JP2015092505A - 有機led素子用の透光性基板、その製造方法、有機led素子およびその製造方法 - Google Patents

有機led素子用の透光性基板、その製造方法、有機led素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光の取り出し効率を向上することができ、取り出し効率の高い光デバイスを提供することが可能な、透光性基板を提供する。
【解決手段】本発明は、取り出し効率を最大で発光光の80%まで向上した有機LED素子を提供することを企図し、透光性のガラス基板と、前記ガラス基板上に形成され、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備したガラスからなる散乱層と、前記散乱層上に形成され、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極とを具備し、前記散乱層内における前記散乱物質の分布は前記透光性電極に向かって小さくなっている透光性基板を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、透光性基板、その製造方法、有機LED素子およびその製造方法に係り、特に、有機LED(Organic Light Emitting Diode)などの光取り出し構造に関する。
有機LED素子は、有機層を電極間に挟み、電極間に電圧を印加して、ホール、電子を注入し、有機層内で再結合させて、発光分子が励起状態から基底状態に至る過程で発生する光を取り出すもので、ディスプレイやバックライト、照明用途に用いられている。
有機層の屈折率は430nmで1.8〜2.1程度である。一方、例えば透光性電極層としてITO(酸化インジウム錫:Indium Tin Oxide)を用いる場合の屈折率は、ITO成膜条件や組成(Sn-In比率)で異なるが、1.9〜2.1程度が一般的である。このように有機層と透光性電極層の屈折率は近く、発光光は有機層と透光性電極層間で全反射することなく、透光性電極層と透光性基板の界面に到達する。透光性基板には通常ガラスや樹脂基板が用いられるが、これらの屈折率は1.5〜1.6程度であり、有機層或いは透光性電極層よりも低屈折率である。スネルの法則から考えると、ガラス基板に浅い角度で進入しようとした光は全反射で有機層方向に反射され、反射性電極で再度反射され再び、ガラス基板の界面に到達する。この時、ガラス基板への入射角度は変わらないため、反射を有機層、透光性電極層内で繰り返し、ガラス基板から外に取り出すことができない。概算では、発光光の60%程度がこのモード(有機層・透光性電極層伝播モード)で取り出せないことが分かる。同様なことが基板、大気界面でも起き、これにより発光光の20%程度がガラス内部を伝播して、光が取り出せない(基板伝播モード)。従って、有機LED素子の外部に取り出せる光の量は、発光光の20%足らずになっているのが現状である。
特許文献1では、半透光性物質層である光散乱層を基板の片面に設ける構造を提案している(段落0039〜0040)。この例では、ガラス粒子をアクリル系接着剤で基板面に固着させて、基板面に凝集配置することで基板と有機EL素子との間に光散乱部を設けた構造を提案している。
また、特許文献2では、取り出し効率を改善することを企図し、「透光性の基板上に、樹脂系接着剤、スプレー、蒸着、スパッタ、ディップ、スピンコート等により、SiO粒子、樹脂粒子、金属粉、金属酸化物粒子が分散した透光性材料で構成された付加層からなる散乱層を設けた有機EL素子」(例えば段落0057)を開示している。
特許文献3では、樹脂中に平均粒子径が1桁以上異なる少なくとも2種の微粒子を分散させた拡散層を透光性電極に隣接して設け、導波光を効率良く取り出すようにした発光デバイスを開示している。
また特許文献4では、発光デバイスを用いて形成されたディスプレイ内部の全反射を防止して高輝度化を図るようにした技術が提案されている。特許文献4中には、「高拡散体を、基板、透光性電極、光学フィルム、または他の成分などの発光デバイスの層上にコートされていてもよい」(特許文献4段落0027)点が記載されており、さらには「例えば、粒子をガラスフリット中に配置し、適切にコートし、平らにし、焼成して、ガラス基板、または、高拡散TIRフラストレータの働きをするガラス基板上の層を形成してもよい」(特許文献4段落0027)と記載されている。
また特許文献5にも、特許文献4と同様の記載がある(特許文献5段落0026)。
特許文献6では、基板の上に、光透過性の樹脂層と、樹脂層内に分散した複数の粒子とを含む光散乱層を提案している(段落0013)。ここで、樹脂層の材料として、アクリル樹脂を用いることを提案している。
特許文献7では、基板上に、溶媒を加えた紫外線硬化樹脂により構成された光散乱層を提案している(段落0029)。
特許文献8では、ガラス基板や樹脂基板などの透光性基板内にレーザによりマーキングを施すことで光散乱部を形成したものが提案されており、光入射面若しくは光出射面に近い側に光散乱部を多く設けるなどを提案もなされている(段落0030)。
特許第2931211号公報 特開2005−63704号公報 特開2005−190931号公報 特表2004−513483号公報 特表2004−513484号公報 特開2007−141728号公報 特開2006−222028号公報 特開2005−038681号公報
しかしながら、特許文献1では、半透光性物質層はパラフィン等を樹脂バインダにより基板上に固着している(段落0040)。つまり、特許文献1の光散乱部は、樹脂であり、水分を吸収し易い。よって、特許文献1の有機EL装置は、長期の使用に耐えられないという問題点がある。同様に、特許文献6および7においても、光散乱層は樹脂により構成されているので、同じ問題点がある。
また、特許文献2では、透光性の基板の屈折率と散乱層の屈折率を近づけることを開示しているが、散乱層の屈折率と透光性電極層の屈折率との関係については、何ら言及されてはいない。また、特許文献2では、明細書本文において、散乱層の表面に凸凹があってもよいとしている。
また、特許文献4および5では、高温劣化が少なく安定なガラス層を用いる点も示唆されてはいるが、散乱層表面の凹凸については何ら言及されていない。
ここで、表面に凹凸があると、この上層に形成される第1の電極表面に凹凸が形成され易く、この上層に蒸着法などによって発光機能を有する層などを形成すると、これらの有機層の凸凹に対する被覆性が悪くなり、有機層の膜厚にばらつきが生じたり、また、その結果、上記第1の電極と有機層上に形成される第2の電極表面との間の電極間距離にばらつきが生じることになる。その結果、電極間距離の小さい領域においては、有機層に局所的に大電流が流れることになり、電極間短絡を生じ不灯の原因となることがわかった。また高解像度ディスプレイのように、微細画素で構成する表示装置を形成する場合には、微細な画素パターンを形成する必要があり、表面の凹凸は、画素の位置やサイズにばらつきが生じる原因となるだけでなく、この凸凹で有機素子が短絡してしまうという問題があった。
前述したように、上記特許文献1乃至8のいずれにおいても、散乱層の表面の平坦度(算術平均粗さ)については言及されていなかった。また、いずれの特許文献も、ガラスで散乱層を作製した実施例については示されていない。
また、有機EL素子は薄膜を積層して形成するので、干渉により色の角度依存性が高く、見る方向によって色が正確に再現されないという問題もあった。
このような観点からも、薄くかつ平坦性が高く、さらには屈折率の高い散乱層を持つ透光性基板への要求が増大している。
なお、特許文献8では、光散乱部を光入射面若しくは光出射面に近い側に多く設けたりすることを開示しているが、その具体的な位置については明確に言及されていない。また、特許文献8の段落0036にも記載されているように、レーザーパルスをガラスなどの透明材料の内部に集光し、その強い光電場による非線形効果により損傷、屈折率の変化、密度の変化などを生ぜしめるものであり、ガラス材料の形成後に局所的なストレスを与えることで、光散乱部を構成するものである。また、光散乱部の分布密度の増大には限界があり、また面内で均一に散乱を生じるように光散乱部を形成するという思想もない。
つまり、特許文献8の開示は、当業者が実施しうるのに十分な開示ではなく、単なる願望を記載した程度に留まり、実際には、レーザ加工により光散乱部を形成する場合には、屈折率がなだらかに変化するため、界面での屈折率差が小さい。このため、所望の屈折率を有する散乱層を形成するためには、高密度でレーザ加工を行なわなければならず、レーザ加工時の破損の問題など、所望の分布を得るのが困難であるだけでなく、十分な製造歩留まりを得ることができず、現在のレーザ加工技術では所望の取り出し効率を得るには程遠い状態であった。また、損傷を形成する場合、ガラス自体の強度が低下し、本来デバイスを形成する際、あるいはデバイスの使用時に、安定して強度を維持することの可能な透光性基板を得るのは困難であった。またガラス基板表面近傍に損傷部や屈折率変化部を形成しようとすると、その形成時にかかる応力の影響がガラス表面まで達して、レーザ加工中に基板が割れる或いは強度が著しく劣化してしまう。このためこの方法では、基板の内部に損傷部や屈折率変化部を配置せざるを得ず、その結果厚さの厚いガラス基板にしか適用できないという問題があった。
さらにまた、厚さ3mm程度以下のガラス基板を用いる場合には、散乱能力を確保する為に、ガラス表面近傍にまで、損傷、屈折率の変化部などを配置しなければならないが、表面近傍にレーザ光を集光する場合には、ガラスが破損する可能性が高く、通常照明やディスプレイ用途のガラス板には不適な方法である。
また本発明のある態様では、表面の平滑性を維持しつつ、散乱特性に優れ、所望の屈折率を有する散乱層を有する高強度の透光性基板を提供することを目的とする。
また本発明のある態様では、光の取り出し効率を向上し、高効率で長寿命の有機LED素子を提供することを目的とする。
また、本発明のある態様では、色の角度依存性を抑制可能な有機LED素子を提供することを目的とする。
また、本発明のある態様では、透光性基板上に形成される透光性電極に対向する電極として反射性電極を用いる場合に、非発光時に反射性電極による映りこみが生じ、美観を損ねることのない透光性基板および有機EL素子を提供することを目的とする。
そこで本発明の透光性基板は、透光性のガラス基板と、前記ガラス基板上に形成され、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備したガラスからなる散乱層と、前記散乱層上に形成され、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極とを具備し、前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする。
また、本発明の透光性基板の製造方法は、透光性のガラス基板を準備する工程と、前記ガラス基板上に、透過する光の少なくとも1波長領域に対し第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備した散乱層を形成する工程と、前記散乱層上に、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極を形成する工程とを備え、前記散乱層を形成する工程は、前記ガラス基板上にガラス粉末を含む塗布材料を塗布する工程と、前記塗布されたガラス粉末を焼成する工程とを含み、前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする。
また、本発明の有機LED素子は、透光性のガラス基板と、前記ガラス基板上に形成され、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備したガラスからなる散乱層と、前記散乱層上に形成され、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極と、前記透光性電極上に形成される有機層と、前記有機層上に形成される反射電極とを具備し、前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする。
また、本発明の有機LED素子の製造方法は、透光性のガラス基板を準備する工程と、前記ガラス基板上に、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備した散乱層を形成する工程と、前記散乱層上に、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極を形成する工程と、前記透光性電極上に有機層を形成する工程と、前記有機層上に反射電極を形成する工程とを備え、前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする。
本発明によれば、光の取り出し効率を向上することができ、取り出し効率の高い光デバイスを提供することが可能な、透光性基板を提供することが可能となる。
また、散乱性を高めることができるため、色の角度依存性を低減することができる。
さらにまた、散乱層をガラスで構成することにより、安定性と高強度性を実現することができ、本来のガラスからなる透光性基板に比べて厚みを増大することなく、散乱性に優れた透光性基板を提供することが可能となる。
本発明によれば、取り出し効率を最大で発光光の80%まで向上した有機LED素子を提供することができる。
なお、本発明によれば、ベース材の第1の屈折率が透光性電極の第3の屈折率よりも小さくてもよいため、使用できる材料の選択における自由度は高くなる。また、高屈折率のガラスは、失透が生じ易く、また高コストとなり易いが、少しでも低屈折率のガラスを用いることで、若干は光取り出し効率が低下しても、生産性の向上を図ることが可能となる。しかしながら、この場合も、ベース材の屈折率はできるだけ高いことが望ましいため、ベース材はできるだけ高屈折率のガラスとすることが好ましい。
本発明の実施の形態1の透光性基板および有機LED素子の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態1の透光性基板の散乱層を構成するガラス粒子の塗布時の状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の透光性基板の散乱層を構成するガラス粒子の焼成時の状態を示す模式図である。 本発明の比較例としてガラスの軟化温度よりも低い温度で焼成したときの散乱層の状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の散乱層(ガラスの軟化温度よりも十分に高い温度で焼成したとき)の状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の散乱層表面のうねりの状態を示す模式図である。 散乱層表面のミクロな凹部を示す模式図である。 散乱層表面のミクロな凹部を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の散乱層表面の状態を示す模式図である。 比較例(焼成温度が高すぎたとき)の散乱層表面の状態を示す模式図である。 光取り出し効率(%)と散乱物質の含有率(vol%)との関係を示すグラフである。 光取り出し効率(%)と散乱物質の屈折率との関係を示すグラフである。 光取り出し効率(%)と散乱物質の含有率(vol%)との関係を示すグラフである。 光取り出し効率(%)と散乱物質の個数(個/mm)との関係を示すグラフである。 光取り出し効率(%)と散乱層のベース材の透過率(@1mmt%)との関係を示すグラフである。 光取り出し効率(%)と陰極の反射率(%)との関係を示すグラフである。 散乱層に出射する光の割合と散乱層のベース材の屈折率との関係を示すグラフである。 波長と散乱層とベース材の屈折率との関係を示すグラフである。 波長と受光面照度との関係のシミュレーション結果である。 本発明の有機LED素子用基板の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の有機LED素子の製造方法を示すフローチャートである。 有機EL表示装置の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の有機LED素子用積層体および有機LED素子の他の構造を示す断面図である。 例1と例2の条件において、正面から観測した結果である。 シミュレーションのためのモデルを示す図である。 シミュレーション結果を示す図である。 本発明の有機LED素子の散乱層における深さと気泡の数との関係を示す図である。 本発明の有機LED素子の散乱層における透光性基板の散乱層の写真である。
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、本発明の電極付き透光性基板(有機LED素子用積層体)および有機LED素子用積層体を備えた有機LED素子について説明する。図1は、有機LED素子用積層体および有機LED素子用積層体を備えた有機LED素子の構造を示す断面図である。
本発明の有機LED素子は、図1に示されるように、電極付き透光性基板(有機LED素子用積層体)100と、有機層110と、反射性電極120とにより構成される。電極付き透光性基板100は、透光性のガラス基板からなる基板101と、散乱層102と、透光性電極103とにより構成される。
本発明で用いられる電極付き透光性基板100は、透光性のガラス基板101と、前記ガラス基板上に形成されたガラスからなる散乱層102と透光性電極103を具備し、前記散乱層が、透過する光の1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質104とを具備し、前記散乱物質の前記散乱層内分布が、面内均一性を有するとともに、散乱層の透光性電極面側の表面近傍では、前記散乱層内部から前記透光性電極にむかって、小さくなっている。そしてこの透光性電極103は、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する。
ここで散乱層の透光性電極面側の表面近傍とは、散乱層の半分の厚さよりも表面側をいうものとする。
また、面内均一性としたが、パターン形成によって散乱物質を分布させるのではなく、面全体に分布させていることを意味するものとする。
また、ガラスからなる前記散乱層102の半分の厚さ(δ/2)における散乱物質の密度ρと、前記透光性電極と対向する側の前記散乱層の表面(すなわち基板側の表面)から距離x(δ/2<x≦δ)における散乱物質の密度ρとは、ρ≧ρを満たす。
さらに、別の観点からみると、ガラスからなる前記散乱層の透光性電極側表面からの距離x(x≦0.2μm)における散乱物質の密度ρが、距離x=2μmにおける前記散乱物質の密度ρに対し、ρ>ρを満たす。この点については後述するが図26からも明らかである。また、図27では焼成温度570℃および580℃の場合について示したが、焼成温度を若干変化させても同様の結果を得ることができた。
さらにまた、別の観点からみると、ガラスからなる前記散乱層の透光性電極側表面からの距離x(x≦0.2μm)における散乱物質の密度ρが、距離x=5μmにおける前記散乱物質の密度ρに対し、ρ>ρを満たす。この点についても後述するが図27からも明らかである。
この構成によれば、気泡や析出結晶あるいはベース材と異なる組成の材料からなる散乱物質がガラス層からなる散乱層表層および直下に存在する確率が、散乱層内部より低く構成されており、平滑な表面を得ることができる。このため、例えば有機EL素子を形成する場合、透光性基板の表面すなわち散乱層表面が平滑であるため、この上層に形成される透光性電極(第1電極)表面が平滑であり、この上層に塗布法などによって発光機能を有する層などを形成する場合にも、発光機能を有する層を均一に形成することができ、透光性電極と、発光機能を有する層上に形成される反射性電極(第2電極)表面との間の電極間距離も均一となる。その結果、発光機能を有する層に局所的に大電圧が印加されることもないため、長寿命化をはかることができる。また高解像度ディスプレイのように、微細画素で構成する表示装置を形成する場合には、微細な画素パターンを形成する必要があり、表面の凹凸は、画素の位置やサイズにばらつきが生じる原因となるだけでなく、この凸凹で有機EL素子が短絡してしまうという問題があったが、微細パターンを精度よく形成することができる。
なお、散乱層はガラス基板上に直接形成されているが、例えばガラス基板上にスパッタ法によってシリカ薄膜を形成した後、散乱層を形成するなど、バリア層を介して形成してもよい。しかし、ガラス基板上に接着剤や有機層を介する事無くガラスからなる散乱層を形成することで、極めて安定でかつ平坦な表面を得ることができる上、無機物質のみで構成することで、熱的に安定で長寿命の光デバイスを形成することが可能となる。
このような透光性基板の持つ特性について詳細に説明する。
ガラス粉末を焼成する場合、ガラス粉末を好適な方法で、塗布した状態の概念図を図2に示す。ここでは本発明の透光性基板を構成する散乱層であるガラス層の最上部の断面を示している。このように、散乱物質が全面にわたり均一に分布した分布状態は、例えば、溶剤或いは樹脂と溶剤を混合したものにガラス粒子Gを分散させ所望の厚さに塗布することで得られる。例えば、ガラス粒子Gの大きさは最大長さで0.1から10μm程度のものを用いる。樹脂と溶剤を混合した場合には、ガラス粒子Gが分散した樹脂膜を加熱し、樹脂を分解することで、図2の状態が得られる。図2は簡略化して記載しているが、ガラス粒の間には、隙間が空いている。
仮にガラス粒子Gのガラス粒の大きさに分布があれば、大きなガラス粒子Gの間の隙間に小さいガラス粒子が入り込む構造になると考えられる。さらに温度を上げると、ガラスの軟化温度より10℃から20℃低い温度で、ガラスの粒子同士が融着し始める。この時の様子を図3に示す。ガラス粒同士が融着すると、図2のガラス粒子の間に形成された隙間はガラスが軟化することで変形し、ガラス中に閉空間を形成する。ガラス粒子の最上層では、ガラス粒子同士が融着することで、散乱層102(ガラス層)の最表面を形成する。最表面200では、閉空間にならない隙間は、凹みとして存在している。
更に温度を上げるとガラスの軟化、流動化が進み、ガラス内部の隙間は球形の気泡を形成する、ガラス最表面200では、ガラス粒子Gの隙間に起因する凹みは平滑化されていく。この様子を図4に示す。ガラス粒子Gの隙間による気泡だけでなく、ガラスが軟化する際にガスが発生し、気泡を形成する場合もある。例えば、ガラス層表面に有機物が付着している場合には、それが分解してCOを生じ気泡を生じる場合もある。またこのように熱で分解する物質を導入し積極的に気泡を発生させてもよい。このような状態は通常軟化温度付近で得られる。ガラスの粘度は、軟化温度で107.6ポアズと高く、気泡の大きさが数ミクロン以下であれば、浮上することができない。従って小さな気泡を発生するように材料組成を調整するとともに、さらに温度を上げるか、保持時間を長くするかで、気泡の浮上を抑えつつ、表面をさらに平滑にすることが可能である。このようにして、表面を平滑にした状態から冷却すると図5に示すような散乱物質の密度が、面内均一性を有し、ガラス層内部よりも表面で小さく、表面が平滑なガラス散乱層が得られる。
このように、ガラス層を形成するための材料組成および焼成温度を調整することにより、ガラス層中には気泡を残しつつ、かつガラス層最表面には、気泡や、凹みの発生を抑制することが可能である。つまり、散乱物質の上昇を防ぎ、ガラス層に残留させて表面まで上昇しないように、焼成温度プロファイルを調整すると共に焼成時間を調整することで、散乱特性に優れ、表面平滑性の高い、電極付き透光性基板を提供することが可能となる。
またこの時に、処理温度、ガラス層用ガラス材料、ガラス粒の大きさ、基板材料によっては、ガラス層最表面がうねることがある。その概念図を図6に示す。ここでうねりとは、周期λが、10μm以上のものである。うねりの大きさは、うねりの粗さRaで0.01μmから5μm程度である。またこのようなうねりが存在している場合でもミクロな平滑性すなわち微視的な表面粗さRaは30nm以下に保たれている。
ここで、うねりの粗さRaおよび平均波長Rλaとは、短波長カットオフ値を25.0μm、長波長カットオフ値を2.5mmとして、JISB0601(2001年)規格(ISO97の翻訳規格)に基づいて算出した値を指す。
また、表面粗さRaとは、微視(ミクロ)的にみた表面粗さをいい、長波長カットオフ値を10μmとしてJISB0601(1994年)に準じて算出した値を指す。
処理温度が低い場合では、最表面のミクロな凹部が残る場合があるが、焼成時間を長くとることで、凹部の形状は、図7に示すようなオーバーハング状ではなく、図8に示すように緩やとなる。ここでオーバーハングとは、図7のように散乱層表面と凹みの開口部近傍での接線のなす角度θが鋭角になっていることであり、緩やかとは図8中のθが鈍角或いは直角であることを言う。このように緩やかである場合には、この凹部により有機LED素子が電極間短絡を起こす可能性は低いと言える。焼成温度はガラス転移温度から、40℃から60℃程度高いことが望ましい。あまり温度が低すぎると、焼結不足となり表面が平滑にならないので、焼成温度はガラス転移温度から、50℃から60℃程度高いことが更に望ましい。
また、結晶化しやすいガラスを用いることで、ガラス層内部に結晶を析出させることが可能である。この時結晶の大きさが0.1μm以上であれば、光散乱物質として機能する。この時の様子を図9に示す。焼成温度を適切に選ぶことで、このようにガラス層最表面での結晶析出を抑制しつつかつ、ガラス層内部に結晶を析出させることが可能となる。具体的には、ガラス転移温度から60℃から100℃程度温度が高くするのが望ましい。この程度の温度上昇であれば、ガラスの粘性が高く、気泡が浮上することはない。
温度が高すぎる場合には、ガラス層最表面でも結晶が析出してしまい、最表面の平滑性が失われ易い為、好ましくない。概念図を図10に示す。従って、焼成温度はガラス転移温度から60℃から80℃程度高くすることがより望ましく、さらには60℃から70℃高くすることが最も望ましい。このような手法によりガラス層中に、気泡や析出結晶を散乱物質として存在させ、ガラス最表面ではそれらの発生を抑制することが可能である。これらが可能であるのは、ガラスがある温度範囲で自らが平坦化し、かつ気泡は浮上しない高粘性を実現できる、或いは結晶を析出できるためである。樹脂では上述のような高粘性でプロセスを制御するのは困難であり、また結晶を析出させることもできない。
このように、材料組成や焼成条件を調整することで、前記散乱層最表面の散乱物質の密度が、前記散乱層内部の散乱物質の密度より小さい透光性基板を得ることができる。
また、ガラスからなる前記散乱層の半分の厚さにおける散乱物質の密度ρと、散乱層最表面からの距離xがδ/2 ≦x≦δを満足する、xにおける散乱物質の密度ρが、ρ≧ρを満たすδが存在するような透光性基板を用いることで、十分な散乱特性を有しかつ平滑な表面を持つ透光性基板を得ることが可能となる。
また、散乱層は、表面が湾曲面を構成するうねりを形成することで、上層に形成する有機EL素子が反射性電極である場合には、映り込みによる美観の低下を抑制することができる。反射性電極を用いる場合には、非発光時に反射性電極による映りこみが生じてしまい、美観を損ねることが課題であったが、本発明によれば、散乱層を形成する際に、条件を好適化することで、上層に形成するパターンの精度を低下させたり、電極間距離にばらつきを生ぜしめたりすることがなく、かつ、電極と発光機能を有する層との接触面積を増大することができるため、実効的な素子面積を増大することができ、長寿命で高輝度の有機EL素子を形成することができる。
さらにまた、図6にうねりを模式的に示すように、この散乱層表面のうねりの粗さRaの、うねりの波長Rλaに対する比Ra/Rλaが1.0x10−3以上3.0x10−2以下であるのが望ましい。
また、前記散乱層表面の表面粗さRaは30nm以下であるのが望ましい。さらに望ましくは、前記散乱層の表面粗さが10nm以下であるのが望ましい。
例えば、このような透光性基板上に有機EL素子を形成する場合、例えば透光性電極は薄く形成する必要があるが、この透光性電極が下地の影響を受ける事無く形成できるのは表面粗さが30nm以下、望ましくは10nm以下である。表面粗さが30nmを越えると、その上に形成される有機層の被覆性が悪くなる場合があり、ガラス散乱層上に形成される透光性電極ともう一方の電極との間で短絡が発生する場合がある。電極間短絡により、素子は不灯となるが、過電流を印加することにより、修復することが可能な場合がある。修復を可能とするうえで、ガラス散乱層の表面粗さは望ましくは10nm以下であり、さらに望ましくは、3nm以下である。
なお、ある材料系では焼成温度を570℃以上としたときに表面粗さRaは10nm以下とすることができることがわかっている。材料系によって最適な焼成条件は異なるが、散乱物質の種類や大きさをコントロールすることで散乱物質が最表面に存在するのを抑制し、表面平滑性に優れた散乱層を得ることができる。
また、散乱物質の大きさは、散乱層中に気泡がある場合、気泡が大きくなると、焼成などの散乱層形成プロセスで浮力が大きくなり、浮上し易くなり、最表面に到達すると気泡が破裂し、表面平滑性を著しく低下させることになる可能性がある。また相対的にその部分の散乱物質の数が少なくなるためその部分のみ散乱性が低下することにもなる。このように大きな気泡が凝集すれば、むらとなって視認されることにもなる。さらにまた直径が5μm以上の気泡の割合が15vol%以下であるのが望ましく、さらに望ましくは、10vol%以下であり、さらに望ましくは7vol%以下である。また、散乱物質が気泡以外の場合でも、相対的にその部分の散乱物質の数が少なくなるため、その部分のみ散乱性が低下することになる。従って散乱物質の最大長さが5μm以上のものの割合が15vol%以下であるのが望ましく、望ましくは10vol%以下であり、さらに望ましくは7vol%以下である。
さらにまた反射性電極を用いる場合には、非発光時に反射性電極による映りこみが生じてしまい、美観を損ねることが課題であったが、散乱層を形成する際に条件を最適化することで、散乱層表面にうねり形状を形成することができる。形成された散乱層表面のうねり測定を行った。測定には、東京精密製、SURFCOM1400Dを用いた。ここでカットオフ波長は2.5mmとした。次いでこの散乱層付ガラス基板にアルミニウムを80nm真空蒸着して、アルミニウム層の成膜面の拡散反射率を測定し、散乱光の割合を散乱光の割合bを算出した。測定には、PERKIN ELMER社製のLANBDA 950を用いた。
その結果を表1に示す。
Figure 2015092505
ここでAは、Pが23.1mol%、Bが、12.0mol%、LiOが、11.6mol%、Biが16.6mol%、TiOが8.7mol%、Nbが17.6mol%、WOが10.4mol%であるものを各温度で焼成したもの、BはBiを5.5mol%に減じ、NaOとKOをそれぞれ4mol%、2.5mol%追加したものを530℃で焼成したもの、Cは散乱層を表12に組成を示すもので構成し、焼成したものである。Aのガラス転移温度Tgは499℃、Bは481℃である。
このように焼成条件を調整することにより、表面にうねりを持たせることができ、それにより鏡面反射性を軽減することが可能となる。従って、散乱層の散乱性が少ない場合においても、反射電極が鏡面性を有することによる映りこみを低減することができる。ここでうねりの粗さRaと前記表面のうねりの波長Rλaとの比(Ra/Rλa)が1.0x10−3以上3.0x10−2以下とするのが望ましいことを述べたが、このことは表1からも確認することができる。表1においてCはこの比(Ra/Rλa)が1.0x10−3に満たないほどRaが小さいため、十分な拡散反射比を得ることが出来ない。また、この比(Ra/Rλa)が1.0x10−3に満たないほどRλaが大きいときあるいは、うねりの粗さRaが小さい時は十分は拡散反射比を得ることができない。また、この比(Ra/Rλa)が3.0x10−2を越えるほどうねりの粗さが大きいときは、デバイスの形成が困難となる。
また、前記散乱層中における前記散乱物質の含有率は少なくとも1vol%であるのがのぞましい。
これは実験結果から1vol%以上散乱物質が含有されているとき、十分な光散乱性を得ることができることがわかる。更に望ましくは5vol%以上散乱物質が含有されているとき、より良好な光散乱性を得ることができる。
また、散乱物質としては、気泡である場合と、ベース層とは異なる組成をもつ材料粒子である場合と、ベース層の析出結晶である場合とがあり、これら単体でもよいし、混合でもよい。
散乱物質が気泡である場合には、焼成温度などの焼成条件を調整することで、気泡の大きさや気泡分布や密度を調整可能である。
散乱物質がベース層とは異なる組成をもつ材料粒子である場合には、材料組成物の調整、焼成温度などの焼成条件を調整することで、散乱物質の大きさや分布や密度を調整可能である。
前記散乱物質が前記ベース層を構成するガラスの析出結晶である場合には、焼成温度などの焼成条件を調整することで、気泡の大きさや気泡分布や密度を調整可能である。
いずれの場合にも本発明の散乱層は塗布および焼成によって散乱物質を含むガラス層を得ているため、基本的には散乱物資の面内分布はほぼ均一となっている。
また、波長λ(430nm<λ<650nm)のうち少なくとも一つの波長におけるベース層の第1の屈折率は1.8以上であるのが望ましいが、高屈折率材料層を形成するのは困難である。そこで、本発明では、ベース層の第1の屈折率は透光性電極の屈折率である第3の屈折率よりも小さい物を用いた場合にも、ガラス材料中の散乱物質を調整することで、屈折率の調整を行い、取り出し効率を高めることが容易となる。
なおここで、面内均一性について説明したが、面内で散乱物質の分布が均一であるのが望ましいが、必ずしも均一でなくてもよい。
さらにまた散乱物質の深さ方向の分布についても、前記実施の形態に限定されることなく、適宜変更可能である。
以下各部材について詳細に説明する。
<基板>
透光性基板の形成に用いられる透光性の基板101としては、主としてガラス基板など、可視光に対する透過率が高い材料が用いられる。透過率の高い材料は、具体的には、ガラス基板のほかにはプラスチック基板が用いられる。ガラス基板の材料としては、アルカリガラス、無アルカリガラスまたは石英ガラスなどの無機ガラスがある。また、プラスチック基板の材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールならびにポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーがある。なお、基板を水分が透過するのを防止するために、プラスチック基板にバリア性をもたせる構成としても良い。透光性の基板101の厚さは、ガラスの場合0.1mm〜2.0mmが好ましい。但し、あまり薄いと強度が低下するので、0.5mm〜1.0mmであることが特に好ましい。
なお、散乱層をガラスフリットで作製するには、歪の問題等が生じるので、熱膨張係数は50×10−7/℃以上、好ましくは70×10−7/℃以上、より好ましくは80×10−7/℃以上が好ましい。
また、さらには散乱層の100℃から400℃における平均熱膨張係数が、70x10−7(℃−1)から95x10−7(℃−1)であり、且つガラス転移温度が、450℃から550℃であるのが望ましい。
<散乱層>
以下、散乱層の構成、作製方法、特性および屈折率の測定方法について、詳細に説明する。なお、詳細は後述するが、本発明の主眼である光取り出し効率の向上を実現するためには、散乱層の屈折率は、透光性電極材料の屈折率よりも同等若しくは高くなくてはならない。本発明では、散乱層を構成するベース層のもつ第1の屈折率が小さいながらも、散乱物質を調整することで透光性電極材料の屈折率である第3の屈折率と同等若しくは高い散乱層を実現するものである。
(計算方法)
本発明者らは、後述する散乱層の特性を得るために、光学シミュレーションを行い、それぞれのパラメータについて、その取り出し効率に与える影響を調べた。用いた計算ソフトはOPTIS社製、ソフトSPEOSである。本ソフトは光線追跡ソフトであると同時に、散乱層はMie散乱の理論式を適用することが可能である。実際に電荷注入・輸送層、発光層などの発光機能を有する層として用いられる有機層の厚さは、実際は合計0.1μmから0.3μm程度であるが、光線追跡では光線の角度は厚さを変えても変わらないことから、ソフトで許される最小厚さ1μmとした。ガラス基板および散乱層の合計厚さも同様の理由から100μmとした。また簡単の為、有機層および透光性電極を電子注入層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。計算ではこれらの屈折率を同じとしているが、有機層と透光性電極の屈折率は同程度の値であり、計算結果を大きく変えるものではない。また有機層が薄いことから、厳密に考えると干渉による導波路モードが立つが、幾何光学的に扱っても、大きく結果を変えることはないので、今回の発明の効果を計算で見積もるには十分である。有機層では、合計6面から指向性を持たずに発光光が出射するものとする。全光束量を1000lmとし、光線本数を10万本或いは100万本として計算した。透光性基板から出射した光は、透光性基板の上部10μmに設置した受光面で捕らえ、その照度から取り出し効率を算出した。
(構成)
本実施の形態では、散乱層102は、前述したように、塗布などの方法でガラス基板上にガラス粉末を形成し、所望の温度で焼成することで形成され、第1の屈折率を有するベース材102と、前記ベース材102中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質104とを具備し、前記散乱層内部から最表面にむかって、前記散乱層中の前記散乱物質の層内分布が、小さくなっており、ガラス層を用いることで前述したように、優れた散乱特性を有しつつも表面の平滑性を維持することができ、発光デバイスなどの光出射面側に用いることで極めて高効率の光取り出しを実現することができる。
また、散乱層としては、コーティングされた主表面を有する光透過率の高い材料(ベース材)が用いられる。ベース材としては、ガラス、結晶化ガラス、透光性樹脂、透光性セラミックスが用いられる。ガラスの材料としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどの無機ガラスがある。なお、ベース材の内部には、複数の散乱性物質104(例えば、気泡、析出結晶、ベース材とは異なる材料粒子、分相ガラスがある。)が形成されている。ここで、粒子とは固体の小さな物質をいい、例えば、フィラーやセラミックスがある。また、気泡とは、空気若しくはガスの物体をいう。また、分相ガラスとは、2種類以上のガラス相により構成されるガラスをいう。なお、散乱物質が気泡の場合、散乱物質の径とは空隙の長さをいう。
また、本来、本発明の主たる目的である光取り出し効率の向上を実現するためには、ベース材の屈折率は、透光性電極材料の屈折率と同等若しくは高くなくてはならない。屈折率が低い場合、ベース材と透光性電極材料との界面において、全反射による損失が生じてしまうためである。そこで本発明では、ベース材の屈折率は、小さくても、散乱物質の分布によって、取り出し効率を補償し、散乱層全体としての屈折率が透光性電極の屈折率と同等若しくは高くし、取り出し効率を向上している。ここで散乱層の屈折率は少なくとも発光層の発光スペクトル範囲における一部分(例えば、赤、青、緑など)において上回っていれば良いが、発光スペクトル範囲全域(430nm〜650nm)に亘って上回っていることが好ましく、可視光の波長範囲全域(360nm〜830nm)に亘って上回っていることがより好ましい。
また、有機LED素子の電極間の短絡を防ぐ為に散乱層主表面は平滑である必要がある。その為には散乱層の主表面から散乱物質が突出していることは好ましくない。散乱物質が散乱層の主表面から突出しないためにも、散乱物質が散乱層の主表面から0.2μm以内に存在していないことが好ましい。散乱層の主表面のJIS B0601−1994に規定される算術平均粗さ(表面粗さ:Ra)は30nm以下が好ましく、10nm以下であることがより好ましく(表1参照)、1nm以下が特に望ましい。散乱物質とベース材の屈折率はいずれも高くても構わないが、屈折率の差(Δn)は、少なくとも発光層の発光スペクトル範囲における一部分において0.2以上であることが好ましい。十分な散乱特性を得るために、屈折率の差(Δn)は、発光スペクトル範囲全域(430nm〜650nm)若しくは可視光の波長範囲全域(360nm〜830nm)に亘って0.2以上であることがより好ましい。
最大の屈折率差を得るためには、上記高光透過率材料としては高屈折率ガラス、散乱物質としては気体の物体すなわち気泡という構成とすることが望ましい。本発明ではベース材の屈折率が透光性電極の屈折率よりも小さくてもよいため、使用できる材料の選択における自由度は高くなる。しかしながら、この場合も、ベース材の屈折率はできるだけ高いことが望ましいため、ベース材を高屈折率のガラスとすることが好ましい。高屈折率のガラスの成分として、ネットワークフォーマとしてはP、SiO、B、GeO、TeOから選ばれる一種類または二種類以上の成分を、高屈折率成分として、TiO、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO、ZnO、BaO、PbO、Sbから選ばれる一種類または二種類以上の成分を含有する高屈折率ガラスを使用することが出来る。その他に、ガラスの特性を調整する意味で、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、フッ化物などを屈折率に対して要求される物性を損なわない範囲で使用してもよい。具体的なガラス系としてはB−ZnO−La系、P−B−R’O−R”O−TiO−Nb−WO−Bi系、TeO−ZnO系、B−Bi系、SiO−Bi系、SiO−ZnO系、B−ZnO系、P−ZnO系、などが挙げられる。ここで、R’はアルカリ金属元素、R”はアルカリ土類金属元素を示す。なお、以上は例であり、上記の条件を満たすような構成であれば、この例に限定されるものではない。
ベース材に特定の透過率スペクトルを持たせることにより、発光の色味を変化させることもできる。着色剤としては、遷移金属酸化物、希土類金属酸化物、金属コロイドなどの公知のものを、単独であるいは組み合わせて使うことができる。
ここで、一般的に、バックライトや照明用途では、白色発光させることが必要である。白色化は、赤、青、緑を空間的に塗り分ける方法(塗り分け法)、異なる発光色を有する発光層を積層する方法(積層法)、青色発光した光を空間的に分離して設けた色変換材料で色変換する方法(色変換法)が知られている。バックライトや照明用途では、均一に白色を得ればよいので、積層法が一般的である。積層する発光層は加色混合で白になるような組み合わせを用いる、例えば、青緑層とオレンジ層を積層する場合や、赤、青、緑を積層する場合がある。特に、照明用途では照射面での色再現性が重要で、可視光領域に必要な発光スペクトルを有していることが望ましい。青緑層とオレンジ層を積層する場合には、緑色の発光強度が低い為、緑を多く含んだものを照明すると、色再現性が悪くなってしまう。積層方法は、空間的に色配置を変える必要がないというメリットがある一方で、以下2つの課題を抱えている。1つ目の問題は上記のように有機層の膜厚が薄いことから、取り出された発光光は干渉の影響を受ける。したがって、見る角度によって、色味が変化することになる。白色の場合には、人間の目の色味に対する感度が高い為、このような現象は問題になることがある。2つ目の問題は発光している間に、キャリアバランスがずれて、各色での発光輝度が変わり、色味が変わってしまうことである。
従来の有機LED素子は、散乱層若しくは拡散層に蛍光体を分散させる思想がないので、上述の色味が変わってしまうという問題点を解決できていない。そのため、従来の有機LED素子は、バックライトや照明用途としては、まだ不十分であった。しかし、本発明の有機LED素子用基板および有機LED素子は、散乱物質またはベース材に蛍光性物質を使用することができる。そのため、有機層からの発光により、波長変換を行い色味を変化させる効果をもたらすことができる。この場合には、有機LEDの発光色を減らすことが可能であり、かつ発光光は散乱されて出射するので、色味の角度依存性や色味の経時変化を抑制することができる。
(散乱層の作製方法)
散乱層の作製方法は、塗布および焼成により行うが、特に、10〜100μmの厚膜を大面積に均一かつ迅速に形成するという観点から、ガラスをフリットペースト化して作製する方法が好ましい。フリットペースト法を活用するために、基板ガラスの熱変形を抑制するために、散乱層のガラスの軟化点(Ts)が基板ガラスの歪点(SP)よりも低く、かつ熱膨張係数αの差が小さいことが望ましい。軟化点と歪点の差は30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。また、散乱層と基板ガラスの膨張率差は、±10×10−7(1/K)以下であることが好ましく、±5×10−7(1/K)以下であることがより好ましい。ここで、フリットペーストとは、ガラス粉末が樹脂、溶剤、フィラーなどに分散したものを指す。フリットペーストをスクリーン印刷などのパターン形成技術を用いてパターニング、焼成することで、ガラス層被覆が可能となる。以下技術概要を示す。
(フリットペースト材料)
1.ガラス粉末
ガラス粉末粒径は1μm〜10μmである。焼成された膜の熱膨張を制御するため、フィラーを入れることがある。フィラーは、具体的には、ジルコン、シリカ、アルミナなどが用いられ、粒径は0.1μm〜20μmである。
以下にガラス材料について説明する。
本発明では、前記散乱層が、Pが20〜30mol%、Bが、3〜14mol%、LiOとNaOとKOの総量が10〜20mol%、Biが10〜20mol%、TiOが3〜15mol%、Nbが10〜20mol%、WOが5〜15mol%を含み、以上の成分の合量が、90mol%以上であるものを用いる。
散乱層を形成するガラス組成としては、所望の散乱特性が得られ、フリットペースト化して焼成可能であれば特に限定はされないが、取り出し効率を最大化するためには、例えば、Pを必須成分として含有し、さらにNb、Bi、TiO、WO、の一成分以上を含有する系、B、ZnOおよびLaを必須成分として含み、Nb、ZrO、Ta、WOの一成分以上を含有する系、SiOを必須成分として含み、Nb、TiOの一成分以上を含有する系、Biを主成分として含有し、ネットワーク形成成分としてSiO、Bなどを含有する系などが挙げられる。
なお、本発明において散乱層として使用する全てのガラス系において、環境に対して悪影響を及ぼす成分である、As、PbO、CdO、ThO、HgOについては、原料由来の不純物としてやむを得ず混入する場合を除いて含まない。
を含み、Nb、Bi、TiO、WO、の一成分以上を含有する散乱層は、mol%表記で、P 15〜30%、SiO 0〜15%、B 0〜18%、Nb 5〜40%、TiO 0〜15%、WO 0〜50%、Bi 0〜30%、ただし、Nb+TiO+WO+Bi 20〜60%、LiO 0〜20%、NaO 0〜20%、KO 0〜20%、ただしLiO+NaO+KO 5〜40%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜20%、ZnO 0〜20%、Ta 0〜10%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、mol%表記で、以下の通りである。
は、このガラス系の骨格を形成しガラス化させる必須成分であるが、含有量が小さすぎる場合、ガラスの失透性が大きくなりガラスを得ることができなくなるため、15%以上が好ましく、18%以上がより好ましい。一方、含有量が大きすぎると屈折率が低下するため、発明の目的を達成することができなくなる。従って、含有量は30%以下が好ましく、28%以下がより好ましい。
は、ガラス中に添加することにより耐失透性を向上させ、熱膨張率を低下させる成分である任意成分であるが、含有量が大きすぎる場合、屈折率が低下してしまうため、18%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
SiOは、微量を添加することによりガラスを安定化させ、耐失透性を向上させる成分である任意成分であるが、含有量が大きすぎる場合、屈折率が低下してしまうため、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下が特に好ましい。
Nbは、屈折率を向上させ、耐侯性を高める効果も同時に有する必須成分である。そのため、含有量は、5%以上が好ましく、8%以上がより好ましい。一方、含有量が大きすぎると、失透性が強まりガラスが得られなくなってしまうため、その含有量は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましい。
TiOは、屈折率を向上させる任意成分であるが、含有量が大きすぎるとガラスの着色が強くなり、散乱層における損失が大きくなってしまい、光取り出し効率の向上という目的を達成することができなくなってしまう。そのため含有量は15%以下が好ましく、13%以下であるとさらに好ましい。
WOは、屈折率を向上させ、ガラス転移温度を低下させ焼成温度を低下させる任意成分であるが、過度に導入するとガラスが着色してしまい、光取り出し効率の低下をもたらすため、その含有量は50%以下が好ましく、45%以下がさらに好ましい。
Biは屈折率を向上させる成分であり、ガラスの安定性を維持しながら比較的多量にガラス中に導入することができる。しかしながら過度に導入することにより、ガラスが着色し、透過率が低下してしまうという問題点が発生するため、含有量は30%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
屈折率を所望の値よりも高くするためには、上記Nb、TiO、WO、Biのうちの一成分またはそれ以上を必ず含まなくてはならない。具体的には(Nb+TiO+WO+Bi)の合量が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。一方これらの成分の合量が大きすぎる場合、着色したり、失透性が強くなりすぎるため、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましい。
Taは屈折率を向上させる任意成分であるが、添加量が大きすぎる場合、耐失透性が低下してしまうことに加え、価格が高いことから、その含有量は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
LiO、NaO、KO等のアルカリ金属酸化物(RO)は、溶融性を向上させ、ガラス転移温度を低下させる効果をもつと同時に、ガラス基板との親和性を高め、密着力を高める効果を有する。そのため、これらの1種類または2種類以上を含有していることが望ましい。LiO+NaO+KOの合量として5%以上を含むことが望ましく、10%以上であることがより好ましい。しかしながら、過剰に含有させると、ガラスの安定性を損なってしまうのに加え、いずれも屈折率を低下させる成分であるため、ガラスの屈折率が低下してしまい、所望の光取り出し効率の向上が望めなくなってしまう。そのため、合計の含有量は40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。
LiOは、ガラス転移温度を低下させ、溶解性を向上させるための成分である。しかしながら、含有量が多すぎると失透性が高くなりすぎ、均質なガラスを得ることができなくなる。また、熱膨張率が大きくなりすぎ、基板との膨張率差が大きくなってしまうとともに、屈折率も低下し所望の光取出し効率の向上を達成できなくなる。そのため、含有量は20%以下であることが望ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
NaO、KOはいずれも溶融性を向上させる任意成分であるが、過度の含有により、屈折率が低下し、所望の光取り出し効率を達成できなくなってしまう。そのため、含有量はそれぞれ20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
ZnOは、屈折率を向上させ、ガラス転移温度を低下させる成分であるが、過剰に添加するとガラスの失透性が高くなり均質なガラスを得ることができなくなる。そのため、含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下がより好ましい。
BaOは、屈折率を向上させると同時に、溶解性を向上させる成分であるが、過剰に添加するとガラスの安定性を損なうため、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
MgO、CaO、SrOは、溶融性を向上させる任意成分であるが、同時に屈折率を低下させる成分であるため、いずれも10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
高屈折率かつ安定なガラスを得るためには、上記成分の合量は、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
以上に記載の成分の他に、必要なガラスの特性を損なわない範囲で、清澄剤やガラス化促進成分、屈折率調整成分、波長変換成分などを少量添加しても良い。具体的には、清澄剤としてはSb、SnOが挙げられ、ガラス化促進成分としては、GeO、Ga、In、屈折率調整成分としては、ZrO、Y、La、Gd、Yb、波長変換成分としては、CeO、Eu、Erなどの希土類成分などが挙げられる。
、Laを必須成分として含み、Nb、ZrO、Ta、WO、の一成分以上を含有する散乱層は、mol%表記で、B 20〜60%、SiO 0〜20%、LiO 0〜20%、NaO 0〜10%、KO 0〜10%、ZnO 5〜50%、La 5〜25%、Gd 0〜25%、Y 0〜20%、Yb 0〜20%、ただし、La+Gd+Y+Yb 5%〜30%、ZrO 0〜15%、Ta 0〜20%、Nb 0〜20%、WO 0〜20%、Bi 0〜20%、BaO 0〜20%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、mol%表記で、以下の通りである。
は、ネットワーク形成酸化物であり、このガラス系における必須成分である。含有量が少なすぎる場合、ガラス形成しなくなるか、ガラスの耐失透性の低下をもたらすため、20%以上含有することが好ましく、25%以上であることがより好ましい。一方、含有量が多すぎると、屈折率が低下し、さらに対候性の低下を招くため、含有量は60%以下に制限され、より好ましくは55%以下である。
SiOは、この系のガラス中に添加されるとガラスの安定性を向上させる成分であるが、導入量が大きすぎる場合、屈折率の低下やガラス転移温度の上昇をもたらす。そのため、含有量は20%以下が好ましく、18%以下がより好ましい。
LiOは、ガラス転移温度を低下させる成分である。しかしながら、導入量が大きすぎる場合、ガラスの耐失透性が低下してしまう。そのため、含有量は20%以下が好ましく、18%以下がより好ましい。
NaOおよびKOは溶解性を向上させるが、導入により耐失透性の低下や屈折率の低下がもたらされるため、それぞれ10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
ZnOは、ガラスの屈折率を向上させるとともに、ガラス転移温度を低下させる必須成分である。そのため、導入量は5%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。一方、添加量が大きすぎる場合、耐失透性が低下してしまい均質なガラスが得られなくなってしまうため、50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましい。
Laは高屈折率を達成し、かつB系ガラスに導入すると耐侯性を向上させる必須成分である。そのため、含有量は5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましい。一方、導入量が大きすぎる場合、ガラス転移温度が高くなったり、ガラスの耐失透性が低下し、均質なガラスが得られなくなってしまう。そのため、含有量は25%以下が好ましく、22%以下がさらに好ましい。
Gdは高屈折率を達成し、かつB系ガラスに導入すると耐侯性を向上させ、Laと共存させることにより、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、導入量が大きすぎる場合、ガラスの安定性が低下してしまうため、その含有量は25%以下が好ましく、22%以下がさらに好ましい。
およびYbは高屈折率を達成し、かつB系ガラスに導入すると耐侯性を向上させ、Laと共存させることにより、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、導入量が大きすぎる場合、ガラスの安定性が低下してしまうため、含有量はそれぞれ20%以下であることが好ましく、18%以下であることが好ましい。
La、Gd、Y、Yb、といった希土類酸化物は、高屈折率を達成し、かつガラスの耐侯性を向上させるためには必須の成分であるため、これらの成分の合量、La+Gd+Y+Ybは5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。しかしながら、導入量が大きすぎる場合、ガラスの耐失透性が低下し、均質なガラスを得ることができなくなるため、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
ZrOは屈折率を向上させるための成分であるが、含有量が大きすぎると耐失透性が低下したり、液相温度が過度に向上してしまうため、含有量は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
Taは屈折率を向上させるための成分であるが、含有量が大きすぎると耐失透性が低下したり、液相温度が過度に向上してしまうため、含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
Nbは屈折率を向上させるための成分であるが、含有量が大きすぎると耐失透性が低下したり、液相温度が過度に向上してしまうため、含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
WOは屈折率を向上させるための成分であるが、含有量が大きすぎると耐失透性が低下したり、液相温度が過度に向上してしまうため、含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
Biは屈折率を向上させるための成分であるが、含有量が大きすぎると耐失透性が低下したり、ガラスに着色が生じ透過率の低下をもたらし取り出し効率を低下させてしまうため、含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
BaOは屈折率を向上させる成分であるが、含有量が大きすぎると耐失透性が低下してしまうため、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
本発明の目的に合致させるためには、以上に記載の成分の合量は90%以上であることが望ましく、95%以上であることがさらに好ましい。以上に記載の成分以外であっても、清澄、溶解性向上などの目的で本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。このような成分として、例えば、Sb、SnO、MgO、CaO、SrO、GeO、Ga、In、フッ素が挙げられる。
SiOを必須成分として含み、Nb、TiO、Biのうち一成分以上を含有する散乱層は、mol%表記で、SiO 20〜50%、B 0〜20%、Nb 1〜20%、TiO 1〜20%、Bi 0〜15%、ZrO 0〜15%、Nb+TiO+Bi+ZrO 5〜40%、LiO 0〜40%、NaO 0〜30%、KO 0〜30%、LiO+NaO+KO 1〜40%、MgO 0〜20%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、BaO 0〜20%、ZnO 0〜20%の組成範囲のガラスが好ましい。
SiOはガラス形成をさせるためのネットワークフォーマとして働く必須成分であり、その含有量が少なすぎるとガラスを形成しなくなってしまうため20%以上であることが好ましく、22%以上であることがより好ましい。
はSiOと比較的少量添加することによりガラス形成を助け失透性を低下させるが、含有量が多すぎると、屈折率の低下をもたらすため、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
Nbは屈折率を向上させるための必須成分であり、その含有量は1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。しかしながら、過剰に添加することによりガラスの耐失透性を低下させ、均質なガラスを得ることができなくなるため、その含有量は20%以下であることが望ましく、18%以下であることがより好ましい。
TiOは屈折率を向上させるための必須成分であり、その含有量は1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。しかしながら、過剰に添加することによりガラスの耐失透性を低下させ、均質なガラスを得ることができなくなり、さらに着色をもたらし、散乱層を光が伝播する際の吸収による損失を大きくしてしまう。そのため、その含有量は20%以下であることが望ましく、18%以下であることがより好ましい。
Biは屈折率を向上させるための成分であるが、過剰に添加することによりガラスの耐失透性を低下させ、均質なガラスを得ることができなくなり、さらに着色をもたらし、散乱層を光が伝播する際の吸収による損失を大きくしてしまう。そのため、その含有量は15%以下であることが望ましく、12%以下であることがより好ましい。
ZrOは着色度を悪化させること無く屈折率を向上させる成分であるが、含有量が大きすぎる場合、ガラスの耐失透性が低下し、均質なガラスが得られなくなってしまう。そのため、含有量は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
高屈折率のガラスを得るためには、Nb+TiO+Bi+ZrOが5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。一方、この合量が大きすぎると、ガラスの耐失透性が低下したり、着色を生じたりするため、40%以下が好ましく、38%以下がより好ましい。
LiO、NaO、KOは溶解性を向上させるとともにガラス転移温度を低下させる成分であり、さらにガラス基板との親和性を高める成分である。そのためこれらの成分の合量LiO+NaO+KOは、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。一方、アルカリ酸化物成分の含有量が大きすぎる場合、ガラスの耐失透性が低くなり、均質なガラスが得られなくなるため、その含有量は、40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。
BaOは屈折率を向上させると同時に溶解性を向上させる成分であるが、過度に含有した場合、ガラスの安定性を損ない、均質なガラスを得ることができなくなるため、その含有量は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
MgO、CaO、SrO、ZnOはガラスの溶解性を向上させる成分であり、適度に添加するとガラスの耐失透性を低下させることができるが、過度に含有すると失透性が高くなってしまい均質なガラスを得ることができなくなるため、その含有量はそれぞれ20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
本発明の目的に合致させるためには、以上に記載の成分の合量は90%以上であることが望ましい。また、以上に記載の成分以外であっても、清澄、溶解性向上などの目的で本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。このような成分として、例えば、Sb、SnO、GeO、Ga、In、WO、Ta、La、Gd、Y、Ybが挙げられる。
Biを主成分として含有し、ガラス形成助剤としてSiO、Bなどを含有する散乱層は、mol%表記で、Bi 10〜50%、B 1〜40%、SiO 0〜30%、ただし、B+SiO 10〜40%、P 0〜20%、LiO 0〜15%、NaO 0〜15%、KO 0〜15%、TiO 0〜20%、Nb 0〜20%、TeO 0〜20%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、GeO 0〜10%、Ga 0〜10%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、mol%表記で、以下の通りである。
Biは、高屈折率を達成し、かつ多量に導入しても安定にガラスを形成する必須成分である。そのため、その含有量は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。一方、過剰に添加すると、ガラスに着色が生じ、本来透過すべき光を吸収してしまい、取り出し効率が低下してしまうことに加え、失透性が高くなり、均質なガラスを得ることができなくなってしまう。そのため、含有量は50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。
は、Biを多量に含むガラスにおいて、ネットワークフォーマとして働き、ガラス形成を助ける必須成分であり、その含有量は、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。しかしながら、添加量が大きすぎる場合、ガラスの屈折率が低下してしまうため、40%以下が好ましく、38%以下がより好ましい。
SiOは、Biをネットワークフォーマとしてガラス形成を助ける働きをする成分であるが、含有量が大きすぎる場合、屈折率の低下をもたらすため、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
とSiOは、組合わせることによってガラス形成を向上させるため、その合量は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。一方、導入量が大きすぎる場合、屈折率が低下してしまうため、40%以下であることが好ましく、38%であることがより好ましい。
は、ガラス形成を助けるとともに、着色度の悪化を抑制する成分であるが、含有量が大きすぎる場合、屈折率の低下をもたらすため、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましい。
LiO、NaO、KOは、ガラス溶解性を向上させ、さらにガラス転移温度を低下させるための成分であるが、過度に含有するとガラスの耐失透性が低下し、均質なガラスを得ることができなくなってしまう。このため、それぞれ15%以下が好ましく、13%以下がより好ましい。また、以上のアルカリ酸化物成分の合量、LiO+NaO+KOが大きすぎると屈折率の低下を招き、さらにガラスの耐失透性を低下させるため、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
TiOは、屈折率を向上させる成分であるが、含有量が大きすぎる場合、着色を生じたり、耐失透性が低下し、均質なガラスを得ることができなくなってしまう。そのため、含有量は20%以下が好ましく、18%以下がより好ましい。
Nbは屈折率を向上させる成分であるが、導入量が大きすぎるとガラスの耐失透性が低下し、安定なガラスが得られなくなってしまう。そのため、含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがさらに好ましい。
TeOは着色度を悪化させずに屈折率を向上させる成分であるが、過度の導入により、耐失透性が低下し、フリット化したのちに焼成した時の着色の原因となるため、その含有量は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
GeOは、屈折率を比較的高く維持しつつ、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、極めて高価であるため、含有量は10%以下が好ましく、8%以下であることがより好ましく、含まないことがさらに好ましい。
Gaは、屈折率を比較的高く維持しつつ、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、極めて高価であるため、含有量は10%以下が好ましく、8%以下であることがより好ましく、含まないことがさらに好ましい。
本発明の目的に合致させるためには、以上に記載の成分の合量は90%以上であることが望ましく、95%以上であることがさらに好ましい。以上に記載の成分以外であっても、清澄、溶解性向上、屈折率調整などの目的で本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。このような成分として、例えば、Sb、SnO、In、ZrO、Ta、WO、La、Gd、Y、Yb、Alが挙げられる。
散乱層を形成するガラス組成としては、所望の散乱特性が得られ、フリットペースト化して焼成可能であれば特に限定はされないが、取り出し効率を最大化するためには、例えば、Pを含み、Nb、Bi、TiO、WO、の一成分以上を含有する系、B、Laを必須成分として含み、Nb、ZrO、Ta、WO、の一成分以上を含有する系、SiOを必須成分として含み、Nb、TiOの一成分以上を含有する系、Biを主成分として含有し、ガラス形成助剤としてSiO、Bなどを含有する系などが挙げられる。なお、本発明において散乱層として使用する全てのガラス系において、環境に対して悪影響を及ぼす成分である、As、PbO、CdO、ThO、HgOについては、原料由来の不純物としてやむを得ず混入する場合を除いて含んでいてはならない。
更にまた、屈折率が低くてよい場合には、RO−RO−BaO−B−SiO、RO−Al−P、RO−B3−SiO (ROは、LiO、NaO、KOのいずれかであり、ROは、MgO、CaO、SrOのいずれか)等を用いることができる。
2.樹脂
樹脂は、スクリーン印刷後、塗膜中のガラス粉末、フィラーを支持する。具体例としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂、酢酸ビニル、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂などが用いられる。主剤として用いられるのは、エチルセルロースとニトロセルロースがある。なお、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂は塗膜強度向上の為の添加として用いられる。焼成時の脱バインダ温度は、エチルセルロースで350℃から400℃、ニトロセルロースで200℃から300℃である。
3.溶剤
樹脂を溶解しかつ印刷に必要な粘度を調整する。また印刷中には乾燥せず、乾燥工程では、すばやく乾燥する。沸点200℃から230℃のものが望ましい。粘度、固形分比、乾燥速度調整のためブレンドして用いる。具体例としては、スクリーン印刷時のペーストの乾燥適合性からエーテル系溶剤(ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、酢酸ブチルセロソルブ)、アルコール系溶剤(α−テルピネオール、パインオイル、ダワノール)、エステル系溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、フタル酸エステル系溶剤(DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート))がある。主に用いられているのは、α−テルピネオールや2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)である。なお、DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)は、可塑剤としても機能する。
4.その他
粘度調整、フリット分散促進の為、界面活性剤を使用してもよい。フリット表面改質の為、シランカップリング剤を使用してもよい。
(フリットペースト膜の作製方法)
(1)フリットペースト
ガラス粉末とビヒクルを準備する。ここで、ビヒクルとは、樹脂、溶剤、界面活性剤を混合したものをいう。具体的には、50℃〜80℃に加熱した溶剤中に樹脂、界面活性剤などを投入し、その後4時間から12時間程度静置したのち、ろ過し、得られる。
次に、ガラス粉末とビヒクルとを、プラネタリーミキサーで混合した後、3本ロールで均一分散させる。その後粘度調整のため、混練機で混練する。通常ガラス材料70〜80wt%に対してビヒクル20〜30wt%とする。
ここで用いるガラス粉末は粒径のD10が0.2μm以上でかつ、D90が5μm以下であるものを用いるのが望ましい。粒径のD90が5μmを越えると、散乱層の膜厚に対する値が大きくなり、表面の均一性が低下する。一方粒径のD10が0.2μmに満たないと、界面の存在比率が高くなり、結晶が析出し易く、失透し易いという問題がある。
(2)印刷
(1)で作製したフリットペーストをスクリーン印刷機を用いて印刷する。スクリーン版のメッッシュ荒さ、乳剤の厚み、印刷時の押し圧、スキージ押し込み量などで形成される、フリットペースト膜の膜厚を制御できる。印刷後焼成炉で乾燥させる。
(3)焼成
焼成炉で印刷、乾燥した基板を焼成する。焼成は、フリットペースト中の樹脂を分解・消失させる脱バインダ処理とガラス粉末を焼結、軟化させる焼成処理からなる。脱バインダ温度は、エチルセルロースで350℃〜400℃、ニトロセルロースで200℃〜300℃であり、30分から1時間大気雰囲気で加熱する。その後温度を上げて、ガラスを焼結、軟化させる。焼成温度は軟化温度から軟化温度+20℃であり、処理温度により内部に残存する気泡の形状、大きさが異なるが全面に均一に塗布された膜を焼成しているため、基本的には面内にわたって均一な気泡分布を持つように形成される。その後、冷却して基板上にガラス層が形成される。得られる膜の厚さは、5μm〜30μmであるが、印刷時に積層することでさらに厚いガラス層が形成可能である。
なお、上記で印刷工程をドクターブレード印刷法、ダイコート印刷法を用いると、より厚い膜形成が可能となる(グリーンシート印刷)。PETフィルム等の上に膜を形成した後、乾燥するとグリーンシートが得られる。次いでローラー等によりグリーンシートを基板上に熱圧着し、フリットペーストと同様の焼成工程を経て焼成膜を得る。得られる膜の厚さは、50μm〜400μmであるが、グリーンシートを積層して用いることにより、さらに厚いガラス膜が形成可能である。
(散乱層内の散乱物質の密度と散乱物質の径)
図11は、光取り出し効率(%)と散乱物質の含有率(vol%)との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(厚さ:30μm、ベース材の屈折率:1.9、散乱物質の屈折率:1.0)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した(波長550nm)。グラフで示されるように、散乱層中における散乱物質の含有率は、1vol%以上が好ましい。散乱物質の大きさで挙動が異なるが、散乱層中における散乱物質の含有率が1vol%あれば、光取り出し効率を40%以上にすることができる。また、散乱層中における散乱物質の含有率が5vol%以上であれば、光取り出し効率を65%以上にすることができるので、より好ましい。また、散乱層中における散乱物質の含有率が10vol%以上であれば、光取り出し効率を70%以上に向上することができるので、さらに好ましい。また、散乱層中における散乱物質の含有率が15vol%近傍であれば、光取り出し効率を80%以上に向上することができるので、特に好ましい。なお、散乱層の量産を考えると、製造ばらつきの影響を受けにくい10vol%〜15vol%が好ましい。ここで散乱物質は、フリットガラスをペースト状にして印刷して焼成することで散乱物質を含む散乱層が形成される。このため、散乱層内での散乱物質の面内分布はほぼ均一となっている。また、ガラス層の焼成後に形成するものではなく、ガラス層の塗布時あるいは焼成温度の調整により散乱物質を含有する散乱層が形成されるように構成されるため、面内均一性は維持可能である。
なお、グラフから、散乱物質の径と光取り出し効率との関係もわかる。具体的には、散乱物質の径が1μmであれば、散乱物質の含有率が1vol%〜20vol%の範囲でも、光取り出し効率を70%以上にすることができ、特に、散乱物質の含有率が2vol%〜15vol%の範囲であれば光取り出し効率を80%以上にすることができる。また、散乱物質の径が2μmであれば、散乱物質の含有率が1vol%〜20vol%の範囲でも、光取り出し効率を65%以上にすることができ、特に、散乱物質の含有率が5vol%以上であれば光取り出し効率を80%以上にすることができる。また、散乱物質の径が3μmであれば、散乱物質の含有率が1vol%〜20vol%の範囲でも、光取り出し効率を60%以上にすることができ、特に、散乱物質の含有率が5vol%以上であれば光取り出し効率を80%以上にすることができる。また、散乱物質の径が5μmであれば、散乱物質の含有率が1vol%〜20vol%の範囲でも、光取り出し効率を50%以上にすることができ、特に、散乱物質の含有率が10vol%以上であれば光取り出し効率を80%以上にすることができる。また、散乱物質の径が7μmであれば、散乱物質の含有率が1vol%〜20vol%の範囲でも、光取り出し効率を45%以上にすることができ、特に、散乱物質の含有率が10vol%以上であれば光取り出し効率を80%以上にすることができる。また、散乱物質の径が10μmであれば、散乱物質の含有率が1vol%〜20vol%の範囲でも、光取り出し効率を40%以上にすることができ、特に、散乱物質の含有率が15vol%以上であれば光取り出し効率を80%以上にすることができる。以上から、散乱物質の径が大きい場合、含有率が多くなるほど光取り出し効率が向上することがわかる。一方、散乱物質の径が小さい場合、含有率が少なくても光取り出し効率が向上することがわかる。
(散乱物質の屈折率)
図12は、光取り出し効率(%)と散乱物質の屈折率との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(厚さ:30μm、ベース材の屈折率:2.0、散乱物質の径:2μm、散乱物質の数:約3600万個、散乱物質の含有量:15vol%)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した(波長550nm)。グラフで示されるように、ベース材の屈折率(2.0)と散乱物質の屈折率との差が0.2以上(散乱物質の屈折率が1.8以下)であれば、光取り出し効率を80%以上にすることができるので、特に好ましい。
なお、本発明の透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率より高いものである。しかし、この計算では、透光性電極の屈折率が正孔注入・輸送層の屈折率(1.9)と同じであるとし、透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率(2.0)よりも低い(ここでは正孔注入・輸送層と透光性電極とを合わせたものとして計算しているが、両者とも屈折率はほぼ1.9程度である)。そのため、透光性電極の屈折率を散乱層のベース材の屈折率よりも高くした場合である本発明の光取り出し効率は、上記計算結果よりも少し低くなると推測される。しかしながら、正孔注入・輸送層(透光性電極を含む)の屈折率が、散乱層のベース材の屈折率より高いものであっても、従来の光取り出し効率に比べると、大幅に改善されていることは言うまでもない。よって、上記計算結果により得られたグラフを用いて考察する。グラフで示されるように、ベース材の屈折率(2.0)と散乱物質の屈折率との差が0.2以上(散乱物質の屈折率が1.8以下)であれば、光取り出し効率を80%以上にすることができるので、特に好ましい。なお、ベース材の屈折率と散乱物質の屈折率との差が0.1であっても(散乱物質の屈折率が1.9)、光取り出し効率を65%以上にすることができる。
(散乱層の厚さ)
図13は、光取り出し効率(%)と散乱物質の含有率(vol%)との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(ベース材の屈折率:2.0、散乱物質の径:2μm、散乱物質の屈折率:1.0)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した(波長550nm)。
なお、本発明の透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率より高いものである。しかし、この計算では、透光性電極の屈折率が正孔注入・輸送層の屈折率(1.9)と同じであるとし、透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率(2.0)よりも低い。そのため、透光性電極の屈折率を散乱層のベース材の屈折率よりも高くした場合である本発明の光取り出し効率は、上記計算結果よりも少し低くなると推測される。しかしながら、正孔注入・輸送層(透光性電極を含む)の屈折率が、散乱層のベース材の屈折率より高いものであっても、従来の光取り出し効率に比べると、大幅に改善されていることは言うまでもない。よって、上記計算結果により得られたグラフを用いて考察する。
グラフで示されるように、散乱層中における散乱物質の含有率が1vol%以上であれば、散乱層の厚さが15μm以下であっても、光取り出し効率を55%以上にすることができるので、好ましい。また、散乱層中における散乱物質の含有率が20vol%以上であれば、散乱層の厚さが60μm以上であっても、光取り出し効率を70%以上にすることができるので、好ましい。また、散乱層中における散乱物質の含有率が5vol%〜15vol%あれば、散乱層の厚さが15μm以下や60μm以上であっても、光取り出し効率を80%以上にすることができるので、特に好ましい。
(散乱物質の数)
図14は、光取り出し効率(%)と散乱物質(粒子)の個数(個/mm)との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(ベース材の屈折率:2.0、散乱物質の径:2μm、散乱物質の屈折率:1.0)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した(波長550nm)。グラフで示されるように、散乱層の厚さにかかわらず、散乱物質の数で光取り出し効率が変わることがわかる。
なお、本発明の透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率より高いものである。しかし、この計算では、透光性電極の屈折率が正孔注入・輸送層の屈折率(1.9)と同じであるとし、透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率(2.0)よりも低い。そのため、透光性電極の屈折率を散乱層のベース材の屈折率よりも高くした場合である本発明の光取り出し効率は、上記計算結果よりも少し低くなると推測される。しかしながら、正孔注入・輸送層(透光性電極を含む)の屈折率が、散乱層のベース材の屈折率より高いものであっても、従来の光取り出し効率に比べると、大幅に改善されていることは言うまでもない。よって、上記計算結果により得られたグラフを用いて考察する。
測定に際しては、評価素子を準備した。同一のガラス基板上に散乱層を形成した領域と形成しない領域を形成し、この上に有機LED素子を形成する。すなわち、評価素子は、ガラス基板と、散乱層と、ITO膜と、Alq(トリス(8−キリノリラート)アルミニウム錯体)膜と、Ag膜とを有する。ここで、散乱層の有無による光取り出し効率の違いを比較するために、評価素子を散乱層ありの領域と散乱層なしの領域の2つに分けた。散乱層ありの領域の評価素子は、ガラス基板上に散乱層が形成されている。散乱層なしの領域の評価素子は、ガラス基板上にITO膜が形成されている。
ガラス基板は、旭硝子株式会社製ガラス基板(商品名:PD200)を用いた。このガラスは歪点570℃、熱膨張係数83×10−7(1/℃)である。このような高歪点と高い熱膨張係数を有するガラス基板は、ガラスフリットペーストを焼成して散乱層を形成する場合に好適である。
屈折率は、屈折率計(カルニュー光学工業社製、商品名:KRP−2)で測定した。
グラフで示されるように、散乱層1mm当たりの散乱物質の数が1×10個以上あれば、光取り出し効率を55%以上にすることができるので、好ましい。また、散乱層1mm当たりの散乱物質の数が2.5×10個以上あれば、光取り出し効率を75%以上にすることができるので、より好ましい。また、散乱層1mm当たりの散乱物質の数が5×10〜2×10個あれば、光取り出し効率を80%以上にすることができるので、特に好ましい。ここで、散乱物質の径が60μm以上であっても、3×10個あっても、光取り出し効率を70%以上にすることができる。
(散乱層のベース材の透過率)
図15は、光取り出し効率(%)と散乱層のベース材の1mmt%(t%:厚さ1mmでの透過率(%))における透過率との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(厚さ:30μm、ベース材の屈折率:2.0散乱物質の径:2μm、散乱物質の屈折率:1.0、散乱物質の数:約3600万個、散乱物質の含有量:15vol%)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した。
なお、本発明の透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率より高いものである。しかし、この計算では、透光性電極の屈折率が正孔注入・輸送層の屈折率(1.9)と同じであるとし、透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率(2.0)よりも低い。そのため、透光性電極の屈折率を散乱層のベース材の屈折率よりも高くした場合である本発明の光取り出し効率は、上記計算結果よりも少し低くなると推測される。しかしながら、正孔注入・輸送層(透光性電極を含む)の屈折率が、散乱層のベース材の屈折率より高いものであっても、従来の光取り出し効率に比べると、大幅に改善されていることは言うまでもない。よって、上記計算結果により得られたグラフを用いて考察する。
グラフで示されるように、散乱層のベース材の透過率が50%であっても、光取り出し効率は55%以上にすることができる。また、散乱層のベース材の透過率が90%であれば、光取り出し効率は80%以上にすることができる。ベース材をガラスとした場合、その透過率は98%ぐらいであるため、光取り出し効率は80%を超えることができる。
(陰極の反射率)
図16は、光取り出し効率(%)と陰極の反射率(%)との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(厚さ:30μm、ベース材の屈折率:2.0、散乱物質の径:2μm、散乱物質の屈折率:1.0、散乱物質の数:約3600万個、散乱物質の含有量:15vol%)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した(波長550nm)。
なお、本発明の透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率より高いものである。しかし、この計算では、透光性電極の屈折率が正孔注入・輸送層の屈折率(1.9)と同じであるとし、透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率(2.0)よりも低い。そのため、透光性電極の屈折率を散乱層のベース材の屈折率よりも高くした場合である本発明の光取り出し効率は、上記計算結果よりも少し低くなると推測される。しかしながら、正孔注入・輸送層(透光性電極を含む)の屈折率が、散乱層のベース材の屈折率より高いものであっても、従来の光取り出し効率に比べると、大幅に改善されていることは言うまでもない。よって、上記計算結果により得られたグラフを用いて考察する。 グラフで示されるように、陰極の反射率が低下すると、光取り出し効率も低下する。ここで、青色LEDの陰極反射率は80%〜90%であるため、光取り出し効率が40%〜50%を得られることがわかる。ここで、特許文献1の有機LED素子は反射率100%を想定し、その光取り出し効率が約50%である。一方、本発明の有機LED素子の反射率を100%として特許文献1の有機LED素子の反射率と同じ条件とした場合、グラフからわかるように、その光取り出し効率は80%を超える。つまり、本発明の有機LED素子の光取り出し効率は、特許文献1の有機LED素子の光取り出し効率に比べ、1.6倍向上していることがわかる。よって、本発明の有機LED素子は、蛍光灯に代わる照明用光源として用いられることができる。
(散乱層と陽極の屈折率)
図17は、散乱層に出射する光の割合と散乱層のベース材の屈折率との関係を示すグラフである。以下、簡略化のため、有機層および透光性電極を電子注入・輸送層および発光層、正孔注入・輸送層、および透光性電極の3つに分けて計算した。ここで、上記グラフは、電子注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、発光層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、正孔注入・輸送層(厚さ:1μm、屈折率:1.9)、散乱層(厚さ:30μm、散乱物質の径:2μm、散乱物質の屈折率:1.0、散乱物質の数:約3600万個、散乱物質の含有量:15vol%)、透光性基板(厚さ:100μm、屈折率:1.54)、光束1000lmを10万本に分割して計算した(波長550nm)。グラフで示されるように、陽極の屈折率が散乱層の屈折率よりも大きい場合、40%の光を取り出すことができることがわかる。特に、陽極と散乱層の屈折率差が0.2以下であれば50%の光を取り出すことができる。従って、本発明の散乱層の屈折率は、陽極の屈折率と同等若しくはそれ以下であっても良いことは言うまでもない。
(散乱層の屈折率の測定方法)
散乱層の屈折率を測定するには、下記の2つの方法がある。
一つは、散乱層の組成を分析し、その後、同一組成のガラスを作製し、プリズム法にて屈折率を評価する。他の一つは、散乱層を1〜2μmまで薄く研磨し、泡のない10μmΦ程度の領域で、エリプソ測定し、屈折率を評価する。なお、本発明では、プリズム法にて屈折率を評価することを前提としている。
(散乱層の表面粗さRa)
散乱層は、透光性電極が設けられる主表面を有している。上述したように、本発明の散乱層は、散乱物質を含有している。上述したように、散乱物質の径としては、大きければ大きいほど含有量が少なくても光取り出し効率の向上を図ることができる。しかし、発明者の実験によれば、径が大きければ大きいほど、散乱層の主表面から突出した場合に散乱層の主表面の算術平均粗さ(表面粗さ:Ra)が大きくなる傾向にある。上述したように、散乱層の主表面には透光性電極が設けられる。そのため、散乱層の主表面の算術平均粗さ(Ra)が大きいほど、透光性電極と散乱層間で短絡し、有機EL素子が発光しないという問題がある。上述した特許文献1は、段落0010において、基板に形成された凹凸が数μm程度であっても問題であること開示しているが、発明者らの実験によると、μmの単位では有機EL素子の発光が得られないことがわかった。
<透光性電極>
透光性電極(陽極)103は、有機層110で発生した光を外部に取り出すために、80%以上の透光性が要求される。また、多くの正孔を注入するため、仕事関数が高いものが要求される。具体的には、ITO、SnO、ZnO、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(ZnO−Al:アルミニウムがドーピングされた亜鉛酸化物)、GZO(ZnO−Ga:ガリウムがドーピングされた亜鉛酸化物)、NbドープTiO、TaドープTiOなどの材料が用いられる。陽極103の厚さは、100nm以上が好ましい。なお、陽極103の屈折率は、1.9〜2.2である。ここで、キャリア濃度を増加させると、ITOの屈折率を低下させることができる。市販されているITOは、SnOが10wt%が標準となっているが、これより、Sn濃度を増やすことで、ITOの屈折率を下げることができる。但し、Sn濃度増加により、キャリア濃度は増加するが、移動度および透過率の低下がある為、これらのバランスをとって、Sn量を決める必要がある。ここで、ITOの屈折率は、散乱層102を構成するベース材105の屈折率や反射電極120の屈折率を考慮して決定することが好ましい。導波路計算や反射電極120の反射率等を考慮すると、ITOの屈折率とベース材105の屈折率との差は0.2以下で高いことが好ましい。
なお、透光性電極を陰極としてもよいことは言うまでもない。
<有機層(発光機能を有する層)>
有機層110は、発光機能を有する層であり、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層113と、電子輸送層114と、電子注入層115とにより構成される。有機層110の屈折率は、1.7〜1.8である。
<正孔注入層>
正孔注入層111は、陽極103からの正孔注入障壁を低くするために、イオン化ポテンシャルの差が小さいものが要求される。正孔注入層111における電極界面からの電荷の注入効率の向上は、素子の駆動電圧を下げるとともに、電荷の注入効率を高める。高分子では、ポリスチレンスルフォン酸(PSS)がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT:PSS)、低分子ではフタロシアニン系の銅フタロシアニン(CuPc)が広く用いられる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層112は、正孔注入層111から注入された正孔を発光層133に輸送する役割をする。適切なイオン化ポテンシャルと正孔移動度を有することが必要である。正孔輸送層112は、具体的には、トリフェニルアミン誘導体、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−フェニル−N−(2−ナフチル)−4’−アミノビフェニル−4−イル]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPTE)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(HTM2)およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)などが用いられる。正孔輸送層112の厚さは、10nm〜150nmが好ましい。厚さは薄ければ薄いほど低電圧化できるが、電極間短絡の問題から10nm〜150nmであることが特に好ましい。
<発光層>
発光層113は、注入された電子と正孔が再結合する場を提供し、かつ、発光効率の高い材料を用いる。詳細に説明すると、発光層113に用いられる発光ホスト材料および発光色素のドーピング材料は、陽極および陰極から注入された正孔および電子の再結合中心として機能する、また、発光層におけるホスト材料への発光色素のドーピングは、高い発光効率を得ると共に、発光波長を変換させる。これらは電荷注入のための適切なエネルギーレベルを有すること、化学的安定性や耐熱性に優れ、均質はアモルファス薄膜を形成することなどが求められる。また、発光色の種類や色純度が優れていることや発光効率の高いことが求められる。有機材料である発光材料には、低分子系と高分子系の材料がある。さらに、発光機構によって、蛍光材料、りん光材料に分類される。発光層113は、具体的には、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体(Alq)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウムフェノキサイド(Alq′OPh)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウム−2,5−ジメチルフェノキサイド(BAlq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体(Liq)、モノ(8−キノリノラート)ナトリウム錯体(Naq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ナトリウム錯体およびビス(8−キノリノラート)カルシウム錯体(Caq)などのキノリン誘導体の金属錯体、テトラフェニルブタジエン、フェニルキナクドリン(QD)、アントラセン、ペリレン並びにコロネンなどの蛍光性物質が挙げられる。ホスト材料としては、キノリノラート錯体が好ましく、特に、8−キノリノールおよびその誘導体を配位子としたアルミニウム錯体が好ましい。
<電子輸送層>
電子輸送層114は、電極から注入された電子を輸送するという役割をする。電子輸送層114は、具体的には、キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)、オキサジアゾール誘導体(例えば、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)および2−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)など)、トリアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、シロール誘導体などが用いられる。
<電子注入層>
電子注入層115は、電子の注入効率を高めるものが要求される。電子注入層115は、具体的には、陰極界面にリチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属をドープした層を設ける。
<反射性電極>
反射性電極(陰極)120は、仕事関数の小さな金属またはその合金が用いられる。陰極120は、具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属および周期表第3属の金属などが挙げられる。このうち、安価で化学的安定性の良い材料であることから、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)またはこれらの合金などが好ましく用いられる。また、Al、MgAgの共蒸着膜、LiFまたはLi20の薄膜蒸着膜の上にAlを蒸着した積層電極等が用いられる。また、高分子系では、カルシウム(Ca)またはバリウム(Ba)とアルミニウム(Al)の積層等が用いられる。
なお、反射性電極を陽極としてもよいことは言うまでもない。
<透光性電極付き透光性基板(有機LED素子用積層体)の製造方法>
以下に、図面を用いて、本発明の透光性電極付き透光性基板の製造方法を説明する。図20は、本発明の透光性電極付き透光性基板の製造方法を示すフローチャートである。本発明の透光性電極付き透光性基板の製造方法は、透光性基板を準備する工程(ステップ1100)と、透光性基板上に、有機LED素子の発光光の波長において第1の屈折率を有するベース材と、ベース材内部に設けられベース材と異なる屈折率を有する複数の散乱物質とを備えた散乱層を形成する工程(ステップ1110)と、散乱層上に、第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する透光性電極を形成する工程(ステップ1120)とを有する。
初めに、透光性基板を準備する(ステップ1100)。ここで、透光性基板は、具体的には、ガラス基板やプラスチック基板が用いられる。
次に、有機LED素子の発光光の波長において第1の屈折率を有するベース材と、ベース材内部に設けられベース材と異なる屈折率を有する複数の散乱物質とを備えた散乱層形成材料を準備する。そして、準備した散乱層形成材料を塗布し、焼成することで、散乱物質が面内に均一に分布された散乱層を透光性基板上に形成する(ステップ1110)。
次に、散乱層上に、第1の屈折率と同じ若しくはより高い第3の屈折率を有する透光性電極を形成する(ステップ1120)。具体的に説明すると、基板上にITOを成膜して、そのITO膜にエッチングを施すことによって形成する。ITOはスパッタや蒸着によって、ガラス基板全面に均一性よく成膜することができる。フォトリソグラフィーおよびエッチングによりITOパターンを形成する。このITOパターンが透光性電極(陽極)となる。レジストとしてはフェノールノボラック樹脂を使用し、露光現像を行う。エッチングはウェットエッチングあるいはドライエッチングのいずれでもよいが、例えば、塩酸および硝酸の混合水溶液を使用してITOをパターニングすることができる。レジスト剥離材としては例えば、モノエタノールアミンを使用することができる。
<有機LED素子の製造方法>
以下に、図面を用いて、本発明の有機LED素子の製造方法を説明する。図21は、本発明の有機LED素子の製造方法を示すフローチャートである。本発明の有機LED素子の製造方法は、透光性基板を準備する工程(ステップ1100)と、透光性基板上に、有機LED素子の発光光の波長において第1の屈折率を有するベース材と、ベース材内部に設けられベース材と異なる屈折率を有する複数の散乱物質とを備えた散乱層を形成する工程(ステップ1110)と、散乱層上に、第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極を形成する工程(ステップ1120)と、透光性電極上に有機層を形成する工程(ステップ1200)と、有機層上に反射性電極を形成する工程(ステップ1210)とを有する。
上述のステップ1100からステップ1120を行った後、透光性電極上に有機層を形成する(ステップ1200)。ここで、有機層は、塗布法と蒸着法の併用により、形成される。例えば、有機層のある1層以上が塗布法により形成されれば、その他の層は蒸着法により形成される。塗布法により形成した層の後、その上の層を蒸着法で形成する場合、蒸着法で有機層を形成する前に、濃縮乾燥硬化を行う。また、有機層は塗布法のみ蒸着法のみで形成するようにしてもよい。
次に、有機層上に反射性電極を形成する(ステップ1210)。具体的に説明すると、有機層上に、アルミニウム等の金属材料を蒸着することにより、反射性電極を形成する。
次に上述の工程により形成された有機EL発光素子を封止するため、封止用の対向基板を製造する工程について説明する。まず。素子基板とは別のガラス基板を用意する。このガラス基板を加工して捕水材を収納するための捕水材収納部を形成する。捕水材収納部はガラス基板にレジストを塗布し、露光、現像により基板の一部を露出させる。この露出部分をエッチングにより薄くすることにより捕水材収納部を形成する。
図22に示すように、この捕水材収納部1300に酸化カルシウム等の捕水材1310を配置した後、二枚の基板を重ね合わせて接着する。なお、図22は有機EL表示装置の構成を模式的に示す断面図である。具体的には、対向基板1320の捕水材収納部1300が設けられた面に、ディスペンサを用いてシール材1330を塗布する。シール材1330として、例えば、エポキシ系紫外線硬化性樹脂を用いることができる。また、シール材1330は、有機LED素子と対向する領域の外周全体に塗布する。二枚の基板を位置合わせして対向させた後、紫外線を照射してシール材を硬化させ、基板同士を接着する。この後、シール材の硬化をより促進させるために、例えば、80℃のクリーンオーブン中で1時間の熱処理を施す。この結果、シール材および一対の基板によって、有機EL素子が存在する基板間と、基板の外部とが隔離される。捕水材1310を配置することにより、封止された空間に残留または侵入してくる水分等による有機EL素子の劣化を防止することができる。
有機層110からの発光が矢印の方向に出射される。基板101の有機LED素子が形成された面とは反対側の面すなわち、出射面に光学シート1340を貼り付ける。光学シート1340は偏光板と1/4波長板を有しており、反射防止膜として機能する。この光学シート1340が設けられた面側に有機薄膜層からの光が取り出される。
基板の外周付近の不要部分を切断除去し、陽極配線1350に信号電極ドライバを接続し、陰極接続配線に走査電極ドライバを接続する。基板端部において各配線に接続される端子部が形成されている。この端子部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付け、駆動回路が設けられたTCP(Tape Carrier Package)を接続する。具体的には端子部にACFを仮圧着する。ついで駆動回路が内蔵されたTCPを端子部に本圧着する。これにより駆動回路が実装される。この有機EL表示パネルが筐体に取り付けられ、有機EL表示装置が完成する。上記は、ドットマトリックス表示素子の場合を示したが、キャラクター表示でもよく、又素子仕様によっては上記の構成の限りではない。
(実施の形態2)
<有機LED素子の他の構成例>
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態2の電極付き透光性基板(有機LED素子用積層体)および有機LED素子用積層体の構成について説明する。なお、図1と同じ構成については、同じ番号を付与し、説明を省略する。図23は、本発明の有機LED素子用積層体および有機LED素子用積層体の他の構造を示す断面図である。本発明の他の有機LED素子は、透光性電極つき透光性基板(有機LED素子用積層体)1400と、有機層1410と、反射性電極120とにより構成される。透光性電極付き透光性基板1400は、透光性の基板101と、散乱層1401と、透光性電極103とにより構成される。有機層1410は、正孔注入・輸送層1411と、発光層1412と、電子注入・輸送層1413とにより構成される。
ここで、図1の有機LED素子の発光層113は、3つの層により構成されている。3つのいずれか一つの層は、3色の発光色(赤、緑、青)のいずれか一つの色を発光するように形成されている。しかし、図23の有機LED素子の発光層1412は、散乱層1401の内部に設けられる複数の散乱物質1420を赤色および緑色の発光を行う蛍光発光材料(例えば、フィラー)とすることにより、青色のみを発光する一つの層により構成できる。つまり、本発明の有機LED素子の他の構成によれば、発光層を青・緑・赤色のいずれか一つの色を発光する層とすることができ、有機LED素子をダウンサイズすることができるという効果を奏する。
なお前記実施の形態では、透光性電極と反射性電極とで有機層を挟んだ構成について説明したが、両方の電極を透光性にし、両面発光型の有機EL層を構成するようにしてもよい。
また本発明の透光性電極付き透光性基板は、有機EL素子に限定されることなく、無機EL素子、液晶など、種々の発光デバイス、あるいは光量センサ、太陽電池などの受光デバイスなど光デバイスの高効率化に有効である。
(散乱層の効果の実証)
以下、光取り出し効率の向上のために、散乱層が効果的であることの実証を説明する。試料1は本発明の散乱層を備えた実施例であり、試料2が内部に散乱物質が設けられていない散乱層を備えた比較例である。計算方法は、上述の散乱層の計算方法と同じである。以下、各条件および結果(前面取り出し効率)を表2に示す。
Figure 2015092505
実施例と比較例の前面取り出し効率の比較結果を図24に示す。図24(a)および(b)は、それぞれ試料2と試料1の条件において、正面から観測した結果を示す図である。図24に示すように、本発明の電極付き透光性基板(有機LED素子用積層体)および有機LED素子によれば、未処置の場合に20%程度の光取り出し効率を80%程度まで向上させることが可能となる。
なお、本発明の透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率より高いものである。しかし、この計算では、透光性電極の屈折率が正孔注入・輸送層の屈折率(1.9)と同じであるとし、透光性電極の屈折率は、散乱層のベース材の屈折率(2.0)よりも低い。そのため、透光性電極の屈折率を散乱層のベース材の屈折率よりも高くした場合である本発明の光取り出し効率は、上記計算結果よりも少し低くなると推測される。しかしながら、正孔注入・輸送層(透光性電極を含む)の屈折率が、散乱層のベース材の屈折率より高いものであっても、従来の光取り出し効率に比べると、大幅に改善されていることは言うまでもない。よって、上記表を用いて考察する。
(散乱層のベース材の屈折率と透光性電極の屈折率との関係の実証)
以下、図面を用いて、散乱層のベース材の屈折率と透光性電極の屈折率との関係を導波路的に考察したシミュレーション結果を示す。ここでいう導波路的考察とは、透光性電極内に存在が許されるモードの存在割合を計算する事を意味しており、具体的には外部から有機層に光を入射させ、その光がどの程度有機層から透光性電極へ移譲し、透光性電極中を漏れずに伝播するかを計算した。
図25は、このシミュレーションを行うに際し、想定した有機LED素子のサンプルの断面図である。サンプルの有機LED素子は、高屈折率を有する散乱層1400と、散乱層1400上に設けられる透光性電極1410と、透光性電極1410上に設けられる有機層1420と、有機層1420上に設けられる反射電極1430とを備えるものとした。ここで、散乱層1400は、屈折率2.0のガラスとした。散乱層のベース材の屈折率と透光性電極の屈折率との関係に注目するため、散乱層1400は、ベース材のみで構成され、散乱物質を含まないものとした。高い光取り出し効率を得るためには、散乱物質が重要な要素であることに変わりはない。散乱層の厚みは有機層、透光性電極に比べて、十分厚いため、散乱層1400の厚さについては考慮しないことにした。透光性電極1410は、厚さ0.1〜0.8μm、屈折率1.96〜2.2とした。有機層1420は、厚さ0.15μm、屈折率2.0とした。なお、実際の有機層1420は複数の層からなる積層体であるが、散乱層のベース材の屈折率と透光性電極の屈折率との関係に注目するため、単層とした。反射電極1430は、屈折率1.0とした。ここで、実際の反射電極1430はアルミニウムなどの金属であるが、散乱層のベース材の屈折率と透光性電極の屈折率との関係に注目するため、屈折率を1.0とした。また、反射率は厚みに依存しないため、反射電極1430の厚さについては考慮しないことにした。
以上のように想定したモデルをBPM法(Beam Propagation Method)を用いて計算した。ここで、計算波長を470nm、有機層へ入射させる光のモードをガウシアン、計算結果を示す出力モニターを透光性電極内に存在する光強度、計算ステップをX=0.01μm、Y=0.005μm、Z=0.5μm、計算領域をX:±4μm、Y:+4μm、−2μm、Z:+1000μmとした。結果を図に示す。
図26は、シミュレーションの結果を示すグラフである。図26の縦軸は透光性電極内の導波路モードのエネルギー量で、取り出し損失に相当する量である。横軸は透光性電極の屈折率である。図からわかるように、透光性電極の屈折率が散乱層のベース材の屈折率より同じか、低い場合には、導波路モードの損失は見られない。一方透光性電極の屈折率が散乱層のベース材の屈折率より高い場合には、その屈折率差(Δn)が大きくなるにつれて、損失が大きくなる。図中でデータが振動しているのは、受光部での電界強度が条件により変化する影響を受けている為だが、上記傾向は変わらない。また透光性電極の厚さが0.1μmから0.3μmの場合では、損失が発生する透光性電極の屈折率は、それぞれ2.10、2.06、2.04となっているが、それよりも厚い場合には、2.0を超えると損失が生じている。しかしながら、Δnが0.2以下であれば、透光性電極の膜厚が変化しても、損失は7%以下であり、散乱層の光取り出し改善効果を十分保つことが可能である。
一般的に、有機LED素子が透光性基板、散乱層、透光性電極、有機層、反射電極の順番に積層したとき、散乱層の屈折率を高くすると、散乱層と透光性基板との屈折率差が大きくなり、散乱層と透光性基板との界面で反射した光は、有機層を介して、反射電極へ進み、反射電極にて反射され、再び散乱層へと戻る。しかしながら、反射電極の反射率は100%ではなく、反射電極での反射を繰り返すうちに、光は減衰してしまう。このように反射電極の反射率が低い場合、散乱層ベース材の屈折率を下げて、基板の屈折率に近づけると、散乱層と基板界面での反射が減少し、その結果反射電極での光減衰も低減することができる。この場合、Δnが0.2以下であれば、導波路モードの損失は軽微であり、光取り出し効率の向上を図ることができる。なお、有機LED素子のある発光波長で△nが0.2以下であってもよく、すべての発光波長で△nが0.2以下であってもよい。
また、本発明の実施の形態の透光性基板の散乱層の写真を図28に示す。ここでは、焼成したガラス散乱層を顕微鏡で観察した時の気泡の分布を示しており、観察した散乱層の厚さは9μm、ガラス組成は、表1に示したAと同一である。ここでは、気泡の輪郭を分かりやすくするように、輪郭を円でなぞって記している。このように、気泡はランダムに、面内でほぼ均一に分布している。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2007年11月9日出願の日本特許出願(特願2007−292522)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上説明してきたように、本発明の電極付き透光性基板は、光散乱性が良好でありかつ安定で信頼性の高い散乱層を具備していることから、光の取り出し効率あるいは取り込み効率を増大することができ、発光デバイス、受光デバイスなどに適用可能である。
100 電極付き透光性基板(有機LED素子用積層体)
101 ガラス基板
102 散乱層
103 透光性電極
104 散乱物質
110 有機層
120 反射性電極

Claims (14)

  1. 透光性のガラス基板と、
    前記ガラス基板上に形成され、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備したガラスからなる散乱層と、
    前記散乱層上に形成され、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極とを具備し、
    前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする有機LED素子用の透光性基板。
  2. 前記散乱層は表面が湾曲面を構成するうねりを形成することを特徴とする請求項1に記載の透光性基板。
  3. 前記散乱層の前記表面のうねりの粗さRaと前記表面のうねりの波長Rλaとの比(Ra/Rλa)が1.0x10−3以上3.0x10−2以下であることを特徴とする請求項2に記載の透光性基板。
  4. 前記散乱層の表面の表面粗さRaが30nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の透光性基板。
  5. 前記散乱層中における前記散乱物質の含有率は少なくとも1vol%である請求項1乃至4のいずれか一つに記載の透光性基板。
  6. 前記散乱物質は気泡であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の透光性基板。
  7. 前記散乱物質は前記ベース材を構成するガラスの析出結晶であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の透光性基板。
  8. 前記散乱層1mm当たりの前記散乱物質の数は少なくとも1×10個であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の透光性基板。
  9. 前記散乱層が、Pが20〜30mol%、Bが、3〜14mol%、LiOとNaOとKOの総量が10〜20mol%、Biが10〜20mol%、TiOが3〜15mol%、Nbが10〜20mol%、WOが5〜15mol%を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の透光性基板。
  10. 透光性のガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板上に、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備した散乱層を形成する工程と、
    前記散乱層上に、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極を形成する工程とを備え、
    前記散乱層を形成する工程は、
    前記ガラス基板上にガラス粉末を含む塗布材料を塗布する工程と、
    前記塗布されたガラス粉末を焼成する工程とを含み、
    前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下であることを特徴とする有機LED用の透光性基板の製造方法。
  11. 前記焼成する工程は、前記塗布されたガラス材料のガラス転移温度よりも40〜60℃高い温度で焼成することを特徴とする請求項10に記載の透光性基板の製造方法。
  12. 前記塗布する工程は、粒径のD10が0.2μm以上でかつ、D90が5μm以下であるガラス粉末を塗布することを特徴とする請求項10または11に記載の透光性基板の製造方法。
  13. 透光性のガラス基板と、
    前記ガラス基板上に形成され、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された、前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備したガラスからなる散乱層と、
    前記散乱層上に形成され、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極と、
    前記透光性電極上に形成される有機層と、
    前記有機層上に形成される反射電極とを具備し、
    前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下としたことを特徴とする有機LED素子。
  14. 透光性のガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板上に、透過する光の少なくとも1波長に対して第1の屈折率を有するベース材と、前記ベース材中に分散された前記ベース材と異なる第2の屈折率を有する複数の散乱物質とを具備した散乱層を形成する工程と、
    前記散乱層上に、前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有する透光性電極を形成する工程と、
    前記透光性電極上に有機層を形成する工程と、
    前記有機層上に反射電極を形成する工程とを備え、
    前記第1の屈折率と前記第3の屈折率との差が0.2以下としたことを特徴とする有機LED素子の製造方法。
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