JP2015122253A - 透明電極、透明電極の製造方法及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の透明電極は、中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
1.中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする透明電極。
2.前記導電性層が、銅を主成分として構成されていることを特徴とする第1項に記載の透明電極。
3.前記有機化合物が、臭素原子、ヨウ素原子又は硫黄原子を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
4.前記有機化合物が、非対称の化学構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明電極。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極の製造方法であって、前記中間層をウェットプロセスにより形成することを特徴とする透明電極の製造方法。
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
〔透明電極の基本構成〕
本発明の透明電極は、中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、前記導電性層は銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする。上記構成からなる透明電極は、例えば、透明な基板上に本発明に係る中間層及び導電性層を積層して形成される。
本発明の透明電極を保持するのに用いられる基板は、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基板は、透明であっても不透明であってもよいが、本発明の透明電極が、基板側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
本発明に係る中間層は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、波長550nmの光の屈折率が1.8以上である。このような中間層が基板上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法(エレクトロンビーム法)など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。中でもウェットプロセスを用いる方法が、中間層の屈折率が高く、導電性と光透過性が高いことから、また、生産効率が高いことから、好ましく適用される。
本発明の透明電極においては、中間層には、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物が含有されている。
本発明に係る中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、好ましくは屈折率が1.8〜2.1の範囲である。屈折率が1.8以上であれば、光透過率を高くすることができ、2.1以下であれば容易に入手可能な材料で容易に中間層を形成できる。本発明者らは鋭意検討した結果、中間層に含有される化合物の屈折率が1.8以上であるとき、透過率が大きく向上して、優れた透明電極ができることを見出した。
本発明において、屈折率の測定方法は、通常用いられている方法を用いることができる。例えば、各層を単独で塗設したサンプルについて、分光光度計(日立製作所製U−4000型等)の分光反射率の測定結果から求めることができる。分光反射率の測定はサンプルの裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面の光反射を防止し、5度正反射の条件で行い、波長550nmの反射率より屈折率を求める。
本発明に係る導電性層5は、銅、金又は白金を主成分として構成されている層であって、中間層に隣接して形成される。本発明に係る導電性層の成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。上記成膜方法の中でも、蒸着法が好ましく適用される。また、導電性層は、中間層上に成膜されることにより、導電性層成膜後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を施しても良い。
以上説明したように、本発明の透明電極は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、波長550nmの光の屈折率が1.8以上である中間層に隣接して、銅、金又は白金を主成分として構成されている導電性層を設けた構成である。これにより、中間層の上部に導電性層を成膜する際には、導電性層を構成する銅、金又は白金原子が中間層を構成する芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子と相互作用し、銅、金又は白金原子の中間層表面における拡散距離が減少し、銅、金又は白金の凝集の生成を抑制することができる。銅、金又は白金の中では、高い伝導性を有することから導電性層が銅を主成分として構成されていることが好ましい。
導電性はシート抵抗(表面比抵抗率ともいう。)を、測定して評価した。
上記構成からなる本発明の透明電極は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、LED(light Emitting Diode)、太陽電池等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて、光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極を用いることができる。
以下、本発明の透明電極を適用した電子デバイスの一例として、本発明の透明電極にフォトリソグラフィー法による電極パターンを形成したのち、それをタッチパネルへの適用する例について説明する。
図1の(a)で示した基板11上に、中間層3と当該中間層3に隣接して、銅、金、又は白金を主成分とする導電性層5を有する本発明の透明電極1は、例えば、フォトリソグラフィー法により、例えば、有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、図3〜図5に示すような電極パターンを形成することができる。
本発明において、エッチング液としては、少なくとも有機溶媒を含有していることが好ましく、有機溶媒として、特に制限はないが、中間層に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
次いで、本発明の透明電極を適用することができるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
図3は、上述した本発明の透明電極を用い、後述の図7で示す構成からなるタッチパネル21aの概略構成を示す斜視図である。また、図4は、タッチパネル21の電極構成を示す2枚の透明電極1−1及び1−2の平面図である。
図3及び図5に示す透明基板11−1、11−2は、先の透明電極1で説明した基板11(以下、透明基板ともいう。)である。
第1の中間層3−1は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、基板11上に成膜されている。ここでは一例として、第1の中間層3−1は、透明基板11−1に導電性層5−1と同一形状にパターニングされている。
第1の導電性層5−1は、先の透明電極で説明した導電性層5であり、第1の中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
第2の中間層3−2は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基板11−2上に成膜されていて、第2の電極層5−2と同一形状にパターニングされている。
第2の電極層5−2は、先の透明電極1で説明した導電性層5であり、第2の中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
図3に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基板11と同様のものが用いられる。またこの前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いても良い。このような前面板13は、例えば接着剤15に(図6参照。)よって第2の透明電極1−2側に張り合わせられていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基板などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
以上のようなタッチパネル21は、2層の透明電極1−1及び1−2として、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えた透明電極を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
図6は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図6に示すタッチパネル21は、透明基板11上に第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
次いで、電子デバイスとして液晶表示装置への本発明の透明電極を組み入れた例を説明する。
《透明電極基板の作製》
以下に示す方法に従って、透明基板と透明電極電極からなる透明電極基板1〜80を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極基板1〜4は、基板に単層構造の透明電極を積層して作製し、透明電極基板5〜80は、基板上に中間層と導電性層との積層構造からなる透明電極を設けて作製した。
下記に示す方法に従って、単層構造からなる比較例の透明電極基板1を作製した。
上記透明電極基板1の作製において、導電性層の平均層厚を、それぞれ8nm、10nm及び15nmに変更した以外は同様にして、透明電極基板2〜4を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基板上に、下記に構造を示すAlq3をスパッタ法により層厚25nmの中間層として成膜し、この上部に、透明電極基板1の作製において、導電性層の形成に用いたのと同様の方法(真空蒸着法)で、平均層厚が8nmの銅(Cu)からなる導電性層を蒸着成膜して透明電極基板5を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、下記に示す構造のET−1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに、それぞれ独立に、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)及び銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
上記透明電極基板6の作製において、中間層の形成に用いたET−1を、それぞれ、ET−2、ET−3に変更した以外は同様にして、透明電極基板7及び8を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物の例示化合物1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
上記透明電極基板9の作製において、銀(Ag)の代わりに、それぞれ銅(Cu)、金(Au)及び白金(Pt)を用いて、それぞれ平均層厚が8nmの導電性層5を有する透明電極基板10〜12を作製した。
上記透明電極基板10の作製において、導電性層5の平均層厚を、5nm、10nm、20nmにそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極基板13〜15を作製した。
上記透明電極基板10の作製において、中間層3の形成に用いた例示化合物1に代えて、それぞれ表1〜3の中間層の材料として記載の各例示化合物を用いた以外は同様にして、透明電極基板16〜20、25〜30、33〜38、41〜46、49〜54、57〜62、65〜70及び73〜78を作製した。
上記透明電極基板10の作製において、中間層3の形成に用いた例示化合物1に代えて、それぞれ表1〜3に記載の中間層の材料を用い、蒸着による中間層3の形成に代えて、それぞれ下記の塗布による中間層3の形成を行ったほかは同様にして、透明電極基板16〜20、25〜30、33〜38、41〜46、49〜54、57〜62、65〜70及び73〜78を作製した。
それぞれ表1〜3に記載の中間層の材料をクロロホルムに溶解して濃度0.3%の塗布液を作製し、スピンコーターにて表1〜3に記載の基板上に、乾燥後の中間層の層厚が25nmになるように塗布した。
上記透明電極基板21及び22の作製において、基板を無アルカリガラスに代えて、それぞれPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに変更した以外は同様にして、透明電極基板23及び24を作製した。
上記作製した透明電極基板5〜80について、中間層を形成した段階で、前記(屈折率の測定法)に従って中間層の屈折率を測定した。測定結果を表1〜3に示した。
上記作製した透明電極基板1〜80について、下記の方法に従って、光透過率、シート抵抗値及び電極寿命の測定を行った。
約100cm2の透明基板及び上記作製した透明電極基板の単位面積当たりの質量を測定した。両者の単位面積当たりの質量(g/cm2)の差を銀、銅、金又は白金のそれぞれの密度で除して平均層厚(単位:cm)を得、単位をnmに変換した。
上記作製した各透明電極基板について、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、各透明電極基板の作製に用いた基板をリファレンスとして、波長550nmと650nmにおける光透過率(%)を測定した。
上記作製した各透明電極基板について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
耐久性の評価として、電極寿命を測定した。測定は、高温高湿環境(温度60℃、湿度90%)下に透明電極基板1〜80を保存し、そのシート抵抗値の上昇率が、保存前に比べて2倍になるまでの時間を測定し、これを電極寿命の尺度として用いた。この時間が長いほど寿命が長く好ましい。なお、表1〜3では、透明電極基板番号9を100とする相対値で表した。
3、3A、3B、3−1、3−2 中間層
5、5−1、5−2 導電性層
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン(第1の導電性層)
5y1,5y2、5y3等 y電極パターン(第2の導電性層)
6 レジスト膜
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11 透明基板
13 前面板
15 接着剤
17、17x,17y 配線
21、21a タッチパネル
100 液晶表示装置
101A、101B 偏光フィルター
102A、102B ガラス基板
103 カラーフィルター
104A、104B 配向膜
105 液晶
106 スペーサー
Claims (6)
- 中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする透明電極。
- 前記導電性層が、銅を主成分として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
- 前記有機化合物が、臭素原子、ヨウ素原子又は硫黄原子を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
- 前記有機化合物が、非対称の化学構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極の製造方法であって、前記中間層をウェットプロセスにより形成することを特徴とする透明電極の製造方法。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
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