JP2015092534A - シリコーン熱伝導性シート - Google Patents
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Description
従来、放熱を効率的に行うために、発熱部材である電子部品と、放熱部材との間が熱伝導性シートにより埋められることがある。この熱伝導性シートとしては、例えば、シリコーン樹脂に熱伝導性充填材を混合したシリコーン熱伝導性シートが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、高い放熱性を確保しつつ、面圧縮に対する反力を小さくすることができるシリコーン熱伝導性シートを提供することである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)熱伝導性充填材が混合されたシリコーン硬化物から形成されたシリコーン熱伝導性シートであって、厚さ方向に貫通した複数の孔が設けられるシリコーン熱伝導性シート。(2)開口面積率が、17〜24%である上記(1)に記載のシリコーン熱伝導性シート。
(3)前記孔の径が0.1〜10mmである上記(1)又は(2)に記載のシリコーン熱伝導性シート。
(4)厚みが、0.05〜2mmである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコーン熱伝導性シート。
(5)アスカーC硬度が2〜25である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシリコーン熱伝導性シート。
(6)アスカーC硬度が5〜15である上記(5)に記載のシリコーン熱伝導性シート。
(7)熱伝導率が0.3〜7.0W/m・Kである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のシリコーン熱伝導性シート。
[シリコーン熱伝導性シート]
本発明のシリコーン熱伝導性シートは、熱伝導性充填材が混合されたシリコーン硬化物から形成されたものであって、厚さ方向に貫通した複数の孔が設けられるものである。
本発明のシリコーン硬化物は、通常、シリコーン成分と、熱伝導性充填材とを含有する熱伝導性シリコーン組成物の硬化物である。
以下、本発明のシリコーン熱伝導性シートについてより詳細に説明する。
本発明で用いるシリコーン成分とは、分子中にシロキサン結合(Si-O-Si)を有する化合物をいう。シリコーン成分は、より具体的には、通常、主剤としてのオルガノポリシロキサン((a)成分)と、主剤を架橋するためのオルガノハイドロジェンポリシロキサン((b)成分)を含有する。
主剤としてのオルガノポリシロキサン((a)成分)は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン((b)成分)に架橋される化合物ならばよいが、通常、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンである。
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(b)成分中のケイ素原子に結合した有機基としては、例えば、アルケニル基以外の非置換又は置換の1価炭化水素基等が挙げられ、具体的には、(a)成分の項で説明したアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基と同種のものが挙げられる。その中でも、合成面及び経済性の点から、上記有機基は、全てメチル基であることが好ましい。
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造は、特に限定されず、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、下記一般式(1):
で表される。
また、nは好ましくは2〜100、より好ましくは5〜50の整数である。
(b)成分の添加量は、(b)成分のSiH基が(a)成分中のアルケニル基1モルに対して例えば0.5〜5.0モルとなる量、望ましくは0.8〜4.0モルとなる量である。
上記白金系触媒の配合量は、熱伝導性シリコーン組成物を硬化させるために必要な有効量であればよく、特に制限されないが、通常、(a)成分に対する白金族金属元素の質量換算で、0.1〜1,000ppm、望ましくは0.5〜500ppmとするのがよい。
上記M単位中のR2は、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、その1価炭化水素基としては、上記(a)成分の項で前述したアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基の中の1価炭化水素基と同種のものが例示できる。R2の1価炭化水素基は、全てがメチル基であることが好ましい。
シリコーンレジンの含有量は、(a)成分100容量部に対して、50〜500容量部、好ましくは60〜350容量部、更に好ましくは70〜200容量部である。
表面処理剤(ウェッター)は、(a)成分100容量部に対して、好ましくは0.01〜50容量部、より好ましくは0.1〜30容量部である。
さらに、上記したその他のオルガノポリシロキサンとしては、動粘度10〜100,000mm2/s程度の両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
熱伝導性充填材としては、金属粉末、金属酸化物粉末、金属窒化物粉末、炭素系の粉末、セラミック粉末などを用いる。より具体的には、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、ニッケル粉末、金粉末、金属ケイ素粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化鉄粉末、酸化チタン粉末、酸化ジルコニウム粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、カーボン粉末、フラーレン粉末、カーボングラファイト粉末などが挙げられるが、一般に熱伝導性充填剤とされる物質であれば如何なる充填剤でもよく、これらは1種単独であるいは2種以上混ぜ合わせてもよい。これらの中では、酸化アルミニウム粉末が好適に使用される。
熱伝導性充填剤としては、平均粒径が好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜50μmのものを用いることができる。充填剤は平均粒径の異なる粒子を2種以上用いることも可能である。なお、本発明において、平均粒径は体積平均粒径であり、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300EX(日機装株式会社製)による測定値である。
熱伝導性充填剤の配合量は、(a)成分100容量部に対して50〜1,000容量部、好ましくは100〜500容量部である。熱伝導性充填剤の配合量を上記範囲とすることで、シリコーン熱伝導性シートの成形性、熱伝導性を良好なものとしやすくなる。
シリコーン熱伝導性シートは、特に限定されるわけではないが、上記成分を均一に混合した熱伝導性シリコーン組成物を、表面離型処理を施した基材上に薄膜状に成形し、硬化させることにより得ることができる。
また、上記熱伝導性シリコーン組成物としては、例えば、特許第5233325号公報に記載したものも使用可能である。
また、シリコーン熱伝導性シートの熱伝導率は、0.3〜7.0W/m・Kであることが好ましく、1.0〜5.0W/m・Kであることがより好ましい。シリコーン熱伝導性シートの熱伝導率が上記範囲内であれば、シートに複数の孔を設けても、シリコーン熱伝導性シートの良好な熱伝導性が確保され、電子部品の熱をより効率的に放熱することが可能になる。
なお、本発明において使用可能なシリコーン熱伝導性シートの市販品としては、信越化学工業株式会社製のTC−SP−1.7、TC−SPA−3.0、TC−CAS−10、TC−CAB−10、TC−CAD−10、TC−CAT−20、デクセリアルズ株式会社製のEX30050、EX30100、EX30150、EX30200、E1100S、E1200S等が挙げられる。
シリコーン熱伝導性シートに設けられる孔の形状は、特に限定されないが、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形が例示され、この中では円形が好ましい。
また、孔の径は、特に限定されないが、通常、0.1〜10mm程度であるが、好ましくは0.5〜8mm、より好ましくは1〜7mmである。なお、孔の径とは、孔が円形の場合は直径、孔が楕円形の場合は長径、孔が多角形の場合は外接円の直径のことをいう。
図1〜5に示すように、シリコーン熱伝導性シート10には、厚さ方向に貫通する複数の孔20が所定の配列で設けられている。複数の孔20は、例えば、図1〜5に示すように、等間隔に並べられて形成された孔20の列が複数列設けられ、その複数の列が互いに平行となるように配置される。この際、各列の各孔20は、図1、3、5に示すように、他の列の各孔20と列方向において同一位置に配置され、碁盤目状に並べてられてもよい。また、図2に示すように、孔が碁盤目状に並べられるとともに、その碁盤目状に並べられた4つの孔20の中心に1つの孔20がさらに設けられるように配置されてもよい。
さらには、図4に示すように、奇数列の各孔20が、他の奇数列の各孔20と列方向において同一位置になり、かつ偶数列において隣接する2つの孔20の間に位置するように配置されてもよい。なお、以上の説明においては、横方向に並べられた複数の孔20が各列を形成するものとし、図1〜5の横方向が列方向となる。
なお、孔の数は、図1〜5では4〜9個であるが、通常、シリコーン熱伝導性シートの大きさに応じて増減するものであり、特に限定されるものではない。
シリコーン熱伝導性シートは、複数の孔が設けられることで、開口面積率が例えば15〜30%となるものであるが、その開口面積率は17〜24%であることが好ましい。
シリコーン熱伝導性シートは、開口面積率が17〜24%となることで、熱伝導性を大きく損なうことなく、面圧縮に対する反力が小さくなり、小型の電子機器内部に容易に設置されるものとなる。以上の観点から開口面積率は、18〜22%であることがより好ましい。
なお、開口面積率とは、シリコーン熱伝導性シートの孔部分も含めた面積全体に対する、孔部分の面積の割合を百分率で示すものである。なお、開口面積率が、シリコーン熱伝導性シートの両面で互いに異なる場合、本発明では、その平均値をシリコーン熱伝導性シートの開口面積率とする。
シリコーン熱伝導性シートの25%圧縮強度は、例えば200kPa以下であればよいが、150kPa以下であることが好ましく、120kPa以下であることがより好ましい。
また、シリコーン熱伝導性シートの50%圧縮強度は、例えば400kPa以下であればよいが、350kPaであることが好ましく、300kPa以下であることがさらに好ましい。
シリコーン熱伝導性シートは、25%圧縮強度が150kPa以下となるとともに、50%圧縮強度が350kPa以下となることで、その柔軟性に優れ、かつ圧縮率が大きくなっても面圧縮に対する反力が小さくなり、放熱シートとして小型の電子機器において好適に使用されるようになる。また、落下した場合には、電子部品等に付与される衝撃を吸収することも可能になる。
また、圧縮強度の下限値は、特に限定されないが、シリコーン熱伝導性シートの25%圧縮強度は、好ましくは10kPa以上、より好ましくは40kPa以上である。また、シリコーン熱伝導性シートの50%圧縮強度は、好ましくは100kPa以上、より好ましくは180kPa以上である。
本発明のシリコーン熱伝導性シートは、高い放熱性を確保しつつ、面圧縮に対する反力も小さくなるものである。そのため、本発明のシリコーン熱伝導性シートは、携帯電話等の小型機器においても、発熱源と放熱部材との間で適度に圧縮され、隙間なく配置されるものとなる。また、落下した場合には、電子部品等に付与される衝撃を吸収することも可能になる。
本発明においては、シリコーン熱伝導性シートの各物性や性能を以下の方法で評価したものである。
<アスカーC硬度>
アスカーC硬度計で測定した25℃における硬度である。なお、シリコーン熱伝導性シートはその合計厚みが10mmになるように複数枚重ねて測定を行った。
<熱伝導率>
レーザーフラッシュ法により、アルバック理工株式会社製「TC−7000」を用いて、熱伝導率を25℃にて測定した。
<圧縮強度>
JIS K6767−7.2.3(JIS2009)に準拠して、シリコーン熱伝導性シートの25%圧縮強度、及び50%圧縮強度を測定した。なお、シリコーン熱伝導性シートは、その合計厚みが10mmになるように複数枚重ねて測定を行った。
<熱伝導性能評価試験>
図6に示すように、断熱材30の上に25mm×25mm×2mmのヒーター31(坂口電熱(株)製マイクロセラミックヒーター、型番「MS5」)を載せ、その上に30mm×30mmの各実施例、比較例のシリコーン熱伝導性シート10を重ねた。そして、さらにその上に50mm×100mm×2mmのアルミニウム板32を載せ、シリコーン熱伝導性シート10を伝わった熱がアルミニウム板32に拡散する構造を形成した。この状態でヒーター31に1Wの電力を引加し、15分後に温度が一定となったところでヒーター31の温度[T](℃)を測定し、その結果を表1に示す。なお、本試験では、値が小さい程、熱伝導性能が良いことを示す。
商品名「TC−CAS−10」のシリコーンパッド(信越化学工業株式会社製、厚み:0.5mm、アスカーC硬度:10、熱伝導率:1.8W/m・K)を30mm×30mmに切り出し、さらに直径6mmの円形の孔を5個形成し、実施例1のシリコーン熱伝導性シートを得た。5個の孔は、図2に示すように、4個の孔を碁盤目状に並べ、1個の孔をその4個の孔の中心に配置した。
図3に示すように、2個の孔を直線状に並べて形成した列を3列設けることで、碁盤目状に6個の孔をシリコーン熱伝導性シートに設けた点を除いて実施例1と同様に実施した。
図4に示すように、2個の孔を直線状に並べてなる列(奇数列)を2列設けるとともに、その2列の間にさらに、3個の孔を直線状に並べてなる列(偶数列)を1列設け、奇数列の各孔が、列方向(横方向)において、偶数列の隣接する2つの孔の間に設けられるように配置するようにして、シリコーン熱伝導性シートに孔を7個設けた点を除いて実施例1と同様に実施した。
図5に示すように、3個の孔を直線状に並べて形成した列を3列設けることで、碁盤目状に9個の孔をシリコーン熱伝導性シートに設けた点を除いて実施例1と同様に実施した。
商品名「EX30050」のシリコーンパッド(デクセリアルズ株式会社製、厚み:0.5mm、アスカーC硬度:25、熱伝導率:3.0W/m・K)を使用する以外は実施例2と同様に実施した。
商品名「EX30050」のシリコーンパッド(デクセリアルズ株式会社製、厚み:0.5mm、アスカーC硬度:25、熱伝導率:3.0W/m・K)を使用する以外は実施例4と同様に実施した。
孔を設けなかった点を除いて、実施例1と同様に実施した。
孔を設けなかった点を除いて、実施例5と同様に実施した。
Claims (7)
- 熱伝導性充填材が混合されたシリコーン硬化物から形成されたシリコーン熱伝導性シートであって、厚さ方向に貫通した複数の孔が設けられるシリコーン熱伝導性シート。
- 開口面積率が17〜24%である請求項1に記載のシリコーン熱伝導性シート。
- 前記孔の径が0.1〜10mmである請求項1又は2に記載のシリコーン熱伝導性シート。
- 厚みが0.05〜2mmである請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン熱伝導性シート。
- アスカーC硬度が2〜25である請求項1〜4のいずれかに記載のシリコーン熱伝導性シート。
- アスカーC硬度が5〜15である請求項5に記載のシリコーン熱伝導性シート。
- 熱伝導率が0.3〜7.0W/m・Kである請求項1〜6のいずれかに記載のシリコーン熱伝導性シート。
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