JP2015139271A - 半導体駆動装置ならびにこれを用いた電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体素子の主端子の電流または電圧を検知する主検知手段と、半導体素子の制御端子の電流または電圧、もしくは主検知手段が検知しない方の主端子の電流または電圧、のいずれか一つを検知する補助検知手段と、主検知手段の出力を受けて時定数の異なる2つの時間積分を行う積分手段と、積分手段からの時定数の短い方の出力を補助検知手段の出力に応じて制御する出力制御手段を用いて半導体駆動装置を構成し、積分手段からの時定数の長い方の出力または出力制御手段の出力により制御端子の電圧または電流を制御する。
【選択図】図3
Description
図1は、IGBT用駆動装置の代表的なゲート駆動部構成の一例である。駆動指令入力信号SINに基づいて、出力段回路T1によってIGBT Q0のゲートGに適切な電圧を印加し、IGBT Q0のコレクタC−エミッタE間を導通するコレクタ電流Icを制御する。
以下、図2に示すIGBTモジュールの電流および電圧波形を参照して、この3つの短絡モードの特徴を説明する。図2は、IGBTにおける、正常時のターンオン時(a)、TypeI短絡時(b)、TypeII短絡時(c)およびTypeIII短絡時(d)、それぞれの電流および電圧波形を示す図である。
図2(a)の正常なターンオン時には、ゲート−エミッタ電圧VgeがVmからVpに向かって増加してオン状態に移行すると、コレクタ電流Icが増加し、一方で、コレクタ−エミッタ電圧Vceは電源電圧Vdcからオン電圧(数V)へ低下する。
Is=Cgc×dVce/dt … (式1)
このため、ゲート電圧Vgeは電源電圧程度まで上昇する。その結果、正常なターンオン時に見られるVgeのミラー期間(図2(a))はなくなる。
TypeII短絡は、自アームIGBTがゲートオン状態にあり、コレクタ電流Icが流れている時に短絡が発生するものである。一例としては、自アームのIGBTが導通している期間に、オフ中の対のアーム素子が突然破壊して短絡する場合がある。
dIc/dt≒Vdc/Le … (式2)
TypeIII短絡は、TypeII短絡と同様に、自アームのIGBTがゲートオン状態で短絡するモードであるが、IGBTではなく逆並列接続されたダイオードが導通している状態で短絡する点がTypeII短絡と異なる。
これに対し、コレクタ電圧検知方式は、オン状態であるにも拘らず、コレクタ−エミッタ電圧が高い状態にあることを判定し、短絡を検知するものである。一般に、この検知方法は、コレクタ電流またはエミッタ電流検知方式に比べて、検出遅延が大きくなるという特徴がある。
ΔVce=−Le・dIc/dt … (式3)
その結果、飽和電流が大きいために、高速な保護が必要となるTypeII短絡およびTypeIII短絡を保護できない可能性がある。
ミラー判定型のゲート電圧検知方式は、正常なターンオン時にはミラー期間にゲート電圧が一定になる(図2(a))のに対し、TypeI短絡時にはミラー期間のゲート電圧が上昇することを検知するものである。従って、TypeI短絡の保護を想定したものであるため、TypeII短絡およびTypeIII短絡を保護できない。
一般に、このような2つの検知信号の積演算の出力結果に基づいて短絡を判定する方法は、両方の検知回路が短絡を検知した場合に限り出力結果に反映されるため、誤検知を抑制することができる。すなわち、一方の誤検知発生確率をα、他方の誤検知発生確率βとすると、仮にこれらが独立であるとすれば、積演算方式の誤検知発生確率γは、γ=αβ(γ<αかつγ<β)となり、誤検知確率を低減することができる。また、それらが異なる検知用配線を用いることにより、一方に大きなノイズが混入しても、他方に混入するノイズは小さく、全体として検知の健全性を高められる状況が考えられる。
まず、この方式で用いる2つの検知手段のうち、どちらか一方が検知に失敗した場合は保護することができないという課題である。
例えば、<表1>において、エミッタ電流検知方式とゲート電圧検知(過電圧判定型)方式の検出結果を積演算した場合、TypeI短絡に対して検知できない可能性がある。
例えば、<表1>において、エミッタ電流検知方式とコレクタ電圧検知方式を併用した場合、コレクタ電圧検知はエミッタ電流検知に比べて検知遅延が大きく、積演算方式ではエミッタ電流検知の高速性を生かせない。その結果、高速性が要求されるTypeII短絡およびTypeIII短絡を保護できない可能性がある。
また、本発明に係る電力変換装置は、2個の半導体スイッチング素子を直列に接続して構成した上下アームを複数備えた装置構成であって、前記した本発明に係る半導体駆動装置によりこれら複数の上下アームを構成する半導体スイッチング素子毎のオン・オフを制御するものである。
図3は、本発明の実施例1に係る半導体駆動装置の基本構成を示す図である。なお、実施例1では、半導体としてIGBTを例にとって説明するが、それに限定されるものではなく、その他一般の半導体の駆動装置にも適用できるものである。
コレクタ電流検知部5の構成例としては、センス用の抵抗やセンス用の素子、その他の電流検出器一般が該当する。
なお、本発明に係る半導体駆動装置は、基本構成要素である半導体が多数個ある場合にも適用できることは明白である。
上位の論理部から駆動指令入力信号SINが指令部1に入力されると、指令部1はその信号に応じて、IGBT Q1とダイオードD1を逆並列に接続して構成される半導体モジュールを好適に駆動するための信号を処理する。その結果に基づき、ゲート駆動部2は、IGBT Q1のゲートに電圧を印加し、半導体モジュールの動作を制御する。
この時、図2に示した通り、IGBT Q1のゲート電圧Vgeは上昇し、コレクタ電流Icは過電流状態となる。主検知手段であるコレクタ電流検知部5は、このコレクタ電流Icの過電流を検知する。一方、補助検知手段であるゲート電圧検知部3は、ゲート電圧Vgeの上昇を検知する。
すなわち、この半導体モジュールの短絡により大電流が半導体モジュールに流れることから、Le・dIc/dtによるサージ電圧が大きく上昇するので、保護回路を設けてそれを抑制する必要がある。そこで、例えば、Rg(off)を大きくすることにより、IGBT Q1のゲートをゆっくりとオフさせる制御や、ゲート電圧を低下(サプレス)させる制御(コレクタ電流Icはゲート−エミッタ電圧Vgeと比例関係にあることから、このVgeを下げることで短絡電流を減らすことが可能)が考えられる。
本発明の実施例1では、ゲート電圧検知部3とコレクタ電流検知部5を用いた2つの検知方式を併用していることから、時定数の短い検知信号SCSがゲート駆動部2に入力される場合は、両方の検知部がともに機能した場合に限られることになる。
一方で、ゲート電圧検知部3が検知しなかった場合、コレクタ電流検知部5での単独の検知となるため、前記の2方式併用による誤検知率抑制の効果は期待できないが、積分回路110の時定数を長くしたことによって、短時間のノイズを取り除くことができるので、誤検知率を抑制することができる。
以上の通り、本発明の実施例1は、前記3つの短絡モードの特徴を加味し、誤検知率の抑制を実現できる好適な過電流保護を提供するものである。
図4は、図3に示した実施例1の具体例1の装置構成を示す図である。
ゲート電圧検知部3は、コンパレータ等で電源電圧より高いゲート電圧を検知するもので、異常を検知すると一定期間パルスを発生する。
図5は、図3に示した実施例1の具体例2の装置構成を示す図である。
図4に示した具体例1と異なる点は、積分回路100および積分回路110としてオペアンプを用い、短絡時に素子に流れた電荷量∫dt・Icを取得している点である。
これにより、具体例1のようなCRフィルタ回路による時間積分方式に比べて、どれ位の電荷量が流れたかを取得して累積するストレスに応じた判定レベルを設定できることから、素子に加わる負荷に基づいたロバストな設計が可能となる。
図3に示した実施例1と異なる点は、補助検知手段としてゲート電流検知部7を用いて短絡時にゲートに流入する電流を判定することである。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例2により素子破壊時のゲート電流を検知できるもので、ゲート電流検知部7は、実際にはゲート抵抗Rgの両端電圧を検出していることから、ノイズに強い点が特徴である。
図3に示した実施例1と異なる点は、主検知手段として、コレクタ電圧検知部6で短絡時のコレクタ電圧が高い状態を判定することである。その他の構成は実施例1と同様である。
実施例3のコレクタ電圧検知型では、実際の回路構成は簡単になるが、応答性が遅くなる難がある。
図7に示した実施例3と異なる点は、補助検知手段として、ゲート電流検知部7で短絡時にゲートに流入する電流を判定することである。その他の構成は実施例3と同様である。
実施例4では、実施例3に比べて実施例2で示した特徴を有する。
図7に示した実施例3と異なる点は、補助検知手段として、コレクタ電流検知部5で短絡時のコレクタ電流の過電流を判定することである。その他の構成は実施例3と同様である。
実施例5では、素子の主電圧(コレクタ−エミッタ電圧:Vce)および主電流(コレクタ電流:Ic)を直接検出するので、通常時は、このVceとIcの大小関係は相反するところ(Vceが大→Icは小、または、Vceが小→Icは大)、短絡時にはVceもIcも大となる異常を呈し、短絡をダイレクトに検知することになる。
図9に示した実施例5と異なる点は、補助検知手段と主検知手段を入れ替えた点である。その他の構成は実施例3と同様である。
実施例6では、実施例5と比べて応答性が速くなる。
図3に示した実施例1と異なる点は、主検知手段を2つ設け(5aおよび5b)、それぞれが異なる感知レベルで検知することである。例えば、実施例1の具体例1(図4)で示したコレクタ電流検知部5におけるオペアンプのVrefとして2通りのレベルを設ける場合や、使用するオペアンプとして高周波向けと低周波向けを設ける場合などが想定される。そして、出力制御回路300は、前記2つの主検知手段の内検知レベルの低い方(5a)の出力を直接制御することにより、ゲート電圧の上昇に即応できるようにしている。その他の構成は実施例1と同様である。
図3に示した実施例1と異なる点は、出力制御回路300が積分回路の出力を制御する代わりに、時定数切り替え回路120を介して時定数調整型積分回路100’の時定数を制御する点である。この時定数切り替え回路120としては、例えば、実施例1の具体例1(図4)で示した積分回路(100、101)のコンデンサを並列に設け、片方のコンデンサに直列にスイッチ手段を接続するなどにより構成する。その他の構成は実施例1と同様である。
図13は、本発明の実施例8に係る半導体駆動装置の具体例を示す図である。
図12に示した実施例8において、時定数調整型積分回路100’はある定められたCRフィルタと判定レベル調整型のコンパレータ回路で構成され、時定数切り替え回路120の出力によりこのコンパレータ回路の判定レベルを調整する。ゲート電圧が所定レベル以上に上昇するとこの判定レベルを下げることにより、即座に対応できるようにする。
図11に示した実施例7と異なる点は、2つの主検知手段を備える代わりに、補助検知手段(ゲート電圧検知部3)の出力によって一つの主検知手段(コレクタ電流検知部5’)の検知レベルを切り替える点である。その他の構成は実施例1と同様である。
図15は、本発明の実施例9に係る半導体駆動装置の具体例を示す図である。
図14に示した実施例9のコレクタ電流検知部5’において、モジュール寄生インダクタンスLeに発生する起電圧Le・dIc/dtを積分することでコレクタ電流を取得し、コンパレータ回路で過電流状態を判定する際に、このコンパレータ回路の判定レベルを、補助検知手段(ゲート電圧検知部3)の出力を受けた検知レベル切り替え回路130によって切り替える。図14の回路構成では、ゲート電圧が所定レベル以上に上昇すると、コレクタ電流検知部5’のコンパレータのVrefを上げることにより即応性を図るものである。これにより、ぎりぎりまでの検知レベルを設定するような場合に適合する。
図3に示した実施例1と異なる点は、主検知手段として、電流センサではなく、モジュール寄生インダクタンスLeの端子間に発生する起電圧Le・dIc/dt(すなわち、コレクタ電流の微分値)を利用する点である。その他の構成は実施例1と同様である。
図12に示した実施例8において、絶縁インターフェイス回路IF1を介して、時定数調整型積分回路100’の出力信号SCOを上位論理部に伝送する点(フィードバック信号SOUT)である。その他の構成は実施例8と同様である。これにより、上位論理部に直接的に短絡事象を伝達することができる。
図3に示した実施例1と異なる点は、駆動する半導体を2つの制御端子を持つダブルゲート型半導体スイッチング素子とする点(例えば、ダブルゲート型IGBT)である。その結果、ゲート駆動部2は、検出信号SCLと検出信号SCSの2つの情報に基づいて、それぞれの制御端子を独立に制御する。その他の構成は実施例1と同様である。これにより、一方をオフにしてゲートをサプレスできる機能を追加することが可能になる。
図3に示した実施例1と異なる点は、駆動する半導体が複数個並列接続されている点である。その結果、ゲート駆動部2は、検出信号SCLと検出信号SCSの2つの情報に基づいて、それぞれの半導体の制御端子を独立に制御する。その他の構成は実施例1と同様である。これにより、通電電流の大電流化に向けた構成にも対処可能となる。
実施例14係る電力変換装置は、前記した実施例1から13の実施形態のいずれかに係る半導体駆動装置を、電力変換装置における半導体スイッチング素子の駆動装置として適用したものである。
また、実施例14では、半導体スイッチング素子Q11〜Q16としてIGBTを用いているが、これに限定されるものではなく、MOSFETなど他のスイッチング素子を用いて構成することもできる。
Rg ゲート抵抗
Irg ゲート抵抗導通電流
Dz1、Dz2 電圧クランプ素子
Vge ゲート−エミッタ電圧
Ic コレクタ電流
Ia アノード電流(ダイオードD0)
Vce コレクタ−エミッタ電圧
SIN 駆動指令入力信号
SOUT フィードバック信号
Vdc 主回路電源電圧
Vp 半導体駆動回路正電源電圧
Vm 半導体駆動回路負電源電圧
Le モジュール寄生インダクタンス
Vref1、Vref2 参照電圧
SCL 低速短絡検知出力信号
SCS 高速短絡検知出力信号
SCO 短絡検知出力信号
1 指令部
2 ゲート駆動部
3 ゲート電圧検知部
5、5a、5b コレクタ電流検知部
5’ 検知レベル調整型コレクタ電流検知部
6 コレクタ電圧検知部
7 ゲート電流検知部
100,110 積分回路
120 時定数切り替え回路
130 検知レベル切り替え回路
100’ 時定数調整型積分回路
300 出力制御回路
500 センシング部
600 電力変換装置
Q0〜Q2、Q11〜Q16 半導体スイッチング素子
Q’1 ダブルゲート型半導体スイッチング素子
D0〜D2、D11〜D16 整流素子
GD1、GD11〜GD16 半導体駆動装置
M1 モータ
L0、L1 上位論理部
Claims (10)
- 一対の主端子と該主端子対に流れる電流を制御する制御端子とを有する半導体素子と、
前記主端子の電流または電圧を検知する主検知手段と、
前記制御端子の電流または電圧、もしくは前記主検知手段が検知しない方の前記主端子の電流または電圧、のいずれか一つを検知する補助検知手段と、
前記主検知手段の出力を受けて時定数の異なる2つの時間積分を行う積分手段と、
前記積分手段からの前記時定数の短い方の出力を前記補助検知手段の出力に応じて制御する出力制御手段と、
を備え、
前記積分手段からの前記時定数の長い方の出力または前記出力制御手段の出力により前記制御端子の電圧または電流を制御する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 一対の主端子と該主端子対に流れる電流を制御する制御端子とを有する半導体素子と、
前記主端子の電流または電圧を検知する主検知手段と、
前記制御端子の電流または電圧、もしくは前記主検知手段が検知しない方の前記主端子の電流または電圧、のいずれか一つを検知する補助検知手段と、
前記主検知手段の出力を時間積分する積分手段と、
前記補助検知手段の出力に応じて前記主検知手段の検知レベルまたは前記積分手段の時定数を切り替える切替え手段と、
を備え、
前記切替え手段を介した前記積分手段の出力により前記制御端子の電圧または電流を制御する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1または2記載の半導体駆動装置であって、
前記積分手段は、受動素子またはオペアンプを用いたフィルタ回路により構成する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体駆動装置であって、
前記主検知手段として前記主端子の電流を検知する場合に、該電流を前記半導体の寄生インダクタンスに発生する起電圧を積分することにより得る
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体駆動装置であって、
前記主検知手段が検知する前記主端子の電流に替えて、該主端子の電流の微分値として前記半導体の寄生インダクタンスに発生する起電圧を採用する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の半導体駆動装置であって、
前記積分手段からの時定数の長い方の出力または前記出力制御手段の出力を、前記制御端子への駆動指令を出力する論理部へも伝送する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体駆動装置であって、
前記半導体素子の短絡状態に係るオン状態では前記制御端子の電圧または電流を減少させる
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の半導体駆動装置であって、
前記半導体素子の制御端子が複数で構成される場合に、当該複数の制御端子のそれぞれの電圧または電流を独立に制御する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の半導体駆動装置であって、
同じ駆動指令により制御される前記半導体素子が複数個並列に接続して構成される場合に、当該複数個の半導体の各制御端子を独立に制御する
ことを特徴とする半導体駆動装置。 - 複数の半導体スイッチング素子を直列に接続して構成した複数の上下アームと、前記複数の半導体スイッチング素子毎のオン・オフを制御する複数の半導体駆動装置とを備えた電力変換装置であって、
前記複数の半導体駆動装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体駆動装置により構成される
ことを特徴とする電力変換装置。
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