JP2015140388A - 複合体、その製造方法および摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂組成物を成形してなる機械要素部品または構造部材と、摩擦抵抗を低減した摺動部材とを一体化した複合体を提供する。【解決手段】摺動繊維(A)(2a)と熱融着繊維(B)(2b)とを含む布帛(C)(2)と、熱可塑性樹脂(D)(3)とを熱融着した複合体であって、前記熱融着繊維(B)の融点(TmB)と、前記熱可塑性樹脂(D)の融点(TmD)とがいずれも220℃以上であり、かつTmB≰TmD+50℃の関係を満たすことを特徴とする複合体。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物を成形してなる機械要素部品または構造部材と、摩擦抵抗を低減した摺動部材とを一体化してなる摺動部材用途に好適な複合体、その製造方法および摺動部材に関するものである。
てこ、カム、軸受などの各種機械要素やシャーシ、リブ、ビームなどの構造部材への熱可塑性樹脂の適応は、部品点数の低減や軽量化といった点に優れている。中でも、高い融点をもつエンジニアリングプラスチックは、良好な機械的強度や耐熱性などを有しているため、自動車用途をはじめとした多くの用途でこの展開がなされている。
しかし、機械要素部品などは摺動させて機能するものが多く、摩耗や発熱を低減するために、摩擦抵抗の低減が必要となる場合がある。
こうした要求に応えるため、熱可塑性樹脂組成物の中に二硫化モリブデン、PTFE、黒鉛などの固体潤滑剤の粉末を配合することで、成形体表面の摩擦抵抗を低減する方法もあるが、より高い効果を得るためにメッキやコーティングといった表面加工や、別途摺動部材を構造部材に部分的に取り付ける方法が一般的に用いられている。
例えば、摺動部材用の成形材料において、ポリアミド樹脂に数平均分子量1000万〜2000万で平均粒径50〜200μmのPTFE粉末を5〜40質量%配合してなる溶融成形可能な摺動部材用熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)が知られており、この技術によれば、摺動特性、耐衝撃性などの機械的特性に優れた成形材料が得られるとされている。
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、熱可塑性樹脂そのものに比べて摺動特性を大幅に向上できることが認められるものの、母材と樹脂との相溶性が悪く、固体潤滑剤の母材からの脱落や、母材そのものの磨耗、もしくは溶融のために、いまだ十分な摺動特性が得られているとはいえない。そればかりか、機械的強度を付与することを目的として炭素繊維などの強化材を配合した場合には、強化材の母材からの脱落により、相手側の部材を傷つけてしまうというおそれがあった。
また、コーティングによる表面加工がなされた摺動部材において、フッ素系樹脂と耐熱性樹脂と酸化鉄粉末とを少なくとも含むコーティング剤を構造部材に塗布することにより、耐摩耗性、及び耐久性に優れた摺動部材を提供する手法(例えば、特許文献2参照)が知られているが、この手法の場合には、コーティング剤の厚みが30μmと薄いために、経時的に短期間で磨耗、もしくは剥離し、基材の下地が露出しやすいという問題点があった。
特開2007−70538号公報 特開平10−120980号公報
本発明は、かかる従来技術の問題を解消して、良好な機械的強度や耐熱性などを有し、かつ摩擦抵抗を低減させると共に摩滅を防ぐことができ、更には耐久性にも優れた摺動部材用途に好適な複合体、その製造方法および摺動部材の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明によれば、摺動繊維(A)と熱融着繊維(B)とを含む布帛(C)と、熱可塑性樹脂(D)とを熱融着した複合体であって、前記熱融着繊維(B)の融点(TmB)と、前記熱可塑性樹脂(D)の融点(TmD)とがいずれも220℃以上であり、かつTmB≦TmD+50℃の関係を満たすことを特徴とする複合体が提供される。
また、本発明の複合体においては、
前記布帛(C)の一方の面における摺動繊維(A)の投影面積比が、少なくとも50%以上であること、
前記布帛(C)の一方の面における熱融着繊維(B)の投影面積比が、少なくとも10%以上であること、
前記熱可塑性樹脂(D)を融着させる際の熱により、前記熱融着繊維(B)が部分的に溶融されていること、
前記熱可塑性樹脂(D)の曲げ弾性率が2.4GPa以上であること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
また、上記の構成からなる本発明の複合体の製造方法は、前記摺動繊維(A)と熱融着繊維(B)とを含む布帛(C)を設置した金型に、熱可塑性樹脂(D)を射出融着させることを特徴とする。
さらに、本発明の摺動部材は、上記の構成からなる本発明の複合体を、摺動部分の少なくとも一部に使用してなることを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、機械的強度や耐熱性の要求される構造部材に使用することが可能であり、摩擦による抵抗、及び磨耗を大幅に低減させ、更には基材と布帛との強固な融着により耐久性に優れた摺動部材用途に好適な複合体、その製造方法および摺動部材を得ることができる。
また、熱可塑性樹脂(D)は摺動部分と接することは無いことから、炭素繊維などの強化剤を配合することができ、機械的強度の要求される構造部材に好適に用いることが可能となる。
本発明の一実施形態を示す複合体の概略模式断面図である。 本発明の複合体の製造方法を示す概略模式断面図である。
以下、本発明について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示したように、本発明の複合体(1)は、摺動繊維(A)と熱融着繊維(B)とを含む布帛(C)(2)と、熱可塑性樹脂(D)(3)とを熱融着した複合体であって、熱融着繊維(B)の融点(TmB)と、熱可塑性樹脂(D)の融点(TmD)とがいずれも220℃以上であり、かつTmB≦TmD+50℃の関係を満たしている。そして、この複合体を、摩擦が生じる部分に構造部材として使用することにより、摩擦による抵抗、及び磨耗を低減させることができる。また、低摩擦性能を付与するためフッ素系樹脂などをコンパウンドしたり、フッ素系樹脂コーティング剤を塗布したりするのではなく、摺動繊維(A)と熱融着繊維(B)とを含む布帛(C)と熱可塑性樹脂(D)とで構成することにより、フッ素系樹脂の基材からの脱離や、コーティング剤の剥離または摩滅など、フッ素系樹脂の消失による摩擦性能低化を生じることなく、長時間の使用にも耐えうる耐久性を得ることができる。
優れた摺動特性を得るためだけであれば低摩擦特性を有する摺動繊維、例えばフッ素系繊維のみで布帛を構成することが好ましいが、フッ素系繊維は非粘着性の特性を持つために他素材と接着しにくいという問題がある。このため、本発明においては、他素材との固着性を良好にするため、図1に示したように、布帛(C)(2)の一方の面(2a)を、摺動繊維(A)を主として構成し、他方の面(2b)を、熱融着繊維(B)を主として構成する布帛とすることが好ましい。このとき、熱融着時の熱により、熱融着繊維を部分的に溶融せしめることで、熱可塑性樹脂など他素材との固着性を高めることができる。
また、これら繊維を含む布帛の中にさらに異なる繊維を適宜含ませることも好ましい形態の1つである。3種類以上の繊維を含む布帛とすることにより、例えば、布帛自身の引張強度を向上させたり、布帛自身の厚みを厚くして、耐摩耗性を向上させたりすることが容易になる。
本発明に使用される摺動繊維(A)は、特に動摩擦係数が、0.4以下の繊維のことをいい、動摩擦係数が小さい繊維であるほど好ましい。動摩擦係数の下限は0.1である。動摩擦係数を0.4以下とすることで、摺動性を有する繊維として機能する。一方、動摩擦係数を0.1以上とすることで、織物にしたときに繊維が抜け落ちず、摺動性を有する布帛として使用することができる。ここで、摺動繊維(A)の動摩擦係数は、JIS L1015:2010 8.13(摩擦係数)で測定した値である。例えばフッ素系樹脂、ポリアセタール樹脂、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドおよび超高分子ポリエチレンなどからなる繊維が挙げられるが、本発明に係る複合体に対して、上記した動摩擦係数が、0.4以下の樹脂からなる繊維であれば特に限定されるものではない。例えば、フッ素系繊維は、主鎖または側鎖にフッ素原子を1個以上含む繰り返し構造単位を有する重合体からなり、フッ素原子数の多い繰り返し構造単位で構成されたものほど好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)などを挙げることができ、中でも、表面低摩擦特性に優れるPTFE繊維を用いることがさらに好ましい。かかる摺動繊維は、単品またはこれらを組合せてなる複合物を使用することもできる。
摺動繊維(A)の形態としては、1本のフィラメントで構成されるモノフィラメント、複数本のフィラメントで構成されるマルチフィラメント、また、捲縮加工をして所定の長さにカットしてなるステープルのいずれも採用することができる。前述のマルチフィラメントは、複数の繊維を複合して構成することも可能であるが、表面低摩擦特性に優れる摺動繊維、例えばフッ素系繊維でいえばPTFE繊維のみで構成すると、より摺動性が優れ摩擦時の摩擦抵抗や磨耗量が低減されるので好ましい。
一方、熱融着繊維(B)としては、例えば、ポリアミド(PA6、PA66)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、液晶ポリマー(LCP)などの融点が220度以上の樹脂からなる繊維が挙げられるが、樹脂の融点は220〜350度の範囲内であることが好ましく、さらには225〜330度の範囲内であることが好ましい。樹脂の融点を220度以上とすることで、耐熱性に優れた複合体を得ることができる。一方、350度以下とすることで、熱融着繊維の熱分解を防ぐことができる。ここで、樹脂の融点は、示差走査型熱量測定装置を用い、昇温速度10℃/分で測定した融解ピーク温度である。これらの繊維を用いることにより、熱融着時に容易に熱融着繊維を溶融することができ、接着面として、本発明の布帛を容易に他素材に重ね合わせて強固に融着させることが可能である。
熱融着繊維(B)の形態としては、1本のフィラメントで構成されるモノフィラメント、複数本のフィラメントで構成されるマルチフィラメント、また、捲縮加工をして所定の長さにカットしてなるステープルのいずれも採用することができる。前述のマルチフィラメントは、摺動繊維と同様に複数の繊維を複合して構成することも可能である。
摺動繊維を含む一方の面(2a)においては、該面を構成する全繊維中、上記した摺動繊維(A)の投影面積比率が50重量%以上であることが好ましく、さらには60〜90重量%の範囲内であることが好ましい。摺動繊維の比率を50重量%以上とすることで、摩擦時の摩擦抵抗や磨耗量が低減される。一方、90重量%以下とすることで、熱融着繊維との分離を防ぐことができ、布帛強度の低下を防ぐことができる。
また、熱融着繊維(B)を含む他方の面(2b)においては、該面を構成する全繊維中、上記した熱融着繊維(B)の投影面積比率が10重量%以上であることが好ましく、さらには20〜90重量%の範囲内であることが好ましい。熱融着繊維の比率を10重量%以上とすることで、熱融着繊維が加熱により溶融して、基材と布帛とが強固に融着される。一方、90重量%以下とすることで、加熱による溶融部分により繊維自身の形態保持性が悪くなることを防ぐことができ、布帛強度の低下を防ぐことができる。
上記のような本発明の布帛(C)は、上述した繊維で、例えば、平織り、綾織り、朱子織りなどの織物やタテ編み、ヨコ編み、丸編みなどの編み物からなるものや、また、これらを用意し、積層し縫製して得ることもできる。また、上述した繊維で2重織りの織物や2重編みの編み物を作製することで、本発明の布帛とすることもできる。摺動の方向均一性を高めたり、熱可塑性樹脂との密着性を高めたりするには平織りが好ましく、中でも、摺動繊維を布帛の一方の面に主として構成し、熱融着繊維を他方の面に主として構成した2重平織物がより好ましい。
また、上述した繊維からなる不織布を積層しニードルパンチやウォータージェットパンチなどで一体化することで本発明の布帛を得てもよい。なお、この場合、個々の不織布に予めニードルパンチやウォータージェットパンチが施されていてもいなくてもよい。
一方、本発明に使用される熱可塑性樹脂(D)は、例えば、ポリアミド(PA6、PA66)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、液晶ポリマー(LCP)など、融点が220度以上の樹脂を用いることができるが、汎用性、及び耐熱性の観点から、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドが好ましい。また、樹脂の融点は220〜350度の範囲内であることが好ましく、さらには225〜330度の範囲内であることが好ましい。樹脂の融点を220度以上とすることで、耐熱性に優れた複合体を得ることができる。一方、350度以下とすることで、熱可塑性樹脂の熱分解を防ぐことができる。ここで、樹脂の融点は、示差走査型熱量測定装置を用い、昇温速度10℃/分で測定した融解ピーク温度である。
かかる熱可塑性樹脂は、単品またはこれらを組合せてなる複合物を使用することもできる。また、本発明に使用される熱可塑性樹脂は、炭素繊維、ガラス繊維などの強化剤を配合することができ、また、その目的に反しない範囲で、エラストマー、酸化防止剤、難燃剤等を配合することができる。
熱融着繊維(B)と熱可塑性樹脂(D)の組み合わせは、請求項1に記載したTmB≦TmD+50℃の関係を満たす限り、特に限定されるものではないが、熱融着繊維と熱可塑性樹脂の密着性の観点から、相溶性の高い樹脂を用いることが好ましく、中でも、同種である樹脂を用いることがより好ましい。
以上のような本発明の複合体は、摺動繊維と熱融着繊維とを含む布帛のうち、一方の面が高い比率で熱融着繊維を有し、熱可塑性樹脂との極めて強固な融着により、例えば、樹脂との相溶性が悪いフッ素繊維を有していても、長時間の使用にも耐え、また、他方の面が高い比率で摺動繊維を有し、他の物質との摩擦力を低減し、摩滅を防ぐことができる。
更に、熱可塑性樹脂には炭素繊維などの強化剤を配合することができるので、エンジニアリングプラスチックならではの機械的強度や耐熱性と、摺動部材ならではの耐摩耗性や低摩擦抵抗とを両立させることができる。本発明の複合体は、かかる特性を有するので、この複合体を、摺動部分の少なくとも一部に使用してなる摺動部材は、部品点数の削減や軽量化に貢献し、自動車用途をはじめ、多くの用途に好適に用いることが可能となる。
かかる複合体の成型方法としては特に限定はされないが、基材と布帛との熱圧着、振動溶着、レーザー溶着などの手法や、熱可塑性樹脂を押出成型、射出成型、金型成型、押出金型成型、射出金型成型などの手法で成型することが可能であり、特に射出成形であることが好ましい。本発明に使用される布帛は、上述の成型加工時に金型内にセットされ、熱可塑性樹脂を射出する際の熱によって熱融着繊維部分を部分的に溶融することにより、従来の成型方法を変更することなく熱可塑性樹脂との固着性に優れた複合体を成型することが可能となる。
上記複合体を成形するには、図2に示すように、所定の分離型(4)、(5)からなる射出成形機金型の分離型(4)、(5)間に、少なくとも50%以上が摺動繊維である面(2a)が可動側(4)、少なくとも10%以上が熱融着繊維である面(2b)が固定側(5)になるようセットし、分離型(4)、(5)を閉じてスプルー(6)から、熱可塑性樹脂(3)の融点以上まで加熱された材料溶融物(3a)をキャビティ(7)内に射出する。かくして高温の材料溶融物(3a)によって、布帛(2)のうち、少なくとも10%以上が熱融着繊維である面(2b)は溶融し、材料溶融物(3a)の射出圧によって成形されるとともに布帛(2)に一体的に溶着され、複合体(1)が得られるのである。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。なお、本実施例で用いる各種特性の測定方法、及び原材料は、以下のとおりである。
(1)融点
JIS K7121:1987に準拠し、示差走査型熱量測定装置、DSCシステムTA3000(メトラー社製)を用い、昇温速度10℃/分で測定し、融解ピーク温度を融点とした。
(2)摺動繊維の投影面積比率
織物表面をキーエンス製マイクロスコープVHX−2000にて30倍に拡大した写真をもとに、摺動繊維を含んだ繊維とそれ以外の表面積の比率を計算した。
(3)熱融着繊維の投影面積比率
織物表面をキーエンス製マイクロスコープVHX−2000にて30倍に拡大した写真をもとに、熱融着繊維を含んだ繊維とそれ以外の表面積の比率を計算した。
(4)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して、熱可塑性樹脂の曲げ弾性率を測定した。2.4GPa以上を○、2.4GPa以下を×とした。
(5)密着性
織物と熱可塑性樹脂との密着性は、得られた複合体の周縁の織物を持ち、熱可塑性樹脂に対して90度の方向に引っ張り、剥離するかどうかで評価した。剥離しないものを○、容易に剥離するものを×とした。
(6)繊維の動摩擦係数
JIS L1015:2010 8.13(摩擦係数)に準じ、100mgの荷重を掛け、繊維の動摩擦係数を計算した。
(7)複合体の動摩擦係数、及び磨耗量
JIS K7218:1986(プラスチックの滑り摩耗試験方法)A法に準じ、複合体は、縦30mm、横30mmに切削し、サンプルホルダーに固定した。
相手材はS45Cで作られた、外径 25.6mm、内径 20mm、長さ 15mm の中空円筒形状の表面をサンドペーパーで磨き、粗さ測定器(ミツトヨ製SJ−201)にて測定し0.8μmm±0.1Raの範囲の相手材を使用した。
リング摩耗試験機は、オリエンテック製MODEL:EFM−III−ENを用い、面圧25kg/cm、摩擦速度:15m/分にて2時間試験を行ない、安定部分の動摩擦係数を計算した。動摩擦係数が0.1〜0.2未満のものを○、0.2以上のものを×とした。また、樹脂、及び複合体の試験前の重量から試験後の重量を差し引き、その値を磨耗量とした。磨耗量が5mg未満のものを○、5mg以上のものを×とした。
(8)原材料
(8−1)布帛
摺動繊維をタテ糸、ヨコ糸に用い、熱融着繊維をタテ糸、ヨコ糸に用い、布帛の一方の面が、投影面積比、X%が摺動繊維となり、また、布帛の一方の面が、投影面積比Y%が熱融着繊維となるように、レピア織機にて2重平織物を製作した。
(8−2)摺動繊維
摺動繊維は、PTFE繊維(東レ株式会社製 トヨフロン(登録商標)440T−60−S200)を用いた。PTFE繊維の動摩擦係数は0.12である。
(8−3)熱融着繊維
熱融着繊維のうち、PPS繊維は東レ株式会社製 トルコン(登録商標)220T−50−190、PA6繊維は東レ株式会社製 東レナイロン(登録商標)235T−34−2290を用いた。なお、これら熱融着性繊維の融点は表1および表2に示したとおりである。
(8−4)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂のうち、PPS樹脂は東レ株式会社製A604B、PA66樹脂は東レ株式会社製CM3006G30B1を用いた。なお、これら熱可塑性樹脂の融点および曲げ弾性率は表1および表2に示したとおりである。
(8−5)PTFEパウダー
PTFEパウダーは、エースフロンSG−1000(三幸ファインマテリアル社製 微粉砕PTFE)を使用した。
(8−6)PTFEパウダーが充填された熱可塑性樹脂
PTFEパウダーが充填された熱可塑性樹脂は、東芝機械株式会社製 二軸混錬押出機TEM26SSを用いて、上流側の供給口から熱可塑性樹脂を供給し、下流側の供給口からPTFEパウダーを供給し、樹脂溶融温度を300℃、スクリュー回転を250rpmに設定して溶融混練した後、ペレット化して製造した。
[実施例1]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=90%、Y=90%の布帛を作製した。
この織物を射出成形機(株式会社日本製鋼所製 J110AD−110H)内の金型に、PPS繊維の投影面積比が90%である面が、PPS樹脂と接触するようにセットし、シリンダー温度を320℃、金型温度を130℃に設定して、GFが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[実施例2]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPA6繊維を用い、X=90%、Y=90%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定して、GFが充填されたPA66樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[実施例3]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=90%、Y=90%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定して、GFが充填されたPA66樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[実施例4]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=90%、Y=50%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定して、GFが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[実施例5]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=90%、Y=15%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定して、GFが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[実施例6]
摺動繊維としてETFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=90%、Y=90%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を320℃、金型温度を130℃に設定して、GFが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[実施例7]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=55%、Y=90%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を320℃、金型温度を130℃に設定して、GFが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性と耐摩耗性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
[比較例1]
摺動繊維としてPTFE繊維をタテ糸、ヨコ糸に用い、レピア織機にて2重平織物を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を320℃、金型温度を130℃に設定して、GFが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表2に示す。ここで得られた複合体は、密着性が不十分であり、実用レベルではなかった。
[比較例2]
シリンダー温度を320℃、金型温度を130℃に設定して、PTFEパウダーが充填されたPPS樹脂の溶融物を射出した。得られた成形品について、前述した方法で動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表2に示す。ここで得られた成形品は、耐摩耗性が不十分であり、実用レベルではなかった。
[比較例3]
シリンダー温度を290℃、金型温度を80℃に設定して、PTFEパウダーが充填されたPA66樹脂の溶融物を射出した。得られた成形品について、前述した方法で動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表2に示す。ここで得られた成形品は、耐摩耗性が不十分であり、実用レベルではなかった。
[比較例4]
摺動繊維としてPTFE繊維、熱融着繊維としてPPS繊維を用い、X=90%、Y=90%の布帛を製作した。
この織物を射出成形機内の金型にセットし、シリンダー温度を270℃、金型温度を80℃に設定して、GFが充填されたPA6樹脂の溶融物を射出した。得られた複合体について、前述した方法で密着性、動摩擦係数、磨耗量を測定した。その結果を表1に示す。ここで得られた複合体は、密着性が不十分であり、実用レベルではなかった。
Figure 2015140388
Figure 2015140388
本発明の複合体は、自動車用途をはじめとした、機械的強度や耐熱性の要求される構造部材に使用することが可能であり、摩擦による抵抗、及び磨耗を大幅に低減させ、更には基材と布帛との強固な融着により、耐久性に優れた摺動材料として好適に用いられる。
1 複合体
2 布帛
2a 投影面積比、少なくとも50%以上が摺動繊維である面
2b 投影面積比、少なくとも10%以上が熱融着繊維である面
3 熱可塑性樹脂
3a 熱可塑性樹脂の溶融物
4 分離型(可動側)
5 分離型(固定側)
6 スプルー
7 キャビティ

Claims (7)

  1. 摺動繊維(A)と熱融着繊維(B)とを含む布帛(C)と、熱可塑性樹脂(D)とを熱融着した複合体であって、前記熱融着繊維(B)の融点(TmB)と、前記熱可塑性樹脂(D)の融点(TmD)とがいずれも220℃以上であり、かつTmB≦TmD+50℃の関係を満たすことを特徴とする複合体。
  2. 前記布帛(C)の一方の面における摺動繊維(A)の投影面積比が、少なくとも50%以上であることを特徴とする請求項1記載の複合体。
  3. 前記布帛(C)の一方の面における熱融着繊維(B)の投影面積比が、少なくとも10%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の複合体。
  4. 前記熱可塑性樹脂(D)を融着させる際の熱により、前記熱融着繊維(B)が部分的に溶融されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の複合体。
  5. 前記熱可塑性樹脂(D)の曲げ弾性率が2.4GPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の複合体。
  6. 前記摺動繊維(A)と熱融着繊維(B)とを含む布帛(C)を設置した金型に、熱可塑性樹脂(D)を射出融着させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の複合体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載の複合体を、摺動部分の少なくとも一部に使用してなることを特徴とする摺動部材。
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