JP2020029472A - 多結晶yag研磨用スラリー組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の他の目的は、結晶粒界段差やスクラッチの発生を抑制しつつ、表面粗さを極めて低い値にすることができる多結晶YAG研磨用スラリーを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のような多結晶YAG研磨用スラリー組成物を用いることにより、性能の高いレーザー発振用媒体を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明におけるナノダイヤモンド微粒子(以後、「ND微粒子」と称する場合がある)は、粒径D50(メディアン径)が10nm以下のナノダイヤモンド一次粒子であり、水中にて互いに離隔してコロイド粒子として分散している。ND微粒子の粒径D50は、好ましくは9nm以下、より好ましくは8nm以下、更に好ましくは7nm以下である。尚、ND微粒子の粒径D50の下限は、例えば1nmである。本明細書では、一次粒子の粒径D50は、いわゆる動的光散乱法によって測定される値とする。
生成工程では、空冷式であって大気組成の気体が共存する条件下での爆轟法、すなわち空冷式大気共存下爆轟法によってナノダイヤモンドを生成することが、ダイヤモンド核の成長が抑制され、表面官能基が生成される点で好ましい。空冷式大気共存下爆轟法では、まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体が使用爆薬と共存する状態で容器を密閉する。容器は例えば鉄製で、容器の容積は、例えば0.5〜40m3であり、好ましくは2〜30m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの重量比(TNT/RDX)は、例えば40/60〜60/40の範囲とされる。
精製工程は、生成工程を経て得られたナノダイヤモンド粗生成物に、水溶媒中で強酸を作用させて酸処理を施す工程である。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物には金属酸化物が含まれやすく、この金属酸化物は、爆轟法に使用される容器等に由来するFe、Co、Ni等の酸化物である。そして、水溶媒中で所定の強酸を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物から金属酸化物を溶解・除去することができる(酸処理)。この酸処理において用いられる強酸としては鉱酸が好ましく、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、および王水が挙げられる。酸処理では、一種類の強酸を用いてもよいし、二種類以上の強酸を用いてもよい。酸処理で使用される強酸の濃度は例えば1〜50重量%である。酸処理温度は例えば70〜150℃である。酸処理時間は例えば0.1〜24時間である。また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸処理の後は、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行うことが好ましく、特に沈殿液のpHが例えば2〜3に至るまで水洗を反復して行うことが好ましい。
以上のような精製工程を経て精製された後であっても、例えば爆轟法ナノダイヤモンドは、一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとることが多く、この凝着体から一次粒子を分離させるために、更に化学的解砕工程を設けて、ナノダイヤモンド凝着体からナノダイヤモンド一次粒子を分離させて解砕を進行させることが好ましい。化学的解砕処理は、例えば、アルカリおよび過酸化水素を作用させることにより行うことができる。前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリの濃度は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜8重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。過酸化水素の濃度は、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量%である。処理温度は例えば40〜95℃であり、処理時間は例えば0.5〜5時間である。また、化学的解砕処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような化学的解砕処理の後、デカンテーションによって上澄みが除かれる。
pH調整工程は、上述の化学的解砕処理を経たナノダイヤモンドを含む溶液のpHを後述の遠心分離処理より前に所定のpHに調整するための工程である。本工程では、デカンテーション後の沈殿液にpH調整剤を加えることが好ましい。前記pH調整剤としては、例えば、酢酸、ホウ酸、クエン酸、シュウ酸、リン酸、塩酸等の酸;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを挙げることができる。ナノダイヤモンドを含む溶液のpHを、例えば2〜13(好ましくは2〜12)に調整することが、ND微粒子を含む多結晶YAG研磨用スラリー組成物のpHを至適範囲(例えば4〜12、好ましくは6〜10)にコントロールすることができる点で好ましい。
遠心分離工程は、上述の化学的解砕処理を経たナノダイヤモンドを含む溶液を遠心分離処理に付して所定の上清液を得るための工程である。具体的には、まず、上述の化学的解砕工程およびpH調整工程を経たナノダイヤモンド含有液について、遠心分離装置を使用して最初の遠心分離処理を行う。最初の遠心分離処理後の上清液は、淡い黄色透明である場合が多い。そして、遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して更なる遠心分離処理を行って固液分離を図る。加える超純水の量は、例えば、沈殿物の3〜5倍(体積比)である。遠心分離による固液分離後の沈殿物と上清液との分離、沈殿物に超純水を加えての懸濁、および更なる遠心分離処理という一連の過程を、遠心分離処理後に黒色透明の上清液が得られるまで反復して行う。3回目以降の遠心分離処理で黒色透明の上清液が得られる場合、最初の遠心分離処理と黒色透明の上清液が得られる遠心分離処理との間に行われる遠心分離処理で得られる上清液は、無色透明である場合が多い。本工程の各遠心分離処理における遠心力は例えば15000〜25000×gであり、遠心時間は例えば10〜120分である。以上のようにして得られた黒色透明の上澄み液は、後述の多結晶YAG研磨用スラリー組成物の調製の際にND微粒子の水分散液として使用することができる。また、黒色透明の上清液を分離取得した後に残る沈殿物については、上述の精製工程を経た別の固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)と合せて、或は単独で、上述の化学的解砕工程、pH調整工程、および遠心分離工程の一連の過程に再び供してもよい。
本発明の多結晶YAG研磨用スラリー組成物(研磨材組成物)は、分散媒と、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド粒子を含む。前記ナノダイヤモンド粒子は、研磨材としての機能を有する物質であり、前記分散媒中に一次粒子として分散していることが好ましい。
本発明の多結晶YAGセラミックスの研磨方法では、上記多結晶YAG研磨用スラリー組成物を使用して、多結晶YAGセラミックスを研磨する。また、本発明のレーザー発振用媒体の製造方法では、上記多結晶YAG研磨用スラリー組成物を使用して、研磨対象物としての多結晶YAGセラミックス基板を研磨する工程を有する。
(生成工程)
まず、ナノダイヤモンド粗生成物を得るための生成工程を行った。具体的には、まず、爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体が使用爆薬と共存する状態で容器を密閉した。容器は鉄製で、容器の容積は15m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物0.50kgを使用した。当該爆薬におけるTNTとRDXの重量比(TNT/RDX)は、50/50である。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温での24時間の放置により、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上記爆轟法で生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収した。ナノダイヤモンド粗生成物の回収量は0.025kgであった。
次に、上述のような生成工程を複数回行うことによって取得されたナノダイヤモンド粗生成物に対して精製工程の酸処理を行った。具体的には、当該ナノダイヤモンド粗生成物200gに6Lの10重量%塩酸を加えて得られたスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この酸処理における加熱温度は85〜100℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、精製工程の酸化処理を行った。具体的には、デカンテーション後の沈殿液に、5Lの60重量%硫酸水溶液と2Lの60重量%クロム酸水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で5時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は120〜140℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、化学的解砕処理を行った。具体的には、デカンテーション後の沈殿液に、1Lの10重量%水酸化ナトリウム水溶液と1Lの30重量%過酸化水素水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この化学的解砕処理における加熱温度は50〜105℃である。次に、冷却後、デカンテーションによって上澄みを除いた。
次に、pH調整を行った。具体的には、化学的解砕処理後のデカンテーションによって得られた沈殿液に塩酸を加え、沈殿液のpHを2.5に調整した。このようにして、pHを調整されたスラリーを得た。
次に、遠心分離処理を行った。具体的には、上述のようにしてpH調整を経たスラリー(ナノダイヤモンド含有液)について、まず、遠心分離装置を使用して最初の遠心分離処理を行った。この遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分とした。最初の遠心分離処理後の上清液は、少し黄色い透明であった。本工程では、次に、最初の遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して2回目の遠心分離処理を行って固液分離を図った。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。2回目の遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は60分とした。2回目の遠心分離処理後の上清液は、無色透明であった。本工程では、次に、2回目の遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して3回目の遠心分離処理を行って固液分離を図った。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。3回目の遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は60分とした。3回目の遠心分離処理後の上清液は、黒色透明であった。この後、固液分離後の沈殿物と上清液との分離、沈殿物に4倍量の超純水を加えての懸濁、および更なる遠心分離処理(遠心力20000×g、遠心時間60分)という一連の過程を、遠心分離処理後に黒色透明の上清液が得られる限り反復して行った。
ナノダイヤモンド水分散液に関する上記の固形分濃度は、秤量した分散液3〜5gの当該秤量値と、当該秤量分散液から加熱によって水分を蒸発させた後に残留する乾燥物(粉体)について精密天秤によって秤量した秤量値とに基づき、算出した。
ナノダイヤモンド水分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子に関する上記の粒径D50(メディアン径)は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、動的光散乱法(非接触後方散乱法)によって測定した値である。測定に付されたナノダイヤモンド水分散液は、ナノダイヤモンド濃度が0.5〜2.0重量%となるように超純水で希釈した後に、超音波洗浄機による超音波照射を経たものである。
ナノダイヤモンド水分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子に関する上記のゼータ電位は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、レーザードップラー式電気泳動法によって測定した値である。測定に付されたナノダイヤモンド水分散液は、ナノダイヤモンド濃度0.2重量%への超純水による希釈を行った後に超音波洗浄機による超音波照射を経たものである。また、測定に付されたナノダイヤモンド水分散液のpHは、pH試験紙(商品名「スリーバンドpH試験紙」、アズワン(株)製)を使用して確認した値である。
固体13C-NMR分析は、固体NMR装置(商品名「CMX-300 Infinity」、Chemagnetics 社製)を使用して行う固体NMR法によって行った。測定法その他の測定に係る条件は以下のとおりである。
測定法:DD/MAS法
測定核周波数:75.188829 MHz(13C核)
スペクトル幅:30.003 kHz
パルス幅:4.2μsec(90°パルス)
パルス繰り返し時間:ACQTM 68.26msec,PD 15sec
観測ポイント:2048(データポイント:8192)
基準物質:ポリジメチルシロキサン(外部基準:1.56ppm)
温度:室温(約22℃)
資料回転数:8.0 kHz
上記で得られたナノダイヤモンド水分散液にイオン交換水を加えて混合し、pH8の多結晶YAG研磨用スラリー組成物(ナノダイヤモンド濃度:1重量%)を得た。本分散液の一部についてナノダイヤモンド濃度0.2重量%への超純水による希釈を行った後に当該ナノダイヤモンド水分散液中のナノダイヤモンド粒子のゼータ電位を測定したところ、−42mV(25℃、pH6)であった。また、多結晶YAG研磨用スラリー組成物におけるナノダイヤモンドの粒径(D50)を前記と同様にして求めたところ、5.41nmであった。
多結晶YAGセラミックス(神島化学工業社製、大きさ:10mm×10mm×3mm)8個を図1の研磨装置に示されるような研磨治具5の下面に熱可塑性ワックスによりロウ付けし、研磨治具5の上面には荷重6(4.9kPa)を載せた。前記8個の多結晶YAGセラミックスの高さをそろえるため、図1に示されるようなラップ盤(日本エンギス社製、商品名「HYPLEZ RAPPING MACHINE」)による研磨加工を行った(160分間)(前加工1)。
次いで、同研磨装置を用いて、上記研磨処理後の多結晶YAGセラミックス4の研磨加工面を0〜3μmダイヤモンド砥粒(トーメイダイヤ社製、商品名「ダイヤモンドパウダー ミクロンサイズ IRM 0〜3μm」)により研磨した。より具体的には、研磨定盤1の表面に0〜3μmのダイヤモンドを散布し、セラミックス製の円筒状ガイドリング3の内側に、荷重6(4.9kPa)を載せた研磨治具5に固定した研磨処理後の多結晶YAGセラミックス4を研磨加工面を下にして置き、研磨定盤1を回転させ、40分間研磨した(前加工2)。前加工後の研磨面の算術平均粗さRaは3.60nm、最大高さ粗さRzは24.74nmであった。
上記前加工処理後の多結晶YAGセラミックスの表面を、さらに図1に示されるような研磨装置[ラップ盤(日本エンギス社製、商品名「HYPLEZ RAPPING MACHINE」)]を用い、ナノダイヤモンドで研磨した。
より具体的には、研磨定盤1の上に、多結晶YAG研磨用スラリー組成物7の保持性のよい研磨パッド[エポキシウレタンパッド(九重電気社製、商品名「エポキシウレタンパッド NGP02」、厚さ0.5mm)]2を両面粘着シートにより貼り付け、その研磨パッド2の表面に上記で調製した多結晶YAG研磨用スラリー組成物7を供給配管8を通して塗布した。セラミックス製の円筒状ガイドリング3の内側に、荷重6を載せた研磨治具5に固定した前記前加工した多結晶YAGセラミックスを置いた。荷重6により研磨圧力を調整した。前記スラリー組成物7の外部への流出を抑制するために、研磨定盤1の外周に枠(PP製粘着テープ)(図示せず)を取り付けてスラリー組成物7を満たした状態で研磨定盤1を回転させ、多結晶YAGセラミックス4を研磨した。研磨定盤1の回転速度は120min-1、回転半径は58mm、周速は43.7m/minである。
実施例1では、研磨圧力4.9kPaの条件で行い、研磨時間を変化させて、研磨量、表面粗さ(算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz)を求めた。なお、研磨圧力は、研磨治具5の自重、荷重6の重さ、多結晶YAGセラミックス4の自重の合計を多結晶YAGセラミックス4の表面積で除して計算した。
研磨を行った後、表面写真をノマルスキー微分干渉顕微鏡(Nikon社製、商品名「MM−400」)で撮影し、表面粗さを非接触走査式青色レーザ測定装置(三鷹光器社製、商品名「NH−3UP」)及び3次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製、商品名「New View 6200」)で測定するとともに、多結晶YAGセラミックスの高さをデジタルゲージ(SONY社製、商品名「DE30BR」)で測定して、研磨量を求めた。
その結果、研磨時間40分後の研磨面の算術平均粗さRaは0.61nm、最大高さ粗さRzは4.87nmであった。研磨面にはスクラッチも結晶粒界段差も見られず、極めて良好な表面が得られた(図6、図8参照)。
なお、研磨時間40分の間、研磨量は研磨時間にほぼ比例していた(図2参照)。
研磨パッド2上に、上記で調製したナノダイヤモンド含有スラリー組成物を塗布する代わりに、0−1μmダイヤモンド砥粒(トーメイダイヤ社製、商品名「ダイヤモンドパウダー ミクロンサイズ IRM 0〜1μm」)を散布した以外は実施例1と同様にして、前記前加工した多結晶YAGセラミックスを研磨した。
研磨圧力4.9kPaの条件で40分間研磨した結果、40分後の研磨面の算術平均粗さRaは0.73nm、最大高さ粗さRzは9.29nmであった。研磨面にはダイヤモンド砥粒による微細なスクラッチが多数観測された。
研磨パッド2上に、上記で調製したナノダイヤモンド含有スラリー組成物の代わりに、コロイダルシリカ(株式会社フジミインコーポレーテッド製、商品名「COMPOL EX−3」)を用いるとともに、前記前加工した多結晶YAGセラミックスの代わりに、前記前加工後に酸化セリウム(トライバッハ インダストリエージー社製、商品面「酸化セリウムパウダー PZ110」)を散布し40分研磨して作製した多結晶YAGセラミックス(研磨前の算術平均粗さRaは0.77nm、最大高さ粗さRzは10.38nm)を用いた以外は実施例1と同様にして多結晶YAGセラミックスを研磨した。
研磨圧力4.9kPaの条件で40分間研磨した結果、40分後の研磨面の算術平均粗さRaは0.86nm、最大高さ粗さRzは6.37nmであった。研磨面には結晶粒界段差(丸い凸)が生じていた(図7参照)。
研磨圧力を2.5kPaとした以外は実施例1と同様にして多結晶YAGセラミックスを研磨した。
その結果、研磨時間80分後の研磨面の算術平均粗さRaは0.90nm、最大高さ粗さRzは6.78nmであった。
なお、研磨時間80分の間、研磨量は研磨時間にほぼ比例していた(図2参照)。
研磨圧力を9.8kPaとした以外は実施例1と同様にして多結晶YAGセラミックスを研磨した。
その結果、研磨時間40分後の研磨面の算術平均粗さRaは0.83nm、最大高さ粗さRzは6.85nmであった。
なお、研磨時間40分の間、研磨量は研磨時間にほぼ比例していた(図2参照)。また、研磨能率は、研磨圧力が9.8kPaと比較的高い研磨条件になってもPrestonの法則が成り立ち、研磨能率の線形性が保たれていることが分かった(図3参照)。これは、研磨パッドとして用いたエポキシウレタンパッドでは研磨剤の保持性が高いためであると考えられる。
2 研磨パッド(ポリシャ)
3 円筒状ガイドリング
4 研磨対象物(ワーク)
5 研磨治具
6 荷重(おもり)
7 多結晶YAG研磨用スラリー組成物
8 供給配管
Claims (8)
- 分散媒と、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド粒子を含む多結晶YAG研磨用スラリー組成物。
- 前記ナノダイヤモンド粒子の含有量がスラリー組成物全量の0.01〜10重量%である請求項1記載の多結晶YAG研磨用スラリー組成物。
- スラリーのpHが4〜10である請求項1記載の研磨用スラリー組成物。
- 前記ナノダイヤモンド粒子のゼータ電位は、pH9〜10において−30mV以下である請求項1又は3に記載の多結晶YAG研磨用スラリー組成物。
- 分散媒が極性溶媒である請求項1〜4の何れか1項に記載の多結晶YAG研磨用スラリー組成物。
- 前記ナノダイヤモンド粒子が爆轟法ナノダイヤモンド粒子である請求項1〜5の何れか1項に記載の多結晶YAG研磨用スラリー組成物。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の多結晶YAG研磨用スラリー組成物を使用して、多結晶YAGセラミックスを研磨する多結晶YAGセラミックスの研磨方法。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の多結晶YAG研磨用スラリー組成物を使用して、多結晶YAGセラミックスを研磨する工程を含むレーザー発振用媒体の製造方法。
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