以下、実施の形態に係る光制御デバイスについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光制御デバイスの構成を示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の光制御デバイス100は、光ファイバ等によって導入される連続光である入力光CLを制御して(例えば変調して)、外部に変調光MLを出力する装置である。光制御デバイス100は、例えば、光変調器、光スイッチ、偏波コントローラ等の入力光CLを制御するデバイスである。例えば光制御デバイス100が光変調器である場合、外部から供給される電気信号に基づいて変調された変調光MLを出力する。
光制御デバイス100は、基板1と、基板1に設けられた光導波路構造3と、第1制御用信号電極5と、第2制御用信号電極7と、第1接地電極11と、第2接地電極12と、信号電極間接地電極13と、を備え得る。なお、図1においては、光導波路構造3は破線で示されており、第1接地電極11、第2接地電極12、及び、信号電極間接地電極13にはハッチングが付されている。
基板1は、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の電気光学効果を奏する誘電体材料から構成される板状の部材である。基板1は、Y軸方向(第1方向)に沿って延びる長手形状を有している。基板1は、略平坦な主面1Sを有する。図1には、直交座標系RCを示しており、主面1Sと平行な方向にX軸及びY軸を設定し、主面1Sと直交する方向にZ軸を設定している。図2以降の各図面においても、必要に応じて図1と対応するように直交座標系RCを示している。基板1の主面1Sの平面視(Z軸方向から見た場合)の形状は、本実施形態では、X軸及びY軸に沿った外縁を有する矩形状である。
光導波路構造3は、基板1に設けられている。光導波路構造3は、光制御デバイス100の光制御方式に応じた構造を成す複数の光導波路からなり、当該複数の光導波路のそれぞれは、基板1の主面1Sに沿って延びる。光導波路構造3は、例えばチタン(Ti)等の金属を拡散させたニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の電気光学効果を奏する誘電体材料から構成される。光導波路構造3を構成する材料の屈折率は、基板1を構成する材料の屈折率よりも大きい。そのため、光導波路構造3は基板1に対してコアとして機能し、基板1は光導波路構造3に対してクラッドとして機能する。
上述のような基板1と基板1に設けられた光導波路構造3とからなる構造体は、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の誘電体材料から構成される板状の初期基板を準備し、当該初期基板の光導波路構造3となるべき領域にチタン(Ti)等の金属を拡散させることによって基板1の他の領域より屈折率の高い領域を形成することにより、得ることができる。或いは、当該構造体は、基板1を準備した後に、基板1の主面1S上に光導波路構造3を形成することによっても、得ることができる。
本実施形態では、光導波路構造3は、マッハツェンダ型光導波路からなる。具体的には、光導波路構造3は、Y分岐型光導波路である入力光導波路3D1と、第1光導波路としての第1アーム光導波路31と、第2光導波路としての第2アーム光導波路32と、Y結合型光導波路である出力光導波路3D2と、からなる。本実施形態では入力光導波路3D1、第1アーム光導波路31、第2アーム光導波路32、及び、出力光導波路3D2が同一の基板1に配置されてマッハツェンダ型光導波路を構成しているが、例えば、入力光導波路3D1及び出力光導波路3D2の一方又は両方が基板1とは別の基板に配置され、第1アーム光導波路31及び第2アーム光導波路32と光学的に接続されることにより、マッハツェンダ型光導波路を構成していても良い。
入力光導波路3D1は基板1のY軸方向の一端1aに設けられた光入力端を有し、当該光入力端からY軸方向に沿って延び、分岐して第1アーム光導波路31の入力端及び第2アーム光導波路32にそれぞれ接続されている。第1アーム光導波路31及び第2アーム光導波路32は、それぞれ、基板1の主面1Sに沿った方向であるY軸方向に沿って延びる。第1アーム光導波路31の出力端及び第2アーム光導波路32の出力端は、出力光導波路3D2の2つの入力端にそれぞれ接続されている。出力光導波路3D2は、当該入力端からY軸方向に沿って延び、結合して基板1のY軸方向の他端1bに位置する光出力端まで延びる。
第1制御用信号電極5は、外部から供給される第1電気信号S1に基づいて第1アーム光導波路31の屈折率を変化させるために基板1の主面1S上に設けられた電極である。第1制御用信号電極5は、第1作用電極部51と、第1入力側信号電極53と、第1出力側信号電極59と、からなる。
第1作用電極部51は、第1アーム光導波路31に電界を印加可能なように当該第1アーム光導波路31に沿って、即ち、Y軸方向に沿って延びる。第1入力側信号電極53の一端は、基板1のX方向の一端1cの近傍に位置しており、第1入力側信号電極53の当該一端には、外部から第1電気信号S1が入力される。
第1入力側信号電極53は、当該第1入力側信号電極53の一端に入力された第1電気信号S1が、当該第1入力側信号電極53の他端に接続された第1作用電極部51の一端まで伝達するように、基板1の主面1Sに沿って延びる。第1作用電極部51の他端は、第1出力側信号電極59の一端に接続されている。第1出力側信号電極59は、第1作用電極部51内を伝達した第1電気信号S1を、当該第1出力側信号電極59の他端まで伝達する。第1出力側信号電極59の当該他端は、基板1の一端1cの近傍に位置している。第1出力側信号電極59の当該他端は、電気的終端である終端部(図示せず)が有する抵抗器に電気的に接続されていてもよい。
同様に、第2制御用信号電極7は、外部から供給される第2電気信号S2に基づいて第2アーム光導波路32の屈折率を変化させるために基板1の主面1S上に設けられた電極である。第2制御用信号電極7は、第2作用電極部71と、第2入力側信号電極73と、第1出力側信号電極79と、からなる。
第2作用電極部71は、第2アーム光導波路32に電界を印加可能なように当該第2アーム光導波路32に沿って、即ち、Y軸方向に沿って延びる。第2入力側信号電極73の一端は、基板1のX方向の一端1cの近傍に位置しており、第2入力側信号電極73の当該一端には、外部から第2電気信号S2が入力される。
第2入力側信号電極73は、当該第2入力側信号電極73の一端に入力された第2電気信号S2が、当該第2入力側信号電極73の他端に接続された第2作用電極部71の一端まで伝達するように、基板1の主面1Sに沿って延びる。第2作用電極部71の他端は、第1出力側信号電極79の一端に接続されている。第1出力側信号電極79は、第2作用電極部71内を伝達した第2電気信号S2を、当該第1出力側信号電極79の他端まで伝達する。第1出力側信号電極79の当該他端は、基板1の一端1cの近傍に位置している。第1出力側信号電極79の当該他端は、電気的終端である終端部(図示せず)が有する抵抗器に電気的に接続されていてもよい。
入力光CLは、入力光導波路3D1の光入力端から入力し、入力光導波路3D1によって2つに分岐された後に、第1アーム光導波路31及び第2アーム光導波路32内を伝搬する。そして、第1入力側信号電極53に第1電気信号S1が供給されると、第1作用電極部51は第1電気信号S1に応じた電界を第1アーム光導波路31に印加し、第1アーム光導波路31の屈折率を第1電気信号S1に応じて変化させる。これにより、第1アーム光導波路31内を導波する入力光CLの分岐光の位相が変化する。同様に、第2入力側信号電極73に第2電気信号S2が供給されると、第2作用電極部71は第2電気信号S2に応じた電界を第2アーム光導波路32に印加し、第2アーム光導波路32の屈折率を第2電気信号S2に応じて変化させる。これにより、第2アーム光導波路32内を導波する入力光CLの分岐光の位相が変化する。その後、位相が変化した2つの分岐光は、出力光導波路3D2によって所定の態様で結合され、出力光導波路3D2の出力端から制御光MLとして外部に出力する。例えば光制御デバイス100が光変調器である場合、第1電気信号S1及び第2電気信号S2は変調信号であり、制御光MLは変調光となる。
第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7は、それぞれ例えば金(Au)等の金属から構成される。例えば光制御デバイス100が光変調器である場合、第1電気信号S1及び第2電気信号S2は、それぞれ例えば10GHz以上の高周波電気信号が含まれた変調信号である。
第1接地電極11、第2接地電極12、及び、信号電極間接地電極13は、それぞれ接地電位に接続される電極であり、それぞれ例えば金(Au)等の金属から構成される。第1接地電極11、第2接地電極12、及び、信号電極間接地電極13は、それぞれ、基板1の主面1S上に設けられている。第1接地電極11、第2接地電極12、及び、信号電極間接地電極13は、それぞれ例えば層状の電極であり、それぞれの厚さは、例えば10μm以上、80μm以下とすることができる。
信号電極間接地電極13は、平面視で、少なくとも第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53と、第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73との間に、当該第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73と離間して位置している。本実施形態では、信号電極間接地電極13は、平面視で、第1制御用信号電極5全体と第2制御用信号電極7全体との間に、当該第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7と離間して位置している。
第1接地電極11は、平面視で、少なくとも第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53を挟んで信号電極間接地電極13側とは反対側に当該第1入力側信号電極53と離間して位置している。本実施形態では、第1接地電極11は、平面視で、第1制御用信号電極5全体の信号電極間接地電極13側とは反対側に当該第1制御用信号電極5と離間して位置している。
第2接地電極12は、平面視で、少なくとも第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73を挟んで信号電極間接地電極13側とは反対側に当該第2入力側信号電極73と離間して位置している。本実施形態では、第2接地電極12は、平面視で、第2制御用信号電極7全体の信号電極間接地電極13側とは反対側に当該第2制御用信号電極7と離間して位置している。
なお、第1制御用信号電極5、第2制御用信号電極7、第1接地電極11、第2接地電極12、及び、信号電極間接地電極13は、基板1の主面1Sと直接接するように設けられていてもよいし、例えば酸化シリコン(SiO2)等の誘電体材料からなるバッファ層を介して基板1の主面1S上に設けられていてもよい。
図2は、図1に示す光制御デバイスの第1制御用信号電極の第1入力側信号電極及び第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す平面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った光制御デバイスの端面図であり、図4は、図1に示す光制御デバイスの第1入力側信号電極及び第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す斜視図である。
図2〜図4に示すように、第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53は、入力パッド55と、信号伝達部57と、からなる。入力パッド55は、第1入力側信号電極53の一端53Eを規定する要素であり、第1電気信号S1(図1参照)が入力される電気信号入力部として機能する。信号伝達部57は、入力パッド55に入力された第1電気信号S1を第1作用電極部51(図1参照)まで伝達する。第1入力側信号電極53は、平面視で略一定の幅で基板1の主面1Sに沿って延びており、基板1の一端1cの近傍では、X軸方向に沿って延びている。第1入力側信号電極53の平面視での幅は、制御信号51と入力パッド55間の特性インピーダンスの連続性や信号遅延時間などを考慮して適宜設計することができるが、例えば、5μm以上、50μm以下とすることができる。第1入力側信号電極53の厚さは、例えば、10μm以上、80μm以下とすることができる。入力パッド55の幅及び厚さは、信号伝達部57の幅及び厚さよりも大きくすることができる。
同様に、第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73は、入力パッド75と、信号伝達部77と、からなる。入力パッド75は、第2入力側信号電極73の一端73Eを規定する要素であり、第2電気信号S2(図1参照)が入力される電気信号入力部として機能する。信号伝達部77は、入力パッド75に入力された第2電気信号S2を第2作用電極部71(図1参照)まで伝達する。第2入力側信号電極73は、平面視で略一定の幅で基板1の主面1Sに沿って延びており、基板1の一端1cの近傍では、X軸方向に沿って延びている。第2入力側信号電極73の平面視での幅は、制御信号51と入力パッド55間の特性インピーダンスの連続性や信号遅延時間などを考慮して適宜設計することができるが、例えば、5μm以上、50μm以下とすることができる。第2入力側信号電極73の厚さは、例えば、10μm以上、80μm以下とすることができる。入力パッド75の幅及び厚さは、信号伝達部77の幅及び厚さよりも大きくすることができる。
また、本実施形態では、第1接地電極11の一端11E、第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53の一端53E、信号電極間接地電極13の一端13E、第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73の一端73E、及び、第2接地電極12の一端12Eは、基板1の主面1Sに沿った第1方向(本実施形態ではY軸方向)に沿ってこの順に並んで配置されている。一端11E、53E、13E、73E、12Eは、平面視で基板1の一端1cと重複していてもよいし、基板1の一端1cと離間していてもよい。
第1接地電極11の一端11Eと、信号電極間接地電極13の一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K1は、接続部材を入力パッド部55に接続する方法や当該接続部材に適した入力パッド部55の幅、形成する第1溝部D1、第2溝部D2の幅及び深さ並びに第1制御用信号電極5の特性インピーダンスなどに応じて適宜設計することができるが、ニオブ酸リチウムからなる基板1を用いて光制御デバイス100を50Ω系の回路として設計する場合、例えば、30μm以上、100μm以下、とすることができる。第2接地電極12の一端12Eと、信号電極間接地電極13の一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K2も同様に、例えば、30μm以上、100μm以下とすることができる。
第1入力側信号電極53の一端53Eと、第2入力側信号電極73の一端73Eとの第1方向に沿った離間距離Dは、小さいほど第1入力側信号電極53と第2入力側信号電極73間のクロストーク特性は悪化するため、Dの値をK1及び/又はK2の5倍以上の大きさとすることが望ましい。しかし、本実施形態の光制御デバイス100によれば、後述のように第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを抑制することができるため、上記離間距離Dの値を例えばK1及び/又はK2の3倍以下とすることができる。
また、基板1は、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4を有している。第1溝部D1は、平面視で第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53と信号電極間接地電極13との間に設けられており、第2溝部D2は、平面視で第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53と第1接地電極11との間に設けられており、第3溝部D3は、平面視で、第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73と信号電極間接地電極13との間に設けられており、第4溝部D4は、平面視で、第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73と第2接地電極12との間に設けられている。
第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4は、それぞれ、基板1の主面1Sに設けられたZ軸方向を深さ方向とする溝である。第1溝部D1及び第2溝部D2は、それぞれ、平面視で第1入力側信号電極53の少なくとも一部に沿って延びており、本実施形態では、平面視で基板1の一端1cから第1入力側信号電極53の一部に沿って延びている。より具体的には、第1溝部D1及び第2溝部D2は、それぞれ、平面視で基板1の一端1cから第1入力側信号電極53の一部に沿って略一定の幅で延びた後に、幅が漸次小さくなりながらさらに第1入力側信号電極53の一部に沿って延びて終端している。
第1溝部D1及び第2溝部D2の平面視での幅は、全体に亘って略一定でもよいし、延び方向に沿って例えば漸次的又は段階的に変化する部分があってもよい。当該幅を漸次的又は段階的に変化させることにより、第1溝部D1及び第2溝部D2の各部での特性インピーダンスの急激な変化による制御信号の反射や損失を防ぐことができる。また、第1溝部D1及び第2溝部D2は、平面視で、第1入力側信号電極53の全体に沿って延びていてもよいし、第1制御用信号電極5の全体に沿って延びていてもよい。この場合、光導波路構造3の第1アーム光導波路31をリッジ型導波路とすることもでき、光制御デバイス100の広帯域化や低駆動電圧化に有利となる。
同様に、第3溝部D3及び第4溝部D4は、それぞれ、平面視で第2入力側信号電極73の少なくとも一部に沿って延びており、本実施形態では、平面視で基板1の一端1cから第2入力側信号電極73の一部に沿って延びている。より具体的には、第3溝部D3及び第4溝部D4は、それぞれ、平面視で基板1の一端1cから第2入力側信号電極73の一部に沿って略一定の幅で延びた後に、幅が漸次小さくなりながらさらに第2入力側信号電極73の一部に沿って延びて終端している。
第3溝部D3及び第4溝部D4の平面視での幅は、全体に亘って略一定でもよいし、延び方向に沿って例えば漸次的又は段階的に変化する部分があってもよい。当該幅を漸次的又は段階的に変化させることにより、第3溝部D3及び第4溝部D4の各部での特性インピーダンスの急激な変化による制御信号の反射や損失を防ぐことができる。また、第3溝部D3及び第4溝部D4は、平面視で、第2入力側信号電極73の全体に沿って延びていてもよいし、第2制御用信号電極7の全体に沿って延びていてもよい。この場合、光導波路構造3の第2アーム光導波路32をリッジ型導波路とすることもでき、光制御デバイス100の広帯域化や低駆動電圧化に有利となる。
第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の延び方向と直交する断面における形状は、本実施形態では、矩形状(例えば、これらの延び方向と直交する方向に沿った長辺を有する)であるが、楕円形状(例えば、これらの延び方向と直交する方向に沿った長辺を有する)、円形状、台形状(例えば、これらの延び方向と直交する方向に沿った底辺を有する)、逆台形状(例えば、これらの延び方向と直交する方向に沿った底辺を有する)、菱形形状(例えば、これらの延び方向と直交する方向に沿った辺を有する)等の他の形状であってもよい。
第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の平面視での幅は、入力パッド部55、75の幅、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び第4溝部D4の深さ並びに第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7の特性インピーダンスなどに応じて適宜設計することができるが、入力パッド部55、75の幅をワイヤボンディングに適した50〜100μm程度とし、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び第4溝部D4の深さがニオブ酸リチウムからなる基板を用いたリッジ導波路型デバイスの作成で多用される深さである5〜10μm程度として光制御デバイス100を50Ω系の回路として設計した場合、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の平面視での幅は、例えば100μm以上、200μm以下とすることができ、この場合、上述の離間距離K1、K2を150μm以上、300μm以下と小さくすることができる。一方、同様の条件において第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4のような溝部が基板に形成されていない場合には、光制御デバイスを50Ω系で設計すると上述の離間距離K1、K2が310μm以上、620μm以下となる。
そのため、基板1が第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4のような溝部を有していない場合には、本実施形態の光制御デバイス100のように基板1がこれらの溝部を有する場合と比較して、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間の上記離間距離Dが同じであっても、D/Kの値はほぼ2倍の大きさとなる。このように、本実施形態の光制御デバイス100においては、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4が基板1に形成されているため、従来の光制御デバイスにおける場合と比較して、第1接地電極11の上記一端11Eと、信号電極間接地電極13の上記一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K1、及び、第2接地電極12の上記一端12Eと、信号電極間接地電極13の上記一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K2を小さくすることができる。
上述のような本実施形態に係る光制御デバイス100においては、基板1が第1溝部D1と第2溝部D2を有するため、基板1がこれらの溝部を有していない場合と比較して、第1接地電極11の上記一端11Eと、信号電極間接地電極13の上記一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K1を小さくすることができる(図4参照)。当該離間距離K1が小さい場合、例えばコプレーナー型である第1入力側信号電極53と第1接地電極11、信号電極間接地電極13間の離間距離も小さくすることができる。これにより、第1入力側信号電極53と第1接地電極11との間、及び、第1入力側信号電極53と信号電極間接地電極13との間における電気力線の広がりを小さくすることができるため、第1入力側信号電極53から第1接地電極11及び第2設置電極13へ向かう電気力線をより効果的に終端させることができる。即ち、第1入力側信号電極53と第2入力側信号電極73間の離間距離Dが大きくなくても、基板1が第1溝部D1と第2溝部D2を有することにより、第1入力側信号電極53から発生する電気力線がより効果的に終端されるため、第2入力側信号電極73への制御信号のクロストークを低減することができる(図2〜図4参照)。
同様に、基板1が第3溝部D3と第4溝部D4を有するため、基板1がこれらの溝部を有していない場合と比較して、第2接地電極12の上記一端12Eと、信号電極間接地電極13の上記一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K2を小さくすることができる(図4参照)。当該離間距離K2が小さい場合、例えばコプレーナー型である第2入力側信号電極73と第2接地電極12、信号電極間接地電極13間の離間距離も小さくすることができる。これにより、第2入力側信号電極73と第2接地電極12との間、及び、第2入力側信号電極73と信号電極間接地電極13との間における電気力線の広がりを小さくすることができるため、第2入力側信号電極73から第2接地電極12及び第2設置電極13へ向かう電気力線をより効果的に終端させることができる。即ち、第1入力側信号電極53と第2入力側信号電極73間の離間距離Dが同じであっても、基板1が第3溝部D3と第4溝部D4を有することにより、第2入力側信号電極73から発生する電気力線がより効果的に終端されるため、第1入力側信号電極53への制御信号のクロストークを低減することができる(図2〜図4参照)。これらの結果、本実施形態に係る光制御デバイス100によれば、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを抑制することができる。
さらに、本実施形態に係る光制御デバイス100においては、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4のZ軸方向に沿った深さは、深い方が第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークの低減効果が高く、特に2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがさらに好ましく、6μm以上であることがさらに好ましい。ニオブ酸リチウムのような高い誘電率を持つ材料からなる基板1を用いて50Ω系の信号入出力部を有する光制御デバイス100を作製する場合には、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び第4溝部D4の形成による上記離間距離K1、K2の低減の効果が高く、例えば、これらの溝部の深さが2μm、4μm、及び、6μmである場合、それぞれ上記離間距離K1、K2を1割強、約3割、4割弱低減させることが可能である。そのため、これらの溝部の深さが2μmであれば、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークの低減効果が特に高くなり、当該深さが4μm以上、及び6μm以上である場合には、当該低減効果がさらに顕著となる。
また、本実施形態に係る光制御デバイス100においては、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4のZ軸方向に沿った深さは、10μm以上の深さとしても良く、深い方が第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストーク低減の効果は高い。しかしながら、ニオブ酸リチウムのような加工が難しい脆性材料からなる基板1を用いる場合には、基板1の破損や信頼性の低下の回避および加工コストの上昇などに起因して、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の加工深さは制限される場合がある。
本実施形態においては、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の断面形状(これらの溝部の延び方向と直交する面における断面形状)は矩形状であるが、他の形状、例えば、台形状、逆台形状、U字状、又はV字状であってもよい。また、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の上記断面形状及び幅は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
ニオブ酸リチウムからなる基板1を用いた光制御デバイス100の製造では、基板1への溝加工に反応性イオンエッチング法、化学的エッチング法、レーザーによるアブレーション加工、砥粒や超硬材による機械的加工などが用いられているが、溝は開口部が広く底部が狭い、逆台形状、U字状、V字状を呈することが一般的である。本実施形態においても、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の上記断面形状がこれらのいずれかの形状であってもかまわない。しかしながら、特性の解析計算の規模が小さくて済むよう、矩形や台形状の断面形状、同じ形状の溝の対称的な配置が望ましい。同じ形状の溝の対称的な配置は、基板の応力・歪みの分散、基板の実用強度の維持の点でも、望ましい。
さらに、上述の本実施形態に係る光制御デバイス100においては、第1接地電極11の一端11E、第1入力側信号電極53の一端53E、信号電極間接地電極13の一端13E、第2入力側信号電極73の一端73E、及び、第2接地電極12の一端12Eは、基板1の主面1Sに沿った第1方向(Y軸方向)に沿ってこの順に並んで配置されている(図2〜図4参照)。この場合、第1入力側信号電極53の上記一端53Eと、第2入力側信号電極73の上記一端73Eとの第1方向に沿った離間距離Dと、第1接地電極11の上記一端11Eと、信号電極間接地電極13の上記一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K1と、第2接地電極12の上記一端12Eと、信号電極間接地電極13の上記一端13Eとの第1方向に沿った離間距離K2と、の関係において、D/K1の値及びD/K2の値は、クロストーク低減のためには大きくすることが望ましいが、本実施形態の光制御デバイス100によれば、上述のように第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを抑制することができるため、D/K1の値及びD/K2の値をそれぞれ3.0以下とすることもできる。
本発明者らは、D/K1及び/又はD/K2の値がこの条件を満たすような従来の光制御デバイスにおいては、第1入力側信号電極53に相当する要素及び第2入力側信号電極73に相当する要素間のクロストークが特に発生し易いことを見出した。そのため、D/K1及び/又はD/K2の値がこの条件を満たすような光制御デバイスに本実施形態の発明を適用することにより、本実施形態の効果が特に有効に発揮される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態以降の各実施形態については、他の実施形態との相違点について主として説明し、他の実施形態の要素と同一の要素については、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する場合がある。
図5は、第2実施形態の第1制御用信号電極の第1入力側信号電極及び第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す平面図であり、図6は、図5のVI−VI線に沿った光制御デバイスの端面図である。
第2実施形態の光制御デバイスは、第1接地電極、第2接地電極、及び、信号電極間接地電極の構成において、第1実施形態の光制御デバイス100と異なる。
具体的には、本実施形態の第1接地電極211は、主部11Mと、主部11Mよりも第2溝部D2側に設けられた薄厚部11Aと、を有する点において、第1実施形態の第1接地電極11(図2〜図4参照)と異なる。薄厚部11Aの厚さは、主部11Mよりも薄く、例えば、1μm以上、3μm以下とすることができる。主部11Mの厚さは、第1実施形態の第1接地電極11と同様である。
また、本実施形態の第2接地電極212は、主部12Mと、主部12Mよりも第4溝部D4側に設けられた薄厚部12Aと、を有する点において、第1実施形態の第2接地電極12(図2〜図4参照)と異なる。薄厚部12Aの厚さは、主部12Mよりも薄く、例えば、1μm以上、3μm以下とすることができる。主部12Mの厚さは、第1実施形態の第2接地電極12と同様である。
また、本実施形態の信号電極間接地電極213は、主部13Mと、主部13Mよりも第1溝部D1側に設けられた第1薄厚部13Aと、主部13Mよりも第3溝部D3側に設けられた第2薄厚部13Bと、を有する。第1薄厚部13A及び第2薄厚部13Bの厚さは、主部13Mよりも薄く、例えば、それぞれ1μm以上、3μm以下とすることができる。主部13Mの厚さは、第1実施形態の信号電極間接地電極13と同様である。
第1接地電極211の薄厚部11A及び信号電極間接地電極213の第1薄厚部13Aは、それぞれ、平面視で第1入力側信号電極53の一部に沿って第1接地電極211の一端11E及び信号電極間接地電極213の一端13Eから延びているが、平面視で第1入力側信号電極53全体又は第1制御用信号電極5全体に沿って一端11E及び一端13Eから延びていてもよい。第2接地電極212の薄厚部12A及び信号電極間接地電極213の第2薄厚部13Bは、それぞれ、平面視で第2入力側信号電極73の一部に沿って第2接地電極212の一端12E及び信号電極間接地電極213の一端13Eから延びているが、平面視で第2入力側信号電極73全体又は第2制御用信号電極7全体に沿って一端12E及び一端13Eから延びていてもよい。
上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1実施形態の光制御デバイス100と同様に、第1入力側信号電極53と第1接地電極211、信号電極間接地電極213間における電気力線の広がりを小さくする効果、及び、第2入力側信号電極73と第2接地電極212、信号電極間接地電極213間における電気力線の広がりを小さくする効果により、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを抑制することができる。
上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、信号電極間接地電極213は、主部13Mと第1薄厚部13Aとの間に段差を有することになり、第1接地電極211は、主部11Mと薄厚部11Aとの間に段差を有することになるため(図6参照)、信号電極間接地電極213及び第1接地電極211の第1入力側信号電極53と対向する表面積が増加する。これにより、第1入力側信号電極53から放射される電気力線は、信号電極間接地電極213及び第1接地電極211で終端し易くなるため、当該電気力線が第2入力側信号電極73に到達することが抑制される。
同様に、信号電極間接地電極213は、主部13Mと第2薄厚部13Bとの間に段差を有することになり、第2接地電極212は、主部12Mと薄厚部12Aとの間に段差を有することになるため、信号電極間接地電極213及び第2接地電極212の第2入力側信号電極73と対向する表面積が増加する(図6参照)。これにより、第2入力側信号電極73から放射される電気力線は、信号電極間接地電極213及び第2接地電極212で終端し易くなるため、当該電気力線が第1入力側信号電極53に到達することが抑制される。その結果、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークをさらに抑制することができる。
第2実施形態において溝部の形成と併用した、第1接地電極211、第2接地電極212、信号電極間接地電極213の第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73と対向する表面積を増やす手段は、単独で用いてもクロストークの低減に有効な策であるが、本質的に特性インピーダンスの低下を伴う手段である。また、ニオブ酸リチウムのような誘電率の高い材料からなる基板上のコプレーナー型電極においては、特性インピーダンスを高める手段として、溝部の形成が特に有効である。そのため、これらを併用する第2実施形態の光制御デバイスによれば、相性のよいクロストークの低減の改善と設計の自由度の改善を同時に行うため、格段の相乗効果を発揮する。
本実施形態においては、第1接地電極211の薄厚部11Aと信号電極間接地電極213の第1薄厚部13Aとは、平面視で第1入力側信号電極53の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは平面視で第1入力側信号電極53の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。また、薄厚部11Aと第1薄厚部13Aの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、信号電極間接地電極213の第2薄厚部13Bと第2接地電極212の薄厚部12Aとは、平面視で第2入力側信号電極73の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは平面視で第2入力側信号電極73の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。また、第2薄厚部13Bと薄厚部12Aの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
制御用信号電極が2つの場合、この2つの制御用信号電極よりも信号電極間接地電極213側に形成した第1薄厚部13A及び第2薄厚部13Bと、第1接地電極211及び第2接地電極212側に形成した薄厚部11A及び薄厚部12Aとでは、クロストークの抑制効果への寄与の割合は異なるが、設計の都合上、特性の解析計算の規模が小さくて済むように、薄厚部11Aと第1薄厚部13Aは第1入力側信号電極53の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましく、第2薄厚部13Bと薄厚部12Aは第2入力側信号電極73の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましい。対称的な配置は、基板の応力・歪みの分散の点でも、望ましい。また、本実施形態では、接地電極に4つの薄厚部が存在する(即ち、第1接地電極211の薄厚部11A、第2接地電極212の薄厚部12A、信号電極間接地電極213の第1薄厚部13A、及び、信号電極間接地電極213の第2薄厚部13Bが存在する)が、本実施形態では、これらの4つの薄厚部のうち、少なくとも1つが存在してもよく、選択的に複数が存在してもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態の第1制御用信号電極の第1入力側信号電極及び第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す平面図であり、図8は、図7のVIII−VIII線に沿った光制御デバイスの端面図である。
第3実施形態の光制御デバイスは、第1制御用信号電極の第1入力側信号電極、及び、第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の構成において、第1実施形態の光制御デバイス100と異なる。
具体的には、本実施形態の第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極355は、主部55Mと、主部55Mよりも第2溝部D2側に設けられた第1薄厚部55Aと、主部55Mよりも第1溝部D1側に設けられた第2薄厚部55Bと、を有する点において、第2実施形態の入力パッド55(図5及び図6参照)と異なる。第1薄厚部55A及び第2薄厚部55Bの厚さは、それぞれ主部55Mよりも薄く、例えば、2μm以上、5μm以下とすることができる。主部55M厚さは、第2実施形態の入力パッド55と同様である。
また、本実施形態の第2制御用信号電極7の第1入力側信号電極の第2入力側信号電極375は、主部75Mと、主部75Mよりも第3溝部D3側に設けられた第1薄厚部75Aと、主部75Mよりも第4溝部D4側に設けられた第2薄厚部75Bと、を有する点において、第2実施形態の入力パッド75(図5及び図6参照)と異なる。第1薄厚部75A及び第2薄厚部75Bの厚さは、それぞれ主部75Mよりも薄く、例えば、2μm以上、5μm以下とすることができる。主部75M厚さは、第2実施形態の入力パッド75と同様である。
第1薄厚部55A及び第2薄厚部55Bは、第1制御用信号電極5の第1入力側信号電極53の入力パッドの部分に設けられているが、このような薄層部は、入力パッドの部分に加えて又は代えて、第1制御用信号電極5の信号伝達部57の延び方向の全部又は一部に設けられていてもよいし、第1制御用信号電極5の延び方向の全部又は一部に設けられていてもよい。また、第1薄厚部75A及び第2薄厚部75Bは、第2制御用信号電極7の第2入力側信号電極73の入力パッドの部分に設けられているが、このような薄層部は、入力パッドの部分に加えて又は代えて、第2制御用信号電極7の信号伝達部77の延び方向の全部又は一部に設けられていてもよいし、第2制御用信号電極7の延び方向の全部又は一部に設けられていてもよい。
上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1及び第2実施形態の光制御デバイス100と同様に、第1入力側信号電極355と第1接地電極211との間、及び、第1入力側信号電極355と信号電極間接地電極213との間における電気力線の広がりを小さくする効果、及び、第2入力側信号電極375と第2接地電極212との間、及び、第2入力側信号電極375と信号電極間接地電極213との間における電気力線の広がりを小さくする効果により、第1入力側信号電極355及び第2入力側信号電極375間のクロストークを抑制することができる。
上述のような本実施形態の光制御デバイスにおいては、第1入力側信号電極355に外部から第1電気信号S1が印加された際、厚さの薄い第1薄厚部55A及び第2薄厚部55Bに電界が集中するため、当該第1薄厚部55A及び第2薄厚部55Bから主として電気力線が放射される。そして、第1入力側信号電極355の第1薄厚部55A及び第2薄厚部55Bは、主部55Mよりも基板1に近く低い位置から電気力線を発するため、これらから放射された電気力線が基板1の主面1Sの上方を経由して第2入力側信号電極375に到達することが抑制される。
同様に、第2入力側信号電極375に外部から第2電気信号S2が印加された際、厚さの薄い第1薄厚部75A及び第2薄厚部75Bに電界が集中するため、当該第1薄厚部75A及び第2薄厚部75Bから主として電気力線が放射される。そして、第2入力側信号電極375の第1薄厚部75A及び第2薄厚部75Bは、主部75Mよりも基板1に近く低い位置から電気力線を発するため、これらから放射された電気力線が基板1の主面1Sの上方を経由して第1入力側信号電極355に到達することが抑制される。その結果、第1入力側信号電極355及び第2入力側信号電極375間のクロストークをさらに抑制することができる。
第3実施形態において溝部の形成と併用した、第1入力側信号電極355及び第2入力側信号電極375を多段化する手段は、単独で用いてもクロストークの低減に有効な策であるが、これらの電極の第1接地電極211、第2接地電極212、及び、信号電極間接地電極213と対向する表面積を増やす手法であり本質的に特性インピーダンスの低下を伴う。従って、特性インピーダンスを高める手段として効果の高い、溝部の形成が特に有効である。そのため、これらを併用する第3実施形態の光制御デバイスによれば、相性の良いクロストークの低減の改善と設計の自由度の改善を同時に行うことができるため、高い相乗効果を発揮する。
本実施形態においては、第1薄厚部55Aと第2薄厚部55Bは、平面視で第1入力側信号電極の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは平面視で第1入力側信号電極の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。また、第1薄厚部55Aと第2薄厚部55Bの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、第1薄厚部75Aと第2薄厚部75Bは、平面視で第2入力側信号電極の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは平面視で第2入力側信号電極の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。また、第1薄厚部75Aと第2薄厚部75Bの厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
制御用信号電極が2つの場合、この2つの制御用信号電極よりも信号電極間接地電極213側に設けた第2薄厚部55B及び第1薄厚部75Aと、第1接地電極211及び第2接地電極212側に設けた第1薄厚部55A及び第2薄厚部75Bとでは、クロストークの抑制効果への寄与の割合は異なるが、設計の都合上、特性の解析計算の規模が小さくて済むように、第1薄厚部55Aと第2薄厚部55Bは第1入力側信号電極355の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましく、第1薄厚部75Aと第2薄厚部75Bは第2入力側信号電極375の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましい。そのような対称的な配置は、基板の応力・歪みの分散の点でも、望ましい。また、本実施形態では、信号電極に4つの薄厚部が存在する(即ち、第1入力側信号電極355の第1薄厚部55A、第1入力側信号電極355の第2薄厚部55B、第2入力側信号電極375の第1薄厚部75A、第2入力側信号電極375の第2薄厚部75Bが存在する)が、本実施形態では、これらの4つの薄厚部のうち、少なくとも1つが存在してもよく、選択的に複数が存在してもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図9は、第4実施形態の第1制御用信号電極の第1入力側信号電極及び第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す平面図であり、図10は、図9のX−X線に沿った光制御デバイスの端面図である。
第4実施形態の光制御デバイスは、第1接地電極、第2接地電極、及び、信号電極間接地電極の構成において、第3実施形態の光制御デバイスと異なる。
具体的には、本実施形態の第1接地電極411は、第3実施形態の薄厚部11A(図7及び図8参照)に代えて、薄厚部11Cを有する点で、第3実施形態の第1接地電極211と異なる。そして、薄厚部11Cは、複数の貫通孔11CPを有する点で、第3実施形態の薄厚部11Aと異なる。貫通孔11CPは、薄厚部11Cを厚さ方向に貫通する孔である。なお、薄厚部11Cは、貫通孔11CPを1個のみ有していてもよい。
また、本実施形態の第2接地電極412は、第3実施形態の薄厚部12A(図7及び図8参照)に代えて、薄厚部12Cを有する点で、第3実施形態の第2接地電極212と異なる。そして、薄厚部12Cは、複数の貫通孔12CPを有する点で、第3実施形態の薄厚部12Aと異なる。貫通孔12CPは、薄厚部12Cを厚さ方向に貫通する孔である。なお、薄厚部12Cは、貫通孔12CPを1個のみ有していてもよい。
また、本実施形態の信号電極間接地電極413は、第3実施形態の第1薄厚部13A及び第2薄厚部13B(図7及び図8参照)に代えて、第1薄厚部13C及び第2薄厚部13Dを有する点で、第3実施形態の信号電極間接地電極213と異なる。そして、第1薄厚部13Cは、複数の貫通孔13CPを有する点で、第3実施形態の第1薄厚部13Aと異なり、第2薄厚部13Dは、複数の貫通孔13DPを有する点で、第3実施形態の第2薄厚部13Bと異なる。貫通孔13CPは、第1薄厚部13Cを厚さ方向に貫通する孔であり、貫通孔13DPは、第2薄厚部13Dを厚さ方向に貫通する孔である。なお、第1薄厚部13Cは、貫通孔13CPを1個のみ有していてもよく、第2薄厚部13Dは、貫通孔13DPを1個のみ有していてもよい。
第1接地電極411の薄厚部11C及び信号電極間接地電極413の第1薄厚部13Cが、平面視で第1入力側信号電極355全体又は第1制御用信号電極5全体に沿って一端11E及び一端13Eから延びている場合は、薄厚部11C、第1薄厚部13Cの全体にわたって、あるいはその一部に1個又は複数の貫通穴11CP、13CPが設けられていても良い。第2接地電極412の薄厚部12C及び信号電極間接地電極413の第2薄厚部13Dが、平面視で第2入力側信号電極375全体又は第2制御用信号電極7全体に沿って一端12E及び一端13Eから延びている場合も同様に、薄厚部12C、第2薄厚部13Dの全体にわたって、あるいはその一部に1個又は複数の貫通穴12CP、13DPが設けられていても良い。クロストーク特性を改善したい区間に、適宜、貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPを配置することができる。
貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPの平面視での形状は、例えば矩形状であるが、円形状、楕円形状等の他の形状であってもよい。また、貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPの平面視での形状は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPは離散的に分布していてもよいし、第1入力側信号電極53又は第2入力側信号電極73の延び方向に沿って所定の周期で形成されていてもよい。貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPを離散的に配置したり、互いに平面視での形状の異なる貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPを設けたりするよりも、互いに同じ平面視での形状の貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPを第1入力側信号電極355又は第2入力側信号電極375の延び方向に沿って周期的に配置した方が、第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7の特性シミュレーションの規模が小さくて済むため設計をし易い上に、意図しないインピーダンスの不連続による伝搬信号の損失などを防ぎやすい。
なお、貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPが第1入力側信号電極355又は第2入力側信号電極375の延び方向に沿って周期的に配置されている場合には、その構造が特定の周波数に対応したバンドパスフィルター回路として作用する。そのため、特定の周波数信号がそのバンドパスフィルター回路に結合し、第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7内を伝搬する変調信号が劣化するおそれがある。その変調信号の劣化は、貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPが設けられた周期を変調信号の主要周波数成分の波長(バンドバスフィルター回路における、その周波数成分の波長)の1/4以下にすることで、回避することができる。
本実施形態においては、貫通孔11CPと貫通孔13CPは、平面視で第1入力側信号電極355の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは平面視で第1入力側信号電極355の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。また、貫通孔12CPと貫通孔13DPは、平面視で第2入力側信号電極375の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは平面視で第2入力側信号電極375の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。
制御用信号電極が2つの場合、この2つの制御用信号電極よりも信号電極間接地電極413側に形成した貫通孔13CP及び13DPと、第1接地電極411及び第2接地電極412側に形成した貫通孔11CP及び12CPとでは、クロストークの抑制効果への寄与の割合は異なるが、設計の都合上、特性の解析計算の規模が小さくて済むように、貫通孔11CPと貫通孔13CPは、平面視で第1入力側信号電極355の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましく、貫通孔12CPと貫通孔13DPは、平面視で第2入力側信号電極375の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましい。そのような対称的な配置は、基板の応力・歪みの分散の点でも、望ましい。
また、薄厚部11Cに代えて主部11Mが貫通孔11CPと同様の単数又は複数の貫通孔を有していてもよく、第1薄厚部13Cに代えて主部13Mが貫通孔13CPと同様の単数又は複数の貫通孔を有していてもよく、第2薄厚部13Dに代えて主部13Mが貫通孔13DPと同様の単数又は複数の貫通孔を有していてもよく、薄厚部12Cに代えて主部12Mが貫通孔12CPと同様の単数又は複数の貫通孔を有していてもよい。
上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1〜第3実施形態の光制御デバイス100と同様に、第1入力側信号電極355と第1接地電極411との間、及び、第1入力側信号電極355と信号電極間接地電極413との間における電気力線の広がりを小さくする効果、及び、第2入力側信号電極375と第2接地電極412との間、及び、第2入力側信号電極375と信号電極間接地電極413との間における電気力線の広がりを小さくする効果により、第1入力側信号電極355及び第2入力側信号電極375間のクロストークを抑制することができる。
上述のような本実施形態に係る光制御デバイスにおいては、信号電極間接地電極413、第1接地電極411、及び、第2接地電極412は、それぞれ貫通孔を有している。これにより、信号電極間接地電極413、第1接地電極411、及び、第2接地電極412の表面積が増加するため、第1入力側信号電極から放射される電気力線は、信号電極間接地電極413及び第1接地電極411で終端し易くなり、第2入力側信号電極から放射される電気力線は、信号電極間接地電極413及び第2接地電極412で終端し易くなる。その結果、第1入力側信号電極及び第2入力側信号電極間のクロストークをさらに抑制することができる。
第4実施形態において溝部の形成と併用した、第1入力側信号電極及び第2入力側信号電極を多段化する手段は、単独で用いてもクロストークの低減に有効な策である。第2実施形態および第3実施形態では、主に各電極の隣接する電極と対向する表面積を増やすことによって第1入力側信号電極と第1接地電極、信号電極間接地電極間における電気力線の広がり、及び、第2入力側信号電極と第2接地電極、信号電極間接地電極間における電気力線の広がりを抑える効果を得ているのに対して、第4実施形態では、いわゆるエッジ効果によって、第1入力側信号電極と第1接地電極、信号電極間接地電極間における電気力線の広がり、及び、第2入力側信号電極と第2接地電極、信号電極間接地電極間における電気力線の広がりを抑える効果が大きい。
特性インピーダンスへの影響は、薄厚部11C、第1薄厚部13C、薄厚部12C、第2薄厚部13Dの厚さや、貫通孔11CP、12CP、13CP、13DPの大きさ、設置数などに依存し、設計によっては、薄厚部11C、第1薄厚部13C、薄厚部12C、第2薄厚部13Dの導入による特性インピーダンスの低下を補うこともできる。これらを併用する第4実施形態の光制御デバイスによれば、クロストークの低減の改善と設計の自由度の改善を同時に行うことができるため、非常に高い相乗効果を発揮する。また、本実施形態では、薄厚部に4種類の貫通孔が存在する(即ち、貫通孔11CP、貫通孔13CP、貫通孔13DP、及び、貫通孔12CPが存在する)が、本実施形態では、これらの4種類の貫通孔のうち、少なくとも1つが存在してもよく、選択的に複数が存在してもよい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図11は、第5実施形態の第1制御用信号電極の第1入力側信号電極及び第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す平面図であり、図12は、図11のXII−XII線に沿った光制御デバイスの端面図である。
第5実施形態の光制御デバイスは、第1溝部D1内に設けられた第1溝部内接地電極21と、第2溝部D2内に設けられた第2溝部内接地電極22と、第3溝部D3内に設けられた第3溝部内接地電極23と、第4溝部D4内に設けられた第4溝部内接地電極24とをさらに備える点において、第1実施形態の光制御デバイスと異なる。
第1溝部内接地電極21は、第1溝部D1の側面を介して信号電極間接地電極13と電気的に接続され、第2溝部内接地電極22は、第2溝部D2の側面を介して第1接地電極11と電気的に接続され、第3溝部内接地電極23は、第3溝部D3の側面を介して信号電極間接地電極13と電気的に接続され、第4溝部内接地電極24は、第4溝部D4の側面を介して第2接地電極12と電気的に接続されている。
第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24は、それぞれ第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、及び、第4溝部D4の深さよりも小さい厚さを有することができる。
第1溝部内接地電極21及び第2溝部内接地電極22は、それぞれ第1入力側信号電極53と離間しており、平面視で第1入力側信号電極53の一部に沿って第1溝部D1及び第2溝部D2内で延びていてもよいし、第1入力側信号電極53の全体に沿って第1溝部D1及び第2溝部D2内で延びていてもよいし、第1制御用信号電極5の一部又は全部に沿って第1溝部D1及び第2溝部D2内で延びていてもよい。
同様に、第3溝部内接地電極23及び第4溝部内接地電極24は、それぞれ第2入力側信号電極73と離間しており、平面視で第2入力側信号電極73の一部に沿って第3溝部D3及び第4溝部D4内で延びていてもよいし、第2入力側信号電極73の全体に沿って第3溝部D3及び第4溝部D4内で延びていてもよいし、第2制御用信号電極7の一部又は全部に沿って第3溝部D3及び第4溝部D4内で延びていてもよい。
また、第1溝部内接地電極21は、複数の貫通孔21Pを有し、第2溝部内接地電極22は、複数の貫通孔22Pを有し、第3溝部内接地電極23は、複数の貫通孔23Pを有し、第4溝部内接地電極24は、複数の貫通孔24Pを有している。貫通孔21P、貫通孔22P、貫通孔23P、及び、貫通孔24Pは、それぞれ第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24を厚さ方向に貫通する孔である。なお、第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24は、それぞれ、1個のみの貫通孔21P、貫通孔22P、貫通孔23P、及び貫通孔24Pを有していてもよく、また、それぞれ貫通孔を有していなくてもよい。
貫通孔21P、貫通孔22P、貫通孔23P、及び、貫通孔24Pの平面視での形状は、例えば矩形状であるが、円形状、楕円形状等の他の形状であってもよい。これらの貫通孔の形状、配置位置や周期性、対称性などについての設計上の留意点は、実施形態4における場合と同様である。
上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1〜第4実施形態の光制御デバイス100と同様に、第1入力側信号電極53と第1接地電極11との間、及び、第1入力側信号電極53と信号電極間接地電極13との間における電気力線の広がりを小さくする効果、及び、第2入力側信号電極73と第2接地電極12との間、及び、第2入力側信号電極73と信号電極間接地電極13との間における電気力線の広がりを小さくする効果により、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを抑制することができる。
さらに、上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24を備えているため、第1入力側信号電極53から放射される電気力線の一部は、第1溝部内接地電極21及び第2溝部内接地電極22で終端すると共に、第2入力側信号電極73から放射される電気力線の一部は、第3溝部内接地電極23及び第4溝部内接地電極24で終端する。その結果、第1入力側信号電極53から放射される電気力線及び第2入力側信号電極73から放射される電気力線が、より近い場所において終端され易くなるため、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークをさらに抑制することができる。
さらに、上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24は、それぞれ貫通孔(貫通孔21P、22P、23P、24P)を有している。これにより、第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24におけるエッジ効果が高くなるため、第1入力側信号電極53から放射される電気力線は第1溝部内接地電極21及び第2溝部内接地電極22でより終端し易くなると共に、第2入力側信号電極73から放射される電気力線は第3溝部内接地電極23及び第4溝部内接地電極24でより終端し易くなる。その結果、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークをさらに抑制することができる。効能や設計上の留意点は、実施形態4における場合と同様である。
また、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、第4溝部D4内への第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、第4溝部内接地電極24の配置は、作製上の難易度が若干上がるものの、第1溝部D1、第2溝部D2、第3溝部D3、第4溝部D4の幅が上記離間距離K1、K2との関係における制約から開放され、構造設計、特性設計の自由度が実施形態4における場合と比べて飛躍的に改善する。また、本実施形態では、溝部内接地電極に4種類の貫通孔が存在する(即ち、貫通孔22P、貫通孔21P、貫通孔23P、及び、貫通孔24Pが存在する)が、本実施形態では、これらの4種類の貫通孔のうち、少なくとも1つが存在すればよく、又は、これらの貫通孔が存在しなくてもよい。また、本実施形態では、4つの溝部内接地電極、即ち、第1溝部内接地電極21、第2溝部内接地電極22、第3溝部内接地電極23、及び、第4溝部内接地電極24が存在するが、本実施形態では、これらの4つの溝部内接地電極のうち、少なくとも1つが存在してもよく、選択的に複数が存在してもよい。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図13は、第6実施形態の第1制御用信号電極の第1入力側信号電極及び第2制御用信号電極の第1入力側信号電極の一端近傍の構成を示す平面図であり、図14は、図13のXIV−XIV線に沿った光制御デバイスの端面図である。
第6実施形態の光制御デバイスは、第1接地電極、第2接地電極、及び、信号電極間接地電極の構成において、第1実施形態の光制御デバイスと異なる。
具体的には、本実施形態の第1接地電極611は、複数の凹部611Dを有している点で、第1実施形態の第1接地電極11(図2〜図4参照)と異なり、本実施形態の第2接地電極612は、複数の凹部612Dを有している点で第1実施形態の第2接地電極12(図2〜図4参照)と異なり、本実施形態の信号電極間接地電極613は、複数の凹部613D1及び複数の凹部613D2を有している点で第1実施形態の信号電極間接地電極13(図2〜図4参照)と異なる。
各凹部611Dは、第1接地電極611を厚さ方向に貫通せず、平面視で第1接地電極611の第1入力側信号電極53側の側面に沿って順に設けられている。各凹部612Dは、第2接地電極612を厚さ方向に貫通せず、平面視で第2接地電極612の第2入力側信号電極73側の側面に沿って順に設けられている。各凹部613D1は、信号電極間接地電極613を厚さ方向に貫通せず、平面視で信号電極間接地電極613の第1入力側信号電極53側の側面に沿って順に設けられており、各凹部613D2は、信号電極間接地電極613を厚さ方向に貫通せず、平面視で信号電極間接地電極613の信号伝達部57側の側面に沿って順に設けられている。
なお、第1接地電極611は、凹部611Dを1個のみ有していてもよく、第2接地電極612は、凹部612Dを1個のみ有していてもよく、信号電極間接地電極613は、凹部613D1を1個のみ有していてもよく、信号電極間接地電極613は、凹部613D2を1個のみ有していてもよい。
各凹部611D、凹部612D、凹部613D1、及び、凹部613D2の平面視での形状は、例えば矩形状であるが、円形状、楕円形状等の他の形状であってもよい。凹部611D、612D、613D1、613D2の形状や配置、周期性についての設計上の留意点は、第4実施形態における貫通孔11CP、12CP、13CP、13DP(図9及び図10参照)の場合と同様である。
上述のような本実施形態の光制御デバイスによれば、第1〜第5実施形態の光制御デバイス100と同様に、第1入力側信号電極53と第1接地電極611、信号電極間接地電極613間における電気力線の広がりを小さくする効果、及び、第2入力側信号電極73と第2接地電極612、信号電極間接地電極613間における電気力線の広がりを小さくする効果により、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを抑制することができる。
上述のような本実施形態の光制御デバイスにおいては、信号電極間接地電極13、第1接地電極11、及び、第2接地電極12は、それぞれ凹部(第1溝部内接地電極21D、第2溝部内接地電極22D、第3溝部内接地電極23D、第4溝部内接地電極24D)を有している。これにより、信号電極間接地電極13、第1接地電極11、及び、第2接地電極12の表面積が増加するため、第1入力側信号電極53から放射される電気力線は、信号電極間接地電極13及び第1接地電極11で終端し易くなり、第2入力側信号電極73から放射される電気力線は、信号電極間接地電極13及び第2接地電極12で終端し易くなる。その結果、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークをさらに抑制することができる。
第6実施形態において、基板への溝部の形成と併用した信号電極間接地電極13、第1接地電極11、及び、第2接地電極12に凹部(第1溝部内接地電極21D、第2溝部内接地電極22D、第3溝部内接地電極23D、第4溝部内接地電極24D)を形成する手法は、単独で用いてもクロストークの低減に有効な策であるが、第2実施形態、第3実施形態における場合と同様に、信号電極間接地電極13、第1接地電極11、及び、第2接地電極12の表面積を増やす手法であり本質的に特性インピーダンスの低下を伴う。従って、特性インピーダンスを高める手段として効果の高い、溝部の形成が特に有効である。これらを併用する第3実施形態の光制御デバイスによれば、クロストークの低減の改善と設計の自由度の改善を同時に行うことができるため、高い相乗効果を発揮する。
本実施形態においては、凹部611Dと凹部613D1は、平面視で第1入力側信号電極53の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは第1入力側信号電極53の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。また、凹部613D2と凹部612Dは、平面視で第2入力側信号電極73の延び方向に対して略対称に配置されているが、これらは第2入力側信号電極73の延び方向に対して非対称に配置されていてもよい。
制御用信号電極が2つの場合、信号電極間接地電極613側に形成した凹部613D1、613D2と、第1接地電極611、第2接地電極612側に形成した凹部611D、612Dとでは、クロストークの抑制効果への寄与の割合は異なるが、設計の都合上、特性の解析計算の規模が小さくて済むように、凹部611Dと凹部613D1は、平面視で第1入力側信号電極53の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましく、凹部613D2と凹部612Dは、平面視で第2入力側信号電極73の延び方向に対して対称的に配置されていることが好ましい。そのような対称的な配置は、基板の応力・歪みの分散の点でも、望ましい。また、本実施形態では、接地電極に4種類の凹部が存在する(即ち、凹部611D、凹部612D、凹部613D1、及び、凹部613D2が存在する)が、本実施形態では、これらの4種類の凹部のうち、少なくとも1つが存在してもよく、選択的に複数が存在してもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。
例えば、第1実施形態の光制御デバイス100において、第1接地電極11は、第4実施形態の貫通孔11CPに対応する単数又は複数の貫通孔であって、平面視で第1入力側信号電極53の延び方向と直交する方向(Y軸方向)に当該第1入力側信号電極53と対向する単数又は複数の貫通孔を有していてもよい。また、第1実施形態の光制御デバイス100において、第2接地電極12は、第4実施形態の貫通孔12CPに対応する単数又は複数の貫通孔であって、平面視で第2入力側信号電極73の延び方向と直交する方向(Y軸方向)に当該第2入力側信号電極73と対向する単数又は複数の貫通孔を有していてもよい。
また、第1実施形態の光制御デバイス100において、信号電極間接地電極13は、第4実施形態の貫通孔13CPに対応する単数又は複数の貫通孔であって、平面視で第1入力側信号電極53の延び方向と直交する方向(Y軸方向)に当該第1入力側信号電極53と対向する単数又は複数の貫通孔を有していてもよく、第4実施形態の貫通孔13DPに対応する単数又は複数の貫通孔であって、平面視で第2入力側信号電極73の延び方向と直交する方向(Y軸方向)に当該第2入力側信号電極73と対向する単数又は複数の貫通孔を有していてもよい。
また、上述の各実施形態の光制御デバイスにおいて、基板1は、基板1の主面1Sのうち平面視で第1アーム光導波路31と第2アーム光導波路32との間の領域に設けられた、第1アーム光導波路31及び第2アーム光導波路32の延び方向に沿って延びる溝部を有していてもよい。
また、上述の各実施形態の光制御デバイス100は、光導波路構造3としてマッハツェンダ型光導波路を備えているが、本発明は第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73間のクロストークを低減する技術であり、他の種類の光導波路構造を備える光制御デバイスに適用することも当然可能である。例えば、複数の直線導波路、交差導波路、多分岐導波路、リング型導波路共振器などからなる光導波路構造を備える光制御デバイスに対しても本発明が適用可能であることは言うまでもない。
上述の各実施形態における光制御デバイスは、制御用信号電を2つ備えるが、3つ以上の制御用信号電極を備える光制御デバイスに対しても、本発明が適用可能であることは言うまでもない。
上述の各実施形態においては、各変調用電極の入力側信号電極間のクロストークの抑制方法について説明してきたが、当該抑制方法は、各変調用電極の作用部電極間におけるクロストークおよび各変調用電極の作用部電極から終端抵抗に至る出力側信号電極間のクロストークの抑制にも有効である。
また、上述の各実施形態においては、特に入力パッド部におけるクロストークの抑制方法を中心に説明してきたが、上記抑制方法を第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7全体に取り入れても良いし、第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73全体に取り入れても良いし、入力パッド55及び入力パッド75だけに取り入れも良いし、入力パッド55及び入力パッド75を除く第1入力側信号電極53及び第2入力側信号電極73に取り入れても良い。導入する方法は、同じ構成である必要は無く、設計、製造しやすい構成を適宜選べば良い。
入力パッド55及び入力パッド75の長さは、第1制御用信号電極5及び第2制御用信号電極7全体に占める長さの割合は小さいものの、入力パッド55及び入力パッド75近傍における第1接地電極と信号電極間接地電極間の離間距離及び第2接地電極と信号電極間接地電極間の離間距離が大きいため、入力パッド55と入力パッド75間において特にクロストークが生じやすい。そのため、入力パッド55及び入力パッド75への上記抑制方法の適用は有効である。複数の制御用信号電極を有する集積型デバイスの場合、各入力側信号電極部は、各入力パッドに比べて長く、クロストークが発生しやすい屈曲部、蛇行部、信号電極幅の変更部、信号電極-接地電極間隔の変更部などの構造変更部を含むことが多いため、各入力側信号電極部への上記抑制方法の適用は有効である。所用のクロストーク特性に合わせて、上記抑制方法の適用部位と,適用方法を適宜選べば良い。
出力側信号電極部への上記抑制方法の適用の効能について、簡単に説明する。広帯域型の進行波型電極型の光制御デバイスの場合、一般的には、制御信号は出力側信号電極部に伝わったあとは終端抵抗によって終端され、光に作用することがない。よって、出力側信号電極部への上記抑制方法を適用しても、肝心の変調出力光の特性の改善には結びかない。しかしながら、光制御デバイスの製造において、ネットワークアナライザーにより制御用信号電極の伝搬特性(S21)などを評価する際に、上記抑制方法を適用していれば、出力側信号電極部におけるクロストークによる伝搬特性の不当評価を抑制することができる。一方、制御信号を完全に終端させずに反射させて、再び光に作用させる構成の光制御デバイスにおいては、出力側信号電極部が入力側信号電極部としても機能するため、出力側信号電極部への上記抑制方法の適用が光出力信号の特性改善にも有効であることは、言うまでもない。
また、上述の各実施形態においては、基板1の厚さを限定せずに説明してきたが、本発明による入力側信号電極間のクロストーク抑制効果は、いずれの厚さの基板1を用いても有効に発揮される。本発明による上記効果は、ニオブ酸リチウム光変調器の製造に一般に用いられる厚さが0.4mm〜1.00mmの基板を用いた場合にも有効に発揮されるし、上記特許文献2に記載の発明における場合のように厚さが30μm〜100μmの基板を用いた場合であっても、有効に発揮される。