ミリリットルの純水中に上記複合砥粒を15重量パーセントの濃度で分散させてスラリーを構成したとき、摂氏25度におけるpHが5以上9以下となるように請求項1または6に記載の複合砥粒の配合を選定した、サファイアを湿式研磨する研磨方法。
- 請求項1または6に記載の複合砥粒のみかけ比容(静置法)が、0.5ml/g以上200ml/g以下であるようにした、サファイアを湿式研磨するためのスラリー。
- 合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に請求項9乃至11のいずれかに記載のスラリーを供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
- 合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に請求項1または6に記載の複合砥粒を分散させて固定し、かつ、上記パッド上に純水を供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
- 研磨スラリーの温度を調整する温度制御装置を設けた請求項12または13に記載の研磨装置。
- 複合砥粒に光を照射する手段を備えた請求項12または13に記載の研磨装置。
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