以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る分離回収装置70を含む紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、図2は紙葉類搬送装置10の正面図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技球貸機3とパチンコ機などの遊技機4とを一組にしたものを、互いが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容した遊技機島2内に設けられ、各遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を取り込んで遊技機島の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。
紙葉類搬送装置10は、紙幣(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置(ブロア)14とを備えている。紙葉類搬送装置10では、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣より上流側で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣を後方から押し動かして下流へ搬送するようになっている。
本例では、図2に示すように、遊技機島2の一方の端部に設けられた金庫5の内部に、空気流発生装置14と、紙幣分離・搬送補助体循環装置11が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内に送り出す搬送補助体挿入装置40の機能と、紙幣6とこれを後方から押し動かして搬送してきた搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収する分離回収装置70の機能を備えると共に、回収した搬送補助体16を搬送補助体挿入装置40へ戻して循環させる機能を果たす。分離回収装置70で回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部21(図1参照)に収容される。
空気流発生装置14の空気吹き出し側(空気吹出通路14a)は搬送補助体挿入装置40の空気流入口側(吹出通路接続口46)に接続され、搬送補助体挿入装置40の空気流出口側(搬送管接続口45)に、搬送管12の始端が接続されている。搬送管12は、搬送補助体挿入装置40の空気流出口側から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、該他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、金庫5まで戻るように延設された復路12cで構成される。復路12cの終端は、分離回収装置70の空気流入口側(搬送管接続口71)に接続され、分離回収装置70の空気流出口側(空気吸込通路接続部76)に空気流発生装置14の空気吸い込み側(空気吸込通路14b)が接続されている。
空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって空気流を発生させる。空気流発生装置14が発生させた空気流は、空気吹出通路14aから搬送補助体挿入装置40を通じて搬送管12の始端に流れ込み、往路12a、ターン部12b、復路12cを経た後、分離回収装置70、空気吸込通路14bを通じて空気流発生装置14の吸い込み側へ引き込まれるように流れる。
搬送管12の往路12aおよび復路12cは、所定の長さ、たとえば、遊技機島2に併設収容された遊技機4と遊技球貸機3の1セット分の横幅に対応した長さ、を単位に分割されており、これらを連結ユニット18で必要本数連結することで、遊技機島2の長手方向の長さに応じて経路長を調整できるようになっている。また、施工現場では、搬送管12を必要な長さにその場でカットして使用するようになっている。
搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置13が配設されている。紙幣取込装置13は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6と、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6とを取り込むべく、搬送管12の側壁の両側に設けられている。紙幣取込装置13は、復路12cを構成する搬送管と搬送管の間に介在してこれらを連結する役割も果たす。
紙幣取込装置13から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在する。この搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置40によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、図3に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。
紙幣分離・搬送補助体循環装置11、紙幣取込装置13は、CPU、ROM、RAMなどを主要部とする制御部23(図8参照)に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部23は、紙幣取込装置13に設けたセンサが遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を検知すると紙幣取込装置13を作動させて該紙幣6を搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置40から搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、紙幣6を後方から押し動かして搬送する。そして、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の分離回収装置70は搬送補助体16の到来を検知すると紙幣6と搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収し、その回収した搬送補助体16は次回の送出に備えて搬送補助体挿入装置40へ案内し、回収した紙幣6は金庫5内の紙幣収納部21へ搬送する、というように動作を制御する。
なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置13が遊技球貸機3からの紙幣を検知した時点からその紙幣を金庫5に回収し終えるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣6を後端側から押し動かして搬送するので、紙幣6自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣6を折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣6を空気流によって搬送することができる。
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
図4は、直線部分(往路12aおよび復路12cの部分)における搬送管12の該搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面の形状を示している。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
搬送管12の直線部分は、図4の断面形状を有して直線状に延設された筒状を成している。搬送管12の延設方向に垂直な断面は略長方形の扁平した形状をなしており、その長辺(長手方向)をなす一対の対向する側壁部32は複数のリブ34およびガイドレール36、拡張部38が形成されて凹凸にされている。略長方形の断面の短辺(短手方向)側をなす一対の対向する壁部33はほぼ平らになっている。
以後、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向)とする。
側壁部32は、搬送される紙幣6の紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣6は長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きとなって搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣6の一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
搬送管12の一対の対向する壁部33同士の間隔Dyは紙幣6の短辺より僅かに長くされている。また、一対の側壁部32のうちリブ34やガイドレール36、拡張部38が形成されていない部分(基準平面部とする)での間隔Dxは2cmほどに設定されている。
ガイドレール36は、側壁部32のY方向(高さ方向)の中央部に形成されている。ガイドレール36は、基準平面部より搬送管12の外側へ「コ」の字状に突出し、搬送管12の内部空間を拡張する矩形の拡張部38としての役割も兼ねている。ガイドレール36のY方向の内壁間距離は23ミリ程にされている。またガイドレール36の基準平面部から外側への突出量は5ミリ程にされている。
リブ34は、側壁部32から搬送管12の内側(対向する側壁部32)に向けて突出するようにして複数本形成されている。基準平面部からリブ34の頂までの高さは約2ミリになっている。リブ34の高さは適宜に設定すればよい。リブ34は、ガイドレール36の両縁部に沿って形成されている。また、これらよりY方向に中心から両外側へ10ミリ程離れた位置にもそれぞれ設けられている。
図5は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は発泡スチロール、押出発泡ポリスチレンなどにより、軽量かつ丈夫に形成される。なお、搬送補助体16は内部が空洞に形成されてもよい。
図6は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が下流へ至るのを遮り、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
紙幣6は、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣6の一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなると、空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣6が狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される、すると狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣6が側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
紙幣6が強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣6を押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣6が張り付き吸着する力は小さく、円滑な搬送が実現される。
搬送補助体16のガイドレール36に対応する箇所は、ガイドレール36と係合する係合部となっている。本例では、ガイドレール36を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣6の後端に適切に当接して安定した搬送力を与えることができ、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣6が巻き込まれる事態を回避しやすくなる。
また、ガイドレール36の部分は、搬送管12の内部空間を外側へ広げる拡張部38となっており、搬送補助体16もガイドレール36の形状に対応した形状(係合部)を成している。これにより、搬送補助体16は、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、拡張部38を設けることで、拡張部38以外の部分での搬送管12内の幅(Dx)を狭くすることができるので、紙幣6の倒れを防止することができる。
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ34の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6は複数本のリブ34の先端部分で支持されるため、リブ34の周辺やリブ34とリブ34の間では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ34は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で横倒れし難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ34を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ34を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、ガイドレール36に対応する部分の径が最も大きいので、図3に示すように、この最大径の部分16mが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
図7は、ターン部12bの正面図である。ターン部12bは、搬送管12を、Y方向を半径方向として180度の円弧を描くように延設した形状をなしている。ターン部12bにおいてもリブ34およびガイドレール36は形成されているが、搬送補助体16が円弧状にターン部12b内を移動する際に引っかかることがないように、搬送補助体16がターン部12b内を円弧状に通る軌跡の範囲からリブ34やガイドレール36を逃がすように(直線部分よりクリアランスを大きく)してある。これにより、ターン部12bでの回転半径を小さくすることができる。リブ34等の逃がし部分Qは、回転半径が小さくなる内側ほど大きくとってある。
次に、紙幣分離・搬送補助体循環装置11について説明する。
図8は前面カバーを外した状態の金庫5の正面図(図1の矢印A方向から見た状態)、図9は前面カバーを外した状態の金庫5の斜視図、図10、図11は、一部の部品を外した金庫5の内部における紙幣分離・搬送補助体循環装置11および空気流発生装置14などの取り付け状態を示す斜視図である。
金庫5は、縦長の直方体形状を成しており、その内側下部には空気流発生装置14やそのモータ14cが配置され、上部には紙幣分離・搬送補助体循環装置11が取り付けられている。空気流発生装置14の空気吹出通路14aは上方に延びて搬送補助体挿入装置40に接続され、空気吸込通路14bはさらに上方に延びて分離回収装置70に接続されている。
このほか金庫5の内部には、紙幣6を収容する紙幣収納部21、分離回収装置70によって分離回収された紙幣6を紙幣収納部21へ搬送する紙幣搬送部22、紙葉類搬送装置10や遊技機島2内の各種設備の動作を制御する制御部23、遊技機島2内の各機器へ電源を供給する電源部24などが配設収容されている。分離回収装置70の後端の紙幣排出口から排出された紙幣6は、図8の矢印Bに示すような進路で進み、併設されている紙幣搬送部22に受け渡される。
図12、図13は、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の概観を示している。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置40と、搬送補助体挿入装置40の上方に重ねて配置され、搬送補助体16と紙幣6とを分離して回収する分離回収装置70とを一体にして構成される。
分離回収装置70で分離回収した搬送補助体16は、分離回収装置70の拡張室73と搬送補助体挿入装置40の待機部42とを繋ぐ案内通路61を通じて落下して分離回収装置70から搬送補助体挿入装置40へ受け渡される。
まず、分離回収装置70の詳細について説明する。
図14は、分離回収装置70の分解斜視図である。分離回収装置70は、前端に搬送管12の終端が接続される搬送管接続口71を備え、後端が開放された管状の外枠部72と、該外枠部72の後端から外枠部72の中に挿抜可能に挿入される内側ユニット90と、外枠部72内に回動可能に取り付けられる分離部80を備えている。外枠部72は上外枠部72Aと下外枠部72Bとを組み合わせて構成される。
分離部80と内側ユニット90は図15から図18に示すような位置関係で外枠部72内にセットされる。
分離部80は、搬送補助体16に押し動かされて搬送されてきた紙幣6は下流へ通過させ、搬送補助体16は当接して停止させる機能を果たす保持部81と、保持部81から延びる支持部82とを備えている。保持部81は、中空円筒をその軸に沿って2分割したような形状を成しており、その分割面に相当する矩形の開口から受け入れた搬送補助体16を半円筒状の壁部の内側に当接させて停止させる構造になっている。
保持部81の半円筒状壁部の内面には(図16参照)、保持した搬送補助体16の姿勢が傾斜しないように規制するためのガイドレール83が設けてある。また、保持部81の底部には搬送補助体16を案内通路61へ落下させるための排出口86が開設されている。なお、ガイドレール83は、排出口86からの搬送補助体16の落下を妨げないように、少なくとも搬送補助体16の最大径部分16mより下方では該最大径部分16mを下方に投影した範囲には存在しないように形成されている。
さらに保持部81の半円筒状壁部の中央には、紙幣6を下流へ通過させるための縦長矩形の通過口84が設けてある(図14参照)。通過口84は紙幣6を十数枚束ねた状態でも通過し得る程度の開口幅を有している。
支持部82は、保持部81から搬送方向下流側へ延びる断面コの字状で所定長の腕部を成しており、保持部81を上流側(搬送管接続口71側)とした向きで、当該支持部82の基端側に設けた突起軸85を外枠部72の軸穴78に挿入し、外枠部72の上から軸腕87を突起軸85に被せて、外枠部72に回動可能に取り付けられる。外枠部72の中に内側ユニット90を挿入したとき、図15に示すように内側ユニット90の上流側端部の外側に断面コの字状の支持部82が嵌るようになっている。
外枠部72は、断面矩形の管状の経路の途中の一部に、弧が搬送管接続口71側となるように扇型に拡張した部分(拡張室73)を有する。拡張室73は、軸穴78に挿入した突起軸85を中心に分離部80を所定の角度範囲で回動させるために形成された空間である。
また、拡張室73の底部には円形の落下口74が設けてある。分離部80は、保持部81が搬送管12の終端を臨む回収位置(図15、図16、図24(a)参照)と、保持部81が拡張室73内に入った排出位置(図17、図18、図24(b)参照)とに突起軸85を中心に回動する。排出位置では、搬送補助体16が保持部81の底部の排出口86から落下口74、案内通路61を通じて下方の搬送補助体挿入装置40へ排出される。分離部80は、外枠部72の上に配置された第1駆動部62(図13参照)に駆動されて回収位置と排出位置とに回動する。ここでは第1駆動部62はソレノイドである。突起軸85の頭部に設けた軸腕87の穴に第1駆動部62(ソレノイド)のアクチュエータを係合させてあり、第1駆動部62でアクチュエータを進退させることで分離部80が回動するようになっている。
外枠部72の拡張室73と反対の側壁には吸込み口75が開口してあり、該吸込み口75から外側へL字状に延びる管状の空気吸込通路接続部76が設けてある。空気吸込通路接続部76には空気吸込通路14bが接続される。吸込み口75は、空気吸込通路接続部76内に設けられた紙幣吸込み防止壁77によって複数(この例では2個)の小開口に区切られている。小開口は、紙幣6が吸い込まれない程度に小さくされている。
このほか、搬送管接続口71の上部には、分離部80の保持部81に搬送補助体16が到着したことを検出する搬送補助体検出センサ63が設けてある(図12参照)。
内側ユニット90は、外枠部72の後端からその内側に挿入される断面矩形の管状の枠体91を備えている。図19〜図23は、枠体91の一部を取り外した状態の内側ユニット90を示している。内側ユニット90の内部は、分離部80の通過口84から出てくる紙幣6の紙面と対向する壁面をなす仕切り壁92で2つの空間に仕切られている(図22、図23、図24参照)。仕切り壁92によって仕切られた一方の空間は、分離部80の通過口84から出てきた紙幣6の通路部93となっており、仕切り壁92を隔てて通路部93と反対側の空間は空気経路110となっている(図23参照)。
また、通路部93の一方の側壁を成す仕切り壁92に沿って、環状の搬送ベルト94が掛け渡されている。より詳細には、仕切り壁92の上流側端部と下流側端部にそれぞれプーリ95を設けてあり(図22参照)、環状の搬送ベルト94はこれらのプーリ95に掛け渡されている。搬送ベルト94の往路と復路の間は仕切り壁92で仕切られる。なお、搬送ベルト94のうち、仕切り壁92の通路部93側を通る部分を往路(紙幣6が張り付く側)、反対側を通る部分を復路とする。
搬送ベルト94は、互いに間隔をあけて平行に併設された3本のベルト94a〜94cで構成されており、両端のベルト94a、94cの間隔は、紙幣6の短辺(搬送方向に対して垂直方向の辺)の長さよりやや短くされている。
仕切り壁92は、該仕切り壁92とこれに対向する通路部93の壁面までの距離(すなわち、通路部93の通路幅)が、上流側(分離部80側)より下流側で狭くなるように斜めに配置されている(図19、図22参照)。搬送ベルト94は仕切り壁92に沿って架設されているので、搬送ベルト94の往路(通路部93側を通る部分)と、分離部80の通過口84から受け入れた紙幣6の紙面を挟んで往路側の搬送ベルト94と対向する側の通路部93の内壁との間隔Pw(図19参照)も、上流より下流側が狭くなっている。
また、搬送ベルト94の上流側の端部は、該端部が回収位置にある分離部80の通過口84よりやや上流となるように、分離部80の側方(拡張室73と反対側の側方)へ逃がすように設置されている(図16、図24(a)参照)。
往路側の搬送ベルト94の下流側の端部には、該箇所に密着するように配置されて回動する排出プーリ98が設けてある(図22、図23参照)。紙幣6は排出プーリ98と搬送ベルト94の下流側端部との間に挟持されて通路部93の終端から排出される。
排出プーリ98の軸は内側ユニット90の下へ突出してその下端に伝達プーリ96aを備えている(図22参照)。また、搬送ベルト94の下流端側のプーリ95の軸も下方に突出してその下端に伝達プーリ96bを備えている。これらの伝達プーリ96a、96bは互いに密接されている。モータなどで構成された分離搬送駆動部64(図12参照)の動力は伝達プーリ96aに伝達され、さらに伝達プーリ96bに伝えられる。これにより、排出プーリ98が回転し、かつ搬送ベルト94が周回駆動される。
なお、搬送ベルト94の下流端側のプーリ95の軸は内側ユニット90の上に突出してその上端に手回し用のハンドル97が取り付けてある(図22参照)。内側ユニット90内で紙幣6が詰まった場合にハンドル97を手で回すことにより、詰まっていた紙幣6が内側ユニット90の終端から排出される。内側ユニット90の後端には排出された紙幣6の進路を側方へ湾曲させる案内路102が設けてある(図19参照)。
仕切り壁92には、通路部93内の空気を外部へ吸引するための吸引口99が設けてある(図14、図20、図22参照)。吸引口99は、回収位置にある分離部80の通過口84から紙幣6の搬送方向の長さだけ下流となる位置の付近に設けてある。ここでは、通路部93を紙幣6の搬送方向の長さよりやや長く設定してあり、吸引口99は、通路部93のうち、搬送ベルト94の下流側の端部に寄せた位置に矩形に開口されている。
より詳細には、吸引口99は矩形をなし、搬送方向に沿った向きの辺の長さが紙幣6の長辺の約3分の1程度にされている。また、搬送方向と垂直方向の辺の長さは3本の搬送ベルト94のうちの両端の搬送ベルト94a、94cの間隔によりやや短くされており、吸引口99が両端の搬送ベルト94a、94cの内側の領域のみで開口するようになっている。
内側ユニット90の枠体91のうち、仕切り壁92を挟んで通路部93と反対側の側壁91bにも矩形の開口部101が設けてある(図18、図21参照)。この開口部101は、内側ユニット90を外枠部72に挿入したとき、外枠部72の側壁に設けた吸込み口75と対面する位置を含むように大きく開口されている。
内側ユニット90を外枠部72内へ挿入してセットすると、通路部93と空気吸込通路接続部76とが、吸引口99、空気経路110、開口部101、吸込み口75を介して連通するようになっている。搬送ベルト94の往路と復路の間を仕切る仕切り壁92に吸引口99を設けたので、往路側の搬送ベルトのすぐ背後に吸引口99が配置される。これにより、紙幣6が搬送ベルト94に張り付く箇所を吸引口99の設けられた範囲のみに限定でき、設計上の狙った箇所のみで張り付き効果を得ることができる。また、仕切り壁92の裏面側を空気経路110としたので、空気吸込通路14bはこの空気経路110の出口である空気吸込通路接続部76に接続すればよい。すなわち、吸引口99に空気吸込通路14bを直接接続する構成では復路側の搬送ベルト94が邪魔になるが、そのような支障が生じることなく、空気吸込通路14bを接続することができる。
次に、分離回収装置70の動作を説明する。
空気流発生装置14が空気流を発生させると、その空気流は搬送管12を介して搬送管接続口71から分離回収装置70内へと流れ込み、さらに、分離部80の通過口84を通って内側ユニット90の通路部93内に入る。空気流発生装置14は空気吸込通路14bを通じて外枠部72の空気吸込通路接続部76から空気を吸引しており、この吸引により、通路部93内の空気は、仕切り壁92の吸引口99、空気経路110、開口部101、外枠部72側の吸込み口75、空気吸込通路接続部76を通って外部へ排出される。
図25は、分離回収装置70での紙幣6と搬送補助体16の分離回収動作を示している。紙幣6および搬送補助体16を分離回収する際には、空気流発生装置14によって空気流を発生させると共に、分離部80を回収位置にセットし、搬送ベルト94をその往路が下流方向へ移動するように駆動する。
この状態で、紙幣6をその後方から押し動かしてきた搬送補助体16が搬送管12の終端近傍に到達すると、その紙幣6の先端は分離部80に入り、通過口84を通じて下流側の通路部93内へと進入する(図25(a))。なお、搬送ベルト94の上流端が分離部80の側方から始まるので、通過口84から出てきた紙幣6が搬送ベルト94に巻き込まれることなく円滑に通路部93内へと進む。また、通路部93は下流側ほど通路幅が狭くなっているので、分離部80から進入してくる紙幣6が横倒れし難く、姿勢が保持される。また、紙幣6の先端が搬送ベルト94側に誘導される。
紙幣6の先端部が吸引口99の位置まで来ると(図25(b))、紙幣6は吸引口99からの空気の吸引によって搬送ベルト94側に引き込まれ始め、紙幣6の先端が排出プーリ98の直前に来る頃には、搬送ベルト94に張り付く。
この張り付きが生じたとき、丁度、搬送補助体16が分離部80の保持部81に到達して捕捉されるように吸引口99の位置を設定してある(図25(c))。搬送ベルト94に張り付いた紙幣6は該搬送ベルト94に搬送されて下流へ搬送され(図25(d)、搬送ベルト94の下流端で排出プーリ98との間に挟持されながら通路部93の後端から排出される。搬送ベルト94の終端では吸引による張り付き効果が無くなるが、排出プーリ98と搬送ベルト94との間に挟持して紙幣6を送り出すので、終端からの紙幣6の排出を確実に行うことができる。排出された紙幣6は、案内路102によって直ぐに進路を曲げて図8の矢印Bに示すように進み、紙幣搬送部22へ受け渡されて紙幣収納部21へ搬送され収容される。
仮に搬送補助体16が分離部80の保持部81に保持される前に紙幣6が吸引により搬送ベルト94に張り付いてしまうと、搬送ベルト94の搬送速度より搬送補助体16の移動速度の方が速いため、紙幣6の後端が、後方から到来する搬送補助体16によって押しつぶされたり、搬送補助体16に巻き込まれたりしてしまう。
このような事態が生じないように、吸引口99を分離部80の通過口84から下流側へ遠ざけて配置し、紙幣6が搬送ベルト94に張り付くタイミングを、搬送補助体16が分離部80に到達して保持された時点となるように調整してある。これにより。搬送補助体16に押されて紙幣6が折れ曲がるなどの事態を防ぎつつ、通路部93の長さを最小にすることができ、金庫5の小型化を図ることができる。
紙幣6が内側ユニット90の後端から排出された後、分離部80が第1駆動部62に駆動されて排出位置に回動される。排出位置に来ると、保持していた搬送補助体16は保持部81の底面の排出口86から外枠部72の落下口74、案内通路61を通じて落下し、搬送補助体挿入装置40に受け止められて回収される。
なお、内側ユニット90を外枠部72から挿脱可能にしているので、分離回収装置70内で紙幣6が詰まった場合に、内側ユニット90を外枠部72から抜き出して作業することができる。また、内側ユニット90を外枠部72から抜き出した状態でも、営業中であれば、紙幣6が搬送管12を通じて搬送されてくる場合があるが、外枠部72の吸込み口75に紙幣吸込み防止壁77を設けて開口を小さく区切ってあるので、たとえ紙幣6が到来しても紙幣6が吸込み口75から吸い出されることはない。
また、分離回収装置70では、搬送ベルト94を3本に分けて設けているので、互いの間から効率良く空気を吸い出すことができる。さらに、3本のうちの両端の搬送ベルト94a、94cの内側にのみ吸引口99が開口しているので、3本の搬送ベルト94に適切に紙幣6を張り付かせることができる。すなわち、両端の搬送ベルト94a、94cより外側で吸引すると、その部分は搬送ベルト94による支えが無いので、該外側の部分に吸引されて紙幣6の端が折れ曲がったりするが、内側のみに吸引口99を開口させたのでそのような折れ曲がりが防止される。
また、3本の搬送ベルト94a〜94cで紙幣6を支持するので、両端の搬送ベルト94a、94cの間隔を広くとっても、隣り合う搬送ベルトの間の部分で紙幣6が吸引口99内へ過剰に引き込まれることがない。このように、紙幣6の両端や搬送ベルトと搬送ベルトの間の部分が吸引口99へ引き込まれて過度に曲がることなく紙幣6を搬送できるので、内側ユニット90の後端からの排出を円滑に行うことができる。
次に搬送補助体挿入装置40について説明する。
図26は、搬送補助体挿入装置40の分解斜視図である。搬送補助体挿入装置40は、搬送管12へ送り出す搬送補助体16の通路となる送出通路41と、送出通路41の側壁の開口に連通して設けられ、この開口から送出通路41内へ次に繰り出す搬送補助体16を待機させる空洞室状の待機部42と、搬送補助体16を保持すると共に、送出通路41の側壁の開口を通じて待機部42内と送出通路41内とを往復移動可能に支持された可動収納部43(図13参照)と、可動収納部43に往復移動の動力を与える第2駆動部44(図12、図13参照)とを有して構成される。なお、送出通路41は上送出通路41Aと下送出通路41Bとを組み合わせて構成される。
送出通路41は、直線状の断面略矩形の通路であって、一方の端部は搬送管12の始端部が接続される搬送管接続口45であり(図12参照)、他方の端部は空気流発生装置14の空気吹出通路14aが接続される吹出通路接続口46となっている(図13参照)。搬送補助体挿入装置40においては、搬送管接続口45側を下流側、吹出通路接続口46側を上流側とする。
可動収納部43は(図26参照)、底部を有し上部が開放された上下に延びる断面U字の半筒形状を成した保持部43aと、水平断面が「へ」の字に屈曲した支持板43bとを有し、への字の短辺部分に保持部43aの側壁が接合されて取り付けられている。支持板43bの基端部(「へ」の字の長辺部分の終端部)には、上方へ突出して可動収納部43の回動中心となる軸突起43dと、軸突起43dと同軸上に配置されて下方に突出した軸腕部43eが設けてある。
軸突起43dは上送出通路41Aの上面に開設された軸穴47に挿入される。軸腕部43eは、下送出通路41Bの下面に開設された穴に挿通されて、送出通路41の下方に設けられた第2駆動部44(図12、図13)に連結されている。第2駆動部44はソレノイドで構成されており、そのアクチュエータを進退させることで、可動収納部43が軸突起43d、軸腕部43eを中心に回動するようになっている。可動収納部43は、保持部43aが待機部42内に収まる待機位置(図27(a)の位置)と、保持部43aが送出通路41内に移動して搬送管接続口45を臨む送出位置(図27(b)の位置)とに回動するようになっている。
保持部43aのU字の弧の部分は搬送補助体16の最大径部分16mよりやや大きい径で湾曲している。保持部43aの内壁には搬送補助体16を起立した姿勢に保持するための内側に突出したガイド片43fが設けてある。
また、保持部43aのうちU字の湾曲部の中央付近に通風用の送風穴43gが設けてある。さらに支持板43bのうち「へ」の字の長辺部分にも通風用の送風穴43hが開設されている。
待機部42の天井面のうち案内通路61に対応する箇所には、案内通路61を通じて落下してきた搬送補助体16を受け入れるための円形の開口が設けてある。可動収納部43は図27(a)に示す待機位置にあるとき、分離回収装置70の落下口74から案内通路61を通じて落下してきた搬送補助体16を保持部43aに受け入れて保持するようになっている。
待機部42には、待機位置に搬送補助体16が待機しているか否かを検出する搬送補助体センサ48が設けてある(図12、図26参照)。ここでは、搬送補助体センサ48として、待機位置に待機している搬送補助体16によって光が遮断され、待機位置に搬送補助体16がない場合は光が遮断されないように配置された透過型の光センサを用いている。
待機部42の壁面には、ダクト50を接続するための開口が設けてある。ダクト50は、待機部42と分離回収装置70の拡張室73とを連通させる。ダクト50を通じて待機部42から分離回収装置70の拡張室73へと空気が流れるようになっている。
図27(a)、図28に示すように、可動収納部43の保持部43aが待機位置にある状態では「へ」の字に屈曲した支持板43bの長辺部分(図28:43b(1))が送出通路41の側壁に当接した状態になり、短辺部分(図28:43b(2))が送出通路41と待機部42とを連通させている開口を封鎖する。これにより、吹出通路接続口46からの空気流が無駄に待機部42からダクト50を通じて排出されることはなく、効率よく空気流を搬送管12へ送ることができる。また、この状態では支持板43bは送出通路41の側壁に沿って当接しているので、吹出通路接続口46からの空気流は搬送管接続口45に向かって十分に流れるようになっている。
図27(b)、図29に示すように、可動収納部43の保持部43aが送出位置に移動すると、可動収納部43の保持部43aに保持された搬送補助体16が丁度、送出通路41の通路内に位置するように移動される。このとき、吹出通路接続口46からの空気流は、支持板43bに設けた送風穴43h、保持部43aに設けた送風穴43gを通じて搬送管接続口45(下流側)に向かって流れる。この空気流により搬送補助体16は保持部43aから離脱して送出通路41内を進行し搬送管接続口45から搬送管12内へと送り出される。
このように、搬送補助体挿入装置40では、可動収納部43の保持部43aに保持した状態のまま可動収納部43を回動させて搬送補助体16を待機位置から送出位置に移動させるので、安定した姿勢を維持した状態で搬送補助体16を送出通路41内に送り出すことができる。
送出通路41のうち、送出位置の保持部43aより上流側の部分の左右の内壁には、搬送管接続口45に接続される搬送管12の拡張部38の縁部にあるリブ34の延長上となる位置に、内側に突出するガイドレール49が設けてある。ガイドレール49は、搬送補助体16の最大径部分16mを上下から挟むように上ガイドレール49A(図26参照)と、下ガイドレール49Bで構成される(図26、図30参照)。
このうち、下ガイドレール49Bは搬送管接続口45から送出位置にある可動収納部43(保持部43a)の直前まで延設されており、上ガイドレール49Aは、下ガイドレール49Bに比べて上流側が短く終端されている(図26参照)。短い方の上ガイドレール49Aの上流側であって、長い方の下ガイドレール49Bと対向する位置に姿勢補正機構51を設けてある。ここでは、姿勢補正機構51は、搬送補助体16の送出方向に沿って回転する円形回転体であり、送出通路41の側壁に設けられた軸受け穴52(図26参照)に回転軸を挿通して回転自在に支持される。姿勢補正機構51はその最下点が上ガイドレール49Aの下面よりやや下方になるように配置される。
送出位置に移動した可動収納部43の保持部43aから送出された搬送補助体16は、図30(a)に示すように、若干、姿勢を崩して(この例では後傾して)送出される場合がある。下ガイドレール49Bは搬送補助体16の最大径部16mの下面に当接して搬送補助体16の下方の限界位置を規制する。搬送補助体16の最大径部16mの上面は、自在に回転する姿勢補正機構51に当接し、その回転に案内されながら進行することで、同図(b)に示すように、搬送補助体16は次第に姿勢を正して直立した状態に補正される。正しい姿勢になった搬送補助体16は、そのまま進行して上ガイドレール49Aと下ガイドレール49Bの間に最大径部16mが位置規制されながら搬送管12の始端に向けて送出される。
姿勢補正機構51は自在に回転する円形回転体なので、姿勢の崩れた搬送補助体16と接触した場合でも、搬送補助体16が引っ掛かることなく、円滑に姿勢を立て直すことができる。また姿勢補正機構51の最下点が上ガイドレール49Aの下面より若干、下方に位置するので、姿勢補正機構51を通過した後、上ガイドレール49Aの上流側端部に引っ掛かることなく搬送補助体16は円滑に上下のガイドレール49の間に入って位置規制されながら進行することができる。
次に、紙幣分離・搬送補助体循環装置11の動きを説明する。
紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする制御部23に制御されて動作する。制御部23は、各遊技球貸機3に対応して設けられたいずれかの紙幣取込装置13により紙幣6が搬送管12内に取り込まれたことを、紙幣取込装置13に設けたセンサの検出信号に基づいて認識すると、搬送補助体16が搬送補助体挿入装置40の待機部42に待機しているか否かを搬送補助体センサ48の検出信号により確認する。また、分離搬送駆動部64を駆動して分離回収装置70の搬送ベルト94を稼動させる。
搬送補助体16が待機していることが確認できたら、第2駆動部44を作動させて可動収納部43の保持部43aを送出位置に移動させる。すると、可動収納部43の保持部43aに保持されている搬送補助体16が、空気流発生装置14からの空気流に乗って送出通路41を経て搬送管12内へ送出される。
制御部23は、その後、所定時間経過後、第2駆動部44を制御して可動収納部43の保持部43aを待機部42内の待機位置に移動させる。搬送補助体挿入装置40から送出された搬送補助体16は空気流により搬送管12内を移動し、やがて紙幣取込装置13が搬送管12内に取り込んだ紙幣6の後端に当接し、その紙幣6を後方から押し動かして搬送する。
制御部23は、搬送補助体16が分離回収装置70の分離部80の保持部81に到達して停止したか否かを搬送補助体検出センサ63の検出信号に基づいて監視し、到達・停止が確認されたら、第1駆動部62を作動させて、分離部80の保持部81を排出位置に移動させる。
搬送補助体16は排出位置に移動された保持部81の排出口86から、外枠部72の落下口74、案内通路61を経て下方に落下して待機部42に入り、可動収納部43の保持部43aに受け止められて保持される。制御部23は、搬送補助体16が待機部42の待機位置に待機したことを搬送補助体センサ48の出力信号で確認すると、第1駆動部62を作動させて分離部80の保持部81を回収位置に移動させる。以上で、紙幣分離・搬送補助体循環装置11による搬送補助体16の循環利用に係る1回の動作シーケンスが終了する。
分離回収装置70で分離された紙幣6は前述したように、金庫5内の紙幣収納部21へ収納される。
このように、紙幣分離・搬送補助体循環装置11では、1つの搬送補助体16を紙葉類搬送装置10で循環的に利用することができる。また、上記のように搬送補助体16の循環利用および紙幣を分離して回収する動作が自動制御されて行われるので、作業負担が軽減される。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態では、搬送ベルト94を3本のベルトとしたが、これ以外の本数としてもかまわない。また、多数の空気穴を設けた搬送ベルトや網目状の搬送ベルトなど通気性を確保できるベルトを使用するならば、幅広の1本のベルトとしてもかまわない。
実施の形態では、往路側の搬送ベルト94の背後に吸引口99を設けたが、たとえば、往路と復路との間を仕切る仕切り壁92を設けずに復路側の搬送ベルトの背後に吸引口99を配置してもよい。この場合、往路と復路の間隔を狭くすることが好ましい。
また内側ユニット90を外枠部72に対して挿脱可能に構成したが、外枠部72と内側ユニット90とを一体に構成されてもよい。
実施の形態では、通路部93を紙幣6の搬送方向の長さより僅かに長い程度として最短となるように構成し、吸引口99を保持部81の通過口84から紙幣6の搬送方向の長さ分だけ下流となる位置の付近(通路部93の終端よりの部分)に設けるようにしたが、通路部93をより長くするならば、吸引口99をより下流側に設けてもかまわない。吸引口99からの吸引によって紙幣6が搬送ベルト94に張り付いたとき、あるいは張り付く前に搬送補助体16が保持部81に保持されるような位置関係にあればよい。
また、吸引口99は、最短より通路部93を長くした場合には、搬送ベルト94の下流側の端部近傍(排出プーリ98に挟持される直前)まで設けることが好ましい。なお、紙幣6の先端が後段の搬送手段によって搬送され始める位置まで搬送ベルト94によって紙幣6を搬送できるならば、吸引口99は搬送ベルトの終端近傍まで設けなくてもよい。
実施の形態では搬送ベルト94の上流側端部が保持部81の通過口84より上流となるように、搬送ベルト94の上流側端部を保持部81の側方に逃がして配置したが、たとえば、ガイド板などを設けて、紙幣6の先端が搬送ベルト94の復路側に巻き込まれないようにすれば、搬送ベルト94を通過口84より下流の位置から始めるようにしてもよい。
実施の形態では、搬送補助体挿入装置40の上方に分離回収装置70を重ねて一体的な紙幣分離・搬送補助体循環装置11として構成したが、搬送補助体挿入装置40と分離回収装置70とを個々別体に構成してもかまわない。たとえば、分離回収装置70で回収した搬送補助体16を回収ボックスなどに収集しておき、この回収ボックスを搬送補助体挿入装置40の設置場所に運び、回収ボックスから順次搬送補助体16を搬送補助体挿入装置40の待機位置へ送り出すように構成されてもよい。
また遊技機島2は、実施の形態で例示したパチンコ機と遊技球貸機を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。
さらには、パチンコ機とスロットマシンなどの種類の異なる遊技機が混在配置された遊技機島2に紙葉類搬送装置10を設置してもよい。図31、図32、図33は、遊技機島の一方の面にパチンコ機4を配列し他方の面にスロットマシン7を配列した遊技機島における紙葉類搬送装置10の設置例を示している。
パチンコ機4とスロットマシン7とでは高さが異なるため、搬送管12の往路12a側の高さをスロットマシン7に対応する高さにし、搬送管12の復路12c側の高さを遊技機4に対応する高さにしてある。スロットマシン7に併設された遊技媒体貸機8の背面から排出される紙幣6の取り込みは往路12aの途中に配設した紙幣取込装置13によって行う。
往路12aと復路12cとの高さの差は、往路12aから復路12cへ折り返す部分の搬送管に傾斜を付けて吸収している。図31〜図33の例では、スロットマシン7の高さに合わせるには、搬送補助体挿入装置40の搬送管接続口45より往路12aを若干高くする必要があり、そのために、搬送補助体挿入装置40の搬送管接続口45と往路12aの始端との間にS字状に湾曲して登り傾斜した第1の傾斜搬送管120を接続してある。また往路12aの終端と復路12cの始端との間を登り傾斜した第2の傾斜搬送管121で接続してある。
詳細には、第1の傾斜搬送管120は傾斜しながら90度湾曲した2つの湾曲搬送管120aをそれらの湾曲方向を反対にして連結ユニット18で接続して構成される(図33参照)。第2の傾斜搬送管121は傾斜しながら90度湾曲した2つの湾曲搬送管121aをそれらの湾曲方向を揃えて連結ユニット18で接続して構成される。第1の傾斜搬送管120および第2の傾斜搬送管121の部分は緩やかに傾斜し、かつ湾曲半径も比較的大きく設定してあるので、紙幣6や搬送補助体16は引っ掛かることなく第1の傾斜搬送管120や第2の傾斜搬送管121内を進むことができる。
このように、紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、折り返し部分などで高低差を吸収することで、高さの異なる遊技機が島の表面と裏面に配列された遊技機島にも対応することができる。
実施の形態では、分離回収装置70において分離部80を回動させることで回収位置と排出位置とに変位させるようにしたが、変位の方法は回動に限定されず、当接停止させた搬送補助体16を空気流による搬送経路からその外部へ排出させることができればよい。たとえば、回収位置に停止させた搬送補助体16を保持している分離部80を側方へ直線的に移動させるなどでもよい。同様に、待機部42に待機している搬送補助体16を送出通路41へ移動させる方法は可動収納部43の保持部43aを回動させる方法に限定されず、待機部42と送出通路41内とを直線的往復移動させる構成でもよい。
また、搬送補助体16の形状は実施の形態で示したものに限定されない。たとえば、断面矩形・多角形などの柱形状としてもよい。また、搬送補助体16をY方向中央部に対して対象な形状にしたが、Y方向に非対称な形状にされてもかまわない。
実施の形態では紙葉類として紙幣6を例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、紙葉類の形状は長方形に限定されない。また紙葉類搬送装置10は、遊技機島2内に設置されるものに限定されず、たとえば、遊技場内の複数の遊技機島2や管理室などを巡るように構成されてもよい。
実施の形態では、紙葉類を1枚のみ搬送する例を図3等に示したが、搬送管12の途中に複数枚の紙幣6が存在する状態で搬送補助体16を挿入した場合には、それら複数枚の紙幣6を一度に搬送することも可能である。たとえば、搬送管12の復路12cの途中の各紙幣取込装置13の取込完了位置にそれぞれ紙幣6が停留している状態で搬送補助体挿入装置40から搬送補助体16を送り込むと、搬送補助体16が押し動かす紙幣6の枚数が往路12aを進む途中で順に増加し、すべての紙幣6を搬送することができる。このような大きな搬送力は、搬送補助体16が搬送管12の断面をほぼ塞ぐ形状を成していること、またこれにより紙幣6の張り付き吸着が少なくなること、拡張部38の存在により空気流の作用を受ける面積が大きいことなどによって確保される。また、搬送補助体16が変形しない柱状をなしているので、羽などでは実現されない、多数枚の一括搬送を可能にしている。
実施の形態では搬送管12の断面を略長方形としたが、円形や楕円形など他の形状にされてもよい。ただし、搬送補助体はその内縁形状に対応した形状で断面のほぼ全体を塞ぐことが好ましい。また、複数のリブを設けて、紙葉類の実質的な通路幅を狭くするとよい。