JP2005246207A - 複合半透膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホウ素阻止性能を維持しながら、脱塩性能と透水性能とを向上させることができる複合半透膜の製造方法を提供する。
【解決手段】多孔性支持体上にポリアミド重合体を主成分とする薄膜を設けた複合半透膜に、pH10.5〜13の水素イオン濃度下で遊離塩素濃度(Cppm)と接触時間(Tmin)を乗じた値(C×T)が100〜550ppm・minの範囲となる条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を接触させる工程を含むことを特徴とする複合半透膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液状混合物から選択的にその成分を分離する複合半透膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は多孔性支持体上にポリアミドを主成分とする薄膜(分離活性層)を備え、高塩阻止率でかつ高透過性の複合半透膜を製造する方法に関する。
上記の如き用途に使用される逆浸透膜としては、相分離法等により非対称構造が同一素材で形成された非対称膜と、多孔性支持体上に選択分離性を有する薄膜を異なる素材で形成してなる複合半透膜とが知られている。
現在、後者の複合半透膜として、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜が多孔性支持体上に形成されたものが多く提案されている(例えば、特許文献1〜4)。また、多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミドからなる薄膜が多孔性支持体上に形成されたものも提案されている(例えば、特許文献5)。
また、上記複合半透膜の水透過性をさらに向上させるための添加剤が提案されており、水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムなど、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去しうる物質や、公知のアシル化触媒、また界面反応時の反応場の界面張力を減少させる化合物などが知られている(例えば、特許文献6〜8)。
しかし、逆浸透膜を用いる造水プラントではランニングコストの一層の低減を図るため、より高度の脱塩性能と透水性能が求められている。このような要求に対し、従来、分離活性層として架橋ポリアミド重合体を設けた複合半透膜を塩素を含む水溶液を接触処理させる方法が知られている(例えば、特許文献9〜10)。また、塩素を含む水溶液で接触処理を行う際に、当該水溶液の水素イオン濃度を調整する方法も公知である(例えば、特許文献11〜12)。
一方、海水にはホウ素が多量に含有されており、透過水のホウ素濃度を飲料水に適する程度の濃度にまで低減することが望まれている。しかしながら、上記のような処理方法で塩素を含む水溶液を接触させると、脱塩性能と透水性能とが向上するものの、ホウ素阻止性能が低下することが判明した。
特開昭55−147106号公報 特開昭62−121603号公報 特開昭63−218208号公報 特開平2−187135号公報 特開昭61−42308号公報 特開昭63−12310号公報 特開平6−47260号公報 特開平8−224452号公報 特公昭63−36803号公報 特公平5−1051号公報 特開平5−329344号公報 特開2000−334280号公報
そこで、本発明の目的は、ホウ素阻止性能を維持しながら、脱塩性能と透水性能とを向上させることができる複合半透膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、特定の水素イオン濃度下で遊離塩素濃度と接触時間との積が所定の範囲となる条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を複合半透膜に接触させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の複合半透膜の製造方法は、多孔性支持体上にポリアミド重合体を主成分とする薄膜を設けた複合半透膜に、pH10.5〜13の水素イオン濃度下で遊離塩素濃度(Cppm)と接触時間(Tmin)を乗じた値(C×T)が100〜550ppm・minの範囲となる条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を接触させる工程を含むことを特徴とする。
本発明によると、特定の水素イオン濃度下で遊離塩素濃度と接触時間との積が所定の範囲となる条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を複合半透膜に接触させることにより、ポリアミド重合体を主成分とする薄膜に対して、ホウ素阻止性能を維持しながら、脱塩性能と透水性能とを向上させることができる。接触処理の値(C×T)が大きくなり過ぎると、ホウ素阻止性能を維持できなくなり、値(C×T)が小さくなり過ぎると、脱塩性能と透水性能とが向上できない。また、水素イオン濃度が低すぎる場合にも、ホウ素阻止性能を維持できなくなる。
上記において、前記ポリアミド重合体は、架橋構造を有するポリアミド重合体であることが好ましい。架橋構造を有するポリアミド重合体を薄膜に使用することで、化学的安定や膜自体の緻密性が向上するため、ホウ素阻止性能が高くなり、かつ実際の運転における安定性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の複合半透膜の製造方法は、複合半透膜に、特定の水素イオン濃度下で次亜塩素酸ナトリウム水溶液を接触させる工程を含むものである。まず、この複合半透膜について説明する。
本発明における複合半透膜は、多孔性支持体上にポリアミド重合体を主成分とする薄膜を設けたものであり、前記薄膜が、アミン成分と2価以上の多官能酸ハロゲン化物との縮合反応によって得られる構成単位を有するポリアミドを主成分とするものであることがさらに好ましい。
アミン成分とは、2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官能アミンであり、芳香族、脂肪族、又は脂環式の多官能アミンが挙げられる。芳香族多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、4−アミノメチルピペラジン等が挙げられる。これらの多官能アミンは1種で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
2価以上の多官能性酸ハロゲン化物としては、芳香族、脂肪族、又は脂環式の多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。芳香族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライド等が挙げられる。脂肪族多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、プロパンジカルボン酸クロライド、ブタンジカルボン酸クロライド、ペンタンジカルボン酸クロライド、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド等が挙げられる。脂環式多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキサンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸クロライド等が挙げられる。これら多官能性酸ハロゲン化物は1種で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
また、ポリアミドを含む薄膜の性能を向上させるために、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などのポリマー、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールなどを共重合させてもよい。
本発明においては、前記ポリアミドが、下記の一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を有するポリアミドであることが好ましい。
Figure 2005246207
(但し、R11はベンゼン環またはナフタレン環を主鎖に有する2価の有機基を示し、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素数1〜5の−O−、又は−S−を含んでいてもよいアルキル基又は水素原子である。R14は2価の有機基を示す。)
Figure 2005246207
(但し、R21はベンゼン環またはナフタレン環を主鎖に有する2価の有機基を示し、R22及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜5の−O−、又は−S−を含んでいてもよいアルキル基又は水素原子である。R24は3価の有機基を示す。)
一般式(I)〜(II)におけるR11及びR21は、ベンゼン環またはナフタレン環を主鎖に有する2価の有機基を示し、ベンゼン環またはナフタレン環は置換されていてもよい。具体的には、−C64 −、−CH2 −C64 −CH2 −、−C63 (OH)−、−C63 (CH3 )−、−C63 (C25 )−、−C6 H(CH33−、−C63 (Cl)−、−C63 (NO2)−、−C64 −O−C64 −、−C64 −CH2 −C64 −、−C64−NH−C64 −、−C64 −NHCO−C64 −、−C64 −(CO)−C64 −、−C106−、−C105 (SO3 H)−、−C104(SO3 H)2 −などがあげられる。置換基の置換位置は何れでもよく、2価の結合位置の関係も、パラ位、メタ位など何れでもよい。
また、R12、R13、R22、及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜5の−O−、又は−S−を含んでいてもよいアルキル基又は水素原子である。
12、R13、R22、及びR23としては、例えば、−CH3、−C25 、−C37 、−C49、−C511、−CH2 OCH3 、−CH2OCH2 OCH3 、−C24 OCH3 、−C24 OC25 、−CH2 SCH3 、−CH2SCH2 SCH3 、−C24 SCH3 、−C24 SC25 、−C24 NHC25 、−C24 N(CH3 )C25などがあげられる。なかでも、多官能酸ハロゲン化物(酸成分)との反応性などの観点から、複素原子を含まないアルキル基が好ましい。
一方、一般式(I)〜(II)におけるR14及びR24は、2価又は3価の有機基であり、アミン成分と縮合反応により薄膜を形成する前記2価以上の多官能酸ハロゲン化物の残基に相当するものである。
本発明においては、一般式(I)〜(II)において、特にR11及びR21がm−フェニレン基であり、R12、R13、R22、及びR23が水素原子であり、且つ、R14及びR24がベンゼン環であることが好ましい。
一方、本発明におけるポリアミドは、架橋構造を有することが好ましく、その場合、多官能酸ハロゲン化物の少なくとも一部に、3価以上の多官能酸ハロゲン化物を使用することが好ましい。3価以上の多官能酸ハロゲン化物を使用する場合、架橋部分では一般式(II)で表される構成単位となる。また、一般式(I)で表される構成単位は、2価の多官能酸ハロゲン化物により形成されるが、3価以上の多官能酸ハロゲン化物の未架橋部分が存在する場合にも、一般式(I)で表される構成単位となる。その場合、R14はカルボキシル基やその塩などが残存する2価の有機基となる。
本発明におけるポリアミドには、一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を50モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましい。50モル%未満であると、アミド結合の窒素原子の置換基中の芳香環の効果が小さくなり、実用的な透水性と優れた塩阻止性を同時に満足しにくくなる傾向がある。
薄膜(分離活性層)の厚みは、薄膜の製法等にもよるが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。当該厚みが薄い方が透過流束の面で優れるが、薄くなりすぎると薄膜の機械的強度が低下して欠陥が生じ易く、塩阻止性能に悪影響を及ぼす傾向があるからである。
本発明において、上記薄膜を支持する多孔性支持膜は、薄膜を支持しうるものであれば特に限定されず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンなど種々のものをあげることができるが、特に化学的、機械的、熱的に安定である点からポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる多孔性支持膜は、通常約25〜125μm、好ましくは約40〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、多孔性支持膜は、対称構造でも非対称構造でもよいが、薄膜の支持機能と通液性を両立させる上で、非対称構造が好ましい。なお、多孔性支持膜の薄膜形成側面の平均孔径は、1〜1000nmが好ましい。
本発明における薄膜を多孔質支持膜上に形成させる際に、その方法については何ら制限なく、あらゆる公知の手法を用いることができる。例えば、界面縮合法、相分離法、薄膜塗布法などが挙げられる。中でも、多孔質支持膜上にアミン成分を含有した水溶液を塗布した後に、かかる多孔質支持膜を多官能酸ハロゲン化物を含有した非水溶性溶液に接触させることにより多孔質支持膜上に薄膜を形成させる界面縮合法が好ましい。かかる界面縮合法の条件等の詳細は、特開昭58−24303号公報、特開平1−180208号公報等に記載されており、それらの公知技術を適宜採用することができる。
また、その反応場に、製膜を容易にし、あるいは得られる複合半透膜の性能を向上させるための目的で、各種の試薬を存在させることが可能である。これらの試薬として、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの重合体、ソルビトール、グリセリンなどのような多価アルコール、特開平2−187135号公報に記載のテトラアルキルアンモニウムハライドやトリアルキルアンモニウムと有機酸の塩などのアミン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、縮重合反応にて生成するハロゲン化水素を除去しうる水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリエチルアミン、カンファースルホン酸、あるいは公知のアシル化触媒、また、特開平8−224452号公報に記載の溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm31/2の化合物などがあげられる。
本発明の複合半透膜の製造方法は、前記複合半透膜に、pH10.5〜13の水素イオン濃度下で遊離塩素濃度(Cppm)と接触時間(Tmin)を乗じた値(C×T)が100〜550ppm・minの範囲となる条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を接触させる工程を含むものである。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHが10.5未満であると、ホウ素阻止性能が低下する。一方、pHが13.0を越えると、膜に劣化が生じ脱塩性能が急激に低下することがあり好ましくない。かかる観点より、好ましいpHは、11〜12である。
また、上記値(C×T)が上記範囲より低いとNaCl阻止性能が向上せず、一方この範囲を越えるとホウ素阻止性能が低下する。かかる観点より、好ましい上記値(C×T)は、150〜450である。
また、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、遊離塩素濃度(Cppm)と接触時間(Tmin)を乗じた値(C×T)が上記範囲であれば限定されないが、好ましくは2〜500ppmで、更に好ましくは5〜200ppmある。次亜塩素酸ナトリウムの濃度が低すぎる場合、NaCl阻止率が一定の性能に達するまでに時間がかかり効率が悪く、一方必要以上濃度を高くしてもNaCl阻止率の向上は望めず、経済的ではない。
かかるpH調整はNaOH、KOH、MgOH2等の金属水酸化物、アミン類など種々のアルカリを用いることができる。かかる接触処理に供される複合膜の形状は、特に限定されるものではなく、平膜状、あるいはスパイラルエレメント状など種々の膜形状のものにいずれも適用することができる。
本発明における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の接触方法は、加圧下、常圧下、減圧下等、複合半透膜の仕様範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくは加圧または減圧である。具体的には、浸漬、加圧通水、噴霧、塗布、シャワーなどあらゆる方法が例示されるが、接触による十分な効果を付与せしめるためには加圧通水が好ましい。
加圧通水法で前記水溶液の接触をおこなう際、かかる水溶液を複合半透膜に供する圧力については複合半透膜及び圧力付与のための部材や設備の物理的強度の許容する範囲においては何ら制限はないが、0.1〜10MPaでおこなうことが好ましく、さらに好ましくは1.5〜7.5MPaである。10MPaを超える場合には、圧密化により透過水量が低下する傾向にある。
このような製造方法により作製された複合半透膜は、優れた塩阻止性及び実用的な透水性とホウ素阻止性能を併せ持つ。かかる複合半透膜は、超純水の製造、かん水または海水の脱塩などに好適であり、また染色排水や電着塗料排水などの公害発生原因である廃棄物から、その中に含まれる汚染源あるいは有用成分を除去回収し、排水のクローズ化に寄与する。また、食品工業などにおいて有効成分の濃縮などにも用いることができる。
本発明の複合半透膜は、特に海水を脱塩して、透過水のホウ素濃度を飲料水に適する程度の濃度にまで低減する技術として有用である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
[実施例1]
m−フェニレンジアミン(3重量%)、ラウリル硫酸ナトリウム(0.25重量%)、トリエチルアミン(2重量%)およびカンファスルホン酸(4重量%)を含有する水溶液を多孔性支持体(ポリスルホン系限外ろ過膜)に塗布した後、余分の水溶液を除去して上記支持体上に上記水溶液の層を形成した。さらに、この層の上に、トリメシン酸クロライド(0.1重量%)およびイソフタル酸クロライド(0.15重量%)を含むイソオクタン溶液を塗布し、その後120℃乾燥器内で3分間保持して前記多孔性支持体上に重合体薄膜(ポリアミドスキン層)を形成させて複合膜を得た。この複合膜において、前記多孔性支持体の平均厚みは50μmであり、前記ポリアミドスキン層の平均厚みは0.2μmであった。この複合半透膜を、スパイラルモジュール(直径201mm、長さ1016mm、有効膜面積35m2)に加工した。このスパイラルモジュールに対し、別に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(30ppm)をNaOHにてpH11.0に調整した処理液を準備し、1.5MPa(両面の圧力差)で15分間加圧通水処理をおこなった。
このモジュールについて3.2%食塩水に10ppmのホウ酸を加えた液を原水として、水温25℃、pH7、圧力5.5MPa、濃縮液流量80L/minの条件で性能評価した結果、ホウ素阻止率が91%、塩阻止率が99.4%、透水量が20m3/日であった。
[実施例2]
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度を10ppm、pHを11.5に調整した以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製し、同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpH調整を行わず(pH7.5)に加圧通水処理をおこなった以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製し、同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度を25ppm、pHを10に調整した以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製し、同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度を25ppm、加圧通水時間を30分間とした以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製し、同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
次亜塩素酸ナトリウム水溶液による加圧通水処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして複合半透膜を作製し、同様に評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2005246207
表1の結果において、比較例4との対比から明らかなように、本発明によるとホウ素阻止性能を維持しながら、脱塩性能と透水性能とを向上させることができる。これに対し、接触処理の値(C×T)が大きくなり過ぎる場合(比較例3)、ホウ素阻止性能を維持できなくなる。また、水素イオン濃度が低すぎる場合(比較例1〜2)も、ホウ素阻止性能を維持できなくなる。

Claims (2)

  1. 多孔性支持体上にポリアミド重合体を主成分とする薄膜を設けた複合半透膜に、pH10.5〜13の水素イオン濃度下で遊離塩素濃度(Cppm)と接触時間(Tmin)を乗じた値(C×T)が100〜550ppm・minの範囲となる条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を接触させる工程を含むことを特徴とする複合半透膜の製造方法。
  2. 前記ポリアミド重合体は、架橋構造を有するポリアミド重合体である請求項1記載の複合半透膜の製造方法。
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