JP2015092221A - カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】高明度であり、かつ耐熱性、耐溶剤性に優れたカラーフィルタ用着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタを提供する。
【解決手段】着色剤と、樹脂と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、該着色剤が、特定の式で表わされる色素単量体(A)と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物とからなる造塩化合物(B)とを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、並びにこれを用いて形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタに関するものである。
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。その他の代表的な液晶表示装置の方式としては、一対の電極を片側の基板上に設けて基板に平行な方向に電解を印加するイン・プレーン・スイッチング(IPS)方式、負の誘電異方性をもつネマチック液晶を垂直配向させるヴァーティカリー・アライメント(VA)方式、また一軸性の位相差フィルムの光軸を互いに直交させ、光学補償を行なっているオプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)方式等があり、それぞれが実用化されている。
液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト化、高明度化の要求が高まっている。
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐溶剤性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
カラーフィルタに要求される品質項目としては、明度とコントラスト比が挙げられる。コントラスト比が低いカラーフィルタを用いると、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまい、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となってしまう。そのため高品質な液晶表示装置を実現するためには、高コントラスト化が不可欠である。
また、明度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いため、暗い画面となってしまい、明るい画面とするためには、光源であるバックライトの数を増量する必要がある。そのため消費電力の増大を抑制する観点から、カラーフィルタの高明度化がトレンドとなっている。さらに、前述のようにカラー液晶装置がテレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高明度化、高コントラスト化とともに、高い信頼性の要求も高くなっている。
近年、顔料で達成し得ない高コントラスト比・高明度化を実現するため、特許文献1のように、着色剤として染料を使用する技術が提案されている。しかし、例えば特許文献2に記載されているように、染料の特性として、顔料に比較して耐熱性・耐光性など堅牢性に劣る傾向がある。これまでにも特許文献3、4のように解決が検討されているが、カラーフィルタ用として適応するために必要な耐溶剤性が劣り、部材として不適合となるなどの欠点があった。また、特許文献5に記載されているように、染料は、カラーフィルタ用着色物として好適な有機溶剤への溶解性が劣る傾向にある。そのため、染料の使用においては、溶剤溶解性と堅牢性の両立という技術的課題に対する解決が求められている。
特開平6−75375号公報 特開平8−327811号公報 特開2012−098522号公報 特開2012−173399号公報 特開2008−304766号公報
本発明の目的は、高明度であり、かつ耐熱性、耐溶剤性に優れたカラーフィルタ用着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタを提供することである。
本発明者らは、上記の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する色素単量体と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物とからなる造塩化合物(B)とを含むことにより、高い明度が可能となり、また、耐熱性や耐光性についても優れた性能を達成することを見出し、本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は、着色剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、該着色剤が、下記一般式(1)で表わされる色素単量体(A)と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物との造塩化合物(B)(ただし色素単量体(A)である場合を除く)とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する。

[一般式(1)中、Qは有機色素骨格を表す。
Xは、直接結合、−R2−、−NH−R3−、−O−R3−、−CO−R3−、−COO−R3−、または−O−CO−R3−を表す。
1は、水素原子、またはメチル基を表す。
2は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のエステル結合(−COO−)もしくはエーテル結合(−O−)から選ばれる一種類以上の結合を少なくとも1つ含むアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−R4−O−R5−、−R4−CO−R5−、−R4−COO−R5、−R4−O−CO−R5−、−R4−O−CONH−R5−、または−R4−O−CO−R6−CO−R5−を表す。
3は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−R4−O−R5−、−R4−CO−R5−、−R4−O−CO−R5−、−R4−O−CONH−R5−、または−R4−O−CO−R6−CO−R5−を表す。
4およびR6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。
5は、置換もしくは無置換のアルキレン基、または−O−CH2−CHOH−CH2−を表す。]
また、本発明は、一般式(1)における有機色素骨格Qが、下記一般式(2)で示されるキサンテン系染料骨格、下記一般式(3−1)で示されるアントラキノン系染料骨格、下記一般式(3−2)で示されるアントラキノン系染料骨格、下記一般式(3−3)で示されるアントラキノン系染料骨格、下記一般式(4−1)で示されるトリアリールメタン系染料骨格、および下記一般式(4−2)で示されるトリアリールメタン系染料骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機色素骨格である前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。

[一般式(2)中、
31〜R34は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R31とR32、およびR33とR34は、環構造を形成しても良い。
35は、各々独立に、1価の置換基を表し、mは、0から5の整数を表す。
は、無機または有機のアニオンを表す。
ここで、R31〜R35のいずれか1つは、Xとの結合手である。]
[一般式(3−1)、(3−2)、および(3−3)中、
41は水素原子、−ROH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、−RCOOH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、または置換基を有してもよいフェニル基を表す。
42〜R48は、各々独立に水素原子、水酸基、−NHR49(R49とR41は同義である)、SO3M基(Mは水素イオン、または金属イオン)、ハロゲン原子、−COR’(R’は炭素数1−3のアルキル基を表す)である。
ここで、R41〜R48のいずれか1つは、Xとの結合手である。]
[一般式(4−1)、および(4−2)中、
211、R212、R213、R214、R23、R24は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有してもよいフェニル基を表すか、あるいは隣接するR同士が結合して環を形成する。
22、R25、およびR26、は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいアミノ基、またはフッ素原子を表す。
は、無機または有機のアニオンを表す。
ここで、R211〜R214およびR22〜R26のいずれか1つは、Xとの結合手である。]
また、本発明は、造塩化合物(B)のカウンタ化合物が、有機スルホン酸もしくはその金属塩、硫酸エステルもしくはその金属塩、側鎖にアニオン性基を有する樹脂、またはフッ素基含有ホウ素アニオン化合物であることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、硫酸エステルもしくはその金属塩が、下記一般式(11)で表わされることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。

[一般式(11)中、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、
はそれぞれ独立に、水素イオン、または金属イオンを表す。
nは、1〜4の整数を表す。]
また、本発明は、硫酸エステルもしくはその金属塩が、一般式(21)に示すエチレン性不飽和単量体(a−1)であることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。

[一般式(21)中、
1は水素原子、またはメチル基を表す。
2は、単結合または2価の連結基を表し、
Aは一般式(22)を表し、
+は無機または有機のカチオンを表す。]

[一般式(22)中、
4は置換基を有しても良いアルキレン基を表し、n=1〜20の整数である。]
また、本発明は、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物が、下記一般式(31)で表わされるアニオンを有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。

[一般式(31)中、
12〜R15はそれぞれ独立に、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基、水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていても良いアリール基を表し、
12〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていても良いアリール基を表す。
ただし、R12〜R15がすべてフッ素原子である場合は除く。]
また、本発明は、R12〜R15の少なくとも一つが、一般式(32)で表される構造であることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。

[一般式(32)中、
16〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、またはフッ素原子を示す。
ただし、R16〜R20がすべて水素原子である場合は除く。]
また、本発明は、さらに、フタロシアニン染料(ただし色素単量体(A)である場合を除く)を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、さらに、酸化防止剤を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、基材上に、前記カラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、特定の構造を有する色素単量体と特定の造塩化合物とを含むことにより、耐熱性や耐光性に優れ、さらに高い明度を達成することができる。そのため、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いることにより、特性に優れたカラーフィルタを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデクッス(C.I.)を意味する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤と、樹脂と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、該着色剤が、一般式(1)で表わされる色素単量体(A)と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物とからなる造塩化合物(B)とを含有する。
まず、本発明のカラーフィルタ用着色組成物の各種構成成分について説明する。
<着色剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤として、一般式(1)で表される色素単量体(A)と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物とからなる造塩化合物(B)とを含有する。これらの着色剤を含むことで、有機溶剤への溶解性良好であり、耐熱性など堅牢性にも優れたものとなる。
色素単量体(A)と造塩化合物(B)の含有割合は、造塩化合物(B)100重量部に対し色素単量体(A)が1〜80重量部が好ましい。より好ましくは10〜40重量部である。色素単量体(A)の含有量が1重量部以上、80重量部以下の場合、耐熱性、耐溶剤性により優れるために好ましい。
《色素単量体(A)》
色素単量体(A)は、一般式(1)で表される色素である。このような(メタ)アクリロイル基を含有する色素単量体は、通常の染料より有機溶剤への溶解性が向上するほか、耐熱性など堅牢性の向上にも寄与するため、カラーフィルタ用着色組成物として好適となる。
一般式(1)中、Qは有機色素骨格を表す。
Xは、直接結合、−R2−、−NH−R3−、−O−R3−、−CO−R3−、−COO−R3−、または−O−CO−R3−を表す。
1は、水素原子、またはメチル基を表す。
2は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のエステル結合(−COO−)もしくはエーテル結合(−O−)から選ばれる一種類以上の結合を少なくとも1つ含むアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−R4−O−R5−、−R4−CO−R5−、−R4−COO−R5、−R4−O−CO−R5−、−R4−O−CONH−R5−、または−R4−O−CO−R6−CO−R5−を表す。
3は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−R4−O−R5−、−R4−CO−R5−、−R4−O−CO−R5−、−R4−O−CONH−R5−、または−R4−O−CO−R6−CO−R5−を表す。
4およびR6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。
5は、置換もしくは無置換のアルキレン基、または−O−CH2−CHOH−CH2−を表す。
本発明における「置換基」としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価〜3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。したがって、置換基を有してもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、p-メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3−カルバモイルフェニル基、2−クロロ−4−カルバモイルフェニル基、2−メチル−4−カルバモイルフェニル基、2−メトキシ−4−カルバモイルフェニル基、2−メトキシ−4−メチル−3−スルファモイルフェニル基、4−スルホフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−メチル−4−スルホフェニル基のほか、後述の有機色素骨格Qなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2〜R6における置換もしくは無置換のアルキレン基としては、下記置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1から30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から30であり、エステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)から選ばれる一種類以上の結合を少なくとも1つ含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基から1個の水素原子を除いて出来る2価の基が挙げられる。
炭素数1から30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルドデシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
炭素数2から30であり、エステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)から選ばれる一種類以上の結合を少なくとも1つ含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH(−CH3)−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−OCO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−(CH2)5−COO−(CH211−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH−(COO−CH2−CH3) 2、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8の整数である)、−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5の整数である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−CH2−CH−(OCH32、−CH2−CH2−COO−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CO−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−CH2−CH2−COO−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
炭素数2から30であり場合により、エステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)から選ばれる一種類以上の結合を少なくとも1つ含む単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
2〜R6における置換もしくは無置換のアルケニレン基としては、下記置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられる。それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基から1個の水素原子を除いて出来る2価の基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
2〜R6における置換もしくは無置換のアリーレン基としては、炭素数6〜30を有する置換もしくは無置換のヘテロ原子を含んでもよい単環または縮合多環芳香族基であり、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−ビフェニル基、m−ビフェニル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、9−フルオレニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、3−ペリレニル基、ターフェニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ナフトチエニル基、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾイル基、ピリジル基、インドール基、チアゾール基から1個の水素原子を除いて出来る2価の基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、R2〜R6における置換もしくは無置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
そのような置換基としては、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、ニトロ基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Xは、直接結合、−R2−、−O−R3−、または−COO−R3−であることが好ましく、直接結合、無置換のアルキレン基、−COO−R3−(R3は炭素数1〜5のアルキレン基)、または−R4−O−R5−(R4およびR5は各々独立して炭素数1〜5のアルキレン基)、であることがより好ましい。
(有機色素骨格・Q)
一般式(1)中の有機色素骨格・Qとしては、特に制限はなく、公知の色素構造を含む種々のものを適用することができる。公知の色素構造としては、例えば、アゾ色素、アゾメチン色素(インドアニリン色素、インドフェノール色素など)、ジピロメテン色素、キノン色素(ベンゾキノン色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、アントラピリドン色素など)、カルボニウム色素(ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、アクリジン色素など)、キノンイミン色素(オキサジン色素、チアジン色素など)、アジン色素、ポリメチン色素(オキソノール色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、スチリル色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素など)、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、ペリノン色素、インジゴ色素、チオインジゴ色素、キノリン色素、ニトロ色素、ニトロソ色素、及びそれらの金属錯体色素から選ばれる色素に由来する色素構造などを挙げることができる。
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ色素、ジピロメテン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が最も好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The
Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
中でもQは、キサンテン系、アントラキノン系、およびトリアリールメタン系からなる群から選択される有機色素骨格であることが好ましい。
これら有機色素としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等いずれを用いても良いが、酸性染料、直接染料、油溶性染料、塩基性染料、を用いることが、反応性に優れ、色素単量体(A)を容易に生成することができるために好ましい。
キサンテン系染料、アントラキノン系染料、およびトリアリールメタン系染料といった有機色素骨格の中でも、Qが、一般式(2)で表されるキサンテン系染料骨格、一般式(3−1)〜(3−3)で表されるアントラキノン系染料骨格、および一般式(4−1)、(4−2)で表されるトリアリールメタン系染料骨格からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが、透明性、およびコントラスト比に優れたものとすることができるために好ましい。より好ましくは、キサンテン系染料骨格である。
<キサンテン系染料骨格>
キサンテン系染料骨格とは、キサンテン環を含む染料骨格であり、水酸基を含む酸性形(フルオレセインの類)、アミノ基を含む塩基性形(ローダミンの類)、その混合系(ロドールの類)に大別される。その大部分は塩基性染料または酸性染料に属し、著しく鮮明な色調を有している。中でも色調の点でローダミン染料骨格が好ましいものである。
キサンテン系染料骨格のなかでも、一般式(2)で表されるキサンテン系染料骨格は、明度および耐性に優れるために好ましいものである。
一般式(2)中、
31〜R34は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R31とR32、およびR33とR34は、環構造を形成しても良い。
35は、各々独立に、1価の置換基を表し、mは、0から5の整数を表す。
は、無機または有機のアニオンを表す。
ここで、R31〜R35のいずれか1つは、Xとの結合手である。
一般式(2)における1価の置換基を、下記置換基群Aで示す。
「置換基群A」
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。以下詳細に記述する。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖もしくは分岐のアルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
直鎖もしくは分岐のアルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)やトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N'−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
置換基群Aの置換基の中で、水素原子を有するものは、官能基中の水素原子の部分が、さらに置換されていてもよい。置換基として導入可能な官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
一般式(2)中のR31とR32、R33とR34、及びmが2以上の場合のR35同士は、各々独立に、互いに結合して5員、6員若しくは7員の飽和環、又は5員、6員若しくは7員の不飽和環を形成していてもよい。例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。 形成される5員、6員又は7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前述の置換基群Aで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
特に、R32及びR33は水素原子または、置換もしくは無置換のアルキル基であり、R31及びR34は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。
また、R35はハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが好ましい。R31及びR34のフェニル基が有する置換基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが最も好ましい。
Xとの結合手は、R35であることが好ましい。
以下に、キサンテン系染料骨格を有する色素単量体の前駆体として用いることのできるキサンテン系染料の具体例として、下記の酸性染料、油溶性染料、塩基性染料等を挙げるが、これらに制限させるものではない。
[キサンテン系酸性染料]
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが最も好ましい。
[キサンテン系油溶性染料]
キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、またはC.I.ソルベントバイオレット10等が挙げられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2がより好ましい。
[キサンテン系塩基性染料]
キサンテン系塩基性染料としては、C.I. ベーシック レッド 1(ローダミン6GCP)、8(ローダミンG)、C.I. ベーシック バイオレット 10(ローダミンB)、11等があげられる。中でも発色性に優れる点において、C.I. ベーシック レッド 1、C.I. ベーシック バイオレット 10、11を用いることが好ましい。
[カウンター・アニオンY
は無機または有機のアニオンを表し、アニオンイオンを有するものであれば、いずれも使用可能である。
代表的なものとしては、カルボン酸イオン、ハロゲン化物イオン(クロライドイオン、ブロマイドイオンなど)、トリフラートイオン、硫酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば炭素数1〜20のアルキルスルホネート、ベンゼンスルホネートなど)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレートなど)、安息香酸イオン、しゅう酸イオン、過ハロゲン酸イオン、チオシアン酸イオン、フッ素基含有リンアニオン、フッ素基含有ホウ素アニオン、シアノ基含有窒素アニオン、スルホン酸基含有窒素アニオン、またはハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオンなどが挙げられ、好ましく用いることができる。
または、これらのアニオン性基を側鎖に有する樹脂を用いることもでき、このような樹脂のなかでも、アニオン部位が、―SO 、または−COOである樹脂が好ましい。このような樹脂としては、後述する造塩化合物(B)のカウンター化合物として記載した、側鎖にアニオン性基を有する樹脂を用いることもできる。
また、後述する造塩化合物(B)の造塩に用いることのできるカウンター化合物で記載された、アニオン性化合物を用いることもできる。
これらのアニオンYのなかでも、耐性付与の点から、硫酸イオン、有機スルホネートイオン、スルホン酸基含有窒素アニオン、フッ素基含有ホウ素アニオン、またはハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオンが好ましい。
より好ましくは、硫酸イオン、スルホン酸基含有窒素アニオン、フッ素基含有ホウ素アニオン、またはハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオンである。
より好ましくは、
硫酸イオンとして、一般式(11)、または一般式(12)で表わされる硫酸エステルまたはその金属塩であり、
フッ素基含有ホウ素アニオンとして、B(CN)、(CF、(C、[(CFであり、
ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオンとして、スルホンイミド酸(−SO2 NHSO2 −)である。
用いることのできるアニオンの具体例を下記に記載するが、これに限定されるものではない。
フッ素基含有リンアニオンとしては、PF 、(CFPF 、(CPF 、(CPF 、[(CFCF]PF 、[(CFCF]PF 、(n−CPF 、(n−CPF 、(n−CPF 、(C)(CFPF 、[(CFCFCFPF 、[(CFCFCFPF 、(n−CPF 、(n−CPF 、(CH)(CFPF 、(CPF 、(C)(CFPF 等が挙げられる。
これらのなかでも、PF 、(CPF 、(CPF 、((n−CPF 、(n−CPF 、[(CFCF]PF 、[(CFCF]PF 、[(CFCFCFPF 、[(CFCFCFPF が好ましい。
フッ素基含有ホウ素アニオンの具体例としては、BF−、(CF、(CFBF、(CFBF 、(CF)BF 、(C、(CBF、(C)BF 、(CBF 、(CF)(CBF、(C、[(CF、(CF、(CBF 、(C)BF 、(C、B(CN) 、B(CN)F 、B(CN) 、B(CN)、(CFB(CN)、(CFB(CN) 、(CB(CN)、(CB(CN) 、(n−CB(CN)、(n−CB(CN)、(n−CB(CN) 、(n−CB(CN)、(CHFB(CN)、(CHFB(CN) 、(CHCFB(CN)、(CHCFB(CN) 、(CHB(CN)、(CHB(CN) 、(CHCHB(CN) 、(n−CCHB(CN) 、(CB(CN)等が挙げられる。
中でも、B(CN)、(CF、(C、[(CFが好ましい。
シアノ基含有窒素アニオンとしては、[(CN)N]、[(FSON]、[(FSO)N(CFSO)]、[(FSO)N(CFCFSO)]、[(FSO)N{(CFCFSO}]、[(FSO)N(CFCFCFSO)]、[(FSO)N(CFCFCFCFSO)]、[(FSO)N{(CFCFCFSO}]、[(FSO)N{CFCF(CF)CFSO}]、[(FSO)N{(CFCSO}]等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基としては、特に限定されるものではないが、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸としては、例えば、ハロゲン化炭化水素基を有するスルホン酸(−SO3 H)、スルホンイミド酸(−SO2 NHSO2 −)等を挙げることができる。
<アントラキノン系染料骨格>
アントラキノン系染料骨格は、アントラキノン骨格を有するものであれば、制限されないが、ジアミノアントラキノン骨格を有するアントラキノン系染料骨格が、耐熱性、耐光性を有しながら、発色性、色再現性、高明度を呈することの点において好ましいものである。これらが耐熱性、耐光性に優れる理由は、アントラキノン骨格のカルボニル基の部分と、アミノ基の部分とが水素結合で結合することで構造が安定することと推測される。
アントラキノン系染料骨格のなかでも、一般式(3−1)、(3−2)、および(3−3)で表されるアントラキノン系染料骨格は、明度および耐性に優れるために好ましいものである。
一般式(3−1)、(3−2)、および(3−3)中、R41は水素原子、−ROH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、−RCOOH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、または置換基を有してもよいフェニル基を表す。R42〜R48は、各々独立に水素原子、水酸基、−NHR49(R49とR41は同義である)、SO3M基(Mは水素イオン、または金属イオン)、ハロゲン原子、−COR’(R’は炭素数1−3のアルキル基を表す)である。ここで、R41〜R48のいずれか1つは、Xとの結合手である。
一般式(3−1)、(3−2)、および(3−3)中の、R41は、−ROH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、−RCOOH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、置換基を有してもよいフェニル基であることが好ましい。R42〜R48は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、またはアルコキシ基であることが好ましい。
Xとの結合手は、R41、R48のいずれかであることが好ましく、より好ましくはR41である。
また、Mは水素イオン、または金属イオンである。金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが挙げられ、具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げれらる。
一般式(3−1)、(3−2)、および(3−3)におけるアルキレン基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が有することの出来る「置換基」としては、前記キサンテン系染料骨格の項で挙げた「置換基群A」と同様である。
アントラキノン系染料骨格を有する色素単量体の前駆体として用いることのできるアントラキノン系染料の具体例としては、下記の酸性染料、油溶性染料を挙げることができるが、これらに制限させるものではない。
[アントラキノン系酸性染料]
アントラキノン系酸性染料としては、C.I. アシッドブルー23、25、27、35、40、41、43、45、47、49、51、53、55、56、62、68、69、78、80、81:1、11、124、127、127:1、140、150、175、215、230、277、344、C.I. アシッドバイオレット41、42、43、C.I. アシッドグリーン25、27、またはダイレクトバイオレット17等が挙げられる。
[アントラキノン系油溶性染料]
アントラキノン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド172、222、C.I.ソルベントバイオレット60等が挙げられる。
<トリアリールメタン系染料骨格>
トリアリールメタン系染料骨格としては、ジアミノトリアリールメタン系染料骨格、トリアミノトリアリールメタン系染料骨格、OH基を有するロゾール酸系染料骨格等があげられる。
トリアミノトリアリールメタン系染料骨格は、色調に優れ、他のものよりも日光堅牢性に優れている点で好ましい。その中でも、塩基性染料であるジフェニルナフチルメタン染料骨格が特に好ましい。
トリアリールメタン系染料骨格は、400乃至430nmの波長範囲において透過率が高い分光特性を有しており、本発明の色素単量体(A)として用いることで、分光特性だけでなく、耐性にも優れた着色剤とすることができる。
トリアリールメタン系染料骨格のなかでも、一般式(4−1)、および(4−2)で表されるトリアリールメタン系染料骨格は、明度および耐性に優れるために好ましいものである。
一般式(4−1)、および(4−2)中、
211、R212、R213、R214、R23、R24は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有してもよいフェニル基を表すか、あるいは隣接するR同士が結合して環を形成する。
22、R25、およびR26、は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいアミノ基、またはフッ素原子を表す。
は、無機または有機のアニオンを表す。
ここで、R211〜R214およびR22〜R26のいずれか1つは、Xとの結合手である。
一般式(4−1)、(4−2)の、R211〜R214は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルキル基がより好ましい。R23およびR24はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、R23およびR24はともに水素原子であることがより好ましい。R25は置換基を有してもよいアミノ基であることが好ましく、R22およびR26は水素原子であることが好ましい。
Xとの結合手は、R22、R25、R26のいずれかであることが好ましく、より好ましくはR25である。
一般式(4−1)、および(4−2)におけるアルキル基、フェニル基、およびアルケニル基が有することの出来る「置換基」としては、前記キサンテン系染料骨格の項で挙げた「置換基群A」と同様である。
トリアリールメタン系染料骨格を有する色素単量体の前駆体として用いることのできるトリアリールメタン系染料の具体例としては、下記の酸性染料、塩基性染料等を挙げることができるが、これらに制限させるものではない。
[トリアリールメタン系酸性染料]
トリアリールメタン系酸性染料としては、C.I. アシッドブルー1、3、5、7、9、11、15、17、19、22、24、38、48、75、83、90、91、93、93:1、100、103、104、109、110、119、147、269、123、213、C.I. ダイレクトブルー41、C.I. アシッドバイオレット17、19、21、23、25、38、49、72、ダイレクトブルー41などが挙げられる。
[トリアリールメタン系塩基性染料]
トリアリールメタン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック バイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンEX)、同7(ビクトリアピュアブルー BO)、同26(ビクトリアブルー B conc.)、C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイトグリーン)等があげられる。
中でもC.I.ベーシック ブルー7、同グリーン 4、同バイオレット1、同バイオレット3を用いることが好ましい。
[カウンター・アニオンY
はアニオンを表す。Yは前記キサンテン系染料の項で挙げたアニオンと同様である。
(色素単量体(A)の製造方法)
本発明の色素単量体(A)の合成方法としては、官能基を有する有機色素の基本骨格に一般的な有機合成手法によって重合性部位を導入するか、有機色素の合成原料に重合性部位を導入した後に、染料を合成することによって得ることができる。
例えば、ヒドロキシル基を有する有機色素と、重合性基を有するカルボン酸クロライドを反応させて両者をエステル結合させることにより、色素単量体(A)を製造することができる。
あるいは、カルボキシル基を有する有機色素とエポキシ基を有する重合性化合物もしくはヒドロキシル基を有する重合性化合物等を反応させることにより、色素単量体(A)を製造することができ、従来公知のどのような方法を用いても、本発明の色素単量体(A)が得られれば、制限はない。
原料として用いることのできる有機色素について、酸性染料、油溶性染料、塩基性染料等を挙げることができるが、得られた色素単量体が、一般式(1)に表される構造を有するものであれば、どのような有機色素、および化合物等を用いて合成したものであっても、制限はない。
(色素単量体(A)の造塩化合物、誘導体)
色素単量体(A)は、良好な分光特性を有し、発色性に優れるものの、耐光性、耐熱性に問題があり、高い信頼性が要求されるカラーフィルタを使用する画像表示装置に用いるには、その特性は十分なものではない場合がある。
そのため、これらの欠点を改善するために、塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることが耐性の面で好ましい。
また、酸性染料、直接染料の形態の場合は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることが耐性の面で好ましい。
これらの中でも特に、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、またはハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
《造塩化合物(B)》
造塩化合物(B)は、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物とからなる造塩化合物であって、このような造塩化合物(B)を用いたカラーフィルタ着色組成物を用いることにより、耐熱性、耐光性が良好で、さらに高明度なカラーフィルタとすることができる。ただし、色素単量体(A)である場合を除く。
このようなトリアリールメタン系塩基性染料とカウンタ化合物は水溶液、アルコール溶液中等に両者を溶解させることで反応し、造塩化合物(B)を得ることができる。あるいは両者を加熱しながら溶融混練することで得ることも可能である。
[トリアリールメタン系塩基性染料]
トリアリールメタン系塩基性染料は、中心の炭素に対してパラの位置にあるNH2あるいはOH基が酸化によりキノン構造をとることによって発色するものである。
NH2、OH基の数によって以下3つの型に分けられるが、中でもトリアミノアリールメタン系の塩基性染料の形態であることが良好な青色、赤色、緑色を発色する点で好ましいものである。a)ジアミノトリアリールメタン系塩基性染料b)トリアミノトリアリールメタン系塩基性染料c)OH基を有するロゾール酸系塩基性染料
トリアミノトリアリールメタン系塩基性染料、ジアミノトリアリールメタン系塩基性染料は色調が鮮明であり、他のものよりも日光堅ロウ性に優れ好ましいものである。
ブルー系のトリアリールメタン系塩基性染料は、400〜440nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有しているために、とくに青色フィルタセグメントの形成用に用いた場合に、高い明度とすることができるために好ましいものである。
好ましいトリアリールメタン系塩基性染料の具体例としては、下記一般式(51)で表される化合物が挙げられるが、これに限定されない。
一般式(51)中、R1A〜R1Fは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
R2AおよびR3Aは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、エチル基を表す。
は、カウンタ化合物と塩交換可能な有機、または無機のアニオンである。
R1A〜R1F、Rにおけるアルキル基としては、炭素数1から30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から30であり1個以上のエステル結合(−COO−)および/またはエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1から30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
炭素数2から30であり1個以上のエステル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH(−CH3)−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−OCO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−(CH2)5−COO−(CH211−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH−(COO−CH2−CH3) 2等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、炭素数2から30であり1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−(CH2−CH2−O)n−CH3(ここでnは1から8である)、−(CH2−CH2−CH2−O)m−CH3(ここでmは1から5である)、−CH2−CH(CH3)−O−CH2−CH3−、−CH2−CH−(OCH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
炭素数2から30であり場合により1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
さらに、炭素数3から30であり1個以上のエステル結合(−COO−)およびエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、アルキル基の具体例としては、−CH2−CH2−COO−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−CH2−CH2−COO−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
R1A〜R1F、Rにおけるアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられる。それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
R1A〜R1Fにおけるアリール基としては、炭素数6〜18を有する単環または縮合多環芳香族基であり、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−ビフェニル基、m−ビフェニル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、9−フルオレニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、3−ペリレニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これらR1A〜R1F、Rにおけるアルキル基、アルケニル基、および、R1A〜R1Fにおけるアリール基は、置換基を有しても良い。そのような置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられ、これらは前述したものと同義である。
R2AおよびR3Aは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、エチル基を表す。好ましくは、水素原子、またはメチル基である。
トリアリールメタン色素のカチオンの位置は、安定な共鳴構造が取れる位置であればどこでも良く、アミン部分のいずれかの窒素部分でも、トリアリールメタンの中心炭素部分でも良い。
は、本発明におけるカウンタ化合物と塩交換可能な有機、または無機のアニオンである。
通常ハロゲンであることが好ましく、クロライドイオン等である。
例えば一般式(52)で示されるトリアリールメタン色素は対応するトリアリールメタン塩基性染料と特定の硫酸ナトリウム塩やカリウム塩、アンモニウム塩等とを塩交換することで得ることができる。
トリアリールメタン系塩基性染料として具体的には、C.I.ベーシック バイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンEX)、同7(ビクトリアピュアブルー BO)、同26(ビクトリアブルー B
conc.)、C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイトグリーン)等があげられる。
中でも明度の点から、C.I.ベーシック ブルー7を用いることが好ましい。
[カウンタ化合物]
本発明において、カウンタ化合物は、無機または有機のアニオン性化合物であって、トリアリールメタン系塩基性染料と造塩可能なアニオンを有する化合物であれば、いずれも使用可能である。
代表的なアニオンとしては、トリフラートイオン(CFSO )、安息香酸イオン(CCOO)、しゅう酸イオン(C 2−)、過ハロゲン酸イオン(ClO 、FO 、BrO 、IO 等)、チオシアン酸イオン(SCN等)、硫酸イオン(SO 2−、HSO 等)、ヘテロポリ酸、有機カルボン酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば炭素数1〜20のアルキルスルホネート、ベンゼンスルホネートなど)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレートなど)、スルホン酸基含有窒素アニオン、フッ素基含有ホウ素アニオン、フッ素基含有リンアニオン、シアノ基含有窒素アニオン、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン、または酸性染料などが挙げられ、これらのアニオンを好ましく用いることができる。
または、これらのアニオン性基を側鎖に有する樹脂を用いることもでき、このような樹脂のなかでも、アニオン部位が、―SO 、または−COOである樹脂が好ましい。
これらを有するカウンタ化合物としては、色素単量体(A)が有することのできるカウンター・アニオンで記載したアニオン性化合物を用いることもできる。
これらのアニオンのなかでも、耐熱性の点から、硫酸イオン、有機スルホネートイオン、スルホン酸基含有窒素アニオン、またはフッ素基含有ホウ素アニオンが好ましく、このようなアニオンを有するカウンタ化合物を用いることが好ましい。
より好ましくは、硫酸イオン、またはフッ素基含有ホウ素アニオンを有するアニオンである。
硫酸イオンとしては、一般式(11)、または一般式(12)で表わされる硫酸エステルまたはその金属塩がより好ましく、
フッ素基含有ホウ素アニオンとしては、一般式(31)で表されるアニオンを有する化合物が好ましく、より好ましくは、一般式(31)におけるR12〜R15の少なくとも一つが、一般式(32)で表される構造である化合物である。
また、好ましく使用することのできるアニオン成分としてのカウンタ化合物は、分子量が200〜3500の範囲であるアニオン性の化合物、あるいは側鎖にアニオン性基を有する樹脂である。分子量が200〜3500の範囲であるアニオン性の化合物としては、
具体的にはヘテロポリ酸や、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸等の有機硫酸、芳香族カルボン酸、脂肪酸などの有機カルボン酸といった有機酸、または酸性染料の形態を有するものである。またはそれらの金属塩であってもよい。
カウンタ化合物の分子量が200よりも小さいと、耐熱性、耐光性が低下してしまい、またカウンタ化合物の分子量が3500よりも大きくなると1分子あたりの発色成分の割合が低下してしまい十分な発色ができなくなってしまう場合がある。
さらに酸基を有する樹脂により変性することも好ましいものである。
本発明において規定する分子量、平均分子量は、原子量から換算した理論値で表したものである。また少数第1位を有効数字として計算し、算出された数値を四捨五入し、少数を除外した。
またカウンタ化合物をナトリウム塩などの金属塩として用いた場合は、例えばNaをHに置き換えた上で分子量を考慮するものとする。
カウンタ化合物としては、有機スルホン酸もしくは有機カルボン酸等の有機酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸等の有機硫酸、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物または酸性染料の形態を有することが好ましい。中でも有機スルホン酸、脂肪族硫酸もしくは芳香族硫酸または酸性染料の形態が好ましく、有機スルホン酸もしくはその金属塩、または硫酸エステルもしくはその金属塩(脂肪族硫酸もしくは芳香族硫酸等)、またはフッ素基含有ホウ素アニオン化合物がより好ましい。
(ヘテロポリ酸)
ヘテロポリ酸としては、リンタングステン酸 H3(PW1240)・nH2O(n≒30:≒はニアリーイコールを表す。)(分子量3421)、ケイタングステン酸H4(SiW1240)・nH2O(n≒30)(分子量3418)、リンモリブデン酸 H3(PMo1240)・nH2O(n≒30)(分子量2205)、ケイモリブデン酸 H3(SiMo1240)・nH2O(n≒30)(分子量2202)、リンタングストモリブデン酸 H3(PW12XMoX40)・nH2O(n≒30)(6<X<12)、リンバナドモリブデン酸 H15-X(PV12XMoX40)・nH2O(n≒30)等があげられる。
またリンタングストモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイタングストモリブデン酸は、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸等の構成比を変えることで分子量を2202〜3421の範囲に調整することができる。
またヘテロポリ酸をカウンタ化合物として使用する場合は、その平均分子量は2820〜3421の範囲であることが好ましい。これはモリブデンとタングステンを含む場合、タングステンの割合が50%を超えることが好ましいことによるものである。リンタングストモリブデン酸の場合、Moの含有量を減らしWを多く含ませることで透過性に優れる色材を得ることができる。
(有機酸または有機硫酸)
有機酸としては、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、および芳香族カルボン酸、脂肪酸などの有機カルボン酸、有機硫酸としては、脂肪族硫酸、芳香族硫酸等の有機硫酸が挙げられる。また、これらの金属塩、またはアンモニウム塩等であってもよい。
これらの有機酸、または有機硫酸のなかでも、色相、耐熱性、耐溶剤性の観点から、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸等の有機硫酸が好ましい。なかでも、下記一般式(11)、または一般式(12)で表わされる硫酸エステルまたはその金属塩が好ましく、脂肪族硫酸、もしくは芳香族硫酸、すなわち脂肪族硫酸エステルもしくは芳香族硫酸エステルが色再現性に優れるために好ましい。また、後述の一般式(21)に示すエチレン性不飽和単量体(a−1)で表される硫酸基を有するモノマーも、耐熱性、耐溶剤性の点で好適に用いることができる。または有機スルホン酸またはその金属塩も、特に色再現性に優れるために、好ましいものである。
有機酸、または有機硫酸の場合、好ましいカウンタ化合物の分子量の範囲は、200〜750であり、より好ましい分子量の範囲は、200〜400の範囲である。さらにより好ましくは、250〜400の範囲である。分子量をこの範囲にすることで、耐性と着色力においてバランスのとれた着色剤とすることができ好ましいものである。
「一般式(11)、または一般式(12)で表わされる硫酸エステルまたはその金属塩」

[一般式(11)中、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、M+はそれぞれ独立に、水素イオン、または金属イオンを表す。nは、1〜4の整数を表す。]
Mとして具体的には、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
また、nが2以上である場合には、Mは同じであっても、異なっていても良い。

[一般式(12)中、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、M’m+はそれぞれ独立に、金属イオンを表す。mは、2〜4の整数を表す。]
M’として具体的には、アルカリ土類金属、遷移金属等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ、遷移金属としては、マンガン、銅等が挙げられる。
Rにおける置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素数1から30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から30であり1個以上のエステル結合(−COO−)および/またはエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。
炭素数1から30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、4−デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
炭素数2から30であり1個以上のエステル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH(−CH3)−CH2−COO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−OCO−CH2−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH2−COO−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−(CH25−COO−(CH211−CH3、−CH2−CH2−CH2−CH−(COO−CH2−CH32等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、炭素数2から30であり1個以上のエーテル結合を含む直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、−(CH2−CH2−O)t−CH3(ここでtは3から8である)、−(CH2−CH2−CH2−O)p−CH3(ここでpは2から5である)、等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
炭素数2から30であり場合により1個以上のエーテル結合を含む単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
さらに、炭素数3から30であり1個以上のエステル結合(−COO−)およびエーテル結合(−O−)を含む直鎖状、分岐鎖状、アルキル基の具体例としては、−CH2−CH2−COO−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3、−CH2−CH2−COO−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH(CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Rにおける置換もしくは無置換のアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられる。それらは構造中に複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。具体例としては、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、5−オクテニル基、6−オクテニル基、7−オクテニル基、等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
芳香族スルホン酸として好ましい化合物は、1−ナフチルアミン−4,8−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−3,8−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−5,7−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−3,6−ジスルホン酸(分子量303)、1−ナフチルアミン−3,6,8−トリスルホン酸(コッホ酸)(分子量383)、2−ナフチルアミン−6,8−ジスルホン酸(分子量303)、2−ナフチルアミン−1,6−ジスルホン酸(分子量303)、2−ナフチルアミン−4,8−ジスルホン酸(分子量303)、2−ナフチルアミン−3,6−ジスルホン酸(アミノ−R酸)(分子量303)、2−ナフチルアミン−5,7−ジスルホン酸(アミノJ酸)(分子量303)、1−ナフトール−4,8−ジスルホン酸(分子量304)、1−ナフトール−3,8−ジスルホン酸(ε酸)(分子量304)、1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量304)、1−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸(分子量384)、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸(分子量304)、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(R酸)(分子量304)、2−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸(分子量384)、N−フェニル−1−ナフチルアミン−8−スルホン酸(分子量299)、N−p−トリル−1−ナフチルアミン−8−スルホン酸(分子量313)、N−フェニル−1−ナフチルアミン−5−スルホン酸(分子量299)、N−フェニル−2−ナフチルアミン−6−スルホン酸(分子量299)、N−アセチル−7−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量281)、N−フェニル−7−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量315)、N−アセチル−6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量281)、N−フェニル−6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量315)、1,8−ジハイドロ−3,6−ジスルホン酸(クロモトロープ酸)(分子量320)、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量319)、8−アミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸(分子量319)、1,6−ジアミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸(分子量254)、1−アミノ−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸(分子量319)、1−アミノ−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量319)、2,8−ジアミノ−1−ナフトール−5,7−ジスルホン酸(分子量334)、2,7−ジアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量254)、2,6−ジアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量254)、2,8−ジアミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(分子量334)、2−アミノ−7−フェニルアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸(分子量330)、7−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸(分子量383)、1−アミノ−2,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,2,3−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、1−アミノ−2,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−2,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−2,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,3,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,2,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383) 、4−アミノ−1,2,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,2,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,2,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,2,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,4,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−2,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,2,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,2,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノナフタレン−1,4,6−トリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−2,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,2,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,2,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,3,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,4,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、4−アミノ−1,6,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,2,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,2,3−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、5−アミノ−1,2,4−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,2,4−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アミノ−1,2,3−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,3,4−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,3,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,4,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,4,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,4,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,4,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、3−アミノ−1,2,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、3−アミノ−1,2,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、3−アミノ−1,2,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、3−アミノ−1,2,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,2,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,4,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、2−アミノ−1,6,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,3,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,2,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,2,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,4,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−2,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,2,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,2,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,3,8−ナフタレントリスルホン酸、7−アミノ−1,4,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、3−アミノ−1,6,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,2,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,2,3−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、6−アミノ−1,2,4−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,2,4−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、7−アミノ−1,2,3−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−アセチルアミノ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量383)、8−ヒドロキシ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量384)、2−ヒドロキシナフタレン−3,6,8−トリスルホン酸、1,3,5,7−ナフタレンテトラスルホン酸(分子量448)、1,2,3−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,2,4−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,2,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量368) 、1,2,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,2,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,2,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,3,7−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,3,8−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,4,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、1,4,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、2,3,5−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)、2,3,6−ナフタレントリスルホン酸(分子量368)等があげられる。
またアントラセンスルホン酸(分子量258)、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−1−スルホン酸(分子量288)を用いることも好ましい。
また、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸 分子量223)、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(ナフチオン酸 分子量223)、8−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(ペリ酸 分子量223)、2−アミノ−6−ナフタレンスルホン酸(ブレンナ−酸 分子量223)、1−アミノ−5−ナフタレンスルホン酸(ロ−レンツ酸 分子量223)、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸(分子量223)、1−アミノ−6−ナフタレンスルホン酸(分子量223)、6−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(分子量223)、3−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(分子量223)等の1つのアミノ基と1つのスルホン酸基を有するナフチルアミンスルホン酸を用いることが、耐熱性、耐光性が良好な点において好ましいものである。
これらの中でも2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(トビアス酸)が特に好ましいものである。
さらに、2−ヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸(シェファ酸 分子量224)、1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸(ネビル−ウィンタ−酸:NW酸 分子量224)、1−ヒドロキシ−5−ナフタレンスルホン酸(L酸 分子量224)、2−ヒドロキシ−8−ナフタレンスルホン酸(クロセイン酸 分子量224)等の1つの水酸基と1つのスルホン酸基を有するヒドロキシナフタレンスルホン酸を用いることも好ましい。
中でも発色性が良好で、高明度を達成できる点で、2〜3個のスルホン基を有する有機スルホン酸が好ましい。4個以上のスルホン酸があると環境安定性が悪くなり経時変化を起こしやすく、1個のスルホン酸では塩基性染料とカウンタ化合物とが1:1で反応するために主色とする場合に発色性が悪くなる場合がある。
分子量が200〜250の範囲である有機スルホン酸の場合は、1分子あたりスルホン酸基が1つであっても、カウンタ化合物それ自体としての分子量が小さいことから発色性は損なわれないものである。
また有機カルボン酸としては、テトラクロルフタル酸(分子量304)、パルミチン酸(分子量257)、ステアリン酸(分子量285)、アラキジン酸(分子量313)、ベヘン酸(分子量341)、リグノセリン酸(分子量369)、オレイン酸(分子量282)、エライジン酸(分子量282)、エルカ酸(分子量339)、ネルボン酸(分子量367)、リノ−ル酸(分子量280)、ガモレン酸(分子量278)、アラキドン酸(分子量305)、α−リノレン酸(分子量278)、ステアリドン酸(分子量276)、エイコサペンタエン酸(分子量302)、ドコサヘキサエン酸(分子量328)等があげられる。
「一般式(21)に示すエチレン性不飽和単量体(a−1)]
硫酸基を有するモノマーとして、下記一般式(21)で示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)を用いることが、明度および耐性の面で好ましい。

[一般式(21)中、R1は水素原子、またはメチル基を表す。R2は、単結合または2価の連結基を表し、Aは一般式(22)を表し、Y+は無機または有機のカチオンを表す。]

[一般式(22)中、R4は置換基を有しても良いアルキレン基を表し、n=1〜20の整数である。]
一般式(21)中のR2としては、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいオキシアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、−CH2−O−CH2CH(R3)O−、−CONH−R5−、又は、−COO−R5−、を表し、R3は炭素数1〜30の1価のアルキル基を表し、R5は置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいオキシアルキレン基、又は、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
一般式(21)中、R2の置換基を有してもよいアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、または、オクタメチレン基等;一般式(21)中、R2の置換基を有してもよいオキシアルキレン基の具体例としては、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘキサメチレン基、または、オキシオクタメチレン基等;一般式(21)中、R2の置換基を有してもよいアリーレン基の具体例としては、フェニル基、ノニルフェニル基、または、パラクミルフェニル基等;一般式(21)中、R3の炭素数1〜30の1価のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、または、ドデシル基等;が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
3の炭素数1〜30の1価のアルキル基としては、炭素数1〜18の1価のアルキル基が好ましく、炭素数8〜18の1価のアルキル基が好ましい。理由としては、炭素数の少ないアルキル基の場合は耐熱性に悪影響を与える。また炭素数が大きいアルキル基の場合は、樹脂や染料造塩物を作成する際の溶解性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
一般式(21)中、R5の置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいオキシアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基としては、一般式(1)中のR2で説明したアルキレン基、オキシアルキレン基、アリーレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(21)中のR2としては、その中でも、炭素数8〜18の長鎖アルキル基の分岐を有する、−CH2−O−CH2CH(R3)O−が、重合性、入手性、耐熱性の理由から好ましい。
一般式(21)中、Aは一般式(22)を表す。
本願発明のエチレン性不飽和単量体(a−1)は、スルホ基(SO3)の隣のAが、一般式(22)で示されるアルキレンオキサイドであり、硫酸基を有することを特徴とする。通常、カルボン酸基やスルホン酸基を有する樹脂が使用されるが、本発明者らはカルボキシ基やスルホン酸基よりも酸性度の強い硫酸基を有する樹脂が、カルボキシル基やスルホン酸基よりも、特に塩基性染料との強い相互作用によって塩形成し、着色組成物の耐熱性を向上するものと考え、本発明に至った。
一般式(22)中、R4の置換基を有してもよいアルキレン基の具体例としては、一般式(1)中のR3で説明したアルキレン基が挙げられる。当該アルキレン基の炭素数としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5がより好ましく、炭素数2または3が特に好ましい。
また、一般式(22)中のnは1〜20の整数であり、nが2〜15の整数であることが好ましく、nが5〜10の整数であることがより好ましい。
当該エチレン性不飽和単量体を構成する一般式(21)中におけるY+の成分は、無機または有機のカチオンを表し、公知のものが制限なく採用できる。Yとして具体的には、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム化合物等が挙げられる。その際、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウムであり、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウムであることが好ましい。また、アンモニウム化合物とは、NH4 +または、そのHを炭化水素基などで置換した化合物のことである。
一般式(21)で示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)としては、市販されているものであってもよいし、適宜合成したものであってもよく、具体例としては、第一工業製薬社製市販品の、アクアロンKH−10、KH−1025、若しくは、KH−05等のポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム;HS−10、HS−1025、BC−10、BC−20等のポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム;三洋化成工業社製市販品の、エレミノールRS−3000等のポリオキシアルキレン硫酸ナトリウムメタクリレート;日本乳化剤社製市販品の、アントックスMS−60等のビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩等が挙げられる。
これら一般式(21)に示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)は、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、アクアロンKH−10、KH−05を好ましく用いることができる。
(フッ素基含有ホウ素アニオン化合物)
本発明のフッ素基含有ホウ素アニオン化合物は、下記一般式(31)で表されるアニオンを有することが好ましい。

[一般式(31)において、R12〜R15はそれぞれ独立に、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基、水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていても良いアリール基を表し、R12〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていても良いアリール基を表す。
ただし、R12〜R15がすべてフッ素原子である場合は除く。]
一般式(31)中、R12〜R15で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基及びオクタデシル基が挙げられ、フッ素原子で置換されていても良い。フッ素原子で置換されているアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基及びパーフルオロオクチル基が挙げられる。
アルキル基としては、有機溶剤への溶解性、明度、耐熱性、コントラスト比の観点から、炭素数が1〜20であることが好ましく、2〜18であることがより好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。
一般式(31)中、R12〜R15で表されるアリール基としては、ベンゼン環を含む基、芳香族性を有する縮合環を含む基、2個以上のベンゼン環又は芳香族性を有する縮合環が直接結合した構造を有する基、2個以上のベンゼン環又は芳香族性を有する縮合環がビニレン等の基を介して結合した基などが含まれる。アリール基の炭素数は、6〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。フッ素原子で置換されているアリール基としては、例えば、フッ素基を有していてもよいフェニル基、フッ素基を有していてもよい1−ナフチル基、フッ素基を有していてもよい2−ナフチル基が挙げられる。耐熱性、明度、コントラスト比の観点からフッ素原子が置換基として有することが好ましい。
フッ素基含有ホウ素アニオンの具体例としては、一般式(31)で表わされるフッ素基含有ホウ素アニオンとして具体的には、(CF、(CFBF、(CFBF 、(CF)BF 、(C、(CBF、(C)BF 、(CBF 、(CF)(CBF、(C、[(CF、(CF、(CBF 、(C)BF 、(C、B(CN) 、B(CN)F 、B(CN) 、B(CN)、(CFB(CN)、(CFB(CN) 、(CB(CN)、(CB(CN) 、(n−CB(CN)、(n−CB(CN)、(n−CB(CN) 、(n−CB(CN)、(CHFB(CN)、(CHFB(CN) 、(CHCFB(CN)、(CHCFB(CN) 、(CHB(CN)、(CHB(CN) 、(CHCHB(CN) 、(n−CCHB(CN) 、(CB(CN)等が挙げられる。
中でも、B(CN)、(CF、(C、[(CFが好ましい。
フッ素基含有ホウ素アニオン化合物のカウンターは、NaもしくはKもしくはテトラブチルアンモニウムもしくはトリメチルアンモニウム等である。
また、一般式(31)中、R12〜R15うち少なくとも一つが、一般式(32)で表される構造であることが好ましい。

[一般式(32)において、R16〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、またはフッ素原子を示す。ただし、R16〜R20がすべて水素原子である場合は除く。]
一般式(32)で表される置換基としては、例えばペンタフルオロフェニル基(C)、トリフルオロフェニル基(C)、テトラフルオロフェニル基(CHF)、トリフルオロメチルフェニル基(CF)、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基((CF)、ペンタフルオロエチルフェニル基(CFCF)、ビス(ペンタフルオロエチル)フェニル基((CFCF)、フルオロ−トリフルオロメチルフェニル基(CFF)、フルオロ−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基((CFF)、フルオロ−ペンタフルオロエチルフェニル基(CFCFF)、フルオロ−ビス(ペンタフルオロエチル)フェニル基((CFCFF)などが挙げられる。
これらのうち、明度、耐熱性、コントラスト比の観点から [B(C] [(C)B(C] [(CB(C] [(CB(C)] [(C)B(C(CF ]等が挙げられる。なかでも、[B(C]が好ましい。
(側鎖にアニオン性基を有する樹脂)
側鎖にアニオン性基を有する樹脂としては、少なくとも1つのスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマーを単量体成分として得られる共重合体が好ましく、少なくとも1つのスルホン酸基を含有するモノマーを単量体成分として得られる共重合体がより好ましい。側鎖にアニオン性基を有する樹脂で変性することで、耐熱性、耐光性が付与され、且つ良好な溶解性を持つことができる。
本発明の造塩化合物を含有するカラーフィルタ用着色組成物を調製し、カラーフィルタとしての特性を発現させる場合は、カラーフィルタ用着色組成物を構成するバインダー樹脂と同種の樹脂を使用することが望ましい。バインダー樹脂はビニル樹脂が好ましく用いられることから、造塩化合物を得るための樹脂として、ビニル樹脂が最も好ましい。
また、本発明の側鎖にアニオン性基を有する樹脂としては、下記一般式(51)で表される構造単位を含むビニル系樹脂が好ましく、中でもアクリル系樹脂が好ましく用いられる。
[一般式(51)中、R51は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Q1はアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R52−、−COO−R52−を表し、R52はアルキレン基を表す。
-は、―SO3 -又は−COO-を表す。
1+は無機または有機のカチオンを表す。]
一般式(51)中、R151、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R1におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
51で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。上記の中でも、R1としては、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
一般式(51)中、アクリル部位とP-を連結するQの成分はアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R52−、−COO−R52−を表す。R52はアルキレン基を表し、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、または環状アルキレン基のいずれかでもよい。中でも、重合性、入手性の理由から、−CONH−R52−、−COO−R52−であることが好ましい。
当該樹脂を構成する一般式(51)中におけるY1+の成分は、無機または有機のカチオンを表し、公知のものが制限なく採用できる。Y1として具体的には、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム化合物等が挙げられる。その際、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウムであり、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウムであることが好ましい。また、アンモニウム化合物とは、NH4+または、そのHを炭化水素基などで置換した化合物のことである。
本発明の好ましい様態である下記一般式(51)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得るには、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有するモノマーを単量体成分として共重合する方法が挙げられる。
以下に、本発明の好ましい様態である一般式(51)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得るために使用可能なスルホン酸基、もしくはカルボキシル基を有するモノマーの具体例を示す。とくに好ましいモノマーは、一般式(21)で示すエチレン性不飽和単量体である。
カルボキシル基を有するモノマーの例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられ、カルボン酸無水物基を有するモノマーとしては、無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマーは、式(IV)のモノマーおよびその水溶性塩、殊にアルカリ金属塩、例えばカリウムおよび、殊に有利には、ナトリウム塩、およびアンモニウム塩である。R56(R57)C=C(R8)−X−SO3H (IV)[式中、R56、R57およびR58は、互いに無関係に、−H、C原子1〜12個を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、直鎖または分岐鎖のC原子2〜12個を有するモノ不飽和またはポリ不飽和のアルケニル基(その際、後者の2個の基は非置換であるか、または1個以上の基−NH2、−OHまたは−COOHによって置換されている)、−COOHまたは−COOR59であり、またR56はXSO3Hであり;R59は、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖のC原子1〜12個を有する炭化水素であり;Xは、単結合、n=1〜4である−(CH2)n−、フェニレン、好ましくは1,4−フェニレン、−CH2−O−フェニレン(好ましくは1,4)、−CH2−O−CH2−CH(OH)−CH2−、k=1〜6である−COO−(CH2)k−、−CO−NH−、m=0〜3である−CO−NH−CR'R''−(CH2)mまたは−CO−NH−CH2−CH(OH)−CH2−であり;R'は、−H、−CH3または−C25でありかつR''は、−Hまたは−CH3である。]
スルホン酸基を有するモノマーのなかでとりわけ有利なのは、式(IVa)、(IVb)および/または(IVc)のモノマーである。
(IVa)H2C=CH−X−SO3
(IVb)H2C=C(CH3)−X−SO3
(IVc)HO3S−X−(R10)C=C(R11)−X−SO3
[式中、R10およびR11は、互いに無関係に、−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3または−CH(CH32でありかつXは、単結合、n=1〜4の−(CH2)n−、フェニレン、好ましくは1,4−フェニレン、−CH2−O−フェニレン(好ましくは1,4)、−CH2−O−CH2−CH(OH)−CH2−、k=1〜6の−COO−(CH2)k−、−CO−NH−、m=0〜3の−CO−NH−CR'R''−(CH2)m−または−CO−NH−CH2−CH(OH)−CH2−であり;R'は、−H、−CH3または−C25でありかつR''は、−Hまたは−CH3である。]
極めて有利なスルホン酸基含有モノマーは、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸(2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミドならびに挙げられた酸の水溶性の塩およびエステルであって、その際、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の形態であること、殊にNa塩およびK塩の形態であることが有利である。
殊に有利なスルホン酸基を有するモノマーは、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、および2−ソジウムスルホエチルメタクリレートである。
また、硫酸基を有するモノマーとして、前述の一般式(21)で示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)を用いることが、明度および耐性の面で好ましい。
「その他のエチレン性不飽和単量体」
その他のエチレン性不飽和単量体としては、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマー、または一般式(21)に示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)等とラジカル重合可能なものであれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸 ( メタ ) アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2−ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(不可モル数は1〜5)等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する(メタ)アクリレート類;
3−(アクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン及び3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン等のオキセタニル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;1,2,2,6,6,-ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレートや2,2,6,6,テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等のヒンダードアミン骨格を有する酸化防止ユニット含有(メタ)アクリレート類;あるいは、これらの混合物があげられる。
また、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のエーテル基を有するビニルエーテル類も、単量体(a―1)と共重合させることができる。
その他のエチレン性不飽和単量体としては一般式(21)に示す単量体との重合性や着色組成物の耐熱性の観点から熱架橋性官能基やアルキル基を有するものが好ましい。
熱架橋性官能基としては、好適な構造としては特に限定されないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物、1級または2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、ターシャリブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アリル基、(メタ)アクリル、グリシジル基等を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。中でもカラーフィルタ用着色組成物という用途における保存安定性や他の材料との反応性の観点から、水酸基、カルボキシル基、オキセタニル基、ターシャリブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、特に水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基が好ましい。
用いることのできるエチレン性不飽和単量体としては、熱架橋性官能基を有するものが耐熱性の観点から好ましい。好適な構造としては特に限定されないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物、1級または2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、ターシャリブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アリル基、(メタ)アクリル、グリシジル基等を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。中でもカラーフィルタ用着色組成物という用途における保存安定性や他の材料との反応性の観点から、水酸基、カルボキシル基、オキセタニル基、ターシャリブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、特に水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基が好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体のなかでも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが耐熱性の観点から最も好ましい。
オキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、3−(アクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン及び3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタンなどが挙げられる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽単量体としては、例えば、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレート、4−イソシアネートブチルアクリレートなどが挙げられる。
本発明におけるイソシアネート基としては、ブロックイソシアネート基も含まれ、好ましく使用することができる。ブロックイソシアネート基とは、通常の条件では、イソシアネート基を他の官能基で保護することにより該イソシアネート基の反応性を抑える一方で、加熱により脱保護し、活性なイソシアネート基を再生させることができるイソシアネートブロック体のことを示す。
このようなブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の市販品としては、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BP,昭和電工製);メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM,昭和電工製)などが挙げられる。
グリシジル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート基などが挙げられる。
アルキル基として好適な構造としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、2エチルヘキシル基、ラウリル基、ドデシル基、またはイソステアリル基が好ましく、エチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明に好適なエチレン性不飽和単量体(a−1)を含むエチレン性不飽和単量体(a)を共重合してなる樹脂を得る方法としては、フリーラジカル重合、及びリビングラジカル重合等、公知の方法が使用できる。
フリーラジカル重合法の場合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤としては例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。
リビングラジカル重合法は一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、更には、重合の成長が均一に起こる為、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成できる。
中でも、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法は、広範囲の単量体に適応できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記の参考文献1〜8等に記載された方法で行うことができる。
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614(参考文献4) Macromolecules 1995,28,7901,Science,1996,272,866(参考文献5)WO96/030421(参考文献6)WO97/018247(参考文献7)特開平9−208616号公報(参考文献8)特開平8−41117号公報
上記重合には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられる。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
本発明に好適な、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマー、または一般式(21)で表されるエチレン性不飽和単量体(a−1)は全エチレン性不飽和単量体(a)重量を基準として10重量%〜95重量%が好ましく、より好ましくは20重量%〜60重量%である。
スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマー、または一般式(21)で表されるエチレン性不飽和単量体(a−1)の重量が、10重量%より少ないと、造塩反応が起こるカチオン性染料の割合が低くなる。そのため、未造塩のカチオン性染料が多くなり、その結果、溶剤溶解性も低くなり異物の析出といった現象が起こるため好ましくない。また、異物の析出を防止するためには、レジスト材中の溶剤量を多くする必要があるが、そうすると塗工性が著しく悪化するため好ましくない。一方95重量%より多くなると、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマー、または一般式(21)で示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)を含むエチレン性不飽和単量体(a)をラジカル重合してなる樹脂に造塩されるカチオン染料の量が多くなりすぎてしまうため、耐熱性が悪化するため好ましくない。
本発明に使用されるスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマー、または一般式(21)で示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)を含むエチレン性不飽和単量体(a)をラジカル重合してなる樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した換算重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることがより好ましい。
また、本発明に好適なスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を含有するモノマー、または一般式(21)で示されるエチレン性不飽和単量体(a−1)を含むエチレン性不飽和単量体(a)をラジカル重合してなる樹脂は、有機溶剤との混合溶液を使用してもよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アセトン、ジアセトンアルコール、アニリン、ピリジン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、2−ピロリドン、2−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−ヘキサンジオール、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4−メトキシ−4メチルペンタノン等である。また、カラーフィルタ用着色組成物に広く使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等に溶解する特性を有していてもよい。
(酸性染料)
またカウンタ化合物を酸性染料として用いることで色相をコントロ−ルすることもできる。
酸性染料としては、例えば、アントラキノン系酸性染料、モノアゾ系酸性染料、ジスアゾ系酸性染料、オキサジン系酸性染料、アミノケトン系酸性染料、キノリン系酸性染料、トリアリ−ルメタン系酸性染料などが挙げられる。
より具体的には、酸性染料としては、C.I.アシッド イエロ−11、C.I.アシッド イエロ−23、C.I.アシッド グリ−ン3(食用緑色1号)、C.I.アシッド グリ−ン5(食用緑色2号)、C.I.アシッド グリ−ン9、C.I.アシッド グリ−ン16、C.I.アシッド グリ−ン19、C.I.アシッド グリ−ン25等があげられる。
酸性染料の場合、より好ましい分子量の範囲は、300〜750の範囲である。より好ましくは、350〜700の範囲である。分子量をこの範囲にすることで、耐候性と着色力においてバランスのとれた着色剤とすることができ好ましいものである。
[造塩]
これらの塩基性染料とカウンタ化合物との造塩化合物は従来知られている方法により合成することができる。特開2003−215850号公報などに具体的な手法が開示されている。
一例をあげると、トリアリ−ルメタン系塩基性染料を水に溶解した後、有機スルホン酸や(有機スルホン酸ナトリウム)溶液を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでトリアリ−ルメタン系塩基性染料中のアミノ基(−NHC25)の部分と有機スルホン酸のスルホン酸基(−SO3H)の部分が結合した造塩化合物が得られる。
ここで有機スルホン酸は造塩処理を行う前に、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に溶解させ、スルホン酸ナトリウムの形態(−SO3Na)として用いることもできる。また本発明においては、スルホン酸基(−SO3H)とスルホン酸ナトリウムである官能基(−SO3Na)も同義である。
[酸基を有する樹脂]
本発明に用いる造塩化合物[A1]は、さらにカルボキシル基のごとき酸基を有する樹脂(ロジン変性マレイン酸樹脂(ロジン変性フマル酸樹脂も同義))や、ロジンエステル、ポリエステル樹脂、酸価を有するスチレンアクリル共重合体等を添加することで、バインダ樹脂中への相溶性、分散性、また溶剤への分散性が大幅に改善される。その結果着色剤として、発色性、耐熱性、耐光性がさらに優れたものとなる。ここで酸基とはカルボキシル基(−COOH)、スルホン基(−SO3H)が好ましいものである。
また酸基を有する樹脂の重量平均分子量は、400〜12000の範囲のものを用いることが好ましい。より好ましくは400〜6000、特に好ましくは、400〜2000の範囲である。この範囲のものを用いることで、造塩化合物との相溶性が良好となり、着色剤としてバインダ樹脂中への分散が良好になる。
またここで酸基を有する樹脂の重量平均分子量の測定は以下の条件にて行った。
検体にテトラヒドロフラン(THF)を加え12時間放置後、検体のTHF溶液を濾過し、濾液中に溶解している検体の分子量を測定した。測定はゲル・パ−ミエイション・クロマトグラフィ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンにより作成した検量線から分子量を計算した。GPC装置:東ソ−(株)製 HLC−8120GPCカラム :東ソ−(株)製 TSK GuardcolumnSuperH−HT/SK−GEL/SuperHM−M の3連結流速:1.0ml/min(THF)
酸基を有する樹脂は、中でもロジン変性マレイン酸樹脂を用いることが好ましい。ロジン変性マレイン酸樹脂は、酸を有する極性基の部分と無極性のロジン骨格の部分とを有する。この酸を有する極性基の部分が、未反応のアビエチン酸由来のカルボキシル基およびマレイン酸のカルボキシル基の部分であり、バインダ樹脂の極性基の部分と反応、相溶する。また、無極性のロジン骨格の部分が、バインダ樹脂の非極性部と相溶する。
またロジン変性マレイン酸樹脂の酸成分と塩基性染料(造塩化合物中の未反応の塩基性染料)のアミノ基の部分との反応も起こることの効果も大きいものである。
酸基を有する樹脂の酸価は、100〜300mgKOH/gの範囲であることが好ましい。酸価が100mgKOH/gよりも小さいと造塩化合物との相溶性が悪くなってしまう。また酸価が300mgKOH/gよりも大きいと後述するアルカリ現像型着色レジストとして用いる場合に、現像性不良となってしまうので好ましくない。なお、ここで酸価とはJIS K−0070の方法により測定された値である。
本発明に用いる造塩化合物(B)に酸基を有する樹脂を添加、混合する場合は以下の方法で得ることができる。(1)酸基を有する樹脂に可溶な溶媒中に溶解させた上で造塩化合物を添加して溶液中で混合する方法、(2)混練機等を用いて酸基を有する樹脂を溶融させた状態で造塩化合物を添加して混合する方法等があげられるが、従来公知のいずれの方法で合成してもかまわない。
それらの中の一例であるが、具体的には以下のようになる。またここではトリアリ−ルメタン系塩基性染料、ロジン変性マレイン酸樹脂を用いての事例を示す。
(1)酸基を有する樹脂に可溶な溶媒中に溶解させた上で造塩化合物を添加して溶液中で混合する方法(1−1)
トリアリ−ルメタン系塩基性染料を水に溶解した後、有機スルホン酸等のカウンタ化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なう。ここでトリアリ−ルメタン系塩基性染料中のアミノ基(−NHC25)の部分とカウンタ中の酸基の部分が結合した造塩化合物が得られる。
ここでカウンタの化合物は造塩処理を行う前に、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に溶解させ、スルホン酸ナトリウムの形態(−SO3Na)として用いることもできる。また本発明においては、スルホン酸基(−SO3H)とスルホン酸ナトリウムである官能基(−SO3Na)も同義である。
(1−2)
次いで、ロジン変性マレイン酸樹脂を添加する工程であるが、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して中性に調整した後、アルカリ水溶液に溶解させたロジン変性マレイン酸樹脂を添加、攪拌しながら混合を行う。次いで、塩酸、硫酸等の鉱酸を添加して酸性に調製することでロジン変性マレイン酸樹脂を不溶化させ、濾過、洗浄、乾燥を行い、組成物を得る。また必要ならば粉砕工程を経て所望の粒度にして組成物を得ればよい。
(2)混練機等を用いて酸基を有する樹脂を溶融させた状態で造塩化合物を添加して混合する方法
本発明の造塩化合物(B)と酸基を有する樹脂(ロジン変性マレイン酸樹脂等)を加熱ニ−ダ−、バンバリ−ミキサ−、3本ロ−ルミル、2本ロ−ルミル、振動ミル、ボ−ルミル、アトライタ−、押出機等の混練機に投入して十分に混合し、酸基を有する樹脂の軟化点以上の温度で溶融混練を行う。これにより酸基を有する樹脂中に造塩化合物が分散する。ここで得られる組成物は造塩化合物に酸基を有する樹脂が被覆されている状態である。さらにこの組成物を粗砕、粉砕して所望の粒度に調整することにより組成物を得ればよい。
本発明の造塩化合物(B)と酸基を有する樹脂の重量混合比率(造塩化合物(B):酸基を有する樹脂)は、70:30〜95:5の範囲であると良好な着色剤を得ることができる。酸基を有する樹脂の比率が30重量%よりも大きくなってしまうと発色性の低下、即ち酸基を有する樹脂由来の色の障害が生じやすく、また酸基を有する樹脂の比率が5重量%よりも小さくなってしまうとバインダ樹脂中への造塩化合物の分散性向上効果が小さくなる。
より好ましくは、本発明の造塩化合物(B)と酸基を有する樹脂の重量混合比率(造塩化合物:酸基を有する樹脂)は、75:25〜90:10の範囲である。
本発明の感光性着色組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、好ましい塩基性染料(B)成分の濃度は、充分な色再現性を得る観点から0.1重量%以上であり、より好ましくは1.0重量%以上であり、最も好ましくは10重量%以上である。また、感光性着色組成物の安定性が良くなることから、好ましい塩基性染料(B)成分の濃度は50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、最も好ましくは30重量%以下である。
《フタロシアニン染料》
本願発明の組成物は、さらにフタロシアニン染料を含むことが好ましい。
フタロシアニン染料をさらに含有することで、より耐性に優れた着色組成物とすることができる。
フタロシアニン染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、イングレイン染料、媒染染料、反応染料、有機溶剤溶解染料、分散染料、建染染料があげられる。フタロシアニン系染料の具体例を、下記に挙げるが、これらに限定させるものではない。
ただし、色素単量体(A)である場合を除く。
フタロシアニン染料としては、C.I.アシッド ブルー 185、同197、同224、同228、同242、同243、同249、同275、同279、同283、同310、同357、C.I.ベーシック ブルー33、同33:1、同63、同82、同126、同138、同140、同157、同160、同161、同164、C.I.ダイレクト
ブルー86、同87、同189、同199、同262、同264、同276、同282、同314、C.I.ディスパース ブルー329、C.I.イングレイン ブルー1、同2、同2:1、同2:2、同3、同4、同5、同11、同12、同15、同17、同17:1、同19、C.I.モーダント ブルー58、同77、C.I.リアクティブ ブルー3、同7、同11、同14、同17、同18、同21、同23、同25、同35、同38、同57、同58、同71、同72、同75、同77、同80、同85、同88、同91、同92、同95、同105、同106、同116、同118、同118:1、同123、同124、同136、同138、同140、同151、同159、同169、同190、同197、同207、同215、同231、C.I.ソルベント ブルー24、同25、同38、同44、同46、同48、同51、同52、同55、同64、同67、同70、同75、同89、同117、同129、同131、同142、C.I.バット ブルー29、同57、等が挙げられる。
中でもC.I.ダイレクト ブルー86、同87、同189、同199、C.I.ソルベント ブルー38、同70を用いることが好ましい。
本発明の着色組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、好ましいフタロシアニン染料の濃度は、充分な色再現性、耐性を得る観点から0.001重量%以上であり、より好ましくは0.005重量%以上であり、最も好ましくは0.01重量%である。また、着色組成物の安定性が良くなることから、好ましいフタロシアニン染料成分の濃度は10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以下である。
《その他の着色剤》
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、色素単量体(A)、および造塩化合物(B)、フタロシアニン染料、に加えて、さらにその他の着色剤を含むことができる。その他の着色剤としては、青色顔料、紫色顔料、または色素単量体(A)以外のキサンテン系色素であることが好ましい。
色素単量体(A)、および造塩化合物(B)がその他の着色剤を含有する場合、その他の着色剤の含有量は、色素単量体(A)、および造塩化合物(B)の合計100重量部に対し1〜300重量部が好ましい。より好ましくは25〜200重量部、さらに好ましくは50〜100重量部である。その他の着色剤の添加量が1重量部以上、300重量部以下の場合、再現可能な色度領域が広くなるために好ましい。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、または15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
特に、着色組成物を青色フィルタセグメント用に用いる場合、青色顔料を併用することで、多くのバックライトがもつ特徴的なピークをもつ425〜500nm付近において、分光スペクトルが高い透過率を有することが可能になり、従来の青色顔料およびその他の顔料を組み合わせた着色剤よりも青色フィルタセグメントとして、高い明度を得ることができるために好ましい。
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、または特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料等が挙げられる。を挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36または58である。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、または185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、または185である。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、または23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。
赤色顔料と同様にはたらくオレンジ色顔料としては、例えばC.I.ピグメント オレンジ36、38、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177を用いることが特に好ましいものである。
(顔料の微細化)
本発明の着色組成物に併用する着色剤が顔料の場合、ソルトミリング処理等により微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5〜90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分な分光特性を得ることができない場合がある。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10〜70nmの範囲である。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニ−ダ−、2本ロ−ルミル、3本ロ−ルミル、ボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャ−プな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノ−ル、2−ブトキシエタノ−ル、2−(イソペンチルオキシ)エタノ−ル、2−(ヘキシルオキシ)エタノ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、トリエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、液状のポリエチレングリコ−ル、1−メトキシ−2−プロパノ−ル、1−エトキシ−2−プロパノ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、液状のポリプロピレングリコ−ル等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
上記着色剤の含有量としては、カラーフィルタ用着色組成物の固形分を基準として10〜45重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜40重量%の範囲である。この範囲であれば、カラーフィルタを一般的な膜厚範囲(1.0〜3.0μm程度)で使用した際の色再現性が良好であるために好ましい。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、着色剤、特に本発明の色素単量体(A)および造塩化合物(B)等を分散するもの、もしくは本発明の色素単量体(A)、および造塩化合物(B)等を染色、浸透させるものであって、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上と耐溶剤の改善を目的に、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をカラーフィルタ用アルカリ現像型レジストに用いることで、着色剤を塗布した後の塗膜異物が発生せず、レジスト材中の着色剤の安定性が改善され好ましい。側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有さない直鎖状の樹脂を用いた場合は、樹脂と着色剤の混在する液中で着色剤が樹脂にトラップされにくく自由度を持っていることで着色剤成分が凝集・析出しやすいが、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることで、樹脂と着色剤の混在する液中で着色剤が樹脂にトラップされ易いため、耐溶剤性試験において、色素が溶出しにくく、着色剤成分が凝集・析出しにくく、また、さらに活性エネルギー線で露光し膜を形成する際に樹脂が3次元架橋されることで着色剤分子が固定され、その後の現像工程で溶剤が除去されても着色剤成分が凝集・析出しにくくなると推定される。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
バインダー樹脂をカラーフィルタ用着色組成物として使用する場合には、本発明の色素単量体(A)及び造塩化合物(B)等の分散性、浸透性、現像性、及び耐熱性の観点から、着色剤吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量100重量%に対し、30重量%以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500重量%以下の量で用いることが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(a)や(b)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
[方法(a)]
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
[方法(b)]
方法(b)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
(熱硬化性樹脂)
バインダー樹脂に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルド樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、カルド化合物、およびフェノール化合物といった、低分子化合物でもよく、本発明はこれに限定されるものではない。このような熱硬化性樹脂を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に樹脂が反応し、塗膜の架橋密度を高め、耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられるという効果が得られる。
これらの中でも、エポキシ樹脂、カルド樹脂、またはメラミン樹脂が好ましい。
<光カチオン重合開始剤(C)>
光カチオン重合開始剤(C)は、UV照射あるいは加熱によりテトラフルオロホウ酸や、ヘキサフルオロリン酸などの強酸を生じ、この強酸が後述するカチオン重合性化合物の酸素原子をプロトン化してカチオン活性種が形成され、重合反応が開始されるものであり、公知の化合物を、特に限定なく使用することができる。
光カチオン重合開始剤として例えば、カチオン部分が、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、チオキサントニウム、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄カチオン、またはチアンスレニウムであって、アニオン部分が、BF4 -、PF6 -、SbF6 -、または[BX4-(但し、Xは、フェニル基の有する水素原子の2個以上が、フッ素原子またはトリフルオロメチル基によって置換された官能基を示す。)で構成される、芳香族スルホニウム塩(C1)、芳香族ヨードニウム塩(C2)、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族アンモニウム塩、チオキサントニウム塩、または(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩等が挙げられる
これらの光カチオン重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
これらの中でも、芳香族スルホニウム塩(C1)、または芳香族ヨードニウム塩(C2)が、残膜率および密着性向上のために好ましく、残膜率向上の観点から、より好ましくは、芳香族スルホニウム塩(C1)である。
芳香族スルホニウム塩(C1)としては、例えばビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
また、芳香族ヨードニウム塩(C2)としては、例えばジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
また、芳香族ジアゾニウム塩としては、例えばフェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
また、芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
また、チオキサントニウム塩としては、S−ビフェニル 2−イソプロピル チオキサントニウムヘキサフルオロホスフェート等を使用することができる。
また、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を使用することができる。
光カチオン重合開始剤(C)としては、例えば、CPI−100P、CPI−200K、CPI−101A(以上、サンアプロ(株)製)、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6990、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6992、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6976(以上、ダウ・ケミカル日本(株)製)、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172(以上、旭電化工業(株)製)、CI−5102、CI−2855(以上、日本曹達(株)製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイドSI−160、サンエイドSI−180(以上、三新化学工業(株)製)、エサキュア1064、エサキュア1187(以上、ランベルティ社製)、オムニキャット432、オムニキャット440、オムニキャット445、オムニキャット550、オムニキャット650、オムニキャットBL−550(アイジーエム レジン社製)、イルガキュア290、イルガキュア250(BASF(株)製)、ロードシル フォトイニシエーター2074(RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローディア・ジャパン(株)製)、WPI−113、WPI−116、WPI−169、WPI−170(和光純薬工業(株)製)等が市販されている。
これらの中では、芳香族スルホニウム塩(C1)であるサンアプロ社製CPI―100P、CPI―101A、CPI―200K、CPI―210S、イルガキュア290、あるいは芳香族ヨードニウム塩であるBASF社製イルガキュア250、和光純薬工業社製WPI−113、WPI−116、WPI−169、WPI−170が好ましい。
<光重合性単量体>
本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、本発明の効果はこれらに限定されるものではない。
また、光重合性単量体は酸基を含有してもよい。例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられるが、本発明の効果はこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性単量体は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
光重合性単量体の含有量は、光硬化性および現像性の観点から着色剤100重量部に対して、10〜300重量部であることが好ましく、さらに10〜200重量部の量で用いることが好ましい。
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物は、紫外線照射や熱照射により光重合開始剤から発生するラジカルを用いて硬化させることができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、着色剤100重量部に対し、5〜200重量部であることが好ましく、光硬化性の観点から10〜150重量部であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、従来公知の重合開始剤を用いることが可能である。具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン類;その他フェニルグリオキシリックメチルエステル等が挙げられる。より具体的には、イルガキュアー651、イルガキュアー184、ダロキュアー1173、イルガキュアー500、イルガキュアー1000、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379、イルガキュアー1700、イルガキュアー149、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、イルガキュアー819、イルガキュアー784、イルガキュアー261、イルガキュアーOXE−01、イルガキュアーOXE−02(BASF社)、アデカオプトマーN1717、アデカオプトマーN1919、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社)、Esacure1001M(Lamberti社)、特公昭59−1281号公報、特公昭61−9621号公報ならびに特開昭60−60104号公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号公報ならびに特開昭61−243807号公報記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号公報、特公昭44−6413号公報、特公昭47−1604号公報ならびにUSP第3567453号明細書記載のジアゾニウム化合物公報、USP第2848328号明細書、USP第2852379号明細書ならびにUSP第2940853号明細書記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号公報、特公昭37−13109号公報、特公昭38−18015号公報ならびに特公昭45−9610号公報記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号公報、特開昭59−140203号公報ならびに「マクロモレキュルス(MACROMOLECULES)」、第10巻、第1307頁(1977年)記載のヨードニウム化合物をはじめとする各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109851号明細書、ヨーロッパ特許第126712号明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.IMAG.SCI.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の金属アレン錯体、特開昭61−151197号公報記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(COORDINATION CHEMISTRY REVIEW)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号公報記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報記載のアルミナート錯体、特開平2−157760号公報記載のホウ酸塩化合物、特開昭55−127550号公報ならびに特開昭60−202437号公報記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物、特開平5−255347号公報記載のスルホニウム錯体またはオキソスルホニウム錯体、特開昭54−99185号公報、特開昭63−264560号公報ならびに特開平10−29977記載のアミノケトン化合物、特開2001−264530号公報、特開2001−261761号公報、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166、特開2008−094770、特開2009−40762、特開2010−15025、特開2010−189279、特開2010−189280公報、特表2010−526846、特表2010−527338、特表2010−527339、USP3558309号明細書(1971年)、USP4202697号明細書(1980年)ならびに特開昭61−24558号公報記載のオキシムエステル化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、1,3,5−トリス(5,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(5,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−ノニルフェノール、2,2'−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチル−フェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2'−チオ−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミル−ヒドロキノン、2,2'チオジエチルビス−(5,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,1,3−トリス−(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)−ブタン、2,2'−メチレン−ビス−(6−(1−メチル−シクロヘキシル)−p−クレゾール)、2,4−ジメチル−6−(1−メチル−シクロヘキシル)−フェノール、N,N−ヘキサメチレンビス(5,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4'イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4'−ブチリデンビス(5−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム−2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスファイト、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)−ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
イオウ系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(5,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等を使用することが出来る。
ベンゾフェノン系酸化防止剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5スルフォベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4−ビス(アリル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5−トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p−オクチルフェニル、サリチル酸p−tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
また酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用感光性着色組成物の固形分重量を基準(100重量%)として、0.5〜5.0重量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
<有機溶剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、着色剤を充分にモノマー、樹脂などに溶解させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。
有機溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
中でも、本発明の色素単量体(A)は溶剤溶解性が高いため、親水性から疎水性まで、幅広い種類の溶剤が使用可能である。その中でも、乳酸エチル等のアルキルラクテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
これらの有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。2種以上の混合溶剤とする場合、上記の好ましい有機溶剤が、全体の有機溶剤100重量%中65〜95重量%含有されていることが好ましい。
また、有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤の全重量100重量%に対し、500〜4000重量%の量で用いることが好ましい。
<増感剤>
さらに、本発明の着色感光性組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、ベンゾフェノン誘導体、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン誘導体、ベンジルやカンファーキノンなどに代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の色素および増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す色素や増感剤が挙げられ、これらは必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。上記、増感剤の中でチオキサントン誘導体としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができ、ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4'−ジメチルベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができ、クマリン類としては、クマリン1、クマリン338、クマリン102等を挙げることができ、ケトクマリン類としては、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
増感剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上用いても構わない。増感剤を使用する際の配合量は、着色感光性組成物中に含まれる光重合開始剤の全重量100重量%に対し、3〜60重量%であることが好ましく、光硬化性の観点から5〜50重量%であることがより好ましい。
<多官能チオール>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(5−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の全固形分の重量を基準(100重量%)として好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。多官能チオールの含有量が0.1重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
<アミン系化合物>
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<レベリング剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の合計100重量%中、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量%に対し、0.01〜15重量%が好ましい。
<その他の添加剤成分>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量100重量%に対し、0.1〜10重量%の量で用いることができる。
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(5,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(5,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(5,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(5,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤の全量100重量%に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の量で用いることができる。
<着色組成物の製造方法>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、本発明の色素単量体(A)及び造塩化合物(B)を含む着色剤を、必要に応じて前記樹脂と、溶剤とからなる着色剤担体中に、好ましくは色素誘導体などの分散助剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、本発明の色素単量体(A)、造塩化合物(B)、その他の着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。さらに、本発明色素単量体(A)、および造塩化合物(B)の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
[分散助剤]
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
本発明において、本発明の色素単量体(A)は、併用する顔料の分散助剤としての役割を果たすこともできる。
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の配合量は、分散性向上の点から、着色剤100重量%に対し、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤100重量%に対し、好ましくは40重量%以下、最も好ましくは35重量%以下である。
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、21116またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASFジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤100重量%に対し、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
<粗大粒子の除去>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する。
また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよく、該黄色フィルタセグメントが、本発明の着色組成物から形成されてなるものであってもよい。
好ましくは、少なくとも1つの赤色または青色フィルタセグメントは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを構成する透明基板等の基材としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明のカラーフィルタ用着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板などの基材上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、「PGMEA」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
まず、実施例および比較例に用いた色素単量体、顔料、およびバインダー樹脂の製造方法と、樹脂型分散剤溶液の調製方法、色素単量体・分散溶液、顔料分散体、感光性着色組成物の製造方法及び評価法について説明する。
まず、樹脂の重量平均分子量(Mw)及び酸価の測定方法について説明する。
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5〜1.0部に、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業社製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
次に、実施例および比較例に用いたバインダー樹脂、色素単量体、および造塩化合物の製造方法について説明する。
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液(R−1))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、およびハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8となったところで反応を終了し、重量平均分子量が約12000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してエチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂である、アクリル樹脂溶液(R−1)を得た。
<色素単量体の製造方法>
(色素単量体(A−1))
[色素中間体(a)]
環流管を付けた1Lのステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、C.I.Basic Violet 10(東京化成品:Rodamine B)を5.0部、グリセリンモノメタクリレート(GLM)2.0部をジクロロメタン50gに溶解させ、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 2.2部、ジメチルアミノピリジン0.25部を添加して室温で24時間攪拌を行った。得られたジクロロメタン溶液を、水で洗浄し、減圧乾燥させた後、シリカゲルカラムにて精製を行い、色素中間体(a)1.9部を得た。収率は29.5%であった。
[色素単量体(A−1)]
得られた色素中間体(a)1部を水100部に溶解させ、これに1.4部のNaB(C654を添加して、2時間室温にて攪拌を行った。ろ過、水洗後、80℃にて乾燥して、色素単量体(A−1)1.7部を得た。収率は85.1%であった。
(色素単量体(A−2))
色素中間体(a)1部を水100部に溶解させ、これに1.4部のシクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム塩(三菱マテリアル電子化成社製)を添加して、2時間室温にて攪拌を行った。ろ過、水洗後、80℃にて乾燥して、色素単量体(A−2)1.7部を得た。収率は85.1%であった。
(色素単量体(A−3))
色素中間体(a)1部を水100部に溶解させ、これに1.4部のドデシル硫酸ナトリウム(東京化成品)を添加して、2時間室温にて攪拌を行った。ろ過、水洗後、80℃にて乾燥して、色素単量体(A−3)1.7部を得た。収率は85.1%であった。
(色素単量体(A−4))
色素中間体(a)の製造におけるグリセリンモノメタクリレート(GLM)を、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)に変更した他は、色素単量体(A−3)と同様の方法にて、色素単量体(A−4)を得た。収率は89.3%であった。
(色素単量体(A−5))
色素中間体(a)の製造におけるグリセリンモノメタクリレート(GLM)を、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に変更した他は、色素単量体(A−3)と同様の方法にて、色素単量体(A−5)を得た。収率は86.3%であった。
(色素単量体(A−6))
色素中間体(a)の製造におけるグリセリンモノメタクリレート(GLM)をグリセリンジメタクリレート(GMR)に変更した他は、色素単量体(A−1)と同様の方法にて、色素単量体(A−6)を得た。収率は87.8%であった。
(色素単量体(A−7))
環流管を付けた1Lのステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、C.I.Solvent RED 172(SR172:Sunbelt社製:Morolas Magenta36)を5.0部、3−アクリロイルオキシプロパン酸1.6部をジクロロメタン40mlに溶解させ、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 2.2部、ジメチルアミノピリジン0.25部を添加して室温で24時間攪拌を行った。得られたジクロロメタン溶液を、水で洗浄し、減圧乾燥させた後、シリカゲルカラムにて精製を行い、色素単量体(A−7)を得た。収率は46.8%であった。
(色素単量体(A−8))
[化合物(1)]
環流管を付けた1Lのステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、1−ナフタレン酢酸(Aldrich社製) 2.75部、脱水したトルエン25部、p−トルエンスルホン酸0.03部を添加し、70℃に加熱した。加熱後、ヒドロキシエチルメタクリレート1.92部を添加し80℃に加熱して3時間攪拌を行った。その後、エバポレーターにより、溶媒を除去することにより、化合物(1)3.2部を得た。
[化合物(2)]
得られた化合物(1)を3部、化合物(2)を2.1部およびトルエン20部の混合物にオキシ塩化リン1.3部を加え、120℃で2時間撹拌した。室温に放冷後、1N塩酸水溶液を加えて15分撹拌し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムトグラフィー(クロロホルム/メタノール15/1→7/1)で精製し、個体をヘキサンで洗浄して化合物(3)2.8部を得た。
[色素単量体(A−8)]
得られた化合物(3)1部を水100部に溶解させ、これに1.4部のNaB(C654を添加して、2時間室温にて攪拌を行った。ろ過、水洗後、80℃にて乾燥して、色素単量体(A−8)1.7部を得た。収率は85.1%であった。
<造塩化合物の製造方法>
(造塩化合物(B−1))
C.I.ベーシック ブルー 7(東京化成品)12部とドデシル硫酸ナトリウム(東京化成品)7.4部、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、造塩化合物(B−1)14.7部を得た。収率は、84.8%であった。
(造塩化合物(B−2))
C.I.ベーシック ブルー 7(東京化成品)12部とNaBF4 7.4部、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、造塩化合物(B−2)14.7部を得た。収率は84.8%であった。
(造塩化合物(B−3))
C.I.ベーシック ブルー 7(東京化成品)12部とNaB(C654 7.4部、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、14.7部の色素(造塩化合物B−3)を得た。収率は84.8%であった。
(造塩化合物(B−4))
C.I.ベーシック ブルー 7(東京化成品)20部と重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有する硫酸塩である「アクアロンKH−10」(商標;第一工業製薬株式会社製)30.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120部、水100部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、40.0部の色素(造塩化合物B−4)を得た。収率は78.7%であった。
(造塩化合物(B−5))
[化合物(4)]
4−ジエチルアミノ安息香酸(東京化成品)25部とトルエン90部の混合物に塩化チオニル23部を加え80℃で1時間攪拌後、減圧濃縮し、酸クロリドを得た。別容器に無水塩化アルミニウム20.4部と1,2−ジクロロエタン130部を加え、氷浴で冷却後、酸クロリドを1,2−ジクロロエタン60部に溶解させた溶液を滴下した。滴下後、15分攪拌し、N,N−ジエチル−m−トルイジン(東京化成品)21部を滴下し、室温に戻して、2時間攪拌した。その後、氷水に注ぎ、4N水酸化ナトリウムでpH11以上とし、クロロホルムで抽出した。このものを水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、精製したものをさらにTHFに溶解し、ヘキサンで再沈殿を行った。60℃で減圧乾燥後、化合物(4)を15.4部得た。収率は35.0%であった。
[化合物(5)]
得られた化合物(4)を10部とN−エチル−1−ナフチルアミン(東京化成品)5.0部をトルエン40部に溶解させ、オキシ塩化リン6.8部を添加して、3時間還流させた。その後、室温に戻し、1N塩酸を添加し、クロロホルムで抽出した。このものを飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=4/1)で精製した。60℃で減圧乾燥後、化合物(5)を13.8部得た。収率は88.8%であった。
[造塩化合物(B−5)]
得られた化合物(5)を12部とドデシル硫酸ナトリウム(東京化成品)を7.21部と、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、造塩化合物(B−5)を13.7部得た。収率は79.7%であった。
(造塩化合物(B−6))
造塩化合物(B−5)の製造で得られた化合物2を12部とNaB(C654 7.4部、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、13.7部の造塩化合物(B−6)を得た。収率は、79.7%であった。
(造塩化合物(B−7))
[化合物(6)]
N,N−ジエチル−m−トルイジン(東京化成品)10.0部と37%ホルムアルデヒド水溶液(東京化成品)2.5部、濃塩酸(キシダ化学品)7.2部、イオン交換水80.0部を混合し、80℃で6時間攪拌後、室温まで放冷させた。その後、クロロホルム100部、10%NaOH水溶液 100部を添加し、クロロホルム抽出した。このものを水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して、化合物(6)を18.3部得た。収率は、92.4%であった。
[化合物(7)]
得られた化合物(6)を6.4部、クロラニル(東京化成品)3.2部、亜塩素酸ナトリウム(キシダ化学品)2.7部、イソプロピルアルコール(キシダ化学品)50部、イオン交換水8.0部を混合し、80℃で15時間攪拌後、室温まで放冷させ、吸引ろ過により無機塩を除去した。その後、ろ液を乾固し、トルエン100部、10%NaOH水溶液 100部を添加し、トルエン抽出した。このものを水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して、化合物(7)を6.0部得た。収率は86.4%であった。
[化合物(8)]
得られた化合物(7)を10部とN−エチル−1−ナフチルアミン(東京化成品)4.9部をトルエン50部に溶解させ、オキシ塩化リン6.6部を添加して、3時間還流させた。その後、室温に戻し、1N塩酸を添加し、クロロホルムで抽出した。このものを飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=4/1)で精製した。60℃で減圧乾燥後、化合物(8)を12.4部得た。収率は80.6%であった。
[造塩化合物(B−7)]
化合物(8)を12部とNaB(C654 7.4部、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、造塩化合物(B−7)13.7部を得た。収率は79.7%であった。
(造塩化合物(B−8))
造塩化合物(B−7)の製造で得られた化合物(8)を12部とドデシル硫酸ナトリウム(東京化成品)7.21部、ジクロロメタン130部、水200部を混合し、室温で2時間攪拌した。その後、有機層を抽出、水で洗浄を行ない、有機層を減圧濃縮した。そして、60℃の減圧乾燥機で乾燥し、造塩化合物(B−8)13.7部を得た。収率は79.7%であった。
<その他の着色剤の製造方法>
(着色剤(C−1))
C.I.Basic Violet 10(東京化成品:Rodamine B)を水100部に溶解させ、これに1.4部のNaB(C654を添加して、2時間室温にて攪拌を行った。ろ過後、水洗後、80℃にて乾燥して、着色剤(C−1)1.7部を得た。収率は85.1%であった。
[実施例1]
(着色組成物(SR−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、
着色組成物(SR−1)を得た。

色素単量体(A−1) : 0.3部
造塩化合物(B−1) : 1.4部
アクリル樹脂溶液(R−1) :47.0部
PGMEA :51.3部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[実施例2〜17、比較例1〜7]
(着色組成物(SR−2〜24))
表1、および表2に示す組成、および配合量(重量部)に変更した以外は、着色組成物(SR−1)と同様にして着色組成物(SR−2〜24)を得た。
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(SR−1〜24)について、耐熱性試験を下記の方法で行った。結果を表1、および表2に示す。
(耐熱性の評価)
ガラス基板上にC光源においてy=0.090になるように着色組成物を塗布し、基板
を作製した。得られた基板の明度(Y1)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OS
P−SP200」)で測定した。その後、基板を230℃で60分加熱し、再度、明度(
Y2)を測定した。この時の(Y2)を(Y1)で除した値を耐熱性の指標とした。評価基準は下記のとおりである。なお、◎◎は非常に良好なレベル、◎は良好なレベル、○は実用可能なレベル、△、×は実用には適さないレベルである。

◎◎・・・ 0.95以上
◎ ・・・ 0.90以上0.95未満
○ ・・・ 0.85以上0.90未満
△ ・・・ 0.75以上0.85未満
× ・・・ 0.75未満
[実施例18]
(レジスト材(CR−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(CR−1)を得た。

色素単量体(A−1) : 0.3部
造塩化合物(B−1) : 1.4部
アクリル樹脂溶液(R−1) :41.0部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックス M−402」) : 6.0部
光重合開始剤
(BASFジャパン社製「イルガキュアーOXE02」) : 0.6部
酸化防止剤
(BASFジャパン社製「イルガノックス1010」) : 0.2部
(BASFジャパン社製「イルガフォス168」) : 0.6部
PGMEA :49.9部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[実施例19〜38、比較例8〜14]
(レジスト材(CR−2〜28))
表3、4に示す組成、および配合量(重量部)に変更した以外は、レジスト材(CR−1)と同様にしてレジスト材(CR−2〜28)を得た。
<着色組成物の評価>
得られたレジスト材(CR−1〜28)について、耐熱性、明度、耐溶剤性試験を下記の方法で行った。結果を表3、および表4に示す。
(耐熱性、明度の評価)
ガラス基板上にC光源においてy=0.090、x=0.139になるようにレジスト材を塗布し、基板を作製した。得られた基板の明度(Y1)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)で測定した。その後、基板を230℃で60分加熱し、再度、明度(Y2)を測定した。この時のY2をY1で除した値を耐熱性の指標とした。評価基準は下記のとおりである。なお、◎◎は非常に良好なレベル、◎は良好なレベル、○は実用可能なレベル、△、×は実用には適さないレベルである。

◎◎・・・ 0.95以上
◎ ・・・ 0.90以上0.95未満
○ ・・・ 0.85以上0.90未満
△ ・・・ 0.75以上0.85未満
× ・・・ 0.75未満
(明度の評価)
ガラス基板上に、230℃で60分加熱後に、C光源において色度が、y=0.090、x=0.139になるようにレジスト材を塗布し、基板を作製した。得られた基板の明度を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)で測定した。
なお、色度がずれた場合は、適宜色素単量体(A)および造塩化合物(B)の比率を変えた着色組成物を作成、色度を測定し検量線を引く事で所望の色度での明度を算出した。
(耐溶剤性の評価)
ガラス基板上にC光源においてy=0.090になるようにレジスト材を塗布し、基板
を230℃で20分加熱した。その後、C光源での色度1(L*(1),a*(1),b*(
1))を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定し
た。さらにその後、基板をN−メチルピロリドンに15分間浸漬し、再度C光源での色度
2(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
測定した色度値を用いて、下記計算式により、色差ΔEab*を算出した。
ΔEab* = √((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
色差ΔEab*に基づいて、塗膜の耐溶剤性を下記基準で評価した。
なお、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。

○:ΔEab*が3.0未満
△:ΔEab*が3.0以上 5.0未満
×:ΔEab*が5.0以上
表3〜5の略語を下記に記す。
・光重合性単量体
アロニックス M−402;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックス M−402」)
・光重合開始剤
イルガキュアーOXE02;
(BASFジャパン社製「イルガキュアーOXE02」)
・光カチオン重合開始剤
イルガキュア290;
(BASFジャパン社製「イルガキュア290」:
・酸化防止剤
イルガノックス1010;
(BASFジャパン社製「イルガノックス1010」)
イルガフォス168;
(BASFジャパン社製「イルガフォス168」)
表1の結果より着色剤が、一般式(1)で表わされる色素単量体(A)と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物とからなる造塩化合物(B)とを含有することで、耐熱性、明度および耐溶剤性に優れた着色組成物であることが確認できた。
なお、比較例14の着色組成物14は、色相を合わせることが出来なかった。
以上の結果より、本願のカラーフィルタ用着色組成物により、明度に優れるだけでなく、耐熱性、耐溶剤性にも優れた塗膜を得ることができ、該塗膜により高明度、高彩度のカラーフィルタの提供が可能となる事が確認できた。

Claims (11)

  1. 着色剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、該着色剤が、下記一般式(1)で表わされる色素単量体(A)と、トリアリールメタン系塩基性染料とアニオン性基を有するカウンタ化合物との造塩化合物(B)(ただし色素単量体(A)である場合を除く)とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。

    [一般式(1)中、Qは有機色素骨格を表す。
    Xは、直接結合、−R2−、−NH−R3−、−O−R3−、−CO−R3−、−COO−R3−、または−O−CO−R3−を表す。
    1は、水素原子、またはメチル基を表す。
    2は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のエステル結合(−COO−)もしくはエーテル結合(−O−)から選ばれる一種類以上の結合を少なくとも1つ含むアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−R4−O−R5−、−R4−CO−R5−、−R4−COO−R5、−R4−O−CO−R5−、−R4−O−CONH−R5−、または−R4−O−CO−R6−CO−R5−を表す。
    3は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−R4−O−R5−、−R4−CO−R5−、−R4−O−CO−R5−、−R4−O−CONH−R5−、または−R4−O−CO−R6−CO−R5−を表す。
    4およびR6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。
    5は、置換もしくは無置換のアルキレン基、または−O−CH2−CHOH−CH2−を表す。]
  2. 一般式(1)における有機色素骨格Qが、下記一般式(2)で示されるキサンテン系染料骨格、下記一般式(3−1)で示されるアントラキノン系染料骨格、下記一般式(3−2)で示されるアントラキノン系染料骨格、下記一般式(3−3)で示されるアントラキノン系染料骨格、下記一般式(4−1)で示されるトリアリールメタン系染料骨格、および下記一般式(4−2)で示されるトリアリールメタン系染料骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機色素骨格である請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物。

    [一般式(2)中、
    31〜R34は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表し、R31とR32、およびR33とR34は、環構造を形成しても良い。
    35は、各々独立に、1価の置換基を表し、mは、0から5の整数を表す。
    は、無機または有機のアニオンを表す。
    ここで、R31〜R35のいずれか1つは、Xとの結合手である。]
    [一般式(3−1)、(3−2)、および(3−3)中、
    41は水素原子、−ROH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、−RCOOH(Rは炭素数1〜5のアルキレン基)、または置換基を有してもよいフェニル基を表す。
    42〜R48は、各々独立に水素原子、水酸基、−NHR49(R49とR41は同義である)、SO3M基(Mは水素イオン、または金属イオン)、ハロゲン原子、−COR’(R’は炭素数1−3のアルキル基を表す)である。
    ここで、R41〜R48のいずれか1つは、Xとの結合手である。]
    [一般式(4−1)、および(4−2)中、
    211、R212、R213、R214、R23、R24は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有してもよいフェニル基を表すか、あるいは隣接するR同士が結合して環を形成する。
    22、R25、およびR26、は各々独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいアミノ基、またはフッ素原子を表す。
    は、無機または有機のアニオンを表す。
    ここで、R211〜R214およびR22〜R26のいずれか1つは、Xとの結合手である。]
  3. 造塩化合物(B)のカウンタ化合物が、有機スルホン酸もしくはその金属塩、硫酸エステルもしくはその金属塩、側鎖にアニオン性基を有する樹脂、またはフッ素基含有ホウ素アニオン化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  4. 硫酸エステルもしくはその金属塩が、下記一般式(11)で表わされることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用着色組成物。

    [一般式(11)中、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、
    はそれぞれ独立に、水素イオン、または金属イオンを表す。
    nは、1〜4の整数を表す。]
  5. 硫酸エステルもしくはその金属塩が、一般式(21)に示すエチレン性不飽和単量体(a−1)であることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用着色組成物。

    [一般式(21)中、
    1は水素原子、またはメチル基を表す。
    2は、単結合または2価の連結基を表し、
    Aは一般式(22)を表し、
    +は無機または有機のカチオンを表す。]

    [一般式(22)中、
    4は置換基を有しても良いアルキレン基を表し、n=1〜20の整数である。]
  6. フッ素基含有ホウ素アニオン化合物が、下記一般式(31)で表わされるアニオンを有することを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用着色組成物。

    [一般式(31)中、
    12〜R15はそれぞれ独立に、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、シアノ基、水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていても良いアリール基を表し、
    12〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子で置換されていても良いアルキル基、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていても良いアリール基を表す。
    ただし、R12〜R15がすべてフッ素原子である場合は除く。]
  7. 12〜R15の少なくとも一つが、一般式(32)で表される構造であることを特徴とする請求項6記載のカラーフィルタ用着色組成物。

    [一般式(32)中、
    16〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、またはフッ素原子を示す。
    ただし、R16〜R20がすべて水素原子である場合は除く。]
  8. さらに、フタロシアニン染料(ただし色素単量体(A)である場合を除く)を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  9. さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  10. さらに、酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  11. 基材上に、請求項1〜10いずれか1項記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
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