JP2015119132A - 希土類磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】Dy、Tbといった重希土類元素の使用量を従来よりも大幅に低減させるか、あるいは使用しない場合においても、高温減磁率の抑制された希土類磁石を提供する。
【解決手段】主相であるR14B結晶粒子1と、該R14B結晶粒子間の粒界相3とを含んだ焼結磁石であって、R:20〜40原子%、T:60〜75原子%、M:1〜10原子%、の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する第一粒界相と、R:50〜70原子%、T:10〜30原子%、M:1〜20原子%、の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する第二粒界相とを、少なくとも含むように焼結体の微細構造を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、希土類磁石に関し、さらに詳しくはR−T−B系焼結磁石の微細構造を制御した希土類磁石に関する。
Nd−Fe−B系焼結磁石に代表されるR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、TはFeを必須元素とした一種以上の鉄族元素、Bはホウ素を示す)は、高い飽和磁束密度を有することから、使用機器の小型化・高効率化に有利であり、ハードディスクドライブのボイスコイルモーター等に利用されている。近年では、各種産業用モーターやハイブリッド自動車の駆動モーター等にも適用されつつあり、エネルギー保全等の観点からこれらの分野への更なる普及が望まれている。ところで、ハイブリッド自動車等へのR−T−B系焼結磁石の適用においては、磁石は比較的高温に晒されることになるため、熱による高温減磁を抑制することが重要となる。この高温減磁を抑制するには、R−T−B系焼結磁石の室温における保磁力(Hcj)を充分高めておく手法が有効であることは良く知られている。
例えば、Nd−Fe−B系焼結磁石の室温における保磁力を高める手法として、主相であるNdFe14B化合物のNdの一部を、Dy、Tbといった重希土類元素で置換する手法が知られている。Ndの一部を重希土類元素で置換することにより、結晶磁気異方性定数を高め、その結果、Nd−Fe−B系焼結磁石の室温における保磁力を充分に高めることができる。重希土類元素による置換以外にも、Cu元素等の添加も室温における保磁力向上に効果があるとされている(特許文献1)。Cu元素を添加することにより、該Cu元素が粒界において例えばNd−Cu液相を形成し、これにより粒界が滑らかとなり、逆磁区の発生を抑制するものと考えられている。
一方、特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、希土類磁石の微細構造である粒界相を制御して保磁力を向上させる技術が開示されている。これらの特許文献における図面より、ここでいう粒界相とは三個以上の主相結晶粒子で囲まれた粒界相、すなわち粒界三重点であることが解る。特許文献2には、Dy濃度の異なる二種類の粒界三重点を構成する技術が開示されている。すなわち、全体のDy濃度を高くすることなく、一部Dy濃度の高い粒界相(粒界三重点)を形成することにより、磁区の反転に対して高い抵抗力を持たせることができることが開示されている。特許文献3には、希土類元素の合計原子濃度の異なる第1、第2、第3の、三種類の粒界相(粒界三重点)を形成し、第3の粒界相の希土類元素の原子濃度を他の二種類粒界相の希土類元素の原子濃度より低くするとともに、第3の粒界相のFe元素の原子濃度を他の二種類の粒界相のFe元素の原子濃度より高くする技術が開示されている。こうすることにより、粒界相中にFeを高濃度で含む第3の粒界相が形成され、これが保磁力を向上させる効果をもたらすとしている。さらに特許文献4には、R14Bを主として含む主相と、主相よりRを多く含む粒界相とを備えた焼結体からなり、前記粒界相が、希土類元素の合計原子濃度が70原子%以上の相と、前記希土類元素の合計原子濃度が25〜35原子%の相とを含むR−T−B系希土類焼結磁石が開示されている。この前記希土類元素の合計原子濃度が25〜35原子%の相は、遷移金属リッチ相と称され、該遷移金属リッチ相中のFeの原子濃度は、50〜70原子%であることが好ましいことが開示されている。これにより、保磁力向上効果を奏するとしている。
特開2002−327255号公報 特開2012−15168号公報 特開2012−15169号公報 国際公開第2013/008756号パンフレット
R−T−B系焼結磁石を100℃〜200℃といった高温環境下で使用する場合、室温における保磁力の値も有効な指標の一つではあるが、実際に高温環境下に晒されても減磁しない、若しくは減磁率が小さい、ということが重要である。主相であるR14B化合物のRの一部がTbやDyといった重希土類元素で置換された組成は、室温における保磁力が大幅に向上し、高保磁力化にとっては簡便な手法ではあるが、Dy、Tbといった重希土類元素は産出地、産出量が限られているので、資源的な問題がある。置換に伴い、例えばNdとDyとの反強磁性的な結合により残留磁束密度の減少も避けられない。上記のCu元素の添加等は保磁力の向上に有効な方法ではあるが、R−T−B系焼結磁石の適用領域の拡大のためには、高温減磁(高温環境下に晒されることによる減磁)抑制の更なる向上が望まれる。
希土類磁石、すなわちR−T−B系焼結磁石の保磁力向上のためには、上記Cu添加の方法に加え、微細構造である粒界相の制御が重要であることは良く知られている。粒界相には、隣接する二つの主相結晶粒子間に形成される、いわゆる二粒子粒界相と、上記した三個以上の主相結晶粒子に囲まれた、いわゆる粒界三重点とがある。尚、後述するように、以後本明細書ではこの粒界三重点を単に粒界相とも称する。
ところで、上記したDy、Tbといった重希土類元素による置換は、室温における保磁力の向上効果は高いが、この保磁力の要因となっている結晶磁気異方性定数の温度変化は、かなり大きいことが知られている。このことは、希土類磁石の使用環境の高温化に伴って、保磁力が急激に減少してしまうことを意味する。よって、本発明者等は、高温減磁の抑制された希土類磁石を得るためには、以下に示す微細構造を制御することも重要であると考えるに到った。焼結磁石の微細構造を制御することにより保磁力の向上を達成できれば、温度安定性にも優れた希土類磁石となるものと考える。
希土類磁石の保磁力を向上させるには、主相であるR14B結晶粒子間の磁気的結合を分断することが重要である。各主相結晶粒子を磁気的に孤立させることができれば、ある結晶粒子に逆磁区が発生したとしても、隣接結晶粒子に影響を及ぼすことがなく、よって保磁力を向上させることができる。しかし、従来技術の特許文献2、特許文献3、及び特許文献4には、組成の異なる複数の粒界相(粒界三重点)を形成することにより、保磁力の向上効果があるとされているが、粒界相(粒界三重点)をどのような構造とすれば、主相結晶粒子間の磁気的分断をより満足できる状態となるかについては、必ずしも明らかではない。特に特許文献3及び特許文献4に開示の技術では、Fe原子を多く含む粒界相を形成することから、単にこのような構成だけでは、主相結晶粒子間の磁気的結合の抑制が不十分な惧れがある。
このため、本願発明者らは、隣接結晶粒子間の磁気的分断効果が高い二粒子粒界相の形成には上記粒界相(粒界三重点)の制御が重要であると考え、種々の既存希土類磁石について検討を行った。例えば、磁石組成としてR比率を増やすことで、希土類元素Rの濃度が相対的に高い非磁性の二粒子粒界相を形成させることが出来れば、十分な磁気的結合の分断効果が期待されたが、実際には原料合金組成のR比率を増やすだけでは、二粒子粒界相の希土類元素Rの濃度は高くならず、希土類元素Rの濃度が相対的に高い粒界相(粒界三重点)の割合が増加した。よって大幅な保磁力向上は図れず、かえって残留磁束密度が極端に低下した。また、粒界相(粒界三重点)のFe元素の原子濃度を増やした場合、二粒子粒界相の希土類元素Rの濃度は高くならず、十分な磁気的結合の分断効果が出ないばかりでなく、粒界相(粒界三重点)が強磁性の相となるため、逆磁区発生の核となりやすく、保磁力低下の原因となった。これより、従来の粒界三重点を有する希土類磁石では、隣接結晶粒子の磁気的結合の分断の程度はまだまだ不十分であるとの課題を認識するに到った。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、R−T−B系焼結磁石すなわち希土類磁石において、高温減磁率抑制を格段に向上させることを目的とする。
本願発明者等は、高温減磁率の抑制を格段に向上させるために、希土類磁石焼結体中において、主相結晶粒子と、隣接する主相結晶粒子間の磁気的結合を分断する二粒子粒界相を形成し得る粒界三重点の構造を鋭意検討した結果、以下の発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明に係る希土類磁石は、主相であるR14B結晶粒子と、該R14B結晶粒子間の二粒子粒界相および粒界三重点とを含んだ焼結磁石であって、その任意の断面において焼結体の微細構造を観察したときに、三個以上の主相結晶粒子により囲まれて構成される粒界三重点を粒界相と称したときに、
R:20〜40原子%、
T:60〜75原子%、
M:1〜10原子%、
の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する粒界相を第一粒界相とし、
R:50〜70原子%、
T:10〜30原子%、
M:1〜20原子%、
の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する粒界相を第二粒界相とした場合、少なくともこれら2種の粒界相を含むことを特徴とする。このように構成することで、高温減磁率の絶対値を4%以下に抑制できる。
(MはAl、Ge、Si、Sn、Gaから選ばれる少なくとも一種)
さらに好ましくは、断面において、前記第二粒界相の面積に対する第一粒界相の面積の比率は、0.5以上であると良い。粒界相の比率をこのように構成することで、高温減磁率の絶対値を3%以内に抑制できる。
本発明に係る希土類磁石においては、このように粒界相を構成することで、これら第一粒界相と第二粒界相は、T元素を含みつつも強磁性とはならない化合物となる。同時に、従来R−Cu等の二粒子粒界相に偏析していたT原子、例えばFe原子を第一粒界相と第二粒界相の形で消費させてやることにより、相中の鉄族元素の濃度を極度に減らすことが出来、よって二粒子粒界相を非強磁性の相とすることができる。このようにして、第一及び第二の粒界相(粒界三重点)の非強磁性化と二粒子粒界相中の鉄族元素の濃度の低下とが相俟って、隣接する主相結晶粒子間の磁気的分断効果を奏し、高温減磁率を抑制できる。
また、第二粒界相と第一粒界相を比較すると、第二粒界相はT元素の濃度が第一粒界相よりも低いためT原子、例えばFe原子を取り込んで消費する効果は第一粒界相に比べて低い。そのため、T原子を取り込んで消費する効果が大きい第一粒界相を、適量に形成させることで、二粒子粒界相のT元素濃度を効果的に低下させることが出来る。
本発明に係る希土類磁石は、焼結体中にM元素を含む。主相結晶粒子の構成元素である希土類元素R、鉄族元素Tと、さらに前記R、Tとともに三元系共晶点を形成するM元素を付加することにより、焼結体中にR−T−M元素を含む第一粒界相および第二粒界相を形成させることができ、結果として、二粒子粒界相のT元素の濃度を低下させることが出来る。これは、M元素の付加によりR−T−M元素を含む粒界相の生成が促進され、この粒界相の生成に二粒子粒界相に存在したT元素が消費されるために、二粒子粒界中のT元素濃度が低下するためではないかと考える。また、これらR−T−M元素を含む粒界相は化合物と考えられる。これらR−T−M元素を含む粒界相はFeを含んではいるものの非強磁性の粒界相となっている。これらR−T−M系化合物からなる粒界相の電子顕微鏡及び電子線ホログラフィーによる磁束分布の解析を実施したところ、Feを含んではいるものの、磁化の値が非常に小さく、反強磁性もしくはフェリ磁性と推測される非強磁性の粒界相となっていることが分かった。鉄族元素Tを化合物の構成元素として取り込むことにより、Fe、Co等の鉄族元素を含んでいても非強磁性の粒界相となり、よって逆磁区発生の核となるのも防ぐことができているものと考える。
上記主相結晶粒子を構成するR元素、T元素と共に反応を促進するM元素として、Al、Ga、Si、Ge、Sn等を用いることができる。
本発明によれば、高温減磁率の小さい希土類磁石を提供でき、高温環境下で使用されるモーター等に適用できる希土類磁石を提供できる。
本発明に係る実施形態による実施例4の希土類磁石の粒界相の様子を示す電子顕微鏡写真である。 本実施形態の比較例2に係る希土類磁石の粒界相の様子を示す電子顕微鏡写真である。 本実施形態の比較例2に係る希土類磁石の二粒子粒界相を示す図である。 本発明に係る実施形態による希土類磁石の二粒子粒界相の詳細を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。尚、本発明でいう希土類磁石とは、R14B主相結晶粒子と二粒子粒界相と粒界相(粒界三重点)とを含む焼結磁石であり、Rは一種以上の希土類元素を含み、TはFeを必須元素とした一種以上の鉄族元素を含み、Bはホウ素であり、さらには各種公知の添加元素が添加されたものおよび不可避の不純物をも含むものである。
図1は、本発明に係る実施形態の希土類磁石の断面構造を示す電子顕微鏡写真である。本実施形態に係る希土類磁石は、R14Bを主として含む主相結晶粒子1と、隣接する二つの主相結晶粒子1間に形成される二粒子粒界相2と、三個以上の主相結晶粒子に取り囲まれて構成されている粒界相3を含み、
R:20〜40原子%、
T:60〜75原子%、
M:1〜10原子%、
の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する粒界相を第一粒界相とし、
R:50〜70原子%、
T:10〜30原子%、
M:1〜20原子%、
の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する粒界相を第二粒界相とした場合、少なくともこれら2種の粒界相を含むことを特徴とする。
本実施形態に係る希土類磁石を構成するR14B主相結晶粒子においては、希土類Rとしては軽希土類元素、重希土類、あるいは両者の組み合わせのいずれであっても良いが、材料コストの観点からNd、Prあるいはこれら両者の組み合わせが好ましい。その他の元素は上記した通りである。Nd、Prの好ましい組み合わせ範囲については後述する。
本実施形態に係る希土類磁石は、微量の添加元素を含んでもよい。添加元素としては周知のものを用いることができる。添加元素は、R14B主相結晶粒子の構成要素であるR元素と共晶組成を有するものが好ましい。この点から、添加元素としてはCu等が好ましいが、他の元素であっても良い。Cuの好適な添加量範囲については後述する。
本実施形態に係る希土類磁石は、さらに主相結晶粒子の粉末冶金工程中での反応を促進する元素Mとして、Al、Ga、Si、Ge、Sn等を含んでも良い。M元素の好適な添加量範囲については後述する。希土類磁石にこれらM元素を添加することで、主相結晶粒子の表面層を反応させ、歪み、欠陥等を除去すると同時に、二粒子粒界相中のT元素との反応により、R−T−M元素を含む粒界相の生成が促進され、二粒子粒界相中のT元素濃度が低下する。
本実施形態に係る希土類磁石においては、全質量に対する上記各元素の含有量は、それぞれ以下の通りである。
R:29.5〜33質量%
B:0.7〜0.95質量%
M:0.03〜1.5質量%
Cu:0.01〜1.5質量%、及び、
Fe:実質的に残部、及び、
残部を占める元素のうちのFe以外の元素の合計含有量:5質量%以下。
本実施形態に係る希土類磁石に含まれるRについて、さらに詳細に説明する。Rとしては、Nd及びPrのいずれか一方を必ず含むが、R中のNd及びPrの割合は、Nd及びPrの合計で80〜100原子%であってもよく、95〜100原子%であってもよい。このような範囲であると、さらに良好な残留磁束密度及び保磁力が得られる。また、本実施形態に係る希土類磁石においては、RとしてDy、Tb等の重希土類元素を含んでいてもよいが、その場合、希土類磁石の全質量中の重希土類元素の含有量は、重希土類元素の合計で1.0質量%以下であり、0.5質量%以下であると好ましく、0.1質量%以下であるとさらに好ましい。本実施形態に係る希土類磁石では、このように重希土類元素の含有量を少なくしても、他の元素の含有量及び原子比が特定の条件を満たすことによって、良好な高い保磁力を得ることができ、高温減磁率を抑制することができる。
本実施形態に係る希土類磁石において、Bの含有量は0.7〜0.95質量%である。このようにBの含有量をR14Bで表される基本組成の化学量論比よりも少ない特定の範囲とすることにより、添加元素と相俟って、粉末冶金工程中における主相結晶粒子表面の反応をし易くすることが出来る。
本実施形態に係る希土類磁石は、さらに微量の添加元素を含む。添加元素としては周知のものを用いることができる。添加元素は、R14B主相結晶粒子の構成要素であるR元素と状態図上に共晶点を有するものが好ましい。この点から、添加元素としてはCu等が好ましいが、他の元素であってもよい。Cu元素の添加量としては、全体の0.01〜1.5質量%である。添加量をこの範囲とすることで、Cuをほぼ二粒子粒界相および粒界相即ち粒界三重点にのみ偏在させることができる。一方、主相結晶粒子の構成要素であるT元素とCuについては、例えばFeとCuとは状態図が偏晶型のようになると考えられ、この組み合わせは共晶点を形成し難いものと思われる。そこで、R−T−M三元系が共晶点を形成するようなM元素を添加することが好ましい。このようなM元素としては、例えばAl、Ga、Si、Ge、Sn等が挙げられる。M元素の含有量としては、0.03〜1.5質量%である。M元素の添加量をこの範囲とすることで、粉末冶金工程中において主相結晶粒子表面の反応を促進し、二粒子粒界相中のT元素との反応により、R−T−M元素を含む粒界相の生成が促進され、二粒子粒界相中のT元素濃度を低下させることができる。
本実施形態に係る希土類磁石には、R14Bの基本組成におけるTで表される元素として、Feを必須としてFeに加えてさらに他の鉄族元素を含むことができる。この鉄族元素としてはCoであることが好ましい。この場合、Coの含有量は0質量%を超え3.0質量%以下であることが好ましい。希土類磁石にCoを含有させることにより、キュリー温度が向上する(高くなる)ほか、耐食性も向上する。Coの含有量は0.3〜2.5質量%であってもよい。
本実施形態に係る希土類磁石は、その他の元素としてCを含有していてもよい。Cの含有量は0.05〜0.3質量%である。Cの含有量がこの範囲よりも小さいと、保磁力が不十分となり、この範囲よりも大きいと、保磁力に対する、磁化が残留磁束密度の90%であるあるときの磁界の値(Hk)の比率、いわゆる角型比(Hk/保磁力)が不十分となる。保磁力及び角型比をより良好とするために、Cの含有量は0.1〜0.25質量%であってもよい。
本実施形態に係る希土類磁石は、その他の元素としてOを含有していてもよい。Oの含有量は0.03〜0.4質量%である。Oの含有量がこの範囲よりも小さいと、焼結磁石の耐食性が不十分となり、この範囲よりも大きいと焼結磁石中に液相が十分に形成されなくなり、保磁力が低下する。耐食性及び保磁力をより良好に得るために、Oの含有量は0.05〜0.3質量%であってよく、0.05〜0.25質量%であってもよい。
また、本実施形態に係る希土類磁石は、Nの含有量が0.15質量%以下であると好ましい。Nの含有量がこの範囲よりも大きいと、保磁力が不十分となる傾向にある。
また、本実施形態の焼結磁石は、各元素の含有量が上述した範囲であるとともに、C、O及びNの原子数を、それぞれ[C]、[O]、及び[N]としたとき、[O]/([C]+[N])<0.60となる関係を満たすことが好ましい。このように構成することで、高温減磁率の絶対値を小さく抑制できる。
また、本実施形態の焼結磁石は、Nd、Pr,B,C及びM元素の原子数が、次の関係を満たしていることが好ましい。すなわち、Nd,Pr,B,C及びM元素の原子数を、それぞれ[Nd]、[Pr]、[B]、[C]及び[M]としたとき、0.27<[B]/([Nd]+[Pr])<0.40、及び、0.07<([M]+[C])/[B]<0.60となる関係を満たしていることが好ましい。このように構成することで、高い保磁力が得られる。
次に本実施形態に係る希土類磁石の製造方法の一例を説明する。本実施形態に係る希土類磁石は通常の粉末冶金法により製造することができ、該粉末冶金法は、原料合金を調製する調製工程、原料合金を粉砕して原料微粉末得る粉砕工程、原料微粉末を成形して成形体を作製する成形工程、成形体を焼成して焼結体を得る焼結工程、及び焼結体に時効処理を施す熱処理工程を有する。
調製工程は、本実施形態に係る希土類磁石に含まれる各元素を有する原料合金を調製する工程である。まず、所定の元素を有する原料金属を準備し、これらを用いてストリップキャスティング法等を行う。これによって原料合金を調製することができる。原料金属としては、例えば、希土類金属や希土類合金、純鉄、フェロボロン、またはこれらの合金が挙げられる。これらの原料金属を用い、所望の組成を有する希土類磁石が得られるような原料合金を調製する。
粉砕工程は、調製工程で得られた原料合金を粉砕して原料微粉末を得る工程である。この工程は、粗粉砕工程及び微粉砕工程の2段階で行うことが好ましいが、1段階としても良い。粗粉砕工程は、例えばスタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。水素を吸蔵させた後、粉砕を行う水素吸蔵粉砕を行うこともできる。粗粉砕工程においては、原料合金を、粒径が数百μmから数mm程度となるまで粉砕を行う。
微粉砕工程は、粗粉砕工程で得られた粗粉末を微粉砕して、平均粒径が数μm程度の原料微粉末を調製する。原料微粉末の平均粒径は、焼結後の結晶粒の成長度合を勘案して設定すればよい。微粉砕は、例えば、ジェットミルを用いて行うことができる。
成形工程は、原料微粉末を磁場中で成形して成形体を作製する工程である。具体的には、原料微粉末を電磁石中に配置された金型内に充填した後、電磁石により磁場を印加して原料微粉末の結晶軸を配向させながら、原料微粉末を加圧することにより成形を行う。この磁場中の成形は、例えば、1000〜1600kA/mの磁場中、30〜300MPa程度の圧力で行えばよい。
焼結工程は、成形体を焼成して焼結体を得る工程である。磁場中成形後、成形体を真空もしくは不活性ガス雰囲気中で焼成し、焼結体を得ることができる。焼成条件は、成形体の組成、原料微粉末の粉砕方法、粒度等の条件に応じて適宜設定することが好ましいが、例えば、1000℃〜1100℃で1〜10時間程度行えばよい。
熱処理工程は、焼結体を時効処理する工程である。この工程を経た後、隣接するR14B主相結晶粒子間に形成される粒界相の構成が決定される。しかしながら、これらの微細構造はこの工程のみで制御されるのではなく、上記した焼結工程の諸条件及び原料微粉末の状況との兼ね合いで決まる。従って、熱処理条件と焼結体の微細構造との関係を勘案しながら、熱処理温度、時間及び冷却速度を設定すればよい。熱処理は400℃〜900℃の温度範囲で行えばよいが、850℃近傍での熱処理を行った後550℃近傍での熱処理を行うというふうに多段階に分けて行ってもよい。熱処理の降温過程における冷却速度でも微細組織は変動するが、冷却速度は、100℃/分以上、特に300℃/分以上とすることが好ましい。本発明の上記時効によれば、冷却速度を従来よりも速くしているので、粒界相における強磁性相の偏析を効果的に抑制させることができると考えている。よって、保磁力の低下、ひいては高温減磁率の悪化を招く原因を排除することができる。原料合金組成と前記した焼結条件および熱処理条件を種々設定することにより、粒界相の構成を制御することができる。ここでは粒界相の構成の制御方法として熱処理工程の一例を述べたが、表1および表2に記載されているような組成要因によっても粒界相の構成を制御することは可能である。
以上の方法により、本実施形態に係る希土類磁石が得られるが、希土類磁石の製造方法は上記に限定されず、適宜変更してよい。
次に、本実施形態に係る希土類磁石の高温減磁率の評価について説明する。評価用試料形状としては特に限定されないが、一般に多用されているように、パーミアンス係数が2となる形状とする。先ず室温(25℃)における試料の残留磁束を測定し、これをB0とする。残留磁束は、例えばフラックスメーター等により測定できる。次に試料を140℃に2時間高温暴露し、室温に戻す。試料温度が室温に戻ったら、再度残留磁束を測定し、これをB1とする。すると、高温減磁率Dは、
D=(B1−B0)/B0*100(%)
と、評価される。
本実施形態に係る希土類磁石の微細構造、すなわち各種粒界相の組成及び面積比率は、EPMA(波長分散型エネルギー分光法)を用いて評価することができる。上記した高温減磁率を評価した試料の研磨断面の観察を行う。倍率は観測対象の研磨断面において200個程度の主相粒子が見えるように撮影するが、各粒界相のサイズや分散状態などに応じて、適宜適切に決定すればよい。研磨断面は配向軸に平行であっても、配向軸に直交していても、あるいは配向軸と任意の角度であってよい。この断面領域を、EPMAを用いて面分析し、これにより、各元素の分布状態が明らかになり、主相および各粒界相の分布状態が明らかになる。さらに、面分析を行った視野に含まれる一つ一つの粒界相をEPMAで点分析し、組成を定量的に求め、第一粒界相に属する領域と、第二粒界相に属する領域を特定する。これらEPMAの面分析の結果と点分析の結果から、この観察視野における第一粒界相に属する領域と、第二粒界相に属する領域の面積比率を算出する。すなわち、ここでいう面積比率とは、第一第二それぞれの粒界相の観察視野面積に対する比率を意味する。この一連の測定を、その試料について複数(≧3)の磁石断面について行い、観察を行った視野の全体としての第一粒界相に属する領域と、第二粒界相に属する領域の面積比率を算出し、各相の面積比率の代表値とする。また、第一粒界相の組成の平均値を求め、その試料の第一粒界相の組成の代表値とする。同様に第二粒界相の組成の平均値を求め、その試料の第二粒界相の組成の代表値とする。
次に、本発明を具体的な実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
先ず、焼結磁石の原料金属を準備し、これらを用いてストリップキャスティング法により、下記表1及び表2で表される実施例1〜31、及び比較例1〜3の焼結磁石の組成が得られるように、それぞれ原料合金を作製した。なお、表1に示した各元素の含有量は、T、R、Cu及びMについては蛍光X線分析により、BについてはICP発光分析により測定した。また、Oについては不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法により、Cについては酸素気流中燃焼−赤外吸収法により、Nについては不活性ガス融解−熱伝導度法により測定することができる。また、[O]/([C]+[N])、[B]/([Nd]+[Pr])及び([M]+[C])/[B]については、これらの方法により得た含有量から各元素の原子数を求めることにより算出した。
次に、得られた原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気で600℃、1時間の脱水素を行う水素粉砕処理を行った。その後、得られた粉砕物をAr雰囲気下で室温まで冷却した。
得られた粉砕物に粉砕助剤としてオレイン酸アミドを添加、混合した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行い、平均粒径が3〜4μmである原料粉末を得た。
得られた原料粉末を、低酸素雰囲気下において、配向磁場1200kA/m、成形圧力120MPaの条件で成形を行って、成形体を得た。
その後、成形体を、真空中で1030〜1050℃、2〜4時間焼成した後、急冷して焼結体を得た。得られた焼結体に対し、2段階の熱処理を行った。一段目の900℃での熱処理(時効1)については一時間と一定としたが、二段目の熱処理(時効2)については熱処理の温度、時間及び冷却速度を変え、粒界相の生成状況の異なる複数の試料を準備した。尚、上記したように粒界相の生成状況は、原料合金組成、焼結条件によっても変化させることができる。
以上のようにして得られた試料につき、B−Hトレーサーを用いて、残留磁束密度及び保磁力をそれぞれ測定した。その後に高温減磁率を測定し、次に磁気特性を測定したそれぞれの実施例および比較例の試料につき、研磨断面をEPMAにより観察し、粒界相の同定を行うとともに、研磨断面における各粒界相の組成とその面積比率を評価した。先ず、各種試料の磁気特性と第一及び第二粒界相の生成の有無と組成の代表値をまとめて表1に示す。組成と面積比率(表2に示す)から判断し、第一粒界相および第二粒界相が観察されたものは○で、観察されなかったものは×で表1に示した。この際、面積比率が0.1%を下回るものは実質上観察されないとし、×に分類した。次に、表2には、磁気特性に併せ、第一粒界相の面積比率の代表値と、第二粒界相の面積率の代表値を示した。
また、焼結体に含まれるC、O、N、Nd、Pr、B、M元素の原子数を、それぞれ[C
]、[O]、[N]、[Nd]、[Pr]、[B]及び[M]としたとき、各試料の[O]/([C]+[N])、[B]/([Nd]+[Pr])及び([M]+[C])/[B]の値を算出し、表3に示した。
表1より、実施例1〜18の試料では、高温減磁率の絶対値が4%を下回っており、低く抑えられ、高温環境下での使用にも適した希土類磁石となっていることがわかる。比較例1〜3では、高温減磁率の絶対値が4%以上となっており、高温減磁率の抑制効果が出ていない。実施例1〜実施例31の任意の断面において観測されたR−T−M系化合物に対し、電子線ホログラフィーによる磁束分布の解析を行ったところ、このR−T−M系化合物の飽和磁化の値はNdFe14B化合物の5%以下であり、強磁性を示さない相であることを確認した。これより、実施例1〜実施例31での高温減磁率の抑制効果は、第一粒界相と第二粒界相が同時に含まれることによって達成されていることがわかった。
さらに表2より、断面において、前記第二粒界相の面積に対する第一粒界相の面積の比率が、0.5以上であると、高温減磁率の絶対値が3%以下となって、より好ましいことがわかる。また、実施例1〜18についても、前記第二粒界相の面積に対する第一粒界相の面積の比率が、0.5以上となった。
図3(a)は、従来技術による比較例2の二粒子粒界相を示すHRTEM写真である。図3(b)には、図3(a)示した二粒子粒界相2をまたぐ図上A−B間をSTEM−EDSにてライン分析を行って求めたFe(T)及びNd(R)の濃度分布を示す。このSTEM−EDSによる元素分析の結果から、この比較例2での二粒子粒界相には、75at.%以上のFe原子が含まれており、磁気的には強磁性となっていることが推察される。このように、粒界相がR−T−M比の異なる第一粒界相と第二粒界相とを含まない場合、鉄族元素が高濃度で存在する従来技術になる二粒子粒界相が生成される。この場合、主相結晶粒子間の磁気的分断効果は得られず、よって高温減磁率の抑制効果を向上させることはできない。
図4(a)は、本発明による実施例26の二粒子粒界相を示すHRTEM写真である。図4(b)には、図4(a)示した二粒子粒界相2をまたぐ図上A−B間をSTEM−EDSにてライン分析を行って求めたFe(T)及びNd(R)の濃度分布を示す。このSTEM−EDSによる元素分析の結果から、この実施例26には、Fe元素の濃度が10at.%を下回る二粒子粒界相が形成されており、これらの二粒子粒界相は磁気的には非強磁性となっていることが推察される。このように、粒界相がR−T−M比の異なる第一粒界相と第二粒界相とを含む場合、従来技術よりも鉄族元素の濃度が低い二粒子粒界相が生成される。この場合、主相結晶粒子間の磁気的分断効果が高くなり、高温減磁率の抑制効果が生じる。尚、この鉄濃度が低い二粒子粒界相は、R−T−M比の異なる第一粒界相と第二粒界相とを含む実施例1〜実施例31においても観察された。
また、表3に示すように、本発明の条件を満たす実施例1〜18の試料では、焼結磁石に上述したR−T−M系化合物が含まれるとともに、焼結磁石に含まれるNd、Pr、B、C及びM元素の原子数が、次のような特定の関係を満たしている。すなわち、Nd、Pr、B、C及びM元素の原子数を、それぞれ[Nd]、[Pr]、[B]、[C]及び[M]としたとき、0.27<[B]/([Nd]+[Pr])<0.40、及び、0.07<([M]+[C])/[B]<0.60となる関係を満たしている。このように、0.27<[B]/([Nd]+[Pr])<0.40であり、且つ、0.07<([M]+[C])/[B]<0.60であることにより、保磁力(Hcj)を効果的に向上させることが可能であった。
また、表3に示すように、本発明の条件を満たす実施例1〜18の試料では、焼結磁石に上述したR−T−M系化合物が含まれるとともに、焼結磁石に含まれるO、C及びNの原子数が、次のような特定の関係を満たしている。すなわち、O、C及びNの原子数を、それぞれ[O]、[C]及び[N]としたとき、[O]/([C]+[N])<0.60となる関係を満たしている。このように、[O]/([C]+[N])<0.60であることにより、高温減磁率Dを効果的に抑制させることが可能であった。
上記実施例をもとに説明したように本発明に係る希土類磁石は、希土類元素R、鉄族元素Tと、さらに前記R、Tとともに三元系共晶点を形成するM元素が、適切な時効処理を経て前記関係を満たすよう粒界相に含有されることにより、焼結体中にR、T、及びM元素を含むR−T−M系の前記結晶性化合物が非強磁性の粒界相として形成され、結果として、二粒子粒界相のT元素の濃度を低下させることが出来、よって二粒子粒界相を非強磁性の粒界相とすることができる。これによって隣接するR14B主相結晶粒子間の磁気的結合の分断効果を高めることができ、高温減磁率が低く抑制される。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
本発明によれば、高温環境下においても使用可能な希土類磁石を提供できる。
1 主相結晶粒子
2 二粒子粒界相
3 粒界相

Claims (2)

  1. 14B主相結晶粒子と、粒界相とを含む希土類磁石において、
    R:20〜40原子%、
    T:60〜75原子%、
    M:1〜10原子%、
    の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する第一粒界相と、
    R:50〜70原子%、
    T:10〜30原子%、
    M:1〜20原子%、
    の範囲でR−T−M元素を少なくとも含有する第二粒界相とを、少なくとも含むことを特徴とする希土類磁石。
    (但し、Rは希土類元素、TはFeを必須元素とした一種以上の鉄族元素、MはAl、Ge、Si、Sn、Gaから選ばれる少なくとも一種の元素をそれぞれ示す。)
  2. 任意の断面において、前記第二粒界相の面積に対する前記第一粒界相の面積の比率が、0.5以上であること特徴とする、請求項1に記載の希土類磁石。
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