JP6241268B2 - 透明電極及び電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、透明電極及び電子デバイスに関し、特に、高い光透過性、低いシート抵抗値、寿命の向上及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制が可能な透明電極、当該透明電極を備えた光透過性に優れ、駆動電圧及び定電流下での電圧変化を低減することができる電子デバイスに関する。
タッチパネル、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池等の電子デバイスでは、光取出し側の電極(透明電極)としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide、以下、「ITO」と略記。)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った材料の検討が、例えば、特開2002−15623号公報、特開2006−164961号公報においてなされている。しかしながら、ITOはレアメタルであるインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗を下げるためには成膜後に300℃程度でアニール処理する必要があり、さらなる低抵抗の要望に対しては限界がある等の問題を抱えていた。
近年、上記問題を踏まえ、透明電極の構成材料として、銀(Ag)を適用した検討がなされている。銀は、上記ITOに比べると、導電性には優れているが、抵抗特性と透過率のトレードオフという問題を有している。
このような状況において、電気伝導率の高い銀とマグネシウム(Mg)との合金を用いて薄膜を構成する技術や、インジウムに代えて、安価で入手容易な金属材料を原料として薄膜を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1に記載の発明では、電極材料として銀とマグネシウムの合金を用いることにより、銀単独で形成した電極に比べ、薄膜条件で所望の導電性を得ることができ、透過率と導電性の両立を図ることができるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法で得られる電極のシート抵抗値は、せいぜい100Ω/□前後で、透明電極の導電性としては不十分であり、駆動電圧を低くできないという問題に加えて、マグネシウムは酸化されやすい特性であるため、長期間にわたる保存により性能が劣化しやすいという問題を抱えている。
また、特許文献2に記載されている発明では、インジウム(In)の代わりに、安価で入手が容易な亜鉛(Zn)やスズ(Sn)などの金属材料を原料として用いた透明導電膜が開示されている。しかしながら、これらの代替金属では、十分に抵抗値が下がらないこと、加えて、亜鉛を含有したZnO系の透明導電膜は、水と反応して性能が変動しやすいという特性を有している。また、スズを含有したSnO系の透明導電膜は、エッチングによる加工が困難であるとの問題を有していることが判明した。
一方、膜厚が15nm程度の薄膜で、透過性が高い銀膜を蒸着して陰極として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3で提案されている方法では、形成している銀膜は、電極としてはいまだ厚いため、透明電極としての光透過率(透過性)が十分でなく、マイグレーション(原子の移動)を起こしやすい。また、銀膜を更に薄くすると、導電性等を維持することが難しくなるため、光透過性と導電性を両立する技術の開発が切望されている。
我々は既に、銀薄膜と当該銀薄膜に接する中間層として銀と相互作用の強い有機化合物を用いた透明電極を報告しているが(例えば、特許文献4参照。)、それらはITO電極に対してシート抵抗値、光透過率及び保存性に優れているが、電子デバイス用途としてはさらなる高性能化(導電性及び光透過性等の向上)、耐久性及び寿命に優れた透明電極が求められている。
特開2006−344497号公報 特開2007−031786号公報 米国特許出願公開第2011/0260148号明細書 国際公開第2013/105569号
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高い光透過性、低いシート抵抗値、寿命の向上及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制を実現することのできる透明電極、当該透明電極を備えた光透過性に優れ、駆動電圧及び定電流下での電圧変化を低減することのできる電子デバイスを提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、導電性層と、前記導電性層に隣接して設けられる中間層と、を備え、前記透明電極は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を含有し、前記導電性層は銅、金、又は白金のいずれかの金属元素を主成分として含有していることを特徴とする透明電極により、光透過性に優れ、シート抵抗値が低く、寿命が向上し、かつ、高温保存下でのシート抵抗値変化を抑制した透明電極を実現することができることを見いだし、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性層と、前記導電性層に隣接して設けられる中間層と、を備える透明電極であって、
前記透明電極は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、
前記中間層は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を含有し、
前記導電性層は、銅、金、又は白金のいずれかの金属元素を60質量%以上含有していることを特徴とする透明電極。
2.前記金属が、銅であることを特徴とする第1項に記載の透明電極。
3.前記有機化合物が、2価の硫黄原子を有する下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
Figure 0006241268
[上記一般式(1)において、R及びRは、置換基を表す。]
4.前記有機化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
Figure 0006241268
[上記一般式(2)において、R及びRは、置換基を表す。]
5.前記有機化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
Figure 0006241268
[上記一般式(3)において、Rは、置換基を表す。ただし、水素が脱離してイオン化した構造も含む。]
6.前記有機化合物が、下記一般式(4)で表される構造を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
Figure 0006241268
[上記一般式(4)において、Rは、置換基を表す。]
7.前記導電性層の上に更に第2の中間層を有し、2層の中間層により前記導電性層を挟持した構成であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の透明電極。
8.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の透明電極が具備されていることを特徴とする電子デバイス。
本発明の上記手段により、高い光透過性、低いシート抵抗値、寿命の向上及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制を実現することのできる透明電極を提供することができる。また、当該透明電極を備えた光透過性に優れ、駆動電圧が低く、かつ、定電流下での電圧変化を低減することのできる電子デバイスを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
すなわち、本発明の透明電極は、中間層の上部に、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している導電性層が設けられており、かつ、当該中間層には、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子と親和性のある原子を有する化合物である「非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物」が含有されているという構成である。
これにより、中間層の上部に導電性層を形成する際には、導電性層を構成する銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子が、中間層に含有されている「非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物」と相互作用し、当該中間層表面上での銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素の凝集が抑えられる。
すなわち、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子は、まず銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子と親和性のある「前記硫黄原子を含む有機化合物」を含有する中間層表面上で2次元的な核を形成し、それを中心に2次元の単結晶層を形成するという単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって形成されるようになる。
なお、一般的には、中間層表面において付着した銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子が表面を拡散しながら結合し3次元的な核を形成し、3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に形成しやすいと考えられるが、本発明では、中間層に含有されている「非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物」により、このような様式の島状成長が防止され、単層成長が促進されると推察される。
したがって、薄い層厚でありながらも、均一な厚さの導電性層が得られるようになる。この結果、より薄い層厚として光透過率を保ちつつも、シート抵抗値が低く、かつ、高温保存下でのシート抵抗値変化を抑制することのできる透明電極とすることができる。
また、本発明では、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の原子が中間層に対しより強く相互作用するため、導電性層の上部(導電性層において中間層と隣接しない側)の電子密度が疎になり、この結果、酸化等の反応が抑制され、ひいては、電極寿命が向上したと推察する。
本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図 透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図 電極パターンを有する透明電極対を具備した電子デバイスであるタッチパネルの構成の一例を示す斜視図 タッチパネルを構成する各透明電極の電極パターンの一例を示す平面図 タッチパネルを構成する電極部分の一例を示す平面模式図 タッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明で好適に用いることができるタッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明の透明電極を具備した電子デバイスである液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明の透明電極は、導電性層と、前記導電性層に隣接して設けられる中間層と、を備える透明電極であって、前記透明電極は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を含有し、前記導電性層は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有していることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記有機化合物が、2価の硫黄原子を有する上記一般式(1)で表される構造を有することが、光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制の点から好ましい。
また、前記有機化合物が、上記一般式(2)で表される構造を有することが、光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制の点から好ましい。
また、前記有機化合物が、上記一般式(3)で表される構造を有することが、光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制の点から好ましい。
また、前記有機化合物が、上記一般式(4)で表される構造を有することが、光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制の点から好ましい。
前記導電性層の上に更に第2の中間層を有し、2層の中間層により前記導電性層を挟持した構成であることが、光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制の点から好ましい。
本発明の電子デバイスは、前記透明電極が具備されていることを特徴とする。これによって、光透過性に優れ、駆動電圧が低く、かつ、定電流下での電圧変化を低減することのできる電子デバイスとすることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《1.透明電極》
図1は、実施形態の透明電極の構成の一例を示す概略断面図である。
図1の(a)に示す透明電極1は、透明電極1は、中間層3と、この上部に形成された導電性層5とを積層した2層構造であり、例えば、基材11の上部に、中間層3、導電性層5の順に設けられている。このうち、中間層3は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物が含有されて構成されている層であり、導電性層5は銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している層である。
なお、本発明の透明電極1でいう透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。また、本発明の透明電極1は、シート抵抗値が20Ω/□以下である。ここで、シート抵抗値とは、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式によって測定した値である。
また、本願において、「導電性層の主成分」とは、導電性層を構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分をいう。本発明に係る導電性層は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とし、その構成比率は、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは98質量%以上である。
次に、このような積層構造の透明電極1が設けられる基材11、透明電極1を構成する中間層3及び導電性層5の順に、詳細な構成を説明する。
〔基材11〕
本発明の透明電極1が形成される基材11は、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は、透明であっても不透明であってもよい。本発明の透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、中間層3との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理が施されていても良いし、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていても良い。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。
また、さらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等、電子デバイスの劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を備えた材料であればよく、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
さらに、当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法(CVD:化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition)、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
一方、基材11が不透明なものである場合、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等を用いることができる。
<中間層3>
中間層3は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物が含有されて構成されている層である。このような中間層3が基材11上に形成されたものである場合、その形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法(エレクトロンビーム法)など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
[中間層3に含有される有機化合物]
本発明の透明電極1において、中間層3には、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物が含有されている。
本発明において用いられる前記有機化合物は、好ましくは2価の硫黄原子を有する下記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)又は一般式(4)で表される構造を有する。
Figure 0006241268
Figure 0006241268
Figure 0006241268
Figure 0006241268
上記一般式(1)において、R及びRは、置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基では、1個以上の酸素原子、リン原子を含んでも良い。
無置換の炭化水素基としては、アルキル基又はアリール基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、又はベンジル等の各基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、又はナフチル基等が挙げられる。
炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、又はシアノ基等を挙げることができる。
また、その他の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
上記一般式(2)において、R及びRは、置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、Rと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(3)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、Rと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(4)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、Rと同様の置換基が挙げられる。
〈中間層3に適用可能な有機化合物の具体例〉
以下に、本発明に係る中間層3に含有することができる、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物の具体例としては、下記化合物S−1〜S−10が挙げられる。
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特に、2価の硫黄原子を有する一般式(1)で表される構造を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
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また、一般式(2)で表される構造を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
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また、一般式(3)で表される構造を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
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また、一般式(4)で表される構造を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
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〔導電性層5〕
本発明に係る導電性層5は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している層であって、中間層3上に形成された層である。このような導電性層5の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
また、導電性層5は、中間層3上に形成されることにより、導電性層を形成した後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、形成後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
導電性層5は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を含有する合金から構成されていても良く、そのような合金としては、例えば、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)などが挙げられる。
なお、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素の含有量は、60質量%以上であることを要し、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは98質量%以上である。
本発明に係る導電性層5においては、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
さらに、当該導電性層5は、厚さが5〜20nmの範囲内にあることが好ましく、5〜8nmの範囲内がより好ましい。厚さが20nmより薄いと層の吸収成分、又は反射成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するためより好ましい。また、厚さが5nmより厚いと層の導電性が十分になるため好ましい。
なお、以上のような中間層3とこの上部に形成された導電性層5とからなる積層構造の透明電極1は、さらに、導電性層5の上部が保護膜で覆われていても良いし、別の導電性層が積層されていても良い。この場合、透明電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の導電性層が光透過性を有することが好ましい。
また、中間層3の下部、すなわち中間層3と基材11との間にも、必要に応じた層を設けた構成としても良い。
〔透明電極1の効果〕
以上説明したように、本発明に係る透明電極1は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を用いて構成された中間層3上に、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している導電性層5を設けた構成である。これにより、中間層3の上部に導電性層5を形成する際には、導電性層5を構成する銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子が中間層3を構成する非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物と相互作用し、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子の中間層3表面における拡散距離が減少し、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素の凝集の生成を抑制することができる。
ここで、一般的には、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している導電性層5の形成においては、核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素粒子が島状に孤立しやすく、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難となり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するにはある程度層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が低下し、透明電極としては不適であった。
しかしながら、本発明で規定する構成の透明電極1によれば、上述したように中間層3上において銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素の凝集が抑えられるため、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している導電性層5の形成においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で薄膜成長するようになる。
なお、本発明でいう「透明電極1の透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、中間層3として用いられる上述した各材料は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とした導電性層5と比較して、十分な光透過性を備えた良好な膜である。一方、透明電極1の導電性は、主に導電性層5によって確保される。
したがって、上述のように、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している導電性層5が、より薄い厚さで導電性が確保されたものとなることにより、透明電極1の光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制を図ることが可能になるのである。
なお、本発明の透明電極1の層構成としては、図1(b)に示すように、導電性層5の上部に第2の別の中間層3Aが積層されていても良い。この第2の中間層3Aとしては、中間層3と同様の、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を用いて構成された層である。このように中間層3及び第2の中間層3Aで導電性層5を挟み込む構造とすることによって、導電性層5を構成する銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子が中間層3及び第2の中間層3Aを構成する非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物と相互作用し、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属の原子の中間層3及び第2の中間層3A表面における拡散距離が減少し、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素の凝集の生成をより確実に抑制することができる。その結果、十分な導電性が確保され、光透過性の向上、低いシート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制を図ることのできる透明電極とすることができる。
《2.透明電極の用途》
上記構成からなる本発明の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、LED(light Emitting Diode)、太陽電池等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて、光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極1を用いることができる。
〔タッチパネル〕
以下、本発明の透明電極を適用した電子デバイスの一例として、本発明の透明電極にフォトリソグラフィー法による電極パターンを形成したのち、それをタッチパネルへの適用する例について説明する。
(透明電極のパターニング)
透明な基材11(以下、「透明基材11」ともいう。)上に、中間層3と当該中間層3に隣接して、銅、金、又は白金を主成分とする導電性層5を有する本発明の透明電極1は、例えば、フォトリソグラフィー法により、例えば、有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、図3〜図5に示すような電極パターンを形成することができる。
〈エッチング液:有機溶媒〉
本発明において、エッチング液としては、少なくとも有機溶媒を含有していることが好ましく、有機溶媒として、特に制限はないが、中間層に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
また、本発明においては、エッチング液に、上記有機溶媒とともに、銅、金、又は白金で構成される電極層をより完全に溶解して除去する目的で、各金属元素の溶剤を併用することもできる。
〈製造工程〉
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチング処理及びレジスト剥離の各工程を経ることにより、透明電極を、図3〜図5に示すような所望のパターンに加工する方法である。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所期のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。次いで、形成されたレジストパターンを、必要に応じて前処理又はポストベークを実施してから、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチングで、レジストで保護されていない領域の中間層の溶解及び電極層の除去を行う。エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所期のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所期の目的に応じて容易に選定することができる。
次いで、図を交えて、本発明に適用可能な電極パターンの形成方法について説明する。
図2は、透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図である。
第1ステップとして、図2の(a)で示すように、透明基材11上に中間層3及び導電性層5を積層して、未加工の透明電極1を作製する。
次いで、図2の(b)で示すレジスト膜の形成工程で、導電性層5上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜6を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング及びスリットコーティングなどの公知の方法によって電極層上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークすることができる。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50〜150℃の範囲内で30秒〜30分間行うことができる。
次いで、図2の(c)に示す露光工程で、所定の電極パターンにより作製したマスク7を介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)及びパラレルライトマスクアライナーなどの露光機8を用いて、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜6Aに照射する。露光光源に制限はなく、紫外線及び電子線や、KrF(波長248nm)レーザー及びArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、図2の(d)に示す現像工程で、露光済みの透明電極を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜6Aを溶解する。
現像方法としては、シャワー、ディッピング及びパドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド及びコリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50℃以上150℃以下の範囲で乾燥ベークを行ってもよい。
次いで、図2の(e)に示すように、上記説明したエッチング液9を用いたエッチング処理を行う。
具体的には、例えば、エーテルアルコール、ケトン又はエステル等の有機溶媒を含むエッチング液に、透明電極1を浸漬し、レジスト膜6で保護されていない領域の中間層3を溶解するとともに及び中間層に保持されている薄膜の電極層も同時に除去することにより、所定の電極パターンを形成する。
最後に、図2の(f)に示すように、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製のN−300に浸漬して、導電性層5上のレジスト膜6を除去する。
《タッチパネルの構成》
次いで、本発明の透明電極を適用することができるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
〔実施形態1:2枚の透明基材上に2層の透明電極を設けた構成〕
図3は、上述した本発明の透明電極を用い、後述の図6で示す構成からなるタッチパネル21の概略構成を示す斜視図である。また、図4は、タッチパネル21の電極構成を示す2枚の透明電極1−1及び1−2の平面図である。
これらの図に示すタッチパネル21は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル21は、2枚の透明基材11(第1の透明基材11−1及び第2の透明基材11−2)の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2がこの順に配置され、この上部が前面板13で覆われている。
第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2は、それぞれが、図1及び図2を用いて説明したタッチパネル用の電極パターンが形成された透明電極1である。したがって、第1の透明電極1−1は、第1の中間層3−1と第1の導電性層5−1とがこの順に積層された構成である。同様に第2の透明電極1−2は、第2の中間層3−2と第2の導電性層5−2とがこの順に積層された構成である。
以下、タッチパネル21を構成する主要各層の詳細を、第1の透明基材11−1、第2の透明基材11−2側から順に説明する。なお、ここでは、図3及び図4とともに、図5の電極部分の平面模式図及び、そのA−A断面に相当する図6の断面模式図を用いて説明を行う。また、図1及び図2で説明したと同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(透明基材11)
図3〜図5までに示す第1の透明基材11−1、第2の透明基材11−2は、先の透明電極1で説明した基材11である。
(第1の中間層3−1(第1の透明電極1−1))
第1の中間層3−1は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基材11上に成膜されている。ここでは一例として、第1の中間層3−1は、第1の透明基材11−1に導電性層5−1と同一形状にパターニングされている。
(第1の導電性層5−1(第1の透明電極1−1))
第1の導電性層5−1は、先の透明電極で説明した導電性層5であり、第1の中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
また、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等には、それぞれの端部にx配線17xが接続されている。これらのx配線17xは、第1の透明基材11−1上における周縁領域において配線され、第1の透明基材11−1の端縁に引き出されている。このような各x配線17xは、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と同様に、銅、金、又は白金を主成分とする第1の導電性層5−1として構成されたものである。
(第2の中間層3−2(第2の透明電極1−2))
第2の中間層3−2は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、第2の透明基材11−2上に成膜されていて、第2の導電性層5−2と同一形状にパターニングされている。
(第2の導電性層5−2(第2の透明電極1−2))
第2の導電性層5−2は、先の透明電極1で説明した導電性層5であり、第2の中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
ここで、図5に示すように、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等を構成するひし形のパターン部分は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等を形成するひし形のパターン部分に対して平面視的に重なることのない位置に配置され、重なることのない範囲でできるだけ大きな範囲を占める形状となっている。これにより、第2の透明基材11−2の中央部の領域においては、第1の導電性層5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及び第2の導電性層5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難い構成となっている。
各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、ひし形の電極パターンの連結部分においてのみ、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と積層される。これらの積層部分には、第2の基材11−2及び第2の中間層3−2が挟持され、これによってx電極パターン5x1、5x2、(中略)等とy電極パターン5y1、5y2、(中略)等との絶縁性が確保された状態となっている。
また、積層された第1の基材11−1と第2の基材11−2との間は、ここでの図示を省略した接着剤によって貼り合せられており、この接着剤によっても、第1の導電性層5−1と第2の導電性層5−2とが絶縁される。
また、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、それぞれの端部にy配線17yが接続されている。これらのy配線17yは、第2の透明基材11−2上における周縁領域において配線され、x配線17xと並ぶように第2の透明基材11−2の端縁に引き出されている。このような各y配線17yは、y電極パターン5y1、5y2、(中略)等と同様に、銅、金、又は白金を主成分とする第2の導電性層5−2として構成されたものである。
なお、第2の透明基材11−2の端縁に引き出されたx配線17x及びy配線17yには、フレキシブルプリント基材などが接続される構成となっている。
(前面板13)
図3及び図6に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基材11と同様のものが用いられる。またこの前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いてもよい。このような前面板13は、例えば接着剤15に(図6参照。)よって第2の透明電極1−2側に張り合わせられていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
またこの前面板13には、第1の透明基材11−1及び第2の透明基材11−2の周縁を覆う遮光膜が設けられ、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等から引き出されたx配線17x、及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等から引き出されたy配線17yが、前面板13側から視認されることを防止している。
(タッチパネルの動作)
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基材などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
(タッチパネル21の効果)
以上のようなタッチパネル21は、2層の透明電極1−1及び1−2として、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えた透明電極を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
特に、このタッチパネル21は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びこれに直交して配置された電極パターン5y1、5y2、(中略)等を有する投影型静電容量式である。このため、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、高い導電性が要求される。しかしながら、これらのx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、先に説明したタッチパネル用透明電極の導電性層5であるため、導電性を維持しつつ薄膜化が可能である。したがって、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等自体が視認され難くなり、タッチパネル21を介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
〔実施形態2:透明基材上に2層の透明電極を設けた構成〕
図7は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図7に示すタッチパネル21aは、透明基材11上に第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネル21と同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
〔液晶表示装置への適用〕
次いで、電子デバイスとして液晶表示装置への本発明の透明電極を組み入れた例を説明する。
図8は、本発明の透明電極を具備した液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。液晶表示装置は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
液晶表示装置は、一般に、液晶ディスプレイ、液晶パネルともいわれ、液晶の駆動方式によって、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS及びOCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置が挙げられる。通常、液晶ディプレイとしてTVや液晶パネル等好ましく用いられる方式は、VA(MVA、PVA)型液晶表示装置である。
図8で示す液晶表示装置100は、バックライト側から、出入りの光をコントロールする偏光フィルター101A、電極部から電気が他の領域に漏洩しないようにするガラス基板102A、液晶ディスプレイを駆動するための本発明の透明電極1A、液晶分子を一定方向に配向させるための配向膜104A、液晶105、スペーサー106、他方の配向膜104B、他方の透明電極1B及びRGBのそれぞれのフィルターをかけ、色を表示するカラーフィルター103、他方のガラス基板102B、他方の偏光フィルター101Bで構成され、本発明の透明電極1A及び1Bは、十分な導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ低シート抵抗値を有し、耐久性(耐熱性及び耐酸素性)に優れている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
《透明電極の作製》
以下に示す方法に従って、透明電極1〜66を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極1〜4は、単層構造の透明電極として作製し、透明電極5〜66は、中間層と導電性層との積層構造からなる透明電極を作製した。
〔透明電極1の作製〕
下記に示す方法に従って、単層構造からなる比較例の透明電極1を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、これを真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。一方、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を充填し、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基材上に銅(Cu)からなる厚さ5μmの導電性層の単膜を蒸着して、透明電極1を作製した。
〔透明電極2〜4の作製〕
上記透明電極1の作製において、導電性層の厚さを、それぞれ8nm、10nm及び15nmに変更した以外は同様にして、透明電極2〜4を作製した。
〔透明電極5の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材上に、下記に構造を示すAlqをスパッタ法により厚さ25nmの中間層として形成し、この上部に、透明電極1の作製において、導電性層の形成に用いたのと同様の方法(真空蒸着法)で、厚さが8nmの銅(Cu)からなる導電性層を蒸着によって形成して透明電極5を作製した。
Figure 0006241268
〔透明電極6の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記に示す構造のET−1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
Figure 0006241268
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、ET−1の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に蒸着し、厚さが25nmのET−1からなる中間層を形成した。
次に、中間層を形成した基材を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、厚さ8nmの銅からなる導電性層を蒸着し、中間層とこの上部に銅からなる導電性層を積層した透明電極6を得た。
〔透明電極7及び8の作製〕
透明電極6の作製において、中間層の形成材料の種類をET−1から下記に示す構造のET−2及びET−3にそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極7及び8を作製した。
Figure 0006241268
〔透明電極9〜11の作製〕
上記透明電極6の作製において、導電性層の構成金属元素を銅に代えて、それぞれ銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を用い、かつ、中間層の形成材料の種類を表1〜表3までの記載の条件にした以外は同様にして、単膜の導電性層から構成される透明電極9〜11を作製した。
〔透明電極12〜58の作製〕
上記透明電極6の作製において、中間層の形成材料の種類及び導電性層における銅層の厚さを、それぞれ表1〜表3までに記載の条件に変更した以外は同様にして、透明電極12〜58を作製した。
〔透明電極59〜61の作製〕
上記透明電極53、31、32の作製において、基材の種類を無アルカリガラスからPET(ポリエチレンテレフタレート)に変更した以外は同様にして、透明電極59〜61を作製した。
〔透明電極62の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、化合物S−1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、化合物S−1の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に蒸着し、厚さが25nmの化合物S−1からなる中間層3を形成した。
次に、中間層3を形成した基材を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、厚さ8nmの銅からなる導電性層5を蒸着した。
次に、導電性層5を形成した基材を真空状態のまま第1真空槽に移し、第1真空槽を44×10−4Paまで減圧した後、化合物S−1の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に蒸着し、厚さが15nmの化合物S−1からなる第2の中間層3Aを形成した。
化合物S−1からなる中間層3の上部に銅からなる導電性層5を積層し、さらにこの上部に化合物S−1からなる第2の中間層3Aを積層した透明電極62を得た。
〔透明電極63〜66の作製〕
透明電極59の作製において、中間層3、3Aの形成材料を表2に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極63〜66を作製した。
《透明電極の評価》
上記作製した透明電極1〜66について、下記の方法に従って、光透過率、シート抵抗値及び高温保存下でのシート抵抗値変化の測定を行った。
〔光透過率の測定〕
上記作製した各透明電極について、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U−3300)を用い、各透明電極の作製に用いた基材をリファレンスとして、波長550nmにおける光透過率(%)を測定した。
〔シート抵抗値の測定〕
上記作製した各透明電極について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
〔高温保存下でのシート抵抗値変化(シート抵抗値の変化比率)〕
上記作製した各透明電極について、大気下、120℃、300時間後のシート抵抗値の変化比率を測定した。
シート抵抗値の変化比率=(初期のシート抵抗値−300時間後のシート抵抗値)/初期のシート抵抗値×100
各透明電極のシート抵抗値の変化比率は、透明電極5の変化比率を100とする相対値で表示した。
〔リン酸緩衝液に浸漬下の耐久性(電極寿命)〕
リン酸緩衝液として市販されている、Phosphate pH Standard Solution リン酸塩pH 標準液 第2種(pH 7.41)(和光純薬工業(株))をビーカーに入れ、溶液の温度が25℃を保つように調整した。
作製した透明電極を、導電性領域の面積(5cm×5cm)がリン酸緩衝液に完全に浸漬するようにして静置させ、20分間おきに取り出してその都度シート抵抗値を測定した。
リン酸塩緩衝液浸漬下の電極寿命として、透明電極5のシート抵抗値が初期値の2倍となるに要する時間を100とする相対値を求めた。
測定結果を表1〜3までに示す。
以上により得られた結果を、表1〜表3までに示す。
Figure 0006241268
Figure 0006241268
Figure 0006241268
表1〜表3までに記載の結果より明らかなように、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を用いて形成した中間層上に、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とした導電性層を設けた本発明の透明電極10〜61は、いずれも光透過率52%以上であり、かつシート抵抗値が10Ω/□以下に抑えられている。また、高温保存下でのシート抵抗値の変化比率は、64以下に抑えられている。さらに、本発明の透明電極10〜61は、耐久性(電極寿命)についても、104以上に向上している。
上記結果により本発明が、中間層を、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を用いて形成することにより、その上に形成する銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とした導電性層の凝集やモトルの発生を抑制することができ、ある程度の厚さを有する銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とした導電性層を形成しても、銅、金及び白金の凝集が抑制され、高い光透過性、低いシート抵抗値、寿命の向上及び高温保存下でのシート抵抗値変化の抑制を実現されることが示された。
さらに、導電性層を2層の中間層で狭持した構成とした透明電極62〜66においても、より好ましい結果を得ることができることを確認することができた。
これに対し、中間層を有していない比較例の透明電極1〜4では、銅層である導電性層の厚さを厚くするに従い、シート抵抗値の低下は認められるものの、導電性層形成時の銅の凝集(モトル)に起因する光透過率の低下が著しくなり、光透過性とシート抵抗値の両立を達成することができない。さらに、高温保存下でのシート抵抗値の変化比率は測定できなかった。
また、中間層としてAlq、ET−1〜ET−3を用いた透明電極5〜8でも、光透過率が低く、かつシート抵抗値が所望の条件まで低下させることができなかった。さらに、高温保存下でのシート抵抗値の変化比率は100以上と大きかった。
さらに、銀を主成分とした導電性層を設けた透明電極9では、耐久性(電極寿命)が97となり、本発明に比べ低い数値を示した。
1、1−1、1−2、1A、1B 透明電極
3、3A、3−1、3−2 中間層
5、5−1、5−2 導電性層
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン(第1の導電性層)
5y1、5y2、5y3等 y電極パターン(第2の導電性層)
6 レジスト膜
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11 透明基板
13 前面板
15 接着剤
17、17x、17y 配線
21、21a タッチパネル
100 液晶表示装置
101A、101B 偏光フィルター
102A、102B ガラス基板
103 カラーフィルター
104A、104B 配向膜
105 液晶
106 スペーサー

Claims (8)

  1. 導電性層と、前記導電性層に隣接して設けられる中間層と、を備える透明電極であって、
    前記透明電極は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、
    前記中間層は、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を含有し、
    前記導電性層は、銅、金及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を60質量%以上含有していることを特徴とする透明電極。
  2. 前記金属元素が、銅であることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
  3. 前記有機化合物が、2価の硫黄原子を有する下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
    Figure 0006241268
    [上記一般式(1)において、R及びRは、置換基を表す。]
  4. 前記有機化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
    Figure 0006241268
    [上記一般式(2)において、R及びRは、置換基を表す。]
  5. 前記有機化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
    Figure 0006241268
    [上記一般式(3)において、Rは、置換基を表す。ただし、水素が脱離してイオン化した構造も含む。]
  6. 前記有機化合物が、下記一般式(4)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
    Figure 0006241268
    [上記一般式(4)において、Rは、置換基を表す。]
  7. 前記導電性層の上に更に第2の中間層を有し、2層の中間層により前記導電性層を挟持した構成であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明電極。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の透明電極が具備されていることを特徴とする電子デバイス。
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