JP2014054760A - 導電性フィルム、タッチパネル、及び、表示装置 - Google Patents

導電性フィルム、タッチパネル、及び、表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗且つ高透過率を有し、経時安定性に優れる導電性フィルムを提供する。
【解決手段】面方向リタデーション(R0)値が、+50nm≧R0≧−50nmを満たす熱可塑性樹脂からなる基板11と、基板11上に形成された銀を主成分とする透明導電層とを備える導電性フィルム10を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性フィルム、タッチパネル、及び、表示装置に関し、特には薄型化に適する導電性フィルムと、これを備えたタッチパネル、および表示装置に関する。
テキスト、グラフィック等の情報入力が可能な入力装置としてタッチパネルが開発され、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子手帳などのフラットパネルディスプレイ装置の表示面に取付けられている。
タッチパネルの種類は、抵抗膜方式(Resistive)、静電容量方式(Capacitive)、電磁方式(Electro‐Magnetic)、表面弾性波方式(SAW;Surface Acoustic Wave)及び赤外線方式(Infrared)に区分される。このような様々な方式のタッチパネルは、信号増幅の問題、解像度の差異、設計及び加工技術の難易度、光学的特性、電気的特性、機械的特性、耐環境特性、入力特性、耐久性及び経済性を考慮して、電子製品に採用されている。現在もっとも幅広い分野で用いる方式は、抵抗膜方式と静電容量方式のタッチパネルである。
一般的に、抵抗膜方式タッチパネルや静電容量方式タッチパネルの製作に用いるタッチパネル用透明導電膜は、ガラスにITOをスパッタ形成した透明導電層を用いるのが一般的であった。しかし、ガラスにITOを形成した透明導電層には低抵抗化に限界が有り、タッチ感度向上のための更なる低抵抗導電膜が望まれている。
また、近年のディスプレイの大型化やディスプレイのフレキシブル化に伴い、タッチパネルにも更なる薄膜化や軽量化、フレキシブル性が求められている。このため、ガラスのかわりに、PET等の透明プラスティック基板上にITO導電膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、低抵抗、高耐久の銀薄膜を用いた透明導電性フィルムの技術が開示されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
しかし、この技術においても、透過率、抵抗値、画像視認性、経時安定性を両立することができていない。
国際公開第04/070737号パンフレット 特開平11−245344号公報 特開2000−329934号公報 特開2000−238169号公報
しかしながら、透明プラスティック基板上にITO導電膜を形成する方法では、抵抗値、透明性の両立や、ディスプレイと組み合わせた時の視認性に課題がある。さらに、ITO導電膜では工程での連続生産時での幅手方向の抵抗値ムラや、高い熱処理が必要なため、プラスティック基板に損傷が発生し、またロール状態での経時安定性(湿熱耐久性)が劣り、好ましくない。
また、銀薄膜を用いた透明導電性フィルムの技術においても、透過率、抵抗値、画像視認性、経時安定性を両立することができていない。
上述した問題の解決のため、本発明においては、低抵抗且つ高透過率を有し、経時安定性に優れる導電性フィルム、タッチパネル、及び、表示装置を提供するものである。
本発明の導電性フィルムは、面方向リタデーション(R0)値が、+50nm≧R0≧−50nmを満たす熱可塑性樹脂からなる基板と、基板上に形成された銀を主成分とする透明導電層とを備える。
本発明のタッチパネルは、上記導電性フィルムを電極として備える。
本発明の表示装置は、上記タッチパネルと、このタッチパネルに重ねて配置された表示パネルとを備える。
本発明の導電性フィルムによれば、面方向リタデーション(R0)値が+50nm≧R0≧−50nmを満たす熱可塑性樹脂を基板に用いることにより、透過率の高い導電性フィルムを構成することができる。また、銀を主成分とする透明導電層を用いることにより、電極形成時のアニール処理を行うことなく、低抵抗な導電性フィルムとなる。さらに、透明導電層形成時に、アニール処理が不要となるため、熱による熱可塑性樹脂への損傷を防ぐことができ、熱可塑性樹脂の面方向リタデーションに影響を与えることなく、経時安定性に優れる導電性フィルムを構成することができる。
また、この導電性フィルムを備えることにより、低抵抗且つ高透過率を有し、経時安定性に優れるタッチパネル、及び、表示装置を構成することができる。
本発明によれば、低抵抗且つ高透過率を有し、経時安定性に優れる導電性フィルム、タッチパネル、及び、表示装置を提供することができる。
実施の形態の導電性フィルムの概略構成を示す断面図である。 導電性フィルムの変形例の概略構成を示す断面図である。 導電性フィルムを用いたタッチパネルの概略構成を示す斜視図である。 タッチパネルの電極構成を示す2枚の透明電極の平面図である。 タッチパネルの電極部分の平面模式図である。 図5に示すA−A断面に相当する断面模式図である。 タッチパネルの変形例を説明するための断面模式図である。 タッチパネルの変形例を説明するための断面模式図である。 タッチパネルの変形例を説明するための断面模式図である。 実施の形態の表示装置の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.導電性フィルム
2.導電性フィルムの変形例(中間層を設けた例)
3.タッチパネル(透明基板上に二層の透明導電層を設けた構成)
4.タッチパネルの変形例1(2枚の透明基板を用いた構成)
5.タッチパネルの変形例2(透明基板の両面に一層ずつ透明電極を設けた構成)
6.タッチパネルの変形例3(透明基板の同一平面上に2パターンの透明電極を設けた構成)
7.表示装置(タッチパネルを用いた構成)
〈1.導電性フィルム〉
以下本発明の導電性フィルムの具体的な実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態の導電性フィルムの概略構成図(断面図)を示す。図1に示すように、導電性フィルム10は、基板11上に、透明電極12として透明導電層が設けられた構成である。
[基板]
基板11は、例えば表示パネルの前面板を兼ねていてもよい。このような透明基板11としては、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムを用いることができる。
基板11には、面方向リタデーション(R0値)が下記式(1)を満たす熱可塑性樹脂を用いる。
+50nm≧R0≧−50nm ・・・(1)
また、好ましくは、面方向リタデーション(R0値)が下記式(2)を満たす熱可塑性樹脂を用いる。
+20nm≧R0≧−20nm ・・・(2)
さらに好ましくは、面方向リタデーション(R0値)が下記式(2)を満たす熱可塑性樹脂を用いる。
+5nm≧R0≧−5nm ・・・(2)
なお、面方向リタデーション値とは、波長590nmにおいて、基板の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、基板の厚さをd(nm)とした場合にR0=(nx−ny)・d(nm)で表される値である。
基板の面内リタデーション値は自動複屈折率測定装置(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−21ADH)を用いて測定することができるが、これに限定されるものではない。
面方向リタデーション(R0値)が上記式(1)を満たす熱可塑性樹脂フィルムの材料としては、例えば、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースアシレート樹脂又はそれらの誘導体、アートン(商品名JSR社製)、アペル(商品名三井化学社製)、トパス(ポリプラスチックス社製)といった環状オレフィン系樹脂、といったノルボルネン系樹脂、ピュアエース(帝人社製)といったポリカーボネート樹脂、及び、(メタ)アクリル樹脂、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン等が挙げられる。
なかでもセルロースアシレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系、ノルボルネン系樹脂が好ましい。
セルロースアシレート樹脂としては、平均アシル基置換度が2.6以上3.0以下であることが好ましい。
また、基板11は、厚さが60μm〜20μmであることが好ましい。基板11は、上記熱可塑性樹脂が幅手方向、及び、搬送方向に延伸されて、上記厚さの範囲の樹脂フィルムとなることが好ましい。
また、樹脂フィルムは、幅手方向の寸法が0.3m以上、長手方向の寸法が200m以上とすることができる。このため、導電性フィルムを長手方向に巻回することにより、ロール状の導電性フィルムとすることができる。
一般的に導電性フィルムの基板に適用されるポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)では、面方向リタデーション(R0値)が大きく、デバイスの他の構成との間で干渉縞が発生する。この干渉縞が、導電性フィルムを備えるデバイスの視認性を悪化させている。
また、導電性フィルムは、カーナビゲーション用タッチパネルやスマートフォンやタブレットと呼ばれる携帯用画像表示機器等においても多く使用されている。こうしたタッチパネルは屋外で使用されることが多く、その表示表面が反射して視認性が低下する。このため、タッチパネル表面の反射を抑えるために、偏光フィルム等が用いられることが多い。しかし、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)では、面方向リタデーション(R0値)が大きく、偏光フィルムを通して視認したタッチパネル表面画面は色むらが生じるという問題があった。
このため、PET等の基板を用いた場合には、色むらを解消する目的で、λ/4波長板等の光学機能フィルムが導電性フィルムに合わせて設けられている。このような光学機能フィルムを用いることにより、デバイスの視認性を向上させている。
これに対し、面方向リタデーション(R0値)が±50nm以下、好ましくは±20nm以下の基板を用いた導電性フィルムでは、この導電性フィルムをデバイスに適用した場合にも、干渉縞や色むらの発生がない。このため、λ/4波長板等の光学機能フィルムを設けなくても、導電性フィルムを用いたタッチパネルや表示装置等のデバイスの視認性が向上する。
基板11の表面には、バリア層やハードコート層があってもよい。バリア層やハードコート層としては、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜およびハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
基板11の表面は、表面活性処理により清浄化されていることが好ましい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
[透明導電層]
透明導電層12は、光透過性を保てる程度、かつ、照射された光がプラズモン損失されない程度に極薄い金属膜である。さらに、透明導電層は、導電性を有する程度に連続した金属膜である。具体的には、波長550nmにおける光透過率が60%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましく、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。また、膜厚が1〜30nm、好ましくは1〜20nmであり、シート抵抗が0.0001〜50Ω/□、好ましくは0.01〜40Ω/□である。膜厚が上記範囲以下であることにより、層の吸収成分又は反射成分が低く抑えられ、光透過率が維持されるため好ましい。また、膜厚が上記範囲以上であることにより、導電性も確保される。
透明導電層は、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であって、基板11上に形成された層である。このような透明導電層の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。また、透明導電層は、形成後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とする。
透明導電層が銀で構成される場合には、銀の純度が99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)、金(Au)等が添加されていてもよい。
透明導電層が銀を主成分とする合金から構成される場合には、銀の含有率が50%以上であることが好ましい。このような合金の一例として、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)、銀金(AgAu)、銀アルミ(AgAl)、銀亜鉛(AgZn)、銀錫(AgSn)、銀白金(AgPt)、銀チタン(AgTi)、銀ビスマス(AgBi)等が挙げられる。
また、以上のような透明導電層は、銀又は銀を主成分とする合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。つまり、銀の層と、合金の層とが交互に複数回積層された構成であってもよく、又は異なる合金の層が複数層積層された構成であってもよい。
〈2.導電性フィルムの変形例〉
次に、導電性フィルムの変形例について説明する。
図2に変形例の導電性フィルムの概略構成図(断面図)を示す。図2に示すように、導電性フィルム10は、基板11上に、透明電極12が設けられた構成である。透明電極12は、中間層13と、この中間層13上に設けられた透明導電層14とを備える。なお、図2に示す導電性フィルムの変形例は、中間層13を備えることを除き、上述の導電性フィルムの実施形態と同様の構成である。このため、第1実施形態と同様の構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
[中間層]
中間層13は、接着層や窒素含有層等から構成される。中間層13は、接着層、又は、窒素含有層のいずれか一方を含んで構成されていることが好ましい。また、接着層、及び、窒素含有層の両方を含んで構成されていてもよい。また透明導電層が、複数の層に分けて積層された構成の場合、導電層と中間層が交互に複数回積層された構成であってもよい。
中間層13上に透明導電層14を形成することにより、透明導電層14を構成する銀原子が中間層13と相互作用し、銀原子の中間層13表面における拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって形成され、均一な膜厚の銀薄膜が得られる。従って、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の透明導電層14が得られるようになる。
(接着層)
接着層は、チタン、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、モリブデン等の原子を含む化合物から構成された層であり、透明電極層14若しくは窒素含有層に隣接して設けられる。接着層は、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等によって形成される。なかでも酸化チタンを用い、蒸着法により形成されることが好ましい。
(窒素含有層)
窒素含有層は、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層であり、透明導電層14に隣接して設けられる。窒素含有層は、基板11上に形成される場合、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法等によって形成される。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
窒素含有層を構成する窒素原子を含んだ化合物は、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば、特に限定はないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物が好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
また、窒素原子を含有する化合物としては、次のような化合物1〜3が例示される。
(化合物−1)
窒素含有層を構成する化合物の一例として、当該化合物に含有される窒素原子のうち、特に透明導電層14を構成する主材料である銀と安定的に結合する窒素原子の非共有電子対を[有効非共有電子対]とし、この[有効非共有電子対]の含有率が所定範囲である化合物が好ましく用いられる。
ここで[有効非共有電子対]とは、化合物に含有される窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対であることとする。ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ不飽和環状構造を言い、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(n=0、又は自然数)個であることを条件としている。
以上のような[有効非共有電子対]は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かにかかわらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子が芳香族性に関与しない非共有電子対を有していれば、その非共有電子対は[有効非共有電子対]の一つとしてカウントされる。
これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対の全てが芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は[有効非共有電子対]としてカウントされることはない。尚、各化合物において、上述した[有効非共有電子対]の数nは、[有効非共有電子対]を有する窒素原子の数と一致する。
特に本実施形態においては、このような化合物の分子量Mに対する[有効非共有電子対]の数nを、例えば有効非共有電子対含有率[n/M]と定義する。そして窒素含有層は、この[n/M]が、2.0×10-3≦[n/M]となるように選択された化合物を用いて構成されていることが好ましい。また窒素含有層は、以上のように定義される有効非共有電子対含有率[n/M]が、3.9×10-3≦[n/M]の範囲であればさらに好ましい。
また、窒素含有層は、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物を用いて構成されていればよく、このような化合物のみで構成されていてもよく、またこのような化合物と他の化合物とを混合して用いて構成されていてもよい。他の化合物は、窒素原子が含有されていてもいなくてもよく、さらに有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲でなくてもよい。
窒素含有層が、複数の化合物を用いて構成されている場合、例えば化合物の混合比に基づき、これらの化合物を混合した混合化合物の分子量Mを求め、この分子量Mに対しての[有効非共有電子対]の合計の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値として求め、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。つまり窒素含有層自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であることが好ましい。
尚、窒素含有層が、複数の化合物を用いて構成されている場合であって、膜厚方向に化合物の混合比(含有比)が異なる構成であれば、透明導電層14と接する側の窒素含有層の表面層における有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であることが好ましい。
以下に、窒素含有層を構成する化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10−3≦[n/M]を満たす化合物の具体例(No.1〜No.40)を示す。各化合物No.1〜No.40には、[有効非共有電子対]を有する窒素原子に対して○を付した。また、下記表1には、これらの化合物No.1〜No.40の分子量M、[有効非共有電子対]の数n、及び有効非共有電子対含有率[n/M]を示す。下記化合物33の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち銅に配位していない非共有電子対が[有効非共有電子対]としてカウントされる。
尚、上記表1には、これらの例示化合物が、次に説明する[化合物-2]を表す一般式(1)〜(6)の何れかにも属する場合の該当一般式を示した。
(化合物−2)
窒素含有層を構成する化合物の他の例として、以上のような有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物の他、その形成性の観点から、以降に説明する一般式(1)〜(6)で表される化合物が用いられる。
これらの一般式(1)〜(6)で示される化合物の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で窒素含有層を構成する化合物として好ましく用いられる(上記表1参照)。一方、下記一般式(1)〜(6)で示される化合物が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまらない化合物であれば、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した範囲の化合物と混合することで窒素含有層を構成する化合物として好ましく用いられる。
上記一般式(1)の式中、E101〜E108は、各々−C(R12)=又は−N=を表し、E101〜E108のうち少なくとも1つは−N=である。また、一般式(1)中のR11、及び上記R12は水素原子又は置換基を表す。
この置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わった構造を有する)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
上記一般式(2)は、一般式(1)の一形態でもある。上記一般式(2)の式中、Y21は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=又は−N=を表し、R21は水素原子又は置換基を表す。ただし、E221〜E229の少なくとも1つ及びE230〜E238の少なくとも1つは−N=を表す。k21及びk22は0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。
一般式(2)において、Y21で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。
また、一般式(2)において、Y21で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。
Y21で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基又はジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(2)において、E201〜E216、E221〜E238で各々表される−C(R21)=のR21が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
一般式(2)において、E201〜E208のうちの6つ以上、及びE209〜E216のうちの6つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
一般式(2)において、E225〜E229の少なくとも1つ、及びE234〜E238の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。
さらには、一般式(2)において、E225〜E229のいずれか1つ、及びE234〜E238のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。
また、一般式(2)において、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。
さらに、一般式(2)で表される化合物において、E203が−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましい。
さらに、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
上記一般式(3)は、一般式(1)の一形態でもある。上記一般式(3)の式中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表し、R31は水素原子又は置換基を表す。また、Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。
上記一般式(3)において、E301〜E312で各々表される−C(R31)=のR31が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
また一般式(3)において、Y31で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、一般式(2)のY21と同様の構成が挙げられる。
上記一般式(4)は、一般式(1)の一形態でもある。上記一般式(4)の式中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表し、R41は水素原子又は置換基を表す。またAr41は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。さらに、k41は3以上の整数を表す。
上記一般式(4)において、E401〜E414で各々表される−C(R41)=のR41が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
また、一般式(4)において、Ar41が芳香族炭化水素環を表す場合、この芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は、さらに一般式(1)のR11,R12として例示した置換基を有してもよい。
また、一般式(4)において、Ar41が芳香族複素環を表す場合、この芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。尚、アザカルバゾール環とは、カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わった構造を有する。これらの環は、さらに一般式(1)において、R11,R12として例示した置換基を有してもよい。
上記一般式(5)の式中、E501及びE502のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、E511〜E515のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、E521〜E525のうちの少なくとも1つは窒素原子である。またR51は置換基を表す。
上記一般式(5)において、R51が置換基を表す場合、その置換基の例としては、一般式(1)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
上記一般式(6)の式中、E601〜E612は、各々−C(R61)=又は−N=を表し、R61は水素原子又は置換基を表す。またAr61は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。
上記一般式(6)において、E601〜E612で各々表される−C(R61)=のR61が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)のR11,R12として例示した置換基が同様に適用される。
また一般式(6)において、Ar61が表す、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様の構成が挙げられる。
(化合物−3)
窒素含有層を構成する化合物のさらに他の例として、以上のような一般式(1)〜(6)で表される化合物の他、下記に具体例を示す化合物1〜118が例示される。これらの化合物は、化合物の安定性が高いため、好ましい。尚、これらの化合物1〜118の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で窒素含有層を構成する化合物として好ましく用いられる。さらに、これらの化合物1〜118の中には、上述した一般式(1)〜(6)に当てはまる化合物もある。
[化合物の合成例]
以下に代表的な化合物の合成例として、化合物5の具体的な合成例を示すが、これに限定されない。
工程1:(中間体1の合成)
窒素雰囲気下、2,8−ジブロモジベンゾフラン(1.0モル)、カルバゾール(2.0モル)、銅粉末(3.0モル)、炭酸カリウム(1.5モル)を、DMAc(ジメチルアセトアミド)300ml中で混合し、130℃で24時間撹拌した。これによって得た反応液を室温まで冷却後、トルエン1Lを加え、蒸留水で3回洗浄し、減圧雰囲気下において洗浄物から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン:トルエン=4:1〜3:1)にて精製し、中間体1を収率85%で得た。
工程2:(中間体2の合成)
室温、大気下で中間体1(0.5モル)をDMF(ジメチルホルムアミド)100mlに溶解し、NBS(N−ブロモコハク酸イミド)(2.0モル)を加え、一晩室温で撹拌した。得られた沈殿を濾過し、メタノールで洗浄し、中間体2を収率92%で得た。
工程3:(化合物5の合成)
窒素雰囲気下、中間体2(0.25モル)、2−フェニルピリジン(1.0モル)、ルテニウム錯体[(η−C)RuCl(0.05モル)、トリフェニルホスフィン(0.2モル)、炭酸カリウム(12モル)を、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)3L中で混合し、140℃で一晩撹拌した。
反応液を室温まで冷却後、ジクロロメタン5Lを加え、反応液を濾過した。次いで減圧雰囲気下(800Pa、80℃)において濾液から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl:EtN=20:1〜10:1)にて精製した。
減圧雰囲気下において、精製物から溶媒を留去した後、その残渣をジクロロメタンに再び溶解し、水で3回洗浄した。洗浄によって得られた物質を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧雰囲気下において乾燥後の物質から溶媒を留去することにより、化合物5を収率68%で得た。
[窒素含有層の形成方法]
以上のような窒素含有層が基板11上に形成されている場合、その形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
特に、複数の化合物を用いて窒素含有層を形成する場合であれば、複数の蒸着源から複数の化合物を同時に供給する共蒸着が適用される。また化合物として高分子材料を用いる場合であれば、塗布法が好ましく適用される。この場合、化合物を溶媒に溶解させた塗布液を用いる。化合物を溶解させる溶媒が限定されることはない。さらに、複数の化合物を用いて窒素含有層を形成する場合であれば、複数の化合物を溶解させることが可能な溶媒を用いて塗布液を作製すればよい。
(アルミニウム層)
また、以上のような中間層13は、窒素含有層と透明導電層14との界面上に、アルミニウム(Al)の層を設けてよい。アルミニウム層は、透明電極14と窒素含有層との相互作用を阻害しない厚さで形成する。また、アルミニウム層は連続膜ではなく、島状や孔を有する層であってもよい。この場合には、銀の層の一部が窒素含有層に隣接して設けられる。このように、窒素含有層と銀を主成分とする膜との間に他の金属を挟んだ構成であってもよい。この場合には、透明導電層14を構成する銀又は銀を主成分とする合金と、窒素含有層上に設けられたアルミニウム層との間に、合金の層が形成された構成となっていてもよい。
(表面保護層)
また、以上の透明導電層14の上に、表面保護層(図示省略)を設けてもよい。表面保護層は連続膜であることが好ましく、アクリル系モノマー又はオリゴマーの硬化性組成物や、上記中間層で用いられる金属化合物及び窒素化合物から形成された膜であってもよい。
なお、上述の導電性フィルムの実施形態及び変形例では、透明導電層を用いて透明電極を構成する例について説明しているが、透明導電層の構成は透明電極に限定されず、透明電極以外を構成するものとしてもよい。
[プロセス]
導電性フィルム11の形成プロセスでは、面方向リタデーション(R0値)が+50nm≧R0≧−50nmを満たす熱可塑性樹脂からなる基板上に、透明電極12を形成する。このとき、透明導電層14及び中間層13の形成プロセスは、透明基板11のガラス転位温度(Tg)を越えないことが好ましい。形成プロセス温度は、透明基板11のガラス転位温度(Tg)から20℃以上低いことが好ましく、40℃以上低いことが更に好ましい。
プロセス中で透明基板の温度を熱可塑性樹脂のガラス転移点以下とすることにより、熱による熱可塑性樹脂への損傷を防ぐことができる。このため、熱可塑性樹脂の面方向リタデーションに影響を与えることなく、透明性、及び、経時安定性に優れる導電性フィルムを形成することができる。また、銀を主成分とする透明導電層を形成することにより、熱可塑性樹脂のガラス転移点以下の温度で、低抵抗な導電性フィルムを形成することができる。
〈3.タッチパネル〉
次に、タッチパネルの実施形態について説明する。
図3に、上述の導電性フィルムを用いたタッチパネルの概略構成の斜視図を示す。
また、図4に、タッチパネルの電極構成を示す2枚の透明電極の平面図を示す。図5に、図3及び図4に示すタッチパネルの電極部分の平面模式図を示す。図6に、図5に示すA−A断面に相当する断面模式図を示す。
なお、本例のタッチパネルには、上述の窒素含有層を中間層として備える導電性フィルムを適用した構成について説明する。
これらの図に示すタッチパネル20は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル20は、基板21の一主面上に、第1の透明電極22、及び第2の透明電極23がこの順に配置され、この上部が前面板24で覆われている。基板21、第1の透明電極22、及び、第2の透明電極23は、上述の図3を用いて説明した導電性フィルムにおいて、透明電極12が2層積層された構成である。従って、第1の透明電極22は、第1の窒素含有層25と第1の透明導電層26とがこの順に積層された構成である。同様に、第2の透明電極23は、第2の窒素含有層27と第2の透明導電層28とがこの順に積層された構成である。
以下、タッチパネル20を構成する主要各層の詳細を、基板21側から順に説明する。尚、ここでは、図3及び図4と共に、図5の電極部分の平面模式図及び、そのA−A断面に相当する図6の断面模式図を用いて説明を行う。また、図2で説明したと同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[基板21]
図3及び図5に示す基板21は、上述の導電性フィルムの実施形態において説明した、面方向リタデーション(R0値)が±50nm、好ましくは±20nmの基板である。
[第1の窒素含有層25(第1の透明電極22)]
第1の窒素含有層25は、上述の導電性フィルムの変形例において説明した窒素含有層であり、基板21上に形成されている。ここでは一例として、第1の窒素含有層25は、基板21の全面を覆う状態で設けられていることとするが、次に説明する第1の透明導電層26と同一形状にパターニングされていてもよい。
透明導電層
[第1の透明導電層26(第1の透明電極22)]
第1の透明導電層26は、上述の導電性フィルムの実施形態で説明した透明導電層であり、第1の窒素含有層25上においてパターニングされた複数のx電極パターンx1,x2,・・・として構成されている。各x電極パターンx1,x2,・・・は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターンx1,x2,・・・は、例えばx方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてx方向に直線状に連結した形状であることとする。
また、各x電極パターンx1,x2,・・・には、それぞれの端部にx配線29xが接続されている。これらのx配線29xは、基板21上における周縁領域において配線され、基板21の端縁に引き出されている。このような各x配線29xは、x電極パターンx1,x2,・・・と同様に、銀を主成分とする第1の透明導電層26として構成されたものであってもよいし、別途形成した電極層で構成されたものであってもよい。
[第2の窒素含有層27(第2の透明電極23)]
第2の窒素含有層27は、上述の導電性フィルムの変形例で説明した窒素含有層であり、基板21上に形成されている。ここでは一例として、第2の窒素含有層27は、x配線29xの端子部分を露出させ、他の部分は基板21の一主面の全面を覆う状態で設けられていることとするが、次に説明する第2の透明導電層28と同一形状にパターニングされていてもよい。
[第2の透明導電層28(第2の透明電極23)]
第2の透明導電層28は、上述の導電性フィルムの実施形態で説明した電極層であり、第2の窒素含有層27上においてパターニングされた複数のy電極パターンy1,y2,・・・として構成されている。各y電極パターンy1,y2,・・・は、それぞれがx電極パターンx1,x2,・・・と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターンy1,y2,・・・は、例えばy方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてy方向に直線状に連結した形状であることとする。
ここで、図5に示すように、各y電極パターンy1,y2,・・・を構成するひし形のパターン部分は、x電極パターンx1,x2,・・・を形成するひし形のパターン部分に対して、平面視的に重ならない位置に配置され、重ならない範囲でできるだけ大きな範囲を占める形状となっている。これにより、基板21の中央部の領域においては、第1の透明導電層26で構成されたx電極パターンx1,x2,・・・、及び第2の透明導電層28で構成されたy電極パターンy1,y2,・・・が視認され難い構成となっている。
各y電極パターンy1,y2,・・・は、ひし形の電極パターンの連結部分においてのみ、各x電極パターンx1,x2,・・・と積層される。これらの積層部分には、第2の窒素含有層27が挟持されるため、x電極パターンx1,x2,・・・とy電極パターンy1,y2,・・・との絶縁性が確保される。
また、各y電極パターンy1,y2,・・・には、それぞれの端部にy配線29yが接続されている。これらのy配線29yは、基板21上における周縁領域において配線され、x配線29xと並ぶように基板21の端縁に引き出されている。このような各y配線29yは、y電極パターンy1,y2,・・・と同様に、銀を主成分とする第2の透明導電層28として構成されたものであってもよいし、別途形成した電極層で構成されたものであってもよい。
尚、基板21の端縁に引き出されたx配線29x及びy配線29yには、フレキシブルプリント基板などが接続される構成となっている。
[前面板24]
図3及び図6に図示した前面板24は、タッチパネル20において入力位置に対応する部分が押圧される板材である。このような前面板24は、基板21と同様に光透過性を有する板材が用いられる。また、この前面板24は、必要に応じた光学特性を備えた材料を選択して用いてもよい。このような前面板24は、例えば接着層31に(図6参照)よって第2の透明電極23側に張り合わせられている。この接着層31は、光透過性を有するものであれば特に材料が限定されることはない。
またこの前面板24には、基板21の周縁を覆う遮光膜が設けられ、x電極パターンx1,x2,・・・から引き出されたx配線29x、及びy電極パターンy1,y2,・・・から引き出されたy配線29yが、前面板24側から視認されることを防いでいる。
[タッチパネルの動作]
以上のようなタッチパネル20を動作させる場合、x配線29x及びy配線29yに接続させたフレキシブルプリント基板等から、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・に対して電圧を印加する。電圧を印加した状態で、前面板24の表面に指又はタッチペンが触れると、タッチパネル20内に存在する各部の容量が変化し、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・の電圧の変化となって現れる。この変化は、指又はタッチペンが触れた位置からの距離によって異なり、指又はタッチペンが触れた位置で最も大きくなる。このため、電圧の変化が最大となる、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・で指定された位置が、指又はタッチペンが触れた位置として検出される。
[タッチパネルの効果]
以上のようなタッチパネル20は、2層の透明電極22,23として、光透過性と共に充分な導電性を備えた導電性フィルムを用いている。これにより、下地の表示画像の視認性を良好に保ちつつ、導電性フィルムを大型化した際の電圧降下を抑えることができ、タッチパネル20の大型化が可能となる。
特に、このタッチパネル20は、x電極パターンx1,x2,・・・及びこれに直交して配置されたy電極パターンy1,y2,・・・を有する投影型静電容量式である。このため、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・には、高い導電性が要求される。本例のタッチパネルでは、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・が、銀を主成分とする透明導電層であるため、導電性を維持しつつ薄膜化が可能である。従って、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・自体が視認され難くなり、タッチパネル20を介した表示画像の視認性の劣化も防止できる。
〈3.タッチパネルの変形例1〉
(2枚の透明基板を用いた構成)
図7は、実施形態のタッチパネルの変形例を説明するための断面模式図であり、図5のA−A断面に相当する図である。この図に示すタッチパネル30は、2枚の基板21A,21Bの一主面上に、第1の透明電極22及び第2の透明電極23を設けた構成であり、それ以外の構成は上述の実施形態と同様である。このため、上述の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
すなわち変形例のタッチパネル30は、第1の透明電極22が設けられた第1の基板21Aと、第2の透明電極23が設けられた第2の基板21Bとを有する。これらの基板21A,21Bは、第1の透明電極22及び第2の透明電極23の形成面を同一方向に向け、第1の基板21Aにおける第1の透明電極22の形成面上に、第2の基板21Bが位置するように重ねて配置されている。
第1の基板21A及び第2の基板21Bは、上述の導電性フィルムと同様の基板21である。また、第1の透明電極22及び第2の透明電極23は、それぞれが上述の実施形態と同様の構成であり、それぞれが基板21A,21B上に、窒素含有層25,27、及び透明導電層26,28をこの順に積層した構成となっている。
さらに各透明導電層26,28の構成も、上述の実施形態と同様であり、第1の透明導電層26で構成されたx電極パターンx1,x2,・・・、及び第2の透明導電層28で構成されたy電極パターンy1,y2,・・・が視認され難いパターン構成及び配置構成となっている。ただし、第1の透明導電層26と第2の透明導電層28との間は、第2の基板21Bと第2の窒素含有層27とによって絶縁性が確保されている。
また、積層された第1の基板21Aと第2の基板21Bとの間は、ここでの図示を省略した接着層によって貼り合せられ、この接着層によっても、第1の透明導電層26と第2の透明導電層28とが絶縁されている。
以上のようなタッチパネル30であっても、上述の実施形態のタッチパネルと同様に動作させることができる。
[タッチパネルの効果]
このような変形例のタッチパネル30であっても、光透過性と共に充分な導電性を備えた導電性フィルムを用いたことにより、上述の実施形態のタッチパネルと同様に大型化が可能であり、タッチパネル30を介した表示画像の視認性の劣化を防止できる。
〈4.タッチパネルの変形例2〉
(透明基板の両面に一層ずつ透明電極を設けた構成)
図8は、実施形態のタッチパネルの変形例を説明するための断面模式図であり、図5のA−A断面に相当する図である。この図に示すタッチパネル32は、基板21の両面に第1の透明電極22及び第2の透明電極23を設けた構成であり、それ以外の構成は上述の実施形態と同様である。このため、上述の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
図8に示すタッチパネル32は、一枚の基板21と、基板21の一主面側に設けられた第1の透明電極22と、基板21の他主面側に設けられた第2の透明電極23とを有する。このうち第1の透明電極22は、窒素含有層25、及び透明導電層26がこの順に基板21の一主面上に積層された構成である。一方、第2の透明電極23は、窒素含有層27、及び透明導電層28がこの順に基板21の他主面上に積層された構成である。
基板21は、上述の導電性フィルムで説明したと同様のものである。また第1の透明電極22及び第2の透明電極23を構成する上記の各層は、上述の実施形態と同様のものである。
さらに各透明導電層26,28の構成も、上述の実施形態と同様であり、第1の透明導電層26で構成されたx電極パターンx1,x2,・・・、及び第2の透明導電層28で構成されたy電極パターンy1,y2,・・・が視認され難いパターン構成及び配置構成となっている。ただし、第1の透明導電層26と第2の透明導電層28との間は、第1の窒素含有層25、基板21、及び第2の窒素含有層27によって絶縁性が確保されている。
以上のようなタッチパネル32は、上述の実施形態のタッチパネルと同様に動作させることができる。
[タッチパネルの効果]
このような変形例2のタッチパネル32であっても、光透過性と共に充分な導電性を備えた導電性フィルムを用いたことにより、上述の実施形態のタッチパネルと同様に大型化が可能であり、タッチパネル32を介した表示画像の視認性の劣化を防止できる。
〈5.タッチパネルの変形例3〉
(透明基板の同一平面上に2パターンの透明電極を設けた構成)
図9は、実施形態のタッチパネルの変形例を説明するための断面模式図であり、図5のB−B断面に相当する図である。ただし、変形例3のタッチパネル40の積層構造と、図5に示すタッチパネル20の積層構造とは、次に説明するとおりに異なる。すなわちこの図に示すタッチパネル40は、基板21の同一平面上に、x電極パターンx1,x2,・・・を有する透明導電層26と、y電極パターンy1,y2,・・・を有する透明導電層28とを設けた構成であり、それ以外の構成は上述の実施形態と同様である。このため、上述の実施形態のタッチパネルと同様の構成には同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
すなわち変形例3のタッチパネル40は、基板21と、基板21上に順に積層された窒素含有層25、及び透明導電層26,28を有する。さらに透明導電層26,28上に層間絶縁膜41と接続電極42とが順に積層されている。このうち透明導電層26,28が、窒素含有層25上に互いに絶縁状態を保って設けられたx電極パターンx1,x2,・・・とy電極パターンy1,y2,・・・とを有するところが特徴的である。
(基板、窒素含有層)
基板21、及び窒素含有層25は、それぞれ上述の導電性フィルムで説明したと同様の構成である。また、窒素含有層25は、一例として、基板21の一主面の全面を覆うように設けられているが、上述の実施形態と同様に、透明導電層26,28と同一形状にパターニングされていてもよい。
(透明導電層)
透明導電層26,28は、上述の導電性フィルムで説明した電極層であり、窒素含有層25上においてパターニングされた複数のx電極パターンx1,x2,・・・と複数のy電極パターンy1,y2,・・・とを有して構成されている。
各x電極パターンx1,x2,・・・は、それぞれがx方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各x電極パターンx1,x2,・・・は、例えばx方向に配列されたひし形のパターン部分を、ひし形の頂点付近においてx方向に直線状に連結した形状である。
各y電極パターンy1,y2,・・・は、それぞれがx電極パターンx1,x2,・・・と直交するy方向に延設された状態で、互いに間隔を保って並列に配置されている。これらの各y電極パターンy1,y2,・・・は、y方向に配列された複数のパターンで構成される。
y電極パターンは、例えばひし形であり、x電極パターンx1,x2,・・・と重なることなく絶縁状態を保てる程度の間隔を有して配置される。これにより、x電極パターンx1,x2,・・・とy電極パターンy1,y2,・・・とは、絶縁性が確保された状態となっている。またy電極パターンは、x電極パターンx1,x2,・・・と絶縁状態を保てる程度の間隔を有する範囲内で、できるだけ大きな範囲を占める形状となっている。これにより、基板21の中央部の領域においては、x電極パターンx1,x2,・・・及びy電極パターンy1,y2,・・・が視認され難い構成となっている。
また、各x電極パターンx1,x2,・・・及び各y電極パターンy1,y2,・・・には、上述の実施形態と同様に、それぞれの端部に図示しないx配線又はy配線が接続されている。
(層間絶縁膜、接続電極)
接続電極42は、各y電極パターンを構成する、例えばひし形のy電極パターンの頂点付近においてy方向に直線状に連結する。接続電極42は、x電極パターンx1,x2,・・・のひし形のパターンを連結する部分と平面視的に交差する各位置に配置される。これらの交差部分において、層間絶縁膜41がx電極パターンx1,x2,・・・のひし形のパターンを連結する部分を覆い、接続電極42はx電極パターンx1,x2,・・・上に層間絶縁膜41を介して積層されている。従って、x電極パターンx1,x2,・・・とy電極パターンy1,y2,・・・との絶縁性が確保された状態となっている。なお、接続電極42には、銀等の一般的な電極材料、又はITO等の光透過性を有する電極材料を用いればよく、タッチパネル40を介しての下地の表示画像の視認性の観点から、好ましくは、光透過性を有する電極材料を用いる。
なお、接続電極42が透明導電層26,28の上層に設けられた例を先に説明したが、接続電極42は透明導電層26,28の下層に設けられてもよい。この際、接続電極42は、上述の例と同様に、x電極パターンx1,x2,・・・のひし形のパターンを連結する部分と平面視的に交差する各位置に配置される。これらの交差部分において、接続電極42とx電極パターンx1,x2,・・・のひし形のパターンを連結する部分との間には、少なくとも窒素含有層25が挟持される。従って、接続電極42が透明導電層26,28の下層に設けられた例においても、上述の例と同様に、x電極パターンx1,x2,・・・とy電極パターンy1,y2,・・・との絶縁性が確保されている。
以上のようなタッチパネル40であっても、上述の実施形態のタッチパネルと同様に動作させることができる。
[タッチパネルの効果]
上述の変形例3のタッチパネル40は、光透過性と共に充分な導電性を備えた導電性フィルムを用いたことにより、上述の実施形態のタッチパネルと同様に大型化が可能であり、タッチパネル40を介した表示画像の視認性の劣化を防止できる。
尚、本発明のタッチパネルは上述した実施形態及び変形例の構成に限定されることはなく、透明電極を用いた構成であれば、広く適用可能である。例えば、投影型静電容量式のタッチパネルであれば、x電極パターンx1,x2,・・・、及びこれらに直交して配置されたy電極パターンy1,y2,・・・が、絶縁性を保って配置されればよく、パター形状が限定されることはない。また、タッチパネルは、べた膜状の透明導電層26,28を備えた2枚の透明電極22,23を、スペーサを挟んで配置した抵抗膜式のものであってもよく、表面型静電容量式であってもよく、同様に大型化の効果を得ることができる。
〈6.表示装置〉
[タッチパネルを用いた構成]
次に、上述のタッチパネルを用いた表示装置の実施の形態について説明する。図10に、本実施の形態の表示装置の構成の斜視図を示す。この図に示す表示装置50は、表示パネル52における表示面上に、タッチパネル51を設けた情報入力機能付きの表示装置である。表示装置50のタッチパネル51には、上述の実施形態及び変形例のタッチパネルを適用することができる。
表示パネル52は、特に限定されるものではないが、例えば、液晶表示パネル、有機電界発光素子を用いた表示パネル等の平面型の表示パネルや、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイを用いることができる。また、表示パネル52は、動画を表示する表示パネルに限定されることはなく、静止画用の表示パネルであってもよい。
表示パネル52では、画像の表示面上に表示面を覆う状態でタッチパネル51が重ねて配置されている。また、タッチパネル51と表示パネル52とは、必要に応じてさらに枠状のケース部材53に収容されている。さらに、ケース部材53にさらに透明板材からなる前面板がもうけられていてもよい。
これにより、ユーザは、表示パネル52で表示された表示画像の一部に対して、タッチパネル51を介して指やタッチペンを接触させることにより、接触部分の位置情報をタッチパネル51に入力することができる。
[表示装置の効果]
本実施形態の表示装置50によれば、上述した実施形態及び各変形例のタッチパネル51を用いることにより、薄型化及び大型化が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
〈導電性フィルムの作製〉
(透明基板の準備)
実施例に使用する透明基板を以下のように準備した。
なお、以下に示す各透明基板の膜厚は接触式膜厚計 DIGIMICRO MH−15M(ニコン社製)を用いて測定した。また、面内リタデーション値(R0値)は、各透明基板を温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で24時間以上放置した後、自動複屈折率測定装置(王子計測機器社製、商品名KOBRA−21ADH)を用い、波長590nmにて測定した。
(透明基板101)
ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、コスモシャインA4300(東洋紡製)を準備した。膜厚は50μm、R0値は4200nmであった。
(透明基板102)
ポリカーボネートフィルムとして、ピュアエースC110−100(帝人社製)を準備した。膜厚は100μm、R0値は10nmであった。
(透明基板103)
環状オレフィンフィルムとして、アートン(JSR社製)を準備した。膜厚は50μm、R0値は4nmであった。
(透明基板104)
シクロオレフィンフィルムとして、ゼオノアZF14(ゼオン社製)を準備した。膜厚は100μm、R0値は3nmであった。
(透明基板105)
トリアセチルセルロースフィルムとして、コニカミノルタタックKC−4UY(コニカミノルタ社製)を準備した。膜厚は40μm、R0値は4nmであった。なお、樹脂のアシル置換度は、2.90であった。
(透明基板106)
アクリルフィルムとして、アクリプレンHBS006(三菱レイヨン社製)を準備した。膜厚は50μm、R0値は3nmであった。
(透明基板107)
透明基板105を20cm角に切り出し、フィルム2軸延伸機(ヒラノテクシード社製)を用い、180℃にて縦1.4倍、横1.4倍の2軸延伸を施した。膜厚は23μm、R0値は5nmであった。
(透明基板108〜113)
上記透明基板102〜107の両面に、下記ハードコート層塗布液をダイコーターにより塗布し、ハードコート層となる塗膜を形成した。その塗膜を70℃で乾燥後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い、照射部の照度が300mW/cm、照射量を0.3J/cmとして塗膜を硬化させ、さらに加熱処理ゾーンにおいて、130℃で5分間加熱処理し、透明基板108〜113を作製した。なお、硬化後のハードコート層の膜厚は各々5μmであった。
(ハードコート層塗布液の調製)
下記の各構成材料を混合、攪拌、溶解して、ハードコート層塗布液を調製した。
・ハードコート層塗布液
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 30質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 60質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 50質量部
イルガキュア184(BASF社製) 5質量部
イルガキュア907(BASF社製) 5質量部
ZX−212(フッ素−シロキサングラフトポリマー、ティーアンドケイ東華社製)
5質量部
シーホスターKEP−50(粉体のシリカ粒子、平均粒径0.47〜0.61μm、日本触媒株式会社製) 24.3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
酢酸メチル 40質量部
メチルエチルケトン 60質量部
透明基板101〜113の膜厚及びR0値を表2に示す。
(導電性フィルム201の作製)
透明基板101の片面上に、上述の表1の化合物No.10を用いて中間層13(膜厚25nm)を蒸着法によって形成し、これに続けて銀(Ag)からなる電極層5(膜厚8nm)を蒸着法によって形成した。さらに続けて、酸化チタン(TiO)からなる表面保護層(膜厚30nm)を蒸着法によって形成した。これにより、中間層と透明導電層、表面保護層との3層構造の透明電極を有する導電性フィルム201を作製した。
この際、先ず透明基板101を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定した。また、表1の化合物No.10をタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。さらに、タンタル製抵抗加熱ボートに酸化チタン(TiO)を入れ、第3真空槽内に取り付けた。
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、各化合物の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明基板101上に膜厚25nmの中間層13を設けた。
次に、中間層13まで成膜した透明基板101を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚8nmの銀からなる透明導電層を形成した。
次に中間層、電極層を製膜した透明基板101を真空のまま第3真空槽に移し、第3真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化チタン(TiO)の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚30nmの酸化チタン(TiO)からなる表面保護層を形成した。
以上の工程により、中間層とこの上部の透明導電層、及び、表面保護層との積層構造からなる導電性フィルム201を得た。
なお蒸着膜厚は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメータで測定した。
(導電性フィルム202の作製)
透明基板111の片面に、上述の表1の化合物No.10を用いて中間層13(膜厚25nm)を蒸着法により成膜した後、第1真空層から取り出し、その後、中間層13上にITO膜をスパッタ法によって作製した。なお、ITO膜厚は20nmであった。
(導電性フィルム203の作製)
導電性フィルム202の作製において、ITO膜厚が130nmとなるよう、スパッタ時間を変えた以外は同様にして、導電性フィルム203を作製した。
(導電性フィルム204〜220の作製)
導電性フィルム201の作製において、透明基材の種類、中間層の化合物及び膜厚、電極層の膜厚を表3に示す条件に変えた以外は同様にして、導電性フィルム204〜220を作製した。
(各試料の評価)
作製した導電性フィルム201〜220について、表面抵抗率、耐屈曲性、干渉ムラ、湿熱耐久後の表比抵抗劣化を測定した。
(表面抵抗率)
作製した導電性フィルムを温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で24時間放置した後、20cm角に切り出し、25μmの両面接着テープ(リンテック社製 基材レステープ MO−3005C)を介し、表面を予めエタノールで洗浄したガラス板(厚さ1.2mm)に、導電層が表となるようガラス面に貼合した。
その後、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で任意の10点を測定し、平均値をサンプルの表面抵抗率とした。
(透過率)
作製した導電性フィルムを温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で24時間放置した後、透過率をヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)を用いて測定した。
(耐屈曲性)
作製した導電性フィルムを、JIS K 5400に規定の方法に準じて耐屈曲性を評価した。耐屈曲性評価にあたり、光学フィルム試料の巻き付けには直径10mmのステンレス棒を用いた。
電極層の状態について、下記のようにランク評価を行った。
◎ : 何らの変化もなかった
○ : 僅かに変形したが、実用上問題ない
△ : 電極層に微細なクラックが発生した
× : 電極層に割れが発生した
(色むら)
New iPad(Apple社製 9.7インチIPS液晶のタブレット型コンピューター)のタッチパネルを外し、作製した導電性フィルムを25μmの両面接着テープ(リンテック社製 基材レステープ MO−3005C)を介し、導電層がディスプレイ面に向くように貼り合せた。ディスプレイに白色を表示し、斜め45°より偏光サングラスを通してディスプレイ表面を観察した。
試験の結果、下記のようにランク評価を行った。
◎ : 色むらは全く観察されなかった
○ : 僅かに色むらが見られたが、実用上問題ない
△ : 色むらが見られた
× : 非常に濃い虹状の色むらが観察された
(湿熱耐久による表面抵抗劣化)
表面抵抗率を測定したサンプルを、温度60℃、相対湿度90%RHの環境下で300時間放置した後、任意の10点の表比抵抗値を測定し、平均値をサンプルの湿熱耐久後の表面抵抗率とした。
試験の結果、下記のようにランク評価を行った。
[表面抵抗劣化]=[(湿熱耐久後の表面抵抗率)−(湿熱耐久前の表面抵抗率)]/[湿熱耐久前の表面抵抗率]としたとき、
◎ : 表面抵抗劣化が、±10%未満である
○ : 表面抵抗劣化が、±10%以上、±20%未満である
△ : 表面抵抗劣化が、±20%以上、±30%未満である
× : 表面抵抗劣化が、±30%である
導電性フィルムの構成と、評価結果を表3に示す。
No.204〜220の導電性フィルムは、表面抵抗率、透過率、屈曲性に優れ、また、湿熱耐久による表面抵抗劣化も少なく、表示パネルに貼り合せた時の色むらに優れている。
また、No.204〜220の導電性フィルムにおいて、各試料の基材のR0値、及び、基材膜厚の影響により、色むらの評価に差が出る傾向が見られる。各試料では、基材のR0値が小さい方が、導電性フィルムの色むらの評価が高くなる傾向にある。さらに、基材膜厚が小さい方が、色むらの評価が高くなる傾向にある。また、耐屈曲性は、基材の材質に影響を受けていると考えられる。
[実施例2]
〈ロール状導電性フィルムの作製〉
(ロール状導電性フィルム301の作製)
幅手1000mm、長手500mのロール状の透明基板101の片面上に、真空下のロールツーロール方式でロール間を連続走行させながら、上述の表1の化合物No.10を用いて中間層13(膜厚25nm)を蒸着法によって形成し、これに続けて銀(Ag)からなる電極層5(膜厚8nm)を蒸着法によって形成した。さらに続けて、酸化チタン(TiO)からなる表面保護層(膜厚30nm)を蒸着法によって形成した。これにより、中間層と透明導電層との3層構造の透明電極を有するロール状導電性フィルム301を作製した。
この際、先ず透明基板101を繰り出し部の繰り出し軸にセットした。また、表1の化合物No.10を、第1形成部の蒸着源の化合物No.10をタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2形成部内に取り付けた。
次に、第1形成部内を4×10−4Paまで減圧した後、各化合物の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒でロール上を走行する透明基板101上に膜厚25nmの中間層を設けた。
次に、中間層まで成膜した透明基板101を真空のまま第2形成部まで走行させ、第2形成部を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚8nmの銀からなる電極層を、ロール上を走行する透明基板101上に形成した。
次に中間層、電極層を製膜した透明基板101を真空のまま第3形成部まで走行させ、第3形成部を4×10−4Paまで減圧した後、酸化チタン(TiO)の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚30nmの酸化チタン(TiO)からなる表面保護層を、ロール上を走行する透明基板101上に形成した。
以上の工程により、中間層とこの上部の透明導電層、及び、表面保護層との積層構造を有するロール状導電性フィルム301を得た。
なお蒸着膜厚は、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメータで測定した。
(ロール状導電性フィルム302〜309の作製)
ロール状導電性フィルム301の作製において、透明基材の種類、中間層の化合物及び膜厚、電極層の膜厚を表4に示す材料に変えた以外は同様にして、ロール状導電性フィルム302〜309を作製した。
(耐久性評価:ロール体を高温多湿下で保存後の表面抵抗率のムラ)
作製したロール状導電性フィルムを、温度60℃、相対湿度90%の高温多湿環境下で1000時間放置した。その後、得られたロール体の最外周側の表面抵抗率について、幅方向に一方の端部から全幅の25%の点、50%の点、75%の点での表面抵抗率をそれぞれ測定した。次に、導電性フィルムの長手方向に、ロール体の巻外側から巻芯側への500mの範囲について、10mおきに同様の測定を繰り返し、計150点(3点×50)の表面抵抗率を測定した。そして、全測定点の平均値を100としたときの、全測定点における表面抵抗率の最大値と最小値の差の割合(%)を「導電性フィルム1のバラツキ」として求めた。
同様にして、高温多湿下で保存していない、製造直後のロール体についても、合計150点の表面抵抗率を測定した。そして、全測定点の平均値を100としたときの、全測定点における表面抵抗率の最大値と最小値の差の割合(%)を「表面抵抗率2のバラツキ」として求めた。
そして、得られた表面抵抗率1のバラツキと表面抵抗率2のバラツキを以下の式に当てはめて、表面抵抗率のバラツキの増大幅を求めた。
バラツキの増大幅(%)=表面抵抗率1のバラツキ(%)−表面抵抗率2のバラツキ(%)
そして、ロール体を高温多湿下で保存後の表面抵抗率のムラを、下記の基準に従って評価した。
◎:バラツキの増大幅が1.0%未満である
○:バラツキの増大幅が1.0%以上2.0%未満である
△:バラツキの増大幅が2.0%以上5.0%未満である
×:バラツキの増大幅が5.0%以上である
ロール状導電性フィルムの構成と、評価結果を表4に示す。
No.304〜309のロール状導電性フィルムは、ロール体での保存においても、表面抵抗率の変化が少なく良好である。
[実施例3]
〈タッチパネル付き液晶表示装置の作製〉
(タッチパネル付き液晶表示装置401〜409の作製)
VAモード型液晶表示装置(画像表示装置)として、SONY製BRAVIAV1、40インチ型を準備した。
実施例2で作製したロール状の導電性フィルム301〜309を長辺900mm×短辺500mmの大きさに2枚切りだした。一方を長辺方向、一方を短辺方向に導電性を有するようフォトエッチングでパターニングを行い、表面を予めエタノールで洗浄したガラス板(長辺900mm×短辺500mm、厚さ1.2mm)の片面に、25μmの両面接着テープ(リンテック社製 基材レステープ MO−3005C)を介し、ガラス、両面テープ、導電性フィルム、両面テープ、導電性フィルムとなるよう積層した。引き出し電極及びドライバICと接続し、上記VAモード型液晶表示装置の表示面に、空隙が1.5mmとなるよう重ね合わせ、簡易タッチパネル付きVAモード型液晶表示装置401〜409を作製した。
作製した液晶表示装置について、以下の評価を行った。
(タッチパネル性能)
タッチパネルの操作において、
○ : 良好に操作できる
× : タッチパネルが反応しない
(干渉むら)
ディスプレイにカラーバーを表示し、斜め45°より目視にてディスプレイ表面を観察した。試験の結果、下記のようにランク評価を行った。
◎ : 干渉むらは全く観察されなかった
○ : 僅かに干渉むらが見られたが、実用上問題ない
△ : 干渉むらが見られた
× : 非常に濃い虹状の干渉むらが観察された
液晶表示装置の構成と、評価結果を表5に示す。
表5に示す結果より、導電性フィルム304〜309のを用いたタッチパネル404〜409は、大型テレビにおいても、操作性が良好であり、かつ干渉ムラが発生せず好ましい。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 導電性フィルム、11 透明基板、11,21,21A 基板、12 透明電極、13 中間層、14 透明導電層、20,30,32,40,51 タッチパネル、21A 第1の基板、21B 第2の基板、22 第1の透明電極、23 第2の透明電極、24 前面板、25 第1の窒素含有層、26 第1の透明導電層、27 第2の窒素含有層、28 第2の透明導電層、29x x配線、29y y配線、31 接着層、41 層間絶縁膜、42 接続電極、50 表示装置、52 表示パネル、53 ケース部材、x1,x2,x3 x電極パターン、y1,y2,y3 y電極パターン

Claims (6)

  1. 面方向リタデーション(R0値)が、+50nm≧R0≧−50nmを満たす熱可塑性樹脂からなる基板と、
    前記基板上に形成された銀を主成分とする透明導電層と
    を備える導電性フィルム。
  2. 前記透明導電層の厚さが1nm以上20nm以下であり、全光線透過率が80%以上である請求項1に記載の導電性フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、セルロースアシレート樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂から選ばれる少なくともいずれか一つである請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
  4. 前記導電性フィルムが幅手方向の寸法が0.3m以上、長手方向の寸法が200m以上であり、長手方向に巻回されたロール状である請求項1〜3に記載の導電性フィルム。
  5. 請求項1〜4に記載の導電性フィルムを電極として備えるタッチパネル。
  6. 請求項5に記載のタッチパネルと、前記タッチパネルに重ねて配置された表示パネルを備える表示装置。
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