JP2015147192A - 複合半透膜の製造方法 - Google Patents

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真哉 西山
順子 中野
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順子 中野
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Abstract

【課題】 本発明は、従来のものよりも耐酸化剤性に優れる複合半透膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の複合半透膜の製造方法は、多官能アミン成分を含むアミン溶液と多官能酸ハライド成分を含む有機溶液とを多孔性支持体上で接触させて、ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する工程を含み、前記多官能アミン成分は、N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを含み、前記アミン溶液の溶媒は、アルコールを60重量%以上含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド系樹脂を含むスキン層が多孔性支持体の表面に形成されている複合半透膜及びその製造方法に関する。かかる複合半透膜は、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れなどから、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去・回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。また、食品用途などで有効成分の濃縮、浄水や下水用途等での有害成分の除去などの高度処理に用いることができる。また、油田やシェールガス田などにおける排水処理に用いることができる。
RO(逆浸透)膜、NF(限外ろ過)膜、及びFO(正浸透)膜などの複合半透膜は、超純水の製造、海水淡水化、かん水の脱塩、及び排水の再利用処理などに用いられている。
現在、複合半透膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミド樹脂を含むスキン層が多孔性支持体上に形成されたものが提案されている(特許文献1〜4)。
複合半透膜を用いた水処理工程においては、水中の微生物が膜に付着して、膜の水透過特性が低下するバイオファウリングが問題になっている。バイオファウリングを抑制する方法としては、例えば、酸化剤で水中の微生物を殺菌する処理方法が挙げられる。
しかし、特許文献1〜4の複合半透膜は、微生物の繁殖を抑制できる塩素濃度(遊離塩素濃度として1ppm以上)での長期間連続運転に耐え得る耐酸化剤性(耐塩素性)を有しておらず、酸化剤で水中の微生物を殺菌する処理方法を採用した場合には、前記複合半透膜を使用することができなかった。
そのため、従来のものよりも耐酸化剤性に優れる複合半透膜の開発が望まれていた。
特開平8−224452号公報 特開2005−103517号公報 特開2005−205279号公報 特開2006−26484号公報
本発明は、従来のものよりも耐酸化剤性に優れる複合半透膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、下記製造方法により耐酸化剤性に優れる複合半透膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、多官能アミン成分を含むアミン溶液と多官能酸ハライド成分を含む有機溶液とを多孔性支持体上で接触させて、ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する工程を含む複合半透膜の製造方法において、
前記多官能アミン成分は、N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを含み、
前記アミン溶液の溶媒は、アルコールを60重量%以上含むことを特徴とする複合半透膜の製造方法、に関する。
本発明の複合半透膜の製造方法は、多官能アミン成分としてN,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを使用し、かつアミン溶液の溶媒としてアルコールを60重量%以上使用することを特徴とする。これらを使用することにより耐酸化剤性に優れる複合半透膜が得られる理由は明らかではないが、以下のように考えられる。多官能アミン成分としてN,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを使用することにより、耐酸化剤性に優れるポリアミド系樹脂が得られると考えられる。また、アミン溶液の溶媒としてアルコールを60重量%以上使用することにより、多官能アミン成分と多官能酸ハライド成分との界面重合反応が安定化する。それにより、ポリアミド系樹脂の生成量が多くなると共に、ポリアミド系樹脂が絡み合った緻密なスキン層が形成されると考えられる。そのため、酸化剤によってポリアミド系樹脂が劣化し難くなり、また多少劣化しても未劣化のポリアミド系樹脂が緻密に絡み合った状態で存在するため優れた耐酸化剤性が発現すると考えられる。
前記アルコールは、エチレングリコール、エタノール、及びイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらを用いることにより、複合半透膜の耐酸化剤性をさらに向上させることができる。
また、有機溶液の溶媒は、沸点130〜250℃の有機溶媒であることが好ましく、特に前記沸点のイソパラフィン系溶媒又はナフテン系溶媒であることが好ましい。沸点130〜250℃の有機溶媒を用いることにより、スキン層の耐酸化剤性をさらに向上させることができる。有機溶媒の沸点が130℃未満の場合には、スキン層の耐酸化剤性をさらに向上させることが難しくなる。一方、250℃を超える場合には、溶媒を蒸発させるために多大な熱エネルギーが必要となるため実用上不適である。
本発明の複合半透膜は、耐酸化剤性に優れるため、酸化剤で水中の微生物を殺菌する処理方法を採用した場合においても使用可能である。また、従来は、水中の微生物を除去するために、精密ろ過膜などを用いて前処理を行っていたが、本発明の複合半透膜を用いることにより、前処理を省略する、あるいは簡素化することが可能になる。そのため、本発明の複合半透膜を用いた水処理方法は、コスト、及びエコロジカル・フットプリントの観点において、従来の水処理方法に比べて有利である。本発明の複合半透膜は、耐酸化剤性に優れるため、高度分離膜であるRO膜又はNF膜として好適に用いられる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の複合半透膜の製造方法は、多官能アミン成分を含むアミン溶液と多官能酸ハライド成分を含む有機溶液とを多孔性支持体上で接触させて、ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する工程を含む。
本発明においては、多官能アミン成分としてN,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを使用する。多官能アミン成分としては、N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンのみを使用することが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で下記のような芳香族、脂肪族、又は脂環式の多官能アミンを併用してもよい。
芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、n−フェニル−エチレンジアミン等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4−アミノメチルピペラジン等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高塩阻止性能のスキン層を得るために、芳香族多官能アミンを用いることが好ましい。
N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンと前記多官能アミンを併用する場合は、多官能アミン成分全体中にN,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを85重量%以上用いることが好ましく、より好ましくは95重量%以上である。
多官能酸ハライド成分とは、反応性カルボニル基を2個以上有する多官能酸ハライドである。
多官能酸ハライドとしては、芳香族、脂肪族、及び脂環式の多官能酸ハライドが挙げられる。
芳香族多官能酸ハライドとしては、例えば、トリメシン酸トリクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸トリクロライド、ベンゼンジスルホン酸ジクロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。
脂肪族多官能酸ハライドとしては、例えば、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブタンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジカルボン酸ジクロライド、プロパントリカルボン酸トリクロライド、ブタントリカルボン酸トリクロライド、ペンタントリカルボン酸トリクロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。
脂環式多官能酸ハライドとしては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸トリクロライド、シクロブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタントリカルボン酸トリクロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。
これら多官能酸ハライドは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高塩阻止性能のスキン層を得るためには、芳香族多官能酸ハライドを用いることが好ましい。また、多官能酸ハライド成分の少なくとも一部に3価以上の多官能酸ハライドを用いて、架橋構造を形成することが好ましい。
また、ポリアミド系樹脂を含むスキン層の性能を向上させるために、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などのポリマー、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールなどを共重合させてもよい。
スキン層を支持する多孔性支持体は、スキン層を支持しうるものであれば特に限定されない。多孔性支持体の形成材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ボリフッ化ビニリデンなど種々のものをあげることができるが、特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンが好ましく用いられる。かかる多孔性支持体の厚さは、通常約10〜200μm、好ましくは約20〜75μmであるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、多孔性支持体は織布、不織布等の基材による裏打ちにて補強されていてもよい。
前記多孔性支持体は、対称構造でも非対称構造でもよいが、スキン層の支持機能と通液性を両立させる観点から、非対称構造が好ましい。なお、多孔性支持体のスキン層形成側面の平均孔径は0.01〜0.5μmであることが好ましい。
また、多孔性支持体として、エポキシ樹脂多孔シートを用いてもよい。エポキシ樹脂多孔シートの平均孔径は0.01〜0.4μmであることが好ましい。
ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する方法は特に制限されず、あらゆる公知の手法を用いることができる。例えば、界面縮合法、相分離法、薄膜塗布法などが挙げられる。界面縮合法とは、具体的に、多官能アミン成分を含有するアミン溶液と、多官能酸ハライド成分を含有する有機溶液とを接触させて界面重合させることによりスキン層を形成し、該スキン層を多孔性支持体上に載置する方法や、多孔性支持体上での前記界面重合によりポリアミド系樹脂のスキン層を多孔性支持体上に直接形成する方法である。かかる界面縮合法の条件等の詳細は、特開昭58−24303号公報、特開平1−180208号公報等に記載されており、それらの公知技術を適宜採用することができる。
本発明においては、N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを含むアミン溶液からなるアミン溶液被覆層を多孔性支持体上に形成し、次いで多官能酸ハライド成分を含有する有機溶液とアミン溶液被覆層とを接触させて界面重合させることによりスキン層を形成する方法が好ましい。
アミン溶液の溶媒としては、アルコールを60重量%以上使用する。アルコールは、85重量%以上使用することが好ましく、より好ましくは98重量%以上であり、さらに好ましくは100重量%である。アルコールは特に制限されず、例えば、炭素数2〜4のアルキルアルコール;エチレングリコール及びジエチレングリコールなどのグリコールが挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、エタノール、及びイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。エチレングリコールを用いることにより、塩阻止率を高めることができる。また、エタノール又はイソプロピルアルコールを用いることにより、透過流束を高めることができる。アミン溶液の溶媒として、アルコールと他の溶媒との混合溶媒を用いる場合、通常、アルコールと水の混合溶媒が用いられる。
前記界面重合法において、アミン溶液中の多官能アミン成分の濃度は特に制限されないが、0.1〜7重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5重量%である。多官能アミン成分の濃度が0.1重量%未満の場合にはスキン層にピンホール等の欠陥が生じやすくなり、また塩阻止性能が低下する傾向にある。一方、多官能アミン成分の濃度が7重量%を超える場合には、多官能アミン成分が多孔性支持体中に浸透しやすくなったり、膜厚が厚くなりすぎて透過抵抗が大きくなって透過流束が低下する傾向にある。
前記有機溶液中の多官能酸ハライド成分の濃度は特に制限されないが、0.01〜5重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3重量%である。多官能酸ハライド成分の濃度が0.01重量%未満の場合には、未反応多官能アミン成分が残留しやすくなったり、スキン層にピンホール等の欠陥が生じやすくなって塩阻止性能が低下する傾向にある。一方、多官能酸ハライド成分の濃度が5重量%を超える場合には、未反応多官能酸ハライド成分が残留しやすくなったり、膜厚が厚くなりすぎて透過抵抗が大きくなり、透過流束が低下する傾向にある。
前記有機溶液に用いられる溶媒としては、水に対する溶解度が低く、多孔性支持体を劣化させず、多官能酸ハライド成分を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びノナン等の飽和炭化水素、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン置換炭化水素などを挙げることができる。
前記有機溶液に用いられる溶媒としては、複合半透膜の耐酸化剤性をより向上させるために、沸点130〜250℃の有機溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは沸点145〜250℃の有機溶媒であり、さらに好ましくは沸点160〜250℃の有機溶媒であり、特に好ましくは沸点180〜250℃の有機溶媒である。
前記有機溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒が挙げられ、単体であってもよく、混合物であってもよい。混合物の場合は、蒸留範囲の平均値を沸点と定義する。このような有機溶媒としては、例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、及びトリデカン等の飽和炭化水素;IPソルベント1620、IPクリーンLX、及びIPソルベント2028等のイソパラフィン系溶媒;エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、ナフテゾール160、ナフテゾール200、及びナフテゾール220等のナフテン系溶媒が挙げられる。これらの中で、イソパラフィン系溶媒又はナフテン系溶媒が好ましく、耐塩素性能をより高めるためにはナフテン系溶媒が特に好ましい。
前記アミン溶液や有機溶液には、製膜を容易にしたり、得られる複合半透膜の性能を向上させるための目的で各種の添加剤を加えることができる。前記添加剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、重合により生成するハロゲン化水素を除去する水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、及びトリエチルアミン等の塩基性化合物、アシル化触媒、特開平8−224452号公報記載の溶解度パラメータが8〜14(cal/cm1/2の化合物などが挙げられる。
多孔性支持体上に前記アミン溶液を塗布してから前記有機溶液を塗布するまでの時間は、アミン溶液の組成、粘度及び多孔性支持体の表面層の孔径にもよるが、通常1〜120秒程度であり、好ましくは2〜40秒である。前記溶液の塗布間隔が120秒を超える場合には、アミン溶液が多孔性支持体の内部深くまで浸透・拡散し、未反応多官能アミン成分が多孔性支持体中に大量に残存する恐れがある。また、多孔性支持体の内部深くまで浸透した未反応多官能アミン成分は、その後の膜洗浄処理でも除去し難い傾向にある。なお、前記多孔性支持体上に前記アミン溶液を被覆した後、余分な溶液を除去してもよい。
本発明においては、アミン溶液からなるアミン溶液被覆層と有機溶液との接触後、多孔性支持体上の過剰な有機溶液を除去し、多孔性支持体上の形成膜を70℃以上で加熱乾燥してスキン層を形成することが好ましい。形成膜を加熱処理することによりその機械的強度や耐熱性等を高めることができる。加熱温度は70〜200℃であることがより好ましく、特に好ましくは80〜130℃である。加熱時間は30秒〜10分程度が好ましく、さらに好ましくは40秒〜7分程度である。
多孔性支持体上に形成したスキン層の厚みは特に制限されないが、通常0.01〜100μm程度であり、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。
本発明の複合半透膜はその形状になんら制限を受けるものではない。すなわち平膜状、あるいはスパイラルエレメント状など、考えられるあらゆる膜形状が可能である。また、複合半透膜の塩阻止性、透水性、及び耐酸化剤性等を向上させるために、従来公知の各種処理を施してもよい。
また、本発明においては、加工性や保存性に優れているという観点から、乾燥タイプの複合半透膜としてもよい。乾燥処理を行う際に、複合半透膜はその形状になんら制限を受けるものではない。すなわち平膜状、あるいはスパイラル状など、考えられるあらゆる膜形状において乾燥処理を施すことが可能である。例えば、複合半透膜をスパイラル状に加工して膜ユニットを作製し、該膜ユニットを乾燥してドライスパイラルエレメントを作製してもよい。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
〔評価及び測定方法〕
(透過流束及び塩阻止率の測定)
作製した平膜状の複合半透膜を所定の形状、サイズに切断し、平膜評価用のセルにセットする。0.15%のNaClを含みかつNaOHを用いてpH7に調整した水溶液を25℃で膜の供給側と透過側に1.5MPaの差圧を与えて膜に接触させる。この操作によって得られた透過水の透過速度および電導度を測定し、透過流束(m/m・d)および塩阻止率(%)を算出した。塩阻止率は、NaCl濃度と水溶液電導度の相関(検量線)を事前に作成し、それらを用いて下式により算出した。また、当該複合半透膜を、塩化カルシウム500ppmを含む水溶液(遊離塩素濃度200ppm)に常温常圧で4日間浸漬した後、複合半透膜を水溶液から取り出し、前記と同様の方法で透過流束及び塩阻止率を測定した。また、塩阻止率変化度は下式により算出した。塩阻止率変化度が小さいほど、耐酸化剤性に優れる。
塩阻止率(%)={1−(透過液中のNaCl濃度[mg/L])/(供給液中のNaCl濃度[mg/L])}×100
塩阻止率変化度=(塩化カルシウム水溶液浸漬後の透過液中のNaCl濃度[mg/L])/(浸漬前の透過液中のNaCl濃度[mg/L])
実施例1
N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミン3重量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量%、トリエチルアミン2.5重量%、及びカンファースルホン酸5重量%を100%エチレングリコールに溶解させてアミン溶液を調製した。また、トリメシン酸クロライド0.2重量%、及びイソフタル酸クロライド0.4重量%をエクソール(Exxsol)D40(エクソンモービル社製、蒸留範囲147〜199℃、沸点173℃)に溶解させて酸クロライド溶液を調製した。そして、アミン溶液を多孔性支持体上に塗布し、その後余分なアミン溶液を除去することによりアミン溶液被覆層を形成した。次に、アミン溶液被覆層の表面に酸クロライド溶液を塗布した。その後、余分な溶液を除去し、さらに120℃の熱風乾燥機中で3分間保持し、多孔性支持体上にポリアミド系樹脂を含むスキン層を形成して複合半透膜を作製した。
実施例2
実施例1において、100%エチレングリコールの代わりに、100%エタノールを用いた以外は実施例1と同様の方法で複合半透膜を作製した。
実施例3
実施例1において、100%エチレングリコールの代わりに、100%イソプロピルアルコールを用いた以外は実施例1と同様の方法で複合半透膜を作製した。
比較例1
実施例1において、100%エチレングリコールの代わりに、30%イソプロピルアルコール水溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合半透膜を作製した。
Figure 2015147192
表1から、多官能アミン成分としてN,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを用い、かつアミン溶液の溶媒として100%アルコールを用いて作製された実施例1〜3の複合半透膜は、酸化剤水溶液浸漬前後の塩阻止率変化度が小さく、耐酸化剤性に優れることがわかる。
本発明の複合半透膜は、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れなどから、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去・回収し、排水のクローズ化に寄与することができる。また、食品用途などで有効成分の濃縮、浄水や下水用途等での有害成分の除去などの高度処理に用いることができる。また、油田やシェールガス田などにおける排水処理に用いることができる。

Claims (5)

  1. 多官能アミン成分を含むアミン溶液と多官能酸ハライド成分を含む有機溶液とを多孔性支持体上で接触させて、ポリアミド系樹脂を含むスキン層を多孔性支持体の表面に形成する工程を含む複合半透膜の製造方法において、
    前記多官能アミン成分は、N,N’−ジメチルメタフェニレンジアミンを含み、
    前記アミン溶液の溶媒は、アルコールを60重量%以上含むことを特徴とする複合半透膜の製造方法。
  2. 前記アルコールが、エチレングリコール、エタノール、及びイソプロピルアルコールから選択される少なくとも1種である請求項1記載の複合半透膜の製造方法。
  3. 前記有機溶液の溶媒が、沸点130〜250℃の有機溶媒である請求項1又は2記載の複合半透膜の製造方法。
  4. 前記有機溶媒が、イソパラフィン系溶媒又はナフテン系溶媒である請求項3記載の複合半透膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる複合半透膜。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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