JP2015144530A - インバータ装置、空気調和機、及びインバータ装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インバータ装置10は、直流電力の電圧を昇圧させる昇圧回路18と、昇圧回路18によって昇圧された直流電力を交流電力に変換し、圧縮機用モータ12へ供給するインバータ回路20と、を備える。
圧縮機用モータ12の最小回転数から中間回転数以下のA領域では、昇圧回路18は昇圧しない。また、中間回転数を超えて定格回転数未満のB領域では、昇圧回路18は圧縮機用モータ12の回転数に比例して昇圧する。また、定格回転数以上かつ最大回転数以下であるC領域では、昇圧回路18は一定値で昇圧する。そして、A領域を超えた回転数において圧縮機用モータ12は、インバータ回路20によって過変調制御される。なお、圧縮機用モータ12の誘起電圧定数は、A領域からB領域へ切り替わる回転数において過変調制御が可能となる値とされる。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1に開示されているように、交流電力が整流回路によって整流された後に、昇圧回路で所定の直流電圧に昇圧され、インバータ回路によって三相交流電力に変換されてモータへ供給される。
図18に示されるように、直流電圧が一定であると、モータ回転数が低い状態において、直流電圧とインバータの出力電圧との差が大きくなる。インバータの出力電圧に含まれる高調波成分は、直流電圧とインバータの出力電圧との差が大きいほど増加し、差が小さいほど減少する。このため、図19に示されるように、高調波成分がモータの回転数が低いほど増加し、その結果、図20に示されるようにモータの回転数が低い状態において、モータ効率が悪くなる。
このため、インバータ回路の出力波形は一定となり、モータのU相、V相、W相共にオン、オフが無い矩形波出力となる。このような矩形波駆動は、インバータ回路の出力波形をモータの回転数に応じて適した形状とできない。このため、例えばモータが正弦波駆動される場合に比べて、高調波成分が大きくなり効率が悪くなる。
一方、本構成は、モータの中間回転数を超えて定格回転数未満の第2領域では、昇圧回路が昇圧を行って直流電圧を出力するものの、モータの回転数制御はインバータ回路による過変調制御で行われる。このため、昇圧の度合いに自由度があり、昇圧回路は直流電圧を、昇圧回路の損失、インバータ回路の損失、及びモータの損失等の各損失が最小となるように設定できる。なお、第2領域は、空気調和機の運転時間の割合が多い領域として設定される。また、モータの回転数が定格回転数以上かつ最大回転数以下の第3領域でも、過変調制御が行われる。このため、従来に比べて、転流位相をより大きくでき、モータの回転数をより高速にすることができる。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、昇圧回路18で昇圧された直流電圧は、直流電圧検出部46によって検出される。昇圧回路18を流れる電流(以下「コンバータ電流」という。)は、コンバータ電流検出部48によって検出される。圧縮機用モータ12を流れる電流(以下「モータ電流」という。)は、昇圧回路18とインバータ回路20との間に備えられたモータ電流検出部50によって検出される。
また、インバータ回路制御部44は、過変調制御が可能な疑似正弦波PWM波形出力機能を有する。
ゼロ電圧指令は、昇圧回路18で昇圧をさせないことを示す電圧指令である。ゼロ電圧指令が入力された昇圧回路制御部42は、昇圧用スイッチング素子28をオフ状態とする。
なお、最小回転数は、圧縮機用モータ12が圧縮機を駆動させるために必要な最小の回転数である。中間回転数は、最小回転数と定格回転数の略中間値である。
昇圧電圧指令は、モータ回転数指令に示される回転数に比例して、直流電圧を昇圧させる電圧指令である。すなわち、モータ回転数指令が大きくなると昇圧電圧指令も大きくなり、昇圧回路18から出力される直流電圧も大きくなる。
一定電圧指令は、一定値の直流電圧を出力するように昇圧させる電圧指令である。
A領域は、最小回転数から中間回転数以下でのモータ回転数である。B領域は、中間回転数を超えて定格回転数未満でのモータ回転数である。C領域は、定格回転数以上かつ最大回転数以下までのモータ回転数である。
また、図4は、本第1実施形態に係るインバータ回路20の出力波形を示す模式図である。
そして、図3に示されるように、A領域ではゼロ電圧指令が出力されるため、昇圧回路18は停止し、昇圧を行わないので、直流電圧は低く設定される。なお、モータ回転数が上昇すると流れる電流も増加して電圧降下が生じるため、A領域ではモータ回転数の上昇に伴い徐々に直流電圧が低下する。なお、この電圧降下は、圧縮機用モータ12の運転に支障のない大きさである。
この結果、昇圧回路18を停止させているので、従来に比べて昇圧回路18の損失が低減する。また、直流電圧が低いので、直流電圧とインバータ出力電圧との差が小さくなり、図5に示されるように従来に比べて高調波成分が小さく、圧縮機用モータ12の効率が向上する。
すなわち、本第1実施形態に係るインバータ装置10は、B領域において従来のように昇圧回路18によってモータ回転数を制御(PAM制御)するのではなく、インバータ回路20の過変調制御によってモータ回転数を制御する。一方、昇圧回路18は、過変調制御に適した直流電圧を出力する。このため、図3に示されるように、昇圧回路18は、B領域においてモータ回転数に比例して昇圧するものの、モータ回転数を制御しないので、昇圧の度合いに自由度がある。
従って、昇圧回路18は、直流電圧をインバータ装置10の効率が最大となるように設定できる。例えば、昇圧回路18の損失、インバータ回路20の損失、圧縮機用モータ12の損失等の各損失が最小となるように、すなわち、効率が最大となるように直流電圧が設定される。
図6(A)は、インバータ回路20の効率(以下「インバータ効率」という。)と直流電圧との関係を示し、図6(B)は、圧縮機用モータ12の効率(以下「モータ効率」という。)と直流電圧との関係を示し、図6(C)は、インバータ効率とモータ効率の積と直流電圧との関係を示す。
図6(A)に示されるように直流電圧は小さいほど、インバータ効率は高くなる。また、図6(B)に示されるように直流電圧が大きいほどモータ効率は高くなる。
そこで、昇圧回路電圧指令部40は、B領域において、インバータ効率とモータ効率の積が最大となる直流電圧を示す電圧指令を昇圧回路制御部42へ出力し、該直流電圧を昇圧回路18から出力させる。
圧縮機用モータ12は、誘起電圧よりも高いインバータ回路20の出力電圧によって回転する。このため、インバータ回路20が過変調制御を行う場合の出力電圧が、誘起電圧と同等となる圧縮機用モータ12が選定されることで、圧縮機用モータ12に対する過変調制御が可能となる。
一例として、過変調制御を行う場合のインバータ回路20の出力電圧の最大値VMAXは、直流電圧をVDCとすると、下記(1)式で表される。
(1)式は、2アーム変調方式の線間の最大電圧の例で、nは変調率を表し、nが1より大きい場合に可変調制御と呼ばれる。
定格回転数以上かつ最大回転数以下においても、正弦波駆動制御が行われるので、弱め磁束制御を行うための圧縮機用モータ12の転流位相は原理上90°程度まで可能となる。このため、インバータ装置10は、進角制御によって、高い回転数でもよりトルクを増大でき、モータ回転数をより高効率で高速に制御可能となる。
表1は、業務用空気調和機における運転条件に対する運転時間の割合を示した表である。また、表2は、住宅用空気調和機における運転条件に対する運転時間の割合を示した表である。なお、表1,2における「中間」とは圧縮機用モータ12を中間回転数近辺で回転させる運転であり、「定格」とは圧縮機用モータ12を定格回転数近辺で回転させる運転である。
すなわち、空気調和機としては、冷房中間と暖房中間における効率を向上させることが望ましい。このため、本第1実施形態では、圧縮機用モータ12の最小回転数から中間回転数以下をA領域とし、中間回転数を超えて定格回転数未満をB領域とし、定格回転数以上かつ最大回転数以下をC領域とし、A領域が冷房中間及び暖房中間に相当するように設定している。
そして、圧縮機用モータ12として、A領域からB領域へ切り替わる回転数において過変調制御が可能となる誘起電圧定数を有するモータが選定されるので、冷房中間や暖房中間において、最も効率の良い運転が可能となる。
圧縮機用モータ12の最小回転数から中間回転数以下のA領域では、昇圧回路18は昇圧しない。また、中間回転数を超えて定格回転数未満のB領域では、昇圧回路18は圧縮機用モータ12の回転数に比例して昇圧する。また、定格回転数以上かつ最大回転数以下であるC領域では、昇圧回路18は一定値で昇圧する。そして、A領域を超えた回転数において圧縮機用モータ12は、インバータ回路20によって過変調制御される。なお、圧縮機用モータ12の誘起電圧定数は、A領域からB領域へ切り替わる回転数において過変調制御が可能となる値とされる。
従って、本第1実施形態に係るインバータ装置10は、昇圧回路18を備えてもより高い効率で圧縮機用モータ12を駆動させることができる。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態に係るインバータ装置10は、昇圧回路18が有する昇圧用ダイオード26の両端に、リレー回路60が接続される。
本第2実施形態に係る昇圧回路電圧指令部40は、回転数指令がA領域の範囲内である場合に、リレー回路60へオン信号を出力する。これにより、リレー回路60は、A領域においてオンとされる。
一方、昇圧用ダイオード26のみを短絡させることで、昇圧用リアクタ24による高力率が維持される。これにより、入力電流の増大が無くなると共に整流回路16の損失増大が無くなり、電流波形も維持して、電源電流の高調波の増加が抑制される。
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態に係るインバータ装置10の構成は、図1に示す第1実施形態に係るインバータ装置10又は図8に示す第2実施形態に係るインバータ装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第3実施形態に係る昇圧回路制御部42は、電圧制御を行う積分制御部70、電流制御を行う比例制御部72、及び昇圧用スイッチング素子28の制御信号を生成する制御信号生成部74を備える。
そして、制御信号生成部74は、デューティ指令に所定のキャリア周波数である三角波を重ねることで、昇圧用スイッチング素子28に対する制御信号を生成する。
すなわち、表3に示されるように、三角波の振幅よりもデューティ指令の方が大きい場合は、昇圧用スイッチング素子28はオンとなる。一方、三角波の振幅よりもデューティ指令の方が小さい場合は、昇圧用スイッチング素子28はオフとなる。
図10は、すなわち電流制御を行わずに電圧制御のみを行っている場合であり、昇圧用リアクタ24を流れるコンバータ電流は、正弦波状に変動している。しかし、図11〜13に示されるように、比例制御ゲインKpを増加させ、電流制御を行うことで、正弦波状の変動は小さくなり、コンバータ電流は安定することが分かる。
また、昇圧回路制御部42は、直流電圧を上昇させる場合には、キャリア周波数を上昇させる必要がなく、デューティ指令のみを上昇させればよいので、損失が少なく、簡易な構成で直流電圧を上昇できる。
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
図14は、本第4実施形態に係る昇圧回路18の構成を示す。なお、図14における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
昇圧回路18Aと昇圧回路18Bは並列に接続され、各々同じ構成である。
すなわち、昇圧回路18Aは、昇圧用リアクタ24A、昇圧用ダイオード26A、及び昇圧用スイッチング素子28Aを備え、昇圧回路18Bは、昇圧用リアクタ24B、昇圧用ダイオード26B、及び昇圧用スイッチング素子28Bを備える。
制御信号生成部74Aは、昇圧回路18Aが有する昇圧用スイッチング素子28Aに対する制御信号を生成する。制御信号生成部74Bは、昇圧回路18Bが有する昇圧用スイッチング素子28Bに対する制御信号を生成する。
第4実施形態に係る昇圧回路制御部42は、昇圧用スイッチング素子28Aに対する三角波と昇圧用スイッチング素子28Bに対する三角波との位相差を180°とする。
従って、本第4実施形態に係るインバータ装置10は、ゼロ電圧指令によって昇圧回路18が停止している間、昇圧用ダイオード26A,26Bを短絡させることとなる。従って、昇圧回路18A,18Bが停止している間、昇圧用ダイオード26A,26Bでの損失が殆ど無くなる。
12 圧縮機用モータ
18 昇圧回路
20 インバータ回路
28 昇圧用スイッチング素子
40 昇圧回路電圧指令部
42 昇圧回路制御部
44 インバータ回路制御部
60 リレー回路
Claims (7)
- 直流電力の電圧を昇圧させる昇圧回路と、
前記昇圧回路によって昇圧された直流電力を交流電力に変換し、モータへ供給するインバータ回路と、
前記昇圧回路を制御する昇圧回路制御手段と、
前記インバータ回路を制御するインバータ回路制御手段と、
を備え、
前記昇圧回路制御手段は、前記モータの最小回転数から中間回転数以下の第1領域では前記昇圧回路に昇圧させず、前記中間回転数を超えて定格回転数未満の第2領域では前記モータの回転数に比例して前記昇圧回路に昇圧させ、前記定格回転数以上かつ最大回転数以下である第3領域では前記昇圧回路に一定値で昇圧させ、
前記インバータ回路制御手段は、前記第1領域を超えた回転数において前記モータを過変調制御し、
前記モータの誘起電圧定数は、前記第1領域から前記第2領域へ切り替わる回転数において過変調制御が可能となる値とされるインバータ装置。 - 前記昇圧回路制御手段は、前記第2領域において、前記インバータ回路の効率と前記モータの効率との積が最大となる直流電圧を前記昇圧回路に出力させる請求項1記載のインバータ装置。
- 前記昇圧回路制御手段は、
前記直流電圧と該直流電圧の指令値との差、及び前記昇圧回路を流れる電流の平均値と該電流のピーク値との差に基づいて、デューティ指令を生成し、
前記デューティ指令に所定のキャリア周波数である三角波を重ねることで、前記昇圧回路が有するスイッチング素子に対する制御信号を生成する請求項1又は請求項2記載のインバータ装置。 - 前記昇圧回路は、複数が並列に接続されて構成され、
前記昇圧回路制御手段は、前記昇圧回路の各々が備えるスイッチング素子に対する前記三角波の位相をずらす請求項3記載のインバータ装置。 - 前記昇圧回路が有する昇圧用ダイオードの両端に接続されるリレー回路を備え、
前記リレー回路は、前記第1領域においてオンとされる請求項1から請求項4の何れか1項記載のインバータ装置。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載のインバータ装置と、
前記第1領域から前記第2領域へ切り替わる回転数において過変調制御が可能となる誘起電圧定数を有し、圧縮機を駆動させるモータと、
を備える空気調和機。 - 直流電力の電圧を昇圧させる昇圧回路と、前記昇圧回路によって昇圧された直流電力を交流電力に変換し、モータへ供給するインバータ回路と、を備えるインバータ装置の制御方法であって、
前記モータの最小回転数から中間回転数以下の第1領域では前記昇圧回路は昇圧せず、前記中間回転数を超えて定格回転数未満の第2領域では前記モータの回転数に比例して前記昇圧回路は昇圧し、前記定格回転数以上かつ最大回転数以下である第3領域では前記昇圧回路は一定値で昇圧し、
前記第1領域を超えた回転数において前記モータを過変調制御するインバータ装置の制御方法。
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