以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式のプリンターにおいて本発明を具体化したものである。
[第1の形態]
図1に,第1の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は,画像形成部2,定着処理部3,矯正部4を有している。画像形成部2は,トナー像を形成し,形成したトナー像を用紙Pに転写するものである。定着処理部3は,トナー像を担持している用紙Pを加熱しつつ加圧することにより,トナー像を用紙Pに定着させるものである。矯正部4は,定着処理後の用紙Pのカールや波打ちを除去するものである。
まず,画像形成部2について説明する。画像形成装置1は,画像形成部2に中間転写ベルト30を有する,いわゆるタンデム方式のカラープリンターである。中間転写ベルト30は導電性を有する無端状のベルト部材であり,その図中両端部がローラー31,32によって支持されている。画像形成時には,図1中右側のローラー31が反時計回りに回転駆動される。これにより,中間転写ベルト30および図1中左側のローラー32が従動回転する。
中間転写ベルト30のうち,図1中右側のローラー31に支持されている部分の外周面には,2次転写ローラー40が設けられている。2次転写ローラー40と中間転写ベルト30の外周面とは接触しており,その接触している転写ニップN1により,2次転写領域が形成されている。
また,中間転写ベルト30のうち,図1中左側のローラー32に支持されている部分の外周面には,ベルトクリーナー41が設けられている。ベルトクリーナー41は中間転写ベルト30の外周面に圧接されており,その接触している部分により,転写残トナーを回収する回収領域42が形成されている。
中間転写ベルト30の図1中下部には左から右に向かって順に,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kが配置されている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはいずれも,各色のトナー像を中間転写ベルト30上に転写するためのものである。また,画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図1では,画像形成ユニット10Yによって代表して符号をつけている。
すなわち,画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは,円筒状の静電潜像担持体である感光体11,および,その周囲に配置された帯電器12,現像ユニット14,および感光体クリーナー16を有している。また,感光体11と中間転写ベルト30を挟んで対向する位置には,1次転写ローラー15が配置されている。さらに,各色の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの図1中下方には,露光装置13が配置されている。
帯電器12は,感光体11の表面を均一に帯電させるためのものである。露光装置13は,画像データに基づいたレーザー光を感光体11の表面に照射させ,静電潜像を形成するためのものである。現像ユニット14は,現像ローラー17により,感光体11の表面にトナーを付与するためのものである。
中間転写ベルト30の図1中上方には,ホッパー18Y,18M,18C,18Kが配置されている。また,これらホッパー18Y,18M,18C,18Kにはそれぞれ,該当色のトナーを収容しているトナーボトル19Y,19M,19C,19Kが装着されている。各ホッパー18はそれぞれ,該当色の画像形成ユニット10の現像ユニット14に接続されている。ホッパー18は,トナーボトル19に収容されているトナーを適宜,対応する現像ユニット14へと補給するためのものである。
中間転写ベルト30の回転方向における画像形成ユニット10Kの下流側であって転写ニップN1の上流側の位置には,中間転写ベルト30上に転写されたトナー像の像濃度を検出するための濃度センサー20が設けられている。濃度センサー20は,中間転写ベルト30の外周面を検出位置としている。濃度センサー20は,例えば画像濃度の調整に用いられる,検出位置に向かって光を照射する投光部とその反射光を受光する受光部とを有するものである。
また図1では,帯電器12としてローラー形状をしたローラー帯電方式のものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。コロナ放電方式の帯電チャージャー,ブレード状の帯電部材,またはブラシ状の帯電部材等を用いても良い。また,感光体クリーナー16として,板状でその一端部が感光体11の外周面に接触しているものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。その他のクリーニング部材,例えば固定ブラシ,回転ブラシ,ローラーまたはそれらのうちの複数の部材を組み合わせたものを使用することができる。あるいは,感光体11上の未転写トナーを現像ユニット14により回収するクリーナーレス方式を採用すれば,感光体クリーナー16はなくてもよい。
また,画像形成装置1の下部には,着脱可能な給紙カセット51が装着されている。給紙カセット51の図1中右側より上方に向かっては,搬送経路50が設けられている。そして,給紙カセット51に積載により収容された用紙Pは,その最上部のものより1枚ずつ給紙ローラー52によって搬送経路50に送り出されるようになっている。
給紙ローラー52により送り出された画像形成部2内の用紙Pの搬送経路50には,1対のレジストローラー53,転写ニップN1がこの順で配置されている。レジストローラー53は,用紙Pを転写ニップN1へ送り出すタイミングを調整するためのものである。また,用紙Pには,転写ニップN1において,中間転写ベルト30上のトナー像の転写がなされる。搬送経路50の転写ニップN1のさらに下流には,定着処理部3が設けられている。
定着処理部3は,転写ニップN1において中間転写ベルト30から用紙Pに転写されたトナー像の,用紙Pへの定着処理を行うためのものである。定着処理部3には,加熱ローラー60と,加熱ローラー60と搬送経路50を挟んで対向する加圧ローラー61とが設けられている。加熱ローラー60は,内部にヒーター62を有している。加圧ローラー61は,加熱ローラー60へ向けて軸と垂直の方向に圧接されている。その圧接により,加熱ローラー60と加圧ローラー61との間には,用紙Pに定着処理を行う定着ニップN2が形成されている。
また,加熱ローラー60は,画像形成時には,反時計回りに回転駆動される。加熱ローラー60の回転により,加圧ローラー61は従動回転される。定着処理部3は,定着ニップN2において,通過する用紙Pを加熱しつつ加圧することにより,用紙Pが担持するトナー像の定着処理を行う。搬送経路50の定着ニップN2のさらに下流には,矯正部4が設けられている。矯正部4は,用紙Pに発生したカールや波打ちを矯正し,除去するためのものである。用紙Pのカールや波打ちは,例えば,用紙Pが定着処理時に加熱されることにより発生する。すなわち,加熱の際に用紙Pから水分が蒸発する程度が一様でないことにより,用紙Pにはカール等が発生する。
矯正部4には,搬送経路50に沿って,読取搬送装置100,デカール装置80,排紙ローラー54が設けられている。排紙ローラー54のさらに下流である矯正部4の下部には,排紙トレイ55が設けられている。読取搬送装置100は,後に詳述するように,用紙Pの搬送を行うものである。また,読取搬送装置100の上方には,撮像部70および照射部71が設けられている。撮像部70および照射部71は,読取搬送装置100により搬送されている用紙Pの形状を,光切断法によって非接触で測定するためのものである。
撮像部70は,CCDカメラであり,読取搬送装置100を搬送中の用紙Pの形状を,測定位置Mにおいて読み取るものである。なお,測定位置Mは,図1において奥行き方向に長さをもつものである。また,測定位置Mを図1においては点で示しているが,実際には,用紙Pの搬送方向についてある程度の長さをもつものである。このことは,図3以降についても同様である。
照射部71は,図1に示されるように,測定位置Mに向かって,用紙Pの紙面に対して斜めの方向よりレーザー光Lを照射するものである。レーザー光Lは,用紙Pの搬送方向と直交する幅方向(図1において奥行き方向)のスリット状のものである。
そして,レーザー光Lの照射により,測定位置Mにおける用紙Pの紙面上には,幅方向の線状の光の筋ができる。撮像部70は,測定位置Mの直上に配置されており,レーザー光Lによって測定位置Mの用紙P上にできた線状の光の筋を撮像することによって用紙Pの形状を読み取ることができる。本形態では,用紙Pの形状測定を光切断法で行うことにより,格子投影法で行う場合よりも,撮像部70が搬送経路50に近い位置に配置されている。また,光切断法であることにより,格子投影法である場合よりも,照射部71に安価なレーザー光源が用いられている。
デカール装置80は,用紙Pにカールや波打ちが発生している場合,その発生している用紙Pのカール等を矯正するためのものである。デカール装置80は,搬送経路50に沿って配置されているローラー対であるデカールローラー81を複数有している。そして,各デカールローラー81の矯正ニップN3に用紙Pを通過させることにより,カール等の矯正を行うものである。
本形態のデカール装置80では,各デカールローラー81の矯正ニップN3における圧接力をそれぞれ調整することができる。その圧接力の調整により,用紙Pに発生しているカールや波打ちを矯正するための矯正量や矯正の方向を調整することができる。デカール装置80における矯正量や矯正の方向は,撮像部70によって読み取られた用紙Pの形状に基づいて求められる。
次に,本形態の画像形成装置1による,通常の画像形成動作の一例について簡単に説明する。以下の説明は,給紙カセット51に収容されている用紙Pに,4色のトナーを用いてカラー画像を形成するプリントモードにおける画像形成動作の一例である。
通常の画像形成時には,中間転写ベルト30および各色の感光体11はそれぞれ,図1に矢印で示す向きに所定の周速度で回転される。感光体11の外周面は,まず,帯電器12によりほぼ一様に帯電される。次に,帯電された感光体11の外周面には,露光装置13によって画像データに応じた光が投射され,静電潜像が形成される。続いて,静電潜像は現像ユニット14の現像ローラー17の回転により供給されるトナーによって現像され,感光体11上にはトナー像が形成される。
感光体11上に形成された各色のトナー像は,1次転写ローラー15によって中間転写ベルト30上に転写(1次転写)される。すなわち,中間転写ベルト30上には,イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像がこの順で重ね合わされる。中間転写ベルト30に転写されず,1次転写ローラー15を過ぎた後も感光体11上に残留している転写残トナーは,感光体クリーナー16によって掻き取られ,感光体11上から除去される。そして,重ね合わされた4色のトナー像は,中間転写ベルト30によって転写ニップN1へと搬送される。
一方,給紙カセット51に収容されている用紙Pは,給紙ローラー52によって最上部のものから1枚ずつ搬送経路50に引き出される。引き出された用紙Pは,搬送経路50に沿って搬送され,レジストローラー53により,中間転写ベルト30に載置されたトナー像とタイミングを合わせて転写ニップN1に到達する。そして,転写ニップN1において,重ね合わされた4色のトナー像が用紙Pに転写(2次転写)される。なお,転写ニップN1を通過した後も中間転写ベルト30上に残留するトナー像は,回収領域42においてベルトクリーナー41によって掻き取られる。これにより,中間転写ベルト30上から除去される。
トナー像が転写された用紙Pは,さらに搬送経路50の下流側へと搬送される。すなわち,用紙Pは,定着処理部3においてトナー像の定着処理がなされた後,矯正部4へと搬送される。そして,矯正部4では,撮像部70によって用紙Pの形状の読取りがなされ,その用紙Pの形状に基づいてデカール装置80による矯正がなされた後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。
図2に,画像形成装置1の制御構成の概略を示す。画像形成装置1は,各部の制御を行うために,コントローラー部90とエンジン制御部91とを有している。エンジン制御部91は,装置全体の制御処理を行うCPU92を中心に構成されている。
CPU92は,例えば,各種負荷94の制御を行い,画像形成を行う。すなわち,画像形成ユニット10におけるトナー像の形成や,定着処理部3におけるヒーター62の温度制御などを行う。また,画像形成時の矯正部4においては,読取搬送装置100を搬送中の用紙Pの形状の撮像部70による読み取りの制御や,その読み取った用紙Pの形状に基づいてデカール装置80の矯正量および矯正の方向の算出を行う。さらに,算出した矯正量および矯正の方向となるようにデカール装置80の制御を行う。
また,エンジン制御部91は本体に付属されている不揮発性メモリ93と,各種ユニット付属の不揮発性メモリ95とを有している。CPU92は,本体に付属されている不揮発性メモリ93の書き込みや読み出しを行う。つまり,不揮発性メモリ93は,CPU92において演算したデータなどを記憶するものである。さらに,不揮発性メモリ93には,ローラー31の回転速度や各感光体11の回転速度,搬送経路50における用紙Pの搬送速度などのシステム速度なども記憶されている。
また,CPU92は,各種ユニット付属の不揮発性メモリ95の書き込みや読み出しを行う。各種ユニット付属の不揮発性メモリ95には,例えば,トナーボトル19に付属のメモリにはトナー残量など,イメージングユニットに付属のメモリには印刷枚数などが記憶されている。
また,コントローラー部90は,外部のパソコンなどに接続されて指示入力を受けるものである。さらに,エンジン制御部91とコントローラー部90とで,ドットカウンタ値などの各種の情報がやりとりされる。
図3は,本形態の読取搬送装置100の概略図である。読取搬送装置100は,図3に示すように,用紙Pを搬送するための構成として,搬送ベルト110,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140を有する。
搬送ベルト110は,無端状のベルト部材であり,その図中両端部がローラー120,121によって支持されている。図3中右側のローラー121が時計回りに回転駆動されることにより,搬送ベルト110および図3中左側のローラー120が従動回転する。これにより,搬送ベルト110の外周面のうちの上面である担持面に担持された用紙Pを,搬送経路50に沿って図3中右向きに搬送することができる。
ベルト前ローラー対130は,図3に示すように,搬送ベルト110の上流に設けられた,下ローラー131と上ローラー132とからなる搬送ローラー対である。下ローラー131は搬送経路50の下側に,上ローラー132は搬送経路50の上側に配置されている。下ローラー131は駆動ローラーであり,画像形成時には時計回りに回転駆動される。
上ローラー132は,図3中矢印で示すように,上下に移動することができる。すなわち,上ローラー132は,図3中上向きに移動し,下ローラー131から離間した離間状態をとることができる。図3に示す状態は,上ローラー132が下ローラー131へ向けて軸と垂直の方向に圧接されている圧接状態である。圧接状態では,上ローラー132は,下ローラー131が回転駆動することにより従動回転する。ベルト前ローラー対130は,下ローラー131と上ローラー132との間のニップに用紙Pを挟み込んだ状態で下ローラーが回転駆動されることにより,用紙Pを搬送するものである。
ベルト後ローラー対140についても,ベルト前ローラー対130と同様,駆動ローラーである下ローラー141と,下ローラー141に圧接されて従動回転する上ローラー142とにより,用紙Pを搬送するものである。ただし,ベルト後ローラー対140は,搬送ベルト110の下流に設けられており,搬送ベルト110上の用紙Pを読取搬送装置100から搬出するためのものである。また,上ローラー142についても,図3中矢印で示すように,上下に移動することができ,図3に示す圧接状態と,下ローラー141から離間した離間状態とをとることができる。
図3には,ベルト前ローラー対130から測定位置Mまでの距離をX,測定位置Mからベルト後ローラー対140までの距離をYにより示している。さらに,ベルト前ローラー対130からベルト後ローラー対140までの距離をZにより示している。つまり,距離Zは,距離Xと距離Yとを合わせたものである。
また,読取搬送装置100に搬送されてきた用紙Pは,ベルト前ローラー対130によって搬送ベルト110上へと送られる。搬送ベルト110上の用紙Pは,搬送ベルト110の回転によって,レーザー光Lが照射されている測定位置Mを通過する。よって,用紙P上には,測定位置Mにおいて,レーザー光Lによる光の筋ができる。そして撮像部70は,測定位置Mにおける用紙P上の光の筋を連続的に撮像し,その撮像したデータをCPU92へと出力する。
用紙Pにカールや波打ちが発生していない場合,撮像部70によって撮像される測定位置Mにおける用紙P上の光の筋は,真っ直ぐである。一方,用紙Pにカールや波打ちが発生している場合,撮像部70によって撮像される測定位置Mにおける用紙P上の光の筋は,そのカールや波打ちの程度によって歪んでいる。
すなわち,CPU92は,撮像部70によって撮像された光の筋の形状より,測定位置Mにおける用紙Pの形状を演算によって求めることができる。さらに,CPU92は,撮像部70が測定位置Mを通過する用紙Pの搬送方向の先端から後端まで連続的に複数回撮像したデータより,その用紙Pの全体の形状を演算によって求めることができる。これにより,用紙Pの形状を測定することができる。
ここで,用紙Pが測定位置Mを通過している間,用紙Pは,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140のいずれにも挟み込まれることによる拘束を受けていないことが好ましい。例えば,カールが発生している用紙Pの搬送方向の後端がベルト前ローラー対130のニップに挟まれているとき,用紙Pの先端側は,搬送ベルト110の担持面から浮いてしまうことがある。そして,用紙Pの先端側の箇所が浮いてしまった状態で測定位置Mを通過した場合,先端側の形状を正確に測定することはできないからである。
そして,本形態の読取搬送装置100は,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140をそれぞれ,圧接状態と離間状態とで切り替えつつ,用紙Pの搬送を行う。これにより,用紙Pの少なくとも一部が測定位置Mを通過しているときには,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140がいずれも,用紙Pを挟み込むことがないようにする。
図4は,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140における圧接状態と離間状態との切り替えタイミングについて説明するための図である。図4に示す長さPL1は,画像形成装置1が対応している用紙のうち,最も搬送方向の長さが長い用紙Pの最大長さである。
また,本形態では,ベルト前ローラー対130からベルト後ローラー対140までの距離Zは,用紙Pの最大長さPL1よりもわずかに長い程度に設定されている。さらに,測定位置Mは,ベルト前ローラー対130とベルト後ローラー対140との中間の位置に設定されている。つまり,ベルト前ローラー対130から測定位置Mまでの距離Xと,測定位置Mからベルト後ローラー対140までの距離Yとは同じ距離である。
まず,図4aに示すように,用紙Pが読取搬送装置100に搬送されてきたとき,ベルト前ローラー対130は圧接状態とされている。よって,読取搬送装置100に搬送されてきた用紙Pは,ベルト前ローラー対130によって搬送ベルト110へと搬送される。
次に,図4bに示すように,用紙Pが搬送ベルト110上を搬送され,その用紙Pの搬送方向の先端が測定位置Mに到達する前に,ベルト前ローラー対130を離間状態とする。具体的には,ベルト前ローラー対130の上ローラー132を上向きに移動させる。このため,図4bに示す状態では,用紙Pはいずれの部材による拘束も受けていない非拘束状態である。よって,用紙Pの先端は,非拘束状態で測定位置Mへと到達し,用紙Pは測定位置Mを通過する。
さらに,搬送ベルト110上を搬送された用紙Pの先端は,ベルト後ローラー対140へと到達する。そして,図4cに示すように,搬送ベルト110上を搬送された用紙Pの先端がベルト後ローラー対140に到達する前に,ベルト後ローラー対140を離間状態とする。具体的には,ベルト後ローラー対140の上ローラー142を上向きに移動させる。
また,距離Zは用紙Pの最大長さPL1よりもわずかに長いため,図4cに示すように,ベルト前ローラー対130については,用紙Pの搬送方向の後端がベルト前ローラー対130を通過した後,上ローラー132を下向きに移動させて圧接状態へと戻されている。なお,ベルト前ローラー対130は,用紙Pの搬送方向の後端が通過後,直ちに圧接状態へと戻す必要はなく,次の用紙Pの搬送方向の先端が到達するまでに圧接状態へと戻されていればよい。
続いて,図4dに示すように,ベルト後ローラー対140は,用紙Pの搬送方向の後端が測定位置Mを通過した後,用紙Pが搬送ベルト110上を搬送されているときに,上ローラー142を下向きに移動させて圧接状態へと戻される。これにより,用紙Pは,ベルト後ローラー対140に挟み込まれる。よって,その後,用紙Pはベルト後ローラー対140によって読取搬送装置100から搬出される。
図4により説明したように,読取搬送装置100は,用紙Pを,その先端が測定位置Mに到達する前に,非拘束状態とする。また,用紙Pを,その後端が測定位置Mを通過するまで,非拘束状態のままとする。このため,読取搬送装置100は,用紙Pを,その先端から後端までが測定位置Mを通過している間,つまり,用紙Pの少なくとも一部が測定位置Mを通過している間,非拘束状態で搬送することができる。よって,撮像部70により,非拘束状態であることにより変形していない状態の用紙Pを撮像することができる。すなわち,変形していない,実際の用紙Pの形状を正確に測定することができる。
ここで,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140をともに離間させず,常に圧接状態として非拘束状態の用紙Pの形状測定を行う場合について説明する。この場合,用紙Pの先端が測定位置Mに到達するまでに,用紙Pの後端がベルト前ローラー対130を通過する構成としなければならない。つまり,ベルト前ローラー対130から測定位置Mまでの距離Xが,用紙Pの最大長さPL1よりも長い構成としなければならない。
また,用紙Pの先端がベルト後ローラー対140に到達するまでに,用紙Pの後端が測定位置Mを通過する構成としなければならない。つまり,測定位置Mからベルト後ローラー対140までの距離Yが,用紙Pの最大長さPL1よりも長い構成としなければならない。すなわち,ベルト前ローラー対130からベルト後ローラー対140までの距離Zは,少なくとも用紙Pの最大長さPL1の2倍以上,空けなければならない。
これに対し,前述したように,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140を圧接状態と離間状態とで切り替えつつ用紙Pの搬送を行うことにより,距離Zを,例えば,用紙Pの最大長さPL1よりもわずかに長い程度で済ませることができる。よって,読取搬送装置100の小型化が可能であることがわかる。さらに,このような読取搬送装置100を備える画像形成装置1についても,読取搬送装置100が小さい分,小さくすることができる。なお,本形態において,距離Zは,少なくとも用紙Pの最大長さPL1より短ければよく,画像形成装置1が対応している用紙のうち,最も搬送方向の長さが短い用紙Pの最小長さよりも短ければなおよい。
なお,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140をともに圧接状態のまま用紙Pの形状測定を非拘束状態で行う場合でも,用紙Pの搬送を停止させることにより,距離Zを最大長さPL1よりもわずかに長い程度で済ませることは可能である。最大長さPL1の用紙Pをベルト前ローラー対130とベルト後ローラー対140との間で停止させ,その停止中に,撮像部70および照射部71による測定位置Mを用紙Pの先端から後端まで移動させればよいからである。しかし,用紙Pの搬送を停止させることにより,画像形成の生産性を著しく低下させてしまう。これに対し,本形態では,読取搬送装置100によって用紙Pを搬送しつつ,その形状の測定を行うことができるため,画像形成の生産性を低下させることはない。
また,CPU92は,用紙Pが測定位置Mを通過後,デカール装置80に到達する前に,測定した用紙Pのカール等の程度に基づいて,デカール装置80におけるカール等の矯正量や矯正の方向を調整する。具体的には,各デカールローラー81の矯正ニップN3における圧接力の調整を行う。よって,用紙Pは,カール等の矯正量や矯正の方向が調整されたデカール装置80通過し,そのカール等が矯正された後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。
このように排出された各用紙Pはいずれも,排紙トレイ55における集積において支障がない。デカール装置80における用紙Pのカール等の矯正量や矯正の方向が,測定した用紙Pの実際の形状に基づいて定められたものだからである。すなわち,デカール装置80により,カールや波打ちが適切に除去されているからである。これにより,排出された用紙Pを複数綴じて製本する場合にも,その製本品質は高いものである。
あるいは,測定した用紙Pの形状に基づいて,定着処理部3におけるヒーター62の温度のフィードバックを行うことも可能である。これにより,次の用紙Pにおけるカール等の程度を低減させることができる。ヒーター62の温度へのフィードバックを,撮像部70によって撮像した用紙Pの実際の形状に基づいて行うことができるからである。
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置1は,矯正部4に,読取搬送装置100を有する。読取搬送装置100は,用紙Pを担持して測定位置Mに通過させる搬送ベルト110を有する。搬送ベルト110の上流にはベルト前ローラー対130が,下流にはベルト後ローラー対140がそれぞれ配置されている。ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140はともに,圧接状態と離間状態とをとることができるものである。また,測定位置Mでは,撮像部70により,用紙Pの形状が測定される。そして,少なくとも一部が測定位置Mを通過している用紙Pがベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140にかかっているとき,各ローラー対はそれぞれ,用紙Pを挟み込まないよう離間状態をとる。このため,撮像部70により,画像形成の生産性を低下させることなく,用紙Pの正確な形状を測定することができる。また,読取搬送装置100の全長を短くし,装置全体として小型化を図ることができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,デカール装置80は,矯正ニップN3における圧接力の調整により用紙Pのカール等を矯正するものに限定されず,例えば,用紙Pに水分を補給することにカール等を除去する機能を備えるものであってもよい。また例えば,上記の形態では,ベルト後ローラー対140を,用紙Pが読取搬送装置100に搬送されてきた後,用紙Pの先端が到達する前に離間させているが(図4),用紙Pが読取搬送装置100に搬送されてきたときにすでに離間させていてもよい。また例えば,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140はそれぞれ,下ローラーを移動させて圧接状態と離間状態とを切り替えるものであってもよい。あるいは,上下のローラーをいずれも移動させて圧接状態と離間状態とを切り替えるものであってもよい。
また例えば,ベルト前ローラー対130から測定位置Mまでの距離Xと,測定位置Mからベルト後ローラー対140までの距離Yとは,異なる距離であってもよい。また例えば,ベルト前ローラー対130からベルト後ローラー対140までの距離Zは,用紙Pの最大長よりもさらに短くてもよい。
また例えば,上記の形態では光切断法により用紙Pの先端から後端までの全面の形状を測定しているが,これに限られるものではない。つまり,用紙Pの搬送方向に設定した用紙Pの一部の測定対象領域のみの形状を測定することとしてもよい。測定対象領域の形状より,用紙Pの全体の形状を推定により算出することもできるからである。この場合には,用紙Pの測定対象領域が測定位置Mを通過している間のみ,用紙Pを非拘束状態とすればよい。
例えば,用紙Pの先端から用紙Pの搬送方向の中央までを測定対象領域とした場合,用紙Pの先端,つまり測定対象領域の先端が測定位置Mに到達するまでに,ベルト前ローラー対130を離間状態とすればよい。離間状態としたベルト前ローラー対130は,用紙Pの搬送方向の中央,つまり測定対象領域の後端が測定位置Mを通過した後,圧接状態に戻せばよい。また,ベルト後ローラー対140についても,測定対象領域の後端が測定位置Mを通過した後,圧接状態とすればよい。
[第2の形態]
第2の形態について説明する。本形態に係る画像形成装置は,第1の形態と読取搬送装置の構成が異なる。詳細には,本形態の読取搬送装置は,搬送ベルト上の位置で用紙を拘束するための構成を有する。
図5に,第2の形態に係る読取搬送装置200の概略図を示す。また,図6は,読取搬送装置200の搬送ベルト210の平面図である。なお,画像形成装置1の読取搬送装置200以外の構成については,第1の形態と同様である(図1,図2)。
図5に示すように,読取搬送装置200は,用紙Pを搬送するための構成として,搬送ベルト210,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140を有する。ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140についてはそれぞれ,第1の形態と同様,上ローラー132,142を下ローラー131,141に対して圧接状態,離間状態とすることができる。
読取搬送装置200は,搬送ベルト210の内側に,ダクト220,230を有している。ダクト220は,搬送ベルト210の内側における,測定位置Mよりも上流に配置されている。ダクト230は,搬送ベルト210の内側における,測定位置Mよりも下流に配置されている。
ダクト220は,内部に空間221を有している。また,上側に開口部222が形成されている。このため,空間221は,開口部222により,ダクト220の外部と連通されている。ダクト220は,その開口部222が搬送ベルト210の上側の下面に近接して設けられている。
ダクト230についてもダクト220と同様である。すなわち,空間231を有し,空間231を外部と連通させる開口部232がダクト230の上側に形成されている。また,ダクト230は,その開口部232が搬送ベルト210の上側の下面に近接して設けられている。
また,図6に示すように,ダクト220,230にはそれぞれ,ファン223,233が接続されている。ファン223は,ダクト220の内部の空間221の空気を,ダクト220の外部に排出するものである。よって,ファン223が駆動されることにより,ダクト220は開口部222よりダクト220の外部の空気を吸引することができる。ファン233についても同様,ダクト230の内部の空間231の空気を,ダクト230の外部に排出するものである。よって,ファン233が駆動された際には,開口部232よりダクト230の外部の空気が吸引される。なお,図6に示すように,ダクト220,230の開口部222,232はいずれも,その幅方向の長さが,搬送ベルト210よりも短いものである。
そして,本形態の搬送ベルト210には,ベルトを厚さ方向に貫通する貫通孔が複数形成されている。このため,ファン223が駆動された場合,ダクト220は,搬送ベルト210の用紙Pの担持面上における空気を吸引する。ダクト220による吸引が行われる担持面の領域を,図6にAで示している。領域Aは,測定位置Mよりも用紙Pの搬送方向の上流である。また,ファン233が駆動された場合には,ダクト230は,図6にBで示す領域の搬送ベルト210の担持面上における空気を吸引する。領域Bは,測定位置Mよりも用紙Pの搬送方向の下流である。
ダクト220,230はそれぞれ,吸引により,用紙Pを搬送ベルト210上の領域A,Bに保持することができる。つまり,ダクト220,230はそれぞれ,吸引により搬送ベルト210上の領域A,Bに用紙Pを拘束することができる。搬送ベルト210の上面にダクト220,230によって保持された用紙Pは,搬送ベルト210が回転されるため,その上面とともに搬送方向に移動することができる。
次に,図7により,ダクト220,230による吸引のタイミング,および,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140における圧接状態と離間状態との切り替えタイミングとの関係について説明する。なお,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140の圧接状態と離間状態との切り替えタイミングは,基本的には,図4で説明したタイミングと同じである。また,図7には,ダクト220,230による吸引が行われている領域A,Bを「ON」により,吸引が行われていない領域A,Bを「OFF」によりそれぞれ示している。
まず,図7aに示すように,用紙Pが読取搬送装置200に搬送され,圧接状態のベルト前ローラー対130を通過したときにおいて,領域Aにおける吸引はONとされている。このため,ベルト前ローラー対130を通過した用紙Pの先端側は,搬送ベルト210の上面の領域Aに保持されている。なお,このとき,領域Bにおける吸引はOFFである。
次に,図7bに示すように,用紙Pをベルト前ローラー対130に挟み込みつつ,搬送ベルト210上に保持した状態で搬送し,その用紙Pの先端が測定位置Mに到達する前に,まず,ベルト前ローラー対130を離間状態とする。続いて,図7cに示すように,ベルト前ローラー対130を離間状態とした後,用紙Pの先端が測定位置Mに到達する前に,領域Aにおける吸引をOFFにする。このため,図7cに示す状態では,用紙Pはいずれの部材による拘束も受けていない非拘束状態である。よって,用紙Pの先端は,非拘束状態で測定位置Mへと到達し,測定位置Mを通過する。
そして,図7dに示すように,搬送ベルト210上を非拘束状態で搬送された用紙Pの先端がベルト後ローラー対140の位置を通過し,用紙Pの後端が測定位置Mを通過したとき,まず,OFFにされていた領域Bにおける吸引をONにする。これにより,後端が測定位置Mを通過した用紙Pの後端側は,搬送ベルト210上の領域Bに保持されている。なお,図7dに示すように,ベルト前ローラー対130については,用紙Pの搬送方向の後端がベルト前ローラー対130を通過した後,圧接状態へと戻されている。
領域Bにおける吸引をONにした後(図7d),用紙Pの先端が到達する前に離間状態とされていたベルト後ローラー対140を,図7eに示すように圧接状態へと戻す。これにより,ベルト後ローラー対140に挟み込まれた用紙Pは,ベルト後ローラー対140によって読取搬送装置100から搬出される。領域Bにおける吸引は,ベルト後ローラー対140を圧接状態へと戻した後,次の用紙Pの先端が領域Bに到達する前にOFFにすればよい。
図7により説明したように,読取搬送装置200では,用紙Pがベルト前ローラー対130から搬送ベルト210上に渡って搬送されているときに,ダクト220による吸引を行っている状態で,ベルト前ローラー対130を離間状態とする。また,ベルト前ローラー対130を離間状態とした後,その用紙Pの先端が測定位置Mに到達する前に,ダクト220による吸引を停止する。よって,用紙Pの先端が測定位置Mに到達する前に非拘束状態とすることができる。
ここで,ベルト前ローラー対130を圧接状態から離間状態とする際には,上ローラー132の動作に伴う衝撃が発生する。さらに,離間の際にベルト前ローラー対130を通過中の用紙Pは,上方に移動する上ローラー132が発生させる気流の影響を受け,例えば,上ローラー132にくっついて上方に引っ張られることがある。さらに,用紙Pは,静電気によって上ローラー132にくっついて上方に引っ張られることもある。しかし,上記のように,ダクト220により用紙Pの先端側を吸引により搬送ベルト210上に保持した状態でベルト前ローラー対130を離間状態とすることにより,用紙Pが,離間の際の衝撃等の影響を受けることはない。このため,ベルト前ローラー対130から搬送ベルト210の上面への用紙Pの受け渡しを確実に行うことができる。
また,読取搬送装置200では,用紙Pの後端が測定位置Mを通過した後,ダクト230による吸引を行う。そして,用紙Pが搬送ベルト210上からベルト後ローラー対140に渡っている搬送されているときに,ダクト230による吸引を行っている状態で,離間状態のベルト後ローラー対140を圧接状態とする。つまり,用紙Pの後端が測定位置Mを通過した後に拘束状態とするため,用紙Pを測定位置Mに非拘束状態で通過させることができる。さらに,上記のように,ダクト230により用紙Pの後端側を吸引により搬送ベルト210上に保持した状態でベルト後ローラー対140を圧接状態とすることにより,用紙Pが,圧接の際の衝撃等の影響を受けることはない。このため,搬送ベルト210の上面からベルト後ローラー対140への用紙Pの受け渡しを確実に行うことができる。
従って,読取搬送装置200によっても,撮像部70により,非拘束状態であることにより変形していない状態の用紙Pを撮像することができる。すなわち,変形していない,実際の用紙Pの形状を正確に測定することができる。用紙Pは,測定位置Mにおいて正確に測定された形状に基づいて,カール等の矯正量や矯正の方向を調整されたデカール装置80により,カール等が適切に矯正された後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。このため,各用紙Pの排紙トレイ55における集積において支障がなく,また,排出された用紙Pを用いた製本においても製本品質は高いものである。あるいは,測定した用紙Pの正確な形状に基づいて定着処理部3におけるヒーター62の温度へのフィードバックを適切に行い,次の用紙Pにおけるカール等の程度を低減させることができる。
さらに,ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140をともに,上記のように圧接状態と離間状態とで切り替えつつ用紙Pの搬送を行うことができるため,第1の形態と同様,読取搬送装置200の小型化が可能である。さらに,このような読取搬送装置200を備える画像形成装置1についても,読取搬送装置200が小さい分,小さくすることができる。加えて,本形態においても,読取搬送装置200によって用紙Pを搬送しつつ,その形状の測定を行うことができるため,画像形成の生産性を低下させることはない。
以上詳細に説明したように,本形態の読取搬送装置200は,複数の貫通孔が形成された搬送ベルト210の内側にダクト220,230を有する。ダクト220,230はそれぞれ,搬送ベルト210上の領域A,Bに吸引により,用紙Pを保持することができる。よって,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140の圧接状態と離間状態との切り替えの際に生じる衝撃などによる用紙Pへの影響を抑制し,用紙Pを確実に搬送させることができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。すなわち,用紙Pの搬送方向に設定した用紙Pの一部の測定対象領域のみの形状を測定することとしてもよい。この場合には,用紙Pの測定対象領域が測定位置Mを通過している間のみ,用紙Pを非拘束状態とすればよい。
例えば,用紙Pの先端から用紙Pの搬送方向の中央までを測定対象領域とした場合,用紙Pの先端,つまり測定対象領域の先端が測定位置Mに到達するまでに,ベルト前ローラー対130を離間状態とし,さらにダクト220の吸引を停止すればよい。離間状態としたベルト前ローラー対130は,用紙Pの搬送方向の中央,つまり測定対象領域の後端が測定位置Mを通過した後,圧接状態に戻せばよい。また,測定対象領域の後端が測定位置Mを通過した後,ダクト230の吸引を開始し,さらに離間状態のベルト後ローラー対140を圧接状態とすればよい。
[第3の形態]
第3の形態について説明する。本形態に係る画像形成装置は,上記の形態と読取搬送装置の構成が異なる。本形態の読取搬送装置は,搬送ベルト上の位置で用紙を拘束するための構成を有する点において第2の形態と同じである。そして,本形態では,測定位置Mの上流および下流に設けられている搬送ベルト上における用紙の吸引領域を,第2の形態と異なり,用紙の搬送方向に分割した小領域ごとに,その吸引状態を有効と無効とで切り替えることができる。
図8に,第3の形態に係る読取搬送装置300の概略図を示す。なお,画像形成装置1の読取搬送装置300以外の構成については,第1の形態と同様である(図1,図2)。
図8に示すように,読取搬送装置300は,用紙Pを搬送するための構成として,搬送ベルト210,ベルト前ローラー対130,ベルト後ローラー対140を有する。ベルト前ローラー対130およびベルト後ローラー対140についてはそれぞれ,第1の形態と同様,上ローラー132,142を下ローラー131,141に対して圧接状態,離間状態とすることができる。また,搬送ベルト210には,第2の形態と同様,複数の貫通孔が形成されている。
読取搬送装置300は,搬送ベルト210の内側に,ダクト320,330を有している。ダクト320は,搬送ベルト210の内側における,測定位置Mよりも上流に配置されている。ダクト330は,搬送ベルト210の内側における,測定位置Mよりも下流に配置されている。
ダクト320は,空間321を有し,空間321を外部と連通させる開口部322がダクト320の上側に形成されている。ダクト330についても,空間331を有し,空間331を外部と連通させる開口部332がダクト330の上側に形成されている。また,ダクト320,330はそれぞれ,開口部322,332が搬送ベルト210の上側の下面に近接して設けられている。さらに,ダクト320,330にはそれぞれ,第2の形態と同様,内部の空間321,331の空気を外部に排出するファンが接続されている。
そして,本形態のダクト320は,開口部322を開閉するシャッター323,324を有している。シャッター323は,開口部322のうち,用紙Pの搬送方向の上流側を開状態あるいは閉状態とすることができる。シャッター324は,開口部322のうち,用紙Pの搬送方向の下流側を開状態あるいは閉状態とすることができる。
つまり,ダクト320は,シャッター323が開状態であるとき,図8に示す領域Aのうち,用紙Pの搬送方向の上流側の領域A1における吸引を有効とすることができる。一方,シャッター323を閉状態とすることにより,領域A1におけるダクトの吸引を無効とすることができる。また,ダクト320は,シャッター324が開状態であるとき,図8に示す領域Aのうち,用紙Pの搬送方向の下流側の領域A2における吸引を有効とすることができる。一方,シャッター324を閉状態とすることにより,領域A2におけるダクトの吸引を無効とすることができる。なお,シャッター323,324がともに開状態であるときには,領域Aのすべてにおいて吸引が有効になされる。
また,本形態のダクト330は,開口部332を開閉するシャッター333,334を有している。シャッター333は,開口部332のうち,用紙Pの搬送方向の上流側を開状態あるいは閉状態とすることができる。シャッター334は,開口部332のうち,用紙Pの搬送方向の下流側を開状態あるいは閉状態とすることができる。
つまり,ダクト330は,シャッター333が開状態であるとき,図8に示す領域Bのうち,用紙Pの搬送方向の上流側の領域B1における吸引を有効とすることができる。一方,シャッター333を閉状態とすることにより,領域B1におけるダクトの吸引を無効とすることができる。また,ダクト330は,シャッター334が開状態であるとき,図8に示す領域Bのうち,用紙Pの搬送方向の下流側の領域B2における吸引を有効とすることができる。一方,シャッター334を閉状態とすることにより,領域B2におけるダクトの吸引を無効とすることができる。なお,シャッター333,334がともに開状態であるときには,領域Bのすべてにおいて吸引が有効になされる。
よって,本形態の読取搬送装置300は,領域A1,A2,B1,B2ごとに,用紙Pを,吸引により搬送ベルト210の上面に保持して拘束状態とすることができる。
ここで,画像形成装置1には,用紙Pとして,様々な大きさのものが用いられることがある。そして,通常,距離X,距離Y,距離Zなどは,画像形成装置1が対応している用紙のうち,最も搬送方向の長さが長い用紙Pの最大長さPL1によって設定される。これは,領域A,Bの用紙Pの搬送方向における長さについても同様である。
しかし,図8に示すように,用紙Pの搬送方向における長さPL2が領域A,Bよりも短いものである場合,領域A,Bごとの吸引では,搬送ベルト210上への用紙Pの保持が適切に行えないおそれがある。ダクト320,330による吸引のほとんどが,用紙Pの担持されていない搬送ベルト210の箇所の貫通孔からなされてしまうからである。このため,搬送方向の長さが短い用紙Pについて,ベルト前ローラー対130から搬送ベルト210上への受け渡し,あるいは,搬送ベルト210上からベルト後ローラー対140への受け渡しが適切に行えないおそれがある。
そこで,本形態のダクト320,330は,搬送方向の長さが短い用紙Pを吸引により搬送ベルト210上に保持する際には,搬送方向の長さの短い領域A1,A2,B1,B2ごとに吸引状態を有効と無効とで切り替える。これにより,用紙Pの担持されていない箇所からの吸引を行えないようにさせ,用紙Pを搬送ベルト上に適切に保持することができる。
図9により,シャッター323,324,333,334の開閉タイミングについて説明する。図9には,ダクト320,330による吸引およびシャッター323,324,333,334の開閉状態により,吸引が有効に行われている領域を「ON」,吸引が無効とされている領域を「OFF」によりそれぞれ示している。また,図9に示す用紙Pは,図8で説明したように,搬送方向の長さが領域A,Bのいずれよりも短いものである。
まず,図9aに示すように,用紙Pが読取搬送装置300に搬送され,圧接状態のベルト前ローラー対130を通過したときにおいて,領域A1における吸引はONとされている。このため,ベルト前ローラー対130を通過した用紙Pの先端側は,搬送ベルト210上の領域A1に保持されている。なお,このとき,領域A2,B1,B2についてはOFFである。
次に,図9bに示すように,用紙Pの後端が搬送ベルト210の回転により領域A1を通過したとき,領域A1における吸引をOFFとする。このとき,用紙Pは領域A2上にあるため,領域A2における吸引はONとされている。このため,用紙Pは,搬送ベルト210上の領域A2に保持されている。なお,図9に示す用紙Pは,搬送方向の長さが領域Aよりも短いものである。このため,ベルト前ローラー対130については,特に,離間状態とする必要はない。また,領域A2における吸引は,図9bに示す状態の後,用紙Pの先端が測定位置Mに到達する前に,OFFとされる。用紙Pの先端は,非拘束状態で測定位置Mへと到達し,用紙Pは測定位置Mを通過する。
続いて,図9cに示すように,搬送ベルト210上を非拘束状態で搬送された用紙Pの後端が測定位置Mを通過したとき,OFFにされていた領域B1における吸引をONにする。これにより,後端が測定位置Mを通過した用紙Pは,搬送ベルト210上の領域B1に保持される。
また,搬送ベルト210上を搬送された用紙Pが領域B2にあるとき,領域B2における吸引はONとされる。そして,図9dに示すように,領域B2における吸引がONとされ,用紙Pの後端側が搬送ベルト210上の領域B2に保持された状態で,用紙Pの先端は圧接状態のベルト後ローラー対140を通過する。なお,図9cの状態から搬送された用紙Pの後端が領域B1を通過したとき,B1における吸引はOFFとされている。これにより,ベルト後ローラー対140に挟み込まれた用紙Pは,ベルト後ローラー対140によって読取搬送装置300から搬出される。
よって,読取搬送装置300は,ダクト320,330による吸引およびシャッター323,324,333,334の開閉により,領域A1,A2,B1,B2ごとに,吸引を有効(ON)または無効(OFF)とすることができる。よって,用紙Pが搬送方向の長さの短いものであっても,その搬送を確実に行うことができることがわかる。また,用紙Pの少なくとも一部が測定位置Mを通過している間,非拘束状態で搬送することができる。これにより,非拘束状態であることにより変形していない,実際の用紙Pの形状を正確に測定することができることに変わりはない。
また,当然,搬送方向の長さの長い用紙Pの場合には,ダクト320,330により,第2の形態で説明したものと同様,領域A,Bごとに吸引を行うことも可能である。
以上詳細に説明したように,本形態の読取搬送装置300は,領域A1,A2,B1,B2ごとに,吸引を有効(ON)または無効(OFF)とすることができる。よって,搬送方向の長さの短い用紙Pについても,搬送を確実に行うことができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,ダクトの開口部におけるシャッターは,用紙の搬送方向についてさらに多く設けられていてもよい。