JP6187240B2 - 透明電極及び電子デバイス - Google Patents

透明電極及び電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP6187240B2
JP6187240B2 JP2013264970A JP2013264970A JP6187240B2 JP 6187240 B2 JP6187240 B2 JP 6187240B2 JP 2013264970 A JP2013264970 A JP 2013264970A JP 2013264970 A JP2013264970 A JP 2013264970A JP 6187240 B2 JP6187240 B2 JP 6187240B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
transparent electrode
conductive layer
electrode
transparent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013264970A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015122184A (ja
Inventor
秀謙 尾関
秀謙 尾関
貴之 飯島
貴之 飯島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2013264970A priority Critical patent/JP6187240B2/ja
Publication of JP2015122184A publication Critical patent/JP2015122184A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6187240B2 publication Critical patent/JP6187240B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、透明電極及び電子デバイスに関し、特には、導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ耐久性(光透過率安定性及び電極寿命)が向上した透明電極と、この透明電極を用いた電子デバイスに関する。
タッチパネル、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池等の電子デバイスでは、光取出し側の電極(透明電極)としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide、以下、「ITO」と略記。)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った材料の検討が、例えば、特開2002−15623号公報、特開2006−164961号公報においてなされている。しかしながら、ITOはレアメタルであるインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗を下げるためには成膜後に300℃程度でアニール処理する必要があり、さらなる低抵抗の要望に対しては限界がある等の問題を抱えていた。
近年、上記問題を踏まえ、透明電極の構成材料として、銀を適用した検討がなされている。銀は、上記ITOに比べると、導電性には優れているが、抵抗特性と光透過率のトレードオフという問題を有している。
このような状況において、電気伝導率の高い銀(Ag)とマグネシウム(Mg)との合金を用いて薄膜を構成する技術や、インジウムに代えて、安価で入手容易な金属材料を原料として薄膜を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1に記載の発明では、電極材料として銀とマグネシウムの合金を用いることにより、銀単独で形成した電極に比べ、薄膜条件で所望の導電性を得ることができ、光透過率と導電性の両立を図ることができるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法で得られる電極の抵抗値は、せいぜい100Ω/□前後で、透明電極の導電性としては不十分であり、駆動電圧を低くできないという問題に加えて、マグネシウムは酸化されやすい特性であるため、長期間にわたる保存により性能が劣化しやすいという問題を抱えている。
また、特許文献2に記載されている発明では、インジウム(In)の代わりに、安価で入手が容易な亜鉛(Zn)やスズ(Sn)などの金属材料を原料として用いた透明導電膜が開示されている。しかしながら、これらの代替金属では、十分に抵抗値が下がらないこと、加えて、亜鉛を含有したZnO系の透明導電膜は、水と反応して性能が変動しやすいという特性を有している。また、スズを含有したSnO系の透明導電膜は、エッチングによる加工が困難であるとの問題を有していることが判明した。
一方、層厚が15nm程度の薄膜で、光透過性が高い銀膜を蒸着して陰極として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3で提案されている方法では、形成している銀膜は、電極としてはいまだ厚いため、透明電極としての光透過率(透明性)が十分でなく、マイグレーション(原子の移動)を起こしやすい。また、銀膜を更に薄くすると、導電性等を維持することが難しくなるため、光透過性と導電性を両立する技術の開発が切望されている。
一方、本発明者らは、銀薄膜とその下部に中間層を有する透明電極において、下地となる中間層中に、銀と相互作用を有するジアザカルバゾール誘導体を含有させることにより、形成する銀薄膜の連続造膜性を向上させ、より均一の銀薄膜を形成することにより、低抵抗化、高透過性及び保存性を達成している(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、近年、電子デバイスに対する要求がより高まり、特に、大面積化に対する要望に対し、より低抵抗化が求められており、視認性の面ではさらなる高光透過性、また数十年以上の電子デバイス寿命を可能にするには、長期間にわたり使用した際の高い透過率安定性と、電極寿命が要望されている。
特開2006−344497号公報 特開2007−031786号公報 米国特許出願公開第2011/0260148号明細書 国際公開第2013/105569号
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、十分な導電性と光透過性を兼ね備え、かつ耐久性(光透過率安定性及び電極寿命)に優れた透明電極と、当該透明電極を具備した電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、中間層と、当該中間層に隣接して設けられる導電性層とを積層した構成とし、中間層にハロゲン原子を有する有機化合物を含有せしめ、前記導電性層が銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成される透明電極により、従来にない高い光透過率と、低いシート抵抗値を備えた透明電極により、優れた導電性と光透過性とを両立することができ、かつ耐久性(光透過率安定性)と電極寿命に優れた透明電極と、これを用いた電子デバイスを実現することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.中間層と、当該中間層に隣接して設けられる導電性層を有する透明電極であって、
波長550nmにおける光透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層はハロゲン原子を有する有機化合物を含有し、前記導電性層が、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されていることを特徴とする透明電極。
2.前記導電性層が主成分として含有する金属元素が、銅であることを特徴とする第1項に記載の透明電極。
3.前記有機化合物が有するハロゲン原子が、臭素原子又はヨウ素原子であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
4.前記ハロゲン原子を有する有機化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明電極。
一般式(1)
(R)k−Ar−〔(L)−X〕
〔式中、Arは芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Xはハロゲン原子を表し、mは1〜5の整数である。Lは直接結合又は2価の連結基を表し、nは0又は1を表す。Rは水素原子又は置環基を表す。kは1〜5の整数を表す。〕
5.前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第4項に記載の透明電極。
Figure 0006187240
〔式中、Xはハロゲン原子を表し、m1〜m3は各々0〜5の整数である。ただし、m1+m2+m3は少なくとも1以上である。Lは直接結合又は2価の連結基を表し、n1〜n3は各々0又は1を表す。〕
6.前記導電性層の上に更に第2の中間層を有し、2層の中間層により前記導電性層を挟持した構成であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の透明電極。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
本発明によれば、十分な導電性と光透過性を兼ね備え、かつ耐久性(光透過率安定性及び電極寿命)に優れた透明電極と、それを具備した電子デバイスを提供することができる。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができた本発明の効果の発現機構並びに作用機構については、全てが明確にはなっていないが、以下のように推察される。
すなわち、本発明の透明電極は、中間層の上部に、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として含有している導電性層が設けられており、かつ当該中間層には、銅又は白金原子と親和性のある原子を有する化合物(以下において、銅又は白金と親和性を有する化合物ともいう。)が含有されているという構成である。
この様な構成とすることにより、中間層上に導電性層を成膜する際には、導電性層を構成する銅又は白金原子が、中間層に含有されている銅又は白金と親和性を有する化合物と相互作用し、当該中間層表面上での銅又は白金原子の拡散距離が減少し、特定箇所での銅又は白金原子の凝集が抑えられる。
すなわち、銅又は白金原子は、まず銅又は白金原子と親和性のある原子を有する化合物を含有する中間層表面上で2次元的な核を形成し,それを中心に2次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
なお、一般的には、中間層表面において付着した銅又は白金原子が表面を拡散しながら結合して3次元的な核を形成し,3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に成膜し易いと考えられるが、本発明では、中間層に含有されている銅又は白金と親和性を有する化合物により、このような島状成長が防止され、層状成長が促進されると推察される。
すなわち、薄膜でありながらも、均一な膜厚を有する導電性層が得られるようになる。この結果、より薄い膜厚として光透過率を保ちつつも、導電性が確保され、耐久性(長期間にわたる使用における光透過率の安定性)及び電極寿命に優れた透明電極を実現することができたものと推測している。
本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図 透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図 電極パターンを有する透明電極対を具備した電子デバイスであるタッチパネルの構成の一例を示す斜視図 タッチパネルを構成する各透明電極の電極パターンの一例を示す平面図 タッチパネルを構成する電極部分の一例を示す平面模式図 タッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明で好適に用いることができるタッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明の透明電極を具備した電子デバイスである液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明の透明電極は、中間層と、当該中間層に隣接して設けられる導電性層を有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層はハロゲン原子を有する有機化合物を含有し、前記導電性層が、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されていることを特徴とし、十分な導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ耐久性(光透過率安定性及び電極寿命)に優れた透明電極を実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項7に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする上記効果をより発現できる観点から、前記導電性層が主成分として含有する金属元素が、銅であることが好ましい。
また、前記有機化合物が有するハロゲン原子が、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。
また、中間層が含有する前記ハロゲン原子を有する有機化合物が、前記一般式(1)で表される構造を有するハロゲン化アリール化合物であることが好ましい。更には、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、前記一般式(2)で表される構造を有するハロゲン化アリール化合物であることが好ましい。
また、本発明の透明電極の層構成としては.基材上に、中間層及び導電性層を積層した後、更に導電性層上に第2の中間層を形成し、2層の中間層により導電性層を挟持した構成であることが好ましい態様の一つである。これにより、銅又は白金原子を主成分とする透明電極の導電性や耐久性を向上することができる。
また、本発明の電子デバイスは、本発明の透明電極を具備していることを特徴とする。 以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《1.透明電極》
図1は、それぞれ本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図である。
図1の(a)に示す透明電極1は、中間層3を有し、この中間層3の上部に導電性層5を積層した2層構造であり、例えば、基材11の上部に、中間層3、導電性層5の順に設けられている。本発明に係る中間層3は、ハロゲン原子を有する有機化合物を含有している層であることを特徴とし、その上に積層する本発明に係る導電性層5は、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている層であることを特徴とする。
なお、本発明において、金属元素を主成分とするとは、導電性層全質量に対し、本発明に係る銅又は白金のそれぞれの金属元素の含有率が90質量%以上であることを意味し、好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、特に好ましくは銅又は白金の金属元素のみの構成である。本発明に係る導電性層5においては、銅又は白金のそれぞれが、他の金属元素と合金を形成することはなく、それぞれ単体の金属元素で構成されていることが最も好ましい態様である。
また、本発明の透明電極1の層構成としては、図1の(b)に示すように、基材11上に、中間層3A及び導電性層5を有し、更に、導電性層5上に、第2の中間層3Bを積層し、中間層3Aと中間層3Bとで導電性層5を挟持する層構成であることも、好ましい態様の一つである。このように、導電性層5上にさらに第2の中間層3Bを設けることにより、金属元素で構成されている導電性層5が、例えば、酸素雰囲気等に直接晒されることがなく、また、第2の中間層3Bで導電性層5が保護されることにより、擦り傷等の発生を防止することができる。
また、本発明においては、中間層3とこの上部に成膜された導電性層5とを有する積層構造の透明電極1においては、更に、導電性層5の上部が保護層で覆われている構成であること、あるいは第2の導電性層が積層されている構成であってもよい。この場合、透明電極1の光透過性を損なうことのないように、保護層及び第2の導電性層は、いずれも高い光透過性を有することが好ましい。また、中間層3の下部、すなわち中間層3と基材11との間にも、必要に応じ、機能層を設けた構成としてもよい。
次に、このような積層構造の透明電極1を保持するのに用いられる基材11と、透明電極1を構成する中間層3及び導電性層5の順に、更に詳細な構成要件について説明する。
〔基材〕
本発明の透明電極1を保持するのに用いられる基材11は、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は、透明であっても不透明であってもよいが、本発明の透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、中間層3との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理が施されていてもよいし、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されている構成であってもよい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名;JSR社製)又はアペル(商品名;三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を用いた樹脂フィルムが挙げられる。
上記樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜(以下、「ガスバリアー膜」ともいう。)や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されている構成であってもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定される水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましい。更には、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
以上のようなガスバリアー性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等の電子デバイスや有機EL素子の劣化をもたらす要因の浸入を抑制する機能を備えた材料であればよく、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に、当該ガスバリアー性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー性フィルムの作製方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法(CVD:化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition)、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
一方、基材11が不透明な材料で構成する場合には、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等を用いることができる。
〔中間層〕
本発明に係る中間層3は、ハロゲン原子を有するハロゲン化合物を用いて構成された層である。このような中間層3が基材11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法(エレクトロンビーム法)など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
(ハロゲン原子を有する有機化合物)
本発明の透明電極1においては、中間層3は、ハロゲン原子を有する有機化合物を含有していることが特徴である。
本発明に係るハロゲン原子を有する有機化合物としては、少なくとも、ハロゲン原子と炭素原子とを含む化合物であり、その構造に特に制限はないが、下記一般式(1)で表されるハロゲン化アリール化合物が好ましい。
以下、本発明に好適に用いることができる一般式(1)で表されるハロゲン化アリール化合物について説明する。
一般式(1)
(R)−Ar−〔(L)−X〕
上記一般式(1)において、Arは芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Xはハロゲン原子を表し、mは1〜5の整数である。Lは直接結合又は2価の連結基を表し、nは0又は1を表す。Rは水素原子又は置環基を表す。kは1〜5の整数を表す。
一般式(1)において、Arで表される芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、あるいはアリール基ともいう。)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等を挙げることができる。
また、Arで表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等を挙げることができる。
本発明においては、Arとしては、芳香族炭化水素環基であることが好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができるが、その中でも、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましく、更に好ましくは、臭素原子又はヨウ素原子である。
mは1〜5の整数を表すが、好ましくは1又は2である。
Lは直接結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、1,2−シクロブタンジイル基、1,2−シクロペンタンジイル基、1,3−シクロペンタンジイル基、1,2−シクロヘキサンジイル基、1,3−シクロヘキサンジイル基、1,4−シクロヘキサンジイル基、1,2−シクロヘプタンジイル基、1,3−シクロヘプタンジイル基、1,4−シクロヘプタンジイル基、など)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフトレン基、1,3−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基など)、ヘテロアリーレン基(例えば、チオフェン−2,5−ジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,3−ピリジンジイル基、2,4−ピリジンジイル基、2,4−ジベンゾフランジイル基、2,8−ジベンゾフランジイル基、4,6−ジベンゾフランジイル基、3,7−ジベンゾフランジイル基、2,4−ジベンゾチオフェンジイル基、2,8−ジベンゾチオフェンジイル基、4,6−ジベンゾチオフェンジイル基、3,7−ジベンゾチオフェンジイル基、1,3−カルバゾールジイル基、1,8−カルバゾールジイル基、3,6−カルバゾールジイル基、2,7−カルバゾールジイル基、1,9−カルバゾールジイル基、2,9−カルバゾールジイル基、3,9−カルバゾールジイル基、4,9−カルバゾールジイル基、など)、−O−基、−CO−基、−O−CO−基、−CO−O−基、−O−CO−O−基、−S−基、−SO−基、−SO−基等を挙げることができる。
Lで表される2価の連結基として、好ましくはアルキレン基であり、更に好ましくはメチレン基である。
nは0又は1を表すが、好ましくは0である。
Rは、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、例えば、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等が挙げられる。これらの置換基のうち、好ましいものはアリール基であり、更に複数のアリール基を有し、これらのアリール基が更にハロゲン原子を置換している構造が好ましい。
kは、1〜5の整数を表す。
本発明においては、一般式(1)で表されるハロゲン化アリール化合物が、更に、下記一般式(2)で表される七つのフェニル基から形成される構造を母核として有する化合物が好ましい。
Figure 0006187240
上記一般式(2)において、Xはハロゲン原子を表し、m1〜m3は、各々0〜5の整数である。ただし、m1+m2+m3は、少なくとも1以上である。Lは直接結合又は2価の連結基を表し、n1〜n3は、各々0又は1を表す。
Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げることができるが、その中でも、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましく、更に好ましくは、臭素原子又はヨウ素原子である。
Lは直接結合又は2価の連結基を表し、一般式(1)におけるLと同義である。
以下に、本発明に係る一般式(1)で表されるハロゲン化アリール化合物の具体的な化合物例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
本発明に係る一般式(1)で表されるハロゲン化アリール化合物は、従来公知の合成方法に準じて、容易に合成することができる。
〔導電性層〕
本発明に係る導電性層5は、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている層で、中間層3上に形成される。本発明に係る導電性層5の成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。上記成膜方法のなかでも、蒸着法が好ましく適用される。また、導電性層5は、中間層3上に成膜されることにより、導電性層成膜後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を発現することができるが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を施しても良い。
本発明でいう銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている層とは、前述のとおり、導電性層5の全質量に対し、本発明に係る銅又は白金のそれぞれの金属元素の含有率が90質量%以上であることを意味し、好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、特に好ましくは銅又は白金の金属元素のみで構成されていることであり、2種以上の金属元素による合金は形成しない。本発明に係る導電性層5においては、銅又は白金のそれぞれが、他の金属元素と合金を形成することはなく、それぞれ単体の金属元素で構成されていることが最も好ましい態様である。本発明においては、導電性層が主成分として含有する金属元素が、銅であることが、特に好ましい。
本発明に係る導電性層5においては、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
更に、当該導電性層5は、層厚が4〜20nmの範囲内であることが好ましい。層厚が20nm以下であれば、層の吸収成分又は反射成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するためより好ましい。また、層厚が4nm以上であれば、層の導電性が十分になるため好ましい。さらに好ましくは、5〜10nmの範囲内である。
〔透明電極の効果〕
以上説明したように、本発明の透明電極1は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物を含有して構成された中間層3上に、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている導電性層5を設けた構成である。これにより、中間層3の上部に導電性層5を成膜する際には、導電性層5を構成する銅又は白金原子が中間層3を構成する芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子と相互作用し、銅又は白金原子の中間層3表面における拡散距離が減少し、銅又は白金の凝集の生成を抑制することができる。
前述のように、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている導電性層5の成膜においては、島状成長型(Volumer−Weber:VW型)で膜成長するため、銅又は白金粒子が島状に孤立し易く、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難となり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するにはある程度層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が低下し、透明電極としては不適であった。
しかしながら、本発明で規定する構成の透明電極1によれば、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物を含有する中間層3上において、窒素原子と銅又は白金との相互作用により、銅又は白金の凝集が抑えられるため、銅又は白金を主成分として構成されている導電性層5の成膜においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で膜成長するようになる。
なお、本発明でいう「透明電極1の透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、中間層3として用いられる上述した各材料は、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とした導電性層5と比較して、十分な光透過性を備えた良好な膜である。一方、透明電極1の導電性は、主に導電性層5によって確保される。したがって、上述のように、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されている導電性層5が、より薄い層厚で導電性が確保されたものとなることにより、透明電極1の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることができたものである。
《2.透明電極の用途》
上記構成からなる本発明の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、LED(light Emitting Diode)、太陽電池等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて、光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極1を用いることができる。
〔タッチパネル〕
以下、本発明の透明電極を適用した電子デバイスの一例として、本発明の透明電極にフォトリソグラフィー法による電極パターンを形成したのち、それをタッチパネルへの適用する例について説明する。
(透明電極のパターニング)
図1の(a)で示した基板11上に、中間層3と当該中間層3に隣接して、銅又は白金を主成分とする導電性層5を有する本発明の透明電極1は、例えば、フォトリソグラフィー法により、例えば、有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、図3〜図5に示すような電極パターンを形成することができる。
〈エッチング液:有機溶媒〉
本発明において、エッチング液としては、少なくとも有機溶媒を含有していることが好ましく、有機溶媒として、特に制限はないが、中間層に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
また、本発明においては、エッチング液に、上記有機溶媒とともに、銅又は白金で構成される導電性層をより完全に溶解して除去する目的で、各金属元素の溶剤を併用することもできる。
〈製造工程〉
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチング処理、レジスト剥離の各工程を経ることにより、透明電極を、図3〜図5に示すような所望のパターンに加工する方法である。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所期のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。次いで、形成されたレジストパターンを、必要に応じて前処理又はポストベークを実施してから、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチングで、レジストで保護されていない領域の中間層の溶解及び導電性層の除去を行う。エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所期のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所期の目的に応じて容易に選定することができる。
次いで、図を交えて、本発明に適用可能な電極パターンの形成方法について説明する。
図2は、透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図である。
第1ステップとして、図2の(a)で示すように、透明基板11上に中間層3及び導電性層5を積層して、未加工の透明電極1を作製する。
次いで、図2の(b)で示すレジスト膜の形成工程で、導電性層5上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜6を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の方法によって導電性層上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークすることができる。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50℃以上、150℃以下の範囲で30秒〜30分間行うことができる。
次いで、図2の(c)に示す露光工程で、所定の電極パターンにより作製したマスク7を介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナーなどの露光機8を用いて、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜6Aに照射する。露光光源に制限はなく、紫外線、電子線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、図2の(d)に示す現像工程で、露光済みの透明電極を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜6Aを溶解する。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50℃以上150℃以下の範囲で乾燥ベークを行ってもよい。
次いで、図2の(e)に示すように、上記説明したエッチング液9を用いたエッチング処理を行う。
具体的には、例えば、エーテルアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒を含むエッチング液に、透明電極1を浸漬し、レジスト膜6で保護されていない領域の中間層3を溶解するとともに及び中間層に保持されている薄膜の導電性層も同時に除去することにより、所定の電極パターンを形成する。
最後に、図2の(f)に示すように、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製のN−300に浸漬して、導電性層5上のレジスト膜6を除去する。
《タッチパネルの構成》
次いで、本発明の透明電極を適用することができるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
〔実施形態1:2枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設けた構成〕
図3は、上述した本発明の透明電極を用い、後述の図7で示す構成からなるタッチパネル21aの概略構成を示す斜視図である。また、図4は、タッチパネル21の電極構成を示す2枚の透明電極1−1及び1−2の平面図である。
これらの図に示すタッチパネル21は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル21は、透明基板11−1、11−2の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2がこの順に配置され、この上部が前面板13で覆われている。
第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2は、それぞれが、図1及び図2を用いて説明したタッチパネル用の電極パターンが形成された透明電極1である。したがって、第1の透明電極1−1は、第1の中間層3−1と第1の導電性層5−1とがこの順に積層された構成である。同様に第2の透明電極1−2は、第2の中間層3−2と第2の導電性層5−2とがこの順に積層された構成である。
以下、タッチパネル21を構成する主要各層の詳細を、透明基板11−1、11−2側から順に説明する。なお、ここでは、図3及び図4とともに、図5の電極部分の平面模式図及び、そのA−A断面に相当する図7の断面模式図を用いて説明を行う。また、図1及び図2で説明したと同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(透明基板11)
図3及び図5に示す透明基板11−1、11−2は、先の透明電極1で説明した基板11(以下、透明基板ともいう。)である。
(第1の中間層3−1(第1の透明電極1−1))
第1の中間層3−1は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、基板11上に成膜されている。ここでは一例として、第1の中間層3−1は、透明基板11−1に導電性層5−1と同一形状にパターニングされている。
(第1の導電性層5−1(第1の透明電極1−1))
第1の導電性層5−1は、先の透明電極で説明した導電性層5であり、第1の中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
また、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等には、それぞれの端部にx配線17xが接続されている。これらのx配線17xは、透明基板11−1上における周縁領域において配線され、透明基板11−1の端縁に引き出されている。このような各x配線17xは、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と同様に、銅又は白金を主成分とする第1の導電性層5−1として構成されたものである。
(第2の中間層3−2(第2の透明電極1−2))
第2の中間層3−2は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基板11−2上に成膜されていて、第2の電極層5−2と同一形状にパターニングされている。
(第2の電極層5−2(第2の透明電極1−2))
第2の電極層5−2は、先の透明電極1で説明した導電性層5であり、第2の中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
ここで、図5に示すように、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等を構成するひし形のパターン部分は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等を形成するひし形のパターン部分に対して平面視的に重なることのない位置に配置され、重なることのない範囲でできるだけ大きな範囲を占める形状となっている。これにより、透明基板11−2の中央部の領域においては、第1の電極層5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及び第2の電極層5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難い構成となっている。
各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、ひし形の電極パターンの連結部分においてのみ、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と積層される。これらの積層部分には、第2の中間層3−2が挟持され、これによってx電極パターン5x1、5x2、(中略)等とy電極パターン5y1、5y2、(中略)等との絶縁性が確保された状態となっている。
また、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、それぞれの端部にy配線17yが接続されている。これらのy配線17yは、透明基板11−2上における周縁領域において配線され、x配線17xと並ぶように透明基板11−2の端縁に引き出されている。このような各y配線17yは、y電極パターン5y1、5y2、(中略)等と同様に、銅又は白金を主成分とする第2の導電性層5−2として構成されたものである。
なお、透明基板11−2の端縁に引き出されたx配線17x及びy配線17yには、フレキシブルプリント基板などが接続される構成となっている。
(前面板13)
図3に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基板11と同様のものが用いられる。またこの前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いても良い。このような前面板13は、例えば接着剤15に(図6参照。)よって第2の透明電極1−2側に張り合わせられていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
またこの前面板13には、透明基板11−1及び11−2の周縁を覆う遮光膜が設けられ、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等から引き出されたx配線17x、及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等から引き出されたy配線17yが、前面板13側から視認されることを防止している。
(タッチパネルの動作)
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基板などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
(タッチパネル21の効果)
以上のようなタッチパネル21は、2層の透明電極1−1及び1−2として、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えた透明電極を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
特に、このタッチパネル21は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びこれに直交して配置された電極パターン5y1、5y2、(中略)等を有する投影型静電容量式である。このため、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、高い導電性が要求される。しかしながら、これらのx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、先に説明したタッチパネル用透明電極の導電性層(電極層)5であるため、導電性を維持しつつ薄膜化が可能である。したがって、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等自体が視認され難くなり、タッチパネル21を介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
図7は、実施形態のタッチパネルで、本発明で特に好ましく適用することができるタッチパネルの構成を説明するための断面模式図であり、図5に示したA−A断面に相当する図である。この図に示すタッチパネル21aは、2枚の透明基板11−1及び11−2の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先に説明した実施形態1と同様である。このため、先の実施形態1のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
すなわち、図7に示すタッチパネル21aは、第1の透明電極1−1が設けられた第1の基板11−1と、第2の透明電極1−2が設けられた第2の基板11−2とを有する。これらの基板11−1及び11−2は、透明電極1−1及び1−2の形成面を同一方向に向け、第1の基板11−1における第1の透明電極1−1の形成面上に、第2の基板11−2が位置するように重ねて配置されている。
第1の基板11−1及び第2の基板11−2は、先の透明電極で説明したと同様の基板11である。また、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2は、それぞれが先の実施形態1と同様の構成であり、それぞれが基板11−1及び11−2上に、中間層3−1及び3−2と、導電性層5−1及び5−2をこの順に積層した構成となっている。
さらに各導電性層5−1及び5−2の構成も、先の実施形態1と同様であり、第1の導電性層5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等、及び第2の電極層5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難いパターン構成及び配置構成となっている。ただし、第1の導電性層5−1と第2の導電性層5−2との間は、第2の基板11−2と第2の中間層3−2とによって絶縁性が確保された状態となっている。
また、積層された第1の基板11−1と第2の基板11−2との間は、ここでの図示を省略した接着剤によって貼り合せられており、この接着剤によっても、第1の電極層5−1と第2の電極層5−2とが絶縁される。
〔実施形態2:透明基板上に2層の透明電極を設けた構成〕
図6は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図6に示すタッチパネル21は、透明基板11上に第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
〔液晶表示装置への適用〕
次いで、電子デバイスとして液晶表示装置への本発明の透明電極を組み入れた例を説明する。
図8は、本発明の透明電極を具備した液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。液晶表示装置は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
液晶表示装置は、一般に、液晶ディスプレイ、液晶パネルともいわれ、液晶の駆動方式によって、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置が挙げられる。通常、液晶ディプレイとしてTVや液晶パネル等好ましく用いられる方式は、VA(MVA,PVA)型液晶表示装置である。
図8で示す液晶表示装置100は、バックライト側から、出入りの光をコントロールする偏光フィルター101A、電極部から電気が他の領域に漏洩しないようにするガラス基板102A、液晶ディスプレイを駆動するための本発明の透明電極1A、液晶分子を一定方向に配向させるための配向膜104A、液晶105、スペーサー106、他方の配向膜104B、他方の透明電極1B、RGBのそれぞれのフィルターをかけ、色を表示するカラーフィルター103、他方のガラス基板102B、他方の偏光フィルター101Bで構成され、本発明の透明電極1A及び1Bは、十分な導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ低シート抵抗値を有し、耐久性(耐熱性及び耐酸素性)に優れている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《透明電極の作製》
以下に示す方法に従って、透明電極1〜84を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極1〜4は、単層構造の透明電極として作製し、透明電極5〜73、透明電極82〜84は、図1の(a)に示す中間層3と導電性層5との積層構造からなる透明電極であり、透明電極74〜81は、図1の(b)に示す中間層3A、導電性層5及び第2の中間層3Bの3層の積層構造からなる透明電極である。
〔透明電極1の作製〕
下記に示す方法に従って、単層構造からなる比較例の透明電極1を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、これを真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。一方、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を装填し、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基材上に銅が100質量%で構成される層厚が5nmの導電性層の単膜を蒸着して、透明電極1を作製した。
〔透明電極2〜4の作製〕
上記透明電極1の作製において、導電性層の層厚を、それぞれ8nm、10nm及び15nmに変更した以外は同様にして、透明電極2〜4を作製した。
〔透明電極5の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材上に、下記に構造を示すAlqをスパッタ法により膜厚25nmの中間層として成膜し、この上部に、透明電極1の作製において、導電性層の形成に用いたのと同様の方法(真空蒸着法)で、層厚が8nmの銅(Cu)からなる導電性層を蒸着成膜して透明電極5を作製した。
Figure 0006187240
〔透明電極6の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記に示す構造のET−1をタンタル製抵抗加熱ボートに装填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、ET−1の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に蒸着し、層厚が25nmのET−1からなる中間層を形成した。
次に、中間層を形成した基材を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、層厚が8nmの銅からなる導電性層を蒸着し、中間層とこの上部に銅からなる導電性層を積層した透明電極6を得た。
〔透明電極7及び透明電極8の作製〕
上記透明電極6の作製において、中間層の形成に用いたET−1を、それぞれ、ET−2、ET−3に変更した以外は同様にして、透明電極7及び透明電極8を作製した。
Figure 0006187240
〔透明電極9の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、本発明の例示化合物(1)をタンタル製抵抗加熱ボートに装填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物(1)の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に蒸着し、層厚が25nmの例示化合物(1)からなる中間層3を形成した。
次に、中間層3を形成した基材を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、層厚が8nmの銀からなる導電性層5を蒸着し、中間層3とこの上部に銀からなる導電性層5を積層した透明電極9を得た。
〔透明電極10の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、本発明の例示化合物(1)をタンタル製抵抗加熱ボートに装填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物(1)の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基材上に蒸着し、層厚が25nmの例示化合物(1)からなる中間層3を形成した。
次に、中間層3を形成した基材を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、層厚が3.5nmの銅からなる導電性層5を蒸着し、中間層3とこの上部に銅からなる導電性層5を積層した透明電極10を得た。
〔透明電極11〜14の作製〕
上記透明電極10の作製において、導電性層5の銅の層厚を、5nm、8nm、10nm、20nmにそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極11〜14を作製した。
〔透明電極15〜55の作製〕
上記透明電極12の作製において、中間層3の形成に用いた例示化合物(1)に代えて、それぞれ表1〜表3に記載の各例示化合物を用いた以外は同様にして、透明電極15〜55を作製した。
〔透明電極56及び57の作製〕
上記透明電極12の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極56及び57を作製した。
〔透明電極58及び59の作製〕
上記透明電極19の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極58及び59を作製した。
〔透明電極60及び61の作製〕
上記透明電極20の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極60及び61を作製した。
〔透明電極62及び63の作製〕
上記透明電極21の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極62及び63を作製した。
〔透明電極64及び65の作製〕
上記透明電極23の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極64及び65を作製した。
〔透明電極66及び67の作製〕
上記透明電極28の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極66及び67を作製した。
〔透明電極68及び69の作製〕
上記透明電極32の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極68及び69を作製した。
〔透明電極70及び71の作製〕
上記透明電極35の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極70及び71を作製した。
〔透明電極72及び73の作製〕
上記透明電極40の作製において、導電性層5の構成金属元素を、それぞれ、金(Au)及び白金(Pt)に変更した以外は同様にして、透明電極72及び73を作製した。
〔透明電極74〜81の作製〕
上記透明電極19、20、21、23、28、32、35及び40の作製において、基材上に中間層3A及び導電性層5を同様の方法で形成した後、更に、導電性層5上に、中間層3の形成と同様の方法で、第2の中間層3Bを形成し、図1の(b)に記載の導電性層5を2層の中間層3A及び3Bで挟持した構成の透明電極74〜81を作製した。
〔透明電極82〜84の作製〕
上記透明電極19、20及び21の作製において、基材を無アルカリガラスからPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに変更した以外は同様にして、透明電極82〜84を作製した。
《透明電極の評価》
上記作製した透明電極1〜84について、下記の方法に従って、光透過率、シート抵抗値及び耐久性(定電流下での光透過率の変化及び電極寿命)の測定を行った。
〔光透過率の測定〕
上記作製した各透明電極について、分光光度計(日立ハイテク社製U−3300)を用い、各透明電極の作製に用いた基材をリファレンスとして、波長550nmにおける光透過率(%)を測定した。
〔シート抵抗値の測定〕
上記作製した各透明電極について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
〔耐久性1の評価:定電流下での光透過率の変化幅〕
上記作製した各透明電極について、25℃で125mA/cmの電流を150時間流し、下式に従って初期の波長550nmにおける光透過率に対する150時間後の波長550nmにおける光透過率の変化比率を測定した。
光透過率の変化比率=〔(初期の光透過率−150時間後の光透過率)/初期の光透過率〕×100
各透明電極の光透過率の変化比率は、透明電極7の変化比率を100とする相対値で表示した。
〔耐久性2の評価:電極寿命の評価(有機溶媒耐性)〕
各透明電極について、上記シート抵抗値の測定に記載の方法と同様にして、初期のシート抵抗値R1を測定したのち、各透明電極を25℃のメチルエチルケトン液に浸漬し、30分ごとに取り出して、乾燥させたのち、シート抵抗値を測定し、酢酸エチル液への浸漬と、シート抵抗値の測定を繰り返して行い、シート抵抗値が、初期のシート抵抗値R1の2倍になるまでの浸漬時間Tを求め、これを電極寿命の尺度とした。浸漬時間Tが大きいほど、電極寿命(有機溶媒耐性)に優れていることを表す。なお、各透明電極の浸漬時間Tは、透明電極7のシート抵抗値が2倍になるのに要した浸漬時間を100とする相対値で表示した。
以上により得られた結果を、表1〜表4に示す。
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
Figure 0006187240
表1〜表4に記載の結果より明らかなように、ハロゲン原子を有する有機化合物を用いて形成した中間層上に、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分とした導電性層を設けた本発明の透明電極10〜84は、いずれも光透過率が51%以上であり、かつシート抵抗値が20Ω/□以下に抑えられている。これは、中間層を、ハロゲン原子を有する有機化合物を用いて形成することにより、その上に形成する銅又は白金膜の凝集やモトルの発生を抑制することができ、ある程度の厚さを有する銅又は白金膜を形成しても、銅又は白金の凝集が抑制され、高い光透過性と低いシート抵抗値の両立を果たすことができた。加えて、比較例に対し、定電流下で長期間にわたり使用したのちの光透過率の安定性及び有機溶媒に浸漬したのちの電極寿命に優れた効果を有していることがわかる。
更に、導電性層を、2層の中間層で挟持した構成として透明電極74〜81においても、より好ましい結果を得ることができることを確認することができた。
これに対し、中間層を有していない比較例の透明電極1〜4では、銅層である導電性層の膜厚を厚くするに従い、シート抵抗値の低下は認められるものの、導電性層形成時の銅の凝集(モトル)に起因する光透過率の低下が著しくなり、光透過性とシート抵抗値の両立を達成することができない。また、中間層としてAlqあるいはET−1〜ET−3を用いた透明電極5〜8でも、光透過率が低く、かつシート抵抗値が所望の条件まで低下させることができなかった。
また、導電性層に銀を用いた透明電極9は、本発明の透明電極に対し、いずれの特性においても、低い結果であった。
1、1−1、1−2、1A、1B 透明電極
3、3A、3B、3−1、3−2 中間層
5、5−1、5−2 導電性層
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン(第1の導電性層)
5y1、5y2、5y3等 y電極パターン(第2の導電性層)
6 レジスト膜
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11、11−1、11−2 透明基板
13 前面板
15 接着剤
17、17x,17y 配線
21、21a タッチパネル
100 液晶表示装置
101A、101B 偏光フィルター
102A、102B ガラス基板
103 カラーフィルター
104A、104B 配向膜
105 液晶
106 スペーサー

Claims (7)

  1. 中間層と、当該中間層に隣接して設けられる導電性層とを有する透明電極であって、
    波長550nmにおける光透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層はハロゲン原子を有する有機化合物を含有し、前記導電性層が、銅及び白金から選ばれるいずれか1種の金属元素を主成分として構成されていることを特徴とする透明電極。
  2. 前記導電性層が主成分として含有する金属元素が、銅であることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
  3. 前記有機化合物が有するハロゲン原子が、臭素原子又はヨウ素原子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
  4. 前記ハロゲン原子を有する有機化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極。
    一般式(1)
    (R)k−Ar−〔(L)−X〕
    〔式中、Arは芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Xはハロゲン原子を表し、mは1〜5の整数である。Lは直接結合又は2価の連結基を表し、nは0又は1を表す。Rは水素原子又は置環基を表す。kは1〜5の整数を表す。〕
  5. 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項4に記載の透明電極。
    Figure 0006187240
    〔式中、Xはハロゲン原子を表し、m1〜m3は各々0〜5の整数である。ただし、m1+m2+m3は少なくとも1以上である。Lは直接結合又は2価の連結基を表し、n1〜n3は各々0又は1を表す。〕
  6. 前記導電性層の上に更に第2の中間層を有し、2層の中間層により前記導電性層を挟持した構成であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明電極。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
JP2013264970A 2013-12-24 2013-12-24 透明電極及び電子デバイス Expired - Fee Related JP6187240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013264970A JP6187240B2 (ja) 2013-12-24 2013-12-24 透明電極及び電子デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013264970A JP6187240B2 (ja) 2013-12-24 2013-12-24 透明電極及び電子デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015122184A JP2015122184A (ja) 2015-07-02
JP6187240B2 true JP6187240B2 (ja) 2017-08-30

Family

ID=53533649

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013264970A Expired - Fee Related JP6187240B2 (ja) 2013-12-24 2013-12-24 透明電極及び電子デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6187240B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6783059B2 (ja) * 2016-03-02 2020-11-11 株式会社Kyulux 化合物、キャリア輸送材料および有機発光素子
CN112851586B (zh) * 2019-11-27 2023-04-18 昱镭光电科技股份有限公司 以苯基嘧啶化合物为骨架的电子活性材料、激基复合物、有机电致发光器件及应用
KR20240013521A (ko) * 2022-07-22 2024-01-30 주식회사 랩토 유기 화합물 및 이를 포함한 유기전계발광소자

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130105787A1 (en) * 2010-07-13 2013-05-02 Toray Industries, Inc. Light emitting element
JP6112107B2 (ja) * 2012-04-25 2017-04-12 コニカミノルタ株式会社 透明電極、電子デバイス及び有機エレクトロルミネッセンス素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015122184A (ja) 2015-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6340788B2 (ja) 透明電極及び電子デバイス
US20150061942A1 (en) Translucent conductive patterned member, and translucent electromagnetic shield - antenna member using same
JP6065909B2 (ja) タッチパネル用透明電極、タッチパネル、および表示装置
JP2015122185A (ja) 透明電極及び電子デバイス
JP6241268B2 (ja) 透明電極及び電子デバイス
WO2015133375A1 (ja) 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法
JP6187240B2 (ja) 透明電極及び電子デバイス
US20150093587A1 (en) Transparent conductive film
JP6340790B2 (ja) 透明電極及び電子デバイス
JP6252163B2 (ja) 透明電極及び電子デバイス
EP3116018B1 (en) Organic thin film transistor
US8030648B2 (en) Organic thin film transistor and organic thin film transistor manufacturing process
JP2015125845A (ja) 透明電極及び電子デバイス
JP6340787B2 (ja) 透明電極、その製造方法及び電子デバイス
JP2014182966A (ja) 透明導電体の製造方法
WO2014109264A1 (ja) タッチパネル用透明電極、タッチパネル、表示装置、およびタッチパネル用透明電極の製造方法
JP5928268B2 (ja) 導電性フィルム、タッチパネル、及び、表示装置
JP6444002B2 (ja) 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法
WO2014103817A1 (ja) タッチパネル用透明電極、タッチパネル、および表示装置
WO2014103573A1 (ja) タッチパネル用透明電極、タッチパネル、表示装置、およびタッチパネル用透明電極の製造方法
JP6164227B2 (ja) タッチパネル用透明電極の製造方法、タッチパネルの製造方法、および表示装置の製造方法
JP2015122253A (ja) 透明電極、透明電極の製造方法及び電子デバイス
JP6340789B2 (ja) 透明電極及び電子デバイス
WO2015072278A1 (ja) タッチパネルの製造方法
JP2019101984A (ja) 導電材料積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170411

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6187240

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees