JP2015122247A - 透明電極及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、ITOはレアメタルのインジウムを使用しているため、材料コストが高く、一方で、抵抗を下げるために高温アニールプロセスが必要となる。
また、銀(Ag)を陰極として膜厚15nmで蒸着した有機EL素子について開示されているが(例えば、特許文献2参照。)、銀薄膜の膜厚が厚いため透過率(透明度)が悪く、マイグレーションしやすい銀を更に薄くして電極特性を維持するためには新たな技術を必要とする。
また、電気伝導率の高い銀とマグネシウム(Mg)との合金を用いて、銀単独のときよりも薄膜で導電性を出すことにより、透過率と導電性との両立を図った技術も開示されてはいるが(例えば、特許文献3参照。)、抵抗値はせいぜい100Ω/□前後と不十分であり、加えて、マグネシウムが酸化されやすいため、経時劣化が著しいという問題があった。
前記導電性層が、銅、金又は白金を主成分として構成され、
前記中間層には、双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物が含有されていることを特徴とする透明電極。
これにより、中間層の上部に導電性層を成膜する際、導電性層を構成する銅、金又は白金原子が中間層に含有されている双極子モーメント5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物と相互作用し、中間層表面上での銅、金又は白金原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銅、金又は白金の凝集を抑制することができたものである。
すなわち、銅、金又は白金原子は、まず銅、金又は白金原子と親和性のある原子を有する親和性化合物を含有する中間層表面上で2次元的な核を形成し、それを中心に2次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
しかし、本発明においては、中間層に含有されている親和性化合物である双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物により、島状成長が抑制され、層状成長が促進されると推察される。
したがって、薄い層厚でありながらも均一な層厚の導電性層が得られるようになる。その結果、より薄い膜厚として光透過性を保ちつつも、導電性が確保された透明電極とすることができる。
<透明電極の構成>
図1は、本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、透明電極1は、中間層1aと、この中間層1aの上部に導電性層1bとが積層された2層構造であり、例えば、基材11の上部に、中間層1a、導電性層1bの順に設けられている。このうち中間層1aは、双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物が含有されて構成されている層であり、導電性層1bは銅、金又は白金を主成分として構成されている層である。
なお、本発明において導電性層1bの主成分とは、導電性層1bを構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分をいう。本発明に係る導電性層1bは、銅、金又は白金を主成分としており、その構成比率としては、60質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
また、本発明の透明電極1の透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
本発明の透明電極1が形成される基材11としては、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は透明であっても不透明であってもよい。本発明の透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
本発明に係る中間層1aは、双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物を用いて構成された層である。このような中間層1aが基材11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。中でも蒸着法が好ましく適用される。
双極子モーメントが25.0デバイより大きい場合には、電荷の偏りが大きくなりすぎてしまい、若しくは電荷分離状態となってしまい、特に、本発明の透明電極1をカソードとして用いた場合、電子が分子内でトラップされ、電子輸送層への電子移動度を低下させ、結果として、素子性能の低下を招いてしまう。
本発明において、中間層1aに含有される有機化合物の双極子モーメントを高くする手段としては、もともと高双極子モーメントを有するユニットを母核とする有機化合物を用いてもよいし、極性の高い官能基を導入することで達成することもできる。
以下、詳細に説明する。
例えば、アミノ基(−NR1R2)、アミド基(−C(=O)NR1R2)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、ジアゾ基(−N2)、アジド基(−N3)、ウレア結合(−NR1C=ONR2−)、イソチオシアネート基(−N=C=S)、チオアミド基(−C(=S)NR1R2)などが挙げられ、これらは本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
このうち、例えば、ニトロ基(−NO2)の共鳴式は、図2のように記すことができる。ニトロ基における窒素原子の非共有電子対は、厳密には、酸素原子との共鳴構造に利用されているが、本発明においては、ニトロ基の窒素原子も非共有電子対を持つこととする。
すなわち、本発明は、結合に利用されていない窒素原子の非共有電子対を有効利用するというものである。
したがって、ピリジン環の窒素原子は、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
したがって、ピロール環の窒素原子は、非共有電子対を有するものの、芳香族性発現のために必須のものとして利用されてしまっているため、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」には該当しない。
したがって、イミダゾール環の窒素原子N1は、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
したがって、δ−カルボリンの二つの窒素原子のうち、ピリジン環の窒素原子N3は本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当するが、ピロール環の窒素原子N4はこれに該当しない。
このように、ピリジン環やピロール環は、その骨格が縮環化合物中に組み込まれている場合でも、その効果が阻害されたり抑制されたりすることはなく、単環として利用したときとなんら相違はない。
本発明の透明電極1において、中間層1aに含有される化合物としては、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の透明電極1において、中間層1aに含有される化合物としては、下記一般式(II)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
以下に、本発明に係る中間層1aに含有される有機化合物の具体例(例示化合物(1)〜(49))とその双極子モーメント(デバイ)を示すが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の中間層1aに含有される有機化合物の合成方法の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
200mlナスフラスコに、化合物1(20g、0.11mol)、化合物2(1.2eq.)、K2CO3(3.5eq.)及びPd(PPh3)4(0.02eq.)を含むDME(ジメチルエーテル)(100ml)溶液を加えて、窒素雰囲気下、90℃で12時間加熱撹拌した。
その後、室温(25℃)まで戻し、溶液を分液ロートに移して抽出を行った。酢酸エチルと飽和食塩水を加えて有機相と水相に分離した後、有機相を取り出し、減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体1の白色固体(16.2g、収率75%)を得た。
200mlナスフラスコに、中間体1(16g、0.078mol)及びNBS(N−ブロモスクシンイミド)(1.0eq.)を含むDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)(120ml)溶液を加えて、窒素雰囲気下、60℃で12時間加熱撹拌した。
その後、室温(25℃)まで戻し、溶液を分液ロートに移して抽出を行った。酢酸エチルと飽和食塩水を加えて有機相と水相に分離した後、有機相を取り出し、減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体2の白色固体(8.5g、収率37%)を得た。
200mlナスフラスコに、中間体2(8.0g、0.078mol)及びNaH(2.0eq.)を含むDMSO(ジメチルスルホキシド)(40ml)溶液を加えて、窒素雰囲気下、140℃で5時間加熱撹拌した。
その後、室温(25℃)まで戻し、溶液を分液ロートに移して抽出を行った。酢酸エチルと飽和食塩水を加えて有機相と水相に分離した後、有機相を取り出し、減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体3の白色固体(5.5g、収率27%)を得た。
100mlナスフラスコに、中間体3(5.5g、0.021mol)、δ−カルボリン(1.1eq.)、K3PO4(3eq.)、Cu2O(0.2eq.)及びジピバロイルメタン(0.5eq.)を含むDMSO(30ml)溶液を加えて、窒素雰囲気下、150℃で12時間還流した。
その後、室温(25℃)まで戻し、溶液を分液ロートに移して抽出を行った。酢酸エチルと飽和食塩水を加えて有機相と水相に分離した後、有機相を取り出し、減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体4の白色固体(5.9g、収率80%)を得た。
100mlナスフラスコに、中間体4(5.9g、0.017mol)及びNBS(0.9eq.)を含むDMF(30ml)溶液を加えて、窒素雰囲気下、60℃で8時間加熱撹拌した。
その後、室温(25℃)まで戻し、溶液を分液ロートに移して抽出を行った。酢酸エチルと飽和食塩水を加えて有機相と水相に分離した後、有機相を取り出し、減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体5の白色固体(3.2g、収率44%)を得た。
50mlナスフラスコに、中間体5(3.0g、0.0085mol)、δ−カルボリン(1.1eq.)、K3PO4(3eq.)、Cu2O(0.2eq.)及びジピバロイルメタン(0.5eq.)を含むDMSO(30ml)溶液を加えて、窒素雰囲気下、150℃で15時間還流した。
その後、室温(25℃)まで戻し、溶液を分液ロートに移して抽出を行った。酢酸エチルと飽和食塩水を加えて有機相と水相に分離した後、有機相を取り出し、減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、例示化合物(13)の白色固体(3.0g、収率67%)を得た。
導電性層1bは、銅、金又は白金を主成分として構成されている層であって、中間層1a上に成膜された層である。中でも、導電性層1bは、銅を主成分として構成されていることが好ましい。
また、導電性層1bは、中間層1a上に成膜されることにより、導電性層成膜後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
層厚が20nmより薄いと、層の吸収成分又は反射成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するためより好ましい。また、層厚が5nmより厚いと、層の導電性が十分になるため好ましい。
以上のような構成の透明電極1は、双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物を用いて構成されている中間層1a上に、銅、金又は白金を主成分として構成されている導電性層1bを設けた構成である。これにより、中間層1aの上部に導電性層1bを成膜する際には、導電性層1bを構成する銅、金又は白金原子が中間層1aを構成する有機化合物と相互作用し、銅、金又は白金原子の中間層1a表面においての拡散距離が減少し、銅、金又は白金の凝集が抑えられる。
したがって、導電性を確保するには層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が下がるため、透明電極としては不適であった。
このように中間層1a及び中間層1cで導電性層1bを挟み込む構造とすることによって、導電性層1bを構成する銅、金又は白金原子が中間層1a及び中間層1cを構成する「双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物」と相互作用し、銅、金又は白金原子の中間層1a及び中間層1c表面における拡散距離が減少し、銅、金又は白金の凝集の生成をより確実に抑制することができる。その結果、十分な導電性が確保され、光透過性の向上、高温保存下における長寿命化及び高保存性を図ることのできる透明電極とすることができる。
上述した構成の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、タッチパネル、液晶表示素子、有機EL素子、LED(light Emitting Diode)、太陽電池等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて光透過性を必要とされる電極部材として、上述の透明電極1を用いることができる。
以下では、用途の例として、本発明の透明電極1を用いたタッチパネル及び液晶表示素子の実施の形態を説明する。また、透明電極1に用いる金属として銅(Cu)を例にして説明する。
(電極パターンを有する透明電極の形成方法)
本発明の透明電極1においては、上記のように透明基材11上に、本発明に係る中間層3(図1では中間層1aに相当)及び導電性層である銅薄膜電極5(図1では導電性層1bに相当)を積層した後、フォトリソグラフィー法により、好ましくは少なくとも有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、例えば、図10〜図12に示すような電極パターンを形成することができる。
本発明に用いられるエッチング液は、少なくとも有機溶媒を含有していることが好ましい。有機溶媒として、特に制限はないが、中間層3に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
本発明に用いられるエッチング液に適用可能なエーテルアルコールとしては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、その中でも、ジエチレングリコールが好ましい。
本発明に用いられるエッチング液に適用可能なケトンとしては、例えば、アセトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等を挙げることができるが、その中でも、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
本発明に用いられるエッチング液に適用可能なエステルとしては、例えば、ギ酸イソアミル、ギ酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等を挙げることができ、その中でも、酢酸エチルが好ましい。
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
次いで、上記のようにして作製されるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
図10は、上述したタッチパネル用の透明電極1を用いたタッチパネル21の概略構成を示す斜視図である。また、図11は、タッチパネル21の電極構成を示す2枚の透明電極1−1及び1−2の平面図である。
図10及び図12に示す透明基材11は、先の透明電極1で説明した透明な基材11と同様である。
第1の中間層3−1は、先の透明電極1で説明した中間層3(図1では中間層1a)であり、透明基材11上に成膜されている。ここでは一例として、第1の中間層3−1は、透明基材11に銅薄膜電極5−1と同一形状にパターニングされている。
第1の銅薄膜電極5−1は、先の透明電極で説明した銅薄膜電極5(図1では導電性層1b)であり、図11(a)に示すように、第1の中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
第2の中間層3−2は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、透明電極1−1上に成膜されていて、第2の銅薄膜電極5−2と同一形状にパターニングされている。
第2の銅薄膜電極5−2は、先の透明電極1で説明した銅薄膜電極5であり、図11(b)に示すように、第2の中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
図10及び図13に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基材11と同様のものが用いられる。また、この前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いてもよい。このような前面板13は、例えば、接着剤15(図13参照。)によって第2の透明電極1−2側に張り合わせられていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基板などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
以上のようなタッチパネル21は、2層の透明電極1−1及び1−2として、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えたタッチパネル用の透明電極1を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
図14は、本発明で特に好ましく適用することができるタッチパネルの構成を説明するための断面模式図であり、図12に示したA−A断面に相当する図である。この図に示すタッチパネル21aは、2枚の透明基材11−1及び11−2の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2をそれぞれ設けた構成であり、それ以外の構成は先に説明した実施形態1と同様である。このため、先の実施形態1のタッチパネル21と同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
図14に示すような構成のタッチパネル21aであっても、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えたタッチパネル用透明電極1を用いたことにより、先に説明した実施形態1のタッチパネル21と同様に大型化が可能であり、タッチパネル21aを介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
図15は、タッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図12のA−A断面に相当する図である。図15に示すタッチパネル21bは、透明基材11の両面に第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1及び2と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
このような実施形態3のタッチパネル21bあっても、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えたタッチパネル用透明電極1を用いたことにより、先に説明した実施形態のタッチパネルと同様に大型化が可能であり、タッチパネル21bを介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
図16に、本発明の透明電極を用いた液晶表示素子の構成を示す概略断面図を示す。この液晶表示素子の構成は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に説明するように、透明電極1〜67を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極1〜4は、導電性層のみからなる単層構造の透明電極として作製し、透明電極5〜67は、中間層と導電性層との積層構造の透明電極として作製した。
まず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を充填し、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基材上に層厚5nmの銅からなる導電性層を成膜し、単層構造の透明電極1を作製した。
透明電極1の作製において、導電性層の層厚をそれぞれ8nm、10nm、15nmに変更した以外は同様にして、透明電極2〜4を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記構造式に示すET−1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅を充填し、第2真空槽内に取り付けた。
透明電極5の作製において、中間層の構成材料をそれぞれ下記構造式に示すET−2〜ET−4に変更した以外は同様にして、透明電極6〜8を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、本発明の例示化合物(1)をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀を充填し、第2真空槽内に取り付けた。
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、本発明の例示化合物(1)をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅を充填し、第2真空槽内に取り付けた。
透明電極10の作製において、導電性層の層厚をそれぞれ8nm、10nm、20nmに変更した以外は同様にして、透明電極11〜13を作製した。
透明電極11の作製において、導電性層の構成材料をそれぞれ金(Au)、白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極14及び15を作製した。
透明電極10の作製において、中間層の構成材料を表1〜3に記載の例示化合物に変更した以外は同様にして、透明電極16〜63を作製した。
透明電極27、51、62及び63の作製において、基材を無アルカリガラスからPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに変更した以外は同様にして、透明電極64〜67を作製した。
作製した透明電極1〜67について、下記の方法に従い、光透過率、シート抵抗値、高温保存安定性(光透過率の変化量)及び保存性の測定、評価を行った。
作製した各透明電極について、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、各透明電極の基材をリファレンスとして、波長550nmにおける光透過率(%)を測定した。
測定結果を表1〜3に示す。
作製した各透明電極について、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)を測定した。
測定結果を表1〜3に示す。
作製した各透明電極について、高温環境下(80℃)で150時間保存し、光透過率を測定して、その変化量を算出した。
測定結果を表1〜3に示す。
なお、各透明電極の光透過率の変化量は、透明電極9の光透過率の変化量を100とする相対値で示している。
作製した各透明電極について、THF溶液中(25℃)に浸漬し、シート抵抗値が初期値の2倍のシート抵抗値となるまでに要する時間を求め、これを保存性の指標とした。
測定結果を表1〜3に示す。
なお、各透明電極の保存性は、透明電極9の保存性を100とする相対値で示している。
表1〜3から明らかなように、本発明の透明電極10〜67は、いずれも光透過率が63%以上であり、シート抵抗値が9.7Ω/□以下に抑えられている。これに対して、比較例の透明電極1〜9は、光透過率が63%未満のものがあり、しかもシート抵抗値が9.7Ω/□を超えるものがあった。
また、高温保存安定性(光透過率の変化量)及び保存性においても、本発明の透明電極10〜67が、比較例の透明電極1〜9と比較して、優れていることがわかる。
1a,1c 中間層
1b 導電性層
3,3−1,3−2 中間層
5,5−1,5−2 銅薄膜電極
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン(第1の銅薄膜電極)
5y1,5y2、5y3等 y電極パターン(第2の銅薄膜電極)
6 レジスト膜
6A 領域
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11 基材、透明基材
13 前面板
15 接着剤
17,17x,17y 配線
21,21a タッチパネル
100 液晶表示素子
101A,101B 偏光フィルター
102A,102B ガラス基板
1A,1B 透明電極
103 カラーフィルター
104A,104B 配向膜
105 液晶
106 スペーサー
Claims (7)
- 導電性層と、前記導電性層に隣接して設けられる中間層と、を備える透明電極であって、
前記導電性層が、銅、金又は白金を主成分として構成され、
前記中間層には、双極子モーメントが5.0〜25.0デバイの範囲内である有機化合物が含有されていることを特徴とする透明電極。 - 前記導電性層が、銅を主成分として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
- 前記有機化合物が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
- 前記一般式(I)又は一般式(II)で表される構造を有する有機化合物の双極子モーメントが、9.0〜20.0デバイの範囲内であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の透明電極。
- 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明電極を備えることを特徴とする電子デバイス。
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