以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る分離回収装置70を含む紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、図2は紙葉類搬送装置10の正面図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技媒体貸出機としての遊技球貸機3とパチンコ機などの遊技機4とを一組にしたものを、互いが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容した遊技機島2内に設けられ、各遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を取り込んで遊技機島2の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。
紙葉類搬送装置10は、紙幣(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置(ブロア)14を備えている。紙葉類搬送装置10は、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣6より上流で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣6を後方から押し動かして下流へ搬送する。
本実施の形態では、図2に示すように、遊技機島2の一方の端部に設けられた金庫5の内部に、空気流発生装置14と、紙幣分離・搬送補助体循環装置11が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内に送り出す搬送補助体挿入装置40の機能と、紙幣6とこれを後方から押し動かして搬送してきた搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収する分離回収装置70の機能を備えると共に、回収した搬送補助体16を搬送補助体挿入装置40へ戻して循環させる機能を果たす。分離回収装置70で回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部21(図1、図10等参照)に収容される。
空気流発生装置14の空気吹き出し側(空気吹出通路14a)は搬送補助体挿入装置40の空気流入口側に接続され、搬送補助体挿入装置40の空気流出口に、搬送管12の始端が接続されている。搬送管12は、搬送補助体挿入装置40の空気流出口から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、該他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、往路12aの上方を該往路12aに沿って金庫5まで戻るように延設された復路12cで構成される。復路12cの終端は、分離回収装置70の空気流入口(搬送管接続口72)に接続され、分離回収装置70の空気流出口(側壁ダクト部71Cの出口)には空気流発生装置14の空気吸い込み側(空気吸込通路14b)が接続されている。
空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって空気流を発生させる。空気流発生装置14が発生させた空気流は、空気吹出通路14aから搬送補助体挿入装置40を通じて搬送管12の始端に流れ込み、往路12a、ターン部12b、復路12cを経た後、分離回収装置70、空気吸込通路14bを通じて空気流発生装置14の吸い込み側へ引き込まれるように流れる。
搬送管12の往路12aおよび復路12cは、所定の長さ、たとえば、遊技機島2に併設収容された遊技機4と遊技球貸機3の1セット分の横幅に対応した長さを単位に分割されており、これらを連結ユニット18で必要本数連結することで、遊技機島2の長手方向の長さに応じて経路長を調整できるようになっている。また、施工現場では、搬送管12を必要な長さにその場でカットして使用するようになっている。
搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙葉類取込装置としての紙幣取込装置140が配設されている。紙幣取込装置140は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6を取り込むものと、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6を取り込むものとが対となるように設けられている。紙幣取込装置140は、復路12cを構成する搬送管12と搬送管12の間に介在してこれらを連結する役割を果たす。
遊技機島2内には、遊技機島2の長手方向に沿って搬送管12を支持するための補助フレーム(フレーム部材)160が架け渡してある。補助フレーム160は、復路12cに沿って復路12cの下方に(上下に配置された往路12aと復路12cの間に)架け渡されており、該補助フレーム160の長手方向の端部は遊技機島2の妻板に、取り付け金具で固定されている。補助フレーム160の上面側には、補助フレーム160の長手方向に沿って自在にスライド移動可能な台座部170が取り付けてあり、台座部170は紙幣取込装置140の下部を下側から保持する(図2参照)。また、補助フレーム160にフック部材180を引っ掛けて吊り下げ、このフック部材180で搬送管12の往路12aを抱え込んで保持するようになっている。
紙葉類搬送装置10では、紙幣取込装置140から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で所定の取り込み完了位置に滞在する。搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、図3に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。
紙幣分離・搬送補助体循環装置11や紙幣取込装置140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする制御部23(図2参照)に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部23は、紙幣取込装置140に設けたセンサが遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を検知すると紙幣取込装置140を作動させて該紙幣6を搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置40から搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、紙幣6を後方から押し動かして搬送する。そして、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の分離回収装置70は搬送補助体16の到来を検知すると紙幣6と搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収し、その回収した搬送補助体16は次回の送出に備えて搬送補助体挿入装置40へ案内し、回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部21へ搬送する、というように動作を制御する。
なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置140が遊技球貸機3からの紙幣を検知した時点からその紙幣を金庫5に回収し終えるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣6を後端側から押し動かして搬送するので、紙幣6自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣6を折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣6を空気流によって搬送することができる。また、搬送補助体16は紙幣6に比べて効率よく空気流から推進力を得ることができるので、紙幣6を効率よく搬送することができる。
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
図4は、直線部分(往路12aおよび復路12cの部分)における搬送管12の斜視図を、図5は、同部分の搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面形状を示す断面図である。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
搬送管12の直線部分の延設方向Fに垂直な断面の断面形状は、縦長の長方形の左右の側壁の中央部分が外側へ矩形に拡張した形状を成している。詳細には、搬送管12は、上下の壁部31と、左右の側壁部32と、左右の側壁部32の上下方向の中央部分において外側へ矩形に張り出した拡張部33とを備えている。なお、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向、左右方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向、上下方向)とする。X方向、Y方向それぞれにおいて搬送管12の中心に向かう方向を内側、中心から内壁へ向かう方向を外側と呼ぶものとする。なお、本実施の形態では、搬送管12をその断面における長辺が上下方向となる向きで使用するが、短辺が上下方向となる向きで使用されてもかまわない。
拡張部33は、搬送管12の内側方向へ立設された分離壁34によって上下2つに区切られている。分離壁34は拡張部33の内壁にT字型の部材を貼り付けて形成されている。
側壁部32には、搬送管12の内側方向へ突起した複数本のリブ35が搬送方向に沿って延設形成されている。本例では、側壁部32と拡張部33の境界部に搬送管12の内側へ突出するリブ35が搬送方向に沿って形成されている。分離壁34はリブ35と同じ高さになっており、分離壁34の頂部はリブとしての作用を果たす。
側壁部32は、搬送される紙幣6の紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣6は長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きで搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣6の一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
搬送管12の上下の壁部31の間隔Dyは紙幣6の短辺より僅かに長くされている。また、左右の側壁部32(リブ35や拡張部33、分離壁34が形成されていない部分(基準平面部とする))の間隔Dxは21ミリほどに設定されている。左右の側壁部32に設けられた拡張部33はそれぞれ側壁部32(基準平面部)よりも外側へ6ミリほど拡張している。リブ35および分離壁34の頂は、側壁部32(基準平面部)から内側へ約2ミリの高さになっている。リブ35の高さは適宜に設定すればよい。
図6は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は、上下対象な形状であり、上から順に、頭部16a、頭部よりやや径の小さい首部16b、頭部16aより径が大きい大径部16c、首部16bと同径であって上下の中央に位置する括れ部16d、大径部16c、首部16b、頭部16aを有して構成される。搬送補助体16は、軽量、丈夫であり、たとえば、プラスティックなどにより内部が空洞に形成される。なお、軽量、丈夫であれば、発泡スチロールや押出発泡ポリスチレンなどにより形成されてもよい。
図7は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を、内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が搬送補助体16の下流側へ至るのを防ぎ、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
紙幣6は、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣6の一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなると、空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣6が狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される。そうなると、狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣6が側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
紙幣6が強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣6を押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣6が張り付き吸着する力は小さくなり、円滑な搬送が実現される。
搬送補助体16が有する2つの大径部16cは、搬送管12の分離壁34に区切られた2つの拡張部33のそれぞれに係合する。本例では、拡張部33を分離壁34によって2つに区切ると共に、これらの拡張部33を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣6の後端に搬送補助体16の大径部16cが適切に当接して安定した搬送力を与えることができる。また、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣6が巻き込まれ難くなる。
また、搬送補助体16は、大径部16cを設けることで、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、大径部16cを設けて空気流の作用を効率的に受けるので、その分、頭部16aの径を小さくすることができる。頭部の径を小さくすることで、搬送管12内の対向する一対の側壁部32の間隔(幅(Dx))を狭くすることができ、紙幣6の倒れを防ぐことができる。
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ35の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6はリブ35の先端部分で支持されるため、リブ35の周辺では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。また分離壁34によって紙幣6が支えられるので、紙幣6が拡張部33の窪みに落ち込むことが防止される。
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ35や分離壁34の頂部は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で横倒れし難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ35を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ35を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、大径部16cの径が最も大きいので、図3に示すように、この大径部16cが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
図8はターン部12bの断面図であり、図9はターン部12bの斜視図である。ターン部12bは、搬送管12を、Y方向を半径方向として90度の円弧を描くように延設された円弧部13bと、直線部13cと、90度の円弧状の円弧部13bとを繋げた形状を有し、搬送補助体16の進路を180度変更する。ターン部12bにおいてもリブ35や拡張部33は形成されるが、搬送補助体16が円弧部13bに沿って円弧状に移動する際に引っかかることがないように、分離壁34は設けないと共に、搬送補助体16がターン部12b内を通る際の軌跡と重なる部分においてはリブ35や拡張部33を逃がすように(直線部分よりクリアランスを大きく)してある。これにより、ターン部12bの円弧部13bでの回転半径を小さくすることができる。なお、直線部13cの長さは、紙幣分離・搬送補助体循環装置11や紙幣取込装置140の大きさなどにより往路12aと復路12cとの間に必要とされる距離に応じて適宜に定めればよい。なお、ターン部12bの拡張部33には、搬送補助体16の大径部16cに対応させて2本のリブ13aを設けてあり、搬送補助体16をX方向の中央寄りに位置規制する。
次に、紙幣分離・搬送補助体循環装置11について説明する。
図10は前面カバーを外した状態の金庫5の正面図(図1の矢印A方向から見た状態)、図11は前面カバーを外した状態の金庫5の斜視図、図12、図13は、一部の部品を外した金庫5の内部における紙幣分離・搬送補助体循環装置11および空気流発生装置14などの取り付け状態を示す斜視図である。
金庫5は、縦長の直方体形状を成しており、その内側下部には空気流発生装置14が配置され、上部には紙幣分離・搬送補助体循環装置11が取り付けられている。空気流発生装置14の空気吹出通路14aは上方に延びて搬送補助体挿入装置40に接続され、空気吸込通路14bはさらに上方に延びて分離回収装置70に接続されている。空気流発生装置14は、通常は吹出口から吹き出した空気を搬送管12を1周させて吸込口から吸い込んで循環させる内気循環で動作するが、搬送管12が長く高圧ブロアを使用するような場合には空気流を強くするために外気取入口から外気を取り入れるようになっている。外気取入口には塵・埃などを取り除くためのブロアフィルタ14dが設けてある。
このほか金庫5の内部には、紙幣6を収容する紙幣収納部21、分離回収装置70によって分離回収された紙幣6を紙幣収納部21へ搬送する紙幣搬送部22、紙葉類搬送装置10や遊技機島2内の各種設備の動作を制御する制御部23、遊技機島2内の各機器へ電源を供給する電源部24などが配設収容されている。分離回収装置70の後端の紙幣排出口から排出された紙幣6は、図10の矢印Bに示すような進路で進み、併設されている紙幣搬送部22に受け渡される。
図14、図15は、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の概観を示している。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置40と、搬送補助体挿入装置40の上に重ねて配置され、搬送補助体16と紙幣6とを分離して回収する分離回収装置70と、を一体にして構成される。
分離回収装置70は、分離回収した搬送補助体16を、分離回収装置70の拡張室73に移動させ、該拡張室73の底部に設けられた穴から落下させる。拡張室73の底部から落下した搬送補助体16は案内通路61を通じて搬送補助体挿入装置40の待機部42に入って受け止められる。搬送補助体挿入装置40は、待機部42にある搬送補助体16を次回の送出に利用する。
次に分離回収装置70の詳細について説明する。
図16は、分離回収装置70の分解斜視図である。分離回収装置70は、一方の側壁と底面とを成すフレーム部71Aと、上蓋部71Bと、他方の側壁を成しつつ空気の吸引ダクトの機能を果たす側壁ダクト部71Cとを組み合わせて中空筒状となる外枠部71と、該外枠部71の前端の開口に嵌めこまれて搬送管12の終端が接続される搬送管接続口72と、該外枠部71の後端の開口から外枠部71の中に挿抜可能に挿入される内側ユニット90と、外枠部71内に回動可能に取り付けられる分離部80を備えている。分離部80は、搬送補助体16に押し動かされて搬送されてきた紙幣6は下流へ通過させ、搬送補助体16は補足して、これらを分離する機能を果たす。内側ユニット90は分離部80で分離された紙幣6を受け入れる通路(通路部100)を内部に備えている。
図17は、外枠部71の外観を示す斜視図である。分離部80と内側ユニット90は図18から図21に示すような位置関係で外枠部71内にセットされる。
分離部80は、搬送補助体16に押し動かされて搬送されてきた紙幣6は下流へ通過させ、搬送補助体16は当接して停止させる機能を果たす保持部81と、保持部81から延びる支持部82とを備えている。図19に示すように、保持部81は、中空円筒をその軸に沿って2分割したような形状を成しており、その分割端面に相当する矩形の開口から受け入れた搬送補助体16を半円筒状の壁部の内側に当接させて停止させる構造になっている。
保持部81の半円筒状壁部の内面には、保持した搬送補助体16の姿勢が傾斜しないように規制するためのガイドレール83(図19参照)が設けてある。また、保持部81の底部には搬送補助体16を案内通路61へ落下させるための排出口86が開設されている。なお、ガイドレール83は、排出口86からの搬送補助体16の落下を妨げないようにされている。
さらに保持部81の半円筒状壁部の中央には、紙幣6を下流へ通過させるための縦長矩形の通過口84が設けてある(図16参照)。通過口84は紙幣6を十数枚束ねた状態でも通過し得る程度の開口幅を有している。
分離部80の支持部82は、保持部81から搬送方向下流側へ延びる断面コの字状で所定長の腕部を成しており、保持部81を上流側(搬送管接続口72側)とした向きで、当該支持部82の基端側に設けた突起軸85を外枠部71の軸穴78(図16参照)に挿入して外枠部71に回動可能に取り付けられる。外枠部71の中に内側ユニット90を挿入したとき、図18に示すように内側ユニット90の上流側端部の外側に断面コの字状の支持部82が嵌るようになっている。
外枠部71は、断面矩形の管状の経路の前端部に、弧が搬送管接続口72側となるように扇型に拡張した部分である拡張室73を有する。拡張室73は、軸穴78に挿入した突起軸85を中心に分離部80を所定の角度範囲で回動させるための空間を内部に形成する。
また、拡張室73の底部には円形の落下口74が設けてある(図16参照)。分離部80は、保持部81が搬送管12の終端を臨む回収位置(図18、図19参照)と、保持部81が拡張室73の中に入った排出位置(図20、図21参照)とに突起軸85を中心に回動する。排出位置では、搬送補助体16は保持部81の底部の排出口86から、落下口74、案内通路61(図14参照)を通じて下方の搬送補助体挿入装置40へ排出される。分離部80は、外枠部71の上に配置された第1駆動部62(図15参照)に駆動されて回収位置と排出位置とに回動変位する。ここでは第1駆動部62はソレノイドである。
側壁ダクト部71C(図15、図16、図17参照)はフレーム部71Aの側壁を臨む向きに開口した吸込み口75を有する。側壁ダクト部71Cは、該吸込み口75から外側へ下向きL字状に延びる管状の通路を成している。側壁ダクト部71Cの下端には空気吸込通路14bが接続される。吸込み口75は、側壁ダクト部71C内に設けられた紙幣吸込み防止壁77によって複数(この例では3個)の小開口に区切られている(図36参照)。小開口は、内側ユニット90を取り外した状態で、紙幣6が吸込み口75から吸い込まれない程度に小さくされている。
このほか、外枠部71の上流側の端部の上部には、分離部80の回収位置にある保持部81に搬送補助体16が到着したことを検出する搬送補助体検出センサ63が設けてある(図14、図15参照)。
次に、分離回収装置70の内側ユニット90について説明する。図22に示すように、内側ユニット90は、内側ユニット本体部91と、搬送方向に垂直な断面が略コの字状を成した内側ユニットカバー部92とを備え、これらを組み合わせて構成される。図23は、内側ユニット本体部91の斜視図、図24は内側ユニット本体部91の正面、図25は内側ユニット本体部91の背面、図26は内側ユニットカバー部92の内側面を望む斜視図、図27は内側ユニットカバー部92の外側面を望む斜視図、図28は内側ユニットカバー部92の内側面を示す正面図、図29は内側ユニット90を内側ユニットカバー部92側から見た図である。また、図30は、図29のA-A断面を示す図である。図30は、分離部80から受け入れる紙幣6の紙面に垂直な面で切断した内側ユニット90の断面を示している。
内側ユニット90は、図30に示す様に、内部に、分離部80の通過口84から出てきた紙幣6を受け入れる通路部100を形成している。通路部100は、内側ユニット本体部91側にあって、受け入れた紙幣6の一方の紙面に対向する第1側壁101と、内側ユニットカバー部92側にあって、受け入れた紙幣6の他方の紙面に対向する第2側壁102を有する。なお、内側ユニット本体部91側の第1側壁101には通路部100内へ突起したリブ103が設けてあり、内側ユニットカバー部92側の第2側壁102には通路部100内へ突起した対面リブ104が設けてある。紙幣6は、実際には、これらのリブ103、104の間を通ることになる。
通路部100には、分離部80から受け入れた紙幣6を通路部100の終端に向けて搬送する第1搬送部110と、第2搬送部120が設けてある。第2搬送部120は第1搬送部110の下流側に配置されている。
第1搬送部110は、分離部80から受け入れた紙幣6を互いの間に挟持する挟持位置と該挟持を解除した解除位置とに変位する一対の回転体を有する。ここでは、一対の回転体は、通路部100の第1側壁101側に設けられた挟持受けローラ111と、通路部100の第2側壁102側に設けられ、通路部100の長手方向に沿って周回するように架け渡された環状の挟持ベルト113で構成される。
挟持受けローラ111および挟持ベルト113は、通路部100の高さ方向の中央に設けてある。ここでは、挟持受けローラ111および挟持ベルト113の幅は略1cmとしたが、適宜に変更してよく、より幅広にしてもよい。
挟持ベルト113は、通路部100の長手方向に長い断面コの字型の挟持レバー114(図27、図28参照)の中に保持されている。挟持レバー114は、コの字の開口が挟持受けローラ111の方を臨む向きにして第2側壁102に取り付けられており、挟持ベルト113は、挟持レバー114の先端部(分離部80側の端部)内側に軸支された先端ローラ114aと、該挟持レバー114の後端部内側に配置された後端ローラ114bを両端として、これらに環状に架け渡されている。
図28に示されるように、内側ユニットカバー部92の第2側壁102には、挟持レバー114に対応する形状の長穴107が開設されており、この長穴107の中に挟持レバー114は配置される。図27、図29に示すように、後端ローラ114bの軸114cは両方向に延設されており、その両端が内側ユニットカバー部92に設けられた軸受に保持されている。挟持レバー114はその後端部に設けた穴にこの軸114cを通すことで該軸114cに支持されており、該軸114cを中心に軸114cとは独立して回動自在になっている。軸114cの一端にはプーリ114dが取り付けてあり(図29参照)、プーリ114dに架け渡された伝達ベルト117を介して動力が伝達されて軸114cが回転する。後端ローラ114bは軸114cと共に回転し、これにより挟持ベルト113が周回するようになっている。
第1側壁101には、挟持受けローラ111の取り付け位置に対応する箇所に挟持受けローラ111に対応するサイズの貫通した開口108が開設されており(図24、図30参照)、挟持受けローラ111は、その約3分の2が通路部100内へ露出し、残りがこの開口108の中に入るようにして第1側壁101に軸支されている。開口108は、該開口108から第1側壁101の外側に出た部分の挟持受けローラ111を内包するカバー部材118によって第1側壁101の外側から覆われて蓋されている。
図32は、カバー部材118を示す斜視図である。窪み部118aの中に第1側壁101から外側に出た部分の挟持受けローラ111を内包して、開口108を封鎖する。
挟持受けローラ111の軸位置は固定されており、挟持レバー114が、後端側の軸114cを中心に回動することで先端側が揺動して挟持位置と解除位置に変位する。挟持位置では先端ローラ114aのある部分の挟持ベルト113と挟持受けローラ111とが密接してこれらの間に紙幣6を挟持する。図31は、挟持レバー114が挟持位置に変位した状態を示し、図30は挟持レバー114が解除位置にある状態を示している。
挟持レバー114は、解除位置に向かうようにバネ115で付勢されており、ストッパー116に当接して解除位置に停止して待機する。また、挟持レバー114は、後述する押圧ローラ119(図41参照)によって図31の矢印ARの示す位置を該矢印ARの方向に押圧されることで回動して挟持位置へ変位する。
挟持受けローラ111は、挟持位置において挟持ベルト113と接する箇所が、第1側壁101から通路内方向に突出したリブ103の上端とほぼ同一の高さとなるように取り付けてある。挟持レバー114および挟持ベルト113は、解除位置では、第2側壁102から通路部100内側に向けて突出した対面リブ104より通路部100の外側寄りに位置しており、対面リブ104より通路部100の内側出ていない。挟持位置では、挟持レバー114の先端側が対面リブ104よりも通路内へ進出して挟持受けローラ111に当接する。
第1搬送部110の挟持レバー114(および挟持ベルト113)は、通常は解除位置にあり、分離部80から出て通路部100に入ってきた紙幣6は挟持受けローラ111と挟持ベルト113の間に進入する。その後、第1搬送部110は、挟持レバー114を挟持位置に変位させ、周回駆動された挟持ベルト113と挟持受けローラ111との間に紙幣6を挟持して該紙幣6を通路部100の終端に向けて搬送する。
次に、第2搬送部120について説明する。
第2搬送部120は、第1搬送部110の下流で第1側壁101側に設けられた搬送ベルト121と、通路部100内の空気を搬送ベルト121の背後から外部へ吸引するための吸引口109を有し、分離部80から受け入れた紙幣6を、吸引口109から通路部100内の空気を吸引することによって搬送ベルト121に密着させて、搬送ベルト121で搬送する。
搬送ベルト121は、図33、図34に示す搬送ベルトユニット122に設けられる。搬送ベルトユニット122は、中空長方形の枠を成した底面123aと該底面123aの対向する一対の長辺それぞれの外縁から同方向に立設されて対向する一対の側面123bとを備えた搬送ユニットフレーム部123と、この搬送ユニットフレーム部123の長手方向の後端側において対向する側面123bに開設された一対の向き合った軸受穴に両端が軸支された第1軸124aと、搬送ユニットフレーム部123の長手方向の先端側において対向する側面123bに開設された一対の向き合った軸受穴に両端が軸支された第2軸124bと、第1軸124aに所定の間隔を開けて取り付けられた3個のプーリ125aと、これらのプーリ125aに対応する位置となるように第2軸124bに取り付けられた3個のプーリ125bと、第1軸124a側のプーリ125aとこれに対応する第2軸124b側のプーリ125bとを両端にしてこれらに張り架け渡された3本の環状の搬送ベルト121と、搬送ベルト121と隣の搬送ベルト121との間等に設けられた吸い込み防止壁126を備えて構成される。
3本の搬送ベルト121のうちの両端の搬送ベルト121の間隔は、紙幣6の短辺(搬送方向に対して垂直方向の辺)の長さよりやや短くされている。
一対のプーリ125a、125bに架け渡された環状の搬送ベルト121のうち、第1軸124a、第2軸124bよりも搬送ユニットフレーム部123の底面123a側を通る部分を復路とし、第1軸124a、第2軸124bよりも搬送ユニットフレーム部123の底面123aから離れた側を通る部分を往路とする。吸い込み防止壁126は、往路の搬送ベルト121よりわずかに第1軸124a、第2軸124b寄りに設けられている。駆動部64によって第1軸124aが回転駆動されることで各搬送ベルト121は、往路が搬送方向(上流から下流)へ移動するように周回する。
吸い込み防止壁126は、隣り合う搬送ベルト121の間隙の幅の約3分の1の幅にされており、間隙の幅方向の中央に位置して搬送ベルト121に沿うように延設されている。なお、往路の終端近傍おいては吸い込み防止壁126を搬送ベルトユニット122の幅全体、もしくはプーリ125aや排出ローラ127に当たらない範囲で幅広に設けてある。
内側ユニット本体部91は、図22~図25に示すように、内側ユニット本体部91の下流端部を成す縦長矩形の基部93と、基部93の一辺から上流方向に延設された外側壁94と、通路部100の側壁の一方を成す第1側壁101とを有して構成される。外側壁94は、内側ユニット本体部91と内側ユニットカバー部92を組み合わせたとき内側ユニットカバー部92の第2側壁102と平行な壁面となり、第1側壁101は、外側壁94の内側(第2側壁102側)にあり、その上流端は外側壁94と接する位置にあり、上流から下流に向けて第2側壁102へ近づくように傾斜して延設されている。
外側壁94には、図19、図22等に示すように、大開口94aが設けてある。大開口94aは外枠部71の吸込み口75と対応するサイズ・形状であり、内側ユニット90を外枠部71に装填したとき、内側ユニット本体部91の外側壁94に設けられた大開口94aが外枠部71の側壁ダクト部71Cの吸込み口75(図16参照)を臨むようになっている。
第1側壁101は、その下流端から上流端までの略半分に至る位置まで切り込まれた、幅広の切り欠き部が吸引口109として設けてあり、この切り欠き(吸引口109)の中に前述した搬送ベルトユニット122が配置される(図22~図25参照)。搬送ベルトユニット122は、搬送ベルト121の往路が第1側壁101の内側面と同一の高さもしくは第1側壁101より通路部100の内側へ少し出るように取り付けられる。
第1側壁101と外側壁94との間の空間は、第1側壁101に設けた吸引口109と外枠部71の側壁ダクト部71Cに設けた吸込み口75との間を繋ぐ空気経路95となっている(図21参照)。
搬送ベルトユニット122の第1軸124aには各プーリ125aに隣接して排出ローラ127が設けてある(図34、図35参照)。排出ローラ127の半径は、搬送ベルト121を含めたプーリ125aの半径と同一もしくはわずかに大きくされている。
内側ユニット90の終端の基部93には、図35に示すように、搬送ベルトユニット122の排出ローラ127に対向して配置された対向排出ローラ128が設けてある。排出ローラ127と対向排出ローラ128は、これらの間に紙幣6を挟持して内側ユニット90の後端から外部へ排出する機能を果たす。対向排出ローラ128は基部93に両端が支持された回動軸129に設けられている。
対向排出ローラ128の設けられた回動軸129は基部93から下方へ突出してその下端に伝達歯車130を備えている。また、搬送ベルトユニット122の第1軸124aも基部93から下方に突出してその下端に伝達歯車131を備え、伝達歯車130に歯合されている。また、回動軸129の下部に設けられたプーリ132には前述した伝達ベルト117が架け渡されている。モータなどで構成された駆動部64(図14参照)の動力は伝達歯車130に伝達され、さらに伝達歯車131に伝えられる。これにより、対向排出ローラ128、排出ローラ127が回転し、かつ搬送ベルト121が周回駆動され、さらに伝達ベルト117等を通じて第1搬送部110の挟持ベルト113が周回する。
なお、回動軸129は内側ユニット90の基部93の上にも突出し、その上端に手回し用のハンドル133が取り付けられており、ハンドル133を手動で回して紙幣6を排出させることが可能になっている。
内側ユニット本体部91の第1側壁101の内面に設けたリブ103は、図23に示すように、第1側壁101の上流端(分離部80の通過口84の近傍)から第2搬送部120の搬送ベルト121のある箇所付近まで延設されている。リブ103は、上流側の端部近傍で高くされた山形の形状を成している。リブ103は、挟持受けローラ111に対応する位置や搬送ベルト121に対応する位置、搬送ベルト121の両脇となる位置などに設けられている。挟持受けローラ111は、リブ103が山形の頂を過ぎて下り傾斜となり始めたあたりに設けてあり、挟持受けローラ111の高さはこのリブ103の延長となるように設定されている。挟持受けローラ111手前のリブ103(103a)の存在により、通路部100に進入してきた紙幣6が円滑に挟持受けローラ111へ到達する。
また、挟持受けローラ111の軸(およびその軸受部)も第1内壁101から通路部100内に出ているので、該軸および軸受部に対応する箇所に、通路部100の上流側から該箇所に向かって次第に高くなるリブ103bを設けてある。リブ103bの高さは少なくとも挟持受けローラ111の軸受部の高さ以上であるが他のリブ103よりも低くされている。挟持受けローラ111の軸および軸受部に対応する箇所に向かってその上流側から紙幣6が入り込んだ場合でもリブ103bがあることで、紙幣6は挟持受けローラ111の軸や軸受部のある箇所をスムースに通過することができ、紙幣詰まりを防止することができる。
また、内側ユニットカバー部92の第2側壁102には、第1側壁101側のリブ103に対面して通路部100の延設方向に延びる対面リブ104が設けてある(図22、図26等参照)。対面リブ104は、内側ユニット90の上流端近傍(分離部80の通過口84の近傍)から基部93内の対向排出ローラ128の近傍まで延びている。対面リブ104は、上流端では高さがほぼ0であり、挟持レバー114の先端に至るまでの間に次第に高くなり、その後はその高さを維持して終端に至るように形成されている。分離部80の通過口84を通ってきた紙幣6は、リブ103と対面リブ104の間を通って内側ユニット90の通路部100内を下流へ進むことになる。
図24に示すように、内側ユニット90の通路部100の長さL1は紙幣6の搬送方向の長さよりやや長くされており、通路部100の上流端(分離部80の通過口84の近傍)から搬送ベルト121に至るまでの距離L2は紙幣6の搬送方向の長さの約2分の1にされている。距離L2は増減させてもよい。通路部100の上流端から挟持受けローラ111までの距離L3は、L2の略半分にされている。なお、挟持受けローラ111の位置は、挟持受けローラ111と挟持ベルト113で紙幣6を挟持している間に、その紙幣の先端が通路部100の終端にある排出ローラ127と対向排出ローラ128に挟持される位置に到達可能な位置にする必要がある。
図36(a)に示されているように、分離回収装置70は、通路部100内に紙幣6が存在しているか否かを検出する紙幣検出センサ97を備えている。紙幣検出センサ97は、発光部と受光部から構成され、発光部から射出された光が、搬送ベルト121の長手方向中央付近を障害物に当たらずに通り抜けて受光部に至るように取り付けられている。紙幣検出センサ97は、発光部からの光を受光部が検出しない場合に紙幣6が光路上(すなわち、通路部内)に存在することを検出する。
次に、分離回収装置70の動作について説明する。
空気流発生装置14が空気流を発生させると、その空気流は搬送管12を介して搬送管接続口72から分離回収装置70内へと流れ込み、さらに、分離部80の通過口84を通って内側ユニット90の通路部100内に入る。空気流発生装置14は空気吸込通路14bを通じて外枠部71の側壁ダクト部71Cの吸込み口75から空気を吸引しており、この吸引により、通路部100内の空気は、第1側壁101に設けられた吸引口109、空気経路95、外側壁94に設けられた大開口94a、吸込み口75(側壁ダクト部71C)、空気吸込通路14bを通って空気流発生装置14へ戻される。
図36、図37は、分離回収装置70での紙幣6と搬送補助体16の分離回収動作であって紙幣詰まりの無い場合を示している。制御部23によって制御された分離回収装置70は、分離部80を、保持部81が搬送管12の終端を臨む回収位置とし、第1搬送部110の挟持レバー114を解除位置とし、搬送ベルト121や挟持ベルト113の駆動を停止させた初期状態で、搬送補助体16が紙幣6を押し動かしながら到来するのを待機する(図36(a))。
搬送補助体16に後方から押し動かされてきた紙幣6は分離部80の通過口84を通じて通路部100内へ進入し、さらにリブ103と対面リブ104の間、および解除位置にある挟持受けローラ111と挟持ベルト113の間を、これらのリブ103、104や挟持受けローラ111、挟持ベルト113などに接触しながら通路部100の奥へと進む(図36(b))。
紙幣6を押して動かしてきた搬送補助体16が分離部80の保持部81に到達したことを搬送補助体検出センサ63(図14、図15参照)が検出すると、制御部23は、駆動部64を作動させる。これにより、搬送ベルト121が周回すると共に、挟持ベルト113も搬送ベルト121に同期して搬送ベルト121と同じ搬送速度で周回する。
また、紙幣検出センサ97は紙幣6の検出動作を行い、制御部23は、紙幣検出センサ97の検出値から紙幣6の詰まりを判断する。ここでは、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出してから5秒が経過しても紙幣検出センサ97が紙幣6の存在を検出している場合に紙幣詰まりが生じていると判断する。
また、制御部23は、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16の到達を検出したとき、空気流が弱まるように空気流発生装置14を制御する。
通路部100に進入してきた紙幣6の先端が搬送ベルト121の領域まで達すると、通路部100内の空気を搬送ベルト121の背後から吸引口109を通じて吸引しているので、紙幣6は搬送ベルト121に張り付き、該搬送ベルト121によって通路部100の終端に向けて搬送される。この間も、制御部23は紙幣検出センサ97の検出に基づく紙幣詰まりの判断が行う。また制御部23は、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16の到達を検出したとき、もしくは到達を検出してから僅かに遅れたタイミングで、分離部80を排出位置に回動させる(図37(a))。
紙幣詰まりがなければ、紙幣6は搬送ベルト121に張り付きながら下流へ搬送される。紙幣6の先端が排出ローラ127と対向排出ローラ128の間に到達すると(図37(a))、紙幣6はこれらに挟持され、その後は、排出ローラ127と対向排出ローラ128によって搬送されて外部へと排出される(図37(b))。順調に紙幣6が搬送されて排出されれば、紙幣検出センサ97は、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出してから5秒以内に紙幣6を検出しなくなるので、制御部23は紙幣詰まりなく、紙幣6が分離回収装置70から排出されたと判断し、分離回収装置70を初期状態に戻す。
このように、紙幣詰まりが無い場合は、挟持レバー114は解除位置に維持される。
次に、搬送ベルト121で紙幣6を搬送できないケースについて説明する。
図38は、通路部100内で紙幣6が搬送ベルトユニット122の搬送ベルト121に張り付かずに吸い込み防止壁126のみに張り付いた場合を示している。これは、紙幣6の腰が弱いような場合に生じることがある。吸い込み防止壁126に強く張り付き、搬送ベルト121に張り付いていないため、搬送ベルト121で紙幣6を搬送することはできない。
図39は、紙幣6が搬送ベルト121に張り付いているが、吸い込み防止壁126の方により強く張り付いてしまい、搬送ベルト121が空回りして搬送できない場合を示している。
図36および図40、図41は紙幣6が吸い込み防止壁126に張り付いて搬送ベルト121で搬送できない場合における分離回収装置70の動作を示している。
制御部23によって制御された分離回収装置70は、搬送補助体16が紙幣6を押し動かしながら到来するのを前述の初期状態で待機する(図36(a))。
搬送補助体16に後方から押し動かされてきた紙幣6は分離部80の通過口84を通じて通路部100内へ進入し、さらにリブ103と対面リブ104の間、および解除位置にある挟持受けローラ111と挟持ベルト113の間を、これらのリブ103、104や挟持受けローラ111、挟持ベルト113などに接触しながら通路部100の奥へと進む(図36(b))。
紙幣6を押して動かしてきた搬送補助体16が分離部80の保持部81に到達したことを搬送補助体検出センサ63が検出すると、制御部23は、駆動部64を作動させる。これにより、搬送ベルト121が周回すると共に、挟持ベルト113も搬送ベルト121に同期して搬送ベルト121と同じ搬送速度で周回する。また、紙幣検出センサ97は紙幣6の検出動作を行い、制御部23は、紙幣検出センサ97の検出値から紙幣6の詰まりを前述同様に5秒の監視で判断する。また、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16の到達を検出したとき、制御部23は、空気流が弱まるように空気流発生装置14を制御する。
通路部100に進入してきた紙幣6が搬送ベルト121の存在する領域まで達すると、通路部100内の空気の吸引により、紙幣6は吸引口109に吸い寄せられるが、図38、図39に示したように紙幣6が吸い込み防止壁126のみに、あるいは搬送ベルト121より吸い込み防止壁126の方に強く張り付いた場合は、搬送ベルト121が空回りしてしまい、紙幣6は吸い込み防止壁126に張り付いた状態で停止してまう(図40(a))。
この間も、制御部23は紙幣検出センサ97の検出に基づく紙幣詰まりの判断を行っており、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16の到達を検出してから5秒が経過しても紙幣6の存在が検出されるため、紙幣詰まりが生じたと判断して詰まり解除動作を開始する。具体的には、図40(b)に示すように、押圧ローラ119で挟持レバー114を押圧し、挟持レバー114をその先端側の挟持ベルト113が挟持受けローラ111に密接する挟持位置に変位させる。なお、押圧ローラ119は、図14に示すソレノイド135に駆動されて変位する。
紙幣6は挟持受けローラ111と挟持ベルト113に挟持される。挟持ベルト113は搬送ベルト121に同期して搬送ベルト121と同一の速度で搬送方向に周回しているので、挟持受けローラ111と挟持ベルト113に挟持された紙幣6はこれらによって下流へ搬送される。
ここでは、挟持した状態で挟持ベルト113を5秒間駆動して停止させる。この動作によって紙幣6が搬送されて紙幣検出センサ97が紙幣6を検出しなくなったら、制御部23は、詰まりが解消したと判断する。挟持位置で挟持ベルト113を5秒駆動した後も、まだ紙幣検出センサ97が紙幣6を検出している場合は、0.5秒の停止期間を待ってリトライする。すなわち、挟持ベルト113を5秒間駆動して停止させる動作を再度行い、詰まりが解消されたか否かを紙幣検出センサ97の検出値に基づいて判断する。0.5秒の停止期間を挟んでリトライを2回実施しても詰まりが解消されない場合は、紙幣詰まりエラーの発生を、金庫5等に設けた表示装置等で通知して警告する。
制御部23は、挟持位置で挟持ベルト113を駆動したことによって紙幣検出センサ97が紙幣6を検知しなくなった場合は、押圧ローラ119による挟持レバー114の押圧を止めて、挟持レバー114を解除位置に戻す(図41参照)。紙幣6は排出ローラ127と対向排出ローラ128に挟持されて搬送され外部へと排出される。制御部23は、排出完了後、分離回収装置70を初期状態に戻す。
次に、紙幣詰まりの他のケースについて説明する。
図42~図44は、紙幣6の後端が搬送補助体16と分離部80の保持部81との間に挟まって詰まりが生じる場合を示している。
制御部23によって制御された分離回収装置70は、搬送補助体16が紙幣6を押し動かしながら到来するのを初期状態で待機する(図42(a))。
その後、搬送補助体16に後方から押し動かされてきた紙幣6は分離部80の通過口84を通じて通路部100内へ進入するが、紙幣6の進みが遅れると、分離部80の保持部81に到達した搬送補助体16と保持部81との間に紙幣6の後端が挟まれてしまう(図42(b))。
制御部23は、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16を検出すると、駆動部64を作動させ、搬送ベルト121および挟持ベルト113を同期して周回させると共に、紙幣検出センサ97の検出値から紙幣6の詰まりを前述同様に5秒の監視で判断する。また、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16の到達を検出したとき、制御部23は、空気流が弱まるように空気流発生装置14を制御する。
通路部100に進入してきた紙幣6が搬送ベルト121の存在する領域に達すると、吸引口109からの吸引により紙幣6は搬送ベルト121に張り付くが、紙幣6の後端が保持部81と搬送補助体16に挟まれているため、搬送ベルト121が空回りして紙幣6は搬送されない(図42(b))。
その結果、搬送補助体検出センサ63が搬送補助体16の到達を検出してから5秒が経過しても紙幣検出センサ97によって紙幣6が検出され、制御部23は、紙幣詰まりが生じたと判断して、前述同様の詰まり解除動作を実行する。具体的には、図43(a)に示すように、押圧ローラ119で挟持レバー114を押圧し、挟持レバー114をその先端側の挟持ベルト113が挟持受けローラ111に密接する挟持位置に変位させる。
挟持受けローラ111と挟持ベルト113に挟持されて紙幣6が下流へ搬送されると、搬送補助体16と保持部81との間に挟み込まれていた紙幣6の後端が、この挟み込みから抜け出す(図43(b))。なお、制御部23は、図40で説明した場合と同様に、挟持した状態で挟持ベルト113を5秒間駆動して停止させ、詰まりが解消されない場合は0.5秒の停止期間を待ってリトライする動作を行う。
紙幣6の後端が搬送補助体16と保持部81との間に挟み込まれた状態から脱すると、分離部80は排出位置に移動し、保持部81に保持されていた搬送補助体16は落下口74から案内通路61を通じて搬送補助体挿入装置40の待機部42へ落下する。その後、分離部80は再び回収位置に戻る(図44(a))。
制御部23は、挟持位置で挟持ベルト113を駆動したことによって紙幣6が搬送されて紙幣検出センサ97が紙幣6を検知しなくなると、押圧ローラ119による挟持レバー114の押圧を止めて挟持レバー114を解除位置に戻す(図44(b))。紙幣6は排出ローラ127と対向排出ローラ128に挟持されて搬送され外部へと排出される。その後、制御部23は分離回収装置70を初期状態に戻す。
このように、通路部100の吸引によって紙幣6を搬送ベルト121に張り付かせて搬送する第2搬送部120による搬送が、吸い込み防止壁126への強い張り付きによる搬送ベルト121の空回りや、搬送補助体16と保持部81との間に紙幣6の後端が挟み込まれる等によって、上手く機能しない場合に、挟持受けローラ111と挟持ベルト113で紙幣を挟持して搬送する第1搬送部110を作動させるので、紙幣詰まりが防止され、通路部100に進入してきた紙幣6をより確実に通路部100の後端から外部へ排出することができる。
また、挟持ベルト113と搬送ベルト121を同期して同じ搬送速度で稼動させるので、これらの速度差によって紙幣6に無理な力が加わって折れ曲がりやシワが発生したりすることなく、紙幣6を搬送することができる。
また、5秒駆動しては停止させて詰まりの解消を判断し、未解消の場合は0.5秒の停止期間後にリトライするので、紙幣検出センサ97が紙幣を検出しなくなるまで継続的に挟持ベルト113を駆動する場合に比べて、効率良く詰まりを解消させて紙幣6を搬送することができる。
また、第1側壁101に設けた挟持受けローラ111を取り付けるための開口108をカバー部材118で外側から覆って塞ぐので、通路部100内の空気が開口108を通じて外部へ吸引されることはない。すなわち、搬送ベルト121が設けられた吸引口109より上流の開口108から通路部100内の空気を吸引すると、開口108やこの場所にある挟持受けローラ111に紙幣6が張り付いてしまうので、カバー部材118を設けることでこれを防止する。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態では、紙幣検出センサ97が5秒以上紙幣6を検出した場合、すなわち、紙幣6の詰まりを検出した場合に第1搬送部110で紙幣を搬送するようにしたが、分離部80から通路部100に進入した紙幣6を、毎回、第1搬送部110で搬送するように構成してもよい、また、常に、第2搬送部120と第1搬送部110を併用して搬送するようにしてもよい。また、駆動時間の5秒や停止期間の0.5秒という時間の長さはこれらに限定されるものではなく、適宜に変更してもよい。
実施の形態では、第1搬送部110が有する一対の回転体を、挟持受けローラ111と挟持ベルト113としたが、挟持位置と解除位置に変位すれば、双方をローラで、あるいは双方をベルトで構成してもよい。
また、実施の形態では搬送ベルト121を3本としたが、これ以外の本数でもかまわない。
実施の形態では、分離回収装置70の内側ユニット90において、通路部100の上流側の約半分の範囲にリブ103を設け、その下流に搬送ベルト121を掛け渡すように構成したが、リブ103と搬送ベルト121がオーバーラップする領域を設けてもよい。内側ユニット90に設けるリブ103や対面リブ104の本数や形状は実施の形態で例示したものに限定されるものではない。
また実施の形態では、内側ユニット90の内側ユニット90を外枠部71に対して挿脱可能に構成したが、外枠部71と内側ユニット90とを一体に構成してもよい。
実施の形態では、搬送補助体挿入装置40の上方に分離回収装置70を重ねて一体的な紙幣分離・搬送補助体循環装置11として構成したが、搬送補助体挿入装置40と分離回収装置70とを個々別体に構成してもかまわない。たとえば、分離回収装置70で回収した搬送補助体16を回収ボックスなどに収集しておき、この回収ボックスを搬送補助体挿入装置40の設置場所に運び、回収ボックスから順次搬送補助体16を搬送補助体挿入装置40の待機位置へ送り出すように構成されてもよい。
また遊技機島2は、実施の形態で例示したパチンコ機4と遊技球貸機3を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。
実施の形態の分離回収装置70では、分離部80を回動させることで回収位置と排出位置とに分離部80を変位させるようにしたが、変位の方法は回動に限定されず、当接停止させた搬送補助体16を空気流による搬送経路からその外部へ排出させることができればよい。たとえば、回収位置に停止させた搬送補助体16を保持している分離部80を側方へ直線的に移動させるなどでもよい。