JP2014012311A - 研磨材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セリアの使用量が低減させられ、従来のようなセリア粒子を使用するセリア研磨材と同等以上の研磨性能を有する研磨材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】実施例品1、2の研磨材10によれば、表面24aの一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24が含まれているので、研磨材10に含有されるセリア26の含有量が低減させられると共に、従来のセリア粒子を使用する比較例品1の研磨材10を上回る研磨品質とその比較例品1の研磨材10に近い研磨速度とが実現される。
【選択図】図2

Description

本発明は、希少金属であるセリア(CeO)の使用量が低減されても研磨性能が高い研磨材およびその製造方法に関する。
電子デバイスや光学レンズ等に用いられるガラス系材料は、極めて平滑な表面研磨が必要とされることがあり、その研磨材としてセリア粒子が広く使用されている。また、上記セリア粒子を使用するセリア研磨材が、その化学的相互作用を活用した研磨材として高性能であることから、用途ごとに、粒径、純度、添加剤、pHなどが適正化されて使用され、例えば特許文献1では、これに関する提案が行われている。
ところで、セリウム(Ce)はレアアースと呼ばれる希少金属であり、産出国が限られセリウムの安定的な使用が難しくなってきている。また、セリウムの埋蔵量が限られることから、中長期的に継続して使用するためにセリウムの使用量を削減することが、地球環境面でも課題となってきている。
このため、上記のようなセリア研磨材に替わり、セリウムの使用量が少ない研磨材の開発が急務となっている。そこで、非特許文献1では、代替砥粒としてジルコニア(ZrO)やチタニア(TiO)といった材料を使用することが提案されている。
特開2009−290188号公報
日本機械学会年次大会講演論文集、Vol.2011、Page.S132022
しかしながら、上記のようなジルコニアやチタニアといった材料は、セリアと比較すると、上記非特許文献1のような特殊な研磨パッドを使用するなどの特殊な条件下を除いては、研磨速度の低下や傷の発生等といった問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、セリアの含有量が低減させられ、従来のようなセリア粒子を使用するセリア研磨材と同等以上の研磨性能を有する研磨材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、表面の少なくとも一部がセリア(CeO)で被覆されたジルコニア(ZrO)粒子を含む研磨材を使用して被研磨材料を研磨すると、その研磨後の被研磨材料において研磨品質が上記従来のセリア研磨材を上回るすなわち表面粗さRa(nm)および研磨条痕の数が上記従来のセリア研磨材を使用した場合に比較して低下すると共に、研磨速度(nm/min)が上記従来のセリア研磨材を使用した場合に比較して同等程度になることに気づいた。つまり、表面の少なくとも一部がCeOで被覆されたZrO粒子を含む研磨材を使用すると、研磨材に使用されるCeOの使用量が低減されると共に、上記セリア研磨材と同等以上の研磨性能(表面粗さRa(nm)、研磨条痕の数、研磨速度(nm/min))を有することを見い出した。本発明はこのような知見に基づいて為されたものである。
前記目的を達成するための本発明の研磨材の要旨とするところは、表面の少なくとも一部がCeOで被覆されているZrO粒子を含むことにある。
本発明の研磨材によれば、表面の少なくとも一部がCeOで被覆されているZrO粒子が含まれているので、前記研磨材に含有される前記CeOの含有量が低減させられると共に、従来のセリア研磨材を上回る研磨品質と従来のセリア研磨材に近い研磨速度とが実現される。
ここで、好適には、前記研磨材には、前記CeOと前記ZrO粒子との化合物であるCeZrO層が形成されている。このため、前記ZrO粒子と前記CeOとの界面には両者の反応層である前記CeZrO層が形成されていることでCeOが強固に担持されるので、水蒸気雰囲気下や高温還元雰囲気下での前記研磨材の耐久性が高くなる。
また、好適には、(a) 水にジルコニア粉を分散させたもの或いはZrO粒子を含むジルコニアゾルに、硝酸セリウムを溶解させる溶解工程と、(b) 前記溶解工程によって得られた溶解液にアンモニア水を加えて攪拌することにより、前記CeOを担持した前記ZrO粒子を含むアルカリ性のスラリーを得る第1担持工程と、(c) 前記第1担持工程によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記CeOを前記ZrO粒子に担持させる第2担持工程と、(d) 前記第2担持工程によって得られたスラリー中からその固型分を抽出する固型分抽出工程と、(e) 前記固型分抽出工程によって得られた固型分を焼成することで前記研磨材を得る焼成工程とを、含む製造方法によって、前記研磨材が製造される。
上記研磨材の製造方法によれば、前記溶解工程において水にジルコニア粉を分散させたもの或いはZrO粒子を含むジルコニアゾルに、硝酸セリウムが溶解され、前記第1担持工程において前記溶解工程によって得られた溶解液にアンモニア水を加えて攪拌することにより、前記CeOを担持した前記ZrO粒子を含むアルカリ性のスラリーが得られ、前記第2担持工程において前記第1担持工程によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記CeOが前記ZrO粒子に担持され、前記固型分抽出工程において前記第2担持工程によって得られたスラリー中からその固型分が抽出され、前記焼成工程において前記固型分抽出工程によって得られた固型分が焼成されることで前記研磨材が得られることにより、前記CeOの使用量を低減させると共に、従来のセリア研磨材を上回る研磨品質と従来のセリア研磨材に近い研磨速度とを実現する研磨材が製造される。
また、好適には、前記溶解工程において、水にジルコニア粉を分散させたもの或いはジルコニア粒子を含むジルコニアゾルに溶解される前記硝酸セリウムは、硝酸セリウム(III)六水和物、硝酸セリウム(IV)アンモニウム水和物、硝酸セリウム(III)六水和物を過酸化水素水で酸化処理をしてセリウムを四価にした水溶液等が使用される。
また、好適には、前記焼成工程には、前記固型分抽出工程によって得られた固型分を焼成温度300〜600℃の範囲内で焼成する仮焼成工程と、前記仮焼成工程によって焼成された粉末をその仮焼成工程の焼成温度より高い温度400〜800℃の範囲内で再度焼成する本焼成工程とが含まれている。これによって、前記研磨材には、前記CeOと前記ZrO粒子との化合物であるCeZrO層が好適に形成される。
また、好適には、前記研磨材は平均粒径が1〜10nmのZrO粒子が含まれたジルコニアゾルと硝酸セリウム溶液とからなる比表面積調整液中に還元剤とともに混合されて、その混合液中の固型分が100〜200℃の範囲内の温度でゲル化されて焼成されることにより、その比表面積が調整されている。このため、前記研磨材の研磨性能を調整するためにその研磨材の被研磨材料への化学的作用に対する要因の一つである比表面積を容易に調整することができるので、研磨する被研磨材料の材質や用途に応じて前記研磨材の研磨性能を容易に調整することができる。
また、好適には、(a) 前記研磨材に前記比表面積調整液を加えて混合する第1混合工程と、(b) 前記第1混合工程によって混合された前記研磨材と前記比表面積調整液との混合液に還元剤を加えて混合する第2混合工程と、(c) 前記第2混合工程によって還元剤が混合された混合液からその混合液中の固型分を分離する固型分分離工程と、(d) 前記固型分分離工程によって混合液中から分離された固型分を100〜200℃の範囲内の温度で加温することでゲル化する加温工程と、(e) 前記加温工程でゲル化されたものを焼成する焼成工程とを、含む調整方法によって、研磨材の比表面積が調整される。
上記研磨材の比表面積の調整方法によれば、前記第1混合工程において前記研磨材に前記比表面積調整液が加えられて混合され、前記第2混合工程において前記第1混合工程によって混合された前記研磨材と前記比表面積調整液との混合液に還元剤が加えられて混合され、前記固型分分離工程において前記第2混合工程によって還元剤が混合された混合液からその混合液中の固型分が分離され、前記加温工程において前記固型分分離工程によって混合液中から分離された固型分が100〜200℃の範囲内の温度で加温されることでゲル化され、前記焼成工程において前記加温工程でゲル化されたものが焼成されることにより、前記研磨材の比表面積が調整される。
また、好適には、前記第1混合工程において、混合された前記比表面積調整液の添加量(wt%)は、0.5〜5(wt%)である。
また、好適には、前記第2混合工程において、混合された還元剤はアンモニア水であり、そのアンモニア水の添加量(wt%)は1〜5(wt%)であり、そのアンモニア水の濃度(N)は0.2〜1(N)である。なお、アンモニア水の濃度(N)を1(N)にすると比表面積が比表面積調整液の添加前の比表面積よりも小さくなるように調整され、アンモニア水の濃度(N)を0.5(N)より小さくすると比表面積が比表面積調整液の添加前の比表面積よりも大きくなるように調整される。
また、好適には、前記焼成工程において、前記加温工程でゲル化されたものが600〜800℃で焼成される。
本発明の一実施例の研磨材が含まれた研磨スラリーを適用した研磨装置の構成を概略説明する概略図である。 図1の研磨スラリー中の研磨材を拡大して示す模式図である。 図2の研磨材の製造方法を説明する工程図である。 図2の研磨材の比表面積を調整する研磨材の比表面積の調整方法を説明する工程図である。 図3の製造方法で製造された研磨材を使用して図1の研磨装置により研磨した被研磨材料の表面粗さ、研磨条痕の数、研磨速度等を示す図である。 図4の調整方法で比表面積が調整された研磨材の比表面積の測定結果を示す図である。 図6のNo.5、6の研磨材を拡大して示す模式図である。 図6のNo.3、4、7の研磨材を拡大して示す模式図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確には描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の研磨材10(図2参照)が含まれた研磨スラリー12を適用した研磨装置14の構成を概略説明する概略図である。図1に示すように、研磨装置14には、A点回り矢印A1方向に回転駆動する円板形状のテーブル16と、そのテーブル16の上面16aに貼り付けられた例えば発泡ポリウレタン製の円板形状の研磨パッド18と、その研磨パッド18上に研磨スラリー12を供給する図示しないスラリー供給装置と、研磨パッド18の上面である研磨面18aに例えば石英ウエハ等の円板形状の被研磨基板(被研磨材料)20を摺接状態で自転可能に保持するキャリヤ22とが備えられており、研磨スラリー12中の研磨材10によって被研磨基板20が平滑に研磨される。なお、キャリヤ22は、矢印F方向に押圧された状態でB点回り矢印B1方向に回転駆動するものであり、キャリヤ22が矢印F方向に押圧された状態で矢印B1方向に回転駆動することによって、被研磨基板20が研磨パッド18に摺接された状態で自転可能に保持される。
図2は、研磨スラリー12中に含まれている研磨材10を拡大して示す模式図である。図2に示すように、研磨材10は、コアがジルコニア粒子(ZrO粒子)24で構成され、そのジルコニア粒子24の表面24aの周りにセリア(CeO)26が担持されたコアシェル構造である。すなわち、研磨材10は、表面24aの一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24である。なお、ジルコニア粒子24とセリア26との間には、ジルコニア粒子24の周りに担持されたセリア26が焼成によりジルコニア粒子24と化学反応することによって、セリア26とジルコニア粒子24との化合物であるセリアジルコニア層(CeZrO層)28が形成されている。また、研磨スラリー12は、例えば水と研磨材10とによって構成されている。また、研磨スラリー12に添加された研磨材10の粒子全部が、表面24aの一部がセリア26で被覆されたジルコニア粒子24から成っている。
研磨装置14において、表面24aの一部がセリア26で被覆されたジルコニア粒子24を研磨材10として使用して被研磨基板20を研磨すると、その研磨後において被研磨基板20の研磨品質が従来のセリア粒子を研磨材として使用するセリア研磨材を上回るすなわち被研磨基板20の表面粗さRa(nm)および研磨条痕の数が上記従来のセリア研磨材を使用した場合に比較して低下すると共に、被研磨基板20の研磨速度(nm/min)が上記従来のセリア研磨材を使用した場合に比較して略同等程度になる。また、研磨材10は、平均粒径(μm)が所定範囲内であるジルコニア粒子を含むジルコニアゾルと硝酸セリウム溶液とからなる比表面積調整液中に還元剤とともに混合され、その混合液中の固型分が所定温度の範囲内の温度でゲル化されて焼成されることにより、その比表面積が調整されるものである。
以下において、図3を用いて研磨材10の製造方法を説明し、図4を用いて研磨材10の比表面積の調整方法を説明する。そして、図3の製造方法によって製造された表面24aの一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24である研磨材10と、従来のようなセリア粒子を使用するセリア研磨材とをそれぞれ製造して、それらの研磨材10を使用して研磨装置14により研磨した被研磨基板20の表面粗さRa(nm)、研磨条痕の数、研磨速度(nm/min)を比較させることにより、研磨材10が従来のようなセリア研磨材と同等以上の研磨性能(表面粗さRa(nm)、研磨条痕の数、研磨速度(nm/min))を有することを以下の実験Iで示す。また、図3の製造方法によって製造された研磨材10の比表面積と、その研磨材10を図4の比表面積の調整方法によって調整した研磨材10の比表面積とを測定することによって、図4の研磨材10の比表面積の調整方法により研磨材10の比表面積が調整可能であることを以下の実験IIで示す。
図3に示すように、先ず、溶解工程P1において、水30に平均粒子径(nm)が50〜120nmの範囲内であり比表面積(m/g)が67〜175m/gの範囲内であるジルコニア粉32を分散させたものに、硝酸セリウム(III)六水和物(硝酸セリウム)34を溶解させた。なお、ジルコニア粉32の平均粒子径(nm)は、電子顕微鏡(TEM)写真観測により測定された一次粒子径の平均値である。また、ジルコニア粉32の比表面積(m/g)は、例えば窒素ガスなどの物理吸着を用いて吸着等温線を測定し、良く知られたBET法により算出したものである。
次に、第1担持工程P2において、溶解工程P1によって得られた溶解液にアンモニア水36を沈殿剤として加えて攪拌することによって、その溶解液のpHを酸性から中性、中性からアルカリ性にしてその溶解液中のセリア26の少なくとも一部を担持したジルコニア粒子24を含むアルカリ性のスラリーが得られる。
次に、第2担持工程P3において、第1担持工程P2によって得られた上記アルカリ性のスラリーを任意のジルコニアボールを使い密閉式または開放式ボールミルで3〜24時間湿式粉砕することによって、第1担持工程P2よりも更に強固にセリア26をジルコニア粒子24に担持させる。
次に、ろ過工程P4において、第2担持工程P3によって得られたスラリー中からその固型分をろ過により分離させる。また、次に、乾燥工程P5において、ろ過工程P4によりスラリー中から分離された固型分を80℃で12時間以上乾燥させることによって乾燥粉が得られる。なお、上記のようなろ過工程P4および乾燥工程P5は、第2担持工程P3によって得られたスラリー中からその固型分を抽出する固型分抽出工程に相当する。
次に、仮焼成工程(焼成工程)P6において、固型分抽出工程によって得られた乾燥粉が、焼成温度(℃)300〜600℃の範囲内で焼成される。
次に、本焼成工程(焼成工程)P7において、仮焼成工程P6によって焼成された粉末が、焼成温度(℃)400〜800℃の範囲内で再度焼成される。次に、必要に応じて所定の平均粒径となるように粉砕され且つ分級されて、研磨材10が製造される。なお、本焼成工程P7の焼成温度(℃)は、仮焼成工程P6の焼成温度(℃)より高い温度になるように設定される。
図4に示すように、先ず、第1混合工程P8において、上述した図3の製造方法により製造された研磨材10に、オキシ塩化ジルコニウムから作製したジルコニアゾル38と硝酸セリウム溶液40とからなる混合溶液である比表面積調整液42を、研磨材10に対して0.5〜5(wt%)の範囲内で添加して、例えばボールミルによって6時間湿式粉砕するとともに混合した。なお、研磨材10の比表面積は30(m/g)であり、その研磨材10の比表面積(m/g)は例えば窒素ガスなどの物理吸着を用いて吸着等温線を測定し、良く知られたBET法により算出したものである。また、比表面積調整液42に混合されたジルコニアゾル38には、平均粒径が1〜10nmの範囲内のジルコニア粒子がコロイド状に分散されており、そのジルコニアの濃度は0.1(wt%)である。また、ジルコニアゾル38と硝酸セリウム溶液40とからなる比表面積調整液42は、セリウム(Ce):ジルコニウム(Zr)=2:8mol比となるように調合されている。
次に、第2混合工程P9において、第1混合工程P8によって混合された研磨材10と比表面積調整液42との混合液に、例えばアンモニア水44などの還元剤を1〜5(wt%)の範囲内で添加して、例えばボールミルによって6時間湿式粉砕するとともに混合した。なお、添加されるアンモニア水(還元剤)44は、そのアンモニア水44の濃度が0.2〜1(N)の範囲内のものを使用している。
次に、固型分分離工程P10において、第2混合工程P9によってアンモニア水44が混合された混合液から固型分を分離した。たとえば、第2混合工程P9によってアンモニア水44が混合された混合液を、ろ過、洗浄してその混合液中の固型分を分離した。
次に、加温工程P11において、固型分分離工程P10によって混合液中から分離された固型分を100〜200℃の範囲内で加温することでゲル化させた。
次に、焼成工程P12において、加温工程P11でゲル化されたものを600〜800℃で焼成させた。これによって、比表面積が調整された研磨材10が製造される。なお、焼成工程P12後、研磨材10は必要に応じて所定の平均粒径となるように粉砕され且つ分級される。
[実験I]
ここで実験Iを説明する。上記製造工程P1〜P7に基づいて、図5に示すように2種類のZrOコア−CeOシェル粒子である研磨材10すなわち実施例品1および実施例品2の研磨材10を製造し、それら研磨材10を使用して研磨装置14により研磨した被研磨基板20の表面粗さRa(μm)、表面粗さRaのばらつき、研磨条痕の数、研磨速度(nm/min)、およびそれら研磨材10の耐久性をそれぞれ測定した。なお、実施例品1の研磨材10は、溶解工程P1〜仮焼成工程P6によって製造されたものであり、図2に示すようなセリアジルコニア層28が形成されていないものである。また、実施例品2の研磨材10は、溶解工程P1〜本焼成工程P7によって製造されたものであり、図2に示すようなセリアジルコニア層28が形成されているものである。また、比較例として、セリア(CeO)粒子を使用した比較例品1の研磨材10と、ジルコニア(ZrO)粒子を使用した比較例品2の研磨材10と、チタニア(TiO)粒子を使用した比較例品3の研磨材と、ジルコニア(ZrO)とシリカとにより構成されたコアの周りに実施例品1の研磨材10と同様なセリア(CeO)26が担持された比較例品4の研磨材10とを製造して、それら研磨材10を使用して研磨装置14により研磨した被研磨基板20の表面粗さRa(μm)、表面粗さRaのばらつき、研磨条痕の数、研磨速度(nm/min)、およびそれら研磨材10の耐久性をそれぞれ測定した。なお、比較例品4の研磨材10は、実施例品1の研磨材10で使用した水30にジルコニア粉32を分散させたものに平均粒子径が約20nmのシリカ粒子を含むコロイダルシリカを添加することによりジルコニアとシリカとから構成されるコア粒子を作製し、そのコア粒子を上記製造方法P1〜P6で用いたジルコニア粒子と略同様にそのコア粒子の周りにセリアを固着させて製造したものである。また、実施例品1、2の研磨材10におけるジルコニア粒子24の粒径は50nmであり、そのジルコニア粒子24の周りに被覆するセリア26の厚みは約3〜10nmである。また、比較例品1の研磨材10におけるセリア粒子の粒径、比較例品2の研磨材10におけるジルコニア粒子の粒径、比較例品3の研磨材10におけるチタニア粒子の粒径は、約50nmである。また、比較例品4の研磨材10におけるジルコニアとシリカとにより構成されたコア粒子の粒径は50nmであり、そのコア粒子の周りに被覆するセリア26の厚みは約3〜10nmである。なお、実施例品1、2の研磨材10におけるセリア26の含有率は20wt%であり、比較例品1の研磨材10に比較してセリア26の使用量が大幅に低減されている。
以下、図5を用いてその測定結果を示す。なお、実験Iにおいて、研磨装置14では、被研磨基板20としてφ65mmの石英ウエハが使用され、その被研磨基板20が矢印F方向に荷重20.4kPaの力で研磨パッド18に押圧された状態で56rpmの回転速度で回転駆動させられると共に、60rpmの回転速度でテーブル16が回転駆動させられて、被研磨基板20が研磨される。また、研磨装置14に供給される研磨スラリー12の供給量は10ml/minであり、その研磨スラリー12中の5wt%が研磨材10であり残部は水である。
また、図5の測定結果において、被研磨基板20すなわちサンプルの研磨後の表面粗さRa(nm)は、干渉顕微鏡であるZygo社のNew View 200を用いて測定した3500μm当たりの平均値を示す。また、図5の測定結果において、被研磨基板20の研磨後の表面粗さRa(nm)のばらつきは、上記Zygo社のNew View 200を用いて被研磨基板20の研磨面の複数箇所の表面粗さRa(nm)を測定して、その複数箇所の表面粗さRa(nm)の平均値からのその複数箇所の表面粗さRa(nm)測定した表面粗さRa(nm)の最大値RaMAXと、その複数箇所の表面粗さRa(nm)測定した表面粗さRa(nm)の最小値RaMINとのずれ範囲を示すものである。
また、図5の測定結果において、被研磨基板20の研磨後の研磨条痕の数は、上記Zygo社のNew View 200を用いて例えば50μm×50μmを1視野として50視野における研磨条痕の数を測定して、その1視野当たりの研磨条痕の数を算出したものである。また、図5の測定結果において、研磨速度(nm/min)は、被研磨基板20において研磨する前と研磨した後の重量を測定し、被研磨基板20の表面積と比重とに基づいて算出した。また、図5の測定結果において、研磨材10の耐久性は、図5に示す研磨材10が例えば高温還元雰囲気下または水蒸気雰囲気下である時のそれら研磨材10の状態を示すものである。
図5の測定結果に示すように、実施例品1および実施例品2の研磨材10は、比較例品1〜比較例品4の研磨材10に比較して、研磨後の被研磨基板20の表面粗さRa(nm)および研磨条痕の数が低くなり研磨品質が向上した。更に、実施例品1および実施例品2の研磨材10は、比較例品1〜比較例品4の研磨材10に比較して、研磨後の被研磨基板20の表面粗さRaのばらつきが小さい。また、実施例品1および実施例品2の研磨材10は、比較例品2〜比較例品4の研磨材10に比較して、被研磨基板20の研磨速度(nm/min)が速い。なお、実施例品1および実施例品2の研磨材10は、比較例品1の研磨材10に比較して、研磨速度(nm/min)が少し遅いが略同じ程度である。また、実施例品1の研磨材10と実施例品2の研磨材10とは、被研磨基板10の表面粗さRa(nm)、表面粗さRaのばらつき、研磨条痕の数、研磨速度(nm/min)において同じ程度の値であるが、研磨材10の耐久性において、実施例品1の研磨材10は高温還元雰囲気下でセリウムの価数が若干変化してセリア26の表面から酸素が抜けて切れが低下するが、実施例品2の研磨材10は高温還元雰囲気下および水蒸気雰囲気下でも変化せず安定している。
このため、図5の実施例品1、2、比較例品1〜4の研磨材10において、表面24aの一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24を使用する実施例品1、2の研磨材10は、従来の研磨材粒子全体がセリアから成るセリア研磨材である比較例品1の研磨材10に比較して、研磨材10に含有されるセリア26の含有量が低減させられると共に、その比較例品1の研磨材10を上回る研磨品質(表面粗さRa(nm)、研磨条痕の数)と比較例品1の研磨材10に近い研磨速度(nm/min)とを実現することができると考えられる。また、図5の実施例品1、2の研磨材10において、実施例品2の研磨材10には、セリア26とジルコニア粒子24との化合物であるセリアジルコニア層28が形成されている。このため、ジルコニア粒子24とセリア26との界面には両者の反応層であるセリアジルコニア層28が形成されていることでセリア26が強固に担持されているので、実施例品2の研磨材10の水蒸気雰囲気下や高温還元雰囲気下での耐久性が高くなると考えられる。なお、実験Iには示していないが、比較例の研磨材10としてシリカ粒子の周りに実施例品1、2の研磨材10のようなセリア26が担持されたシリカコア−セリアシェル粒子を製造したが、実施例品1、2の研磨材10に比較して研磨性能が劣っていた。これは、セリア26の結晶構造とシリカの結晶構造とが違うものであり、セリアとシリカとの相性がミスマッチであるからだと考えられる。なお、セリアとジルコニアとはそれぞれ同じ結晶構造であり相性が良い。
[実験II]
ここで実験IIを説明する。上記製造工程P8〜P12において、図6に示すように、第1混合工程P8における比表面積調整液42の添加量を0〜5(wt%)の範囲内すなわち0(wt%)、0.1(wt%)、0.5(wt%)、1(wt%)、3(wt%)、5(wt%)で変化させ、ジルコニアゾル38のジルコニア粒子の平均粒径を1〜20(nm)の範囲内すなわち1(nm)、5(nm)、10(nm)、20(nm)で変化させ、第2混合工程P9におけるアンモニア水44の添加量を0〜10(wt%)の範囲内すなわち0(wt%)、1(wt%)、2(wt%)、5(wt%)、10(wt%)で変化させ、アンモニア水44の濃度を0.2〜1(N)の範囲内すなわち0.2(N)、0.5(N)、1(N)で変化させ、加温工程P4における処理温度を100〜300℃の範囲内すなわち100℃、200℃、300℃で変化させることによって、10種類の研磨材10、すなわち、No.1〜No.10の研磨材10を製造し、それら研磨材10の比表面積(m/g)を測定した。以下、図6を用いてその測定結果を示す。なお、No.3乃至7の研磨材10が実施例に対応し、それ以外すなわちNo.1、2、8乃至10の研磨材10が比較例に対応している。また、研磨材10の比表面積(m/g)は、例えば窒素ガスなどの物理吸着を用いて吸着等温線を測定し、BET法により算出したものである。また、ジルコニアゾル38におけるジルコニア粒子の平均粒径(nm)は、DLS(動的光散乱)法を用いたレーザドップラ式粒度分析計により測定したものである。
図6のNo.1乃至10の研磨材10における比表面積の測定結果から示すように、No.3乃至8、10の研磨材10は、それぞれ比表面積が比表面積調整液42が添加される前の研磨材10の比表面積30(m/g)に対して変化した。また、No.1、2、9の研磨材10は、それぞれ比表面積が比表面積調整液42が添加される前の研磨材10の比表面積30(m/g)と同じであり変化しなかった。なお、No.8の研磨材10は、加温工程P11での処理温度が300℃であって、No.3乃至7の研磨材10における処理温度100℃、200℃よりも高いので、加温工程P11でゲル化されたものが焼成工程P12によって焼成されるとセリアジルコニアの結晶とはならず酸化セリウム(CeO)と酸化ジルコニウム(ZrO)とに分層された結晶となり、目的とする性能を満たさない。また、No.10の研磨材10は、ジルコニアゾル38のジルコニア粒子の平均粒径が20(nm)であって、No.3乃至7の研磨材10におけるジルコニア粒子の平均粒径1(nm)、5(nm)、10(nm)よりも大きいので、加温工程P11において固くゲル化してしまい粉砕が必要であったために、再現よく比表面積を調整することができなかった。
このため、図6のNo.1乃至10の研磨材10において、No.3乃至7の研磨材10のように、研磨材10が、平均粒径が1〜10nmのジルコニア粒子が含まれたジルコニアゾル38と硝酸セリウム溶液40とからなる比表面積調整液42中にアンモニア水44と共に混合され、その混合液中の固型分が100〜200℃の範囲内の温度でゲル化されて焼成されることによって、好適に研磨材10の比表面積が調整可能であると考えられる。すなわち、No.3乃至7の研磨材10のように、比表面積調整液42の添加量を0.5〜5(wt%)の範囲内にし、ジルコニアゾル38のジルコニア粒子の平均粒径を1〜10(nm)の範囲内にし、第2混合工程P9におけるアンモニア水44の添加量を1〜5(wt%)の範囲内にし、アンモニア水44の濃度を0.2〜1(N)の範囲内にし、加温工程P11における処理温度を100〜200℃の範囲内にし、焼成することによって、研磨材10の比表面積が調整可能であると考えられる。また、比表面積調整液42の添加量(wt%)、ジルコニアゾル38のジルコニア粒子の平均粒径(nm)、アンモニア水44の添加量(wt%)、アンモニア水44の濃度(N)、および加温工程P11での処理温度(℃)のうちの少なくとも1つが上述した範囲から外れると、比較例であるNo.1、2、8乃至10の研磨材10のように比表面積が30(m/g)と同じで変化しないか或いは研磨材10の比表面積の調整時に問題点が発生すると考えられる。
ここで、実施例であるNo.3乃至7の研磨材10の比表面積が比表面積調整液42が添加される前の研磨材10の比表面積30(m/g)に対して変化した理由を、図7および図8を用いて概念的に説明する。なお、図7は、比表面積が30(m/g)より高く調整された研磨材10、すなわちNo.5、6の研磨材10を拡大した模式図である。また、図8は、比表面積が30(m/g)より低く調整された研磨材10、すなわちNo.3、4、7の研磨材10を拡大した模式図である。
図7および図8に示すように、No.3乃至7の研磨材10は、比表面積調整液42が添加される前の研磨材10と、その研磨材10の表面に固着されたセリアジルコニア46とにより構成されている。なお、セリアジルコニア46は、加温工程P11でゲル化されたものが焼成工程P12で焼成されることによってセリアジルコニアとして結晶化したものである。
図7では、研磨材10上に比較的小さなセリアジルコニア46の微粒子が固着されるので、No.5、6の研磨材10の比表面積は、30(m/g)より高くなると考えられる。なお、No.5、6の研磨材10は、研磨材10上に比較的小さなセリアジルコニア46の微粒子が固着されることによりその表面がゴツゴツし研磨時の作用点が増加する。図8では、図7で示した研磨材10上に固着されたセリアジルコニア46の微粒子同士が結合された状態となるので、No.3、4、7の研磨材10の比表面積は、30(m/g)より低くなると考えられる。なお、No.3、4、7の研磨材10は、図7で示した研磨材10上に固着されたセリアジルコニア46の微粒子同士が結合されることによりその表面が上記No.5、6の研磨材10に比較して滑らかとなり研磨時の作用点が上記No.5、6の研磨材10に比較して減少する。
更に、図6に示すように、実施例であるNo.3乃至7の研磨材10において、アンモニア水44の濃度が0.2(N)、0.5(N)である時には、研磨材10の比表面積が30(m/g)より高くなっている。また、アンモニア水44の濃度が1(N)である時には、研磨材10の比表面積が30(m/g)より低くなっている。このため、アンモニア水44の濃度を1(N)より低くして0.2(N)或いは0.5(N)にすると、研磨材10では、図7に示すように研磨材10の粒子上にセリアジルコニア46の小さな微粒子が固着される状態となって、研磨材10の比表面積を高く調整することができると考えられる。また、アンモニア水44の濃度を1(N)にすることによって、研磨材10では、図8に示すように図7で示した研磨材10上に固着されたセリアジルコニア46の微粒子同士が結合される状態となって、研磨材10の比表面積を低く調整することができると考えられる。これによって、アンモニア水44の濃度を変化させることによって、研磨材10の比表面積の大きさを調整することができると考えられる。
上述のように、実施例品1、2の研磨材10によれば、表面24aの一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24が含まれているので、研磨材10に含有されるセリア26の含有量が低減させられると共に、従来のセリア粒子を使用する比較例品1の研磨材10を上回る研磨品質(表面粗さRa(nm)、研磨条痕の数)とその比較例品1の研磨材10に近い研磨速度(nm/min)とが実現される。
また、実施例品2の研磨材10には、セリア26とジルコニア粒子24との化合物であるセリアジルコニア層28が形成されている。このため、ジルコニア粒子24とセリア26との界面には両者の反応層であるセリアジルコニア層28が形成されていることでセリア26が強固に担持されるので、水蒸気雰囲気下や高温還元雰囲気下での研磨材10の耐久性が高くなる。
また、実施例品1、2の研磨材10の製造方法によれば、溶解工程P1において水30にジルコニア粉32を分散させたものに、硝酸セリウム(III)六水和物34が溶解され、第1担持工程P2において溶解工程P1によって得られた溶解液にアンモニア水36を加えて攪拌することにより、セリア26を担持したジルコニア粒子24を含むアルカリ性のスラリーが得られ、第2担持工程P3において第1担持工程P2によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固にセリア26がジルコニア粒子24に担持され、ろ過工程P4および乾燥工程P5である固型分抽出工程において第2担持工程P3によって得られたスラリー中からその固型分が抽出され、仮焼成工程P6において前記固型分抽出工程によって得られた固型分が焼成されることで研磨材10が得られることにより、セリア26の使用量を低減させると共に、従来のセリア粒子を使用する比較例品1の研磨材10を上回る研磨品質とその比較例品1の研磨材10に近い研磨速度とを実現する実施例品1、2の研磨材10が製造される。
また、実施例であるNo.3〜7の研磨材10によれば、研磨材10は平均粒径が1〜10nmのジルコニア粒子が含まれたジルコニアゾル38と硝酸セリウム溶液40とからなる比表面積調整液42中にアンモニア水44とともに混合されて、その混合液中の固型分が100〜200℃の範囲内の温度でゲル化されて焼成されることにより、その比表面積が調整されている。このため、研磨材10の研磨性能を調整するためにその研磨材10の被研磨基板20への化学的作用に対する要因の一つである比表面積を容易に調整することができるので、研磨する被研磨基板20の材質や用途に応じて研磨材10の研磨性能を容易に調整することができる。
また、実施例であるNo.3〜7の研磨材10における比表面積の調整方法によれば、第1混合工程P8において研磨材10に比表面積調整液42が加えられて混合され、第2混合工程P9において第1混合工程P8によって混合された研磨材10と比表面積調整液42との混合液にアンモニア水44が加えられて混合され、固型分分離工程P10において第2混合工程P9によってアンモニア水44が混合された混合液からその混合液中の固型分が分離され、加温工程P11において固型分分離工程P10によって混合液中から分離された固型分が100〜200℃の範囲内の温度で加温されることでゲル化され、焼成工程P12において加温工程P11でゲル化されたものが焼成されることにより、研磨材10の比表面積が調整される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
本実施例の研磨材10において、研磨材10は、図2に示すように、表面24aの一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24であったが、表面24aの全部がセリア26で被覆されていても良い。すなわち、研磨材10は、表面24aの少なくとも一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24であれば良い。
また、本実施例の研磨材10において、研磨材10は遊離砥粒として使用されたが、例えば固定砥粒として使用されても良い。また、本実施例において、研磨材10は、例えば石英ウエハである被研磨基板20を研磨したが、例えば酸化ケイ素(SiO)、シリコン(Si)ウエハ、サファイヤ、窒化ガリウム(GaN)およびヒ化ガリウム(GaAs)等のIII−V族化合物半導体等の研磨に使用されても良い。
また、本実施例の研磨材10の製造方法の溶解工程P1おいて、水30にジルコニア粉32を分散させたものに硝酸セリウム(III)六水和物34が溶解されたが、例えば水30にジルコニア粉32を分散させたものに代えてジルコニア粉32の同等の平均粒径を有するジルコニア粒子が含まれたジルコニアゾルが使用されても良い。また、硝酸セリウム(III)六水和物34に代えて例えば、硝酸セリウム(IV)アンモニウム水和物、硝酸セリウム(III)六水和物34を過酸化水素水で酸化処理してセリウムを四価にした水溶液等が使用されても良い。
また、本実施例の研磨材10では、研磨材10の粒子全部が、表面24aの一部がセリア26で被覆されたジルコニア粒子24から成っていたが、必ずしも研磨材10の粒子全部が表面24aの少なくとも一部がセリア26で被覆されているジルコニア粒子24である必要はなく、他の材料の粒子例えばセリア粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子等が含まれていても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:研磨材
24:ジルコニア粒子(ZrO粒子)
24a:表面
26:セリア(CeO)
28:セリアジルコニア層(CeZrO)層
30:水
32:ジルコニア粉
34:硝酸セリウム(III)六水和物(硝酸セリウム)
36:アンモニア水
38:ジルコニアゾル
40:硝酸セリウム溶液
42:比表面積調整液
44:アンモニア水(還元剤)
P1:溶解工程
P2:第1担持工程
P3:第2担持工程
P4およびP5:固型分抽出工程
P6:仮焼成工程(焼成工程)
P7:本焼成工程(焼成工程)
P8:第1混合工程
P9:第2混合工程
P10:固型分分離工程
P11:加温工程
P12:焼成工程

Claims (5)

  1. 表面の少なくとも一部がCeOで被覆されているZrO粒子を含むことを特徴とする研磨材。
  2. 請求項1記載の研磨材であって、前記CeOと前記ZrO粒子との化合物であるCeZrO層が形成されていることを特徴とする研磨材。
  3. 請求項1〜2記載の研磨材の製造方法であって、
    水にジルコニア粉を分散させたもの或いはZrO粒子を含むジルコニアゾルに、硝酸セリウムを溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程によって得られた溶解液にアンモニア水を加えて攪拌することにより、前記CeOを担持した前記ZrO粒子を含むアルカリ性のスラリーを得る第1担持工程と、
    前記第1担持工程によって得られたスラリーを湿式粉砕することによって更に強固に前記CeOを前記ZrO粒子に担持させる第2担持工程と、
    前記第2担持工程によって得られたスラリー中からその固型分を抽出する固型分抽出工程と、
    前記固型分抽出工程によって得られた固型分を焼成することで前記研磨材を得る焼成工程と
    を含む研磨材の製造方法。
  4. 請求項1〜2記載の研磨材であって、平均粒径が1〜10nmのZrO粒子が含まれたジルコニアゾルと硝酸セリウム溶液とからなる比表面積調整液中に還元剤とともに混合され、その混合液中の固型分が100〜200℃の範囲内の温度でゲル化されて焼成されることにより、比表面積が調整されていることを特徴とする研磨材。
  5. 請求項4記載の研磨材の比表面積の調整方法であって、
    前記研磨材に前記比表面積調整液を加えて混合する第1混合工程と、
    前記第1混合工程によって混合された前記研磨材と前記比表面積調整液との混合液に還元剤を加えて混合する第2混合工程と、
    前記第2混合工程によって還元剤が混合された混合液からその混合液中の固型分を分離する固型分分離工程と、
    前記固型分分離工程によって混合液中から分離された固型分を100〜200℃の範囲内の温度で加温することでゲル化する加温工程と、
    前記加温工程でゲル化されたものを焼成する焼成工程と
    を、含むことを特徴とする研磨材の比表面積の調整方法。
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