JP2015100284A - 魚肉の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な手段によって魚肉の含有水分を半強制的に、且つ効果的に吸収除去することにより、魚肉の歯応えなどの食感や食味の改善を図った魚肉の処理方法を提供する。
【解決手段】捕獲後に解体して所要形状に切断整形した未冷凍または解凍した魚肉Mの表面を、付着又は接触などの手段により吸湿性物質4で覆って所定の処理時間の間保持する。また、魚肉Mを吸湿性物質4で覆う際に、魚肉Mを透水性部材9で包み込んだ状態で吸湿性物質4で覆うこともできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として、鮪、鰹、ハマチまたは鮭のような比較的大形であって、刺身等の生食用にも供せられる魚の肉質を食味や食感が向上するように改善するための処理方法に関するものである。
上述のような魚における優れた肉質を有する魚肉部位は刺身などの生食用の高級食材として重宝されており、当該魚における魚肉のうちの生食用に適した肉質を有しているにも拘わらず、生食したときに食味が劣る魚肉部位は、生食用として販売し難いことから、カツレツやフライなどの加工用食材として止む無く低価格で販売されているのが実情である。一方、生食用には本来適さない肉質の魚は、上述の加工用食材の他に煮魚用食材や焼魚用食材として商取引されている。水揚げされる魚のうちの上述した生食用に適した肉質を有しながらも止む無く加工用食材として販売される魚肉部位の割合が多くなると、それに伴って必然的に生食用の魚肉の供給量が減少して、生食用食材としての魚肉の価格が高騰する結果を招き、庶民の食卓に生食用の魚肉が上がり難くなってしまう。
上述の生食用に適した肉質を有しながらも止む無く加工用食材として販売されている魚肉部位は、魚肉に元来含まれている水分(ドリップと称されている)の含有量が必要以上に多く、それに伴って水っぽくなっていることに起因して、当該魚肉部位の全体が柔らかくなって「もちもち感」と通称される歯応えが弱く、且つ淡白な食味の劣る肉質になっているために生食用には適さないとされている。また、魚肉を店頭に並べて展示する際に魚肉の下にスポンジや吸水性シートなどを敷いているのは、魚肉から滲み出る水性液体としてのドリップをスポンジや吸水性シートに速やかに吸収除去することにより、魚肉から滲出したドリップが魚肉の表面に接触して変色するとともに鮮度が著しく低下するのを防止して、鮮度を良好な状態に保持して商品価値を維持するためである。
加工用食材又は煮魚用食材や焼魚用食材としての用途にしか用いることができない魚肉は別として、生食用に適した肉質を有しながらも食味が劣るという理由だけで生食用に用いられていない魚肉は、含有水分を強制的に、且つ効果的に吸収除去することができれば、「もちもち感」を有する生食用の高級食材と同じ食感を持つ肉質に改善することができるものと思われる。従来において提案されている魚肉の肉質を改善する方法としては、果糖又は果糖を含有する糖組成物を100〜200℃で加熱処理してなる糖加熱品、および天然糖類を含有する調味液を、浸漬、表面コーティング、もみ込み又は注入のうちの何れかの手段によって肉素材に添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、従来では、鮪肉の保存方法として、所要形状に切断整形した未冷凍又は解凍した鮪肉を収容した処理槽内の空気を吸引排気することも知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2011−45296号公報 特開2000−287618号公報 特許第3299517号公報
しかしながら、店頭に展示中の魚肉から滲み出るドリップを吸収除去するスポンジや吸
水性シートは、魚肉から自然に滲み出てくる水分を吸収除去するだけであって魚肉の内部の含有水分を強制的に吸収除去するものではなく、魚肉の肉質の劣化を多少なりとも軽減して肉質を良好な状態に少しでも長く維持できるように図ることができるが、肉質を積極的に改善することはできない。
一方、特許文献1の肉質改善方法は、主として食肉加工品を対象としたものであって、生食用に適した肉質を有しながらも生食用に採用し難い魚肉を生食用に適した肉質に改善することに適用することはできない。また、特許文献2の鮪肉の保存方法は、鮪肉が入ったガス透過性袋体をガスバリヤー性袋体に入れて真空にした後、炭酸ガスと酸素ガスとの混合ガスをガスバリヤー性袋体に充填して密封し、0℃〜3℃の雰囲気下で保存することにより、鮪肉をこれの変色を効果的に防止しながら保存できるように図ったものであり、生食用に採用し難い魚肉を生食用に適した肉質に改善することに適用することはできない。さらに、特許文献3の鮪の処理保存方法は、断熱気密構造の処理槽に鮪肉を収容し、処理槽内の空気を吸引排気して所定の真空度に下げた状態で所定時間の間保持し、次に処理槽内に酸素ガスを供給して処理槽内を常圧に戻した後に、処理槽内に酸素ガスを供給して槽内を所定圧まで加圧し、続いて、処理槽内の酸素ガスを排出したのち減圧し、ついで、処理槽内に外気を供給して槽内を常圧に戻したのちに鮪肉を取り出して、この鮪肉を所要温度で冷凍保管するものである。この保存方法は、鮪肉を解凍して短時間で調理に使用できるとともに、解凍時にドリップの発生が少なくなるように図ったものであり、やはり、生食用に採用し難い魚肉を生食用に適した肉質に改善することに適用することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、簡易な手段によって魚肉の含有水分を半強制的に、且つ効果的に吸収除去するように図ることにより、魚肉の歯応え食感や食味の改善を図ることができる魚肉の処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の魚肉の処理方法は、捕獲後に解体して所要形状に切断整形した未冷凍または解凍した魚肉の表面を、付着又は接触などの手段により吸湿性物質で覆って所定の処理時間の間保持することを特徴としている。
請求項2に係る発明の魚肉の処理方法は、捕獲後に解体して所要形状に切断整形した未冷凍または解凍した魚肉の表面を、シート状又はフィルム状の薄い透水性部材で包み込み、当該魚肉を包み込んだ前記透水性部材の表面を、付着又は接触などの手段により吸湿性物質で覆って所定の処理時間の間保持することを特徴としている。
請求項3に係る発明の魚肉の処理方法は、請求項1又は2に記載の魚肉の処理方法において、前記魚肉又は前記魚肉を包み込んだ前記透水性部材を、密閉容器内に収容した前記吸湿性物質の内部に前記透水性部材の表面が埋入する配置に埋め込み、少なくとも10分以上に設定した前記所定の処理時間の間保持することを特徴としている。
請求項4に係る発明の魚肉の処理方法は、請求項3に記載の魚肉の処理方法において、前記密閉容器として耐圧容器を用い、前記所定の処理時間における全体又は一部の時間帯において、前記密閉容器の内部雰囲気を所定範囲内の真空度に減圧することを特徴としている。
請求項5に係る発明の魚肉の処理方法は、請求項1から4の何れか一項に記載の魚肉の処理方法において、前記所定の処理時間の経過によって処理が終了した前記魚肉を、密閉体内に収容した状態又は大気放置状態で所定の保持時間の間保持することを特徴としている。
請求項1に係る魚肉の処理方法によれば、魚肉の表面を覆う吸湿性物質による吸湿作用によって魚肉の組織内に含有する遊離水分が魚肉の表面から滲出するように促進され、この状態が所定時間の間保持されることにより、魚肉内部の水分が徐々に吸水されて減少する結果、例えば、従来において生食用に適した肉質を有しながらも食味が劣るために加工用食材として販売されていた魚肉部位が、生食用としての食味を十分に満足することができる肉質に改善される。魚肉の含有水分を除去する別の方法として、例えば、魚肉を収容した処理槽内の内部を減圧して魚肉の含有水分を急激に、且つ強制的に脱水するような処理を行う場合には、魚肉の表面が過度に脱水されることによって「パサパサ感」の食感になり易い。これとは異なり、請求項1に係る魚肉の処理方法では、魚肉の含有水分が滲み出るのを吸湿性物質による吸湿作用で効果的に促進させる、換言すれば、魚肉を乾燥させるが如き手段により、魚肉の含有水分を半強制的に除々に吸収除去しているので、含有水分を円滑に吸収除去することができる。なお、この処理方法では、吸湿性物質を魚肉の表面に直接的に接触させるが、吸湿性物質として、体内に微量入る程度ならば健康面に何ら影響がないものを用いれば、問題が生じない。
請求項2に係る魚肉の処理方法によれば、魚肉の表面を包み込んだ薄い透水性部材の表面を吸湿性物質で覆うので、処理後に透水性部材を魚肉から外すだけでよい。また、透水性部材を介在させることによって吸湿性物質が魚肉に直接接触しないので、吸湿性物質として、制約を受けることなく種々のものを用いることができ、吸湿性物質の選択肢が広がる。
請求項3に係る魚肉の処理方法によれば、魚肉または魚肉を包み込んだ透水性部材を、密閉容器内に収容した吸湿性物質の内部に表面が埋入する配置に埋め込むことで、何れの場合にも魚肉が吸湿性物質の内部に埋入されて、魚肉の内部から水分が表面側へ滲出し始めるが、脱水および歯応えの改善の効果は、吸湿性物質に埋め込んで10分間以上保持することにより、顕著に表れる。
請求項4に係る魚肉の処理方法によれば、吸湿性物質による吸湿作用によって魚肉の組織内に含有する遊離水分が魚肉の表面から滲出するように促進されると同時に、密閉容器の内部雰囲気を所定範囲内の真空度に減圧することによって密閉容器内に生じる負圧で魚肉の含有水分に対する吸引作用が生じるので、魚肉からより多くの水分を効果的に吸収除去できるとともに、所要量の水分を短時間で迅速に吸収除去できる。
請求項5に係る魚肉の処理方法によれば、処理が終了した魚肉を、密閉体内に収容した状態または大気放置状態で所定時間の間保持することにより、この保持時間中に魚肉内部の水分が表面側に染み出てきて、魚肉全体にわたり含有水分が均等化される。つまり、魚肉の表面のみが乾燥状態となるのを防止することができる。
(a),(b)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る魚肉の処理方法を具現化した第1処理工程および第2処理工程の各々の構成を示す断面図である。 (a)は同上の実施形態による処理の実験結果である処理時間の開始初期の魚肉からの吸水量割合の関連を示す特性図で、時間を対数目盛りで表している。また(b)は同処理の処理時間全体の吸水量割合の変化が判るように、時間を比例目盛りで示した魚肉からの吸水量割合の関連を示す特性図である。 (a)は同上の実施形態による処理の実験結果である処理時間の開始初期の魚肉の歯応え食感の関連を示す特性図で、時間を対数目盛りで表している。また(b)は同処理の処理時間全体の時間帯が明瞭に判るように、時間軸を比例目盛りで表した際の時間の経過に伴う魚肉の歯応え食感の関連を示す特性図である。 本発明の第2実施形態に係る魚肉の処理方法を具現化した第1処理工程の処理装置を示す構成図である。 本発明の第3実施形態に係る魚肉の処理方法を具現化した第1処理工程の処理装置を示す構成図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)は本発明の第1実施形態に係る魚肉の処理方法を具現化した第1処理工程の構成を示す断面図であり、同図において、処理用の容器として、容器本体2とこの容器本体2を気密に施蓋する蓋体3とからなる密閉容器1が用いられている。容器本体2には適量の吸湿性物質4が収容されており、この吸湿性物質4の内部に、大形の魚を捕獲後に解体して所要形状、例えばブロック状に切断整形した未冷凍又は解凍した魚肉Mの全体が埋め込まれており、この状態で容器本体2が蓋体3により気密に施蓋されて、吸湿性物質4および魚肉Mが外気と遮断されている。
前記吸湿性物質4としては、一般に乾燥剤として用いられている粉末状のシリカゲル(サイロページ)またはアルミナ(酸化アルミニウム)粉末などを好適に用いることができる。すなわち、この実施形態では、食品である魚肉Mを吸湿性物質4により接触状態で覆うことから、処理後に水洗いで吸湿性物質4を除去する場合に魚肉Mに付着したまま僅かに残存しても支障がない吸湿性物質4を用いる必要があり、上述した吸湿性物質4は、食品添加物としても用いられていることからも明らかなように、許容量に規定されている微量が体内に入っても健康を害するものではない。
この処理方法の処理対象となる主な魚肉Mは、鮪、鰹、ハマチ又は鮭のような比較的大形の魚における従来から生食用として提供されている魚肉部位、および生食用に適した肉質を有しながらも食味が劣ることから生食用として販売されていない魚肉部位であり、これらの魚肉が、含有水分を円滑に吸収除去することができる未冷凍または解凍した状態で被処理物として供せられる。
図1(a)に示す魚肉Mの全表面を吸湿性物質4で覆った状態を保持すると、吸湿性物質4による吸湿作用によって、魚肉Mの組織内に含有する遊離水分が魚肉Mの全表面から吸湿性物質4内に向け滲出するように促進される。処理の開始初期の時間帯における時間の経過に伴う魚肉Mからの吸水量割合の関連を示す図2(a)の特性図から明らかなように、上述の魚肉Mからの水分の吸収除去は魚肉Mを吸湿性物質4で覆った約10分(0.16H)後から顕著に生じる。その後、時間の経過と共に吸水速度は徐々に低下し、図2(b)に示すように、魚肉Mからの吸水量割合は、10時間が経過した時点から増える速度が徐々に緩やかになっていき、24時間程度が経過した時点で吸水速度が極めて遅くなり、このまま処理を継続しても吸水効果が殆ど得られないだけでなく、魚肉Mの鮮度が低下していく。したがって、魚肉Mの処理時間は、少なくとも10分以上で、24時間以内の範囲内に設定することが好ましい。
吸湿性物質4による魚肉Mの吸水処理工程が終了すると、密閉容器1から取り出した魚肉Mを水洗いして魚肉Mに付着している吸湿性物質4を除去する。このとき、吸湿性物質4の微量な一部が魚肉Mに付着したまま残存しても、吸湿性物質4として、許容量に規定されている微量が体内に入っても健康を害さないものを選定して用いているので、何ら支障がなく、また、この実施形態において吸湿性部材4に用いているシリカゲルは、食品添加物に用いられる無味無臭のものであるから、魚肉Mに付着したまま残存しても、魚肉Mに異なる味や臭いを付けることがない。
この水洗い後の魚肉Mは、第2処理工程の構成を示す図1(b)のように、密閉体7の内部の網状支持棚8上に載置して密閉体7に収容した状態で所定時間の間保持される。密閉体7の内部は、外気と遮断され、且つ一定湿度に保たれているから、魚肉Mの内部に含有されている水分が表面側に吸引される作用が促進されるから、保持時間中に魚肉M内部の水分が表面側に染み出てきて、魚肉Mの全体にわたり含有水分が均等化され、これによって魚肉Mの表面のみが乾燥状態となるのを防止することができる。ここで、魚肉Mは、複数本の支持脚10によって密閉体7の底面の上方位置に支持された網状支持棚8上に載置されているので、下面を含む魚肉Mの全表面に向けて魚肉M内部の水分を染み出させることができるから、魚肉M全体にわたり含有水分が一層均等化される。なお、吸水処理後の魚肉Mを大気中に放置しても、魚肉M全体の含有水分を均等化する効果を得ることができるが、図1(b)に示すように密閉体7に収容した場合には、魚肉Mが大気から遮断されるのに伴って魚肉M全体の含有水分を均等化する効果が向上する。
この魚肉Mの処理方法では、魚肉Mの含有水分が徐々に脱水されて減少する結果、例えば、従来において生食用に適した肉質を有しながらも食味が劣るために止む無く加工用食材として販売されていた魚肉部位を、生食用としての食味を十分に満足することができる肉質、すなわち、「もちもち感」のある生食用の高級食材の魚肉とほぼ同じ食感と食味が得られる肉質に改善することができるから、生食用としての魚肉の増大を図って生食用魚肉を低価格で提供することが可能となり、水産資源の有効利用を図ることができる。また、従来から生食用の高級食材として取り扱われている魚肉部位は、この吸水処理を施すことにより、「もちもち感」が一層高まって、よりよい食感とすることができ、生食用の魚肉全体の付加価値を高めるとともに、新たな生食用魚肉ブランドの創生を図ることもできる。
また、この魚肉Mの処理方法では、魚肉Mの含有水分が滲み出るのを吸湿性物質4による吸湿作用で効果的に促進させることによって半強制的に吸収除去しているので、含有水分を円滑に吸収除去することができる。この処理方法に対する比較例として、例えば、魚肉を収容した処理槽内の内部を減圧して魚肉の含有水分を急激に、且つ強制的に脱水するような処理を行う場合には、魚肉の表面が過度に脱水されることによって「パサパサ感」の食感になる。これとは異なり、上述の魚肉Mの処理方法では、内部の含有水分を半強制的に徐々に吸収除去しているので、魚肉Mの表面が「パサパサ感」の食感になることがない。
なお、吸湿性物質4で魚肉Mの全表面を覆うに際しては、粉末状のシリカゲルのような吸湿性物質4を魚肉Mの全表面にまぶす状態に付着させるようにしても、所要の吸水効果が得られるが、この場合、吸湿性物質4によって魚肉Mの水分を有効に吸水する必要性から、大気中の空気が入り込まない手段を施す必要がある。
つぎに、魚肉Mの吸水処理時間と歯応え食感との関連について説明する。図3(a)は、吸水処理の開始初期の時間帯における時間の経過に伴う魚肉Mの歯応え食感の関連を示す特性図であり、同図の歯応え食感は、100人の被験者がそれぞれ一定の処理時間の経過する毎に食したときに感じた歯応えの感覚を、基準となる未処理の魚肉の歯応え食感を「3」として数値化した上でそれらの平均値を求めたものである。この図3(a)から明らかなように、吸水処理を開始した魚肉Mの歯応え食感は、吸水量割合の場合と同じく、処理開始後約10分(0.16H)後から急激に向上する。そして、図3(b)のように、処理時間が5時間を経過した後は、歯応え食感の向上の度合いが緩やかとなる。上述の図2(b)の全体の処理時間の経過に伴う魚肉からの吸水量割合の関連を示す特性図では、処理時間の経過が24時間程度に達するまでは魚肉Mからの吸水量が徐々に増え続ける結果を示しているのに対し、魚肉Mの歯応え食感は、上述のように処理時間が5時間程度
に達するまでは向上するが、それ以上に吸水処理を継続しても歯応え食感の大きな向上が期待できない。したがって、魚肉Mの歯応え食感の向上を一番の目的として吸水処理を行う場合には、長くても5時間程度の処理で十分である。
図4は本発明の第2実施形態に係る魚肉Mの処理方法を具現化した第1処理工程の構成を示す断面図であり、同図において、図1(a)のものと同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。同図の構成が図1(a)と相違するのは、魚肉Mの全表面を、セロファンのようなシート状またはフィルム状の薄い透水性部材9で包み込み、この魚肉Mを包み込んだ透水性部材9を、これの全表面が埋入する配置で吸湿性物質4の内部に埋め込んだ構成のみである。
この処理方法では、吸湿性物質4による吸湿力が透水性部材9を通して魚肉Mに作用するから、魚肉Mの組織内に含有する遊離水分が魚肉Mの全表面から透水性部材9を通して吸湿性物質4内に向け滲出するように促進される。したがって、この処理方法では、処理時間の経過に伴う魚肉Mからの吸水量割合が、透水性部材9が介在する分だけ図2(a),(b)の特性図よりも時間的に若干遅れて増えるだけで、やはり魚肉Mの含有水分が滲み出るのを吸湿性物質4による吸湿作用で効果的に促進させることによって半強制的に吸収除去して、含有水分を円滑に吸収除去することができるから、第1実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。なお、この実施形態においても、図4の構成による魚肉Mの吸水処理の終了後に、図1(b)の構成による魚肉Mの含有水分の均等化するための第2処理工程を実施する。
また、この処理方法では、上記効果が得られるのに加えて、透水性部材9を介在させることによって吸湿性物質4が魚肉Mに直接的に接触しないので、吸湿性物質4として、第1実施形態のような制約を受けることなく、種々のものを用いることができるから、吸湿性物質4の選択肢が広がる。例えば、この処理方法の吸湿性物質4として、魚肉Mに接触させられないことから第1実施形態において用いられない生石灰や塩化カルシウム、さらに処理後の魚肉Mに残存したときに魚肉Mの味が変わってしまう食塩(塩化ナトリウム)や砂糖なども用いることができる。さらにまた、魚肉Mは、透水性部材9で包み込まれていることから吸湿性物質4に接触しないので、処理後に透水性部材9を魚肉Mから取り外すだけでよく、第1実施形態のような魚肉Mの水洗い工程が不要である。
図5は本発明の第3実施形態に係る魚肉Mの処理方法を具現化した第1処理工程の処理装置を示す構成図である。この処理装置は、密閉容器11として、耐圧容器本体12と耐圧蓋体13とからなる気密構造を備えた耐圧容器が用いられており、この耐圧容器本体12内には、魚肉Mの全表面を少なくとも埋入できる適量の吸湿性物質4が収容され、この吸湿性物質4内に被処理物の魚肉Mがこれの全表面が埋入する状態に埋め込まれている。
密閉容器11からは、容器内の空気を真空ポンプ14により外部に排気するための排気管17が耐圧蓋体13を貫通して外部に突出されている。この排気管17は、排気調整弁18を介して真空ポンプ14の吸い込み側に接続されている。また、密閉容器11には、容器内の圧力を検出して圧力検出信号を出力する圧力センサ19が設けられており、コントローラ20は、圧力センサ19から入力する圧力検出信号に基づいて真空ポンプ14の排気調整弁18を調整することにより、密閉容器11内の圧力を所定の設定真空度になるようにフィードバック制御する。さらに、密閉容器11には、フィルタ21を通して清浄な空気を供給する吸気管22が耐圧蓋体13を貫通して挿入されており、吸気管22は、入口弁23が開かれたときに、フィルタ21から吸入した空気を入口弁23を介して密閉容器11内に供給する。
この処理方法では、魚肉Mを吸湿性物質4内に埋め込んで吸湿性物質4による吸湿作用
によって魚肉の組織内に含有する遊離水分を魚肉Mの表面から滲出するように促進させる吸水処理を所定の処理時間にわたり実施する際に、この吸水処理の開始と同時または吸水処理が一定時間の間実施された時点から排気調整弁18を開いた状態で真空ポンプ14を駆動して、コントローラ20の制御よって密閉容器11の内部を所定の真空度に減圧する。これにより、吸湿性物質4による吸湿作用によって魚肉Mの組織内に含有する遊離水分が魚肉の表面から滲出するように促進される吸水処理を行うのと並行して、密閉容器11の内部雰囲気を所定範囲内の真空度に減圧することによって密閉容器11内に生じる負圧で魚肉Mの含有水分に対する吸引作用を生じさせるので、魚肉Mからより多くの水分を効果的に吸収除去できるとともに、所要量の水分を短時間で迅速に吸収除去できる。なお、この実施形態においても、図5の構成による魚肉Mの吸水処理の終了後に、図1(b)の構成による魚肉Mの含有水を均等化するための第2処理工程を実施する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 密閉容器
4 吸湿性物質
7 密閉体
9 透水性部材
11 密閉容器
M 魚肉

Claims (5)

  1. 捕獲後に解体して所要形状に切断整形した未冷凍または解凍した魚肉の表面を、付着又は接触などの手段により吸湿性物質で覆って所定の処理時間の間保持することを特徴とする魚肉の処理方法。
  2. 捕獲後に解体して所要形状に切断整形した未冷凍または解凍した魚肉の表面を、シート状又はフィルム状の薄い透水性部材で包み込み、当該魚肉を包み込んだ前記透水性部材の表面を、付着又は接触などの手段により吸湿性物質で覆って所定の処理時間の間保持することを特徴とする魚肉の処理方法。
  3. 前記魚肉又は前記魚肉を包み込んだ前記透水性部材を、密閉容器内に収容した前記吸湿性物質の内部に前記透水性部材の表面が埋入する配置に埋め込み、少なくとも10分以上に設定した前記所定の処理時間の間保持するようにした請求項1または2に記載の魚肉の処理方法。
  4. 前記密閉容器として耐圧容器を用い、前記所定の処理時間における全体又は一部の時間帯において、前記密閉容器の内部雰囲気を所定範囲内の真空度に減圧するようにした請求項3に記載の魚肉の処理方法。
  5. 前記所定の処理時間の経過によって処理が終了した前記魚肉を、密閉体内に収容した状態または大気放置状態で所定の保持時間の間保持するようにした請求項1から4の何れか一項に記載の魚肉の処理方法。
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