JP2018182120A - GaN基板のCMP用研磨材組成物 - Google Patents

GaN基板のCMP用研磨材組成物 Download PDF

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博史 織田
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Abstract

【課題】硬脆材料からなる基板を高速研磨して、その表面に優れた平坦性を付与することができるCMP用研磨材組成物を提供する。【解決手段】本発明のCMP用研磨材組成物は、分散媒と、前記分散媒中に一次粒子として分散している下記ナノダイヤモンド粒子を含む。ナノダイヤモンド粒子:粒径D50が10nm以下であり、ナノダイヤモンド粒子に含まれる炭素におけるカルボキシル炭素の含有量が1.0%以上である前記ナノダイヤモンド粒子に含まれる炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の合計含有量は2.0%以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、GaNデバイスに用いられるGaN基板の表面平坦化加工等に用いられる化学的機械的研磨用研磨材組成物に関する。
また、従来、基板としてはシリコンが使用されてきたが、シリコンでは性能が限界に達している。そこで、次世代のワイドキャップ半導体材料として、窒化ガリウム(GaN)等の硬く脆い材料が注目されている。
GaN基板の研磨方法として、研磨材組成物の存在下で、基板の表面と定盤とを互いに接触させつつ相対運動させて基板の表面を研磨する方法が知られている。
GaN基板の表面に優れた平滑性を付与するためには、研磨材(若しくは、砥粒)として非常に細かい粒子を使用する必要がある。特許文献1には研磨材として超分散性ダイヤモンドを使用することが開示されている。しかし、超分散性ダイヤモンドは凝集しやすく、大きいものでは粒径が数百nmにも達する二次粒子が形成され、二次粒子の大きさに比例して研磨傷の発生頻度が上昇するため、基板に十分な平坦性を付与することが困難であった。
特許第5576409号公報
従って、本発明の目的は、GaN基板を高速研磨して、基板表面に優れた平坦性を付与することができる研磨材組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記研磨材組成物を使用してGaN基板を研磨する工程を有するGaNデバイスの製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、一般に、微粒子の場合、ゼータ電位の絶対値が増加すれば粒子間の反発力が強まり、分散性が向上するが、GaN基板を研磨研磨用の研磨材組成物としては、ナノダイヤモンドの中でも、ゼータネガティブであり、且つゼータ電位が−60〜−20mVの範囲であるナノダイヤモンドを含む研磨材組成物が、ゼータポジティブナノダイヤモンドを含む研磨材組成物に比べて、研磨速度が著しく高く、且つ研磨傷の発生を抑制して極めて優れた平滑性を付与することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、分散媒と、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド粒子を含む研磨材組成物であって、pHが6〜10であり、当該研磨材組成物に含まれる前記ナノダイヤモンドのゼータ電位が−60〜−20mVである、GaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物を提供する。
本発明は、また、前記ナノダイヤモンド粒子の含有量が研磨材組成物全量の0.01〜10重量%である、前記のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物を提供する。
本発明は、また、分散媒が極性溶媒である、前記のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物を提供する。
本発明は、また、前記ナノダイヤモンド粒子が爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、前記のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物を提供する。
本発明は、また、前記のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物を使用して、GaN基板を研磨する工程を有するGaNデバイスの製造方法を提供する。
本発明のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物(以後、「本発明のCMP用研磨材組成物」と称する場合がある)は、研磨材の粒子が非常に細かく、且つ特定のゼータ電位を有することにより、GaN基板表面において、研磨材同士の凝集が抑制され高分散状態を保持することができる。そのため、本発明のCMP用研磨材組成物を使用すれば、研磨材の凝集により研磨傷が発生することを抑制して、GaN基板に優れた平坦性を付与することができる。また、研磨材が高硬度であるため、GaN基板を研磨材との相対運動による機械的研磨効果に優れる。更に、前記研磨材は、GaN基板表面との化学的反応性が高く化学的研磨効果にも優れ、これらの研磨効果の相乗効果により同程度の粒径を有する他の研磨材を使用する場合と比べて、研磨速度を飛躍的に向上することができる。すなわち、本発明のCMP用研磨材組成物は、非常に細かい研磨材を使用しても優れた研磨速度を発揮することができ、表面平滑性と高研磨速度を高度に兼ね備える。従って、本発明のCMP用研磨材組成物はGsNデバイスの製造に好適に用いることができる。
本発明のCMP用研磨材組成物を使用した研磨方法の一例を示す概略図である。 実施例及び比較例で得られたCMP用研磨材組成物の研磨速度評価結果を示す図である。 実施例及び比較例で得られたCMP用研磨材組成物の表面平滑性評価結果を示す図である。
[ナノダイヤモンド微粒子]
本発明におけるナノダイヤモンド微粒子(以後、「ND微粒子」と称する場合がある)は、粒径D50(メディアン径)が10nm以下のナノダイヤモンド一次粒子であり、水中にて互いに離隔してコロイド粒子として分散している。ND微粒子の粒径D50は、好ましくは9nm以下、より好ましくは8nm以下、更に好ましくは7nm以下である。尚、ND微粒子の粒径D50の下限は、例えば1nmである。本明細書では、一次粒子の粒径D50は、いわゆる動的光散乱法によって測定される値とする。
また、ND微粒子のいわゆるゼータ電位は、pH6〜10において、−60〜−20mVであり、好ましくは−45〜−30mVである。コロイド粒子たるND微粒子のゼータ電位は、極性溶媒中でのND微粒子の分散安定性に影響を与えるところ、当該構成は、本発明のCMP用研磨材組成物におけるND微粒子について、GaN基板上での安定分散化や安定分散状態の維持を図るうえで好適である。本発明におけるナノダイヤモンド粒子のゼータ電位とは、ナノダイヤモンド濃度が0.2重量%で25℃のナノダイヤモンド水分散液におけるナノダイヤモンド粒子について測定される値とする。尚、ナノダイヤモンド水分散液に使用する水は超純水である。
ND微粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素の含有量は、例えば1.0%以上、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.7%以上、より好ましくは2.0%以上である。当該カルボキシル炭素の含有量の上限は例えば5.0%である。ナノダイヤモンドは、バルクダイヤモンドと同様に、sp3構造の炭素よりなる基本骨格を有するところ、本実施形態におけるカルボキシル炭素とは、ナノダイヤモンドがその基本骨格に付随して表面に有するカルボキシル基(−COOH)に含まれる炭素を意味する。本実施形態では、カルボキシル炭素の含有量は、固体13C−NMR分析によって得られる値とする。CMP用研磨材組成物中のND微粒子は、一次粒子として水中に分散しつつ、上記のカルボキシル炭素の含有量が総じて1.0%以上となる割合で官能基たるカルボキシル基を表面に有する。このような構成は、ND微粒子について水中にて高い分散性を実現するのに適する。
ND微粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素の含有量は、例えば1.0%以上、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.7%以上、より好ましくは2.0%以上である。当該カルボニル炭素の含有量の上限は例えば5.0%である。本発明におけるカルボニル炭素とは、ナノダイヤモンドがそのsp3炭素基本骨格に付随して表面に有するカルボニル基(−C=O)に含まれる炭素を意味する。本実施形態では、カルボニル炭素の含有量は、固体13C−NMR分析によって得られる値とする。CMP用研磨材組成物中のND微粒子は、一次粒子として水中に分散しつつ、上記のカルボニル炭素の含有量が総じて1.0%以上となる割合で官能基たるカルボニル基を表面に有する。このような構成は、ND微粒子について水中にて高い分散性を実現するのに適する。
ND微粒子の含む炭素における水酸基結合炭素の含有量は、例えば16.8%以上、好ましくは17.0%以上、より好ましくは18.0%以上、更に好ましくは20.0%以上、特に好ましくは25.0%以上である。当該水素結合炭素の含有量の上限は例えば40%である。本発明における水酸基結合炭素とは、ナノダイヤモンドがそのsp3炭素基本骨格に付随して表面に有する水酸基(−OH)の結合する炭素を意味する。本実施形態では、水酸基結合炭素の含有量は、固体13C−NMR分析によって得られる値とする。CMP用研磨材組成物中のND微粒子は、一次粒子として水中に分散しつつ、上記の水酸基結合炭素の含有量が総じて16.8%以上となる割合で官能基たる水酸基結合を表面に有する。このような構成は、ND微粒子について水中にて高い分散性を実現するのに適する。
ND微粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素およびカルボニル炭素の合計含有量は、例えば2.0%以上、好ましくは2.2%以上、より好ましくは2.4%以上、更に好ましくは2.7%以上、特に好ましくは2.9%以上、最も好ましくは3.2%以上である。当該合計含有量の上限は例えば8.0%である。
ND微粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素および水酸基結合炭素の合計含有量は、例えば17.8%以上、好ましくは18.0%以上、より好ましくは18.3%、更に好ましくは18.5%以上、特に好ましくは18.8%以上である。当該合計含有量の上限は例えば30.0%である。
ND微粒子の含む炭素におけるカルボニル炭素および水酸基結合炭素の合計含有量は、例えば17.8%以上、好ましくは18.0%以上、より好ましくは18.3%、更に好ましくは18.5%以上、特に好ましくは18.8%以上である。当該合計含有量の上限は例えば30.0%である。
ND微粒子の含む炭素におけるカルボキシル炭素、カルボニル炭素、および水酸基結合炭素の合計含有量は、例えば18.8%以上、好ましくは19.0%以上、より好ましくは19.2%、更に好ましくは19.5%以上、特に好ましくは19.7%以上、最も好ましくは20.0%、とりわけ好ましくは20.5%である。当該合計含有量の上限は例えば30.0%である。
ND微粒子の含む炭素におけるアルケニル炭素の含有量は、例えば0.1%以上である。本発明におけるアルケニル炭素とは、ナノダイヤモンドがそのsp3炭素基本骨格に付随して表面に有するアルケニル基に含まれる炭素を意味する。アルケニル炭素の含有量が0.1%以上となる割合で官能基たるアルケニル基を表面に有するという本構成は、ND微粒子について水中にて高い分散性を実現するうえで好ましい場合がある。
ND微粒子の含む炭素における水素結合炭素の含有量は、例えば20.0%以上である。本発明における水素結合炭素とは、ナノダイヤモンドがそのsp3炭素基本骨格に付随して表面に有する水素の結合する炭素を意味する。このような構成は、ND微粒子について水中にて高い分散性を実現するうえで好ましい場合がある。
本実施形態のCMP用研磨材組成物に分散するND微粒子は、上述の各種炭素含有量で示される例えばカルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルケニル基、および水素を伴う。このような構成は、上述のように、ND微粒子について例えば極性溶媒中にて高い分散性を実現するのに適する。ND微粒子の分散性が高いことは、ND微粒子と他材料とを含有する複合材料の設計において高い自由度を実現するうえで好適であり、ひいては、ナノダイヤモンド粒子含有複合材料を作製するうえで好適である。
上記ND微粒子は、例えば爆轟法によって製造することができる。前記爆轟法には、空冷式爆轟法と水冷式爆轟法が含まれる。本発明においては、なかでも、空冷式爆轟法が水冷式爆轟法よりも一次粒子が小さいナノダイヤモンド粒子を得ることができるうえで好ましく、特に、空冷式大気共存下爆轟法、すなわち空冷式であって大気組成の気体が共存する条件下での爆轟法が、官能基量のより多いナノダイヤモンド粒子を得ることができるうえで好ましい。従って、本発明におけるND微粒子は、爆轟法ナノダイヤモンド粒子、すなわち爆轟法によって生成したナノダイヤモンド粒子が好ましく、より好ましくは空冷式爆轟法ナノダイヤモンド粒子であり、特に好ましくは空冷式大気共存下爆轟法ナノダイヤモンド粒子である。
ND微粒子の製造方法は、例えば、生成工程、精製工程、化学的解砕工程、pH調整工程、遠心分離工程を含む。
(生成工程)
生成工程では、空冷式であって大気組成の気体が共存する条件下での爆轟法、すなわち空冷式大気共存下爆轟法によってナノダイヤモンドを生成することが、ダイヤモンド核の成長が抑制され、表面官能基が生成される点で好ましい。空冷式大気共存下爆轟法では、まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体が使用爆薬と共存する状態で容器を密閉する。容器は例えば鉄製で、容器の容積は、例えば0.5〜40m3であり、好ましくは2〜30m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの重量比(TNT/RDX)は、例えば40/60〜60/40の範囲とされる。
生成工程では、次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させる。爆轟とは、化学反応に伴う爆発のうち反応の生じる火炎面が音速を超えた高速で移動するものをいう。爆轟の際、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素を原料として、爆発で生じた衝撃波の圧力とエネルギーの作用によってナノダイヤモンドが生成する。
生成工程では、次に、室温で24時間放置して、容器およびその内部の温度を降下させる。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上述のようにして生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行って回収する。回収されたナノダイヤモンド粗生成物は、隣接する一次粒子ないし結晶子の間がファンデルワールス力の作用に加えて結晶面間クーロン相互作用が寄与して非常に強固に集成し、凝着体をなす。
(精製工程)
精製工程は、生成工程を経て得られたナノダイヤモンド粗生成物に、水溶媒中で強酸を作用させて酸処理を施す工程である。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物には金属酸化物が含まれやすく、この金属酸化物は、爆轟法に使用される容器等に由来するFe、Co、Ni等の酸化物である。そして、水溶媒中で所定の強酸を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物から金属酸化物を溶解・除去することができる(酸処理)。この酸処理において用いられる強酸としては鉱酸が好ましく、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、および王水が挙げられる。酸処理では、一種類の強酸を用いてもよいし、二種類以上の強酸を用いてもよい。酸処理で使用される強酸の濃度は例えば1〜50重量%である。酸処理温度は例えば70〜150℃である。酸処理時間は例えば0.1〜24時間である。また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸処理の後は、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行うことが好ましく、特に沈殿液のpHが例えば2〜3に至るまで水洗を反復して行うことが好ましい。
精製工程は、更に、酸化剤を用いてナノダイヤモンド粗生成物(精製終了前のナノダイヤモンド凝着体)からグラファイトを除去するための酸化処理を施すことが好ましい。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物にはグラファイト(黒鉛)が含まれており、このグラファイトは、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素のうちナノダイヤモンド結晶を形成しなかった炭素に由来する。例えば上記の酸処理を経た後に、所定の酸化剤を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物からグラファイトを除去することができる(酸化処理)。この酸化処理に用いられる酸化剤としては、例えば、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸、及びこれらの塩が挙げられる。酸化処理では、一種類の酸化剤を用いてもよいし、二種類以上の酸化剤を用いてもよい。酸化処理で使用される酸化剤の濃度は例えば3〜50重量%である。酸化処理における酸化剤の使用量は、酸化処理に付されるナノダイヤモンド粗生成物100重量部に対して例えば300〜500重量部である。酸化処理温度は例えば100〜200℃である。酸化処理時間は例えば1〜24時間である。酸化処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。また、酸化処理は、グラファイトの除去効率向上の観点から、鉱酸(酸処理で使用の鉱酸と同様の例を挙げることができる)の共存下で行うことが好ましい。酸化処理に鉱酸を用いる場合、鉱酸の濃度は例えば5〜80重量%である。このような酸化処理の後、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行うことが好ましく、水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで水洗を反復して行うことが好ましい。
(化学的解砕工程)
以上のような精製工程を経て精製された後であっても、例えば爆轟法ナノダイヤモンドは、一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとることが多く、この凝着体から一次粒子を分離させるために、更に化学的解砕工程を設けて、ナノダイヤモンド凝着体からナノダイヤモンド一次粒子を分離させて解砕を進行させることが好ましい。化学的解砕処理は、例えば、アルカリおよび過酸化水素を作用させることにより行うことができる。前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリの濃度は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜8重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。過酸化水素の濃度は、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量%である。処理温度は例えば40〜95℃であり、処理時間は例えば0.5〜5時間である。また、化学的解砕処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような化学的解砕処理の後、デカンテーションによって上澄みが除かれる。
(pH調整工程)
pH調整工程は、上述の化学的解砕処理を経たナノダイヤモンドを含む溶液のpHを後述の遠心分離処理より前に所定のpHに調整するための工程である。本工程では、デカンテーション後の沈殿液にpH調整剤を加えることが好ましい。前記pH調整剤としては、例えば、酢酸、ホウ酸、クエン酸、シュウ酸、リン酸、塩酸等の酸;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを挙げることができる。ナノダイヤモンドを含む溶液のpHを、例えば2〜13(好ましくは2〜12)に調整することが、ND微粒子を含むCMP用研磨材組成物のpHを至適範囲(例えば4〜12、好ましくは6〜10)にコントロールすることができる点で好ましい。
(遠心分離工程)
遠心分離工程は、上述の化学的解砕処理を経たナノダイヤモンドを含む溶液を遠心分離処理に付して所定の上清液を得るための工程である。具体的には、まず、上述の化学的解砕工程およびpH調整工程を経たナノダイヤモンド含有液について、遠心分離装置を使用して最初の遠心分離処理を行う。最初の遠心分離処理後の上清液は、淡い黄色透明である場合が多い。そして、遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して更なる遠心分離処理を行って固液分離を図る。加える超純水の量は、例えば、沈殿物の3〜5倍(体積比)である。遠心分離による固液分離後の沈殿物と上清液との分離、沈殿物に超純水を加えての懸濁、および更なる遠心分離処理という一連の過程を、遠心分離処理後に黒色透明の上清液が得られるまで反復して行う。3回目以降の遠心分離処理で黒色透明の上清液が得られる場合、最初の遠心分離処理と黒色透明の上清液が得られる遠心分離処理との間に行われる遠心分離処理で得られる上清液は、無色透明である場合が多い。本工程の各遠心分離処理における遠心力は例えば15000〜25000×gであり、遠心時間は例えば10〜120分である。以上のようにして得られた黒色透明の上澄み液は、後述のCMP用研磨材組成物の調製の際にND微粒子の水分散液として使用することができる。また、黒色透明の上清液を分離取得した後に残る沈殿物については、上述の精製工程を経た別の固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)と合せて、或は単独で、上述の化学的解砕工程、pH調整工程、および遠心分離工程の一連の過程に再び供してもよい。
[GaN基板のCMP用研磨材組成物]
本発明のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物(=本発明のCMP用研磨材組成物)は、分散媒と、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド粒子を含む。前記ナノダイヤモンドは、研磨材としての機能を有する物質であり、前記分散媒中に一次粒子として分散していることが好ましい。
本発明のCMP用研磨材組成物は、例えば、分散媒と、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド粒子を、1軸または多軸のエクストルーダー、ニーダー、ディソルバー、プラネタリーミキサー等の汎用の混合装置を使用して混合することにより製造することができる。
本発明のCMP用研磨材組成物のpHは4〜10であり、好ましくは6〜10、特に好ましくは7〜10である。pHを調整することで、含有するナノダイヤモンドのゼータ電位をコントロールすることができる。尚、pHの調整は、pH調整剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)を添加することにより行われる。
ND微粒子は、上記製造方法で得られたND粒子を水分散液の状態のままで添加してもよく、水を蒸発乾固させて粉末状態としてから添加してもよい。
前記分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、およびN−メチルピロリドン等の極性溶媒を挙げることができる。分散媒としては、一種類の分散媒を用いてもよいし、二種類以上の分散媒を用いてもよい。本発明においては、なかでもND微粒子の分散性の観点からは、水、または、水を50重量%以上含む水系分散媒が好ましい。そして、前記水としては、超純水、イオン交換水、蒸留水、水道水、工業用水等を使用することができる。
分散媒の含有量は、CMP用研磨材組成物中の固形分濃度が下記範囲となる量であることが、CMP用研磨材組成物の粘度を研磨に適した範囲に調整することができ、研磨速度を向上させることができる点で好ましい。
ND微粒子の含有量は、CMP用研磨材組成物全量(100重量%)の例えば0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。ND微粒子の含有量が上記範囲を下回ると、研磨速度が低下する傾向がある。
本発明のCMP用研磨材組成物は、研磨材として上記ND微粒子以外にも他の研磨材(例えば、シリカ、アルミナ、セリア、窒化ケイ素、ジルコニア等)を含有していても良いが、CMP用研磨材組成物に含まれる全研磨材(後述の研磨対象物を研磨する効果を発揮する全ての砥粒)に占めるND微粒子の割合は、例えば60重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。他の研磨材の含有量が過剰となると、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
本発明におけるCMP用研磨材組成物は、上記分散媒と研磨材以外にも必要に応じて他の成分を1種又は2種以上含有していても良い。他の成分としては、例えば、防錆剤、粘度調整剤、界面活性剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、消泡剤等を挙げることができる。
前記他の成分は本発明の効果を損なわない範囲内で適宜調整して添加することができ、その使用量は、CMP用研磨材組成物全量(100重量%)の、例えば0.001〜10重量%程度、好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%である。
従来のCMP用研磨材組成物では研磨材が凝集しやすく、研磨材の凝集による二次粒子によってGaN基板表面に研磨傷が発生し、GaN基板表面に優れた平滑性を付与することが困難であった。更に、研磨傷からクラックが誘発されるという問題もあった。しかし、本発明のCMP用研磨材組成物は、GaN基板上において、凝集し難く、分散安定性に優れたND微粒子を研磨材として含有するため、研磨傷の発生を抑制することができ、GaN基板表面に優れた平滑性を付与することができる。
例えば、本発明のCMP用研磨材組成物によりGaN基板表面を研磨して得られる平滑面の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)は、例えば2.5nm以下、好ましくは2.0nm以下、特に好ましくは1.5nm以下である。尚、表面粗さは実施例に記載の方法で測定できる。
また、本発明のCMP用研磨材組成物は研磨材として上記ND微粒子を含有するため、高硬度のGaN基板を、高速研磨することができる。
本発明のCMP用研磨材組成物によるGaN基板表面の研磨速度は、例えば100nm/時間以上、好ましくは200nm/時間以上、特に好ましくは300nm/時間以上、最も好ましくは400nm/時間以上である。尚、研磨速度は実施例に記載の方法で測定できる。
また、本発明のCMP用研磨材組成物によるGaN基板表面の研磨速度は、研磨材として、同量のゼータポジティブナノダイヤモンドを含有する研磨材組成物の、例えば5倍以上、好ましくは8倍以上、特に好ましくは10倍以上、最も好ましくは15倍以上の研磨速度を有する。
更に、本発明のCMP用研磨材組成物は、研磨材として高い水分散性を有するND微粒子を含有するため、研磨後は、洗浄することにより、研磨屑と共に研磨材をGaN基板表面から容易に取り除くことができる。
本発明のCMP用研磨材組成物は上記特性を併せて有するため、GaNデバイスに用いられるGaN基板の表面平坦化加工に好適に使用することができる。
[GaNデバイスの製造方法]
本発明のGaNデバイスの製造方法は、上記CMP用研磨材組成物を使用して、研磨対象物としてのGaN基板を研磨する工程を有することを特徴とする。
GaN基板の平坦化に使用する研磨機としては、特に限定されず、例えば、ロータリー型、ベルト型等を使用することができ、例えば、本発明のCMP用研磨材組成物(4)をCMP用研磨材組成物供給用配管(3)から研磨ヘッド(5)付近に供給しながら定盤(1)と研磨ヘッド(5)を回転させ、研磨対象物(6)表面を定盤(1)上に設けた研磨パッド(2)表面に押圧することにより研磨することができる(図1参照)。
本発明のCMP用研磨材組成物(4)の供給量としては、例えば5〜30mL/分程度である。
研磨パッド(2)としては、通常のポリウレタン樹脂等の発泡体を好適に使用することができる。
研磨は、室温(1〜30℃)、研磨圧力10〜60kPa程度で行うことが好ましく、研磨ヘッド(5)及び定盤(1)の回転数としては、10〜100rpm程度が好ましい。
本発明のGaNデバイスの製造方法では、研磨後は洗浄することにより、GaN基板の表面から研磨材を、研磨屑と共に容易に取り除くことができる。
本発明のGaNデバイスの製造方法によれば、GaN基板の表面を、研磨傷を発生させることなく速やかに平坦化することができ、より信頼性の高いGaNデバイス(例えば、半導体照明(LED)やレーザーダイオード(LD)等の光デバイス、パワーデバイス等)を提供することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1
(生成工程)
まず、ナノダイヤモンド粗生成物を得るための生成工程を行った。具体的には、まず、爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体が使用爆薬と共存する状態で容器を密閉した。容器は鉄製で、容器の容積は15m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物0.50kgを使用した。当該爆薬におけるTNTとRDXの重量比(TNT/RDX)は、50/50である。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温での24時間の放置により、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上記爆轟法で生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収した。ナノダイヤモンド粗生成物の回収量は0.025kgであった。
(精製工程;酸処理)
次に、上述のような生成工程を複数回行うことによって取得されたナノダイヤモンド粗生成物に対して精製工程の酸処理を行った。具体的には、当該ナノダイヤモンド粗生成物200gに6Lの10重量%塩酸を加えて得られたスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この酸処理における加熱温度は85〜100℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、当該固形分の水洗を反復して行った。
(精製工程;酸化処理)
次に、精製工程の酸化処理を行った。具体的には、デカンテーション後の沈殿液に、5Lの60重量%硫酸水溶液と2Lの60重量%クロム酸水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で5時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は120〜140℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、当該固形分の水洗を反復して行った。
(化学的解砕工程)
次に、化学的解砕処理を行った。具体的には、デカンテーション後の沈殿液に、1Lの10重量%水酸化ナトリウム水溶液と1Lの30重量%過酸化水素水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この化学的解砕処理における加熱温度は50〜105℃である。次に、冷却後、デカンテーションによって上澄みを除いた。
(pH調整工程)
次に、pH調整を行った。具体的には、化学的解砕処理後のデカンテーションによって得られた沈殿液に塩酸を加え、沈殿液のpHを2.5に調整した。このようにして、pHを調整されたスラリーを得た。
(遠心分離工程)
次に、遠心分離処理を行った。具体的には、上述のようにしてpH調整を経たスラリー(ナノダイヤモンド含有液)について、まず、遠心分離装置を使用して最初の遠心分離処理を行った。この遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分とした。最初の遠心分離処理後の上清液は、少し黄色い透明であった。本工程では、次に、最初の遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して2回目の遠心分離処理を行って固液分離を図った。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。2回目の遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は60分とした。2回目の遠心分離処理後の上清液は、無色透明であった。本工程では、次に、2回目の遠心分離処理によって生じた沈殿物と上清液とを分けた後、沈殿物に超純水を加えて懸濁し、遠心分離装置を使用して3回目の遠心分離処理を行って固液分離を図った。加えた超純水の量は、沈殿物の4倍(体積比)とした。3回目の遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は60分とした。3回目の遠心分離処理後の上清液は、黒色透明であった。この後、固液分離後の沈殿物と上清液との分離、沈殿物に4倍量の超純水を加えての懸濁、および更なる遠心分離処理(遠心力20000×g、遠心時間60分)という一連の過程を、遠心分離処理後に黒色透明の上清液が得られる限り反復して行った。
以上のようにして、黒色透明のナノダイヤモンド水分散液を製造した。上記3回目の遠心分離処理後のナノダイヤモンド水分散液のpHを確認したところ、6であった。本分散液のナノダイヤモンド固形分濃度は1.08重量%であった。本分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子の粒径を動的光散乱法によって測定した結果、粒径D50(メディアン径)は6.04nmであった。本分散液の一部についてナノダイヤモンド濃度0.2重量%への超純水による希釈を行った後に当該ナノダイヤモンド水分散液中のナノダイヤモンド粒子のゼータ電位を測定したところ、−42mV(25℃、pH6)であった。
本分散液を乾固させて得られた乾燥粉体について、X線回析装置(商品名「SmartLab」、リガク社製)を使用して結晶構造解析を行った。その結果、ダイヤモンドの回析ピーク位置、すなわちダイヤモンド結晶の(111)面からの回析ピーク位置に、強い回析ピークが認められ、上述のようにして得られた分散液がナノダイヤモンド水分散液であることを確認した。また、本分散液を乾固させて得られた乾燥粉体について、X線回析装置(商品名「SmartLab」、リガク社製)を使用して小角X線散乱測定を行い、粒径分布解析ソフト(商品名「NANO−Solver」、リガク社製)を使用して、散乱角度1°〜3°の領域についてナノダイヤモンドの一次粒子経を見積もった。この見積もりにおいては、ナノダイヤモンド一次粒子が球形であり且つ粒子密度が3.51g/cm3であるとの仮定をおいた。その結果、本測定で得られるナノダイヤモンド一次粒子の平均粒径は4.240nmであり、一次粒子分布に関する相対標準偏差(RSD:relative standard deviation)は41.4であった。動的光散乱法によって得られた上記D50の値(6.04nm)よりも小さく比較的に小径な一次粒子群が比較的にシャープな分布を示すことが確認された。
本分散液を乾固させて得られた乾燥粉体について、後記の固体13C−NMR分析を行った。その結果、分析対象の試料の13C DD/MAS NMRスペクトルにおいて、ナノダイヤモンドの主成分としてのsp3炭素のピーク、カルボキシル基(−COOH)に含まれる炭素に由来するピーク、カルボニル基(−C=O)に含まれる炭素に由来するピーク、アルケニル基(C=C)に含まれる炭素に由来するピーク、水酸基の結合する炭素(−COH)に由来するピーク、及び水素の結合する炭素(−CH)に由来するピークが観測された。ピークごとに波形分離したうえで算出したこれら各種炭素の組成比は、下記表1に示すとおりであった。
Figure 2018182120
〈固形分濃度〉
ナノダイヤモンド水分散液に関する上記の固形分濃度は、秤量した分散液3〜5gの当該秤量値と、当該秤量分散液から加熱によって水分を蒸発させた後に残留する乾燥物(粉体)について精密天秤によって秤量した秤量値とに基づき、算出した。
〈メディアン径〉
ナノダイヤモンド水分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子に関する上記の粒径D50(メディアン径)は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、動的光散乱法(非接触後方散乱法)によって測定した値である。測定に付されたナノダイヤモンド水分散液は、ナノダイヤモンド濃度が0.5〜2.0重量%となるように超純水で希釈した後に、超音波洗浄機による超音波照射を経たものである。
〈ゼータ電位〉
ナノダイヤモンド水分散液に含まれるナノダイヤモンド粒子に関する上記のゼータ電位は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、レーザードップラー式電気泳動法によって測定した値である。測定に付されたナノダイヤモンド水分散液は、ナノダイヤモンド濃度0.2重量%への超純水による希釈を行った後に超音波洗浄機による超音波照射を経たものである。また、測定に付されたナノダイヤモンド水分散液のpHは、pH試験紙(商品名「スリーバンドpH試験紙」、アズワン(株)製)を使用して確認した値である。
〈固体13C-NMR分析〉
固体13C-NMR分析は、固体NMR装置(商品名「CMX-300 Infinity」、Chemagnetics 社製)を使用して行う固体NMR法によって行った。測定法その他の測定に係る条件は以下のとおりである。
測定法:DD/MAS法
測定核周波数:75.188829 MHz(13C核)
スペクトル幅:30.003 kHz
パルス幅:4.2μsec(90°パルス)
パルス繰り返し時間:ACQTM 68.26msec,PD 15sec
観測ポイント:2048(データポイント:8192)
基準物質:ポリジメチルシロキサン(外部基準:1.56ppm)
温度:室温(約22℃)
資料回転数:8.0 kHz
実施例1
調製例1で得られたナノダイヤモンド水分散液にイオン交換水を加えて混合し、pH8のCMP用研磨材組成物(1)(ナノダイヤモンドの粒径(D50):6.04nm、ナノダイヤモンド濃度:1重量%)を得た。本分散液の一部についてナノダイヤモンド濃度0.2重量%への超純水による希釈を行った後に当該ナノダイヤモンド水分散液中のナノダイヤモンド粒子のゼータ電位を測定したところ、−42mV(25℃、pH6)であった。
比較例1
(精製工程;酸化処理)
調製例1と同様に(生成工程)(精製工程;酸処理)を経て得られたデカンテーション後の沈殿液(ナノダイヤモンド凝着体を含む)に、6Lの98質量%硫酸水溶液と1Lの69質量%硝酸水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で48時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は140〜160℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、溶液酸化処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ナノダイヤモンド凝着体を含む)に対して1Lの10質量%水酸化ナトリウム水溶液と1Lの30質量%過酸化水素水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った(アルカリ過水処理)。この処理における加熱温度は50〜105℃である。次に、冷却後、デカンテーションによって上澄みを除いた。そして、残留画分について乾燥処理に付して乾燥粉体を得た。乾燥処理の手法としては、エバポレーターを使用して行う蒸発乾固を採用した。
次に、得られたナノダイヤモンド粉体4.5gをガス雰囲気炉(商品名「ガス雰囲気チューブ炉 KTF045N1」,光洋サーモシステム(株)製)の炉心管内に静置し、炉心管に窒素ガスを流速1L/分で30分間通流させ続けた後、通流ガスを窒素から酸素と窒素との混合ガスへと切り替えて当該混合ガスを流速1L/分で炉心管に通流させ続けた。混合ガス中の酸素濃度は4体積%であった。混合ガスへの切り替えの後、炉内を加熱設定温度350℃まで昇温させた。昇温速度については、加熱設定温度より20℃低い330℃までは10℃/分とし、その後、330℃から加熱設定温度350℃までは1℃/分とした。そして、炉内の温度条件を350℃に維持しつつ、炉内のナノダイヤモンド粉体について酸素酸化処理を行った。処理時間は3時間とした。以上のようにして、ナノダイヤモンド粉体を得た。
酸素酸化処理を経て得られたナノダイヤモンド粉体が内部に配されているガス雰囲気炉に対して窒素ガスを流速1L/分で30分間通流させ続けた後、通流ガスを窒素から水素と窒素との混合ガスへと切り替えて当該混合ガスを流速1L/分で炉心管に通流させ続けた。混合ガス中の水素濃度は2体積%であった。混合ガスへの切り替えの後、炉内を加熱設定温度600℃まで昇温させた。昇温速度は10℃/分とした。そして、炉内の温度条件を600℃に維持しつつ、炉内のナノダイヤモンド粉体について水素酸化処理を行った。処理時間は5時間とした。以上のようにして、ナノダイヤモンド粉体を得た。
水素酸化処理を経て得られたナノダイヤモンド粉体0.9gと純水29.1mLとを50mLのサンプル瓶に加えて混合し、スラリー約30mLを得た。次に、当該スラリーについて、遠心分離処理(遠心力20000×gで10分間)とその後の超音波処理を施した。超音波処理においては、超音波照射器(商品名「超音波洗浄機 AS−3」,アズワン(AS ONE)社製)を使用して、当該スラリーに対して2時間の超音波照射を行った。この後、ビーズミリング装置(商品名「並列四筒式サンドグラインダー LSG−4U−2L型」,アイメックス(株)製)を使用してビーズミリングを行った。具体的には、100mLのミル容器たるベッセル(アイメックス(株)製)に対して超音波照射後のスラリー30mLと直径30μmのジルコニアビーズとを投入して封入し、装置を駆動させてビーズミリングを実行した。このビーズミリングにおいて、ジルコニアビーズの投入量はミル容器の容積に対して例えば33%であり、ミル容器の回転速度は2570rpmであり、ミリング時間は2時間であった。
超音波処理を経て得られたスラリーについて、遠心分離装置を使用して遠心分離処理を行った。この遠心分離処理における遠心力は20000×gとし、遠心時間は10分間とした。次に、当該遠心分離処理を経たナノダイヤモンド含有溶液の上清10mLを回収した。このようにして、ナノダイヤモンドが純水に分散するCMP用研磨材組成物(2)(pH8.07)を得た。このCMP用研磨材組成物(2)について、固形分濃度ないしナノダイヤモンド濃度は2.1質量%であった。ナノダイヤモンドの粒径D50(メディアン径)は5.05nm、ナノダイヤモンドの粒径D90は7.54nmであった。ナノダイヤモンド分散液のゼータ電位は41.8mVであった。
比較例2
コロイダルシリカ(商品名「Compol80」、Fujimi Inc.)にイオン交換水を加えて混合し、CMP用研磨材組成物(3)(シリカの粒径(D50):72nm、シリカ濃度:20重量%)を得た。
実施例及び比較例で得られたCMP用研磨材組成物を使用して下記条件にてCMPを行って、研磨特性(研磨速度、及び研磨後の表面平滑性)を評価した。
CMP条件
研磨対象物:GaNウェハ
研磨装置:片面研磨装置(8インチ)
研磨パッド:不織布パッド(商品名「SUBA800」、ニッタ・ハース(株)製)
研磨圧力:24kPa
回転数:200rpm
CMP用研磨材組成物滴下量:10mL/min
研磨時間:40分(=10分×4回)
尚、研磨速度は、研磨前後のGaN基板の質量を測定することにより算出した。
また、表面平滑性は、表面粗さ(Ra)を下記条件で測定することにより評価した。
光学測定機器:白色干渉顕微鏡、商品名「Newview5032」、Zygo Corporation製
測定点数:5(直径2インチのGaN基板の中心から外周方向へ5mm間隔で5点)
視野:0.70×0.52nm
平均回数:4
フィルタ:High pass
カットオフ:0.08mm
<研磨速度>
結果を図2に示す。図2より、CMP用研磨材組成物(1)は、研磨材として、ゼータポジティブナノダイヤモンドを使用したCMP用研磨材組成物(2)や、シリカを使用したCMP用研磨材組成物(3)と比べて、研磨速度が飛躍的に向上することがわかる。
<表面平滑性>
結果を図3に示す。図3より、CMP用研磨材組成物(1)を使用した場合は、急激に平面粗さが低下して、ゼータポジティブナノダイヤモンドを使用したCMP用研磨材組成物(2)や、シリカを使用したCMP用研磨材組成物(3)と比べて、表面平滑性を向上できることがわかる。
1 定盤
2 研磨パッド
3 CMP用研磨材組成物供給用配管
4 CMP用研磨材組成物
5 研磨ヘッド
6 研磨対象物

Claims (5)

  1. 分散媒と、粒径D50が10nm以下であるナノダイヤモンド粒子を含む研磨材組成物であって、pHが6〜10であり、当該研磨材組成物に含まれる前記ナノダイヤモンドのゼータ電位が−60〜−20mVである、GaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物。
  2. 前記ナノダイヤモンド粒子の含有量が研磨材組成物全量の0.01〜10重量%である、請求項1に記載のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物。
  3. 分散媒が極性溶媒である、請求項1又は2に記載のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物。
  4. 前記ナノダイヤモンド粒子が爆轟法ナノダイヤモンド粒子である、請求項1〜3の何れか1項に記載のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載のGaN基板の化学的機械的研磨用研磨材組成物を使用して、GaN基板を研磨する工程を有するGaNデバイスの製造方法。
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