JP2014182966A - 透明導電体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、表面抵抗が低く、かつ光透過性の高い透明導電体を、大型の製造設備を必要とせず、簡易で高い生産性を有する製造方法で製造することができる透明導電体の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の透明導電体の製造方法は、透明支持体上に、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層と、前記下地層に隣接する銀を含有する透明導電層を有する透明導電体の製造方法であって、前記銀を含有する透明導電層は銀鏡反応により設けることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電体の製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機のエレクトロルミネッセンス(以降、ELともいう。)ディスプレイ等の表示装置の電極材料や、無機及び有機EL素子の電極材料、タッチパネル材料、太陽電池材料等の各種装置に透明導電膜が使用されている。
このような透明導電膜を構成する材料としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属やIn、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO等の酸化物半導体が知られている。これらの中でも、光透過性及び導電性を両立させることができる観点から、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:以下、ITOと略記する。)膜からなる透明導電膜が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネルが開発され、この方式では、表面抵抗値が低く、かつ透明性の高い透明導電膜が求められている。しかし、ITO膜では、表面抵抗値を十分に低くすることが難しい。また、ITO膜は割れやすく、フレキシブル性が求められる用途に適用できない、という問題もある。
そこで、ITO膜に代わる透明導電膜として、Agをメッシュ状に配置した透明導電膜が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1で開示されている透明導電膜は、Agメッシュの幅が20μm程度である。そのため、Agメッシュが視認されやすく、高い透明性が必要とされる用途には適用できない。さらに、メッシュ部分では導通があるが、メッシュの隙間部分では十分に導通せず、表面抵抗値を十分に下げることができない。
また、Agナノワイヤを含む透明導電膜が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、特許文献2で開示されている当該透明導電膜は表面抵抗値が大きく、透明導電膜の厚さを200nm程度にする必要がある。そのため、透明導電膜に対しフレキシブル性が求められる用途に適用することは難しい。
さらに、Ag薄膜を透明導電膜とする方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、Ag薄膜では、低い表面抵抗値と、高い光透過性とを両立させることが難しい。表面抵抗値を高めるためにAg薄膜の厚さを厚くする必要があり、Ag薄膜を厚くするとAg本来の反射が生じ、光透過率が低くなる。一方、光透過率を高めるため、Ag薄膜を薄くすると、十分な導通が得られない。さらに、プラズモン吸収が生じて、透明導電膜の透過率が低くなるという問題を抱えている。
また、酸化ニオブ(Nb)膜、Ag膜及びインジウム亜鉛酸化物(以下、IZOと略記する。)膜を積層した透明導電体が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
Ag薄膜の透明導電膜は、Agの核ができやすいことから蒸着法、スパッタリング法が採用されてきたが、支持体全面を銀で覆う場合には、生産性の上がらないことが実用化の妨げとなっていた。
特開2012−53644号公報 特開2008−171637号公報 特表2011−508400号公報
SID 2012 DIGEST p.352−353
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、表面抵抗が低く、かつ光透過性の高い透明導電体を、大型の製造設備を必要とせず、簡易で高い生産性を有する製造方法で製造することができる透明導電体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、透明支持体上に、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層上に、湿式塗布方式による銀鏡反応を用いて銀を含有する透明導電層を形成することを特徴とする透明導電体の製造方法により、従来のような真空蒸着法を用い、大型の真空設備等により銀を含有する透明導電層を形成して作製される透明導電体と同等以上の表面抵抗特性を有し、かつ光透過性に優れた透明導電体を、簡易な製造装置により高生産性で製造することができる透明導電体の製造方法を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.透明支持体上に、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層と、前記下地層に隣接する銀を含有する透明導電層を有する透明導電体の製造方法であって、前記銀を含有する透明導電層は銀鏡反応により形成することを特徴とする透明導電体の製造方法。
2.前記銀を含有する透明導電層は、アンモニア性硝酸銀溶液と還元剤溶液を前記下地層表面に同時に付与し、酸化還元反応により銀薄膜層を形成することを特徴とする第1項に記載の透明導電体の製造方法。
3.前記窒素原子を有する有機化合物が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物、又は窒素原子を有するポリマーであることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明導電体の製造方法。
4.前記硫黄原子を有する有機化合物が、分子内にスルフィド結合、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合を有する化合物、又は硫黄原子を有するポリマーであることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明導電体の製造方法。
本発明の上記手段により、高い生産性を有し、表面抵抗が低く、かつ光透過性に優れた銀を含有する透明導電層を効率よく形成することができる透明導電体の製造方法を提供することができる。
本発明の透明導電体の製造方法は、透明支持体上に、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層と、前記下地層に隣接する銀を含有する透明導電層(以下、銀層ともいう。)を有する透明導電体の製造方法であって、前記銀を含有する透明導電層は銀鏡反応により設けることを特徴とし、表面抵抗が低く、かつ光透過性の高い透明導電体を、簡便な製造装置で、高い生産性で形成することができる透明導電体の製造方法を実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記銀を含有する透明導電層は、アンモニア性硝酸銀溶液と還元剤溶液を前記下地層表面に同時に付与し、酸化還元反応により銀薄膜層を形成することが好ましい態様である。
また、窒素原子を有する有機化合物が、芳香性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物、又は窒素原子を有するポリマーであること、あるいは、硫黄原子を有する有機化合物が、分子内にスルフィド結合、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合を有する化合物、又は硫黄原子を有するポリマーであることが好ましい。
本発明に係る透明導電体においては、有機化合物を主成分とする下地層が存在するために、この有機化合物と銀との相互作用により隣接界面においての銀の拡散距離が減少して凝集が抑えられたものとなる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって薄い銀層が均一に形成され透明性が維持される。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《透明導電体の製造方法》
本発明の透明導電体の製造方法は、透明支持体上に、上記でその詳細を説明した窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層を形成した後、下地層上に銀鏡反応により銀を含有する透明導電層を形成することを特徴とする。
〔下地層の形成〕
本発明に係る下地層を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、真空蒸着法、CVD法(化学気相成長法、化学蒸着法)、湿式塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等、従来公知の薄膜形成手段を適用することができる。
湿式塗布法は、製造速度にも優れている利点を有している。湿式塗布法による下地層の形成方法としては、例えば、本発明に係る含窒素有機化合物あるいは含硫黄有機化合物及び必要であれば他の添加物(例えば、他の電子輸送材料など)を、適当な溶媒に溶解して下地層形成用塗布液を調製する。次に、この下地層形成用塗布液を透明支持体上に塗布、乾燥した後、加熱処理する方法がある。
下地層形成用塗布液の調製に用いることのできる溶媒としては、含窒素有機化合物あるいは含硫黄有機化合物を溶解できるものであれば特に制限されないが、例えば、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコールの水素原子がハロゲン原子で置換された含ハロゲンアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、アルコール類、含ハロゲンアルコール類、又はこれらの混合溶媒が好ましい。この際、溶媒中の含窒素有機化合物あるいは含硫黄有機化合物及び必要に応じて用いられる他の添加物の濃度(固形分濃度)は、特に制限されないが、例えば、溶液中の濃度が0.005〜0.5質量%であることが好ましい。
本発明において、湿式塗布方法としては、特に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。また、塗布後の加熱処理条件は、下地層を形成することができる条件であれば特に制限されないが、例えば、加熱処理温度が、好ましくは室温(25℃)〜180℃の範囲内、より好ましくは60〜120℃の範囲内である。また、加熱処理時間としては、好ましくは10秒〜10分の範囲内であり、より好ましくは30秒〜5分の範囲内である。
〔銀を含有する透明導電層の形成〕
本発明に係る銀を含有する透明導電層の形成方法としては、下地層上に、銀鏡反応により銀を含有する透明導電層を形成する方法であることを特徴とする。
本発明に適用する銀鏡反応による透明導電層の形成方法において、銀鏡反応による透明導電層の形成に先立ち、必要に応じて、下地層表面に銀鏡用活性化処理を施すことができる。下地層を銀鏡用活性処理液で処理する方法としては、下地層を設けた透明支持体の透明導電層を形成する面に、銀鏡用活性処理液を塗布する方法、あるいは、下地層表面に塩化第1スズ等を含む銀鏡用活性処理液を塗布する方法等を挙げることができる。
支持体の形状等によって、上記銀鏡用活性処理液を塗布する方法を適宜選択することができるが、塗布方法としては、特に透明支持体の形状を選ばないスプレー塗布方式が好適である。更に下地層表面に余分に付着した活性化処理液を脱イオン水又は精製蒸留水で洗浄してもよい。
次いで、銀鏡反応を用いた透明導電層の具体的な形成方法について説明する。
銀鏡反応による薄膜の銀を含有する透明導電層の形成方法は、硝酸銀及びアンモニアを含むアンモニア性硝酸銀溶液と、還元剤及び強アルカリ成分を含む還元剤溶液の2液を準備し、この2液を、上記銀鏡用活性化処理を施した下地層表面上で混合する条件で塗布する。この2液混合により、酸化還元反応が生じ、金属銀が析出し、薄膜の銀を含有する透明導電層が形成される。
前記還元剤溶液としては、グルコース、グリオキサール等のアルデヒド化合物、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン又はヒドラジン水和物等のヒドラジン化合物等の有機化合物、亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウム等の水溶液が好適に使用される。
アンモニア性硝酸銀水溶液には、良好な銀を生成させるため、必要に応じて各種添加剤を加えることもできる。例えば、モノエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアミノアルコール化合物、グリシン、アラニン、グリシンナトリウム等のアミノ酸又はその塩等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記説明したアンモニア性硝酸銀溶液と還元剤溶液の2液を、下地層表面上で混合するように塗布する方法としては、アンモニア性硝酸銀溶液と還元剤溶液の2種の水溶液を予め混合し、この混合液を、スプレーガン等を用いてアンダーコート層表面に吹き付ける方法、スプレーガンのヘッド内で、上記2種の水溶液を混合し、直ちに吐出する構造を有する同芯スプレーガンを用いて吹き付ける方法、2種の水溶液を2つのスプレーノズルを持つ双頭スプレーガンから各々吐出させ、下地層上に吹き付け、混合する方法、2種の水溶液を2つの別々のスプレーガンを用いて、下地層上に同時に吹き付け、混合する方法等がある。これらの各種方法は、状況に応じて任意に選ぶことができる。
続いて、脱イオン水又は精製蒸留水を用いて薄膜の銀を含有する透明導電層表面を水洗し、その表面に残留する銀鏡反応に用いた各溶液等を取り除くことが好ましい。
また、必要に応じて、薄膜の銀を含有する透明導電層上に析出した金属銀を安定化させる目的で、透明導電層上に保護層を設けることもできる。
保護層は、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物を含む溶液に浸漬又は該溶液を塗布する等の処理を行うことができるが、本発明の効果を損なわない範囲で設けることが好ましい。
保護層の形成に用いることのできる有機化合物としては、例えば、メルカプト基もしくはチオン基を有する含窒素複素環化合物等、先に説明した本発明に係る下地層に使用できる硫黄原子を含有する有機化合物、窒素原子を含有する有機化合物等が有効に用いられる。
次いで、本発明に係る透明導電体の上記説明した各構成要素の詳細について説明する。
本発明に係る透明導電体は、透明支持体上に、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層と、前記下地層に隣接する銀を含有する透明導電層を有することを特徴とする。
《透明支持体》
本発明に係る透明導電体を構成する透明支持体としては、光透過性を備えていれば特に制限はなく、例えば、ガラス材料、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができる。
ガラス材料としては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、その上に形成する本発明に係る下地層との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施す、あるいは無機物又は有機物から構成されるアンダーコート層や、これらの物理的処理やアンダーコート層を組み合わせたハイブリッド被膜を形成しても良い。
透明樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
《透明導電層》
本発明に係る銀を含有する透明導電層は、銀を主たる成分とするが、固溶元素であるアルミニウム(Al)、金(Au)、In(インジウム)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)のうちの少なくとも1種を含有させてもよい。これにより、銀(Ag)とこれらの添加金属元素との固溶体で構成されたものとなり、銀(Ag)のマイグレーションが抑制され、形成する銀を含有する透明導電層を一層均一なものとすることができる。本発明でいう「銀を主たる成分とする」とは、透明導電層全質量に対する銀の含量率が80質量%以上であることをいい、90質量%以上であることが好ましい。
本発明に係る銀を含有する透明導電層は、上記のような銀鏡反応により形成することを特徴とする。
本発明に係る銀を含有する透明導電層の膜厚は、おおむね1.0〜20nmの範囲内であり、好ましくは3.0〜15nmの範囲内である。
《下地層》
本発明に係る下地層は、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を含有する有機化合物を主成分とする。本発明でいう主成分とは、下地層全質量に対する窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を含有する有機化合物の質量比率が、50質量%以上であることをいい、好ましくは70質量%以上である。
本発明に係る有機化合物は、一種でもよく二種以上を組み合わせて混合してもよい。また、窒素及び硫黄原子を有していない他の化合物を、本発明の効果を阻害しない範囲で混合することも許される。
本発明に係る下地層は、5nm〜1μmの任意の膜厚の範囲内で設けることができるが、本発明に係る銀を含有する透明導電層の均一性を担保する観点からは、10〜500nmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係る有機化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー構造を有する化合物のいずれも使用することができる。
〔窒素原子を含有する低分子有機化合物〕
本発明に係る窒素原子を含有する低分子有機化合物とは、融点が80℃以上であり、かつ分子量Mが150〜1200の範囲内にある化合物が好ましい。また、本発明に係る窒素原子を含有する低分子有機化合物は、銀等との相互作用が大きい方が好ましく、例えば、含窒素複素環化合物、フェニル基置換アミン化合物が挙げられる。
本発明に係る窒素原子を含有する有機化合物の分子量Mに対する[有効非共有電子対]の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]と定義すると、窒素原子を含有する低分子有機化合物とは、この[n/M]が、2.0×10−3≦[n/M]となるように選択された化合物であり、3.9×10−3≦[n/M]の範囲であることが更に好ましい。
ここでいう[有効非共有電子対]とは、化合物に含有される窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性に関与せず、かつ金属に配位していない非共有電子対であることとする。
ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ不飽和環状構造を言い、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(n=0、又は自然数)個であることを条件としている。
以上のような[有効非共有電子対]は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かにかかわらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子が芳香族性に関与しない非共有電子対を有していれば、その非共有電子対は[有効非共有電子対]の一つとしてカウントされる。
これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対の全てが芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は[有効非共有電子対]としてカウントされることはない。
尚、各化合物において、上述した[有効非共有電子対]の数nは、[有効非共有電子対]を有する窒素原子の数と一致する。
窒素原子を有する有機化合物が、複数の化合物を用いて構成されている場合、例えば、化合物の混合比に基づき、これらの化合物を混合した混合化合物の分子量Mを求め、この分子量Mに対しての[有効非共有電子対]の合計の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値として求め、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。
以下に、下地層を構成する窒素原子を含有する低分子有機化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10−3≦[n/M]を満たす化合物として、以下の例示化合物No.1〜No.43を示す。
なお、下記に示す例示化合物No.31の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち、銅に配位していない非共有電子対が、[有効非共有電子対]としてカウントされる。
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
上記例示した化合物No.1〜No.43について、[有効非共有電子対]の個数(n)、分子量(M)及び有効非共有電子対含有率(n/M)を示す。
Figure 2014182966
窒素原子を含有する低分子有機化合物として、更に上記例示した化合物No.1〜No.43の他に、下記化合物No.44及びNo.45を挙げることができる。
Figure 2014182966
(窒素原子を含有するポリマー)
また、本発明においては、下地層に適用する窒素原子を含有する有機化合物として、ポリマーを用いることができる。
本発明に適用可能な窒素原子を含有するポリマーは、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内にあるポリマーが好ましい。
本発明に係るポリマーとしては、特に制限はないが、下記一般式(P1)で表される部分構造、又は下記一般式(P2)で表される部分構造を有するポリマーを含むことが好ましい。
Figure 2014182966
上記一般式(P1)において、Aは2価の窒素原子含有基を表し、Yは、2価の有機基又は単結合手を表す。n1は、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内となる繰り返し数である。
上記一般式(P2)において、Aは1価の窒素原子含有基を表す。n2は、1以上の整数を表す。n2は好ましくは1〜3の整数であり、さらに好ましくは合成容易性の点から1又は2である。n2が2以上である場合、複数のAはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、ポリマー中に複数のAが含まれる場合、Aはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(P2)において、A及びAは2価の窒素原子含有基を表す。A及びAは同一であってもよいし、異なっていてもよい。n3及びn4はそれぞれ独立して、0又は1の整数を表す。
上記一般式(P2)において、Yは(n2+2)価の有機基を表す。
含窒素ポリマーとして、上記一般式(P1)又は(P2)で表される部分構造を有するポリマーは、上記一般式(P1)又は(P2)由来の単一の構成単位のみから構成される単独重合体(ホモポリマー)であってもよいし、上記一般式(P1)又は(P2)由来の2種以上の構成単位から構成される共重合体(コポリマー)であってもよい。
また、上記一般式(P1)又は(P2)で示される構造単位に加えて、含窒素置換基を持たない他の構造単位(以下、単に「他の構造単位」とも称する)をさらに有し、共重合体(コポリマー)を形成していてもよい。
本発明に適用する窒素原子含有のポリマーにおいて、窒素原子を有していない他の構造単位を有する場合、他の構造単位の含有量は、本発明に係る窒素原子を有するポリマーによる効果を損なわない程度であれば、特に制限されないが、他の構造単位由来の単量体の含有量が、全構造単位由来の単量体中、10〜75モル%の範囲内であり、好ましくは20〜50モル%の範囲内である。
上記一般式(P1)又は(P2)で表される部分構造を有するポリマーの末端は、特に制限されず、使用される原料(単量体)の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
上記一般式(P2)において、Aで表される1価の窒素原子含有基は、窒素原子を含む有機基であれば特に制限されない。例えば、アミノ基、ジチオカルバメート基、チオアミド基、シアノ基(−CN)、イソニトリル基(−N≡C)、イソシアナート基(−N=C=O)、チオイソシアナート基(−N=C=S)、又は、置換もしくは無置換の含窒素芳香族環を含む基が挙げられる。
以下に、窒素原子を含有する下記のモノマー単位から構成されるポリマーの具体例を示すが、本発明においてはこれら例示するモノマーに限定されない。なお、本発明に係る窒素原子を含有するポリマーは、下記に示すモノマー単位を、重量平均分子量が1000〜1000000となる範囲の繰り返し数で構成されている。
Figure 2014182966
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Figure 2014182966
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〔硫黄原子を含有する有機化合物〕
本発明の硫黄原子を含有する有機化合物としては、分子内にスルフィド結合(チオエーテル結合ともいう。)、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合等を有していればよく、特に、スルフィド結合、メルカプト基であることが好ましい。
具体的には、下記一般式(1)〜一般式(4)で表される含硫黄化合物を挙げることができる。
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
上記一般式(1)において、R及びRは、各々置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
上記一般式(2)において、R及びRは、置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、R及びRと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(3)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、R及びRと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(4)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、R及びRと同様の置換基が挙げられる。
以下に、本発明に係る下地層に適用可能な硫黄原子を含有する有機化合物の具体例を挙げる。
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
Figure 2014182966
(硫黄原子を含有するポリマー)
また、本発明に係る下地層においては、硫黄原子を含有するポリマーを用いることができる。本発明に係る硫黄原子を含有するポリマーの重量平均分子量は、1000〜1000000の範囲内であることが好ましい。
本発明に適用可能な硫黄原子を含有するポリマーとしては、特に制限はなく、例えば、下記に示すモノマー単位から構成されるポリマーを挙げることができる。なお、カッコ外に付記した数値は、それぞれのモノマー単位の構成比率(モル比)を表す。
Figure 2014182966
上記例示した硫黄原子を含有するポリマーの重量平均分子量を、下記表2に示す。
Figure 2014182966
本発明に係る窒素原子を含有するポリマーは、公知、周知の合成方法に従って調製することができる。また、本発明に係る窒素原子を含有するポリマーは、上述のように、重量平均分子量が1000〜1000000であることが好ましい。
本発明に係る窒素原子を含有するポリマー、あるいは前述の硫黄原子を含有するポリマーの重量平均分子量は、室温環境下で、下記の測定条件に従って測定した値である。
〈測定条件〉
装置:東ソー社製 高速GPC装置 HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM−M
検出器:RI及び/又はUV
溶出液流速:0.6ml/分
温度:30℃
試料濃度:0.1質量%
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルを用いて検量線(校正曲線ともいう)を作成、分子量の算出に使用した。ここで、13サンプルは、ほぼ等間隔にした。
《その他の構成要素》
本発明に係る透明導電体の裏面には、粘着剤層を形成することができる。粘着剤層を設けることにより、既存のガラス窓等に設置することができる。粘着剤としては、通常の粘着剤として公知の各種材料を使用することができる。
また、透明性を向上させる観点から、本発明に係る銀を含有する透明導電層あるいは下地層と、透明支持体との間に、透明支持体よりも屈折率の高い層(例えば、TiO含有層、ZrO含有層)を設けることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《透明導電体の作製》
〔透明導電体1の作製〕
(透明支持体の準備)
幅1000mm、長さ10m、100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体(以下、PETフィルム支持体と略記する。)の両面に12W・min/mの条件でコロナ放電処理を施した後、それぞれの面に、下記下引き塗布液B−1を乾燥膜厚が0.1μmになる条件で塗布して下引き層B−1を形成した。次いで、それぞれの面の下引き層B−1表面に、12W・min/mの条件でコロナ放電処理を施した後、下記下引き塗布液B−2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布して、下引き層B−2を形成した。その後、120℃で1.5分の熱処理を施して、透明支持体として下引き層を形成したPETフィルム支持体を得た。
〈下引き塗布液B−1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50.0g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
〈下引き塗布液B−2〉
ゼラチン(重量平均分子量 約10万) 10.0g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
硬膜剤(UL−3) 1.0g
水で仕上げる 1000ml
Figure 2014182966
(透明導電層1の形成:銀鏡反応を用いた湿式塗布法)
はじめに、銀鏡めっき液を、以下の手順に従って調製した。
脱イオン水10000gに硝酸銀20gを溶解した硝酸銀溶液と、脱イオン水10000gに28%アンモニア水溶液100g及びモノエタノールアミン5gを溶解してアンモニア溶液を調製した。次いで、使用前に、上記調製した硝酸銀溶液とアンモニア溶液を1対1の質量比で混合して、アンモニア性硝酸銀溶液を調製した。
次に、脱イオン水10000gに硫酸ヒドラジン10g、モノエタノールアミン5g及び水酸化ナトリウム10gを溶解して還元剤溶液を調製した。
以上のようにして準備したアンモニア性硝酸銀溶液と還元剤溶液を、双頭スプレーガンを使用して、乾燥後の膜厚が10nmとなるように2液を同時に吹き付けて、透明導電層1を形成した。次いで、形成した透明導電層1の表面を脱イオン水にて洗浄した後、70℃で30分間乾燥機により乾燥させて、透明導電体1を作製した。
〔透明導電体2の作製〕
上記透明導電体1の作製において、PETフィルム支持体上に下記の方法に従って、下地層1を形成し、次いで、形成した下地層1上に、透明導電体1の作製と同様の方法で透明導電層1を形成した以外は同様にして、透明導電体2を作製した。
(下地層1の形成:湿式塗布法)
0.20gの窒素原子を含有する化合物である窒素原子を含有するポリマーである例示化合物PN41を、100gのn−ブタノール:ヘキサフルオロイソプロパノール=1:1(体積比)の混合溶媒に溶解して、下地層形成用塗布液1を調製した。
次いで、PETフィルム支持体上に、65℃に調温したブレードコーターを用いて、塗布速度10mm/sで上記調製した下地層形成用塗布液1を塗布し、100℃のホットプレート上で2分間の加熱処理を施して、例示化合物No.48から構成される厚さ100nmの下地層1を形成した。
なお、下地層1の膜厚は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターを用いて測定した。
〔透明導電体3の作製〕
上記透明導電体2の作製において、下地層1の形成に用いた窒素原子を含有するポリマーである例示化合物PN41に代えて、窒素原子を含有するポリマーである例示化合物PN5に変更して下地層2を形成した以外は同様にして、透明導電体3を作製した。
〔透明導電体4の作製〕
上記透明導電体2の作製において、下地層1の形成に用いた窒素原子を含有するポリマーである例示化合物PN41に代えて、硫黄原子を含有する化合物である例示化合物3−15(メルカプト化合物)に変更して下地層3を形成した以外は同様にして、透明導電体4を作製した。
〔透明導電体5の作製〕
上記透明導電体2の作製において、下地層1の形成に用いた窒素原子を含有するポリマーである例示化合物PN41に代えて、硫黄原子を含有するポリマーである例示化合物PS1に変更して下地層4を形成した以外は同様にして、透明導電体5を作製した。
〔透明導電体6の作製〕
上記透明導電体2の作製において、下地層1の形成に用いた窒素原子を含有するポリマーである例示化合物PN41に代えて、硫黄原子を含有するポリマーである例示化合物PS6に変更して下地層5を形成した以外は同様にして、透明導電体6を作製した。
〔透明導電体7の作製〕
上記透明導電体2の作製において、透明導電層の形成方法を、銀鏡反応を用いた湿式塗布法に代えて、下記に記載の真空蒸着法により透明導電層2を形成した以外は同様にして、透明導電体7を作製した。
(透明導電層2の形成:真空蒸着法)
透明導電体2で作製した下地層1を有するPETフィルム支持体を、100mm×100mmのサイズに裁断し、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、これを真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。一方、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を充填し、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度が2nm/秒の条件で、下地層上に膜厚が10nmの透明導電層2を蒸着して、透明導電体7を作製した。
〔透明導電体8の作製〕
上記透明導電体5の作製において、銀鏡反応を用いた湿式塗布法により形成した透明導電層1に代えて、透明導電体7の作製に用いたのと同様の真空蒸着法により形成した透明導電層2に変更した以外は同様にして、透明導電体8を作製した。
《透明導電体の作製》
〔光透過率の測定〕
上記作製した各透明導電体について、23℃、55%RHの環境下、透明導電体の正面に対して5°傾けた角度から550nmの測定光を入射させ、日立株式会社製分光光度計U4100にて、光透過率を測定した。
〔シート抵抗値の測定〕
上記作製した各透明導電体について、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
〔生産性の評価〕
上記各透明導電体の作製において、透明導電体6(真空蒸着法により透明導電層形成)の透明導電層の作製における容易性及び作製装置の経済性(コスト負荷)を基準(△)とし、それよりも作製が容易、又は製造装置のコスト的な負荷が小さいものを「○」、真空蒸着法により透明導電層形成に対し、作製が容易で、かつ製造装置のコスト的な負荷が小さいものを「◎」、逆に作製の難易度が高く、かつ製造装置のコスト的な負荷も大きいものを「×」と判定した。
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 2014182966
表3に記載の結果より明らかなように、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層を有し、その上に銀鏡反応を用いた湿式塗布方式により透明導電層を設けた本発明の透明導電体は、比較例の透明導電体7、8の様な大型の真空蒸着装置を用いなくても、極めて簡易な湿式塗布方式を用いた銀鏡反応により透明導電層を形成することにより、真空蒸着法と同等の光透過率及びシート抵抗値を有する透明導電体を、装置的な負荷が低く、高い経済性で製造することができる。
実施例2
《透明導電体の作製》
〔透明導電体11の作製〕
(透明支持体の準備)
透明支持体として無アルカリガラス(サイズ:100mm×100mm)を用い、無アルカリガラスの表面を、界面活性剤としての花王社製クリンスルーKS3030と超純水を用いて超音波洗浄し、次いで超純水による超音波洗浄を行った後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
(透明導電層の形成)
洗浄した無アルカリガラス上に、実施例1の透明導電体1の作製に用いたのと同様の方法で、銀鏡反応を用いた湿式塗布法により、透明導電層1を形成して、ガラス基材を有する透明導電体11を作製した。
〔透明導電体12の作製〕
上記透明導電体11の作製において、無アルカリガラス上に、下記の方法に従って真空蒸着法により下地層11を形成し、次いで、形成した下地層11上に、透明導電体11の作製と同様の方法で透明導電層1を形成した以外は同様にして、透明導電体12を作製した。
(下地層11の形成:真空蒸着法)
上記洗浄済みに無アルカリガラスを、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、これを真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。一方、タングステン製の抵抗加熱ボートに、窒素原子を含有する化合物である例示化合物No.1を充填し、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度が0.1nm/秒〜0.2nm/秒の条件で、無アルカリガラス上に、例示化合物No.1から構成される膜厚が10nmの下地層11を形成した。
〔透明導電体13の作製〕
上記透明導電体12の作製において、下地層11の形成に用いた窒素原子を含有する化合物である例示化合物No.1に代えて、硫黄原子を含有する化合物である例示化合物3−5(メルカプト化合物)に変更して下地層12を形成した以外は同様にして、透明導電体13を作製した。
〔透明導電体14の作製〕
上記透明導電体12の作製において、下地層の形成に用いた窒素原子を含有する化合物である例示化合物No.1に代えて、硫黄原子を含有する化合物である例示化合物3−16(メルカプト化合物)に変更して下地層13を形成した以外は同様にして、透明導電体14を作製した。
〔透明導電体15の作製〕
上記透明導電体12の作製において、下地層の形成に用いた窒素原子を含有する化合物である例示化合物No.1に代えて、窒素原子を含有する化合物である例示化合物No.38に変更して下地層14を形成した以外は同様にして、透明導電体15を作製した。
〔透明導電体16の作製〕
上記透明導電体12の作製において、下地層の形成に用いた窒素原子を含有する化合物である例示化合物No.1に代えて、硫黄原子を含有する化合物である例示化合物2−1(ジスルフィド化合物)に変更して下地層15を形成した以外は同様にして、透明導電体16を作製した。
〔透明導電体17の作製〕
上記透明導電体15(下地層14)の作製において、透明導電層の形成方法を、銀鏡反応を用いた湿式塗布法による透明導電層1に代えて、実施例1に記載したのと同様の真空蒸着法により透明導電層2を形成した以外は同様にして、透明導電体17を作製した。
〔透明導電体18の作製〕
上記透明導電体16(下地層15)の作製において、透明導電層の形成方法を、銀鏡反応を用いた湿式塗布法による透明導電層1に代えて、実施例1に記載したのと同様の真空蒸着法により透明導電層2を形成した以外は同様にして、透明導電体18を作製した。
《透明導電体の作製》
上記作製した各透明導電体について、実施例1に記載の方法と同様にして、光透過率の測定、シート抵抗値の測定、及び生産性の評価を行った。
なお、生産性の評価は、透明導電体17(真空蒸着法により透明導電層形成)の透明導電層の作製における容易性及び作製装置の経済性(コスト負荷)を基準(△)とし、それよりも作製が容易、又は製造装置のコスト的な負荷が小さいものを「○」、真空蒸着法により透明導電層形成に対し、作製が容易で、かつ製造装置のコスト的な負荷が小さいものを「◎」、逆に作製の難易度が高く、かつ製造装置のコスト的な負荷も大きいものを「×」と判定した。
以上により得られた結果を、表4に示す。
Figure 2014182966
表4に記載の結果より明らかなように、透明支持体として無アルカリガラスを用いた系においても、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層を有し、その上に銀鏡反応を用いた湿式塗布方式により透明導電層を設けた本発明の透明導電体は、比較例の透明導電体17、18の様な大型の真空蒸着装置を用いなくても、極めて簡易な湿式塗布方式を用いた銀鏡反応により透明導電層を形成することにより、真空蒸着法と同等の光透過率及びシート抵抗値を有する透明導電体を、装置的な負荷が低く、高い経済性で製造することができることが分かる。

Claims (4)

  1. 透明支持体上に、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を有する有機化合物を含有する下地層と、前記下地層に隣接する銀を含有する透明導電層を有する透明導電体の製造方法であって、前記銀を含有する透明導電層は銀鏡反応により形成することを特徴とする透明導電体の製造方法。
  2. 前記銀を含有する透明導電層は、アンモニア性硝酸銀溶液と還元剤溶液を前記下地層表面に同時に付与し、酸化還元反応により銀薄膜層を形成することを特徴とする請求項1に記載の透明導電体の製造方法。
  3. 前記窒素原子を有する有機化合物が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電体の製造方法。
  4. 前記硫黄原子を有する有機化合物が、分子内にスルフィド結合、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電体の製造方法。
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