JP2015147922A - 複合砥粒とその製造方法と研磨方法と研磨装置 - Google Patents

複合砥粒とその製造方法と研磨方法と研磨装置 Download PDF

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Abstract

【課題】サファイアの表面を、早い研磨速度で高品位に研磨する方法や、研磨に用いる複合砥粒、および、研磨装置を提供する。【解決手段】サファイアを湿式研磨するための砥粒であって、モース硬度が7以上9以下の粒子状の第1の研磨剤12と、上記被研磨材に対してメカノケミカルな作用を有する粒子状の第2の研磨剤13と、スラリーのために使用する純水に対して難溶性のものであって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる粒子状の摩擦熱反応剤14の混合物が、メカニカルアロイ法により直接結合され粒子状に一体化されている複合砥粒。【選択図】図1

Description

本発明は、サファイアの表面を研磨するために使用される、複合砥粒とその製造方法と研磨方法と研磨装置やその研磨に使用するスラリーに関する。
半導体デバイスの製造工程では、基板(Semiconductor substrate)の表面を平坦にするために、研磨処理(ラッピング)が行われる。従来採用されている一つの方法は、サファイアの基板を、ダイヤモンド砥粒を含んだ油性スラリーを使用して研磨する方法である。サファイアの基板と金属定盤の間に挟まれたスラリーとダイヤモンド砥粒により、基板面が機械的に削られる。ダイヤモンド砥粒はサファイアの基板よりも硬度が高い。従って、この方法は、研磨速度が速く、短時間で目標とする研磨量に達することができる方法である。しかしながら、サファイアの基板の基板面に大きな傷を発生させることがあるので、高品位な研磨面を得ることが難しい。
上記の問題を解決するために、メカノケミカルな研磨方法を採用した各種の技術が紹介されている(特許文献1)(特許文献2)。
特開2005−81485号公報 WO2011136387号公報
特許文献1に示された乾式研磨法は、高い摩擦熱を発生させて、メカノケミカル研磨を促進して、研磨速度の向上を図っている。しかし、高い温度にさらされた研磨屑及び研磨剤が研磨装置の内部に付着する。従って研磨装置の清掃作業に長時間を要するという問題があった。一方、特許文献2に示された湿式研磨法は、強アルカリ性スラリーを使用してメカノケミカル研磨を促進して、研磨速度の向上を図っている。しかし、pH10〜14といった強アルカリ性のスラリーは、作業環境を悪化させ、廃液処理のコストを増大させる。
さらに、ダイヤモンド砥粒を使用した既知の方法では、油性スラリーが、研磨処理の熱で変質するので、砥粒が凝集する。その結果、高価なダイヤモンド砥粒をそのまま再利用できないという問題があった。
上記の課題を解決するために、本発明は、湿式研磨を採用し、メカノケミカル作用を利用した、サファイアの高品位な研磨に適する複合砥粒とその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、環境に影響の少ないスラリーを使用して、サファイアを湿式研磨する、研磨方法と研磨装置を提供することを目的とする。
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
<構成1>
サファイアを湿式研磨するための砥粒であって、モース硬度が7以上9以下の粒子状の第1の研磨剤と、上記被研磨材に対してメカノケミカルな作用を有する粒子状の第2の研磨剤と、スラリーのために使用する純水に対して難溶性のものであって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる粒子状の摩擦熱反応剤の混合物が、メカニカルアロイ法により直接結合され粒子状に一体化されている複合砥粒。
<構成2>
上記第1の研磨剤は、Al23、ZrSiO4またはZrO2であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める構成1に記載の複合砥粒。
<構成3>
上記第2の研磨剤は、Cr23、Fe23、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める構成1に記載の複合砥粒。
<構成4>
上記第2の研磨剤としてSiO2を選択したとき、上記第1の研磨剤として、SiO2よりもモース硬度が大きいものが選択される構成1に記載の複合砥粒。
<構成5>
上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO42、Li3PO4及びAlK(SO42の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める構成1に記載の複合砥粒。
<構成6>
上記第1の研磨剤は、Al23、ZrSiO4またはZrO2であって、上記第2の研磨剤は、Cr23、Fe23、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO42、Li3PO4及びAlK(SO42の群の中から選択された、一種または2種以上の材料である構成1に記載の複合砥粒。
<構成7>
構成1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化させた複合砥粒。
<構成8>
構成1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化する複合砥粒の製造方法。
<構成9>
純水中に構成1または6に記載の複合砥粒を分散させたスラリーを使用して、上記被研磨材を湿式研磨する研磨方法。
<構成10>
100ミリリットルの純水中に上記複合砥粒を15重量パーセントの濃度で分散させてスラリーを構成したとき、摂氏25度におけるpHが5以上9以下となるように構成1または6に記載の複合砥粒の配合を選定した、サファイアを湿式研磨する研磨方法。
<構成11>
構成1または6に記載の複合砥粒のみかけ比容(静置法)が、0.5ml/g以上200ml/g以下であるようにした、サファイアを湿式研磨するためのスラリー。
<構成12>
合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に構成9乃至11のいずれかに記載のスラリーを供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
<構成13>
合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に構成1または6に記載の複合砥粒を分散させて固定し、かつ、上記パッド上に純水を供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
<構成14>
研磨スラリーの温度を調整する温度制御装置を設けた構成12または13に記載の研磨装置。
<構成15>
複合砥粒に光を照射する手段を備えた構成12または13に記載の研磨装置。
<構成1の効果>
2種の研磨剤と摩擦熱反応剤とが、機械的エネルギにより直接結合され粒子状に一体化されている。粒子間の結合エネルギが大きいので、研磨処理中に砥粒が分解することがない。いずれの砥粒も複合砥粒の外表面に露出しており、研磨処理中に被研磨材と直接接触する。複合砥粒の外表面と被研磨材との摩擦により発生する熱で摩擦熱反応剤が反応し、第2の研磨剤のメカノケミカルな作用を促進し、研磨レートを向上させることができる。メカニカルアロイ法は、機械的エネルギにより直接結合された複合砥粒を製造するための最適な方法である。
<構成9の効果>
純水中に複合砥粒を分散させたスラリーは、環境に対する影響が小さい。
<構成11の効果>
純水中に分散させるのに最適な比重の複合砥粒が得られる。
<構成12の効果>
被研磨材をパッドに弾力を用いて押しつけると、パッドの上面に分散した複合砥粒と被研磨材との間の圧力を高めて、摩擦熱を効果的に発生させることができる。
<構成13の効果>
バッド上に複合砥粒を固定して純水を供給しても、湿式研磨ができる。
<構成14の効果>
予め研磨スラリーを加温しておけば、摩擦熱反応剤の化学反応を促進できる。さらに、スラリーを循環させ繰り返して使用する際に、最適な一定の温度条件下で研磨処理ができる。
<構成15の効果>
砥粒の光による励起作用により、化学反応を促進出来る。
本発明の複合砥粒の実施例概略構造図である。 研磨装置の実施例を示す概略斜視図である。 既知のメカノケミカル研磨方法の説明図である。 実施例1の複合砥粒の研磨前後の表面状態を示す顕微鏡写真である。 サファイア基板を4時間研磨した前後の複合砥粒の成分を比較した図である。 研磨処理後のスラリーのpH測定結果を示す表である。 各種の砥粒を使用してサファイアの研磨処理をした結果の比較図である。 研磨後のスラリーの温度と研磨レートの関係を示す表である。 サンプル1〜3の研磨圧力と研磨レートの関係を示すデータである。
図1は本発明の複合砥粒の実施例概略構造図である。
本発明の複合砥粒10は、サファイアを研磨するために使用される。本発明の複合砥粒10は、図1に示すように、第1の研磨材13と第2の研磨剤13と摩擦熱反応剤14とが直接結合されたものである。この複合砥粒10は、粒子状に一体化されたものである。直接結合されているというのは、接着剤等の結合材料が使用されていないという意味である。
粒子状に一体化されているというのは、砥粒としての用途に適するサイズと形状に選定されているという意味である。例えば、サファイア基板のラッピング用としては、求められる表面粗さが0.01μm以下のとき、複合砥粒の平均粒度は10μm以下に選定される。本発明の複合砥粒は、平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に製造することができる。従って、様々な面粗さの要求に応えることができる。
第1の研磨剤12は、モース硬度が7以上9以下の粒子状である。モース硬度が7以上としたのは、サファイアを研磨するために必要な最小限の固さを備えるためである。モース硬度が9以下としたのは、被研磨材の硬度以下の粒子を使用して、被研磨材に大きな傷を付けずに研磨をするためである。第1の研磨剤12には、例えば、α−Al23、γ−Al23またはZrSiO4または立方晶ZrO2が適する。
第1の研磨材12は、上記一体化された粒子の全重量を100としたとき、5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占めることが好ましい。第1の研磨材12の配合割合が5パーセントに満たないと、複合砥粒の硬度が不足する。また、第1の研磨材12の配合割合が95パーセントを越えると、化学作用による研磨レートの促進ができない。
第2の研磨材13は、被研磨材に対してメカノケミカルな作用を有する粒子である。メカノケミカルな作用とは、被研磨材を化学的に変質させながら機械的に研削をする機能を発揮することをいう。研磨面に大きな傷を発生させないで、高い研磨レート(removal rate 単位時間当たりの研磨量)で研磨処理をするためである。
第2の研磨材13として、酸化クロム(Cr23)、酸化第二鉄(Fe23)、シリカ(SiO2)の中から、一種または2種以上の材料を選択して使用することが好ましい。
第2の研磨材13として選択される材料は、例えば、サファイアのアルミニウムイオン(Al3 +)と同形置換が起こりやすい材料である。いずれも、イオン半径がアルミニウム(Al)と近似する物質である。一方、シリカ(SiO2)は、シロキサンの脱水時に生じる置換を生じさせる。これらの化学反応により、被研磨材の表面が変質して、被研磨材と同等以下の硬度の第1の研磨剤で効率よく研磨が可能になる。
なお、第2の研磨材13にシリカ(SiO2)を使用する場合には、第1の研磨材12に、SiO2よりもモース硬度が大きいものを選択することが好ましい。この理由は、図7で説明する研磨処理の効果の差によって明らかになる。
第2の研磨材13は、上記一体化された粒子の全重量を100としたとき、5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占めることが好ましい。第2の研磨材13の配合割合が5パーセントに満たないと、十分高い研磨レートを維持できない。また、第2の研磨材13の配合割合が95パーセントを越えると、第1の研磨剤12が不足して複合砥粒の硬度が不足する。また、摩擦熱反応剤14による研磨レート促進効果が不十分になる。
摩擦熱反応剤14は、スラリーとして使用する純水に対して難溶性のものであって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる。摩擦熱反応剤14は液体ではなく、固体である。摩擦熱反応剤14が個体であれば、機械的エネルギによって第1の研磨剤12と第2の研磨材13と共に一体化処理をして、複合砥粒を得ることができる。摩擦熱反応剤14が液体である場合、または水に溶解し易い材料である場合には、スラリー中で複合砥粒が分解する。さらに、廃液が環境に悪影響を及ぼす。
摩擦熱反応剤14は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、LiCO3、Ca3(PO42、Li3PO4及びAlK(SO42の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であることが好ましい。いずれの材料も、研磨時に発生する摩擦熱によって、第2の研磨材13の研磨機能を促進することができる。
なお、具体的には、摩擦熱反応剤14として選択される材料は、LiCO3とAlK(SO42を除いて、純水に対する溶解度が0.1以下である。即ち、摂氏25度の100グラムの純水に対して溶解する量が、0.1グラム以下である。
一方、LiCO3の溶解度は1.33、AlK(SO42の溶解度は6.74であって、他の材料に比べると水に溶けやすい。しかしながら、複合砥粒として使用した場合に、いずれも、研磨中に分離して純水に多量に溶解することはない。つまり、この程度の溶解度は許容される。従って、複合砥粒を循環させて繰り返し使用することができた。本発明において、難溶性とは、摂氏25度の100グラムの純水に対して溶解する量が、7グラム(溶解度7)以下のものを指す。
摩擦熱反応剤14は、一体化された粒子の全重量を100としたとき、5重量パーセント以上95パーセント以下を占めることが好ましい。摩擦熱反応剤14の配合割合が5重量パーセントに満たないと、第2の研磨材13の研磨機能を促進する効果が不十分になる。摩擦熱反応剤14の配合割合が95重量パーセントを越えると、第1の研磨剤12と第2の研磨材13の量が不足してしまう。
第1の研磨剤12の粉末と第2の研磨材13の粉末と摩擦熱反応剤14の粉末とが均一に混ぜ合わされて、繰り返し機械的エネルギが与えられると、機械的に直接結合して粒子状になる。その結果、図1に示した複合砥粒が得られる。例えば、これらの粉末に対して、メカニカルアロイ法により機械的エネルギを与えることができる。
この複合砥粒は、第1の研磨剤12と第2の研磨材13と摩擦熱反応剤14とが分子間力等により機械的に固く結合している。結合力が強く、研磨処理に使用された後も、第1の研磨剤12と第2の研磨材13と摩擦熱反応剤14とが分離することがない。第2の研磨材13と摩擦熱反応剤14とが化学反応のためにわずかに消費されるだけである。従って、複合砥粒は、繰り返し研磨処理に使用することができるという効果がある。
第1の研磨剤12の粉末と第2の研磨材13の粉末と摩擦熱反応剤14の粉末とを混合して、砕く、摩擦する、圧縮する、引っ張る、叩く、曲げるまたは衝突させるといった機械的衝撃を繰り返し加えると、機械的エネルギを与えることができる。どの種類の衝撃を与えてもよい。複数種類の衝撃が組み合わされてもよい。例えば、メカニカルアロイ法では、機械的衝撃により粉末が砕かれて、その後、一部の粉末が一体化して粒子状に固まる現象が生じる。分子間力により結合しているという説、共晶により結合しているという説、アモルファス状態になって固まっているという説がある。
図1に示すように、本発明の複合砥粒は、混合されたいずれの砥粒も複合砥粒の外表面に露出しており、研磨処理中に被研磨材と直接接触する。複合砥粒の外表面と被研磨材との摩擦により発生する熱で摩擦熱反応剤が反応してメカノケミカルな作用を促進し、研磨レートを格段に向上させることができる。また、複数種類の砥粒は、部分的にアモルファス構造を有していると考えられる。アモルファス構造は、熱力学的に非平衡な状態のため、化学反応を促進し易いとも考えられる。摩擦熱反応剤の作用については、実施例の説明で具体的に説明する。
図2は本発明の研磨装置の実施例を示す概略斜視図である。
本発明の複合砥粒を使用する研磨装置は、例えば、この図に示す構造が適する。研磨定盤20は矢印32の方向に回転駆動される。研磨定盤20の上面は研磨パッド22により覆われている。保持装置24は被研磨材26(サファイア基板)を研磨パッド22に押しつけて支持するための装置である。注液器28から矢印30の方向に、スラリーが供給される。スラリーは純水に複合砥粒を分散させたものである。研磨パッド22の表面に押しつけられた被研磨材26は、複合砥粒によって研磨される。スラリーは研磨処理中に連続して定量ずつ供給される。
本発明の複合砥粒は、例えば、LED用のサファイア基板のポリシング処理(polishing process)に使用できる。サファイア基板はモース硬度が9である。ポリシング処理では、例えば、サファイア基板の表面荒さが0.010μm以下に達するまで研磨する。サファイア基板の研磨にダイヤモンド砥粒を使用すると、ダイヤモンド砥粒がサファイア基板よりもモース硬度が高いので、研磨痕(saw mark)を付けてしまう。そこで、サファイア基板と同程度かこれよりも柔らかい第1の研磨剤12とメカノケミカル作用を有する第2の研磨剤13を使用する。
上記のラッピング工程では、例えば、100ミリリットルの純水に上記複合砥粒を15重量パーセントの濃度で分散させた研磨用スラリーを使用する。摂氏25度における上記スラリーのpHは4以上11以下である。実際には、4時間研磨処理後の廃液はほぼpH8程度であった。廃液のpHは5以上9以下が最も望ましい。
スラリーは、純水100に対して、複合砥粒を5重量パーセント以上含有させることが好ましい。その場合に、複合砥粒のみかけ比容(静置法)が0.5ml/g以上200ml/g以下となるように調整することが好ましい。これにより、複合砥粒の比重を最適にする。みかけ比容(静置法)が0.5ml/gに満たないと複合砥粒がスラリー中に沈降して研磨速度が不十分になる。みかけ比容(静置法)が200ml/gを越えても研磨速度の向上はなく、複合砥粒がスラリー中で過剰になり凝集が激しくなる。
図2に示した装置において、被研磨材26を研磨パッド22に弾力を用いて押しつけるようにすると、研磨パッド22の上面に分散した複合砥粒と被研磨材26との間で摩擦熱が発生し易い。この摩擦熱により上記の摩擦熱反応剤が活発に反応して、第2の研磨剤のメカノケミカル反応を促進する。
摩擦熱を起こしやすくするために、例えば、保持装置24を弾力のあるゴム板等で構成することが好ましい。同時に、研磨パッド22は、合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂等により構成されるものが好ましい。適度な弾力を与えることにより、効果的に摩擦熱を発生させて高い研磨レートを実現することができる。また、研磨パッド22上に予め複合砥粒10を分散させて固定して、研磨パッド22上に純水あるいは複合砥粒を分散させた純水を供給するようにしてもよい。
また、研磨装置を起動した当初は、摩擦熱の蓄積が無いため、被研磨材26の研磨面の温度上昇が不十分になる。これは研磨レートに影響する。そこで、図2に示した研磨装置に、スラリーの温度を適温に調整する温度制御装置25を設けることが好ましい。温度制御装置25は、例えば、電熱器により構成すればよい。これにより、研磨開始直後から最適な温度条件を設定することができる。
このほかに、この実施例の研磨装置の保持装置24には、数個の貫通孔34が設けられている。保持装置24の上方には光照射装置29を配置する。図2の左側の一点鎖線の円内に、主要部縦断面図を示した。光照射装置29の発する光は保持装置24の貫通孔34を通り、被研磨材26を通過して複合砥粒10に照射される。保持装置24は矢印33方向に回転しているから、被研磨材26と研磨パッド22の間に挟まれた複合砥粒に照射光が到達する。この光照射によって複合砥粒10は励起状態になり、さらに効率よく反応をさせることができる。
図3は既知のメカノケミカル研磨方法の説明図である。
これらは、比較例として列挙したものである。FIG3Aに示した砥粒は、複数種類の研磨剤を混合したものである。A研磨材16とB研磨材18とを混合してスラリーとともに研磨装置に供給する。B研磨材18はA研磨材16の研磨作用を促進する機能を持つ。この場合、A研磨材16とB研磨材18の比重が相違するので、FIG3Bに示すように、両者がスラリー内で分離してしまう。両者が均一に混ざり合って被研磨材に接触しないと、研磨促進効果が発揮できない。
FIG3Cは、A研磨材16の研磨作用を促進するスラリー17を使用した例を示す。この方法は上記の問題を解決しているので、近年広く採用されている。しかしながら、スラリー17には強アルカリ性の溶液が採用されるため、作業環境を悪くする。さらに、研磨処理後の廃液の処理費用が多額になる。
FIG3Dは、A研磨材16を高分子材料19の表面に固定した例を示す。この複合砥粒は、硬脆材料のラッピング工程に適するような平均粒度のものを得難い。即ち、サイズが大きいものしか得られない。また、全体として比重が軽くなり、研磨装置から押し流されてしまう。本発明の複合砥粒は比重が適当であるので、研磨装置のパッド上面に長く滞留し、研磨速度を向上させる。
図4は複合砥粒の写真で、FIG4Aは実施例1の複合砥粒の表面状態を示す顕微鏡写真である。FIG4Bはサファイア基板を4時間研磨した後に回収した複合砥粒の表面状態を示す顕微鏡写真である。
実施例1の複合砥粒は、酸化アルミニウム(Al23)と酸化ケイ素(SiO2)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを一体化したものである。これらをそれぞれ50重量部、37.5重量部、12.5重量部の割合で混合した。ボールミリング(Ball Milling)法によりこれらを外径1μm以下の粉末になるまで粉砕して、さらに約0.5時間機械的衝撃を加え続けることにより複合砥粒を得た。その中から平均粒度2μmの複合砥粒を選別して使用した。
上記の方法で得た複合砥粒を純水とともに図2に示した装置に供給して、サファイア基板を4時間研磨した。複合砥粒を含むスラリーは研磨処理中に研磨パッド22の上に供給され、順次排出される。排出されたスラリーは再び回収され、研磨パッド22の上に供給されて繰り返し使用される。
既に説明したとおり、本発明の複合砥粒は機械的強度が高く、研磨処理によっても破壊されないからある程度の時間繰り返し使用できる。サファイア基板を4時間研磨した後にスラリー中から取り出した複合砥粒の顕微鏡写真により、混合した材料の大部分が原形のまま存在していることが分かった。総重量にして約3%は上記の化学反応により消費されていた。
図5は、サファイア基板を4時間研磨した前後の複合砥粒の成分を比較した図である。
研磨前はアルミニウム(Al)とシリコン(Si)とカルシウム(Ca)の全体に占める割合がそれぞれ38.2重量%、43.8重量%、17.9重量%であった。研磨処理後は41.2重量%,42.3重量%,16.5重量%であった。アルミニウム成分以外の成分の全体に占める割合はほぼ変化していなかった。アルミニウム成分の割合が増加した原因は、サファイアを研磨した研磨屑が新たに含まれたためと考えられる。
研磨処理後のスラリーとともに排出された残渣を分離し分析した。その結果、アルミニウム(Al)とシリコン(Si)とカルシウム(Ca)の全体に占める割合がそれぞれ52%、33%、0.5%の割合で含む残渣が得られた。成分分析の結果、ムライトが含まれていた。
研磨処理中に、複合砥粒が機械的あるいは熱的に分解してムライトが生成されたものか、それ以外の原因により生成されたものかを検討した。ムライトの生成量は研磨時間に比例していた。しかも、研磨処理前後の複合砥粒の消費量を十分に越える量のムライトが発生していた。即ち、複合砥粒が被研磨材の表面を化学的に変質させながら研磨して、その残渣がムライトであることがわかった。従来のいずれの湿式研磨方法を使用しても、4時間研磨後にこれだけの量のムライトを発生させることは無かった。従って、上記の摩擦熱反応剤が研磨中有効に機能していることが証明された。
ムライトは、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の化合物で。その化学式は、3Al23・2SiO2〜2Al23・SiO2、またはAl613Si2で表される。複合砥粒と被研磨材との摩擦により、局部的には摂氏数百度の摩擦熱が発生する。スラリーによりこの熱は拡散するが、複合砥粒と被研磨材とが接する微小領域は高温になる。炭酸カルシウムが、被研磨材と酸化アルミニウムの反応を促進した結果、ムライトが生成されたものと判断できる。
図6は、研磨処理後のスラリーのpH測定結果を示す表である。
いずれも、毎分0.7〜1.0μmという高い研磨レートを実現した。LiCO3とCa3(PO42以外の材料を摩擦熱反応剤として使用したとき,研磨前の測定値は、pH4.63 8.0、研磨後の測定値はpH4.2〜8.2の範囲内であった。LiCO3とCa3(PO42を摩擦熱反応剤として使用したとき、研磨前の測定値は、それぞれpH10.1と9.0、研磨後の測定値はそれぞれpH11.2と9.6であった。いずれも、弱酸性〜弱アルカリ性の範囲内であり、作業環境への悪影響を抑えることができる。しかも、廃液処理が簡便になる。高温で高アルカリ雰囲気となる領域が微少領域であるから、スラリーのpHに大きく影響しないことがわかった。
図7は、各種の砥粒を使用してサファイアの研磨処理をした結果の比較図である。
サンプル1と表示した部分は、Al23とSiO2とCaCO3を一体化した複合砥粒を、サファイアの研磨に使用した結果を示す。サンプル2と表示した部分は、Al23とFe23とCaCO3を一体化した複合砥粒を、サファイアの研磨に使用した結果を示す。サンプル3と表示した部分は、Al23とCr23とCaCO3を一体化した複合砥粒を、サファイアの研磨に使用した結果を示す。
この実施例では、サファィアウエハを平均粒度が#325のGC(green carbonite)で研磨をして、表面粗さRa=0.22μmのものを被研磨剤に使用した。研磨装置の運転条件は、研磨定盤20の回転数を毎分50回転(rpm)、保持装置24の回転数を毎分100回転、保持装置24が被研磨材26を研磨定盤20の方向に押しつける研磨圧力を1平方センチメートルあたり160グラム(g/cm2)とした。複合砥粒は、純水中に15重量%混入されている。こうして調整されたスラリーは、注液器28から毎分1ミリリットル(ml/min)で研磨パッド22上に供給された。
以下は、比較例である。ref1は、酸化アルミニウム(Al23)のみを砥粒とした結果を示す。ref2は、酸化ケイ素(SiO2)のみを砥粒とした結果を示す。ref3は、炭酸カルシウム(CaCO3)のみを砥粒とした結果を示す。
ref4は、酸化アルミニウム(Al23)と酸化ケイ素(SiO2)を本発明と同様の方法で機械的に結合し一体化した複合砥粒を使用した結果を示す。ref5は、酸化アルミニウム(Al23)と炭酸カルシウム(CaCO3)を本発明と同様の方法で機械的に結合し一体化した複合砥粒を使用した結果を示す。
ref6は、酸化ケイ素(SiO2)と炭酸カルシウム(CaCO3)を本発明と同様の方法で機械的に結合し一体化した複合砥粒を使用した結果を示す。ref7は、酸化アルミニウム(Al23)と酸化ケイ素(SiO2)と炭酸カルシウム(CaCO3)の単なる混合物(一体化されていない)をスラリーに混入して使用した結果を示す。ref8は、平均粒径が1〜3μmのダイヤモンド砥粒を使用した結果を示す。以上の例は、いずれも、研磨パッドとして樹脂パッドを使用し、砥粒を純水に混入したスラリーを使用した。一方、ref9は、平均粒径が1〜3μmのダイヤモンド砥粒を使用し、研磨装置に金属定盤を使用し、油性のスラリーを使用した結果を示す。
ここで、これら全ての例の研磨レートを比較すると、サンプル1の複合砥粒を使用した場合には、毎分1μmであったのに対して、ref1〜ref8の例では、いずれも毎分約0.3μmを越えることができない。ref9の例でも、研磨レートは毎分0.8μmであって、本発明の研磨レートに及ばない。ref9の例は、既知の最も研磨レートが高いと言われている方法である。
サンプル1と2の場合には、既知のどの方法よりも高い研磨レートを実現できた。サンプル3の場合はref9と同程度の研磨レートを実現できた。全てのサンプルは、作業環境を悪化せず、廃液処理が容易な純水を分散媒体としたスラリーを使用している。また、金属定盤を使用した場合に、その面は、サファイアの研磨面に要求されるのと同程度に平坦でなければならない。しかしながら、その平坦度を維持するのは容易でない。一方、樹脂パッドは、サファイアの研磨面に複合砥粒を押しつけるための圧力を加えるためのものである。従って、精度の高い構造は求められていない。樹脂パッドは、安価でメンテナンスも容易である。本発明は、樹脂パッドのような柔らかい研磨パッドを使用できるので、金属定盤を使用する場合よりも有利である。
ここで、本発明の複合砥粒による著しい研磨速度向上の理由を説明する。
(1)複合砥粒にモース硬度が7〜9の研磨剤を含めたこと
モース硬度が7〜9の研磨剤は、ZrSiO4とAl23とZrO2である。これらの研磨剤は、被研磨材に対して物理的な力を加えて塑性変形層(アモルファス層)を形成する働きをする。さらに、これらの研磨剤は、メカノケミカル研磨材で変質させた変質層を剥ぎ取る働きをする。
α−Al23はモース硬度が9である。γ−Al23はモース硬度が8である。ZrSiO4とZrO2はモース硬度が7.5〜8.5である。いずれの研磨剤も被研磨材よりもモース硬度が高く無いので、研磨傷の発生が抑制される。また、ZrSiO4を使用した複合砥粒よりも、Al23を使用した複合砥粒のほうが研磨速度が速い。被研磨材の結晶構造が破壊されて、メカノケミカル反応がし易くなると考えられる。
(2)複合砥粒にメカノケミカル研磨材を含めたこと
メカノケミカル研磨材は、Cr23、Fe23またはSiO2である。サファイア(Al23)と同形置換( isomorphous substitution )を起こし易い。同型置換とは、イオン半径が近似する物質同士が、外部から圧力や熱を加えられると、イオン群が互いに置き換わる現象である。
サファイアの六配位(six‐coordination)Al3 +(イオン半径0.54Å(オングストローム))と近いイオン半径をもつ物質は、Fe23の六配位Fe3 +(イオン半径0.55Å)や、Cr23の六配位Cr3 +(イオン半径0.62Å)である。これらのイオン群が同形置換を起こす。この化学反応が、サファイアの被研磨面を変質させると考えられる。
一方、SiO2は、次のような化学反応をする。シラノール基(≡Si−OH)を有するSiO4の四面体が、脱水縮合反応によって連結する際に、Al3 +がAl(OH)3のような形で脱水縮合反応に加わる。SiO4連結体がサファイアの結晶構造内に取り込まれる。SiO4連結体の内部では、六配位Si4 +(イオン半径0.40Å)が、四配位Al3 +(イオン半径0.39Å)によって置換された状態になる。この同形置換による化学反応が、サファイアの被研磨面を変質させると考えられる。
第2の研磨剤のメカノケミカルな作用と第1の研磨剤による研削作用により、被研磨材に対して大きな傷を付けることなく研磨処理ができる。従来よりも高い研磨レートで高品質な研磨面を形成できるという効果があった。
(3)摩擦熱反応剤を複合砥粒に含めたこと
摩擦熱反応剤として炭酸カルシウム(CaCO3)を使用した場合の化学反応を説明する。炭酸カルシウムは、複合砥粒と被研磨材の研磨面との摩擦により発生した摩擦熱で、CaOとCO2に分解する。さらに摩擦熱により摂氏数百度の熱が発生したとき、酸化カルシウムCaOが水と反応して発熱し、水酸化カルシウム(Ca(OH2))が生成される。この反応は、被研磨材と複合砥粒とが接触したきわめて狭い領域でのみ生じる。この反応により被研磨材が変質する。同時に、高温の強アルカリ雰囲気で、メカノケミカル研磨剤の化学反応が加速されると考えられる。
以上のように、本発明の複合砥粒は、被研磨材との間で発生する摩擦熱により、局所的に摩擦熱反応剤による高温強アルカリ雰囲気を形成させる。被研磨材と複合砥粒とが接触している部分の周辺の微小領域が高温強アルカリ雰囲気になる。複合砥粒と一体化された第2の研磨剤が、この雰囲気で活発にメカノケミカル反応をして、被研磨材の研磨面を変質させる。第1の研磨剤は、被研磨材の変質した硬度の低い部分を研削する。この一連の処理が一体化された複合砥粒により連続して短時間で進行するので、高い研磨レートを実現できる。
SrCO3、MgCO3、BaCO3等についても、全く同様の反応が生じるものと推察される。摩擦熱反応剤が高温強アルカリ雰囲気を形成するのは、局所的であるから、第2の研磨剤が至近距離になければメカノケミカル反応を促進する効果がない。従って、第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とが分離した状態でスラリー中に含まれていても、この実施例のような研磨速度は得られない。第1の研磨剤がスラリー中に第2の研磨剤とは別個に分散していると、せっかく変質させた被研磨材の研磨面に第1の研磨剤が衝突する確率が低くなる。本発明では、第1の研磨剤が複合砥粒に一体化されているので、被研磨材の変質した面を確実に研削する。以上の結果、本発明の複合砥粒は、湿式研磨により、十分な研磨速度で被研磨材を研磨して、高品位な研磨面を得ることが可能になった。
図8は、研磨後のスラリーの温度と研磨レートの関係を示す表である。
実験例1〜8は、第1の研磨剤にAl23を使用し、第2の研磨剤にSiO2を使用し、それぞれ別の摩擦熱反応剤を使用した複合砥粒を使用した実験結果である。これらの複合砥粒は、いずれも、全体に占める割合が、第1の研磨剤は50重量%、第2の研磨剤は37.5重量%、摩擦熱反応剤は12.5重量%で構成されている。研磨条件は全て同一である。被研磨材は、サファイアウエハを平均粒度#325のGC(green carbonite)で研磨した後の表面粗さRa−0.22μmのものである。研磨前のスラリーの温度は摂氏25度であった。サファイアを1時間研磨した後のスラリーの温度を測定した。研磨レートは、研磨後の被研磨材の厚みを測定して、1分(min)あたりの研磨量を計算して求めたものである。
ref1は、摩擦熱反応剤を使用しない砥粒を使用した比較例である。ref2は、摩擦熱反応剤(CaCO3)と第2の研磨剤SiO2のみを使用した比較例である。ref3は、摩擦熱反応剤(CaCO3)と第1の研磨剤Al23のみを使用した比較例である。
実験例1〜8の結果から、研磨後のスラリーの温度はいずれも摂氏30度以上であった。これは、被研磨材と研磨剤の摩擦で発生する熱だけでなく、摩擦熱反応剤の化学反応によって、スラリーが加熱されたことを意味する。また研磨後のスラリーの温度が高いものほど、研磨レートが大きいことが分かる。即ち、摩擦熱によって摩擦熱反応剤が活発に化学反応をするほど、研磨速度が速くなることがわかった。
ref1の場合の研磨レートは0.40μm/minで、研磨後のスラリーの温度は摂氏27度であった。また、ref2(第1の研磨剤が無い)とref3(第2の研磨剤が無い)では、摩擦熱反応剤の発熱によってスラリーが摂氏41度まで加熱されていることが分かった。しかしながら、研磨レートはあまり高く無い。これにより、第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを組み合わせた本発明の複合砥粒だけが、研磨レートを十分に高めることが証明された。
図9は、サンプル1〜3の研磨圧力と研磨レートの関係を示すデータである。
この実施例は、研磨圧力を変更したことによる研磨レートの変化を確認するためのものである。この図は、保持装置24が被研磨材26を研磨定盤20の方向に押しつける研磨圧力を1平方センチメートルあたり160グラム(g/cm2)、300g/cm2)、500g/cm2の3種類の実験結果を示している。研磨装置のその他の運転条件は、図10の実施例と同一である。
この結果によれば、研磨圧力を増加させると、研磨速度が向上する。研磨圧力が160g/cm2の場合には、研磨レートが毎分1ミクロンメータ(μm/min)であるのに対し、研磨圧力が500g/cm2の場合には、研磨レートが3.05μm/minという結果が得られた。研磨速度が3倍になった。しかも、研磨圧力を500g/cm2にしても、研磨傷の無い状態でサファイア基板の研磨後の面粗さを、0.003μmにすることができた。
研磨圧力を高めることによって、より多く摩擦熱が発生し、同時に、複合砥粒が被研磨材の研磨面を効率よく削ることが、この実施例によって証明された。サンプル1〜3のいずれの複合砥粒も、従来のどの方法よりも高速で被研磨材の高品質な研磨が可能になる。
本発明の複合砥粒は、発光ダイオード(LED)素子用基板、その他の電子部品材料、パワー半導体、光学部品、時計、電気絶縁性材料、窓材等に使用される被研磨材の研磨工程に広く利用することができる。そして、従来の研磨方法と比較して、大幅に研磨時間を短縮することができ、大幅に製品のコストダウンが可能となる
10 複合砥粒
12 第1の研磨材
13 第2の研磨剤
14 摩擦熱反応剤
16 A研磨材
18 B研磨材
17 スラリー
19 高分子材料
20 研磨定盤
22 研磨パッド
24 保持装置
25 温度制御装置
26 被研磨材
28 注液器
29 光照射装置
30 矢印
32 矢印
33 矢印
34 貫通孔

Claims (15)

  1. サファイアを湿式研磨するための砥粒であって、
    モース硬度が7以上9以下の粒子状の第1の研磨剤と、
    上記被研磨材に対してメカノケミカルな作用を有する粒子状の第2の研磨剤と、
    スラリーのために使用する純水に対して難溶性のものであって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩からなる粒子状の摩擦熱反応剤の混合物が、
    メカニカルアロイ法により直接結合され粒子状に一体化されている複合砥粒。
  2. 上記第1の研磨剤は、Al23、ZrSiO4またはZrO2であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める請求項1に記載の複合砥粒。
  3. 上記第2の研磨剤は、Cr23、Fe23、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める請求項1に記載の複合砥粒。
  4. 上記第2の研磨剤としてSiO2を選択したとき、上記第1の研磨剤として、SiO2よりもモース硬度が大きいものが選択される請求項1に記載の複合砥粒。
  5. 上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO42、Li3PO4及びAlK(SO42の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、上記一体化された粒子の5重量パーセント以上95重量パーセント以下を占める請求項1に記載の複合砥粒。
  6. 上記第1の研磨剤は、Al23、ZrSiO4またはZrO2であって、
    上記第2の研磨剤は、Cr23、Fe23、SiO2の群の中から選択された、一種または2種以上の材料であって、
    上記摩擦熱反応剤は、CaCO3、SrCO3、MgCO3、BaCO3、Li2CO3、Ca3(PO42、Li3PO4及びAlK(SO42の群の中から選択された、一種または2種以上の材料である請求項1に記載の複合砥粒。
  7. 請求項1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化させた複合砥粒。
  8. 請求項1または6に記載の第1の研磨剤と第2の研磨剤と摩擦熱反応剤とを、メカニカルアロイ法により結合させて平均粒径0.05μm以上100μm以下の粒子状に一体化する複合砥粒の製造方法。
  9. 純水中に請求項1または6に記載の複合砥粒を分散させたスラリーを使用して、上記被研磨材を湿式研磨する研磨方法。
  10. 100ミリリットルの純水中に上記複合砥粒を15重量パーセントの濃度で分散させてスラリーを構成したとき、摂氏25度におけるpHが5以上9以下となるように請求項1または6に記載の複合砥粒の配合を選定した、サファイアを湿式研磨する研磨方法。
  11. 請求項1または6に記載の複合砥粒のみかけ比容(静置法)が、0.5ml/g以上200ml/g以下であるようにした、サファイアを湿式研磨するためのスラリー。
  12. 合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に請求項9乃至11のいずれかに記載のスラリーを供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
  13. 合成繊維、ガラス繊維、天然繊維、合成樹脂、天然樹脂のいずれかにより構成されるパッド上に請求項1または6に記載の複合砥粒を分散させて固定し、かつ、上記パッド上に純水を供給する装置と、被研磨材を上記パッドに弾力を用いて押しつけて、上記パッドの上面に分散した複合砥粒と上記被研磨材との間に摩擦を発生させる押圧装置とを備えた研磨装置。
  14. 研磨スラリーの温度を調整する温度制御装置を設けた請求項12または13に記載の研磨装置。
  15. 複合砥粒に光を照射する手段を備えた請求項12または13に記載の研磨装置。
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