JP2015122253A - 透明電極、透明電極の製造方法及び電子デバイス - Google Patents

透明電極、透明電極の製造方法及び電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高い導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ耐久性に優れた透明電極、この透明電極の製造方法及びこの透明電極を具備した電子デバイスを提供することである。
【解決手段】本発明の透明電極は、中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明電極、透明電極の製造方法及び電子デバイスに関し、特には、高い導電性と光透過性とを兼ね備えた耐久性に優れた透明電極、この透明電極の製造方法及びこの透明電極を用いた電子デバイスに関する。
タッチパネル、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池等の電子デバイスでは、光取出し側の電極(透明電極)としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide、以下、「ITO」と略記。)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った材料の検討が、例えば、特開2002−15623号公報、特開2006−164961号公報においてなされている。しかしながら、ITOはレアメタルであるインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗を下げるためには成膜後に300℃程度でアニール処理する必要があり、さらなる低抵抗の要望に対しては限界がある等の問題を抱えていた。
近年、上記問題を踏まえ、透明電極の構成材料として、銀を適用した検討がなされている。銀は、上記ITOに比べると、導電性には優れているが、抵抗特性と透過率のトレードオフという問題を有している。
このような状況において、電気伝導率の高い銀(Ag)とマグネシウム(Mg)との合金を用いて薄膜を構成する技術や、インジウムに代えて、安価で入手容易な金属材料を原料として薄膜を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1に記載の発明では、電極材料として銀とマグネシウムの合金を用いることにより、銀単独で形成した電極に比べ、薄膜条件で所望の導電性を得ることができ、透過率と導電性の両立を図ることができるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法で得られる電極の抵抗値は、せいぜい100Ω/□前後で、透明電極の導電性としては不十分であり、駆動電圧を低くできないという問題に加えて、マグネシウムは酸化されやすい特性であるため、長期間にわたる保存により性能が劣化しやすいという問題を抱えている。
また、特許文献2に記載されている発明では、インジウム(In)の代わりに、安価で入手が容易な亜鉛(Zn)やスズ(Sn)などの金属材料を原料として用いた透明導電膜が開示されている。しかしながら、これらの代替金属では、十分に抵抗値が下がらないこと、加えて、亜鉛を含有したZnO系の透明導電膜は、水と反応して性能が変動しやすいという特性を有している。また、スズを含有したSnO系の透明導電膜は、エッチングによる加工が困難であるとの問題を有していることが判明した。
一方、層厚が15nm程度の薄膜で、光透過性が高い銀膜を蒸着して陰極として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3で提案されている方法では、形成している銀膜は、電極としてはいまだ厚いため、透明電極としての光透過率(透明性)が十分でなく、マイグレーション(原子の移動)を起こしやすい。また、銀膜を更に薄くすると、導電性等を維持することが難しくなるため、光透過性と導電性を両立する技術の開発が切望されている。
一方、本発明者らは、銀薄膜とその下部に中間層を有する透明電極において、下地となる中間層中に、銀と相互作用を有するジアザカルバゾール誘導体を含有させることにより、形成する銀薄膜の連続造膜性を向上させ、より均一の銀薄膜を形成することにより、低抵抗化、高透過性及び保存性を達成している(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、近年、電子デバイスに対する要求がより高まり、特に、大面積化に対する要望に対し、より低抵抗化が求められており、視認性の面ではさらなる高光透過性、また数十年以上の電子デバイス寿命を可能にするには、保存される環境での熱や酸素に対する高い安定性・耐久性が要望されている。
特開2006−344497号公報 特開2007−031786号公報 米国特許出願公開第2011/0260148号明細書 国際公開第2013/105569号
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高い導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ耐久性に優れた透明電極、この透明電極の製造方法及びこの透明電極を具備した電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、透明電極が、中間層と、該中間層に隣接して設けられる導電性層とを積層した構成とし、当該中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、前記導電性層が、銅、金又は白金を主成分として構成されることにより、従来にない高い光透過率と、低いシート抵抗値を備え、優れた導電性と光透過性とを両立することができ、かつ耐久性に優れた透明電極を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする透明電極。
2.前記導電性層が、銅を主成分として構成されていることを特徴とする第1項に記載の透明電極。
3.前記有機化合物が、臭素原子、ヨウ素原子又は硫黄原子を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
4.前記有機化合物が、非対称の化学構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明電極。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極の製造方法であって、前記中間層をウェットプロセスにより形成することを特徴とする透明電極の製造方法。
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
本発明によれば、高い導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ耐久性に優れた透明電極、この透明電極の製造方法及びこの透明電極を具備した電子デバイスを提供することができる。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができるのは、以下の理由によるものと推測している。
高い導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を作製するためには、導電性層を厚くしたいが、その反面、反射率が大きく増加して高い光透過性が得られないという問題があった。反射率を可視の広い波長領域に渡って低く抑えるためには、所望の波長域全体に渡って、外界(空気)と接する最上層のアドミッタンスが、外界のアドミッタンス(空気の場合は1)の近傍になければならない。該透明電極が多層膜からなる場合、外界との反射率は最上層の等価アドミッタンスで決定される。等価アドミッタンスとは、それより下層にある全ての層のアドミッタンスを積み上げリレーすることで算出した数値であり、全ての層を1つの層としてみなしたときのアドミッタンスに相当する。
本発明の透明電極は、中間層及びそれに隣接する導電性層からなる多層膜である。導電性層は、銅、金及び白金を主成分として構成され、これらの金属の屈折率はそれぞれ、0.60、0.34及び2.90であるが、隣接する芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物からなる中間層の屈折率を1.8以上とすることにより、該透明電極全体を1つの層とみなしたときのアドミッタンス、すなわち等価アドミッタンスを、空気のアドミッタンスである1に近付けることができる。
これにより可視光領域における反射率を低減することができ、高い光透過性の透明電極とすることができたと推定している。
また、前記芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、屈折率が1.8以上である中間層は、銅、金又は白金原子と親和性を有する。これにより、中間層の上部に導電性層を成膜する際には、導電性層を構成する銅、金又は白金原子が、中間層の表面の化合物と相互作用し、当該中間層表面上での銅、金又は白金原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銅、金又は白金の凝集が抑えられる。
すなわち、銅、金又は白金原子は、まず銅、金又は白金原子と親和性のある中間層表面上で2次元的な核を形成し、それを中心に2次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
なお、一般的には、中間層表面において付着した銅、金又は白金原子が表面を拡散しながら結合し3次元的な核を形成し、3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に成膜し易いと考えられるが、本発明では、中間層に含有されている銅、金又は白金に対する親和性化合物により、このような様式の島状成長が防止され、層状成長が促進されると推察される。
このようにして形成された平均層厚が数nm〜数十nmの島状の銅、金又は白金層は、表面プラズモンにより光吸収が促進されることが知られている。しかし、島状の銅、金又は白金層と同じ平均層厚でありながら均一な厚さの層状に成長した銅、金又は白金層においては、表面プラズモンが弱くなり、表面プラズモンによる光吸収が低いことが知られており、光透過率が高くなったと推察される。
したがって、本発明の透明電極の導電性層は、従来知られていた導電性層と同じ平均層厚又はそれ以下の層厚でありながらも、均一な層厚の導電性層が得られ、導電性層の光吸収が小さく、かつ、導電性層と中間層との界面での反射を低減できたこととも作用し、この結果、導電性を保ちつつも、光透過率の高い透明電極とすることができる。
さらに、本発明の構成とすることで、耐久性も向上することが分かった。これは、銅、金又は白金に対する親和性化合物と銅、金又は白金との相互作用により、銅、金又は白金の薄膜における電子雲の分布が親和性化合物のほうに偏り、結果的に親和性化合物の反対側の銅、金又は白金の表面の電子密度が低くなるため、金属の酸化に対する耐久性が向上したためではないかと推測している。
本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図 透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図 電極パターンを有する透明電極対を具備した電子デバイスであるタッチパネルの構成の一例を示す斜視図 タッチパネルを構成する各透明電極の電極パターンの一例を示す平面図 タッチパネルを構成する電極部分の一例を示す平面模式図 タッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明で好適に用いることができるタッチパネルの構成の一例を示す概略断面図 本発明の透明電極を具備した電子デバイスである液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明の透明電極は、中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とし、高い導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ耐久性に優れた透明電極を実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項6に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、一般的に、有機化合物において屈折率を高くするために、かさ高い原子を導入したり、極性が高い原子や官能基を導入して電子密度を局在化させたりする手法などが知られていることから、前記有機化合物が、臭素原子、ヨウ素原子又は硫黄原子を有することが好ましい。
また、高密度な中間層を形成し、中間層の屈折率を高くすることができることから、中間層が含有する前記有機化合物が、非対称の化学構造を有することが好ましい。
また、本発明の透明電極は、前記中間層をウェットプロセスにより形成することが、中間層の屈折率を向上し、導電性と光透過性を向上することから、また、生産効率が高いことから好ましい。
また、本発明の電子デバイスは、本発明の透明電極を具備していることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《透明電極》
〔透明電極の基本構成〕
本発明の透明電極は、中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上で、かつシート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層は芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、前記導電性層は銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする。上記構成からなる透明電極は、例えば、透明な基板上に本発明に係る中間層及び導電性層を積層して形成される。
図1は、本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図である。
図1の(a)に示す透明電極1は、基板11上に、中間層3を有し、この中間層3の上部に、導電性層5を積層した2層構造である。
すなわち、基板11の上部に、中間層3及び導電性層5が、この順に設けられている。本発明に係る中間層3は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、さらに波長550nmの光の屈折率が1.8以上である層であり、その上に積層する本発明に係る導電性層5は、銅、金又は白金を主成分として構成されている層であることを特徴とする。
本発明において、導電性層5が銅、金又は白金を主成分として含有しているが、本発明でいう金属元素を主成分とするとは、導電性層全質量に対し、本発明に係る銅、金又は白金のそれぞれの金属元素の含有率が90質量%以上であることを意味し、好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、特に好ましくは銅、金又は白金の金属元素のみの構成である。本発明に係る導電性層5においては、銅、金又は白金のそれぞれが、他の金属元素と合金を形成することはなく、それぞれ単体の金属元素で構成されていることが最も好ましい態様である。
また、本発明の透明電極1の層構成としては、図1の(b)に示すように、基板11上に、上記説明した構成の中間層3A及び導電性層5を有し、更に、導電性層5上に、第2の中間層3Bを積層し、中間層3Aと第2の中間層3Bとで導電性層5を挟持する層構成であることも、好ましい態様の一つである。このように、導電性層5上にさらに第2の中間層3Bを設けることにより、金属元素で構成されている導電性層5が、例えば、酸素雰囲気等に直接晒されることがなく、また、第2の中間層3Bで導電性層5が保護されることにより、擦り傷等の発生を防止することができる。
また、第2の中間層3Bを積層することは、金属元素で構成されている導電性層5の表面の反射を軽減することができ、透明電極として光透過度を高めることができることからも好ましい。
次に、このような積層構造の透明電極1を保持するのに用いられる基板11と、透明電極1を構成する中間層3及び導電性層5の順に、更に詳細な構成要件について説明する。
なお、本発明において透明基板と透明電極とをあわせて透明電極基板という。
〔基板〕
本発明の透明電極を保持するのに用いられる基板は、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基板は、透明であっても不透明であってもよいが、本発明の透明電極が、基板側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、中間層との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理が施されていても良いし、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されている構成であっても良い。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名;JSR社製)又はアペル(商品名;三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜(以下、「ガスバリアー膜」ともいう。)や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されている構成であっても良い。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定される水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましい。更には、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下、温度40℃・90%RHの環境下で、JIS Z0208に従い測定された水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
以上のようなガスバリアー性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等の電子デバイスの劣化をもたらす要因の浸入を抑制する機能を備えた材料であればよく、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に、当該ガスバリアー性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造をもたせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー性フィルムの作製方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法(CVD:化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition)、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
一方、基板が不透明な材料で構成する場合には、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等を用いることができる。
〔中間層〕
本発明に係る中間層は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、波長550nmの光の屈折率が1.8以上である。このような中間層が基板上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法(エレクトロンビーム法)など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。中でもウェットプロセスを用いる方法が、中間層の屈折率が高く、導電性と光透過性が高いことから、また、生産効率が高いことから、好ましく適用される。
中間層は、層厚が1〜100nmの範囲にあることが好ましく、5〜30nmの範囲にあることがより好ましい。この範囲であればいずれの層厚であっても効果が得られる。
層厚が100nmより薄いと層の吸収成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するため好ましい。また、層厚が5nmより厚いと均一で連続的な中間層が形成されるため好ましい。
(芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物)
本発明の透明電極においては、中間層には、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物が含有されている。
本発明において、「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」とは、非共有電子対を持つ窒素原子であって、当該非共有電子対が不飽和環状化合物の芳香族性に必須要素として直接的に関与していない窒素原子のことをいう。すなわち、共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に、非共有電子対が、化学構造式上、芳香族性発現のために必須のものとして関与していない窒素原子をいう。
以下、詳細に説明する。
窒素原子は第15族元素であり、最外殻に5個の電子を有する。このうち3個の不対電子は他の原子との共有結合に用いられ、残りの2個は一対の非共有電子対となるため、通常、窒素原子の結合本数は3本である。
例えば、アミノ基(−NR)、アミド基(−C(=O)NR−)、ニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、ジアゾ基(−N)、アジド基(−N)、ウレア結合(−NRC(=O)NR−)、イソチオシアネート基(−N=C=S)、チオアミド基(−C(=S)NR)などが挙げられ、これらは本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
このうち、例えば、ニトロ基(−NO)の共鳴式は以下のように記すことができ、厳密には窒素原子の非共有電子対は酸素原子との共鳴構造に利用されているが、本発明においては、ニトロ基の窒素原子も非共有電子対を持つこととする。
Figure 2015122253
一方、窒素原子は非共有電子対を利用することで4本目の結合を作り出すこともできる。例えば、テトラブチルアンモニウムクロライドは、4つ目のブチル基が窒素原子とイオン結合しており、対イオンとして塩化物イオンを有する第四級アンモニウム塩である。
また、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)は、イリジウム原子と窒素原子が配位結合している中性の金属錯体である。これらの化合物は窒素原子を有するものの、その非共有電子対がそれぞれイオン結合、配位結合に利用されてしまっているため、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」には該当しない。
Figure 2015122253
したがって、本発明は、結合に利用されていない窒素原子の非共有電子対を有効利用するというものである。
窒素原子は芳香環を構成することのできるヘテロ原子として一般的であり、芳香族性の発現に寄与することができる。この「含窒素芳香環」としては、例えばピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環などが挙げられる。
ピリジン環の場合、六員環状に並んだ共役(共鳴)不飽和環構造において、非局在化したπ電子の数が6個であるため、4n+2(n=0又は自然数)のヒュッケル則を満たす。六員環内の窒素原子は、−CH=を置換したものであるため1個の不対電子を6π電子系に動員するのみで、非共有電子対は芳香族性発現のために必須のものとして関与していない。したがって、ピリジン環の窒素原子は本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
Figure 2015122253
ピロール環の場合、五員環を構成する炭素原子の一つが窒素原子に置換された構造であるが、やはりπ電子の数は6個であり、ヒュッケル則を満たした含窒素芳香環である。
ピロール環の窒素原子は水素原子とも結合しているため、3個の電子がσ結合に利用されており、残る2個の電子、つまり非共有電子対がπ結合に利用されることで、6π電子系となっている。
したがって、ピロール環の窒素原子は非共有電子対を有するものの、芳香族性発現のために必須のものとして利用されてしまっているため、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」には該当しない。
Figure 2015122253
イミダゾール環は、五員環上に二つの窒素原子を1,3位に含む構造をしており、やはりπ電子数が6個の含窒素芳香環である。窒素原子Nは、1個の不対電子のみを6π電子系に動員し、非共有電子対を芳香族性発現のために利用していないピリジン環型の窒素原子である。
一方、窒素原子Nは、非共有電子対を6π電子系に動員しているピロール環型の窒素原子である。つまり、窒素原子Nにおいては、本発明の要件を満たしており、イミダゾール環の窒素原子は本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
Figure 2015122253
含窒素芳香環骨格を有する縮環化合物の場合も同様である。例えば、δ−カルボリンはベンゼン環骨格、ピロール環骨格及びピリジン環骨格がこの順に縮合したアザカルバゾール化合物である。ピリジン環の窒素原子Nは、1個の電子のみを、ピロール環の窒素原子Nは、非共有電子対を、それぞれπ電子系に動員しており、環を形成している炭素原子からの11個のπ電子とともに、全体のπ電子数が14個の芳香環である。
したがって、δ−カルボリンの二つの窒素原子のうち、ピリジン環の窒素原子Nは本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当するが、ピロール環の窒素原子Nは該当しない。
このようにピリジン環やピロール環は、その骨格が縮環化合物中に組み込まれている場合でも、その効果が阻害されたり抑制されたりすることはなく、単環として利用したときとなんら相違はない。
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以上のように、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」は、その非共有電子対が導電性層の主成分である銅、金又は白金と強い相互作用を発現するために重要である。また、安定性、耐久性の観点から該窒素原子は、含窒素芳香環中の窒素原子であることが好ましい。
本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物としては、芳香族複素環を有することが好ましく、該芳香族複素環としては、ピリジン環が好ましい。
また、本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物は、臭素原子、ヨウ素原子又は硫黄原子を有する有機化合物であることが好ましい。中間層に含有される有機化合物は、これらの原子を用いることで、主骨格によることなく、本発明の目的とする効果を発現できる。
更に、本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物は、非対称性の化学構造を有することが好ましい。
ここで「非対称」とは、線対称軸及び点対称軸を持たないことを意味する。なお、本発明においては、回転異性体は、同一化合物とみなす。
以下に、本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物の具体例を化合物番号と共に示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2015122253
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本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物は、従来公知の合成方法に準じて、容易に合成することができる。
(中間層の屈折率)
本発明に係る中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、好ましくは屈折率が1.8〜2.1の範囲である。屈折率が1.8以上であれば、光透過率を高くすることができ、2.1以下であれば容易に入手可能な材料で容易に中間層を形成できる。本発明者らは鋭意検討した結果、中間層に含有される化合物の屈折率が1.8以上であるとき、透過率が大きく向上して、優れた透明電極ができることを見出した。
(屈折率の測定方法)
本発明において、屈折率の測定方法は、通常用いられている方法を用いることができる。例えば、各層を単独で塗設したサンプルについて、分光光度計(日立製作所製U−4000型等)の分光反射率の測定結果から求めることができる。分光反射率の測定はサンプルの裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面の光反射を防止し、5度正反射の条件で行い、波長550nmの反射率より屈折率を求める。
〔導電性層〕
本発明に係る導電性層5は、銅、金又は白金を主成分として構成されている層であって、中間層に隣接して形成される。本発明に係る導電性層の成膜方法としては、例えば、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。上記成膜方法の中でも、蒸着法が好ましく適用される。また、導電性層は、中間層上に成膜されることにより、導電性層成膜後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を施しても良い。
本発明に係る導電性層においては、銅、金又は白金を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
更に、当該導電性層は、平均層厚が5〜20nmの範囲にあることが好ましく、5〜12nmの範囲にあることが更に好ましい。平均層厚が20nm以下の場合、層の光吸収成分又は反射成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するためより好ましい。また、平均層厚が5nm以上であると層の導電性が十分になるため好ましい。また、更に高い透過率を得られることから平均層厚が5〜8nmであることが最も好ましい。
〔透明電極の効果〕
以上説明したように、本発明の透明電極は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、波長550nmの光の屈折率が1.8以上である中間層に隣接して、銅、金又は白金を主成分として構成されている導電性層を設けた構成である。これにより、中間層の上部に導電性層を成膜する際には、導電性層を構成する銅、金又は白金原子が中間層を構成する芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子と相互作用し、銅、金又は白金原子の中間層表面における拡散距離が減少し、銅、金又は白金の凝集の生成を抑制することができる。銅、金又は白金の中では、高い伝導性を有することから導電性層が銅を主成分として構成されていることが好ましい。
従来、銅、金又は白金を主成分として構成されている導電性層の成膜においては、核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、銅、金又は白金粒子が島状に孤立し易く、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難となり、シート抵抗値が高くなる。したがって、導電性を確保するにはある程度層厚を厚くする必要があるが、層厚を厚くすると光透過率が低下し、透明電極としては不適であった。
しかしながら、本発明で規定する構成の透明電極は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、屈折率が1.8以上である中間層上において、中間層と銅、金又は白金との相互作用により、銅、金又は白金の凝集が抑えられるため、銅、金又は白金を主成分として構成されている導電性層の成膜においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)で薄膜成長するようになる。
なお、本発明でいう「透明電極の透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいうが、中間層として用いられる上述した各材料は、銅、金又は白金を主成分とした導電性層と比較して、十分な光透過性を備えた良好な層である。一方、透明電極の導電性は、主に導電性層によって確保される。したがって、上述のように、銅、金又は白金を主成分として構成されている導電性層が、より薄い層厚で導電性が確保されたことと、導電性層と中間層との界面での反射を低減することにより、透明電極の導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることができたものと考えている。
(導電性の評価)
導電性はシート抵抗(表面比抵抗率ともいう。)を、測定して評価した。
シート抵抗は、三菱化学アナリテック社製抵抗率計ロレスタGPを用いて、導電性層の表面比抵抗を23℃・55%RH環境下で四端子法で測定することにより求められる。
《2.透明電極の用途》
上記構成からなる本発明の透明電極は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、LED(light Emitting Diode)、太陽電池等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて、光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極を用いることができる。
〔タッチパネル〕
以下、本発明の透明電極を適用した電子デバイスの一例として、本発明の透明電極にフォトリソグラフィー法による電極パターンを形成したのち、それをタッチパネルへの適用する例について説明する。
(透明電極のパターニング)
図1の(a)で示した基板11上に、中間層3と当該中間層3に隣接して、銅、金、又は白金を主成分とする導電性層5を有する本発明の透明電極1は、例えば、フォトリソグラフィー法により、例えば、有機溶媒を含有するエッチング液を用いて、図3〜図5に示すような電極パターンを形成することができる。
〈エッチング液:有機溶媒〉
本発明において、エッチング液としては、少なくとも有機溶媒を含有していることが好ましく、有機溶媒として、特に制限はないが、中間層に対する溶解能を備えた有機溶媒であることが好ましく、より好ましくは、エーテルアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる少なくとも1種である。
また、本発明においては、エッチング液に、上記有機溶媒とともに、銅、金、又は白金で構成される導電性層をより完全に溶解して除去する目的で、各金属元素の溶剤を併用することもできる。
〈製造工程〉
以下、フォトリソグラフィー法による電極パターンの形成方法について説明する。
本発明に適用するフォトリソグラフィー法とは、硬化性樹脂等のレジスト塗布、予備加熱、露光、現像(未硬化樹脂の除去)、リンス、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチング処理、レジスト剥離の各工程を経ることにより、透明電極を、図3〜図5に示すような所望のパターンに加工する方法である。
本発明では、従来公知の一般的なフォトリソグラフィー法を適宜利用することができる。例えば、レジストとしてはポジ型又はネガ型のいずれのレジストでも使用可能である。また、レジスト塗布後、必要に応じて予備加熱又はプリベークを実施することができる。露光に際しては、所期のパターンを有するパターンマスクを配置し、その上から、用いたレジストに適合する波長の光、一般には紫外線や電子線等を照射すればよい。露光後、用いたレジストに適合する現像液で現像を行う。現像後、水等のリンス液で現像を止めるとともに洗浄を行うことで、レジストパターンが形成される。次いで、形成されたレジストパターンを、必要に応じて前処理又はポストベークを実施してから、有機溶媒を含むエッチング液によるエッチングで、レジストで保護されていない領域の中間層の溶解及び導電性層の除去を行う。エッチング後、残留するレジストを剥離することによって、所期のパターンを有する透明電極が得られる。このように、本発明に適用されるフォトリソグラフィー法は、当業者に一般に認識されている方法であり、その具体的な適用態様は当業者であれば所期の目的に応じて容易に選定することができる。
次いで、図を交えて、本発明に適用可能な電極パターンの形成方法について説明する。
図2は、透明電極に電極パターンをフォトリソグラフィー法で形成する一例を示す工程フロー図である。
第1ステップとして、図2の(a)で示すように、透明基板11上に中間層3及び導電性層5を積層して、未加工の透明電極1を作製する。
次いで、図2の(b)で示すレジスト膜の形成工程で、導電性層5上に感光性樹脂組成物等から構成されるレジスト膜6を均一に塗設する。感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂組成物あるいはポジ型感光性樹脂組成物を用いることができる。
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の方法によって導電性層上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークすることができる。プリベークは、例えば、ホットプレート等を用いて、50℃以上、150℃以下の範囲で30秒〜30分間行うことができる。
次いで、図2の(c)に示す露光工程で、所定の電極パターンにより作製したマスク7を介して、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナーなどの露光機8を用いて、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を、次工程で除去するレジスト膜6Aに照射する。露光光源に制限はなく、紫外線、電子線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。
次いで、図2の(d)に示す現像工程で、露光済みの透明電極を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト膜6Aを溶解する。
現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50℃以上150℃以下の範囲で乾燥ベークを行ってもよい。
次いで、図2の(e)に示すように、上記説明したエッチング液9を用いたエッチング処理を行う。
具体的には、例えば、エーテルアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒を含むエッチング液に、透明電極1を浸漬し、レジスト膜6で保護されていない領域の中間層3を溶解するとともに及び中間層に保持されている薄膜の導電性層も同時に除去することにより、所定の電極パターンを形成する。
最後に、図2の(f)に示すように、レジスト膜剥離液、例えば、ナガセケムテックス社製のN−300に浸漬して、導電性層5上のレジスト膜6を除去する。
《タッチパネルの構成》
次いで、本発明の透明電極を適用することができるタッチパネルの構成について、代表的な実施形態の詳細について説明する。
〔実施形態1:2枚の透明基板上に2層の透明電極を設けた構成〕
図3は、上述した本発明の透明電極を用い、後述の図7で示す構成からなるタッチパネル21aの概略構成を示す斜視図である。また、図4は、タッチパネル21の電極構成を示す2枚の透明電極1−1及び1−2の平面図である。
これらの図に示すタッチパネル21は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル21は、透明基板11−1、11−2の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2がこの順に配置され、この上部が前面板13で覆われている。
第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2は、それぞれが、図1及び図2を用いて説明したタッチパネル用の電極パターンが形成された透明電極1である。したがって、第1の透明電極1−1は、第1の中間層3−1と第1の導電性層5−1とがこの順に積層された構成である。同様に第2の透明電極1−2は、第2の中間層3−2と第2の導電性層5−2とがこの順に積層された構成である。
以下、タッチパネル21を構成する主要各層の詳細を、透明基板11−1、11−2側から順に説明する。なお、ここでは、図3及び図4とともに、図5の電極部分の平面模式図及び、そのA−A断面に相当する図6の断面模式図を用いて説明を行う。また、図1及び図2で説明したと同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(透明基板11)
図3及び図5に示す透明基板11−1、11−2は、先の透明電極1で説明した基板11(以下、透明基板ともいう。)である。
(第1の中間層3−1(第1の透明電極1−1))
第1の中間層3−1は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、基板11上に成膜されている。ここでは一例として、第1の中間層3−1は、透明基板11−1に導電性層5−1と同一形状にパターニングされている。
(第1の導電性層5−1(第1の透明電極1−1))
第1の導電性層5−1は、先の透明電極で説明した導電性層5であり、第1の中間層3−1上においてパターニングされた複数のx電極パターン5x1、5x2、(中略)等として構成されている。各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等は、例えば、x方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近において、x方向に直線状に連結した形状であることとする。
また、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等には、それぞれの端部にx配線17xが接続されている。これらのx配線17xは、透明基板11−1上における周縁領域において配線され、透明基板11−1の端縁に引き出されている。このような各x配線17xは、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と同様に、銅、金、又は白金を主成分とする第1の導電性層5−1として構成されたものである。
(第2の中間層3−2(第2の透明電極1−2))
第2の中間層3−2は、先の透明電極1で説明した中間層3であり、透明基板11−2上に成膜されていて、第2の電極層5−2と同一形状にパターニングされている。
(第2の電極層5−2(第2の透明電極1−2))
第2の電極層5−2は、先の透明電極1で説明した導電性層5であり、第2の中間層3−2上においてパターニングされた複数のy電極パターン5y1、5y2、(中略)等として構成されている。各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、それぞれがx電極パターン5x1、5x2、(中略)等と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、例えば、y方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
ここで、図5に示すように、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等を構成するひし形のパターン部分は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等を形成するひし形のパターン部分に対して平面視的に重なることのない位置に配置され、重なることのない範囲でできるだけ大きな範囲を占める形状となっている。これにより、透明基板11−2の中央部の領域においては、第1の電極層5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及び第2の電極層5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難い構成となっている。
各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、ひし形の電極パターンの連結部分においてのみ、各x電極パターン5x1、5x2、(中略)等と積層される。これらの積層部分には、第2の中間層3−2が挟持され、これによってx電極パターン5x1、5x2、(中略)等とy電極パターン5y1、5y2、(中略)等との絶縁性が確保された状態となっている。
また、各y電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、それぞれの端部にy配線17yが接続されている。これらのy配線17yは、透明基板11−2上における周縁領域において配線され、x配線17xと並ぶように透明基板11−2の端縁に引き出されている。このような各y配線17yは、y電極パターン5y1、5y2、(中略)等と同様に、銅、金、又は白金を主成分とする第2の導電性層5−2として構成されたものである。
なお、透明基板11−2の端縁に引き出されたx配線17x及びy配線17yには、フレキシブルプリント基板などが接続される構成となっている。
(前面板13)
図3に図示した前面板13は、タッチパネル21において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板13は、光透過性を有する板材であって、透明基板11と同様のものが用いられる。またこの前面板13は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いても良い。このような前面板13は、例えば接着剤15に(図6参照。)よって第2の透明電極1−2側に張り合わせられていることとする。この接着剤15は、光透過性を有するものであれば、特に材料が限定されることはない。
またこの前面板13には、透明基板11−1及び11−2の周縁を覆う遮光膜が設けられ、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等から引き出されたx配線17x、及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等から引き出されたy配線17yが、前面板13側から視認されることを防止している。
(タッチパネルの動作)
以上のようなタッチパネル21を動作させる場合、x配線17x及びy配線17yに接続させたフレキシブルプリント基板などから、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等に対して電圧を印加しておく。この状態で、前面板13の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル21内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等でアドレスされた位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
(タッチパネル21の効果)
以上のようなタッチパネル21は、2層の透明電極1−1及び1−2として、先に説明した光透過性とともに充分な導電性を備えた透明電極を用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、タッチパネル用の透明電極を大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル21の大型化をすることが可能となる。
特に、このタッチパネル21は、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びこれに直交して配置された電極パターン5y1、5y2、(中略)等を有する投影型静電容量式である。このため、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等には、高い導電性が要求される。しかしながら、これらのx電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等は、先に説明したタッチパネル用透明電極の導電性層(電極層)5であるため、導電性を維持しつつ薄膜化が可能である。したがって、x電極パターン5x1、5x2、(中略)等及びy電極パターン5y1、5y2、(中略)等自体が視認され難くなり、タッチパネル21を介しての下地の表示画像の視認性を劣化させることをも防止できる。
図7は、実施形態のタッチパネルで、本発明で特に好ましく適用することができるタッチパネルの構成を説明するための断面模式図であり、図5に示したA−A断面に相当する図である。この図に示すタッチパネル21aは、2枚の透明基板11−1及び11−2の一主面上に、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先に説明した実施形態1と同様である。このため、先の実施形態1のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
すなわち、図7に示す変形例のタッチパネル21aは、第1の透明電極1−1が設けられた第1の基板11−1と、第2の透明電極1−2が設けられた第2の基板11−2とを有する。これらの基板11−1及び11−2は、透明電極1−1及び1−2の形成面を同一方向に向け、第1の基板11−1における第1の透明電極1−1の形成面上に、第2の基板11−2が位置するように重ねて配置されている。
第1の基板11−1及び第2の基板11−2は、先の透明電極で説明したと同様の基板11である。また、第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2は、それぞれが先の実施形態1と同様の構成であり、それぞれが基板11−1及び11−2上に、中間層3−1及び3−2と、導電性層5−1及び5−2をこの順に積層した構成となっている。
さらに各導電性層5−1及び5−2の構成も、先の実施形態1と同様であり、第1の導電性層5−1で構成されたx電極パターン5x1、5x2、(中略)等、及び第2の電極層5−2で構成されたy電極パターン5y1、5y2、(中略)等が視認され難いパターン構成及び配置構成となっている。ただし、第1の導電性層5−1と第2の導電性層5−2との間は、第2の基板11−2と第2の中間層3−2とによって絶縁性が確保された状態となっている。
また、積層された第1の基板11−1と第2の基板11−2との間は、ここでの図示を省略した接着剤によって貼り合せられており、この接着剤によっても、第1の電極層5−1と第2の電極層5−2とが絶縁される。
〔実施形態2:透明基板上に2層の透明電極を設けた構成〕
図6は、実施形態のタッチパネルの他の一例を説明するための断面模式図であり、図6に示すタッチパネル21は、透明基板11上に第1の透明電極1−1及び第2の透明電極1−2を設けた構成であり、それ以外の構成は先の実施形態1と同様である。このため、先の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
〔液晶表示装置への適用〕
次いで、電子デバイスとして液晶表示装置への本発明の透明電極を組み入れた例を説明する。
図8は、本発明の透明電極を具備した液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。液晶表示装置は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
液晶表示装置は、一般に、液晶ディスプレイ、液晶パネルともいわれ、液晶の駆動方式によって、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置が挙げられる。通常、液晶ディプレイとしてTVや液晶パネル等好ましく用いられる方式は、VA(MVA,PVA)型液晶表示装置である。
図8で示す液晶表示装置100は、バックライト側から、出入りの光をコントロールする偏光フィルター101A、電極部から電気が他の領域に漏洩しないようにするガラス基板102A、液晶ディスプレイを駆動するための本発明の透明電極1A、液晶分子を一定方向に配向させるための配向膜104A、液晶105、スペーサー106、他方の配向膜104B、他方の透明電極1B、RGBのそれぞれのフィルターをかけ、色を表示するカラーフィルター103、他方のガラス基板102B、他方の偏光フィルター101Bで構成され、本発明の透明電極1A及び1Bは、十分な導電性と光透過性とを兼ね備え、かつ低シート抵抗値を有し、耐久性(耐熱性及び耐酸素性)に優れている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《透明電極基板の作製》
以下に示す方法に従って、透明基板と透明電極電極からなる透明電極基板1〜80を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極基板1〜4は、基板に単層構造の透明電極を積層して作製し、透明電極基板5〜80は、基板上に中間層と導電性層との積層構造からなる透明電極を設けて作製した。
〔透明電極基板1の作製〕
下記に示す方法に従って、単層構造からなる比較例の透明電極基板1を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、これを真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。一方、タングステン製の抵抗加熱ボートに銅(Cu)を充填し、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基板上に銅からなる平均層厚5nmの導電性層の単膜を蒸着して、透明電極基板1を作製した。
〔透明電極基板2〜4の作製〕
上記透明電極基板1の作製において、導電性層の平均層厚を、それぞれ8nm、10nm及び15nmに変更した以外は同様にして、透明電極基板2〜4を作製した。
〔透明電極基板5の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基板上に、下記に構造を示すAlqをスパッタ法により層厚25nmの中間層として成膜し、この上部に、透明電極基板1の作製において、導電性層の形成に用いたのと同様の方法(真空蒸着法)で、平均層厚が8nmの銅(Cu)からなる導電性層を蒸着成膜して透明電極基板5を作製した。
Figure 2015122253
〔透明電極基板6の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、下記に示す構造のET−1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに、それぞれ独立に、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)及び銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、ET−1の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に蒸着し、層厚が25nmのET−1からなる中間層を形成した。
次に、中間層を形成した基板を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、平均層厚8nmの銅からなる導電性層を蒸着し、中間層とこの上部に銅からなる導電性層を積層した透明電極基板6を得た。
〔透明電極基板7及び8の作製〕
上記透明電極基板6の作製において、中間層の形成に用いたET−1を、それぞれ、ET−2、ET−3に変更した以外は同様にして、透明電極基板7及び8を作製した。
Figure 2015122253
〔透明電極基板9の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物の例示化合物1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次いで、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物1の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に蒸着し、層厚が25nmの例示化合物1からなる中間層3を形成した。
次に、中間層3を形成した基板を真空状態のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電及び加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲で、平均層厚8nmの銀からなる導電性層5を蒸着し、中間層3とこの上部に銀からなる導電性層5を積層した透明電極基板9を得た。
〔透明電極基板10〜12の作製〕
上記透明電極基板9の作製において、銀(Ag)の代わりに、それぞれ銅(Cu)、金(Au)及び白金(Pt)を用いて、それぞれ平均層厚が8nmの導電性層5を有する透明電極基板10〜12を作製した。
〔透明電極基板13〜15の作製〕
上記透明電極基板10の作製において、導電性層5の平均層厚を、5nm、10nm、20nmにそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極基板13〜15を作製した。
〔透明電極基板16〜20、25〜30、33〜38、41〜46、49〜54、57〜62、65〜70及び73〜78の作製〕
上記透明電極基板10の作製において、中間層3の形成に用いた例示化合物1に代えて、それぞれ表1〜3の中間層の材料として記載の各例示化合物を用いた以外は同様にして、透明電極基板16〜20、25〜30、33〜38、41〜46、49〜54、57〜62、65〜70及び73〜78を作製した。
〔透明電極基板21、22、31、32、39、40、47、48、55、56、63、64、71、72、79及び80の作製〕
上記透明電極基板10の作製において、中間層3の形成に用いた例示化合物1に代えて、それぞれ表1〜3に記載の中間層の材料を用い、蒸着による中間層3の形成に代えて、それぞれ下記の塗布による中間層3の形成を行ったほかは同様にして、透明電極基板16〜20、25〜30、33〜38、41〜46、49〜54、57〜62、65〜70及び73〜78を作製した。
(中間層の塗布)
それぞれ表1〜3に記載の中間層の材料をクロロホルムに溶解して濃度0.3%の塗布液を作製し、スピンコーターにて表1〜3に記載の基板上に、乾燥後の中間層の層厚が25nmになるように塗布した。
〔透明電極基板23及び24の作製〕
上記透明電極基板21及び22の作製において、基板を無アルカリガラスに代えて、それぞれPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに変更した以外は同様にして、透明電極基板23及び24を作製した。
《中間層の屈折率の測定》
上記作製した透明電極基板5〜80について、中間層を形成した段階で、前記(屈折率の測定法)に従って中間層の屈折率を測定した。測定結果を表1〜3に示した。
《透明電極の評価》
上記作製した透明電極基板1〜80について、下記の方法に従って、光透過率、シート抵抗値及び電極寿命の測定を行った。
〔導電性層の平均層厚の測定〕
約100cmの透明基板及び上記作製した透明電極基板の単位面積当たりの質量を測定した。両者の単位面積当たりの質量(g/cm)の差を銀、銅、金又は白金のそれぞれの密度で除して平均層厚(単位:cm)を得、単位をnmに変換した。
〔光透過率の測定〕
上記作製した各透明電極基板について、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、各透明電極基板の作製に用いた基板をリファレンスとして、波長550nmと650nmにおける光透過率(%)を測定した。
〔シート抵抗値の測定〕
上記作製した各透明電極基板について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
〔電極寿命の測定〕
耐久性の評価として、電極寿命を測定した。測定は、高温高湿環境(温度60℃、湿度90%)下に透明電極基板1〜80を保存し、そのシート抵抗値の上昇率が、保存前に比べて2倍になるまでの時間を測定し、これを電極寿命の尺度として用いた。この時間が長いほど寿命が長く好ましい。なお、表1〜3では、透明電極基板番号9を100とする相対値で表した。
以上により得られた結果を、表1〜3に示す。なお、中間層の材料として本発明に係る芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を用いる場合は、当該材料を前記具体例の化合物番号により示した。
Figure 2015122253
Figure 2015122253
Figure 2015122253
表1〜3に記載の結果より明らかなように、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を用いて形成され、波長550nmの光の屈折率が1.8以上である中間層上に、銅(Cu)、金(Au)又は白金(Pt)を主成分とした導電性層を設けた本発明の透明電極を有する透明電極基板10〜80は、いずれも光透過率が55%以上であり、かつシート抵抗値が15Ω/□以下に抑えられている。これは、中間層を芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を用いて形成することにより、その上に形成する銅、金又は白金からなる膜の凝集やモトルの発生を抑制することができ、ある程度の厚さを有する銅、金又は白金からなる膜を形成しても、銅、金又は白金の凝集が抑制され、かつ中間層と導電性層の界面での反射を低減することにより高い光透過性と低いシート抵抗値の両立を果たすことができたと考えられる。
これに対し、中間層を有していない比較例の透明電極基板1〜4では、銅層である導電性層の層厚を厚くするに従い、シート抵抗値の低下は認められるものの、導電性層形成時の銅の凝集(モトル)に起因してその低下の程度は充分ではなく、光透過率の低下が著しくなり、光透過性とシート抵抗値の両立を達成することができない。また、中間層として屈折率が1.8未満のAlqあるいはET−1〜ET−3を用いた透明電極基板5〜8でも、光透過率が低く、かつシート抵抗値を所望の条件まで低下させることができなかった。
また、本発明の透明電極を有する透明電極基板9〜80の中でも、中間層をウェットプロセスで形成した透明電極基盤21〜24、31、32、39、40、47、48、55、56、63、64、71、72、79及び80の中間層の屈折率は、同じ中間層の材料を蒸着して形成した中間層の屈折率よりも高く、電極基板の導電性及び光透過性に優れることが分かる。
1、1−1、1−2、1A、1B 透明電極
3、3A、3B、3−1、3−2 中間層
5、5−1、5−2 導電性層
5x1、5x2、5x3等 x電極パターン(第1の導電性層)
5y1,5y2、5y3等 y電極パターン(第2の導電性層)
6 レジスト膜
7 マスク
8 露光機
9 エッチング液
11 透明基板
13 前面板
15 接着剤
17、17x,17y 配線
21、21a タッチパネル
100 液晶表示装置
101A、101B 偏光フィルター
102A、102B ガラス基板
103 カラーフィルター
104A、104B 配向膜
105 液晶
106 スペーサー

Claims (6)

  1. 中間層と、該中間層に隣接して設けられた導電性層とを有する透明電極であって、波長550nmにおける光透過率が50%以上であり、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、前記中間層が芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する有機化合物を含有し、前記中間層は波長550nmの光の屈折率が1.8以上であり、かつ前記導電性層が銅、金又は白金を主成分として構成されていることを特徴とする透明電極。
  2. 前記導電性層が、銅を主成分として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
  3. 前記有機化合物が、臭素原子、ヨウ素原子又は硫黄原子を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
  4. 前記有機化合物が、非対称の化学構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極の製造方法であって、前記中間層をウェットプロセスにより形成することを特徴とする透明電極の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
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