JP2015141092A - 建設機械における積載重量超過予測装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記特許文献1に記載されている従来技術では、建設機械による積込量がトラックの最大積載重量を超えて重量超過となることを防止するため、建設機械が運搬中の作業対象物の重量と、既に運搬完了してトラックなどに積み込んだ作業対象物の総重量との合計が、前記トラックの最大積載重量を超える場合、建設機械の操作者に対し、作業対象物の運搬中止を指示し、これによりトラックに積載する作業対象物の重量超過を防止するようにしている。
本発明の目的は、建設機械による運搬車両への作業対象物の積載を、重量超過を防止しつつ効率良く行うことのできる建設機械における積載重量超過予測装置を得ることにある。
図1において、1は油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、履帯式の走行手段を左右一対備えた下部走行体2、この下部走行体2上に旋回装置を介して装着した上部旋回体3、この上部旋回体3の前部に俯仰動自在に取り付けられたフロント作業機4などにより構成されている。前記上部旋回体3には、キャブ5、エンジンや油圧機器類などを覆う建屋6、カウンタウエイト7などが設けられている。
この図2に示すように、積載重量超過予測装置100は、重量演算手段105、総重量演算手段103、平均重量演算手段106、標準偏差演算手段107、積込重量演算手段104、重量超過予測手段108などにより構成されている。
前記総重量演算手段103は、前記運搬車両に積み込んだ作業対象物の総重量を演算するもので、前記重量演算手段105により求められた作業対象物重量の運搬済の積算値から求めることができる。
また、前記標準偏差演算手段107は、建設機械による運搬作業が行われる度に、1回の運搬作業で前記バケット10がトラック荷台に積み込んだ作業対象物重量の標準偏差を演算するものである。
回数を提示する残り回数提示手段110、及び前記重量超過報知手段109や前記残り回数提示手段110からの情報を表示するためのモニタ15などが接続されている。
まず初めに、前記積載重量超過予測装置100における重量演算手段105の具体的な演算例を、図3〜図5を参照しつつ説明する。
前記重量演算手段105は、前記フロント作業機4におけるバケット4が運搬中の作業対象物重量を演算するものである。
図3〜図5において、Wは前記バケット4が運搬している作業対象物重量(ベクトル)、W1はブームシリンダ11を除いたフロント作業機4の自重(ベクトル)である。
l=lboomcosα+larmcosβ+lattcosγ …(数1)
即ち、前記lboom,larm,lattは設計によって決まる既知の値であるため、lは姿勢検出手段101の検出結果を用いて演算できる。
同様に、各構造物の重量をWa,Wb,Wc……とおく。ここで、前記W1はブームシリンダ5を除いたフロント作業機4の自重であるから、
W1=Wa+Wb+Wc+…… …(数2)
となる。前記Wa,Wb,Wc,……は、設計により決まる値であり既知であることから、W1も既知である。また、各構造物の個々の重心位置も設計により決まる値であり既知であることから、前記la,lb,lc,……は姿勢検出手段101の検出結果と各構造物の個々の重心位置から演算することができる。
W1l1=Wala+Wblb+Wclc+…… ………(数3)
∴ l1=(Wala+Wblb+Wclc+……)/W1 …(数4)
となる。上記数4から、l1は姿勢検出手段101の検出結果と既知の値で演算できる。
S=(lAB・h)/2 …(数6)
となる。また、Sを∠ACBとlBC,lCAによって表すと、
S=(lCA・lBCcos∠ACB)/2 …(数7)
となる。上記数6及び数7から、それぞれの右辺を等号で結び整理すると、
h=(lCA・lBCcos∠ACB)/lAB …(数8)
となる。上記数5と数8から、hは姿勢検出手段101の検出結果と既知の値で演算できる。
F=P1b・Ab−P1r・Ar …(数9)
となる。この支持力Fによるブーム8の揺動中心Cまわりのモーメントは、作業対象物重量W及びフロント作業機4の自重W1によるブーム2の揺動中心まわりのモーメントの和と釣り合っているので、
F・h=W・l+W1・l1 …(数10)
∴ W=(F・h−W1・l1)/l …(数11)
となる。上述した数1,数2,数4,数5,数8から、前記W1,l,l1,hは、それぞれ姿勢検出手段101の検出結果と予め設計により決まる値から演算できる。
上述した重量演算手段105による作業対象物の重量の演算は、操作者が任意のタイミングで、キャブ5内に設置されている前記計測スイッチ17を押すことで開始され、これをその時点での運搬中の作業対象物の重量Wとする。
次に、図2に示す前記積載重量超過予測装置100における総重量演算手段103と平均重量演算手段106による演算について説明する。前記重量演算手段105により、油圧ショベル1による作業対象物の運搬作業が行われる度に、その作業対象物の重量(積込重量)Wを演算する。そして、その運搬作業の回数Nをカウントすると共に、前記総重量演算手段103は、これまでの運搬によりトラックに積み込んだ作業対象物重量Wの積算値(総重量)WSUMを演算する。また、前記平均重量演算手段106は、次の数12により、油圧ショベル1が1回の運搬作業で、バケットやマグネットなどのアタッチメント10がトラック荷台に積み込んだ作業対象物重量の平均値WAVEを演算する。
次に、図2に示す前記積載重量超過予測装置100における標準偏差演算手段107による演算について説明する。この標準偏差演算手段107では、油圧ショベル1による運搬作業が行われる度に、1回の運搬作業で、バケットなどのアタッチメント10がトラック荷台に積み込んだ作業対象物重量Wの標準偏差σWを演算する。この標準偏差σWは次の数13により演算することができる。
次に、図2に示す前記積載重量超過予測装置100における前記積込重量演算手段104と前記重量超過予測手段108にいて説明する。
前記積込重量演算手段104は、前記平均重量演算手段106で求められた作業対象物の1回の運搬当たりの平均重量WAVEと、前記標準偏差演算手段107で求められた標準偏差の値に安全率として例えば2を乗じた値の重量との和の重量(WAVE+σW×2)を算出し、この和の重量を次回積込重量として決定し、用いるものである。
本実施例では、前記重量超過予測手段108により、次の作業での重量超過が予測された場合、これを操作者に報知するための重量超過報知手段109を備えている。そして、本実施例では、前記重量超過報知手段109は前記キャブ5内に備えられている前記モニタ15に組み込まれており、前記重量超過予測手段108が重量超過を予測した場合、前記モニタ15に、警告表示などを出力する。或いは前記キャブ5内などに報知ランプを設けて、重量超過を予測した場合、前記報知ランプを点灯させる。このように構成することにより、操作者は事前に重量超過を回避するための重量調整となる運搬を行うことができ、重量超過を防止することができる。
また、本実施例では、重量超過が発生するまでの残りの運搬作業回数nを演算して操作者に提示する残り回数提示手段110も備えている。
この残り回数提示手段110は、次の数14に示すように、残り積載重量(P−WSUM)を、1回の運搬作業でバケットなどのアタッチメント10がトラック荷台に積み込んだ作業対象物重量の平均値WAVEで除算することにより、重量超過が発生するまでの残りの運搬作業回数nを演算することができる。
このように、残り回数提示手段110により、操作者に重量超過が発生するまでの残り運搬作業回数nを提示することで、操作者は重量超過が発生するタイミングを把握しやすくなり、確実に重量超過を防止しつつ効率のよい運搬作業をすることができる。
油圧ショベルなどの建設機械においては、作業内容の変化や操作者の変更によって、建設機械が1回に運搬する作業対象物重量Wの平均値WAVEや標準偏差σWは異なってくる。そこで、本実施例では、平均重量演算手段106が演算する平均値WAVEや標準偏差演算手段107が演算する標準偏差σWを、操作者の交代や、異なる作業対象の運搬作業を開始した場合などに、リセットできるように、リセット手段としてのリセットスイッチ16を備えている。このリセットスイッチ16は、図1に示すように、キャブ5内のモニタ上或いはその付近に設けられている。
なお、このリセットスイッチ16は、前述したように、前記総重量演算手段103に対してもリセットでき、次の新たな作業開始時などにリセットできるようになっている。
図6は本実施例1の積載重量超過予測装置における表示手段としてのモニタ15の一例を示す図で、モニタ15での表示内容の例を示している。
前記モニタ15には、前記重量超過報知手段109からの報知や警報などの出力情報以外にも、操作者が作業状況を把握し易くするための情報が表示されるように構成されている。
なお、前記モニタ15への表示項目や表示内容は図6に示すものに限らず、必要に応じて取捨選択することができる。
ステップS1で計測装置(重量超過予測装置)の処理が開始され、ステップS2で、運搬先であるトラックなどの最大積載重量Pを設定する。その後、ステップS3で前記計測スイッチ17がONにされると(YESの場合)、ステップS4に移って、油圧ショベルで運搬中の作業対象物の重量Wを前記重量演算手段105により演算する。この重量演算が終わると、これを記憶すると共に運搬作業の回数Nをカウントする(ステップS5)。
(重量超過報知手段109)
上記実施例1では、重量超過が予測されるとモニタ15に表示した報知ランプにより操作者に報知或いは警告を行うようにしているが、報知ランプをモニタ15とは別の場所に備えるようにしても良い。また、報知ランプに限らず、ブザーなどの音によって報知(警告)を行うようにしても良い。更に、モニタ15に報知ランプで報知する代わりに、モニタ上に文字などで報知するようにしても良い。
上記実施例1では、アタッチメント10としてバケットを取り付けて土砂(作業対象物)をトラック荷台に積む込む作業を例として挙げたが、上記図3、図4に示すように、上記アタッチメント10をマグネットに代え、このマグネットによりスクラップの運搬作業をするものにも同様に適用できる。更に、前記アタッチメント10をグラップルとし、このグラップルによるハンドリング作業に対しても本発明は同様に適用できる。
上記実施例1では、建設機械1として、油圧ショベルによる掘削、運搬作業を例に挙げたが、ホイールローダやクレーンなどの建設機械により運搬作業を繰り返し、運搬車両などに積載する場合についても本発明は同様に適用できるものである。
上記実施例の説明では、前記重量演算手段105における演算方式として、圧力センサによって油圧シリンダに作用する負荷を計測し、モーメントの釣り合い式から、作業対象物重量Wを演算する例を説明したが、例えば、ピン形状のロードセルをアタッチメント10の支持部に配置して作業対象物重量Wを検出するなどの他の方式による重量演算を用いるようにしても良い。
上述したリセットスイッチ(リセット手段)16によるリセットとは別に、異なる作業対象物(別の種類の作業対象物)への作業を開始する際には、自動的に作業対象物重量の積算値(積載した総重量)WSUMをリセットするようにしても良い。また、この積算値WSUMのリセットに伴って、前記モニタ15上に運搬作業の回数(現在回数)Nを表示している場合には、前記運搬作業回数Nも同時にリセットするようにしても良い。
更に、前記モニタ15をタッチパネルにして、リセット用のスイッチを画面上に表示するようにしても良い。
即ち、本実施例2では、図2に示す平均重量演算手段106及び標準偏差演算手段107の代わりに、図8に示すように、以下説明する最大重量演算手段112を備えているものである。
重量超過予測手段108では、残り積載重量(P−WSUM)と、前記求められた次回積込重量、即ち1回の運搬作業でトラックに積み込んだ作業対象物重量Wの最大値(最大重量)WMAXを比較し、次回積込重量(最大重量WMAX)が残り積載重量(P−WSUM)を上回った場合には、次の運搬作業で重量超過が発生すると予測する。
図8における他の構成及び図9における他のステップは、上記実施例1と同様である。
なお、上記最大重量演算手段112による作業対象物の最大重量WMAXの演算は以下のように構成しても良い。
このため、本実施例3では図10に示すように、総重量演算手段103、平均重量演算手段106、標準偏差演算手段107、最大重量演算手段112及び積込重量演算手段104を備えているものである。
この例のようにしても、重量超過を防止しつつ、より効率の良い運搬作業を行うことができる。
また、上記各演算を行う演算手段は、各機能を実現するプログラム、測定値、演算値、閾値などの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、複数の演算手段の機能を1つの演算手段に纏めても良く、更に複数または全ての演算手段を1つのマイクロコンピュータで構成しても良い。
4:フロント作業機、5:キャブ、6:建屋、7:カウンタウエイト、
8:ブーム、9:アーム、10:アタッチメント、
11:ブームシリンダ、12:アームシリンダ、13:バケットシリンダ、
14:マイクロコンピュータ、15:モニタ、
16:リセットスイッチ、17:計測スイッチ、
18:ブーム角度センサ、19:アーム角度センサ、20:アタッチメント角度センサ、
21:ブームボトム室圧カセンサ、22:ブームロッド室圧カセンサ、
100:積載重量超過予測装置、101:姿勢検出手段、102:圧力検出手段、
103:総重量演算手段、104:積込重量演算手段、105:重量演算手段、
106:平均重量演算手段、107:標準偏差演算手段、108:重量超過予測手段、
109:重量超過報知手段、110:残り回数提示手段、112:最大重量演算手段。
Claims (7)
- 作業対象物を運搬車両に積み込む運搬作業を繰り返し行う建設機械における積載重量超過予測装置であって、
前記運搬車両に積み込んだ作業対象物の総重量を演算する総重量演算手段と、
次に積み込む作業対象物の重量(次回積込重量)を演算する積込重量演算手段と、
前記総重量演算手段で求められた総重量と、前記積込重量演算手段で求められた次回積込重量により、前記運搬車両における最大積載重量を超える重量超過の発生を予測する重量超過予測手段と、
前記重量超過予測手段により、次の運搬での重量超過の発生を予測した場合に、重量超過の発生を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。 - 請求項1に記載の建設機械における積載重量超過予測装置であって、建設機械の1回ごとの積込重量の平均値(平均重量)を演算する平均重量演算手段を備え、前記積込重量演算手段は、前記平均重量演算手段で求められた前記平均重量を次回積込重量として使用し、前記重量超過予測手段は、前記次回積込重量が、運搬車両における前記最大積載重量から、前記総重量演算手段で求められた積込み済の作業対象物の総重量を除いた残りの重量(残り積載重量)より大きい場合、次の運搬での重量超過の発生を予測することを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。
- 請求項2に記載の建設機械における積載重量超過予測装置であって、建設機械の1回ごとの積込重量の標準偏差を演算する標準偏差演算手段を更に備え、前記積込重量演算手段は、前記平均重量演算手段で求められた平均重量と、前記標準偏差演算手段で求められた標準偏差に安全率を掛けて求めた重量とを合計した重量を次回積込重量として使用し、前記重量超過予測手段は、前記次回積込重量が、運搬車両における前記最大積載重量から、前記総重量演算手段で求められた積込み済の作業対象物の総重量を除いた残り積載重量より大きい場合、次の運搬での重量超過の発生を予測することを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。
- 請求項1に記載の建設機械における積載重量超過予測装置であって、建設機械における1回ごとの積込重量における最大重量を演算する最大重量演算手段を備え、前記積込重量演算手段は、前記最大重量演算手段で求められた最大重量を次回積込重量として使用し、前記重量超過予測手段は、前記次回積込重量が、運搬車両における前記最大積載重量から、前記総重量演算手段で求められた積込み済の作業対象物の総重量を除いた残り積載重量より大きい場合、次の運搬での重量超過の発生を予測することを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。
- 請求項4に記載の建設機械における積載重量超過予測装置であって、前記作業対象物を収容する前記建設機械のアタッチメントの収容仕様を入力する仕様入力手段と、前記作業対象物の種類を設定する作業対象物種類設定手段とを備え、前記最大重量演算手段は、前記仕様入力手段に入力された前記アタッチメントの収容仕様と、前記作業対象物種類設定手段により設定された作業対象物の種類から、前記建設機械が1回で運搬可能な前記作業対象物の最大重量を演算し、前記積込重量演算手段は、前記最大重量演算手で求められた最大重量を次回積込重量として使用し、前記重量超過予測手段は、前記次回積込重量が、運搬車両における前記最大積載重量から、前記総重量演算手段で求められた積込み済の作業対象物の総重量を除いた残り積載重量より大きい場合、次の運搬での重量超過の発生を予測することを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。
- 請求項3に記載の建設機械における積載重量超過予測装置であって、前記標準偏差演算手段が演算する標準偏差に対する閾値を設ける閾値設定手段と、前記建設機械における1回ごとの積込重量における過去の最大重量を演算する最大重量演算手段を更に備え、
前記積込重量演算手段は、前記閾値設定手段により設定された前記閾値と、前記標準偏差演算手段で求められた前記標準偏差とを比較し、この比較結果に基づいて、前記平均重量演算手段で求められた作業対象物の平均積込重量、またはこの平均積込重量と前記標準偏差に安全率を掛けて求めた重量とを合計した重量、或いは前記最大重量演算手段で求められた最大重量の何れかを選択して次回積込重量として使用し、
前記重量超過予測手段は、前記次回積込重量が、運搬車両における前記最大積載重量から、前記総重量演算手段で求められた積込み済の作業対象物の総重量を除いた残りの重量より大きい場合、次の運搬での重量超過の発生を予測することを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。 - 請求項2または3に記載の建設機械における積載重量超過予測装置であって、運搬車両における前記最大積載重量から、既に運搬完了した作業対象物の総重量を除いた残りの重量と、前記平均積込重量演算手段で求められた建設機械の1回ごとの積込重量の平均値を用いて、重量超過が発生するまでの残り運搬回数を演算し、この残り運搬回数を提示する残り回数提示手段を備えることを特徴とする建設機械における積載重量超過予測装置。
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