JP2015140464A - 蒸着マスク装置及び熱バリア材 - Google Patents

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Abstract

【課題】被蒸着板と蒸着マスクの貫通孔の配列との相対位置のずれを抑え、高精細なパターニングを行うことが可能な蒸着マスク装置を提供する。【解決手段】蒸着マスク装置10は、蒸着源94から昇華した蒸着材料98を、所定のパターンで被蒸着板92に付着させるために用いられる。蒸着マスク装置10は、複数の貫通孔25が形成された有孔領域22を有するマスク部材20と、マスク部材20を支持するフレーム15とを有する蒸着マスク11と、蒸着マスク11の蒸着源94側に設けられ、マスク部材20の有孔領域22に対応するバリア開口41を有する熱バリア材40とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸着マスク装置及び熱バリア材に関し、とりわけ、蒸着マスクの熱膨張を抑制することができる蒸着マスク装置及び熱バリア材に関する。
所望のパターンで薄膜を形成する蒸着技術として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用いる技術が開発されている。例えば有機EL表示装置の製造工程では、蒸着源から昇華した有機蒸着材料を、蒸着マスクを介して被蒸着板に付着させることによって、極めて高精細なパターンで有機蒸着層を形成することが可能である。
この蒸着で利用される蒸着源は、蒸着材料を昇華させるべく高温に加熱される。このため、蒸着源からの輻射熱によって蒸着マスクの温度が上昇して蒸着マスクが膨張してしまう。また、蒸着マスクが膨張すると、蒸着マスクの貫通孔の配列もズレてしまい高精細なパターニングを行うことが困難となる。
従来では、蒸着マスクの温度上昇による蒸着マスクの貫通孔の配列のズレを抑制すべく、熱によってほとんど膨張しないインバー材を蒸着マスクに使用していた(特許文献1参照)。しかしながら、インバー材からなる蒸着マスクが高温になると、蒸着マスクから被蒸着板に熱が伝わってしまい、被蒸着板が熱膨張してしまう場合がある。結局、被蒸着板の熱膨張により、被蒸着板と蒸着マスクの貫通孔の配列との相対位置がずれてしまい、高精細なパターニングを行うことが困難となる場合がある。
特開2012−111195号公報
本発明は、これらの点を考慮してなされたものであって、被蒸着板と蒸着マスクの貫通孔の配列との相対位置のずれを抑え、高精細なパターニングを行うことが可能な蒸着マスク装置及び熱バリア材を提供することを目的とする。
なお、被蒸着板にパターニングを行う際に、蒸着マスクの熱膨張を抑えることができれば、蒸着マスクの材質の自由度が高まると共に、蒸着マスクの製造も容易となる。
本発明による蒸着マスク装置は、蒸着源から昇華した蒸着材料を、所定のパターンで被蒸着板に付着させるために用いられる蒸着マスク装置であって、
複数の貫通孔が形成された有孔領域を有するマスク部材と、前記マスク部材を支持するフレームとを有する蒸着マスクと、
前記蒸着マスクの一側に設けられ、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するバリア開口を有する熱バリア材とを備えることを特徴とする。
本発明による蒸着マスク装置において、前記蒸着マスクと前記熱バリア材との間に、スペーサを介在させてもよい。
本発明による蒸着マスク装置において、前記熱バリア材は、インバー材からなってもよい。
本発明による蒸着マスク装置において、前記熱バリア材は、外方へ熱を放出する熱伝導性部材に接続されていてもよい。
本発明による蒸着マスク装置において、前記マスク部材は、前記有孔領域の周囲に位置する無孔領域を有しており、前記熱バリア材は、前記バリア開口の周囲に位置すると共に、前記マスク部材の前記無孔領域に平面視において重なる周囲領域を有してもよい。
本発明による蒸着マスク装置において、前記フレームは、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するフレーム開口を有し、且つ、前記マスク部材より小さい熱膨張係数をもつ材料からなり、
前記蒸着マスクは、前記マスク部材と前記フレームとを互いに積層し室温よりも高温に加熱した状態で、前記マスク部材を前記フレームに対して接合してなり、且つ、加熱された前記蒸着マスクを室温に戻すことにより前記マスク部材に対して張力を付与してもよい。
本発明による蒸着マスク装置において、前記フレームは、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するフレーム開口を有し、且つ、前記マスク部材より大きい熱膨張係数をもつ材料からなり、
前記蒸着マスクは、前記マスク部材と前記フレームとを互いに積層し室温よりも低温に冷却した状態で、前記マスク部材を前記フレームに対して接合してなり、且つ、冷却された前記蒸着マスクを室温に戻すことにより前記マスク部材に対して張力を付与してもよい。
本発明による熱バリア材は、蒸着源から昇華した蒸着材料を、所定のパターンで被蒸着板に付着させるために用いられ、複数の貫通孔が形成された有孔領域を有するマスク部材と、前記マスク部材を支持するフレームとを有する蒸着マスクと、前記蒸着源との間に配置される熱バリア材であって、
前記マスク部材の前記有孔領域に対応するバリア開口を備える。
本発明によれば、被蒸着板と蒸着マスクの貫通孔の配列との相対位置のずれを抑え、高精細なパターニングを行うことが可能な蒸着マスク装置及び熱バリア材を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態による蒸着マスク装置の一例を示す図であって、蒸着マスク装置を分解した状態で示す概略斜視図である。 図2は、蒸着マスク装置に含まれる蒸着マスクを法線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 図3は、図1に示す蒸着マスク装置のマスク部材の製造方法の一例を説明するための図である。 図4(a)〜(e)は、金属板に多数の貫通孔を形成する工程を説明するための図である。 図5は、図1に示す蒸着マスク装置の蒸着マスクの製造方法を説明するための図であって、複数のマスク部材をフレームに積層する工程を示す概略斜視図である。 図6は、図1に示す蒸着マスク装置の蒸着マスクの製造方法を説明するための図であって、積層体を熱制御盤上に載置する工程を示す概略斜視図である。 図7は、図1に示す蒸着マスク装置の蒸着マスクの製造方法を説明するための図であって、積層体を熱制御盤上で加熱する工程を示す概略斜視図である。 図8は、図1に示す蒸着マスク装置の蒸着マスクの製造方法を説明するための図であって、積層体を熱制御盤から降ろす工程を示す概略斜視図である。 図9は、図1に示す蒸着マスク装置の変形例を説明するための図であって、フレームに反り防止板を更に積層した例を示す概略斜視図である。 図10は、図2に対応する図であって、蒸着マスクを保持する他の例を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図7は本発明による一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機ELディスプレイ装置を製造する際に有機発光材料を所望のパターンでガラス基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスク装置を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスク装置に対し、本発明を適用することができる。
まず、本実施の形態による蒸着マスク装置の一例について、主に図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明の一実施の形態による蒸着マスク装置10の一例を示す概略斜視図である。図2は、蒸着マスク11を法線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。なお、図1において、蒸着マスク装置10を分解した状態で図示している。
図1及び図2に示された蒸着マスク装置10は、真空室91内に配置された蒸着源94から昇華した蒸着材料98を、所望のパターンで被蒸着板92に付着させるために用いられる。図1及び図2に示すように、蒸着マスク装置10は、複数の有孔領域22を有する複数のマスク部材20と、各マスク部材20に接合され、このマスク部材20を保持するフレーム15とを有する蒸着マスク11と、蒸着マスク11の蒸着源94側に設けられた熱バリア材40とを備えている。先ず、蒸着マスク11について説明し、その後熱バリア材40について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク11を構成するマスク部材20は、帯状の金属板21からなり、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。マスク部材20の金属板21は、貫通孔25が形成された複数の有孔領域22と、貫通孔25が形成されておらず、有孔領域22の周囲を取り囲む領域を占める無孔領域23とを有している。図1に示すように、各有孔領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。
図示された例において、複数の有孔領域22は、マスク部材20の一辺と平行な第一方向d1に沿って所定の間隔を空けて配置されている。図示された例では、一つの有孔領域22が一つの有機ELディスプレイ装置に対応するようになっている。すなわち、図1及び図2に示された蒸着マスク装置10によれば、多面付蒸着が可能となっている。
また、図1に示すように、各々のマスク部材20の有孔領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有孔領域22において、第一方向d1に直交する第二方向d2に沿って等しい間隔をあけて並べて配置されている。また、各貫通孔25は、第一方向d1と平行に、有孔領域22の一端から他端まで細長く延びている。
このような有孔領域22を有する複数のマスク部材20が、第二方向d2に沿って並べて配置されている。図示する例では、3つのマスク部材20が第二方向d2に沿って配置されているが、マスク部材20の数は特に制限はない。単一のマスク部材20が配置されてもよいし、4つ以上のマスク部材20が配置されてもよい。
次に、各マスク部材20を支持するフレーム15について説明する。図1及び図2に示すように、フレーム15は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。フレーム15は、マスク部材20の有孔領域22に対応する複数のフレーム開口16と、各フレーム開口16の周囲に位置すると共に、無孔領域23に対面するフレーム周囲領域17とを有している。本実施の形態において、各フレーム開口16は、対応する有孔領域22に対面している。
本実施の形態では、フレーム15は、マスク部材20と異なる熱膨張係数をもつ材料から構成されている。具体的には、フレーム15は、マスク部材20より小さい熱膨張係数をもつ材料からなる。
また、図1に示すように、各マスク部材20は、対応する有孔領域22を第一方向d1から挟むように設けられた一対の接合領域65を介して、フレーム15に接合されている。本実施の形態では、一対の接合領域65は、第二方向d2に沿って延び、各接合領域65は、接着剤65aを含んでいる。なお、図示する例では、マスク部材20をフレーム15に対して接着剤65aを介して接着しているが、マスク部材20及びフレーム15が金属からなる場合には、マスク部材20をフレーム15に対して溶着箇所を介して溶着することもできる。
マスク部材20の有孔領域22は、フレーム15のフレーム開口16を覆うように、フレーム周囲領域17に張架されている。具体的には、後述するように、蒸着マスク11は、マスク部材20とフレーム15とを互いに積層し室温よりも高温に加熱した状態で、マスク部材20をフレーム15に対して接合することで作製される。そして、加熱された蒸着マスク11を室温に戻すことによりマスク部材20に対して張力を付与している。
さて、この蒸着マスク装置10は、図1及び図2に示すように、マスク部材20が被蒸着板92に対面するようにして、真空室91内に配置される。真空室91内には、蒸着マスク装置10の下方に配置され、蒸着材料98を収容するるつぼからなる蒸着源94と、蒸着源94を加熱するヒータ96とが配置されている。蒸着源94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華して、有孔領域22の貫通孔25を介して被蒸着板92の表面に付着する。
この蒸着で利用されるるつぼからなる蒸着源94は、蒸着材料98を昇華させるべく高温に加熱される。このため、蒸着源94から輻射熱が真空室91内に放出され、この輻射熱がマスク部材20に伝わると、マスク部材20が膨張して貫通孔25の配列がズレてしまうおそれがある。そこで、本実施の形態では、図1及び図2に示すように、蒸着マスク装置10は、真空室91内に設置された状態において、蒸着マスク11と蒸着源94との間に配置される熱バリア材40を備えている。つまり、熱バリア材40は、蒸着源94から放出される輻射熱がマスク部材20に伝わることを抑制するために設けられている。
図1及び図2に示すように、熱バリア材40は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。熱バリア材40は、各マスク部材20の有孔領域22に対応する複数のバリア開口41と、各バリア開口41の周囲に位置すると共に、マスク部材20の無孔領域23に平面視において重なる周囲領域42とを有している。本実施の形態において、各バリア開口41は、対応するフレーム15のフレーム開口16に対面しており、周囲領域42は、フレーム15のフレーム周囲領域17に対面している。
熱バリア材40をなす材料として、輻射熱を遮蔽する機能をもつ金属や樹脂を採用することができる。また、熱バリア材40をなす材料は、熱膨張係数が小さいことが好ましい。このような熱バリア材40として、インバー材や石英ガラスを用いることができる。この場合、熱バリア材40は輻射熱を吸収しても大きく膨張することはなく、このため、熱バリア材40の周囲領域42がマスク部材20の有孔領域22に重なることはない。このことにより、熱バリア材40が膨張して、熱バリア材40の周囲領域42が有孔領域22を通過すべき蒸着材料98を遮るおそれを低減することができる。結果として、蒸着材料98を所望の量だけガラス基板42に付着させることができ、蒸着材料98の利用効率が低下することを防止することができる。
ところで、このような熱バリア材40の厚みは、その材質や使用条件等にも依るが、一例として、0.05〜0.3mm程度に形成され得る。
さらに、図1及び図2に示すように、熱バリア材40は、真空室91内に設置され外方へ熱を放出する熱伝導性部材85に接続されている。本実施の形態では、熱伝導性部材85は、真空室91の床面から熱バリア材40まで延び、熱バリア材40を支持している。具体的には、熱伝導性部材85は、熱バリア材40の周縁に沿って設けられ、熱バリア材40の複数のバリア開口41を取り囲んでいる。
このような熱伝導性部材85を設けたことにより、熱バリア材40が吸収した熱を、熱伝導性部材85を介して真空室91の外部に放出させることができる。また、熱バリア材40から伝わる熱によって熱伝導性部材85が膨張して、この結果熱バリア材40の配置をずらすことがないよう、熱伝導性部材85をなす材料は、熱膨張係数が小さいことが好ましい。このような熱伝導性部材85として、インバー材や石英ガラスを用いることができる。
また、図1及び図2に示すように、蒸着マスク装置10の蒸着マスク11と熱バリア材40との間に、スペーサ80が介在されている。熱バリア材40は、このスペーサ80を介して蒸着マスク11を保持すると共に、スペーサ80によって、蒸着マスク11と熱バリア材40とが直接的に面で接触することを防止し、熱バリア材40から蒸着マスク11に熱が直接的に伝導することを防止している。
一方、スペーサ80は、熱バリア材40と蒸着マスク11との間に設けられているため、スペーサ80を介して、熱バリア材40から蒸着マスク11へ熱が伝導してしまう。そこで、この熱伝導をできる限り抑制するため、スペーサ80は、熱バリア材40との接触面積及び/または蒸着マスク11との接触面積が小さい方がよい。
本実施の形態において、スペーサ80は、フレーム15のフレーム周囲領域17と、熱バリア材40の周囲領域42との間に配置されている。具体的な構成として、スペーサ80は、第二方向d2に間隔を空けて配置され第一方向d1に沿って延びる複数の柱状部材81を含んでいる。この場合、各柱状部材81は、例えばステンレス等の金属製の円柱状ワイヤーからなっている。
このようなスペーサ80をなす材料は、蒸着マスク11を安定して保持することができるよう、剛性の高い材料が好ましい。また、スペーサ80をなす材料は、熱バリア材40から蒸着マスク11に熱が伝導することを抑制するよう、熱伝導率が小さい断熱部材であることが好ましい。このようなスペーサ80として、熱伝導率が小さい金属の他にセラミック等を用いることができる。
また、このようなスペーサ80の厚みは、その材質や使用条件等にも依るが、一例として、30μm〜250μm程度に形成され得る。
被蒸着板への蒸着方法
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。はじめに、真空室91内で蒸着マスク装置10を用いて被蒸着板92の表面に蒸着材料98を蒸着させる蒸着方法について述べる。
先ず、図1及び図2に示すように、マスク部材20が被蒸着板92に対面すると共に、マスク部材20と蒸着源94との間に、熱バリア材40が配置されるようにして、蒸着マスク装置10が真空室91内に支持される。そして、不図示の磁石によって、マスク部材20の有孔領域22と被蒸着板92とが密着するように付勢される。
次に、蒸着マスク装置10の下方に配置された蒸着源94をヒータ96によって加熱して、蒸着源94内の蒸着材料98を気化または昇華させる。気化または昇華した蒸着材料98は、蒸着マスク装置10の貫通孔25を介して被蒸着板92に付着する。この結果、蒸着マスク装置10の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が被蒸着板92の表面に成膜される。その後、成膜された被蒸着板92を搬出した後、次の被蒸着板92がマスク部材20に対面する位置まで搬送され、次の被蒸着板92にパターニングが行われていく。
被蒸着板92に蒸着材料98をパターニングしていくと、ヒータ96の加熱に伴い蒸着源94から輻射熱が真空室91内に放出される。本実施の形態では、蒸着マスク11と蒸着源94との間に、有孔領域22に対応するバリア開口41が形成された熱バリア材40が配置されているため、蒸着源94から放出される輻射熱がマスク部材20の無孔領域23に直接伝わることを効果的に抑制することができる。
とりわけ、本実施の形態では、マスク部材20と熱バリア材40との間にフレーム15が配置され、熱バリア材40の周囲領域42は、フレーム15のフレーム周囲領域17に対面している。これにより、蒸着源94から放出される輻射熱が直接的にフレーム15のフレーム周囲領域17に伝わることを極めて効果的に抑制し、この結果、この輻射熱がフレーム周囲領域17からマスク部材20の無孔領域23に伝わることを効果的に抑制することができる。
また、上述したように、蒸着マスク11と熱バリア材40との間にスペーサ80を介在させ、スペーサ80を介して熱バリア材40は蒸着マスク11を保持している。このため、スペーサ80を介して、熱バリア材40から蒸着マスク11に熱がいくらか伝導してしまうことも考えられる。しかしながら、本実施の形態によれば、スペーサ80に断熱機能をもたせることにより、熱バリア材40から蒸着マスク11に熱が伝導することを抑制することができる。具体的には、スペーサ80は、円柱状の金属製ワイヤーからなるため、スペーサ80と熱バリア材40との接触面積及び/またはスペーサ80と蒸着マスク11との接触面積を小さくすることで、十分な断熱機能をもつことができる。あるいは、スペーサ80として熱伝導率の小さい断熱部材を用いることにより、スペーサ80は十分な断熱機能をもつことができる。
この間、熱バリア材40に蓄えられた熱は、熱伝導性部材85を介して、真空室91の壁面から真空室91の外部に放出させられる。これにより、熱バリア材40に熱が過剰に蓄えられることを防止することができ、熱バリア材40の温度が過剰に上昇してしまうことを防止することができる。
また、蒸着源94からの輻射熱の一部は、熱バリア材40のバリア開口41を通過して、マスク部材20の有孔領域22に伝わる。加えて、マスク部材20の有孔領域22には、当該有孔領域22を通過する蒸着材料98の熱エネルギーも、固体間の熱伝導によって伝わる。この場合、マスク部材20の有孔領域22は被蒸着板92と密着するため、マスク部材20の有孔領域22に伝わる輻射熱及び熱エネルギーは、次々と搬送されてくる被蒸着板92に伝導されていく。このため、マスク部材20の有孔領域22に伝わった熱によって、マスク部材20の温度が上昇してマスク部材20が膨張するおそれも少なくなる。
以上のように、本実施の形態によれば、蒸着マスク11の蒸着源94側に、マスク部材20の有孔領域22に対応するバリア開口41を有する熱バリア材40が設けられているため、蒸着源94から放出される輻射熱がマスク部材20の無孔領域23に伝わることを効果的に抑制することができる。一方、蒸着源94からの輻射熱の一部は、熱バリア材40のバリア開口41を通過して、マスク部材20の有孔領域22に伝わる。加えて、マスク部材20の有孔領域22には、当該有孔領域22を通過する蒸着材料98の熱エネルギーも、固体間の熱伝導によって伝わる。マスク部材20の有孔領域22に伝わる熱は、マスク部材20から、次々と搬送されてくる被蒸着板92に伝導するため、マスク部材20の有孔領域22に伝わった熱によって、マスク部材20の温度が上昇するおそれも少ない。これらの結果、熱バリア材40によって、蒸着源94からの輻射熱によって蒸着マスク11の温度が上昇して蒸着マスク11が膨張することを効果的に抑制することができる。このため、マスク部材20の貫通孔25の配列がズレてしまうことを効果的に抑制し、高精細なパターニングを行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、マスク部材20は、有孔領域22の周囲に位置する無孔領域23を有しており、熱バリア材40は、バリア開口41の周囲に位置すると共に、マスク部材20の無孔領域23に平面視において重なる周囲領域42を有している。この場合、蒸着源94からマスク部材20の無孔領域23に向かって放出された輻射熱を、熱バリア材40によって効果的に遮ることができるため、輻射熱がマスク部材20の無孔領域23に伝わることを極めて効果的に抑制することができる。
蒸着マスク装置の製造方法
次に、蒸着マスク装置10の製造方法について、主に図3および図4を用いて説明する。図3及び図4は、金属板34(21)に多数の貫通孔25を形成しマスク部材20を作製する工程を説明するための図である。
図3及び図4を参照して、貫通孔25の形成方法について説明する。図3及び図4に示すように、ここで説明する貫通孔25の形成方法は、帯状に延びる長尺の金属板34を供給する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺の金属板34に施して、長尺金属板34に第1面34aの側から第1穴36を形成する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺金属板34に施して、長尺金属板34に第2面34bの側から第2穴37を形成する工程と、を含んでいる。そして、長尺金属板34に形成された第1穴36と第2穴37とが互いに通じ合うことによって、長尺金属板34に貫通孔25が作製される。図4に示された例では、第2穴37の形成工程が、第1穴36の形成工程の前に実施され、且つ、第2穴37の形成工程と第1穴36の形成工程の間に、作製された第2穴37を封止する工程が、さらに設けられている。以下において、各工程の詳細を説明する。
図3に示すように、まず、長尺金属板34を供給コア31に巻き取った巻き体32が準備される。そして、この供給コア31が回転して巻き体32が巻き戻されることにより、図3に示すように帯状に延びる長尺金属板34が供給される。なお、長尺金属板34は貫通孔25を形成されて金属板21、さらにはマスク部材20をなすようになる。したがって、上述したように、長尺金属板34は、厚さ10〜100μmの磁性材料、例えばSUS430材からなる。
供給された長尺金属板34は、エッチング装置(エッチング手段)50によって、図4(a)〜(e)に示された各処理が施される。まず、図4(a)に示すように、長尺金属板34の第1面34a上にレジストパターン(単に、レジストとも呼ぶ)35aが形成されるとともに、長尺金属板34の第2面34b上にレジストパターン(単に、レジストとも呼ぶ)35bが形成される。具体的には、次のことが実施される。まず、長尺金属板34の第1面34a上(図7(a)の紙面における下側の面上)および第2面34b上に感光性レジスト材料を塗布し、長尺金属板34上にレジスト膜を形成する。次に、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させないようにしたガラス乾板を準備し、ガラス乾板をレジスト膜上に配置する。その後、レジスト膜をガラス乾板越しに露光し、さらにレジスト膜を現像する。以上のようにして、長尺金属板34の第1面34a上にレジストパターン(単に、レジストとも呼ぶ)35aを形成し、長尺金属板34の第2面34b上にレジストパターン(単に、レジストとも呼ぶ)35bを形成することができる。
次に、図4(b)に示すように、長尺金属板34上に形成されたレジストパターン35bをマスクとして、エッチング液(例えば塩化第二鉄溶液)を用いて、長尺金属板34の第2面34b側からエッチングする。例えば、エッチング液が、搬送される長尺金属板34の第2面34bに対面する側に配置されたノズルから、レジストパターン35b越しに長尺金属板34の第2面34bに向けて噴射される。この結果、図4(b)に点線で示すように、長尺金属板34のうちのレジストパターン35bによって覆われていない領域で、エッチング液による浸食が進む。以上のようにして、第2面34bの側から長尺金属板34に多数の第2穴37が形成される。
その後、図4(c)に示すように、エッチング液に対する耐性を有した樹脂39によって、形成された第2穴37が被覆される。すなわち、エッチング液に対する耐性を有した樹脂39によって、第2穴37が封止される。図4(c)に示す例において、樹脂39の膜が、形成された第2穴37だけでなく、第2面34b(レジストパターン35b)も覆うように形成されている。
次に、図4(d)に示すように、長尺金属板34に対して第2回目のエッチングを行う。第2回目のエッチングにおいて、長尺金属板34は第1面34aの側のみからエッチングされ、第1面34aの側から第1穴36の形成が進行していく。長尺金属板34は第2面34bの側には、エッチング液に対する耐性を有した樹脂39が被覆されているからである。したがって、第1回目のエッチングにより所望の形状に形成された第2穴37の形状が損なわれてしまうことはない。そして、図4(d)に示すように、所望の形状の第1穴36が長尺金属板34の第1面34a側に形成された時点で、長尺金属板34に対する第2回目のエッチングが終了する。このとき、図4(d)に示すように、第1穴36は長尺金属板34の厚さ方向に沿って第2穴37に到達する位置まで延びており、これにより、互いに通じ合っている第1穴36および第2穴37によって貫通孔25が長尺金属板34に形成される。
その後、図4(e)に示すように、長尺金属板34からレジストパターン35a,35bおよび樹脂膜39が除去される。なお、レジストパターン35a,35bおよび樹脂膜39は、例えばアルカリ水溶液にて同時に除去することができる。
このようにして多数の貫通孔25を形成された長尺金属板34は、図3に示すように、当該長尺金属板34を狭持した状態で回転する搬送ローラ52,52により、切断装置(切断手段)53へ搬送される。なお、この搬送ローラ52,52の回転によって長尺金属板34に作用するテンション(引っ張り力)を介し、上述した供給コア31が回転させられ、巻き体32から長尺金属板34が供給されるようになっている。
その後、多数の貫通孔25が形成された長尺金属板34を切断装置(切断手段)53によって所定の長さに切断することにより、枚葉状の金属板21が得られる。
貫通孔25は、長尺金属板34を一方の面のみからエッチングすることによっても形成され得る。しかしながら、長尺金属板34を上方側の面のみからエッチング処理した場合、浸食によって形成された先細り孔に、既に浸食に用いられ浸食能力が低くなったエッチング液が残留する。その後、金属板の孔が下方側の面に達した時、それまで孔内に残留していたエッチング液が下方の面から流れ出て、浸食能力の高いフレッシュなエッチング液が形成された孔内に流れ込む。このため、孔内の下方側の領域がフレッシュなエッチング液により激しく浸食される。すなわち、孔の形状を十分に制御することができなくなる。一方、レジスト膜を介して金属板を下方側の面のみからエッチングした場合、浸食によって形成された先細り孔が金属板を貫通すると、上側面の孔周囲に、エッチング液が残留することがある。結果として、残留したエッチング液によって金属板の上方側の面からも浸食が進み、やはり孔の形状を十分に制御することができなくなる。これに対して、上述したエッチング方法によれば、貫通孔25の形状を安定させることができる。
このようにして、複数の貫通孔25を有するマスク部材20が得られる。なお、長尺金属板34の第1面34aは、金属板21の蒸着源94側を向く面をなし、長尺金属板34の第2面34bは、金属板21の被蒸着板92側を向く面をなす。
次にこのようにして得られたマスク部材20を用いて蒸着マスク装置10を製造する方法について図5乃至図8により以下説明する。
まず、上述したマスク部材20を複数準備する。この場合、各マスク部材20は、帯状形状をもち、有孔領域22と、有孔領域22を囲む無孔領域23とを有し、マスク部材20の有孔領域22は、複数連続して配置される。なお、本実施の形態のマスク部材20(金属板21)はSUS430からなり、その熱膨張係数は11ppm/℃となる。もっとも、マスク部材20として、熱膨張係数が11〜13ppm/℃からなるNi材や、熱膨張係数が10ppm/℃からなるNi−Cr材を用いてもよい。
同様にフレーム開口16を有し、3〜5mm厚のフレーム15を準備する。この場合、フレーム15はガラス材料からなり、熱膨張係数はマスク部材20の材料より小さくなっている。例えば、フレーム15が石英ガラスからなる場合、熱膨張係数は0.1ppm/℃となり、フレーム15が無アルカリガラス(例えば、旭ガラス社製、商品名AN100、AN635、または、コーニング社製、商品名イーグルXG)からなる場合、熱膨張係数は4〜5ppm/℃となる。
次に図5に示すように、各マスク部材20を、フレーム開口16を有するフレーム15上に載置する。この場合、フレーム15表面には位置決めマーク15aが設けられ、各マスク部材20にもフレーム15の位置決めマーク15aに対応する位置決めマーク20aが設けられ、これらの位置決めマーク15a、20aを用いてフレーム15上でマスク部材20を精度良く位置決めすることができる。
次に図6に示すように、熱制御盤70上に上から順にマスク部材20と、フレーム15と、を積層し、このようにしてマスク部材20と、フレーム15とからなる積層体11Aを作製する。なお、熱制御盤70は、積層体11Aを加熱するホットプレート、あるいは積層体11Aを冷却するコールドプレートとしての機能をもつ。
次に図6において、熱制御盤70上で積層体11Aを例えば20℃の室温から50℃まで加熱する。
このとき、熱制御盤70上において、積層体11Aが全体として50℃まで加熱され、積層体11Aのうちガラス材料製のフレーム15は大きく熱膨張することはないが、マスク部材20が各々固有の熱膨張係数に基づいて熱膨張する。この状態でフレーム15上のマスク部材20の無孔領域23を接着剤65aを介してフレーム15に接着する(図7参照)。
なお、マスク部材20は、長手方向となる第一方向d1だけでなく、第一方向d1に直交する第二方向d2にも熱膨張する。本製造方法では、接着剤65aを各有孔領域22の第一方向d1における両側に、第二方向d2(マスク部材20の幅方向)に沿って連続して設けているため、マスク部材20を、第一方向d1及び第二方向d2の双方に膨張した状態でフレーム15に対して接着することができる。
その後、図8に示すように、積層体11Aを熱制御盤70から降ろし、室温まで冷却して戻す。この場合、ガラス材料からなるフレーム15の形状はほとんど変化することはないが、マスク部材20は室温まで冷却されて熱収縮する。マスク部材20はフレーム15に対して接着されているため、熱収縮作用に伴なってマスク部材20に対して適切な張力を付与することができる。
上述したように、マスク部材20は、第一方向d1及び第二方向d2の双方に膨張した状態でフレーム15に対して接着されている。このため、熱収縮作用に伴って、マスク部材20の各有孔領域22に対して、第一方向d1及び第二方向d2の双方に対する張力を付与することができる。
このような製造方法によれば、マスク部材20とフレーム15とからなる積層体11Aを熱制御盤70上で加熱し、この状態でマスク部材20をフレーム15に対して接合し、その後積層体11Aを室温まで冷却する。このことにより、マスク部材20に対して適度な張力を付与することができる。またマスク部材20を物理的に引張って、このマスク部材20をフレーム15に接合する場合に比べて、熱制御盤70による加熱温度を所望の値に定めることにより、マスク部材20に対して適切な値の張力を常に付与することができる。
また、マスク部材20の無孔領域23を接着剤65aを介してフレーム15上に接着し、この接着剤65aを各有孔領域22の第一方向d1における両側に、第二方向d2(マスク部材20の幅方向)に沿って連続して設けることにより(図7参照)、マスク部材20の各有孔領域22において、第一方向d1及び第二方向d2の双方に対して張力を付与することができる。
変形例
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、フレーム15の蒸着源94側を向く面に、マスク部材20と同一の熱膨張係数をもつ材料からなる反り防止板60を更に積層してもよい。図9に、フレーム15の蒸着源94側を向く面に、反り防止板60を更に積層した例を示す。
図9に示すように、反り防止板60は、マスク部材20に対応して帯状形状をもち、マスク部材20の長手方向と同一方向に沿って延びている。本変形例では、複数の反り防止板60が、フレーム15のフレーム周囲領域17に配置され、第二方向d2に間隔を空けて並べて配置されている。また、本変形例では、各反り防止板60と、対応するスペーサ80の柱状部材81とが、平面視において重なるように配置される。
次にこのような反り防止板60を備える蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
先ず、熱制御盤70上に上から順に、マスク部材20とフレーム15と反り防止板60を積層し、このようにしてマスク部材20とフレーム15と反り防止板60とからなる積層体11Aを作製する。
この場合、反り防止板60はマスク部材20と同一の熱膨張係数をもつ材料、好ましくは同一材料からなる。
次に、熱制御盤70上で積層体11Aを例えば20℃の室温から50℃まで加熱する。このとき、熱制御盤70上において、積層体11Aが全体として50℃まで加熱され、積層体11Aのうちガラス材料製のフレーム15は大きく熱膨張することはないが、マスク部材20と反り防止板60が各々固有の熱膨張係数に基づいて熱膨張する。この状態で、フレーム15上のマスク部材20の無孔領域23を接着剤65aを介してフレーム15に接着する。
次にフレーム15の裏面に反り防止板60を接合させる。この場合、熱制御盤70上で積層体11Aを引繰り返して、フレーム開口16間に位置する反り防止板60をフレームに接着する。
その後、積層体11Aを熱制御盤70から降ろし、室温まで冷却して戻す。この場合、ガラス材料からなるフレーム15の形状はほとんど変化することはないが、マスク部材20は室温まで冷却されて熱収縮する。マスク部材20はフレーム15に対して接合されているため、熱収縮作用に伴なってマスク部材20に対して適切な張力を付与することができる。
同様に反り防止板60もフレーム15に対して接合されているため室温まで冷却されて熱収縮し、この熱収縮作用に伴なって反り防止板60に対して張力が付与される。
このような変形例によれば、フレーム15の被蒸着板92側を向く面においてマスク部材20を熱収縮させてマスク部材20に対して張力を付与するとともに、フレーム15の蒸着源94側を向く面においても反り防止板60を熱収縮させて反り防止板60に対して張力を付与することができるため、蒸着マスク装置10全体が一方側へたわむことを防止することができる。
また、上述した実施の形態では、図7に示すように、蒸着マスク11は、マスク部材20とフレーム15とを互いに積層し室温よりも高温に加熱した状態で、マスク部材20をフレーム15に対して接合して作製される例を示したが、蒸着マスク11を作製する方法は、上述した方法に限定されない。蒸着マスク11は、マスク部材20とフレーム15とを互いに積層し室温よりも低温に冷却した状態で、マスク部材20をフレーム15に対して接合して作製されてもよい。
以下、本変形例について図5乃至図8を用いて説明する。まず、マスク部材20を複数準備する。この場合、各マスク部材20は、帯状形状をもち、有孔領域22と、有孔領域22を囲む無孔領域23とを有し、マスク部材20の有孔領域22は複数連続して配置される。なお、マスク部材20は磁性材料、例えばインバー材からなり、その熱膨張係数は1ppm/℃となる。
同様に開口16を有し、3〜5mm厚のフレーム15を準備する。この場合、フレーム15はガラス材料からなり、熱膨張係数はマスク部材20の材料より大きくなっている。例えば、フレーム15が無アルカリガラス(例えば、旭ガラス社製、商品名AN100、AN635、または、コーニング社製、商品名イーグルXG)からなる場合、熱膨張係数は4〜5ppm/℃となり、フレーム15がソーダライムガラスからなる場合、熱膨張係数は8〜9ppm/℃となる。
次に図5に示すように、各マスク部材20を開口16を有するフレーム15上に載置する。この場合、フレーム15表面には位置決めマーク15aが設けられ、各マスク部材20にもフレーム15の位置決めマーク15aに対応する位置決めマーク20aが設けられ、これらの位置決めマーク15a、20aを用いてフレーム15上でマスク部材20を精度良く位置決めすることができる。
次に図6に示すように、熱制御盤70上に上から順にマスク部材20とフレーム15とを積層し、このようにしてマスク部材20とフレーム15とからなる積層体11Aを作製する。本変形例において、熱制御盤70は、積層体11Aを冷却するコールドプレートとして機能する。
次に図6において、熱制御盤70上で積層体11Aを例えば20℃の室温から0℃まで冷却する。このとき、熱制御盤70上において、積層体11Aが全体として0℃まで冷却され、積層体11Aのうちインバー材からなるマスク部材20はほとんど熱収縮することはないが、フレーム15が固有の熱膨張係数に基づいてわずかに熱収縮する。この状態でフレーム15上のマスク部材20の無孔領域23を接着剤65aを介してフレーム15に接着する(不図示)。
その後、図8に示すように、積層体11Aを熱制御盤70から降ろし、室温まで戻す。この場合、インバー材からなるマスク部材20の形状はほとんど変化することはないが、フレーム15は室温まで加熱されて熱膨張する。マスク部材20はフレーム15に対して接着されているため、マスク15の熱膨張作用に伴ってマスク部材20に対して適切な張力を付与することができる。
このような製造方法によれば、マスク部材20とフレーム15とからなる積層体11Aを熱制御盤70上で冷却し、この状態でマスク部材20をフレーム15に対して接合し、その後積層体11Aを室温まで戻す。このことにより、マスク部材20に対して適度な張力を付与することができる。またマスク部材20を物理的に引張って、このマスク部材20をフレーム15に接合する場合に比べて、熱制御盤70による冷却温度を所望の値に定めることにより、マスク部材20に対して適切な値の張力を常に付与することができる。
また、上述した実施の形態では、図1に示すように、蒸着マスク11は、スペーサ80を介して、熱バリア材40に保持される例を示したが、蒸着マスク11が保持される形態は、上述した形態に限定されない。図10に、蒸着マスク11が保持される他の例を示す。
図10に示す例では、蒸着マスク11は、真空室91を区画する壁面に保持部材88を介して保持されている。保持部材88は、真空室91を区画する壁面からフレーム15の側面まで延びている。このような形態によれば、蒸着マスク11と熱バリア材40とを接続することなく、これらを離間して配置することができるため、熱バリア材40から蒸着マスク11に熱が伝導することを防止することができる。
10 蒸着マスク装置
11A 積層体
11 蒸着マスク
15 フレーム
16 フレーム開口
17 フレーム周囲領域
20 マスク部材
21 金属板
22 有孔領域
23 無孔領域
25 貫通孔
40 熱バリア材
41 バリア開口
42 周囲領域
80 スペーサ
85 熱伝導性部材
91 真空室
92 被蒸着板
94 蒸着源
98 蒸着材料

Claims (8)

  1. 蒸着源から昇華した蒸着材料を、所定のパターンで被蒸着板に付着させるために用いられる蒸着マスク装置において、
    複数の貫通孔が形成された有孔領域を有するマスク部材と、前記マスク部材を支持するフレームとを有する蒸着マスクと、
    前記蒸着マスクの前記蒸着源側に設けられ、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するバリア開口を有する熱バリア材とを備えることを特徴とする蒸着マスク装置。
  2. 前記蒸着マスクと前記熱バリア材との間に、スペーサを介在させたことを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク装置。
  3. 前記熱バリア材は、インバー材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着マスク装置。
  4. 前記熱バリア材は、外方へ熱を放出する熱伝導性部材に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  5. 前記マスク部材は、前記有孔領域の周囲に位置する無孔領域を有しており、
    前記熱バリア材は、前記バリア開口の周囲に位置すると共に、前記マスク部材の前記無孔領域に平面視において重なる周囲領域を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  6. 前記フレームは、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するフレーム開口を有し、且つ、前記マスク部材より小さい熱膨張係数をもつ材料からなり、
    前記蒸着マスクは、前記マスク部材と前記フレームとを互いに積層し室温よりも高温に加熱した状態で、前記マスク部材を前記フレームに対して接合してなり、且つ、加熱された前記蒸着マスクを室温に戻すことにより前記マスク部材に対して張力を付与する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  7. 前記フレームは、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するフレーム開口を有し、且つ、前記マスク部材より大きい熱膨張係数をもつ材料からなり、
    前記蒸着マスクは、前記マスク部材と前記フレームとを互いに積層し室温よりも低温に冷却した状態で、前記マスク部材を前記フレームに対して接合してなり、且つ、冷却された前記蒸着マスクを室温に戻すことにより前記マスク部材に対して張力を付与する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蒸着マスク装置。
  8. 蒸着源から昇華した蒸着材料を、所定のパターンで被蒸着板に付着させるために用いられ、複数の貫通孔が形成された有孔領域を有するマスク部材と、前記マスク部材を支持するフレームとを有する蒸着マスクと、前記蒸着源との間に配置される熱バリア材であって、
    前記熱バリア材は、前記マスク部材の前記有孔領域に対応するバリア開口を備えることを特徴とする熱バリア材。
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