JP2023049417A - 熱伝導性シリコーン組成物の製造方法 - Google Patents

熱伝導性シリコーン組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、作業性に優れ、高い熱伝導性を有する熱伝導性シリコーン組成物を提供することにある。【解決手段】窒化アルミニウム粉末を含む熱伝導性シリコーン組成物の製造方法であって、(A)アルミナ粉末、アルミナ水和物粉末又はその両方とカーボン粉末とを混合し、窒素雰囲気下で1,750~2,050℃の温度で還元窒化を行うことにより得られた窒化アルミニウム粉末を配合して、熱伝導性シリコーン組成物を製造することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性シリコーン組成物の製造方法に関する。
パーソナルコンピューター、デジタルビデオディスク、携帯電話等の電子機器に使用されるCPU、ドライバICやメモリー等のLSIチップは、高性能化・高速化・小型化・高集積化に伴い、それ自身が大量の熱を発生するようになり、その熱によるチップの温度上昇はチップの動作不良、破壊を引き起こす。そのため、動作中のチップの温度上昇を抑制するための多くの熱放散方法及びそれに使用する熱放散部材が提案されている。
従来、電子機器等においては、動作中のチップの温度上昇を抑えるために、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属板を用いたヒートシンクが使用されている。このヒートシンクは、そのチップが発生する熱を伝導し、その熱を外気との温度差によって表面から放出する。
チップから発生する熱をヒートシンクに効率良く伝えるために、ヒートシンクをチップに密着させる必要があるが、各チップの高さの違いや組み付け加工による公差があるため、柔軟性を有するシートや、グリースをチップとヒートシンクとの間に介装させ、このシートまたはグリースを介してチップからヒートシンクへの熱伝導を実現している。
一方、発熱素子とヒートシンクや筐体との間は電気的に絶縁状態を確保しなければならない場合が多く、熱伝導性シートやグリースにも絶縁性が求められる事が多い。つまり、熱伝導性充填材としてアルミニウムや銅、銀などの金属粒子を用いることができず、多くは水酸化アルミニウム、アルミナなどの絶縁性熱伝導性充填材が用いられる。
しかし、水酸化アルミニウムやアルミナは、それ自体の熱伝導率が低いために、これらを熱伝導性充填材として用いた熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率が低くなってしまう。しかし、近年発熱素子の発熱量は増加の一途をたどり、熱伝導性シートに求められる熱伝導率も上がっており、水酸化アルミニウムやアルミナを熱伝導性充填材として用いては対応が出来なくなっている。
そこでさらなる高熱伝導化のために近年、窒化ホウ素や窒化アルミニウムに注目が集まっている。窒化ホウ素は熱伝導率が非常に高いが、粒子が偏平形をしているために、樹脂等に配合したとき、熱伝導性に異方性が生じてしまう。一方、窒化アルミニウムの粒子は偏平形をしていないために組成物とした場合でも熱伝導性に異方性は生じ難い。
窒化アルミニウムを熱伝導性充填材として用いた発明はこれまでにいくつか報告されている(例えば、特許文献1)が、窒化アルミニウムは熱伝導性組成物に広く使用されているシリコーン樹脂への充填性に乏しく、高充填した場合に粘度が上昇し作業性に劣るという問題があった。
特許第6246986号公報
従って、本発明の目的は、作業性に優れ、高い熱伝導性を有する熱伝導性シリコーン組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、
窒化アルミニウム粉末を含む熱伝導性シリコーン組成物の製造方法であって、
(A)アルミナ粉末、アルミナ水和物粉末又はその両方とカーボン粉末とを混合し、窒素雰囲気下で1,750~2,050℃の温度で還元窒化を行うことにより得られた窒化アルミニウム粉末
を配合して、熱伝導性シリコーン組成物を製造する熱伝導性シリコーン組成物の製造方法を提供する。
本発明の製造方法により得られる熱伝導性シリコーン組成物であれば、作業性に優れ、高い熱伝導性を有するものとなる。
また、前記還元窒化を、窒素雰囲気下で1,900~2,050℃の温度で行うことが好ましい。
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、より高い熱伝導性を有するものとなる。
また、前記熱伝導性シリコーン組成物を、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
を含むものとすることが好ましい。
このような熱伝導性シリコーン組成物であれば、作業性に優れ、高い熱伝導性を有するものとなる。
また、前記熱伝導性シリコーン組成物を、更に
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
及び
(D)白金族系付加反応触媒
を含むものとすることが好ましい。
このような成分を用いて熱伝導性シリコーン組成物を硬化させることにより、放熱シートなどの熱伝導性シリコーン硬化物を形成することができる。
本発明の製造方法により得られた熱伝導性シリコーン組成物は、粘度上昇が抑制され作業性に優れ、高い熱伝導性を有するものとなる。また、本発明の製造方法により得られた熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は、電子機器内の発熱部品と放熱部品の間に設置されて放熱に用いられる熱伝導性樹脂成形体(熱伝導性シリコーン硬化物)として好適に用いることができ、特に熱伝導による電子部品の冷却のために、発熱性電子部品の熱境界面とヒートシンク又は回路基板等の放熱部材との界面に介在させる熱伝達材料として有用である。
上述のように、作業性に優れ、高い熱伝導性を有する熱伝導性シリコーン組成物を製造する方法が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、後述する製造方法で得られた熱伝導性シリコーン組成物であれば、粘度が高くならず作業性に優れ、高い熱伝導性を有する熱伝導性シリコーン組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
窒化アルミニウム粉末を含む熱伝導性シリコーン組成物の製造方法であって、
(A)アルミナ粉末、アルミナ水和物粉末又はその両方とカーボン粉末とを混合し、窒素雰囲気下で1,750~2,050℃の温度で還元窒化を行うことにより得られた窒化アルミニウム粉末
を配合して、熱伝導性シリコーン組成物を製造する熱伝導性シリコーン組成物の製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[(A)成分:窒化アルミニウム粉末]
本発明で用いる窒化アルミニウム粉末(A)は、アルミナ粉末、アルミナ水和物粉末またはその両方とカーボン粉末とを混合し、窒素雰囲気下で1,750~2,050℃、より好ましくは1,900~2,050℃の温度で還元窒化を行うことにより得られた窒化アルミニウム粉末である。
また、焼成時間は、好ましくは1~20時間、より好ましくは、2~10時間程度である。
このような高温で還元窒化処理を行い得られた窒化アルミニウム粉末は表面積が小さく、一次粒子が大きくなり、シリコーン組成物に充填した際の流動性を確保でき、粘度が高くならず容易に均一化することができる。その結果、作業性に優れ高い熱伝導性を有する熱伝導性シリコーン組成物を得ることができる。
逆に、上記範囲よりも温度が低い場合には、窒化反応が十分進行せず目的の窒化アルミニウム粉末が得られないため、熱伝導性シリコーン組成物の製造のために配合した場合に、組成物の硬化物に十分な熱伝導性を与えることができない。また、焼成温度が上記の上限を越える場合は、窒化反応は十分進行するが、窒化アルミニウムウイスカーの生成や粒子の凝集が起こり易くなり、目的とする窒化アルミニウム粉末を得ることが困難になるおそれがあり、組成物に配合しても硬化物に十分な熱伝導性を与えることができない。
なお、窒化アルミニウム粉末の原料であるアルミナ水和物の例として、ベーマイト、ダイアスポア、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。
本発明で用いられるカーボン粉末は、嵩密度が0.01~0.08g/mlであることが好ましく、0.03~0.05g/mlであることが更に好ましい。
窒化アルミニウム粉末の粒径は特に限定されないが、シリコーン組成物の粘度の観点から比較的表面積の小さい1μm以上200μm以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは30μm以上150μm以下である。なお、粒径(体積基準の粒度分布におけるメジアン径、D50)の値はレーザー回折散乱法により測定した値である。
窒化アルミニウム粉末は1種単独でも、2種以上(例えば、粒径が異なるもの)を組み合わせて用いてもよい。
熱伝導性シリコーン組成物全体に対する窒化アルミニウム粉末の配合量は、好ましくは60~94体積%の比率であり、より好ましくは70~85体積%である。このような範囲であれば十分な熱伝導性を得ることができる。なお、体積%は、シリコーン(比重:1.00)、窒化アルミニウム(比重:3.26)、の充填量(質量基準)から各成分の比重を用いて、それぞれの充填量(体積基準)を算出し、総体積で除して求めたものである。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法において、下記の成分を使用することが好ましい。
[(B)成分:オルガノポリシロキサン]
(B)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明の熱伝導性シリコーン組成物の主剤となるものであり、ケイ素原子に直接結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個以上有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
オルガノポリシロキサンは、通常は主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるのが一般的であるが、これは分子構造の一部に分枝状の構造を含んだものであってもよく、また環状体であってもよいが、硬化物の機械的強度等、物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。
ケイ素原子に結合するアルケニル基以外の官能基としては、非置換又は置換の1価炭化水素基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、ならびにこれらの基に炭素原子が結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2-ブロモエチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基等が挙げられ、代表的なものは炭素原子数が1~10、特に代表的なものは炭素原子数が1~6のものであり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1~3の非置換又は置換のアルキル基及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。また、ケイ素原子に結合したアルケニル基以外の官能基は全てが同一であることに限定するものではない。
またアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の通常炭素原子数2~8程度のものが挙げられ、中でもビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が、特にビニル基が好ましい。
このオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、10~30,000mm/sが好ましく、50~10,000mm/sがより好ましく、特に好ましくは50~1,000mm/sの範囲である。この範囲の動粘度であるオルガノポリシロキサンを用いれば、得られる組成物の流動性が損なわれず、熱伝導性充填材の充填も容易になる。なお、動粘度はオストワルド粘度計を用いた25℃における値である。
この(B)成分のオルガノポリシロキサンは1種単独でも、2種以上(例えば、粘度が異なるもの)を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分のオルガノポリシロキサンの配合量は、熱伝導性シリコーン組成物の6~40体積%が好ましく、より好ましくは7~30体積%である。
熱伝導性シリコーン組成物には、必要に応じて、更に他の成分を配合することができる。例えば、後述するような硬化方法に応じた上記組成物の硬化を促進させる成分として、付加加硫剤や有機過酸化物加硫剤、縮合触媒等が使用可能である。
[付加加硫剤]
付加加硫剤は、上記組成物を付加反応により硬化させる場合に用いることができ、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
及び
(D)白金族系付加反応触媒
からなる。
[(C)成分:オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
(C)成分は、1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~200個、より好ましくは3~100個のケイ素原子に直接結合した水素原子(SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、該SiH基が(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤として作用するものである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その分子構造に特に制限はなく、従来より使用されている、例えば直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造(樹脂状)等各種のものが使用可能である。また、(C)成分中のSiH基は、分子鎖末端、分子鎖非末端(即ち、分子鎖側鎖)のいずれかまたは両方に存在してもよい。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、(CH32HSiO1/2で表されるシロキサン単位と(CH33SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位とからなる共重合体、これらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物等が挙げられる。
(C)成分の配合量は、(B)成分中のケイ素原子と結合したアルケニル基1個あたりの(C)成分中のケイ素原子と結合した水素原子の数が0.5~5.0個となる量が好ましく、より好ましくは0.7~3.0個となる量である。
なお、(C)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
[(D)成分:白金族系付加反応触媒(白金族金属触媒)]
(D)成分は、(B)成分中のアルケニル基と(C)成分中のSiH基とのヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応触媒である。
白金族金属触媒としては白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。
なお、(D)成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
白金族金属触媒の添加量は、(B)成分のオルガノポリシロキサンに対し白金族金属原子の質量換算で1~2,000ppm、好ましくは2~1,000ppmの範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、付加反応の反応速度が適切なものとなる。
[有機過酸化物加硫剤]
有機過酸化物加硫剤として使用される有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-ビス(2,5-t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。これらは1種単独でもまたは2種以上併用してもよい。過酸化物を添加することで、熱または光などで過酸化物からラジカルが発生し、これが開始剤となり、オルガノポリシロキサン同士が結合し、硬化が進行する。
有機過酸化物を使用する場合の添加量は、組成物を硬化させるのに十分な量であればよいが、(B)成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、特に0.2~5質量部が好ましい。
[縮合触媒]
縮合触媒としては、錫系触媒等の公知の縮合触媒が使用でき、空気中の水分が開始剤となり、シラノール基や加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンの架橋が形成され、硬化が進行する。
[その他の成分]
また、付加加硫剤を使用する場合、ヒドロシリル化反応触媒の反応性を制御する目的で、必要に応じて付加反応制御剤を組成物に添加してもよい。
付加反応制御剤としては、例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3-ブチン-1-オール、エチニルメチリデンカルビノールなどのアセチレン化合物、窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。
熱伝導性シリコーン組成物には、必要に応じて、さらに表面処理剤を含んでもよい。表面処理剤としてはオルガノアルコキシシラン、分子鎖片末端にトリアルコキシ基を有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
[組成物の調製]
上記熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば上述した(A)~(D)成分及びその他の成分の所定量をプラネタリーミキサー、ニーダー等公知の混練機で混練りすることによって得ることができる。また、必要により熱処理(加熱下での混練り)してもよい。
[成形、硬化方法]
上記組成物は必要とされる用途(成形品)に応じて成形を行うことができる。具体的にはコンプレッション成形、インジェクション成形、トランスファー成形、常圧熱気加硫、スチーム加硫等が挙げられる。硬化方法については特に限定されるものではないが、(B)成分のアルケニル基と(C)成分のSi-H基との付加反応を用いる方法や、過酸化物を用いる方法、縮合反応を用いる方法が挙げられる。
[硬化条件]
硬化条件は特に限定されず、硬化方法や成形品により適宜選択すればよく、一般的には80~600℃、特に100~450℃で数秒~数日、特に5秒~1時間程度である。また、必要に応じて2次加硫してもよい。2次加硫は通常180~250℃で1~10時間程度である。
本発明の製造方法により得られる熱伝導性シリコーン組成物を硬化してなる硬化物は、例えば電子機器内の発熱部品と放熱部品の間に設置され放熱に用いられる。このため、以下のような熱伝導率、硬度を有することが好ましい。
[熱伝導率]
熱伝導率は特に限定されないが、3W/m・K以上が好ましく、より好ましくは5W/m・K以上である。3W/m・K以上の熱伝導率であれば、熱放散部材として優れた熱伝導性を有するものとなる。なお、熱伝導率はQTM-500(京都電子製)を用いて測定する。
[硬度]
熱伝導性シリコーン組成物の硬化物の硬度は特に限定されないが、アスカーCで50以下が好ましく、5以上50以下がより好ましく、特に好ましくは5以上40以下である。アスカーCで50以下であれば、実装する際に発熱部品に応力が掛かることはなく、発熱部品や冷却部品の微細な凸凹に追従することができて、接触熱抵抗の悪化を招くことがない。またアスカーCが5以上であると実装の際の取扱いが容易になり、硬化物の変形や破れなどの懸念がない。
本発明の製造方法で得られる熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は、広くは、熱伝導による電子部品の冷却のために、発熱性電子部品の熱境界面とヒートシンク又は回路基板などの発熱散部材との界面に、介在し得る熱伝達材料として使用できる。
以下、合成例、比較合成例、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、体積基準の粒度分布におけるメジアン径(粒径、D50)は、MicrotracBEL社製、マイクロトラックMT3000を用いてレーザー回折散乱法により測定した。
[合成例1]
球状水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属社製SB93、D50:100μm、真球度:0.92、BET比表面積:0.07m/g)120gとカーボン粉末(デンカ社製デンカブラック粉状、嵩密度:0.04g/ml)40gとを混合した。次いで、混合粉末をカーボン製容器に充填し、窒素流通下2,050℃で3時間還元窒化させた後、空気流通下700℃で3時間酸化処理を行って球状窒化アルミニウム粉末を得た。
[合成例2]
窒化条件を2,000℃、10時間とした以外は合成例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
[合成例3]
窒化条件を1,900℃、3時間とした以外は合成例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
[合成例4]
球状水酸化アルミニウム粉末を、不定形α-アルミナ粉末(日本軽金属社製WA-V220F、D50:70μm)に変更した以外は、合成例1と同様に窒化アルミニウム粉末を得た。
[比較合成例1]
窒化条件を1,700℃、3時間とした以外は、合成例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
[比較合成例2]
窒化条件を1,650℃、10時間とした以外は、合成例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を得た。
[実施例1~4、比較例1、2]
上記合成例1~4、比較合成例1、2で得られた(A)窒化アルミニウム粉末2,000質量部、下記(B)オルガノポリシロキサン100質量部、下記(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン12質量部、下記(D)白金族金属触媒1.5質量部、下記(E)表面処理剤150質量部および下記(F)付加反応制御剤0.3質量部を、プラネタリーミキサーを用いて60分間混練することにより熱伝導性シリコーン組成物を得た。なお、シリコーン(比重:1.00)、窒化アルミニウム(比重:3.26)から求めた窒化アルミニウムの充填量は70体積%であった。なお、動粘度はオストワルド粘度計を用いた25℃における値である。
(B)下記式で表されるオルガノポリシロキサン(動粘度:10,000mm/s)
Figure 2023049417000001
(式中、Xはビニル基であり、nは上記動粘度となる値である。)
(C)下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2023049417000002
(式中、o=27であり、p=3であり、括弧内のシロキサンの配列順は不定である。)
(D)5%塩化白金酸2-エチルヘキサノール溶液
(E)下記式で表されるジメチルポリシロキサン(表面処理剤)
Figure 2023049417000003
(F)エチニルメチリデンカルビノール(付加反応制御剤)
得られた熱伝導性シリコーン組成物について、下記評価を行った結果を表1に示す。
[粘度]
得られた組成物の25℃における粘度をレオメーター粘度計を用いて、回転数10Hzで測定した。
[熱伝導率]
得られた組成物を金型に流し込み、プレス成形機を用い120℃、10分間で6mm厚のシート状に硬化させ、そのシートを2枚重ねて、熱伝導率計(QTM-500、京都電子工業株式会社製)を用いて熱伝導率を測定した。
[硬度]
得られた組成物を金型に流し込み、プレス成形機を用い120℃、10分間で6mm厚のシート状に硬化させ、そのシートを2枚重ねてアスカーC硬度計で測定した。
Figure 2023049417000004
表1に示されるように、実施例1~4の製造方法により得られた窒化アルミニウム粉末を用いた熱伝導性シリコーン組成物は、作業性に優れ、熱伝導率5W/m・k以上の硬化物を与えるものであった。一方、低温で還元窒化して得られた窒化アルミニウム粉末を用いた比較例1、2の熱伝導性シリコーン組成物は、組成物の粘度が高く作業性に劣り、得られる硬化物の熱伝導性に劣るものであった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (4)

  1. 窒化アルミニウム粉末を含む熱伝導性シリコーン組成物の製造方法であって、
    (A)アルミナ粉末、アルミナ水和物粉末又はその両方とカーボン粉末とを混合し、窒素雰囲気下で1,750~2,050℃の温度で還元窒化を行うことにより得られた窒化アルミニウム粉末
    を配合して、熱伝導性シリコーン組成物を製造することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
  2. 前記還元窒化を、窒素雰囲気下で1,900~2,050℃の温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
  3. 前記熱伝導性シリコーン組成物を、
    (B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
    を含むものとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
  4. 前記熱伝導性シリコーン組成物を、更に
    (C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    及び
    (D)白金族系付加反応触媒
    を含むものとすることを特徴とする請求項3に記載の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
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