JP2011216678A - R−t−b系希土類永久磁石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粉砕されたR−T−B系磁石の微粉末に対して、M−(OR)x(式中、MはTb、Nb、Co、Zr,Cu、Alの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物が添加された有機金属化合物溶液を加え、磁石粒子表面に対して均一に有機金属化合物を付着させる。その後、圧粉成形した成形体を水素雰囲気において200℃〜900℃で数時間保持することにより水素中仮焼処理を行う。その後、800℃〜1180℃で焼成を行うことによって永久磁石1を製造する。
【選択図】図3
Description
また、添加されたTb、Nb、Co、Zr,Cu又はAlを磁石の粒界に効率よく偏在させることができる。その結果、Tb、Nb、Co、Zr,Cu又はAlの使用量を減少させ、残留磁束密度の低下を抑制できるとともに、各元素による効果(例えばTbでは保磁力の向上、NbやZrでは着磁特性向上及び粒成長抑制、Coではキュリー温度の向上及び粒界相の耐食性向上、AlやCuでは高保磁力化及び温度特性の改善)を十分に図ることが可能となる。また、他の有機金属化合物を添加する場合と比較して脱カーボンを容易に行うことが可能であり、焼結後の磁石内に含まれる炭素によって磁石特性が低下する虞が無く、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となる。
先ず、本発明に係る永久磁石1の構成について説明する。図1は本発明に係る永久磁石1を示した全体図である。尚、図1に示す永久磁石1は円柱形状を備えるが、永久磁石1の形状は成形に用いるキャビティの形状によって変化する。
本発明に係る永久磁石1としてはR−T−B系磁石を用いる。尚、永久磁石1の組成はR:25〜35wt%(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上であり、1.0wt%〜6.0wt%のTbを必須とする)、B:0.5wt%〜4.5wt%、Al及びCuの1種又は2種:0.02wt%〜0.5wt%、Nb:0.2wt%〜1.5wt%及びZr:0.03wt%〜0.25wt%の1種又は2種、Co:2wt%以下(0を含まず)、残部実質的がFeからなる。
本発明のR−T−B系希土類永久磁石は、上記したように希土類元素(R)を25〜35wt%含有する。
ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上である。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系希土類永久磁石の主相となるR2T14B結晶粒の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が35wt%を超えると主相であるR2T14B結晶粒の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜35wt%とする。望ましいRの量は28〜33wt%、さらに望ましいRの量は29〜32wt%である。
Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素としての主成分をNdとすることが好ましい。また、Tbは保磁力を向上させる上で有効である。よって、希土類元素としてNd及びTbを選択し、NdとTbの合計を25wt%〜35wt%とすることが望ましい。Tbは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその量を定めることが望ましい。つまり、高い保磁力を得たい場合にTb量を1.0〜6.0wt%とすることが望ましい。
また本発明は、Tbに加えてDyを1.0〜12.0wt%含有することができる。なお、保磁力向上の効果はTbがDyよりも高く、Tbは同じ量を含む場合にDyの2倍程度の保磁力向上効果を発揮する。
Nb及びZrはR−T−B系希土類永久磁石の着磁特性向上を図るために有効である。また、R−T−B系希土類永久磁石の磁気特性を向上するために酸素含有量を低減する際に、焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Nb及びZrは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。Nbの望ましい量は0.5〜1.3wt%、さらに望ましい量は0.5〜1.2wt%である。また、Zrの望ましい量は0.05〜0.25wt%、さらに望ましい量は0.1〜0.2wt%である。
また、高い磁気特性を有するためには、焼結体中の窒素量を20〜600ppm、炭素量を1500ppm以下に規制することが望ましい。
以上の多極着磁磁石に本発明のR−T−B系希土類永久磁石を適用すると、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。そのために、トータルフラックス量が増加し、例えばモータに用いるものであればモータの特性を向上させることができる。ここで、ニュートラルゾーンとは、磁石を着磁した際に、極性(N・S)が反転する境界においてN又はSのどちらにも着磁されない領域をいう。特に、サイズの小さな磁石や極数の多い磁石においては、ニュートラルゾーンの占める割合が増大する。したがって、本発明による着磁特性の優れるR−T−B系希土類永久磁石を多極着磁に供することにより、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができ、ひいては当該磁石が用いられるモータの特性を向上することができる。
そして、Pc(パーミアンス係数)が2において、240kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、400kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が60%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上である。さらに、本発明のR−T−B系希土類永久磁石は、800kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf4とすると、着磁率c(=f4/f3×100)が95%以上となり、極めて着磁率が高い。なお、本発明におけるPcは、「希土類永久磁石」俵好夫、大橋健共著(森北出版)第146頁の図5−4に基づいて定めている。また、着磁率は以下によって測定した。評価する磁石をポールピースに挟み込んで閉磁路を形成した後、電磁石に電流を流し着磁を行なった。この場合、印加磁場=有効磁場となる。着磁後、フラックスメータによりトータルフラックスを測定した。
また、以上の着磁特性を得るための組成的な要因としては、上記したように焼結体中の酸素含有量を規制すること、さらにNb及びZrの1種又は2種を含むことが掲げられる。
次に、本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法について図3を用いて説明する。図3は本発明に係る永久磁石1の第1の製造方法における製造工程を示した説明図である。
また、成形装置50には一対の磁界発生コイル55、56がキャビティ54の上下位置に配置されており、磁力線をキャビティ54に充填された磁石粉末43に印加する。印加させる磁場は例えば1MA/mとする。
また、湿式法を用いる場合には、キャビティ54に磁場を印加しながらスラリーを注入し、注入途中又は注入終了後に、当初の磁場より強い磁場を印加して湿式成形しても良い。また、加圧方向に対して印加方向が垂直となるように磁界発生コイル55、56を配置しても良い。
次に、本発明に係る永久磁石1の他の製造方法である第2の製造方法について図4を用いて説明する。図4は本発明に係る永久磁石1の第2の製造方法における製造工程を示した説明図である。
そこで、上記脱水素処理では、水素中仮焼処理によって生成された仮焼体82中のNdH3(活性度大)を、NdH3(活性度大)→NdH2(活性度小)へと段階的に変化させることによって、水素仮焼中処理により活性化された仮焼体82の活性度を低下させる。それによって、水素中仮焼処理によって仮焼された仮焼体82をその後に大気中へと移動させた場合であっても、Ndが酸素と結び付くことを防止し、残留磁束密度や保磁力を低下させることが無い。
一方、第1の製造方法では、成形体71は水素仮焼後に外気と触れさせることなく、後述の真空焼成に移るため脱水素工程は不要となる。従って、前記第2の製造方法と比較して製造工程を簡略化することが可能となる。但し、前記第2の製造方法においても、水素仮焼後に外気と触れさせることがなく焼成を行う場合には、脱水素工程は不要となる。
上記製造方法により製造されたR−T−B系希土類の永久磁石1によれば、400kA/m(5kOe)程度の低い着磁磁界での着磁率が向上されるとともに、800kA/m(10kOe)以上の着磁磁界における着磁率も向上されたR−T−B系希土類永久磁石を提供することができる。このような着磁特性に優れたR−T−B系希土類の永久磁石1は、多極着磁磁石に用いた場合には、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。このようなリング磁石を用いたモータは、高い回転性能を保持することができる。また、着磁率の高い磁石は、材質的に高コストで高磁気特性であるが着磁率の低い磁石に比べて、実際に発生するトータルフラックスが多い場合がある。したがって、本発明は、所定のトータルフラックスを低コストの磁石で実現することができる。または磁石のサイズを小型化することができる。
また、M−(OR)x(式中、MはTb、Nb、Co、Zr,Cu、Alの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)で示される有機金属化合物が添加された有機金属化合物溶液を磁石粉末に湿式状態で添加することによって、添加されたTb、Nb、Co、Zr,Cu又はAlを磁石の粒界に効率よく偏在させることができる。その結果、Tb、Nb、Co、Zr,Cu又はAlの使用量を減少させ、残留磁束密度の低下を抑制できるとともに、各元素による効果(例えばTbでは保磁力の向上、NbやZrでは着磁特性向上及び粒成長抑制、Coではキュリー温度の向上及び粒界相の耐食性向上、AlやCuでは高保磁力化及び温度特性の改善)を十分に図ることが可能となる。また、他の有機金属化合物を添加する場合と比較して脱カーボンを容易に行うことが可能であり、焼結後の磁石内に含まれる炭素によって磁石特性が低下する虞が無く、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となる。
また、有機金属化合物が添加された磁石を、焼結前に水素雰囲気で仮焼することにより、有機金属化合物を熱分解させて磁石粒子中に含有する炭素を予め焼失(炭素量を低減)させることができ、焼結工程でカーバイドがほとんど形成されることがない。その結果、焼結後の磁石の主相と粒界相との間に空隙を生じさせることなく、また、磁石全体を緻密に焼結することが可能となり、保磁力が低下することを防止できる。また、焼結後の磁石の主相内にαFeが析出することなく、磁石特性を大きく低下させることがない。
また、Rとして1.0wt%〜12.0wt%のDyを含むこととすれば、Dyによる保磁力の向上を図ることが可能となる。
また、永久磁石1は多極着磁される磁石であることを特徴とするので、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。そのために、トータルフラックス量が増加し、例えばモータに用いるものであればモータの特性を向上させることができる。
また、焼結体中の窒素量が20ppm〜600ppm、炭素量が1500ppm以下であるので、磁気特性を向上させることが可能となる。
また、永久磁石1はGa:0.02〜1.5wt%を含有するので、着磁特性を向上させることが可能となる。
また、磁石粉末の粉砕条件、混練条件、仮焼条件、焼結条件などは上記実施例に記載した条件に限られるものではない。
また、水素中仮焼処理や脱水素工程については省略しても良い。
11 主相
12 粒界相
Claims (5)
- R:25〜35wt%(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上であり、1.0wt%〜6.0wt%のTbを必須とする)、B:0.5wt%〜4.5wt%、Al及びCuの1種又は2種:0.02wt%〜0.5wt%、Nb:0.2wt%〜1.5wt%及びZr:0.03wt%〜0.25wt%の1種又は2種、Co:2wt%以下(0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなり、
前記焼結体中の酸素量が2000ppm以下、前記焼結体の平均結晶粒径が3.5μm〜5.0μmであって、
磁石原料を磁石粉末に粉砕する工程と、
前記粉砕された磁石粉末に以下の構造式
M−(OR)x
(式中、MはTb、Nb、Co、Zr,Cu、Alの内、少なくとも一種を含む。Rは炭素数2〜6のアルキル基のいずれかであり、直鎖でも分枝でも良い。xは任意の整数である。)
で表わされる有機金属化合物を添加することにより、前記磁石粉末の粒子表面に前記有機金属化合物を付着させる工程と、
前記有機金属化合物が粒子表面に付着された前記磁石粉末を成形することにより成形体を形成する工程と、
前記成形体を焼結する工程と、により製造されることを特徴とする永久磁石。
ることを特徴とするR−T−B系希土類永久磁石。 - Rとして1.0wt%〜12.0wt%のDyを含むことを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系希土類永久磁石。
- 多極着磁される磁石であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のR−T−B系希土類永久磁石。
- 前記焼結体中の窒素量が20ppm〜600ppm、炭素量が1500ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のR−T−B系希土類永久磁石。
- Ga:0.02wt%〜1.5wt%を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のR−T−B系希土類永久磁石。
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