JP2015091962A - おもちゃ及び食品包装用途のための硬化性液及びインキ - Google Patents

おもちゃ及び食品包装用途のための硬化性液及びインキ Download PDF

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Abstract

【課題】1種以上の開始剤を含んでなる食品包装材料のインキジェット印刷用のフリーラジカル放射線硬化性液の提供。【解決手段】a)25〜100重量%の、少なくとも1個のアクリレート基及びビニルエーテル基、アリルエーテル基並びにアリルエステル基から選ばれる少なくとも1個の第2のエチレン性不飽和重合性基を有する1種以上の重合可能化合物A;b)0〜55重量%の一官能基性アクリレート及び二官能基性アクリレートから選ばれる1種以上の重合可能化合物B;c)0〜55重量%の三〜六官能基性アクリレートから選ばれる1種以上重合可能化合物Cから成り、但し、化合物Bの重量%>24重量%の場合、化合物Cの重量%>1重量%であり;且つA、B及びCのすべての重量%は重合可能組成物の合計重量に基づく重合可能性液。【選択図】なし

Description

技術的分野
本発明は硬化性インキ、さらに特定的に、硬化性インキジェットインキならびにおもちゃ及び食品包装用途のためのインキジェット印刷法におけるそれらの使用に関する。
背景の技術
インキジェット印刷においては、印刷装置とインキ受容体の間の物理的な接触なしで、インキ流体の小滴がインキ受容体表面上に直接射出される。印刷装置は印刷データを電子的に保存し、画像通りに滴を噴出するための機構を制御する。印刷は、インキ受容体を横切って印刷ヘッドを動かすか、又はその逆か、又は両方により行なわれる。
インキ受容体上にインキジェットインキを噴射する場合、インキは、典型的には液体ビヒクルならびに1種もしくはそれより多い固体、例えば染料、顔料及びポリマーを含む。インキ組成物はおおまかに:
●乾燥機構が吸収、浸透及び蒸発を含む水に基づくもの;
●乾燥が主に蒸発を含む溶剤に基づくもの;
●乾燥が吸収及び浸透を含む油に基づくもの;
●噴出温度においてインキは液体であるが室温で固体であり、乾燥は固化により置き換えられるホットメルト又は相変化;ならびに
●乾燥が重合により置き換えられるUV−硬化性のもの
に分けられ得る。
最初の3つの型のインキ組成物は吸収性インキ受容体のためにより適しているが、ホットメルトインキ及びUV硬化性インキは非吸収性インキ受容体上にも印刷され得ることが明らかなはずである。ホットメルトインキが基質に課す熱的要求の故に、特に放射線硬化性インキはインキジェット印刷用途において産業の興味を得てきた。
おもちゃ又は食品の包装上のインキジェットインキの硬化された層中の移動可能な残留物は、健康上の危険を与え得、結局それらは絶対的最小に保たれねばならない。一般にUV硬化性インキは着色剤、モノマー、光開始剤及び重合相乗剤を含有する。硬化されたインキ層からの光開始系の抽出物を減少させる既知の手段は、通常の低分子量化合物の代わりに高分子又は共重合可能光開始剤及び相乗剤を用いることを含む。
例えば特許文献1(AGFA)は、末端基として少なくとも1個の共同開始性官能(co−initiating)基を有する樹枝状ポリマーコアを含んでなる高分子コ−イニシエーターを含んでなる放射線硬化性インキジェットインキを開示している。適した共同開始性官能基として脂肪族アミン及び芳香族アミンが含まれる。樹枝状高分子構造は、少量の抽出物を達成し、且つ同時にインキの粘度の向上を最小にすることを可能にする。
硬化性インキジェットインキ中で用いられる着色剤は染料であることができるが、一般に有色顔料であり、それは顔料の表面に付着した高分子分散剤と一緒になって、通常は抽出が非常に困難である。抽出物に関して残る問題はモノマーを含む。低分子量モノマーの代わりに重合可能なオリゴマー又は架橋可能なポリマーを用いることは、噴射温度で低粘度を有することをインキに要求するインキジェット印刷の制限の故に、インキ中のある量までしか可能でない。
一般に硬化性インキジェットインキは、放射線により硬化する。インキジェットインキの熱硬化及び電子ビーム硬化は、より好ましい放射線硬化、さらに特定的にUV−線硬化の代用である。重合機構は通常、フリーラジカル重合又はカチオン重合のいずれかである。カチオン性インキジェットインキは食品包装用途のためにより適しているであろうことが、広く信じられている。カチオン性インキジェットインキは、フリーラジカル重合可能なインキジェットインキより遅く、しかし高い程度まで重合する傾向がある。これは、フリーラジカルインキジェットインキがずっと速く重合するが、硬化した画像層がより多くの抽出物、すなわち未反応モノマーを含有することを意味する。
特許文献2(SUN CHEMICAL)は、必須の成分として少なくとも1個のα,β−エチレン性不飽和放射線重合可能基を有する水溶性化合物及び水を含有する化学線硬化性水性組成物からの低抽出物フィルム包装の製造方法を開示しており、それは表面に水性組成物を適用し、それを次いで水の存在下で化学線を用いて1段階で照射し、それにより硬化フィルムを形成することにより行なわれ、ここで50ppbより少量の水溶性化合物又はその残留成分が食品類似物により抽出可能である。
硬化性インキジェットインキ中のこれらのモノマーのいくつかの揮発性は、印刷物からの不快な臭いにも寄与する。非食品印刷用途の場合、これらの不快な臭いは脱臭剤の添加によりごまかされてきた。例えば特許文献3(KONICA MINOLTA)は、光重合可能な化合物、光開始剤ならびに脱臭剤、香料及び酸化防止剤より成る群から選ばれる化合物を含んでなる光硬化性組成物を開示している。特許文献4(FUJI)も硬化性インキにおける芳香剤の使用を開示している。
特許文献5(NIPPON CATALYTIC CHEM)は、実質的にVEEAを含有する表1に従う希釈剤及び一官能基性光開始剤を含むインキ−ジェット印刷のための活性化エネルギー線硬化性インキ組成物を開示している。
特許文献6(HEXION)は、約0.1〜約15重量%のエチレン性不飽和一官能基性モノマー、約30〜約80重量%のエチレン性不飽和二官能基性モノマーを含んでなり、さらにVEEA及び一官能基性光開始剤を含むことができる放射線硬化性組成物を含んでなる放射線硬化性インキジェットインキを開示している。
特許文献7(AGFA)は、ビニルエーテル官能基及び(メタ)アクリレート官能基を有する紫外線硬化性モノマーを含んでなるインキジェット印刷のための紫外線硬化性インキ組成物を開示している。
従って、両方面(world)の最高のもの、すなわちフリーラジカルインキジェットインキの高い硬化速度及びカチオン硬化性インキジェットインキの完全な硬化を組み合わせた硬化性インキジェットインキを有することが望ましいであろう。さらに、脱臭剤又は香料を添加せずに悪臭を引き起こさない放射線−硬化性インキジェットインキに対する要求が存在し続けている。
米国特許第2006014848号明細書 米国特許第6803112号明細書 米国特許第2005287476号明細書 欧州特許第1721943A号明細書 米国特許第2003199655号明細書 国際公開第2006/085992A号パンフレット 米国特許第6310115B1号明細書
発明の目的
本発明の目的は、改善された完全な硬化及び高い硬化速度を示すインキジェットインキであって、それらを食品包装用途により適したものとするインキジェットインキを提供することである。
本発明の他の目的は、すぐたれ安定性を示すインキジェットインキを提供することである。
本発明の他の目的は、不快な臭いを隠蔽するための脱臭剤を用いずに、全くかもしくはほとんど不快な臭いを示さない印刷物を提供することである。
本発明のこれらの及び他の目的は、下記の記述から明らかになるであろう。
発明の概略
十分な量の特別なモノマーを含んでなる特別な組成物の使用により、インキジェットインキが改善された完全な硬化及び高い硬化速度ならびに接着の向上及び不快な臭いの減少を示すことが見出された。完全な硬化の後、非常に少量の抽出物が見出され、それは食品及びおもちゃのための放射線硬化性インキジェット用途に関する見通しを開いた。
本発明の目的は、請求項1により定義されるフリーラジカル硬化性液を用いて実現された。
本発明の目的は、請求項13により定義されるインキジェット印刷法を用いても実現された。
本発明のさらなる利点及び態様は、以下の記述から明らかになるであろう。
定義
本発明の開示において用いられる「染料」という用語は、それが適用される媒体中で、且つ関係する周囲条件下で10mg/Lかもしくはそれより高い溶解度を有する着色剤を意味する。
「顔料」という用語は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるDIN 55943において、関係する周囲条件下で、適用媒体中に実質的に不溶性である、従ってその中で10mg/Lより低い溶解度を有する着色剤として定義されている。
本発明の開示において用いられる「一官能基性開始剤」という用語は、1個だけの開始性官能基を有する開始剤を意味する。
本発明の開示において用いられる「二官能基性開始剤」という用語は、2個の開始性官能基を有する開始剤を意味する。
本発明の開示において用いられる「多官能基性開始剤」という用語は、2個より多い開始性官能基を有する開始剤を意味する。
「C.I.」という用語は、本発明の開示において、カラーインデックスに関する略語として用いられる。
「アルキル」という用語は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に関して可能なすべての変形、すなわち3個の炭素原子の場合:n−プロピル及びイソプロピル;4個の炭素原子の場合:n−ブチル、イソブチル及び第3級ブチル;5個の炭素原子の場合:n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピル及び2−メチル−ブチルなどを意味する。
「重量%(weight%)」、「重量%(wt%)」及び「重量パーセンテージ」という用語は、すべて同じ意味を有する。
本発明の開示において用いられる「化学線」という用語は、光化学反応を開始させることができる電磁線を意味する。
本発明の開示において用いられる「紫外線」という用語は、約100〜約400ナノメーターの波長領域内の電磁線を意味する。
硬化性液及びインキ
本発明に従うフリーラジカル硬化性液又はインキは、開始剤を含まないか、あるいはそうでなければ非高分子の、二−もしくは多官能基性開始剤、オリゴマー開始剤、高分子開始剤及び重合可能開始剤より成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い開始剤を含んでなり;ここで該液の重合可能組成物は本質的に:a)25〜100重量%の、少なくとも1個のアクリレート基G1ならびにビニルエーテル基、アリルエーテル基及びアリルエステル基より成る群から選ばれる少なくとも1個の第2のエチレン性不飽和重合可能官能基G2を有する1種もしくはそれより多い重合可能化合物A;b)0〜55重量%の一官能基性アクリレート及び二官能基性アクリレートより成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い重合可能化合物B;ならびにc)0〜55重量%の三官能基性アクリレート、四官能基性アクリレート、五官能基性アクリレート及び六官能基性アクリレートより成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い重合可能化合物Cから成り、但し、化合物Bの重量パーセンテージ>24重量%の場合、化合物Cの重量パーセンテージ>1重量%であり;且つここでA、B及びCのすべての重量パーセンテージは重合可能組成物の合計重量に基づき;且つ、但し、フリーラジカル硬化性液が開始剤を含有しない場合、少なくとも1種の重合可能化合物B又はCが重合可能組成物中に存在する。
本発明に従う硬化性液は、好ましくは硬化性インキジェット液、より好ましくは放射線硬化性インキジェット液、そして最も好ましくはUV線硬化性インキジェット液である。
硬化性液は、好ましくは少なくとも1種の光開始剤を含んでなる。
硬化性液は、好ましくはインキジェットインキセットの一部であり、ここで少なくとも1つ、より好ましくはすべてのインキが本発明に従う硬化性組成物を有する。
硬化性液は、着色剤として1種もしくはそれより多い有色顔料を含有することができ、その場合、熟練者はそれを硬化性液ではなくて硬化性インキと呼ぶ。
硬化性インキジェットインキセットは、好ましくは少なくとも1つのイエロー硬化性インキジェットインキ(Y)、少なくとも1つのシアン硬化性インキジェットインキ(C)及び少なくとも1つのマゼンタ硬化性インキジェットインキ(M)ならびに好ましくは少
なくとも1つのブラック硬化性インキジェットインキ(K)も含んでなる。画像の色域をさらに拡大するために、硬化性CMYKインキジェットインキセットを、レッド、グリーン、ブルー及び/又はオレンジのような余分のインキで増量することもできる。色インキ及び/又はブラックインキの両方の全濃度(full density)及び軽濃度(light density)インキの組み合わせによってCMYKインキセットを増量し、粒状性を低下させることにより画質を向上させることもできる。
好ましい態様において、放射線硬化性インキジェットインキセットは、UV硬化性顔料インキジェットインキセットである。
硬化性液又はインキは、さらに少なくとも1種の抑制剤も含有することができる。
硬化性液又はインキは、さらに少なくとも1種の界面活性剤も含有することができる。
硬化性液又はインキは、最も好ましくは非水性インキジェット液又はインキである。「非水性」という用語は、水を含有してはならない液体担体を指す。しかしながら、少量の、一般にインキの合計重量に基づいて5重量%より少量の水が存在できることもある。この水は意図的に加えられたのではなく、例えば極性有機溶剤のような他の成分を介して汚染物として調製物中に含まれた。5重量%より多量の水は、非水性インキジェットインキを不安定にする傾向があり、好ましくは、含水率は分散媒の合計重量に基づいて1重量%より低く、そして最も好ましくは、水は全く存在しない。
硬化性液又はインキは、好ましくは有機溶剤のような蒸発性成分を含有しない。しかし、UV硬化後の基質の表面への接着を向上させるために、少量の有機溶剤を導入するのが有利であることもあり得る。この場合、加えられる溶剤は、溶剤抵抗性(solvent
resistance)及びVOCの問題を引き起こさない範囲内のいずれの量であることもでき、好ましくはそれぞれ硬化性インキの合計重量に基づいて0.1〜10.0重量%、そして特に好ましくは0.1〜5.0重量%であることができる。
顔料添加硬化性インキは、好ましくは顔料を分散させるための分散剤、より好ましくは高分子分散剤を含有する。顔料添加硬化性インキは、インキの分散の質を向上させるために、分散相乗剤を含有することができる。好ましくは、少なくともマゼンタインキは分散相乗剤を含有する。分散相乗剤の混合物を用い、分散安定性をさらに向上させることができる。
インキの粘度は、好ましくは30℃において且つ100s-1のせん断速度において100mPa.sより低い。インキジェットインキの粘度は、100s-1のせん断速度及び10〜70℃の噴射温度において、好ましくは30mPa.sより低く、より好ましくは15mPa.sより低く、そして最も好ましくは2〜10mPa.sである。
特に食品包装用途のための硬化性インキ中で用いられる重合可能化合物は、好ましくは全くもしくはほとんど不純物を有していない、さらに特定的に毒性又は発がん性不純物を有していない精製された化合物である。不純物は通常、重合可能化合物の合成の間に得られる誘導化合物である。しかしながら、純粋な重合可能化合物にいくつかの化合物、例えば重合抑制剤又は安定剤を無害な量で故意に加えることができることもある。
重合可能化合物A
食品包装材料のインキジェット印刷のためのフリーラジカル硬化性液は、少なくとも1個のアクリレート基G1ならびにビニルエーテル基、アリルエーテル基及びアリルエステル基より成る群から選ばれる少なくとも1個の第2のエチレン性不飽和重合可能官能基G
2を有する1種もしくはそれより多い重合可能化合物Aを含んでなる。
好ましい態様において、1種もしくはそれより多い開始剤は、例えば1個もしくはそれより多いアクリレート基を有する重合可能開始剤である。後者の場合、光重合可能開始剤は、本発明に従うフリーラジカル硬化性液の重合可能化合物Bとみなされなければならない。結局、1種もしくはそれより多い重合可能化合物Aの重量パーセンテージは、100より小さくなければならない。これは他の型の化合物、例えば重合可能界面活性剤、重合可能抑制剤及び重合可能コ−イニシエーターに関しても当てはまる。これらの場合、本発明に従う硬化性液又はインキの化合物Aの含有率は、すべて重合可能組成物の合計重量に基づいて、好ましくは99重量%より低く、より好ましくは98重量%より低く、そして最も好ましくは95重量%より低い。
本発明に従う硬化性液又はインキは、本質的に1種もしくはそれより多い重合可能化合物Aならびに場合により1種もしくはそれより多い重合可能化合物B及び/又は重合可能化合物Cより成る重合可能組成物を含む。本発明において「本質的に成る」という表現は、化合物A、B及びCと異なる他の重合可能化合物を、それらが硬化された層からの多量の抽出物を生じない限り、使用することができることを意味する。例えば2個のビニルエーテル基を有するが、アクリレート基を有していない重合可能化合物を、硬化性液又はインキの重合可能組成物に、多量の抽出物を生じさせない少量でのみ加えることができる。重合可能組成物の合計重量に基づいて25重量%かもしくはそれより多い量のジビニルエーテル化合物は、おもちゃ又は食品包装用途上へのインキジェット印刷に適した硬化性液又はインキをもたらさない。重合可能化合物A、B及びCと異なる重合可能化合物の量は、重合可能組成物の合計重量基づいて、好ましくは5重量%より少なく、そしてより好ましくは2重量%より少なくなければならない。最も好ましくは、重合可能化合物A、B及びC以外の他の重合可能化合物は硬化性液又はインキ中に存在せず、すなわち重合可能液又はインキは、1種もしくはそれより多い重合可能化合物Aならびに場合により1種もしくはそれより多い重合可能化合物B及び/又は重合可能化合物Cから成る。重合可能化合物A、B及びC中に少なくとも1個のアクリレート基が存在することにも注目しなければならない。アクリレート基をメタクリレート基により置き換えることは、おもちゃ又は食品包装用途上へのインキジェット印刷に適した硬化性液又はインキをもたらさない。
本発明に従うフリーラジカル硬化性液及びインキは、好ましくは、両方とも重合可能組成物の合計重量に基づいて、60〜90重量%の1種もしくはそれより多い重合可能化合物A及び10〜40重量%の1種もしくはそれより多い重合可能化合物Cを含んでなる重合可能組成物含む。
インキ中の一官能基性及び多官能基性モノマーの型及び濃度を介して、重合の速度及び完全性に影響を与えることができる。一官能基性モノマーは、重合プロセスに加わるための重合可能官能基を1個だけ有し、通常は比較的低い粘度も示し、それにより多官能基性モノマーより長時間重合を続けることができるが、最後に重合層中にトラップされるある量の未反応モノマーを生じる。一般に、多官能基性モノマーは、それらが2個もしくはそれより多い重合可能官能基を有するために、重合に加わるより大きな可能性を有する。しかしながら、それらはより急速に且つ何度も反応することができるので、層のガラス化がずっと速く起こり、重合した網目中にトラップされる未反応の多官能基性モノマーを生ずる。これらのトラップされたモノマーは抽出物に有意に寄与し、それはおもちゃ及び食品包装用途におけるインキジェット印刷に関する可能性を制限する。
重合可能化合物Aは、好ましくは式(I):
Figure 2015091962
により示され、
式中、
G1はアクリレート基を示し;
G2はビニルエーテル基、アリルエーテル基及びアリルエステル基より成る群から選ばれるエチレン性不飽和重合可能官能基を示し;
GX及びGYは、独立してG1及びG2より成る群から選ばれ;
n及びmは、0又は1の値を有する独立して選ばれる整数であり;そして
Lは、少なくとも1個の炭素原子を含んでなる(n+m+2)価の連結基を示す。例えばn=1及びm=0の場合、(n+m+2)価の連結基は、少なくとも1個の炭素原子を含んでなる3価の連結基を示す。好ましい態様において、整数n及びmの両方は0に等しい値を有する。
好ましい態様において、連結基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含んでなる脂肪族鎖である。
他の好ましい態様において、連結基は、1個もしくはそれより多いエチレンオキシド単位及び/又は1個もしくはそれより多いプロピレンオキシド単位を含んでなる。
インキ中で単一種の重合可能化合物Aを用いることができるか、あるいは重量%として表される種々の重合可能化合物Aの合計量が1種もしくはそれより多い重合可能化合物Aに関して規定される範囲内に留まる限り、種々の重合可能化合物Aの混合物を用いることができる。
好ましい態様において、重合可能化合物Aは、第2の重合可能官能基G2として1個もしくはそれより多いビニルエーテル基を有する。
他の好ましい態様において、重合可能化合物Aは、第2の重合可能官能基G2として1個もしくはそれより多いアリルエーテル基を有する。
他の好ましい態様において、重合可能化合物Aは、第2の重合可能官能基G2として1個もしくはそれより多いアリルエステル基を有する。
非常に好ましい態様において、重合可能化合物Aは2−(ビニルエトキシ)エチルアクリレートである。
本発明に従う硬化性液及びインキに適した典型的な重合可能化合物を表1に示すが、それらに制限されない。
Figure 2015091962
重合可能化合物Aは、好ましくは800ダルトンより小さい、より好ましくは500ダルトンより小さい、そして最も好ましくは400ダルトンより小さい分子量を有する。
画像層からの抽出物を減少させるために、重合可能化合物Aを有利に用いることができる。
印刷物からの不快な臭いを減少させるためにも、重合可能化合物Aを有利に用いることができる。
他の重合可能化合物
重合可能化合物Aをインキ中で、少なくとも1個のアクリレート基を有する他のモノマー又はオリゴマーと組み合わせることができる。
他のモノマー及び/又はオリゴマーの組み合わせを用いることもできる。モノマー及び/又はオリゴマーは、種々の程度の官能価を有することができ、一官能基性(functionality)、二官能基性、三官能基性及びもっと高い官能基性のモノマー及び/又はオリゴマーの組み合わせを含む混合物を用いることができる。モノマー及び/又はオリゴマーの間の比を変えることにより、硬化性インキの粘度を調整することができる。
当該技術分野において通常既知のいずれの重合可能化合物を用いることもでき、一官能基性及び/又は多官能基性アクリレートモノマー及びオリゴマーが含まれる。
適した一官能基性アクリレートにはカプロラクトンアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、アルコキシル化フェノールアクリレート、トリデシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン修飾軟質アクリレート(lactone modified flexible acrylate)及びt−ブチルシクロヘキシルアクリレートが含まれる。
適した二官能基性アクリレートには、アルコキシル化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリート、ジオキサングリコールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクルレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールA EO(エチレンオキシド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールA PO(プロピレンオキシド)付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバレートネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ
ル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシル化ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレートが含まれる。
適した三官能基性アクリレートには、プロポキシル化グリセリントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO修飾トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ(プロピレングリコール)トリアクリレート、カプロラクトン修飾トリメチロールプロパントリアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートが含まれる。
適したもっと高次の(higher)官能基性アクリレートには、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクタム修飾ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、メトキシル化グリコールアクリレート及びアクリレートエステルが含まれる。
用いることができる重合可能オリゴマーには、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート及び直鎖状アクリルオリゴマーが含まれる。
開始剤
本発明に従う硬化性インキは、好ましくは光開始剤又は光開始剤系、例えば1種もしくはそれより多い光開始剤と1種もしくはそれより多いコ−イニシエーターを含有する。光開始剤又は光開始剤系は光を吸収し、開始種、すなわちフリーラジカルの生産を担い、それはモノマー、オリゴマー及びポリマーの、ならびに多官能基性モノマー及びオリゴマーとの重合を誘導し、それにより架橋も誘導する。
化学線を用いる照射を、波長又は強度を変えることにより、2段階で実現することができる。そのような場合、2つの型の光開始剤を一緒に用いるのが好ましい。
フリーラジカル光開始剤は、ノリッシュI型又はノリッシュII型開始剤として作用することができる。今日、2つの主な理由で、第3級アミンがフリーラジカル重合可能放射線硬化性調製物に混合される:
i)それらは、当該特定のアミンが引抜き可能なα−水素を含有していれば、アクリル基のラジカル重合に関与し且つ開始させることができるラジカルの形成により、空気妨害(air inhibition)に対抗する。従って第3級アミンをノリッシュI型光開始剤と一緒に用い、空気妨害を減少させ、それにより硬化速度を増すことができる;そして
ii)それらは、例えばベンゾフェノン型のケトンと一緒にコ−イニシエーターとして働くことができ、ここで励起されたケト基はアミンから水素を引抜き、それによりラジカルが形成されてアクリル基などのラジカル重合を促進する。これはいわゆるノリッシュII型の光重合である。
特に食品包装用途の場合、安全性の理由で、本発明に従う硬化性液はいわゆる拡散が妨げられた光開始剤(diffusion hindered photoinitiator)を含有する。拡散が妨げられた光開始剤は、硬化性液又はインキの硬化した層において、一官能基性光開始剤、例えばベンゾフェノンよりずっと遅い移動性を示す光開始剤である。光開始剤の移動性を低くするために、いくつかの方法を用いることができる。1つの方法は、光開始剤の分子量を増加させ、拡散速度を低下させることであり、例えば二
官能基性光開始剤又は高分子光開始剤である。他の方法は、それが重合する網目の中に組み込まれるように、その反応性を増すことであり、例えば多官能基性光開始剤及び重合可能光開始剤である。拡散が妨げられた光開始剤は、好ましくは非高分子二官能基性もしくは多官能基性光開始剤、オリゴマーもしくは高分子光開始剤及び重合可能光開始剤より成る群から選ばれる。非高分子二官能基性もしくは多官能基性光開始剤は、300〜900ダルトンの分子量を有すると考えられる。その範囲内の分子量を有する一官能基性光開始剤は、拡散が妨げられた光開始剤ではない。本発明において、I型及びII型光開始剤の両方を、単独で、又は組み合わせて用いることができる。最も好ましくは、拡散が妨げられた光開始剤は、重合可能開始剤である。
拡散が妨げられた光開始剤の好ましい量は、硬化性インキの合計重量の0〜50重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、そして最も好ましくは0.3〜15重量%である。
適した拡散が妨げられた光開始剤は、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、α−ハロケトン、α−ハロスルホン及びフェニルグリオキサレートより成る群から選ばれるノリッシュI型光開始剤に由来する1種もしくはそれより多い光開始性官能基を含有することができる。
適した拡散が妨げられた光開始剤は、ベンゾフェノン、チオキサントン、1,2−ジケトン及びアントラキノンより成る群から選ばれるノリッシュII型開始剤に由来する1種もしくはそれより多い光開始性官能基を含有することができる。
拡散が妨げられた光開始剤の製造における光開始性官能基として適した他の光開始剤は、CRIVELLO,J.V.,et al.著;Chemistry & technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints. Volume III:Photoinitiators for Free Radical,Cationic & Anionic Photopolymerisation,第2版,John Wiley & Sons Ltd in association with SITA Technology Ltd.London,UK,1998,Dr.G.Bradley編集;ISBN
0471 978922,page 287−294により開示されている。
二官能基性及び多官能基性光開始剤
典型的な非高分子二官能基性及び多官能基性開始剤は、国際公開第2005/040083号パンフレット(LAMBERTI S.P.A)、国際公開第2004/099262号パンフレット(CIBA SPECIALTY CHEMICALS)及びBurrows et al.著,Surface Coatings International,Part B:Coatings Transactions 87(B2),2004年,127−135中に、ならびにYe et al.著,Polymer 47(13),2006年,4603−4612により開示されている。
適した非高分子多官能基性開始剤を下記で表2において示すが、それらに制限されない。
Figure 2015091962
Figure 2015091962
非高分子二官能基性及び多官能基性光開始剤は、それらの一官能基性類似物と比較すると、それらよりずっと少量の検出可能な抽出物をもたらしたことが観察された。特にインキジェットインキに関する他の利点は、非高分子二官能基性及び多官能基性光開始剤は、高分子光開始剤と反対に、粘度への影響が限られているか、又はないことである。
高分子光開始剤
適した高分子開始剤は最近、Hrdlovic P.(Polymer News,30(6),2005年,179−182及びPolymer News,30(8),2005年,248−250)ならびにCorrales T.(Journal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 159,2003年,103−114)により考察された。さらに興味深い高分子光開始剤を、CRIVELLO,J.V.,et al.著;Chemistry &
technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints. Volume III:Photoinitiators for Free Radical,Cationic & Anionic Photopolymerisation,第2版,John Wiley
& Sons Ltd in association with SITA Technology Ltd.London,UK,1998,Dr.G.Bradley編集;ISBN 0471 978922,page 208−224において見出すことができる。
特に適した高分子及びオリゴマー光開始剤は、Bertens et al.(RadTech Europe 05,Conference Proceedings 1,2005年,473−478)により、国際公開第03/033452号パンフレット(COATES BROTHERS)により、及び国際公開第03/033492号パンフレット(COATES BROTHERS)により開示されている。
低粘度を得る理由で、噴射可能な放射線硬化性組成物及びインキジェットインキ中で用いられる好ましい高分子構造は、樹枝状高分子構造、より好ましくは超分枝高分子構造である。好ましい超分枝高分子光開始剤は、特別な引用文献としてその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第2006014851号明細書(AGFA)及び米国特許第2006014853号明細書(AGFA)に開示されているものである。
適した高分子及びオリゴマー開始剤を下記に表3において示すが、それらに制限されない。超分枝構造(INI−B1、INI−B4及びINI−B11)は、明確にするため
に、混合物からの1つの特定の分子量及び置換度で例示する。
Figure 2015091962
Figure 2015091962
Figure 2015091962
重合可能光開始剤
適した重合可能光開始剤は、ドイツ特許第3534645号明細書(MERCK)及び欧州特許第0377191A号明細書(BASF)に開示されている。他の適した重合可能光開始剤は、Baeumer et al.(RADCUR’86,Conference Proceedings,1986年,4/43−4/55)、Ruhlmann
et al.(European Polymer Journal,28(9),1992年,1063−1067)及びAllen et al.(Journal of
Photochemistry and Photobiology,A:Chemistry:130(1,2),1997年,185−189)により開示されている。
好ましい態様において、重合可能光開始剤は、少なくとも1個の(メタ)アクリレート基、最も好ましくは少なくとも1個のアクリレート基を含んでなる。
好ましい重合可能光開始剤を下記で表4において示すが、これらに限られない。
Figure 2015091962
Figure 2015091962
拡散が妨げられたコ−イニシエーター
1種もしくはそれより多いコ−イニシエーターが本発明に従う硬化性液又はインキ中に含まれる場合、好ましくは、これらのコ−イニシエーターは拡散が妨げられている。
拡散が妨げられたコ−イニシエーターは、好ましくは非高分子二官能基性もしくは多官能基性コ−イニシエーター、オリゴマーもしくは高分子コ−イニシエーター及び重合可能コ−イニシエーターより成る群から選ばれる。より好ましくは、拡散が妨げられたコ−イニシエーターは、高分子コ−イニシエーター及び重合可能コ−イニシエーターより成る群から選ばれる。最も好ましくは、拡散が妨げられたコ−イニシエーターは、重合可能コ−イニシエーターである。
好ましい拡散が妨げられたコ−イニシエーターは、樹枝状高分子構造、より好ましくは超分枝高分子構造を有する高分子コ−イニシエーターである。好ましい超分枝高分子コ−イニシエーターは、特別な引用文献としてその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第2006014848号明細書(AGFA)に開示されているものである。
より好ましい拡散が妨げられたコ−イニシエーターは、1種もしくはそれより多い重合可能コ−イニシエーターである。好ましい態様において、重合可能コ−イニシエーターは、少なくとも1個の(メタ)アクリレート基、最も好ましくは少なくとも1個のアクリレート基を含んでなる。
好ましい重合可能コ−イニシエーターは、式(CO−I):
Figure 2015091962
に従うコ−イニシエーターであり、
式中、
1及びR2は独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
3からR6は独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、チオアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
7は、水素、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、アシル基、チオアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトリル基、スルホネート基、スルホンアミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
1とR2、R1とR3、R2とR5、R3とR4、R4とR7、R5とR6及びR6とR7は、5〜8員環の形成に必要な原子を示すことができ;且つ但し、芳香族アミンは少なくとも1個のアルファ水素を有し;そして
1からR7の少なくとも1個は、アクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能なエチレン性不飽和官能基を含んでなる。重合可能コ−イニシエーターにおいて、好ましくは、R7は、アルデヒド、ケトン、エステル及びアミドより成る群から選ばれる電子求引性基を示し、そしてより好ましくは、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
1からR7に関して用いられるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基は、置換されているか又は置換されていない基であることができ、すなわち置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換アルカリール基及び置換もしくは非置換(ヘテロ)アリール基を用いることができる。
好ましい態様において、重合可能コ−イニシエーターは式(CO−II):
Figure 2015091962
に相当し、
式中、
1からR6は式(CO−I)に関して定義したと同じ意味を有し;
XはO、S及びNR9より成る群から選ばれ;
8及びR9は独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
1とR2、R1とR3、R2とR5、R3とR4、R5とR6、R4とR8、R6とR8及びR8とR9は、5〜8員環の形成に必要な原子を示すことができ;そしてR1からR6及びR8の少なくとも1個は、アクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能なエチレン性不飽和官能基を含んでなる。重合可能コ−イニシエーターにおいて、好ましくは、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
式(CO−II)を有する重合可能コ−イニシエーターの1つの好ましい態様において、R1はメチル又はエチルを示し、そしてR2はアクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能なエチレン性不飽和官能基を含んでなり;そしてより好ましくはやはり、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
式(CO−II)を有する重合可能コ−イニシエーターの別の好ましい態様において、R1及びR2は独立してメチル又はエチルを示し、そしてR8はアクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能なエチレン性不飽和官能基を含んでなり;そしてより好ましくはやはり、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
より好ましい態様において、重合可能コ−イニシエーターは式(CO−III):
Figure 2015091962
に相当し、
1及びR2は独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチルより成る群から選ばれ;
Lは少なくとも1個の炭素原子を含んでなる2価の連結基を示し;
そして
10は水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルを示す。
好ましい態様において、2価の連結基Lは1〜30個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、そして最も好ましくは3〜6個の炭素原子を含んでなる。
重合可能コ−イニシエーターは、アクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から独立して選ばれる2個、3個もしくはそれより多い重合可能なエチレン性不飽和官能基を含有することができる。
重合可能コ−イニシエーターは、1個より多い第3級アミン官能基も含有することもでき、好ましくは、第2もしくは第3の第3級アミン官能基も芳香族第3級アミン、最も好ましくはジアルキルアミノ安息香酸誘導体である。
適した重合可能コ−イニシエーターを下記で表5に示すが、それらに制限されない。
Figure 2015091962
Figure 2015091962
Figure 2015091962
Figure 2015091962
硬化性インキは、好ましくはインキの合計重量の0.1〜50重量%の量で、より好ましくは0.5〜25重量%の量で、最も好ましくは1〜10重量%の量で重合可能コ−イニシエーターを含んでなる。
着色剤
硬化性インキは着色剤を含有することができる。硬化性インキ中で用いられる着色剤は染料、顔料又はそれらの組み合わせであることができる。有機及び/又は無機顔料を用いることができる。
着色剤は、好ましくは顔料又は高分子染料、最も好ましくは顔料である。食品包装用途において、例えば1000ダルトンより低い低分子量染料はまだ食品中に移動するか、あるいは食品により抽出され得、食品の望ましくない着色あるいはもっと悪くさえある固体もしくは液体の食品の消費後のアレルギー反応を生ずる。最も好ましくは、着色剤は顔料である。
顔料は、ブラック、ホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、バイオレット、ブルー、グリーン、ブラウン、それらの混合物などであることができる。この有色顔料は、HERBST,Willy,et al.著,Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications.第3版,Wiley−VCH,2004年,ISBN 3527305769により開示されているものから選ばれることができる。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Yellow 1,3,10,12,13,14,17,55,65,73,74,75,83,93,97,109,111,120,128,138,139,150,151,154,155,175,180,181,185,194及び213である。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Red 17,22,23,41,48:1,48:2,49:1,49:2,52:1,57:1,81:1,81:3,88,112,122,144,146,149,169,170,175,176,184,185,188,202,206,207,210,216,221,248,251,254,255,264,266,270及び272である。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Violet 1,2,19,23
,32,37及び39である。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Blue 15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,56,61及び(架橋)アルミニウムフタロシアニン顔料である。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Orange 5,13,16,34,40,43,59,66,67,69,71及び73である。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Green 7及び36である。
特定の好ましい顔料は、C.I.Pigment Brown 6及び7である。
適した顔料は、上記の特定の好ましい顔料の混晶を含む。混晶は固溶体とも呼ばれる。例えばある条件下で、種々のキナクリドンは互いと混ざって固溶体を形成し、それは化合物の物理的混合物及び化合物自身の両方と全く異なる。固溶体において、成分の分子は、必ずではないが通常、成分の1つの結晶格子である同じ結晶格子中に入る。得られる結晶性固体のx−線回折パターンはその固体に特徴的であり、同じ割合における同じ成分の物理的混合物のパターンと明確に区別され得る。そのような物理的混合物では、成分のそれぞれのx−線パターンを区別することができ、これらの線の多くの消失は固溶体の形成の基準の1つである。商業的に入手可能な例は、Ciba Specialty ChemicalsからのCinquasia Magenta RT−355−Dである。
カーボンブラックは、ブラック顔料として好ましい。適したブラック顔料にはカーボンブラック、例えばPigment Black 7(例えばMITSUBISHI CHEMICALからのCarbon Black MA8(R))、CABOT Co.からのRegal(R) 400R、Mogul(R) L、Elftex(R) 320又はDEGUSSAからのCarbon Black FW18、Special Black 250、Special Black 350、Special Black 550、Printex(R) 25、Printex(R) 35、Printex(R) 55、Printex(R) 90、Printex(R) 150Tが含まれる。適した顔料の追加の例は、米国特許第5389133号明細書(XEROX)に開示されている。
顔料の混合物を調製することも可能である。例えばいくつかのインキジェットインキ用途において、純黒インキジェットインキが好ましく、それは例えばインキ中にブラック顔料及びシアン顔料を混合することにより得られ得る。インキセットの色域を拡大するために顔料を組み合わせることもできる。インキジェット用途には、1個もしくはそれより多いスポットカラー(spot colours)も必要である。製品に高級な外観を与えることにより、それをより魅力的にするために、シルバー及びゴールドは多くの場合に望ましい色である。
非有機顔料もインキ中に存在することができる。適した顔料は、C.I.Pigment Metal 1,2及び3である。無機顔料の代表的な例には、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、赤色酸化鉄(III)、カドミウムレッド、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、酸化クロムグリーン、コバルトグリーン、アンバー、チタンブラック及び合成アイアンブラックが含まれる。しかしながら、食品用途における重金属の移動及び抽出を防ぐ注意をしなければならない。好ましい態様において、砒素、鉛、水銀及びカドミウムより成る群から選ばれる重金属を含有する顔料を用いない。
インキジェットインキ中の顔料粒子は、インキジェット印刷装置を介する、特に噴出ノズルにおけるインキの自由な流れを許すのに十分に小さくなければならない。最大の色濃度のため、及び沈降を遅くするためにも、小さい粒子を用いるのが望ましい。
数平均顔料粒度(particle size)は、好ましくは0.050〜1μm、より好ましくは0.070〜0.300μmそして特に好ましくは0.080〜0.200μmである。最も好ましくは、数平均顔料粒度は、0.150μmより大きくない。0.050μmより小さい平均粒度は、耐光堅牢度の低下の故に、しかし主に、非常に小さい顔料粒子又はその個々の顔料分子が食品包装用途においてやはり抽出され得るためにも、あまり望ましくない。
顔料粒子の数平均顔料粒度は、動的光散乱法の原理に基づいてBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを用いて、最も良く決定される。その場合、例えば酢酸エチルを用いて0.002重量%の顔料濃度にインキを希釈する。BI90plusの測定設定は:23℃、90°の角、635nmの波長及び図=補正関数(graphics=correction function)において5回の実験である。
ホワイト硬化性インキの場合、好ましくは1.60より大きい、好ましくは2.00より大きい、より好ましくは2.50より大きい、そして最も好ましくは2.60より大きい屈折率を有する顔料。ホワイト顔料を単独で、又は組み合わせて用いることができる。
好ましくは、1.60より大きい屈折率を有する顔料として二酸化チタンが用いられる。酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型及び板チタン石型の結晶形で存在する。アナターゼ型は比較的低い密度を有し、容易に微粒子に粉砕されるが、ルチル型は比較的高い屈折率を有し、高い被覆力を示す。これらのいずれか1つを本発明で使用できる。特性を可能な限り利用し、且つその利用に従って選択するのが好ましい。低密度及び小さい粒度を有するアナターゼ型の使用は、優れた分散安定性、インキ保存安定性及び噴出性を達成することができる。少なくとも2つの異なる結晶形を組み合わせて用いることができる。アナターゼ型と高い着色力を示すルチル型の組み合わせ使用は、酸化チタンの合計量を減らすことができ、インキの保存安定性及び噴出性能を向上させる。
酸化チタンの表面処理のために、水性処理又は気相処理が適用され、アルミナ−シリカ処理剤が通常用いられる。未処理−、アルミナ処理−又はアルミナ−シリカ処理酸化チタンを使用することができる。
酸化チタン又は他のホワイト顔料の数平均粒径(particle diameter)は、好ましくは50〜500nm、より好ましくは150〜400nm、そして最も好ましくは200〜350nmである。平均直径が50nmより小さい場合、十分な隠蔽力を得ることができず、平均直径が500nmを超えると、インキの保存安定性及び噴出適切性が下がる傾向がある。数平均粒径の決定は、顔料添加インキジェットインキの希釈された試料についての、4mW HeNeレーザーを用いる633nmの波長における光子相関分光法により、最も良く行なわれる。用いられた適した粒度分析計は、Goffin−Meyvisから入手可能なMalvernTM nano−Sであった。例えば1.5mLの酢酸エチルを含有するキュベットに1滴のインキを加え、均一な試料が得られるまで混合することにより、試料を調製することができる。測定される粒度は、20秒の6回の実験から成る3回の連続的測定の平均値である。
一般に顔料は、分散剤、例えば高分子分散剤又は界面活性剤により、分散媒中で安定化される。しかしながら、顔料の表面を改質し、いわゆる「自己分散可能」又は「自己分散
性」顔料、すなわち分散剤なしで分散媒中で分散可能である顔料を得ることができる。
顔料は、好ましくは、顔料分散系の合計重量に基づいて10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%の量で、インキジェットインキの調製のために用いられる顔料分散系中で用いられる。硬化性インキジェットインキ中で、顔料は、好ましくはインキジェットインキの合計重量に基づいて0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で存在する。
分散剤
分散剤は、好ましくは高分子分散剤である。典型的な高分子分散剤は、2種のモノマーのコポリマーであるが、3、4、5種又はそれより多種のモノマーさえ含有することができる。高分子分散剤の性質は、モノマーの性質及びポリマー中におけるそれらの分布の両方に依存する。適したコポリマー分散剤は、以下のポリマー組成を有する:
●統計学的に重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABBAABABに重合した);
●交互重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABABABABに重合した);
●勾配(gradient)(テーパード(tapered))重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがAAABAABBABBBに重合した);
●それぞれのブロックのブロック長(2、3、4、5又はそれより多くさえ)が高分子分散剤の分散能力に重要であるブロックコポリマー(例えばモノマーA及びBがAAAAABBBBBBに重合した);
●グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは、主鎖に結合した高分子側鎖を有する高分子主鎖から成る);ならびに
●これらのポリマーの混合形態、例えばブロック様勾配コポリマー。
高分子分散剤は、線状、くし状/分枝、星、樹枝状(デンドリマー及び超分枝ポリマーを含む)を含む種々のポリマー構造を有することができる。ポリマーの構造についての一般的な考察は、ODIAN,George著,Principles of Polymerization,第4版,Wiley−Interscience,2004年,p.1−18に示されている。
くし状/分枝ポリマーは、ポリマー主鎖に沿った種々の中心分枝点(少なくとも3個の分枝点)から突き出る連結モノマー分子の側枝を有する。
星ポリマーは、3個かもしくはそれより多い類似の、もしくは異なる線状ホモポリマー又はコポリマーが一緒に1個のコアに連結している分枝ポリマーである。
樹枝状ポリマーは、デンドリマー及び超分枝ポリマーの種類を含んでなる。十分に限定された(well−defined)単分散構造を有するデンドリマーでは、すべての分枝点が用いられる(多段階合成)が、超分枝ポリマーは多くの分枝点及びポリマー成長と共にさらなる分枝に導く多官能基性の枝を有する(一段階重合法)。
付加又は縮合型重合を介して、適した高分子分散剤を製造することができる。重合法には、ODIAN,George著,Principles of Polymerization,第4版,Wiley−Interscience,2004年,p.39−606により記載されているものが含まれる。
付加重合法は、フリーラジカル重合(FRP)及び制御重合法(controlled
polymerization techniques)を含む。適した制御ラジカル重合法は:
●RAFT:可逆的付加−フラグメント化連鎖移動;
●ATRP:原子移動ラジカル重合;
●MADIX:移動活性キサンテートを用いる可逆的付加−フラグメント化連鎖移動法;●接触連鎖移動(catalytic chain transfer)(例えばコバルト錯体を用いる);
●ニトロキシド(例えばTEMPO)媒介重合;
を含む。
他の適した制御重合法は:
●GTP:基移動重合(group transfer polymerization);
●リビングカチオン(開環)重合;
●アニオン性配位挿入開環重合;及び
●リビングアニオン(開環)重合
を含む。
可逆的付加−フラグメント化移動(RAFT):制御重合は、成長しているポリマーラジカルと休止(dormant)ポリマー鎖の間の急速な連鎖移動を介して起こる。種々の高分子幾何学を有する分散剤のRAFT合成についての総説は、QUINN J.F.et al.著,Facile Synthesis of comb,star and graft polymers via reversible addition−fragmentation chain transfer(RAFT)polymerization,Journal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry,Vol.40,2002年,2956−2966に与えられている。
基移動重合(GTP):ABブロックコポリマーの合成に用いられるGTPの方法は、SPINELLI,Harry J著,GTP and its use in water based pigment dispersants and emulsion stabilisers,Proc.of 20th Int.Conf.Org.Coat.Sci.Technol.,New Platz,N.Y.,State Univ.N.Y.,Inst.Mater.Sci.p.511−518により開示されている。
樹枝状ポリマーの合成は文献に記載されている。NEWCOME,G.R.,et al.著,Dendritic Molecules:Concept,Synthesis,Perspectives.VCH:WEINHEIM,2001年におけるデンドリマーの合成。超分枝重合は、BURCHARD,W.,Solution properties of branched macromolecules.Advances in Polymer Science.1999年,vol.143,no.II,p.113−194により記載されている。Flory,P.J.著,Molecular size distribution in three−dimensional polymers,VI.Branched polymer containing A−R−Bf−1−type units.Journal of the American Chemical Society.1952年,vol.74,p.2718−1723により開示されている多官能基性重縮合により、超分枝材料を得ることができる。
リビングカチオン重合は、例えば国際公開第2005/012444号パンフレット(CANON)、米国特許第20050197424号明細書(CANON)及び米国特許
第20050176846号明細書(CANON)中に開示されている通り、ポリビニルエーテルの合成のために用いられる。アニオン性配位開環重合は、例えばラクトンに基づくポリエステルの合成のために用いられる。リビングアニオン性開環重合は、例えばポリエチレンオキシドマクロモノマー(macromonomer)の合成のために用いられる。
フリーラジカル重合(FRP)は、連鎖機構を介して進行し、それは基本的にフリーラジカルを含む4種の型の反応から成る:(1)非ラジカル種からのラジカル生成(開始)、(2)置換アルケンへのラジカル付加(成長)、(3)原子移動及び原子引抜き反応(連鎖移動及び不均化による停止)ならびに(4)ラジカル−ラジカル組み直し(recombination)反応(結合(combination)による停止)。
上記のポリマー組成のいくつかを有する高分子分散剤は、米国特許第6022908号明細書(HP)、米国特許第5302197号明細書(DU PONT)及び米国特許第6528557号明細書(XEROX)に開示されている。
適した統計学的コポリマー分散剤は、米国特許第5648405号明細書(DU PONT)、米国特許第6245832号明細書(FUJI XEROX)、米国特許第6262207号明細書(3M)、米国特許第20050004262号明細書(KAO)及び米国特許第6852777号明細書(KAO)に開示されている。
適した交互コポリマー分散剤は、米国特許第20030017271号明細書(AKZO NOBEL)に記載されている。
適したブロックコポリマー分散剤、特に疎水性及び親水性ブロックを含有するブロックコポリマー分散剤は多数の特許に記載されている。例えば米国特許第5859113号明細書(DU PONT)はABブロックコポリマーを開示しており、米国特許第6413306号明細書(DU PONT)はABCブロックコポリマーを開示している。
適したグラフトコポリマー分散剤は、カナダ特許第2157361号明細書(DU PONT)(疎水性ポリマー主鎖及び親水性側鎖)に記載されており;他のグラフトコポリマー分散剤は、米国特許第6652634号明細書(LEXMARK)、米国特許第6521715号明細書(DU PONT)に開示されている。
適した分枝コポリマー分散剤は、米国特許第6005023号明細書(DU PONT)、米国特許第6031019号明細書(KAO)、米国特許第6127453号明細書(KODAK)に記載されている。
適した樹枝状コポリマー分散剤は、例えば米国特許第6518370号明細書(3M)、米国特許第6258896号明細書(3M)、米国特許第2004102541号明細書(LEXMARK)、米国特許第6649138号明細書(QUANTUM DOT)、米国特許第2002256230号明細書(BASF)、欧州特許第1351759A号明細書(EFKA ADDITIVES)及び欧州特許第1295919A号明細書(KODAK)に記載されている。
インキジェットインキのための高分子分散剤の適した設計は、SPINELLI,Harry J.著,Polymeric Dispersants in Inkjet technology,Advanced Materials,1998年,Vol.10,no.15,p.1215−1218に開示されている。
高分子分散剤の製造に用いられるモノマー及び/又はオリゴマーは、Polymer Handbook Vol.1+2,第4版,J.BRANDRUP et al.編,Wiley−Interscience,1999年中に見出され得るいずれのモノマー及び/又はオリゴマーであることもできる。
顔料分散剤として有用なポリマーには、天然に存在するポリマーが含まれ、その特定の例には:タンパク質、例えばグルー、ゼラチン、カゼイン及びアルブミン;天然に存在するゴム、例えばアラビアゴム及びトラガカント;グルコシド、例えばサポニン;アルギン酸及びアルギン酸誘導体、例えばプロピレングリコールアルギネート;ならびにセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びエチルヒドロキシセルロース;羊毛及び絹ならびに合成ポリマーが含まれる。
高分子分散剤の合成に適したモノマーの例には:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸(もしくはそれらの塩)、無水マレイン酸、アルキル(メタ)アクリレート(直鎖状、分枝鎖状及びシクロアルキル)、例えばメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート及びフェニル(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、;他の型の官能基(例えばオキシラン、アミノ、フルオロ、ポリエチレンオキシド、ホスフェート置換された)を有する(メタ)アクリレート、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコール(メタ)アクリレートホスフェート;アリル誘導体、例えばアリルグリシジルエーテル;スチレン系誘導体、例えばスチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトスチレン及びスチレンスルホン酸;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド(N−モノ及びN,N−ジ置換されたものを含む)、例えばN−ベンジル(メタ)アクリルアミド;マレイミド、例えばN−フェニルマレイミド;ビニル誘導体、例えばビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルナフタレン及びビニルハライド;ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル;カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、酪酸ビニル及び安息香酸ビニルが含まれる。
適した縮合型ポリマーにはポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミン、ポリイミド、ポリケトン、ポリエステル、ポリシロキサン、フェノール−ホルムアルデヒド、ウレア−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリスルフィド、ポリアセタール又はそれらの組み合わせが含まれる。
適したコポリマー分散剤は、アクリル酸/アクリロニトリルコポリマー、酢酸ビニル/アクリル酸エステルコポリマー、アクリル酸/アクリル酸エステルコポリマー、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸コポリマー、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステルコポリマー、スチレン/α−メチルスチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン/α−メチルスチレン/アクリル酸/アクリル酸エステルコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ビニルナフタレン/アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン/マレイン酸コポリマー、酢酸ビニル/エチレンコポリマー、酢酸ビニル/脂肪酸/エチレンコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸エステルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー及び酢酸ビニル/アクリル酸コポリマーである。
コポリマー分散剤の適した化学品(chemistries)には:
●ポリ(エチレンイミン)とカルボン酸末端ポリエステル(付加重合により製造される)の縮合プロセスの生成物であるコポリマー;ならびに
●多官能基性イソシアナートと:
−イソシアナートと反応することができる基でモノ置換された化合物、例えばポリエステル;
−イソシアナートと反応することができる2個の基を含有する化合物(架橋剤);及び/又は
−少なくとも1個の塩基性環窒素及びイソシアナート基と反応することができる基を有する化合物
の反応の生成物であるコポリマー
も含まれる。
適した高分子分散剤の詳細なリストは、MC CUTCHEON,Functional Materials,North American Edition,Glen Rock,N.J.:Manufacturing Confectioner Publishing Co.,1990年,p.110−129により開示されている。
適した顔料安定剤は、ドイツ特許第19636382号明細書(BAYER)、米国特許第5720802号明細書(XEROX)、米国特許第5713993号明細書(DU
PONT)、国際公開第96/12772号パンフレット(XAAR)及び米国特許第5085689号明細書(BASF)にも開示されている。
分散系の安定性をさらに向上させるために、1種の高分子分散剤又は2種もしくはそれより多い高分子分散剤の混合物が存在することができる。顔料分散剤として界面活性剤を使用できることもあり、かくして高分子分散剤と界面活性剤の組み合わせも可能である。
高分子分散剤は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性であることができ;イオン性分散剤の塩を用いることもできる。
高分子分散剤は、好ましくは5〜1000、より好ましくは10〜500そして最も好ましくは10〜100の重合度DPを有する。
高分子分散剤は、好ましくは500〜30000、より好ましくは1500〜10000の数平均分子量Mnを有する。
高分子分散剤は、好ましくは100000より小さい、より好ましくは50000より小さい、そして最も好ましくは30000より小さい重量平均分子量Mwを有する。
高分子分散剤は、好ましくは2より小さい、より好ましくは1.75より小さい、そして最も好ましくは1.5より小さい高分子分散度(polymeric dispersity)PDを有する。
高分子分散剤の市販の例は以下である:
●BYK CHEMIE GMBHから入手可能なDISPERBYKTM分散剤;
●NOVEONから入手可能なSOLSPERSETM分散剤;
●DEGUSSAからのTEGOTMDISPERSTM分散剤;
●MUENZING CHEMIEからのEDAPLANTM分散剤;
●LYONDELLからのETHACRYLTM分散剤;
●ISPからのGANEXTM分散剤;
●CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEXTM
びEFKATM分散剤;
●DEUCHEMからのDISPONERTM分散剤;及び
●JOHNSON POLYMERからのJONCRYLTM分散剤。
特に好ましい高分子分散剤には、NOVEONからのSolsperseTM分散剤、CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのEfkaTM分散剤及びBYK CHEMIE GMBHからのDisperbykTM分散剤が含まれる。
UV−硬化性顔料添加分散系のための特に好ましい分散剤は、NOVEONからのSolsperseTM 32000、35000及び39000である。
高分子分散剤は、好ましくは顔料の重量に基づいて2〜600重量%、より好ましくは5〜200重量%の量で用いられる。
抑制剤
硬化性インキは、重合抑制剤を含有することができる。適した重合抑制剤には、フェノール型酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、蛍りん光体型酸化防止剤、(メタ)アクリレートモノマーにおいて通常用いられるヒドロキノンモノメチルエーテルが含まれ、ヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2,6−ジ−tert.ブチル−4−メチルフェノールも使用することができる。
適した市販の抑制剤は、例えばSumitomo Chemical Co.Ltd.により製造されるSumilizerTM GA−80、SumilizerTM GM及びSumilizerTM GS;Rahn AGからのGenoradTM 16、GenoradTM 18及びGenoradTM 20;Ciba Specialty ChemicalsからのIrgastabTM UV10及びIrgastabTM UV22、TinuvinTM 460及びCGS20;Kromachem LtdからのFloorstabTM UV領域(UV−1、UV−2、UV−5及びUV−8)、Cytec Surface SpecialtiesからのAdditolTM
S領域(S100、S110、S120及びS130)である。
抑制剤は、好ましくは重合可能抑制剤である。
好ましい態様において、重合可能抑制剤は式(II):
Figure 2015091962
に従う重合可能フェノール性重合抑制剤であり、
式中、
Rは水素又はメチル基を示し;
XはO又はNR1を示し;
mは0又は1を示し;
nは1〜5の整数を示し;
oは1〜6の整数を示し;
Aは置換もしくは非置換フェノール性部分を示し;
Lは、最高で20個の炭素原子を含んでなる(n+o)−価の連結基を示し;
1は水素、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換アルカリール基、置換もしくは非置換アリール基及び置換もしくは非置換ヘテロアリール基より成る群から選ばれる基を示す。
式(II)に従う重合可能フェノール性重合抑制剤の好ましい態様において、Rは水素を示す。
式(II)に従う重合可能フェノール性重合抑制剤のさらに別の好ましい態様において、n及びoは1に等しい。
式(II)に従う重合可能フェノール性重合抑制剤の特に好ましい態様において、Aは式(III):
Figure 2015091962
により示され、
ここで点線は、炭素環式芳香族化合物へのL又はXの結合部位を示し;そして
2及びR3は、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換アルカリール基及び置換もしくは非置換アリール基より成る群から選ばれる。置換もしくは非置換アルキル基が特に好ましい。
式(II)に従う重合可能フェノール性重合抑制剤の別の特に好ましい態様において、Aは式(IV):
Figure 2015091962
により示され、
ここで点線は、炭素環式芳香族化合物へのL又はXの結合部位を示す。
本発明に従う重合可能フェノール性重合抑制剤の典型的な例を表6に示すが、これらに限られない。
Figure 2015091962
Figure 2015091962
Figure 2015091962
Figure 2015091962
これらの重合抑制剤の過剰の添加は、硬化へのインキの感受性を低下させ得るので、配合前に重合を妨げることができる量を決定するのが好ましい。重合抑制剤の量は、好ましくはインキ全体の5重量%より少なく、より好ましくは3重量%より少ない。
界面活性剤
界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性イオン性であることができ、通常、インキジェットインキの合計重量に基づいて20重量%より少ない合計量で、そして特にインキジェットインキの合計重量に基づいて10重量%より少ない合計量で加えられる。
適した界面活性剤には、フッ素化界面活性剤、脂肪酸塩、高級アルコールのエステル塩、高級アルコールのアルキルベンゼンスルホネート塩、スルホスクシネートエステル塩及びホスフェートエステル塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物ならびにアセチレングリコール及びそのエチレンオキシド付加物(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルならびにAIR PRODUCTS & CHEMICALS INC.から入手可能なSURFYNOLTM 104、104H、440、465及びTGが含まれる。
非水性インキジェットインキのために、好ましい界面活性剤は、フルオロ界面活性剤(例えばフッ素化炭化水素)及びシリコーン界面活性剤から選ばれる。シリコーンは、典型的にはシロキサンであり、アルコキシル化、ポリエーテル修飾、ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能基化、アミン修飾、エポキシ修飾及び他の修飾又はそれらの組み合わせがされていることができる。好ましいシロキサンは高分子性、例えばポリジメチルシロキサンである。
放射線硬化性インキジェットインキにおいて、フッ素化又はシリコーン化合物を界面活性剤として用いることができるが、架橋可能な界面活性剤が好ましいであろう。従って界面活性効果を有する共重合可能なモノマー、例えばポリアクリレートコポリマー、シリコーン修飾アクリレート、シリコーン修飾メタクリレート、アクリル化シロキサン、ポリエーテル修飾アクリル修飾シロキサン、フッ素化アクリレート及びフッ素化メタクリレートを用いるのが好ましく;これらのアクリレートは一官能基性、二官能基性、三官能基性又はもっと高次の官能基性の(メタ)アクリレートであることができる。
インキの表面張力を低下させるため、及び基質上の接触角を減少させるため、すなわちインキによる基質の濡れを向上させるためにインキジェットインキ中で用いるための界面活性剤は既知である。他方、噴射可能な流体は、高い精度、信頼性で、且つ長時間適切に噴射可能であるために、厳重な性能基準を満たさなければならない。インキによる基質の濡れ及び高い噴射性能の両方を達成するために、典型的には1種もしくはそれより多い界面活性剤の添加によりインキの表面張力を低下させる。しかしながら硬化性インキジェットインキの場合、インキジェットインキの表面張力は界面活性剤の量及び型のみでなく、インキ組成物中の重合可能化合物、高分子分散剤及び他の添加剤によっても決定される。
用途に依存して、高い、低い又は中間の動的表面張力を有する界面活性剤を用いることができる。シリコーン界面活性剤は一般に低い動的表面張力を有することが知られているが、フッ素化界面活性剤は、より高い動的表面張力を有することが知られている。
有用な商業的に入手可能なフッ素化界面活性剤は、例えばDUPONTからのZonylTMの種類(range)のフルオロ−界面活性剤及び3MからのFluoradTMの種類のフルオロ界面活性剤である。他のフッ素化界面活性剤は、例えば欧州特許第1412438A号明細書(3M)に記載されている。
シリコーン界面活性剤、特に反応性シリコーン界面活性剤は硬化性インキジェットインキにおいて多くの場合に好ましく、それらは硬化段階の間に重合可能化合物と一緒に重合することができる。
有用な商業的に入手可能なシリコーン界面活性剤は、多くの場合にポリシロキサン界面活性剤、特に好ましくは重合可能になるために1個もしくはそれより多いアクリレート官能基を有するポリエーテル修飾ポリシロキサンである。
有用な市販のシリコーン界面活性剤の例は、BYK CHEMIE GMBHにより供給されるもの(BykTM−302、307、310、331、333、341、345、346、347、348、UV3500、UV3510及びUV3530を含む)、TEGO CHEMIE SERVICEにより供給されるもの(Tego RadTM 2100、2200N、2250、2300、2500、2600及び2700を含む)、CYTEC INDUSTRIES BVからのEbecrylTM 350ポリシロキサンジアクリレート及びEbecrylTM 1360ポリシロキサンヘキサアクリレートならびにEFKA CHEMICALS B.V.からのEfkaTM 3000シリーズ(EfkaTM−3232及びEfkaTM−3883を含む)である。
インキジェット印刷法
本発明に従うインキジェット印刷法は、硬化性液又はインキに関して上記で定義した組成を有する層を基質上に適用する段階を含んでなる。
インキジェット印刷法の好ましい態様において、適用される層は、好ましくは二酸化チ
タン顔料を含有するホワイトプライマーである。例えば透明基質上で、カラーインキのコントラスト及び鮮明さ(vividness)を強化するために、ホワイトプライマーを有利に用いることができる。その場合、ホワイト硬化性インキをいわゆる「表面印刷」又は「裏引き印刷(backing printing)」のために用い、透明基質上に反射画像を形成する。表面印刷では、ホワイトインキを用いて透明基質上にホワイト背景が形成され、さらにその上にカラー画像が印刷され、その後、形成された最終的な画像が印刷面から目視される。いわゆる裏引き印刷では、カラーインキを用いて透明基質上にカラー画像が形成され、次いでカラーインキ上にホワイトインキが適用され、最終的な形成される画像は透明基質を介して観察される。好ましい態様において、カラーインキジェットインキを部分的に硬化したホワイトインキジェットインキ上に噴射する。ホワイトインキが部分的にしか硬化していないと、ホワイトインキ層上におけるカラーインキの濡れ性の向上が観察される。部分的な硬化は、基質表面上のインキを固定する。ホワイトインキジェットインキが部分的に硬化していることを確かめる迅速な試験は、印刷表面を横切って指又は布でこすり、それによりインキを表面上で不鮮明にするか、又はにじませることができることを観察することにより行なうことができる。
インキジェット印刷法の他の好ましい態様において、適用される層は無色層である。この層は、例えば画像の接着を向上させるためのプライマーとして、あるいは例えば画像の光沢を向上させるための最外層として存在することができる。
上記の層は、好ましくはインキジェット印刷、フレキソグラフ印刷、オフセット印刷及びスクリーン印刷より成る群から選ばれる印刷法により、適用される。
あるいはまた、上記の層は、浸漬コーティング、ナイフコーティング、押出コーティング、スピンコーティング、スライドホッパーコーティング及び流し塗(curtain coating)より成る群から選ばれるコーティング法により、適用される。
インキジェット印刷手段
本発明に従う硬化性液及びインキを、インキの小滴を噴出させる1個もしくはそれより多い印刷ヘッドにより、印刷ヘッドに相対的に動いているインキ受容体表面上に、制御されたやり方でノズルを介して噴射することができる。
インキジェット印刷系のための好ましい印刷ヘッドは、圧電ヘッドである。圧電インキジェット印刷は、圧電セラミック変換器の、電圧がそれに適用される時の動きに基づく。電圧の適用は、印刷ヘッド中の圧電セラミック変換器の形を変化させて空隙を作り、次いでそれはインキで満たされる。再び電圧が取り除かれると、セラミックはその最初の形に膨張し、印刷ヘッドからインキの滴を噴出させる。しかしながら、本発明に従うインキジェット印刷法は圧電インキジェット印刷に制限されない。他のインキジェット印刷ヘッドを用いることができ、連続型ならびに熱的、静電的及び音響的ドロップオンデマンド(drop on demand)型のような種々の型が含まれる。
高い印刷速度において、インキは印刷ヘッドから容易に噴出しなければならず、それはインキの物理的性質に複数の拘束、例えば25℃〜110℃で変り得る噴射温度における低粘度、印刷ヘッドノズルが必要な小滴を形成できるような表面エネルギー、乾燥印刷領域への迅速な転換が可能な均一なインキ・・・を強制する。
インキジェット印刷ヘッドは通常、動いているインキ受容体表面を横切って横方向で行ったり来たり走査される。多くの場合、インキジェット印刷ヘッドは、帰り道に印刷しない。二方向印刷は、高い面積処理量を得るために好ましい。他の好ましい印刷法は、「1回通過印刷法(single pass printing process)」による
方法であり、それはインキ受容体表面の幅全体に及ぶページ幅インキジェット印刷ヘッド又は多数の互い違いのインキジェット印刷ヘッドの使用により達成され得る。1回通過印刷法では、インキジェット印刷ヘッドは通常静止したままであり、インキ受容体表面がインキジェット印刷ヘッドの下を輸送される。
硬化手段
本発明に従う硬化性液及びインキを、それらを化学線に暴露することにより、熱的硬化により、及び/又は電子ビーム硬化により、硬化させることができる。拡散が妨げられた光開始剤を含んでなる硬化性液及びインキは、好ましくは放射線硬化により、より好ましくは紫外線により硬化する。開始剤を含まない硬化性液及びインキは、電子ビーム硬化により硬化する。
硬化手段を、それと一緒に移動するインキジェットプリンターの印刷ヘッドと組み合わせて配置し、硬化性液が噴射された直後に硬化放射線に暴露されるようにすることができる。
そのような配置において、印刷ヘッドに連結され、且つそれと一緒に移動する十分に小さい放射線源を備えるのは困難であり得る。従って、光ファイバー束又は内反射性フレキシブルチューブ(internally reflective flexible tube)のような柔軟性放射線伝導手段により放射線源に連結された静止固定放射線源、例えば硬化UV光源を用いることができる。
あるいはまた、放射線ヘッドの上の鏡を含む鏡の配置により、固定源から放射線ヘッドに化学線を供給することができる。
印刷ヘッドと一緒に動かないように配置される放射線源は、硬化するべきインキ受容体表面を横切って横に、且つ印刷ヘッドの横通過路に隣接して延びる長い放射線源であることもでき、印刷ヘッドにより形成される画像の連続する列が段階的又は連続的にその放射線源の下を通過するようにすることもできる。
発光される光の一部が光開始剤又は光開始剤系により吸収され得る限り、高圧もしくは低圧水銀ランプ、冷陰極管、ブラックライト、紫外LED、紫外レーザー及び閃光(flash light)のようないずれの紫外光源も放射線源として用いることができる。これらの中で好ましい源は、300〜400nmの主波長を有する比較的長波長UV寄与(long wavelength UV−contribution)を示すものである。特にUV−A光源は、それを用いて光散乱が減少し、より有効な内部硬化を生ずる故に、好ましい。
UV線は一般に、UV−A、UV−B及びUV−Cとして以下の通りに分類される:
●UV−A:400nm〜320nm
●UV−B:320nm〜290nm
●UV−C:290nm〜100nm。
さらに、異なる波長又は照度の2種の光源を連続的又は同時に用いて、画像を硬化することができる。例えば第1のUV源を、特に260nm〜200nmの領域内のUV−Cが豊富なように選択することができる。その場合、第2のUV源はUV−Aが豊富であり、例えばガリウムがドーピングされたランプであるか、あるいはUV−A及びUV−Bの両方が高い異なるランプであることができる。2種のUV源の使用は利点、例えば速い硬化速度を有することが見出された。
硬化を助長するために、インキジェットプリンターは多くの場合に1個もしくはそれより多い酸素枯渇装置(oxygen depletion units)を含む。酸素枯渇装置は、硬化環境中の酸素濃度を低下させるために、調整可能な位置及び調整可能な不活性ガス濃度で、窒素又は他の比較的不活性なガス(例えばCO2)のブランケット(blanket)を置く。残留酸素レベルは通常、200ppmのように低く保たれるが、一般に200ppm〜1200ppmの範囲内である。
サーマルヘッド、ヒートスタイラス(heat stylus)、ホットスタンピング、レーザービームなどの使用により、熱的硬化を画像通りに行なうことができる。レーザービームを用いる場合、好ましくは硬化性インキ中の赤外染料と組み合わせて赤外レーザーを用いる。
電子ビームを用いる場合、前記の電子ビームの暴露量を、好ましくは0.1〜20Mradの範囲内であるように制御する。0.1Mradより少なくない暴露量は、硬化性液及びインキの十分な硬化を生じない。20Mradより多くない暴露量は、それが支持体、特に紙及びある型のプラスチックの質の低下を避けることができるので、好ましくない。電子ビーム暴露系として許容されるのは、例えば走査系(scanning system)、カーテンビーム系(curtain beam system)及びブロードビーム系(broad beam system)である。電子ビーム暴露の間の適した加速電圧は、100〜300kVである。紫外線暴露と比較して電子ビーム暴露系を用いる最も重要な利点は、おもちゃ及び食品包装材料上の印刷のために、開始剤がない硬化性液及びインキを用いることができることである。従って、開始剤の抽出の故の毒性学的問題が起こり得ない。
硬化性インキの調製
平均粒度及び分布は、インキジェットインキに関する重要な特徴である。分散媒中で分散剤の存在下に、顔料を沈降させるか又は磨砕することにより、インキジェットインキを調製することができる。
混合装置には圧力混練機、開放混練機、遊星型ミキサー、溶解機及びDalton Universal Mixerが含まれ得る。適した磨砕及び分散装置は、ボールミル、パールミル、コロイドミル、高速分散機、ダブルローラー、ビーズミル、ペイントコンディショナー及びトリプルローラーである。超音波エネルギーを用いて分散系を調製することもできる。
磨砕媒体として、ガラス、セラミックス、金属及びプラスチックのような多種の型の材料を用いることができる。好ましい態様において、磨砕(grinding)媒体は粒子、好ましくは実質的に球形の粒子、例えば本質的に高分子樹脂から成るビーズ又はイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを含んでなることができる。
混合、磨砕及び分散のプロセスにおいて、それぞれのプロセスは、熱の蓄積を防ぐために冷却しながら且つ可能な限り化学線が実質的に排除された光の条件下で行なわれる。
インキジェットインキは1種より多い顔料を含有することができ、各顔料に関して別の分散系を用いて調製することができるか、あるいはいくつかの顔料を混合し、分散系の調製において共磨砕(co−milled)することができる。
分散プロセスを連続、バッチ又は半バッチ様式で行なうことができる。
ミルグラインド(mill grind)の成分の好ましい量及び比は、特定の材料及
び意図される用途に依存して広く変わるであろう。磨砕混合物の内容物は、ミルグラインド及び磨砕媒体を含んでなる。ミルグラインドは、顔料、高分子分散剤及び液体担体を含んでなる。インキジェットインキの場合、顔料は通常、磨砕媒体を除いて1〜50重量%でミルグラインド中に存在する。顔料対高分子分散剤の重量比は20:1〜1:2である。
磨砕時間は広く変り得、顔料、選ばれる機械的手段及び滞留条件、初期の及び所望の最終的な粒度などに依存する。本発明において、100nmより小さい平均粒度を有する顔料分散系を調製することができる。
磨砕が完了した後、通常の分離法、例えば濾過、メッシュスクリーンを介する篩別などを用いて、磨砕された粒子状生成物(乾燥もしくは液体分散系形態における)から磨砕媒体を分離する。多くの場合、例えばビーズミル用のミル中に篩が組み込まれる。磨砕された顔料濃厚液を、好ましくは濾過により磨砕媒体から分離する。
一般に、インキジェットインキを濃厚ミルグラインドの形態で調製するのが望ましく、それを次いでインキジェット印刷系における使用のために適した濃度に希釈する。この方法は、装置からの比較的多量の顔料添加インキの調製を可能にする。希釈により、インキジェットインキを特定の用途のための所望の粘度、表面張力、色、色相、飽和濃度(saturation density)及び印刷領域被覆力に調整する。
材料
以下の実施例において用いられるすべての材料は、他に特定しなければ、Aldrich Chemical Co.(Belgium)及びAcros(Belgium)のような標準的な供給源から容易に入手可能であった。用いられた水は、脱イオン水であった。
RT355Dは、CIBA SPECIALTY CHEMICALSから入手可能なCinquasiaTM Magenta RT−355−D、キナクリドン顔料に関する略語である。
PY150は、CIBA SPECIALTY CHEMICALSからのChromophtalTM Yellow LA2、C.I.Pigment Yellow 150顔料に関して用いられる略語である。
PY150−2は、LANXESSからのYellow Pigment E4GN−GT、C.I.Pigment Yellow 150顔料に関して用いられる略語である。
PB15:4は、ClariantからのHostapermTM Blue P−BFS、C.I.Pigment Blue 15:4顔料に関して用いられる略語である。
S35000は、NOVEONからのSOLSPERSETM 35000、ポリエチレンイミン−ポリエステル超分散剤(hyperdispersant)に関して用いられる略語である。
S39000は、NOVEONからのSOLSPERSETM 39000、ポリエチレンイミン−ポリエステル超分散剤に関して用いられる略語である。
S35000−SOLは、VEEA中のS35000の30%溶液である。
S39000−SOLは、VEEA中のS39000の30%溶液である。
DB162は、BYK CHEMIE GMBHから入手可能な高分子分散剤DisperbykTM 162に関して用いられる略語であり、その2−メトキシ−1−メチルエチルアセテート、キシレン及び酢酸n−ブチルの溶媒混合物は除去された。
VEEAは、2−(ビニルエトキシ)エチルアクリレート、NIPPON SHOKUBAI,Japanから入手可能な二官能基性モノマーである。
DPGDAは、SARTOMERからのジプロピレングリコールジアクリレートである。
SR489は、SARTOMERからのトリデシルアクリレートである。
M600は、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートであり、RAHN AGから入手可能なMiramerTM M600に関する略語である。
M4004は、RAHN AGから入手可能なペンタエリトリトールエトキシル化テトラアクリレート(PPTTA)である。
SR399LVは、SARTOMERから入手可能な低粘度ジペンタエリトリトールペンタアクリレートであり、SartomerTM 399LVに関する略語である。
MVEは、BASFから入手可能なエチレングリコールモノビニルエーテルである。
DVEは、BASFから入手可能なトリエチレングリコールジビニルエーテルである。
MMAは、ABCR GMBHから入手可能なN−デシルメタクリレートである。
DMAは、テトラエチレングリコールジメタクリレートであり、SARTOMERから入手可能なSartomerTM 209に関する略語である。
DAETは、PFALTZ & BAUERから入手可能なビス(b−アリルオキシエチル)エーテルである。
DAESは、ALDRICHから入手可能なコハク酸ジアリルである。
SR256は、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートであり、SARTOMERから入手可能なSARTOMERTM SR256に関する略語である。
アクリロイルオキシエチルスクシネートは、ALDRICHから入手可能である。
IrgacureTM 127は、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、CIBA SPECIALTY CHEMICALSから入手可能な光開始剤である。
DarocurTM ITXは、2−イソプロピルイソチオキサントン、CIBA SP
ECIALTY CHEMICALSから入手可能な光−開始剤である。
DarocurTM 1173は、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、CIBA SPECIALTY CHEMICALSから入手可能な光−開始剤である。
KIP150は、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]であり、LAMBERTIから入手可能なESACURETM
KIP150に関する略語である。
GenopolTM TX1は、光開始剤として有用な、RAHN AGから入手可能な高分子チオキサントン誘導体である。
GenopolTM AB1は、UV−硬化性組成物のための相乗剤として有用な、RAHN AGから入手可能な高分子アミノベンゾエート誘導体である。
Tegosolは、VEEA中のTEGOTM Rad 2100の1重量%溶液であり、TEGOTM Rad 2100は、TEGO CHEMIE SERVICES GMBHから入手可能な界面活性剤である。
Byksolは、VEEA中のBykTM−333の1重量%溶液であり、BykTM−333は、BYK CHEMIE GMBHから入手可能な界面活性剤である。
BHTは、ALDRICH CHEMICAL COから入手可能な2,6−ジ−tert.ブチル−4−メチルフェノールに関する略語である。
MPHは、ALDRICH CHEMICAL COから入手可能な4−メトキシフェノールに関する略語である。
GenoradTM 16は、RAHN AGからの重合抑制剤である。
PET100は、背面上に帯電防止性を有するブロッキング防止層がある、AGFA−GEVAERT N.V.からP100C PLAIN/ABASとして入手可能な100μmの下塗りされていないPET基質である。
測定法
1.TDE−レベル
TDE−レベルは、熱脱着による揮発性抽出物の量を示す。揮発性抽出物の量は、完全に硬化したコーティングにつき、直接熱脱着法により、すなわち試料の調製なしで決定される。裏引き層を有するPET100基質上の完全に硬化したコーティングを、Gerstel Gmbh & Co.KGからのGerstelTM TDS2 ThermoDesorption Systemを用い、以下を運転条件として用いて分析した:1.54cm2の硬化したコーティングを150℃において10分間分析し、脱着した成分に関してピーク強度のオン−ラインGC評価を行なった。オーブンプログラムは、40℃に30秒間、続いて300℃まで15℃/分の速度で温度を上昇させ、試料を300℃で5分間保つように設定された。クロマトグラフィーカラムは、J&WからのDb1カラム(30mx0.32mm,1μmのフィルム厚さ)であった;キャリヤーガスは2mL/分の流量におけるHeであった。脱着した化合物は、−60℃でTenaxTA上に捕獲された。
PET100基質上の裏引きコーティング(back coating)は、NMPを
含む揮発性化合物を含有した。検出されたNMPの量を、ppm(硬化性液のg当たりの抽出可能化合物のμg)で表される硬化したコーティングからの揮発性化合物の量の計算のための内部標準として用いた。硬化したコーティングとPET100基質の揮発性化合物の合計量からPET100基質の揮発性化合物の量を引き去ることにより、硬化したコーティングの揮発性化合物の量を得る。この量は、硬化性液の組成に非常に依存する。実施例に関して用いられる評価スケールを表7に示す。
Figure 2015091962
3.臭い
3人の人間のパネルにより、彼らの鼻によって臭いを評価した。
4.硬化度
UV光を用いる硬化の直後に、コーティングについて硬化度を調べた。硬化したコーティングをQtipによりこする。表面が損傷を受けなかったら、コーティングは完全に硬化している。硬化したコーティングのいくらかが損傷を受け得たら、コーティングは部分的にしか硬化していない。硬化したコーティング全体が損傷を受けたら、コーティングは硬化していない。
5.粘度
Brookfield DV−II+粘度計を用い、25℃において、CPE 40スピンドルを用いて分当たり3回転(RPM)において、調製物の粘度を測定した。50mPa.sより低い粘度は、インキジェット印刷に適しているとみなされた。
6.脆性
窒素不活性化雰囲気下でUV光を用いるコーティングの完全な硬化の後、コーティングについて脆性を調べる。硬化性組成物を透明なPETフィルム上にコーティングする。硬化の後、硬化したコーティングを曲げる。脆い層は部分的に支持体から剥がれるが、柔軟なコーティングは損傷を受けないで残る。
7.平均粒度
光子相関分光法により、4mWのHeNeレーザーを用いて633nmの波長において、顔料分散系の希釈された試料について顔料分散系の平均粒度を決定した。用いられた粒度分析器は、Goffin−Meyvisから入手可能なMalvernTM Nano−Sであった。
1.5mLの酢酸エチルを含有するキュベットに1滴の分散系を添加し、均一な試料が得られるまで混合することにより、試料を調製した。測定される粒度は、20秒の6回の実験から成る3回の連続的測定の平均値である。
8.硬化性組成物の安定性
新しく調製される組成物の粘度と83℃における6日間の熱処理後の粘度を比較することにより、硬化性組成物の安定性を評価した。非常に不安定な組成物は、この熱処理をすると固体になる。非常に安定な組成物は、新しい組成物の25%の限度内で粘度が上昇した粘度を有する。これは非常に過酷な試験なので、熱処理後に調製物が全く(部分的にさえ)固化しない場合に、組成物は安定であると考えられる。
この実施例は、本発明に従う硬化性インキに適した重合可能化合物Aの合成を例示する。種々の型の重合可能化合物に関して実施例を示す。
重合可能化合物PC−1
アリルエステルアクリレート化合物PC−1の合成は、以下のスキームに従って進行した:
Figure 2015091962
30g(0.14モル)のアクリロイルオキシエチルスクシネートを150mLのアセトン中に溶解した。28mL(0.16モル)のジイソプロピルエチルアミン及び20mgのBHTを加えた。20g(0.16モル)のアリルブロミドを加え、混合物を2時間還流させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を200mLの塩化メチレン中に再溶解した。塩化メチレン画分を150mLの1N NaOHで2回、150mLの水で1回及び150mLの1N HClで2回抽出した。有機画分をMgSO4上で乾燥し、30mgのBHTを加え、減圧下で溶媒を除去した。PC−1をMerck SVP D40−カラム(Si60 15−40μm,90g)上で、40mL/分の流量を用いる塩化メチレン/ヘキサン 30/70から塩化メチレンへの段階的勾配溶離を用いて(15分間アイソクラチック 30/70、直後に34分間 100%塩化メチレン)精製した。10mgのBHTを加えてから溶離剤を蒸発させた。16.6gのPC−1が単離された。
重合可能化合物PC−2、PC−3及びPC−4
アリルエーテルアクリレート、PC−2、PC−3及びPC−4はすべて、以下のスキームに従って同じ方法で製造された:
Figure 2015091962
0.14モルの適したアリルエーテル(=化合物AE)を100mLの塩化メチレン中に溶解した。30mLの塩化メチレン中の29.3mL(0.17モル)のジイソプロピルエチルアミンを加えた。温度を10〜20℃に保ちながら、20mLの塩化メチレン中の14.5mL(15.93g,0.17モル)のアクリロイルクロリドの溶液を滴下し
た。1時間半、反応を続けさせた。反応混合物を、100mLの2N NaOHで3回、100mLの水で1回及び100mLの2N HClで2回抽出した。有機画分をMgSO4上で乾燥し、20mgのBHTを加え、減圧下で溶媒を蒸発させた。
重合可能化合物PC−2の場合、Perret−Aebi et al.著,Angewandte Chemie,International Edition,43(34),(2004年),4482−4485に従って化合物AE(n=4)を製造した。Merck SVP D40−カラム(Si60,15−40μm,90g)上で、溶離剤として塩化メチレンを用い、40mL/分の流量においてPC−2を精製した。10mgのBHTを加えてから溶離剤を蒸発させた。17.25gの重合可能化合物PC−2が単離された。
重合可能化合物PC−3の場合、化合物AE(n=2)はFLUKAから入手可能であった。Prochrom LC80−系上で、Kromasil 60A 10μm球状シリカを用いて重合可能化合物PC−3を精製した。26分間に及ぶ100%塩化メチレンから塩化メチレン/メタノール 95/5への勾配溶離を、150mL/分の流量で用いた。10mgのBHTを加えてから溶離剤を蒸発させた。
重合可能化合物PC−4の場合、化合物AE(n=1)はALDRICHから入手可能であった。Merck SVP D40−カラム(Si60,15−40μm,90g)上で、100%塩化メチレンから塩化メチレン/メタノール 99/1への段階的勾配溶離(100%塩化メチレンを用いる25分間のアイソクラチック溶離、直後に塩化メチレン/メタノール 99/1を用いる溶離)を用いて、重合可能化合物PC−4を精製した。10mgのBHTを加えてから溶離剤を蒸発させた。
比較重合可能化合物
以下のスキームに従って比較モノマーCM−1を合成した:
Figure 2015091962
ジエチレングリコールモノアクリレート:
25g(0.235モル)のジエチレングリコールを150mLのTHF中に溶解した。18mL(0.13モル)のトリエチルアミンを加え、続いて10.8g(8mL,0.12モル)のアクリロイルクロリドを滴下した。反応温度を30℃より低く保った。室温で2時間、反応を続けさせた。沈殿するトリエチルアミン塩酸塩を濾過により除去し、100mgのBHTを加え、減圧下で溶媒を除去した。Prochrom LC80−系上で、Kromasil 60A 10μm球状シリカを用いてジエチレングリコールモノアクリレートを精製した。溶離剤として、塩化メチレン/酢酸エチル 60/40を200mL/分の流量で用いた。10mgのBHTを加えてから溶離剤を蒸発させた。9.4gのジエチレングリコールモノアクリレートが単離された。
比較モノマーCM−1:
8.1g(51ミリモル)のジエチレングリコールモノアクリレートを40の塩化メチレン中に溶解した。7.7mL(55ミリモル)のトリエチルアミン及び7.9g(51ミリモル)の無水メタクリル酸を加えた。反応混合物を3時間還流させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、Prochrom LC80−系上で、Kromasil 60A 10μm球状シリカを用いて比較モノマー−1を精製した。溶離剤として、塩化メチレン/酢酸エチル 93/7を200mL/分の流量で用いた。10mgのBHTを加えてから溶離剤を蒸発させた。6.5gの比較モノマーCM−1が単離された。
この実施例は、フリーラジカル硬化性液の重合可能組成物中の化合物A、B及び/又はCの重量パーセンテージの影響を示す。
フリーラジカル硬化性液の調製
すべてのフリーラジカル硬化性液COMP−1からCOMP−7及びINV−1からINV−28を、表8に従って同じ方法で調製した。
本発明の液INV−10に関して調製を例示する。58.50gのVEEA、9.75gのDPGDA、29.25gのM600及び2.50gのINI−C1を重合可能組成物として20分間混合することにより、液INV−10を調製した。次いで30mgのBYK333を界面活性剤として重合可能組成物に加え、得られるフリーラジカル硬化性液を30分間攪拌した。すべての調製されたフリーラジカル硬化性液は、30mgのBYK333及び2.50gの光開始剤を含有した。
化合物INI−C1は、1個のアクリレート基を有する重合可能光開始剤である。従って、フリーラジカル硬化性液の重合可能組成物中の化合物A、B及びCの重量パーセンテージの計算のための化合物Bとしてそれを考慮しなければならない。表8は、すべて重合可能組成物の合計重量に基づく、重合可能組成物中の他のすべての化合物A、B及び/又はCの重量パーセンテージを示す。
重合可能光開始剤INI−C1は、ドイツ特許第3534645A号明細書(MERCK PATENT GMBH)の実施例2に開示されている合成に従って製造された。
Figure 2015091962
複数のフリーラジカル硬化性液、例えば液COMP−1からCOMP−5において、2.50gの重合可能光開始剤INI−C1を2.50gの非−重合可能二官能基性光開始剤IrgacureTM 127(=表2のINI−A1)で置き換えた。これらの場合、表8中の最後の重量%INI−C1の欄は空のままである。
Figure 2015091962
硬化試料の調製及び評価
フリーラジカル硬化性液COMP−1からCOMP−7及びINV−1からINV−2
8を、バーコーター及び10μmのワイアバー(wired bar)を用いてPET100基質上にコーティングした。各コーティングされた試料を、Fusion VPS/1600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアーを用いて硬化させ、コンベアーは、コンベアーベルト上のUV−ランプの下に10m/分の速度で、試料を2回輸送した。窒素不活性化条件下で試料を硬化させた。コーティングされた試料をコンベアーベルト上に置く前に、コーティングされた試料を金属プレート上に載せ、非−UV−吸収性石英ガラス窓を有する1cmの高さの金属枠をプレートの上に置き、内側にコーティングされた試料を有する密閉室が形成されるようにした。次いで、純粋な窒素ガスを室内に30秒間導入することにより、室内に捕獲された空気を窒素ガスで置き換えた。
すべての硬化試料は、完全に硬化したことが見出された。次いで硬化試料COMP−1からCOMP−7及びINV−1からINV−28のそれぞれを、それらの揮発性抽出物の量及びそれらの脆性に関して評価した。
多量又は少量の熱脱着による揮発性抽出物を有する硬化試料の間の差は、下記に例示するように、得られる熱脱着クロマトグラムから直接明らかである。最上のクロマトグラム「ブランク」は、裏引き層(backlayer)を有するPET100基質の熱脱着クロマトグラムであり、真中のクロマトグラム「試料−1」は液INV−6の硬化試料に関して得られたクロマトグラムを示し、そして最下のクロマトグラム「試料−2」は液COMP−6の硬化試料に関して得られたクロマトグラムを示す。
Figure 2015091962
すべての結果を表9により示す。
Figure 2015091962
表9から、フリーラジカル硬化性液の重合可能組成物中の化合物A、B及び/又はCの重量パーセンテージは、拡散が妨げられた光開始剤が用いられ、且つ他の揮発性化合物が存在しない場合でさえ、揮発性抽出物の量を決定することが明らかなはずである。
この実施例は、化合物A、B又はCの定義に含まれない多量の重合可能化合物の添加が、硬化後に少量の抽出物を示す硬化性液を生じないことを例示する。
フリーラジカル硬化性液の調製
すべてのフリーラジカル硬化性液COMP−8からCOMP−11及びINV−29を同じ方法で、67.0gのVEEA、20.0gの表10に従う第2のモノマー、2.5gのIrgacureTM 127、2.5gのGenopolTM TX1、5.0gのGenopolTM AB1及び3.0gのBYKSOLを混合することにより調製した。フリーラジカル硬化性液を30分間攪拌した。
フリーラジカル硬化性液COMP−8からCOMP−11及びINV−29の重合可能組成物は、重合可能組成物の合計重量に基づいて77.8重量%の化合物A(VEEA)及び22.2重量%の第2のモノマーから成る。
硬化試料の調製及び評価
フリーラジカル硬化性液COMP−8からCOMP−11及びINV−29の完全に硬化した試料を、実施例2により開示されたと全く同じ方法で調製した。
熱脱着による揮発性抽出物の量を決定し、表10に示す。
Figure 2015091962
表10は、SR399LV(化合物C)を非−アクリル化ビニルエーテル又はメタクリレートにより置き換えることは、もはや良いTDE−レベルをもたらさないことを示す。
この実施例は、重合可能な基G1及びG2が同じ重合可能化合物Aの一部であることが必要であること、ならびに重合可能化合物Aを2個の重合可能化合物、1個もしくはそれより多いG1−基を有するものと1個もしくはそれより多いG2基を有する他のものにより置き換えることはできないことを示す。
フリーラジカル硬化性液の調製
すべてのフリーラジカル硬化性液COMP−12からCOMP−15を、実施例3におけると同じ方法で、しかし表11に従う化合物を用いて調製した。
Figure 2015091962
硬化試料の調製及び評価
フリーラジカル硬化性液COMP−12からCOMP−15のコーティングされた試料を、実施例2により開示されたと全く同じ方法で調製し、硬化した。
フリーラジカル硬化性液COMP−12からCOMP−15の硬化試料のそれぞれに関し、硬化度を決定した。フリーラジカル硬化性液COMP−13及びCOMP−14の硬化試料のみが完全に硬化したようであった。しかしながら、COMP−13の硬化試料は強い臭いを示した。従って、COMP−14の硬化試料に関してのみ、熱脱着による揮発性抽出物の量を決定した。
Figure 2015091962
表12中の結果を、COMP−12及びCOMP−13の硬化試料に関して実施例2中の液INV−5を用いて得られた結果と、COMP−14の硬化試料に関して実施例2中の液INV−19を用いて得られた結果と、ならびにCOMP−15の硬化試料に関して実施例2中の液INV−24を用いて得られた結果と、最も良く比較することができる。
COMP−12及びCOMP−13の結果から、ビニルエーテル基及びアクリレート基が同じ分子中に存在しなければならないことが明らかなはずである。アクリレート基とア
リルエーテル基を1個の分子中で結びつけることならびにアクリレート基とアリルエステル基を1個の分子中で結びつけることに関して、同じ結論を出すことができる。
この実施例は、重合可能化合物Aが1個より多いG1及び又はG2基を含有できることを例示する。
フリーラジカル硬化性液の調製
すべてのフリーラジカル硬化性液COMP−16からCOMP−18及びINV−30からINV−34を同じ方法で、74.5gの表13に従うモノマーX、20.0gのM600及び2.5gのIrgacureTM 127及び3.0gのBYKSOLを混合することにより調製した。フリーラジカル硬化性液を30分間攪拌した。
Figure 2015091962
硬化試料の調製及び評価
フリーラジカル硬化性液COMP−16からCOMP−18及びINV−30からINV−34のコーティングされた試料を、実施例2により開示されたと全く同じ方法で調製し、硬化した。
硬化試料のそれぞれに関し、硬化度を決定した。フリーラジカル硬化性液COMP−17及びCOMP−18の硬化試料のみは、完全に硬化され得なかったか又は部分的にしか硬化され得ず、従って熱脱着による揮発性抽出物の量は決定された。結果を表13に示す。
Figure 2015091962
表13から、モノマーが本発明に従う重合可能化合物Aの必要条件を満たす場合、観察された揮発性抽出物は少量であったことが明らかなはずである。
この実施例は、放射線硬化性液中で用いられる光開始剤の型の、硬化後の抽出物の量への影響を例示する。
フリーラジカル硬化性液の調製
すべてのフリーラジカル硬化性液COMP−19及びCOMP−20ならびにINV−35からINV−42を、実施例3におけると同じ方法で、しかし表14及び表15に従う化合物を用いて調製した。
Figure 2015091962
Figure 2015091962
コ−イニシエーターCOINI−1の合成
以下のスキームに従って合成を行なった:
Figure 2015091962
14.2g(0.215モル)の85% KOHを100mLのエタノール中に溶解した。温度は30℃に上昇した。30g(0.178モル)の4−ジメチルアミノ安息香酸を加え、混合物を90分間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた。残留物を300mLのメチルtert.ブチルエーテルで処理し、濾過により単離し、乾燥した。
9.4g(47ミリモル)の4−ジメチルアミノ安息香酸カリウム塩を、40mLのジメチルアセトアミド中の10g(56ミリモル)の2−ブロモエチルアクリレートの溶液に加えた。1gのBHTを加え、混合物を60℃に2時間加熱した。反応物を室温に冷ました。生成した臭素化カリウムを濾過により除去し、150mLのメチルtert.ブチルエーテルを加えた。混合物を150mLの水で抽出した。有機画分を単離し、MgSO4上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物を150mLのメチルtert.ブチルエーテル中に再溶解し、150mLの1M NaHCO3−溶液で抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物を水で処理した。媒体から沈殿したCOINI−1を濾過により単離し、乾燥した。4.3gのCOINI−1が単離された。
硬化試料の調製及び評価
COMP−19の硬化試料のみが強い臭いを示した。他のすべての硬化試料は、臭いを全く示さないか又は中程度の臭いを示し、それらの熱脱着による揮発性抽出物の量に関して評価された。結果を表16に示す。
Figure 2015091962
表16から、一官能基性光開始剤が、多量の熱脱着による揮発性抽出物を示すことが明らかである。二−もしくは多官能基性光開始剤及び高分子光開始剤の場合に良い結果が得られたが、特に重合可能光開始剤を用いた場合に、観察された熱脱着による揮発性抽出物は非常に少量であった。
この実施例は、硬化後に示す抽出物が少量であるフリーラジカル硬化性インキジェットインキの調製のために、フリーラジカル重合可能組成物を用いることができることを例示する。
シアン顔料分散系C1の調製
1000mLの容器中で、DISPERLUXTMYELLOW075(DISPERLUX S.A.R.L..Luxembourgから)を用い、表17に従う成分を30分間混合することにより、濃厚顔料分散系C1を調製した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いる52%のビーズ充填率を有するEIGERTM Lab Bead mill(EIGER TORRANCE Ltdから)に連結し、100分間磨砕した。磨砕の後、濾布を用いて分散系をビーズから分離した。
Figure 2015091962
濃厚顔料添加分散系C1の平均粒度は、Malvern Nano−Sを用いて測定される109nmであった。
硬化性インキの調製
表18に従う成分をシアン分散系C1に加えることにより、比較顔料添加硬化性インキCOMP−21ならびに本発明の顔料添加硬化性インキINV−43及びINV−44を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性インキの合計重量に基づく。
Figure 2015091962
硬化試料の調製及び評価
比較顔料添加硬化性インキCOMP−21ならびに本発明の顔料添加硬化性インキINV−43及びINV−44の完全に硬化した試料を、実施例2により開示されたと全く同じ方法で調製した。
熱脱着による揮発性抽出物の量を決定し、表19に示す。
Figure 2015091962
表19から、本発明に従うフリーラジカル硬化性インキジェットインキの場合には、観察された熱脱着による揮発性抽出物が少量であったことが明らかである。
この実施例は、本発明に従うフリーラジカル重合可能組成物、流体及びインキのための重合可能抑制剤の合成を例示する。
安定剤−1の合成:2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−エチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステル
Figure 2015091962
N,N,O−トリベンジル−ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)−エーテル:
25g(84.4ミリモル)のN,N−ジベンジル−2−クロロエチルアミン塩酸塩及び34.5g(250ミリモル)のK2CO3を320mLのアセトニトリル中で還流させた。17.25g(84.6ミリモル)の4−ベンジルオキシフェノールを加え、反応混合物を6時間還流させた。反応混合物を室温に冷まし、沈殿する塩を濾過により除去した。減圧下で溶媒を除去した。36.1gの粗N,N,O−トリベンジル−ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)−エーテルが単離された。調製的カラムクロマトグラフィー(Kieselgel 60,シクロヘキサン/酢酸エチル:20/1)を用いてN,N,O−トリベンジル−ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)−エーテルを精製した。21.1g(59%)のN,N,O−トリベンジル−ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)−エーテルが単離された(融点:45−47℃)。
ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)エーテル塩酸塩:
25.6g(60.7ミリモル)のN,N,O−トリベンジル−ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)−エーテルを熱エタノール中に溶解した。7.7mLの濃塩酸及び4.7gのPd/Cを加え、N,N,O−トリベンジル−ヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)−エーテルを50℃で、且つ3気圧のの圧力下で水素化した。濾過により触媒を除去し、50mLのエタノールで洗浄した。減圧下で溶媒を除去した。残留物を50mLのアセトニトリルで処理し、濾過により単離し、減圧下に40℃において乾燥した。9.8g(85%)のヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)エーテル塩酸塩が単離された(融点:169−171℃)。
2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−エチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステル:
3g(16ミリモル)のヒドロキノン−モノ(2−アミノエチル)エーテル塩酸塩を100mLの塩化メチレン中に溶解した。2.7mL(19ミリモル)のトリエチルアミンを加え、続いて2.9mL(19ミリモル)の2−メチル−2−プロペン酸−2−イソシアナトエチルエステルを加えた。室温で5時間、反応を続けさせた。反応混合物を100mLの0.1N HCl溶液で抽出し、MgSO4上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−エチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステルを、Merck SVP D40カラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンから塩化メチレン/メタノール 95/5への勾配溶離を用いて精製した。2.4g(49%)の2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−エチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステルが単離された。
安定剤−2の合成:2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−3,5
−ジtert.ブチル−フェニル)−メチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステル
Figure 2015091962
3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド:
20g(91ミリモル)の2,6−ジ−tert.ブチル−4−メチルフェノールを1リットルのtert.ブタノール中に溶解した。9.2mL(28.9g,180ミリモル)の臭素を室温で滴下した。室温で16時間、反応を続けさせた。3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドが媒体から結晶化した。3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドを濾過により単離し、乾燥した。7.82gの3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドが単離された。濾液を150mLに濃縮し、第2の収穫を媒体から結晶化させた。3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドを濾過により単離し、乾燥した。4.49gの3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドが単離された。3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドの2つの画分をプールし、12.31g(58%)の3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドが単離された(融点:186−8℃)。
N−ホルミル−3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジル−アミン:
11.09g(47ミリモル)の3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、40gのギ酸アンモニウム及び40mLのホルムアミドの混合物を30分間攪拌し、且つ170℃に加熱した。混合物を室温に冷まし、100mLの水で処理した。粗N−ホルミル−3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジル−アミンが混合物から沈殿し、それを濾過により単離し、水で洗浄し、乾燥した。粗N−ホルミル−3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジル−アミンをトルエン/ヘプタン
1/1から再結晶した。9.36g(76%)のN−ホルミル−3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジル−アミンが単離された(130−1℃)。
3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジルアミン:
9.81g(37.3ミリモル)のN−ホルミル−3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジル−アミンを24mLのジオキサン及び7.2mLの濃塩酸中に溶解した。混合物を1時間加熱還流した。混合物を室温に冷まし、50mLの水で希釈した。10%アンモニア溶液を用いて混合物をアルカリ性とした。3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジルアミンが媒体から沈殿し、それを濾過により単離し、乾燥した。8.5g(97%)の3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジルアミンが単離された(融点:159−9℃)。3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキ
シベンジルアミンは、加熱するとアンモニアを失い、対応するジ−及びトリベンジル誘導体を生成する傾向を有する。
2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert.ブチル−フェニル)−メチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステル:
4g(17ミリモル)の3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシベンジルアミンを90mLの塩化メチレン中に溶解した。10mgのBHTを加え、続いて2.5mL(17ミリモル)の2−メチル−2−プロペン酸−2−イソシアナトエチルエステルを加えた。室温で30分間、反応を続けさせた。減圧下で溶媒を除去した。残留物を200mLの水で処理し、粗2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert.ブチル−フェニル)−メチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステルを濾過により単離した。2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert.ブチル−フェニル)−メチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステルを、Merck SVP D40カラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンから塩化メチレン/メタノール 90/10への勾配溶離を用いて精製した。4.8g(58%)の2−メチル−プロペン酸 2−[[(2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert.ブチル−フェニル)−メチル)アミノ]カルボニル]アミノエチルエステルが単離された。
安定剤−3の合成:N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−ベンジル)−メタクリルアミド
Figure 2015091962
611g(5モル)の2,6−ジメチル−フェノールを440mLのエタノール中に溶解した。0.5gのフェノチアジンを安定剤として加えた。718g(5モル)のN−メトキシメチル−アクリルアミドを15分間かけて加え、反応混合物を55℃に加熱した。温度を60℃より低く保ちながら、3mLの濃硫酸を滴下した。90分かけて反応混合物を80℃に加熱し、反応を80℃で5時間続けさせた。反応混合物を60℃に冷まし、少量のN−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−ベンジル)−メタクリルアミドの添加により、N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−ベンジル)−メタクリルアミドを強制的に結晶化させた。反応混合物をさらに室温に冷まし、N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−ベンジル)−メタクリルアミドを濾過により単離した。N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−ベンジル)−メタクリルアミドを180mLのエタノールで洗浄し、減圧下に50℃において乾燥した。861g(79%)のN−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−ベンジル)−メタクリルアミドが単離された(融点:136−138℃)。
この実施例は、非−重合可能安定剤と比較して、重合可能安定剤を含んでなる硬化性組成物からの安定剤の揮発性抽出物の減少を例示する。
硬化性組成物の調製
表20に従う成分を混合することにより、比較液硬化性組成物COMP−22からCO
MP−24及び本発明の液硬化性組成物INV−45からINV−47を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性組成物の合計重量に基づく。
Figure 2015091962
比較組成物COMP−23及びCOMP−24は非−重合可能安定剤を含んでなるが、比較組成物COMP−22には安定剤を加えなかった。
硬化性組成物の評価
比較硬化性組成物COMP−22からCOMP−24及び本発明の硬化性組成物INV−45からINV−47を、バーコーター及び10μmのワイアバーを用いてPET100上にコーティングした。各コーティングされた試料を、Fusion VPS/1600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアーを用いて硬化し、コンベアーは、コンベアーベルト上のUV−ランプの下に20m/分の速度で試料を輸送した。
窒素不活性化条件下で硬化を行なった。コーティングされた基質を金属プレート上に載せ、上に非−UV−吸収性石英ガラス窓を有する1cmの高さの金属枠を置き、次いで、純粋な窒素ガスを30秒間満たしてから、コーティングをコンベアーベルト上に置いた。
すべての試料は完全に硬化した。上記の熱脱着の方法に従って、揮発性抽出物を測定した。結果を表21に示す。
Figure 2015091962
比較組成物COMP−2”及びCOMP−24の熱脱着スペクトルは、非−重合可能安定剤を指すピークシグナルを含む。本発明の試料の熱脱着スペクトルは、重合可能安定剤を指すピークシグナルを示さなかった。従って、硬化性組成物のために、特に抽出物の量を最少にする必要がある場合に、例えば食品包装上の印刷の場合に、重合可能安定剤の使用が好ましい。
この実施例は、マゼンタ顔料を含んでなる顔料添加インキにおける重合可能安定剤の添加による、硬化性組成物の安定性への効果を例示する。
マゼンタ分散系CPD1の調製
1000mLの容器中でDISPERLUXTMYELLOW075(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgから)を用い、表22に従う成分を30分間混合することにより、濃厚顔料分散系CPD1を調製した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いる52%のビーズ充填率を有するEIGERTM Lab
Bead mill(EIGER TORRANCE Ltdから)に連結し、280分間磨砕した。磨砕の後、濾布を用いて分散系をビーズから分離した。
Figure 2015091962
濃厚顔料添加分散系CPD1の平均粒度は、Malvern Nano−Sを用いて測定される95nmであった。
硬化性インキの調製
表23に従う成分をマゼンタ分散系に加えることにより、比較顔料添加硬化性インキCOMP−25からCOMP−28及び本発明の顔料添加硬化性インキINV−48からI
NV−50を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性インキの合計重量に基づく。
Figure 2015091962
比較インキCOMP−26からCOMP−28は、非−重合可能安定剤を含んだが、比較インキCOMP−25には、安定剤を加えなかった。
硬化性インキの評価
上記の方法に従って、硬化性インキの安定性を評価した。
結果を表4に示す。
Figure 2015091962
表24から、同じ濃厚マゼンタ顔料分散系から調製される比較インキと比較して、本発明のインキINV−48からINV−50が向上した安定性を示すことが明らかなはずである。インキジェットインキの噴射プロセスはインキの粘度に非常に依存性であるので、不安定な硬化性インキジェットインキはインキの粘度を向上させ、固化さえし得る故に、老化したインキジェットインキがもはや噴射不可能となることを避けるために、本発明の重合可能安定剤は粘度安定性の向上をもたらす。
この実施例は、イエロー顔料を含んでなる顔料添加インキにおける重合可能安定剤の添加による安定性への効果を例示する。
イエロー分散系CPD2の調製
1000mLの容器中でDISPERLUXTMYELLOW075(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgから)を用い、表25に従う成分を30分間混合することにより、濃厚顔料分散系CPD2を調製した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いる52%のビーズ充填率を有するEIGERTM Lab
Bead mill(EIGER TORRANCE Ltdから)に連結し、200分間磨砕した。磨砕の後、濾布を用いて分散系をビーズから分離した。
Figure 2015091962
濃厚顔料添加分散系CPD2の平均粒度は、Malvern Nano−Sを用いて測定される160nmであった。
硬化性インキの調製
表26に従う成分をイエロー分散系CPD2に加えることにより、比較顔料添加硬化性インキCOMP−29からCOMP−31及び本発明の顔料添加硬化性インキINV−51及びINV−52を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性組成物の合計重量に基づく。
Figure 2015091962
硬化性インキの評価
上記の方法に従って、硬化性インキの安定性を評価した。
結果を表27に示す。
Figure 2015091962
表27の結果は、通常の非−重合可能安定剤BHTの使用が、比較的多量(3重量%)においてさえ、インキを安定化しなかったことを示す(調製物COMP−29からCOMP−31)。3重量%の本発明のSTAB−1の添加により、イエロー顔料添加インキは安定化された(インキINV−52)。何らかの未知の理由で、重合可能抑制剤がより有効であることが見出された。インキジェットインキの噴射プロセスはインキの粘度に非常に依存性であるので、不安定な硬化性インキジェットインキはインキの粘度を向上させ、固化さえし得る故に、老化したインキジェットインキがもはや噴射不可能となることを避けるために、本発明の重合可能安定剤は粘度安定性の向上をもたらす。
イエロー分散系CPD3の調製
1000mLの容器中でDISPERLUXTMYELLOW075(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgから)を用い、表28に従う成分を30分間混合することにより、濃厚顔料分散系CPD3を調製した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いる52%のビーズ充填率を有するEIGERTM Lab
Bead mill(EIGER TORRANCE Ltdから)に連結し、220分間磨砕した。磨砕の後、濾布を用いて分散系をビーズから分離した。
Figure 2015091962
濃厚顔料添加分散系CPD3の平均粒度は、Malvern Nano−Sを用いて測定される136nmであった。
硬化性インキの調製
表29に従う成分をイエロー分散系CPD3に加えることにより、比較顔料添加硬化性インキCOMP−32からCOMP−34及び本発明の顔料添加硬化性インキINV−5
3及びINV−54を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性組成物の合計重量に基づく。
Figure 2015091962
硬化性インキの評価
上記の方法に従って、硬化性インキの安定性を評価した。
結果を表30に示す。
Figure 2015091962
表30は、第1及び第2のイエロー顔料インキに関して結果が同等であることを示す(表8と比較)。今回も、イエロー顔料添加インキは3重量%のBHTにより安定化されなかったが(調製物COMP−34)、3重量%のSTAB−1を用いてそれはすでに安定であった(調製物INV−54)。
この実施例は、シアン顔料を含んでなる顔料添加インキにおける光重合可能安定剤の添加による安定性への効果を例示する。
シアン分散系CPD4の調製
1000mLの容器中でDISPERLUXTMYELLOW075(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgから)を用い、表31に従う成分を30分間混合することにより、濃厚顔料分散系CPD4を調製した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いる52%のビーズ充填率を有するEIGERTM Lab
Bead mill(EIGER TORRANCE Ltdから)に連結し、100分間磨砕した。磨砕の後、濾布を用いて分散系をビーズから分離した。
Figure 2015091962
濃厚顔料添加分散系CPD4の平均粒度は、Malvern Nano−Sを用いて測定される139nmであった。
硬化性インキの調製
表32に従う成分をシアン分散系CPD4に加えることにより、比較顔料添加硬化性インキCOMP−35及び本発明の顔料添加硬化性インキINV−55を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性組成物の合計重量に基づく。
Figure 2015091962
硬化性インキの評価
上記の方法に従って、硬化性インキの安定性を評価した。
結果を表33に示す。
Figure 2015091962
表33は、シアンインキも本発明の重合可能安定剤STAB−1を用いて安定化することができるが(インキINV−55)、安定剤のないインキは安定でない(調製物COMP−35)ことを示す。インキジェットインキの噴射プロセスはインキの粘度に非常に依存性であるので、不安定な硬化性インキジェットインキはインキの粘度を向上させ、固化さえし得る故に、老化したインキジェットインキがもはや噴射不可能となることを避けるために、本発明の重合可能安定剤は粘度安定性の向上をもたらす。
この実施例は、マゼンタ顔料を含んでなる顔料添加インキへの本発明の重合可能安定剤の量の、硬化性インキの硬化速度への効果を例示する。
硬化性インキの調製
実施例10の濃厚マゼンタ顔料分散系CPD1を用い、表34に従うインキを調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性組成物の合計重量に基づく。
Figure 2015091962
硬化性インキの評価
本発明の硬化性インキINV−56からINV−59を、バーコーター及び10μmのワイアバーを用いてPET100上にコーティングした。各コーティングされた試料を、Fusion VPS/1600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアーを用いて硬化し、コンベアーは、コンベアーベルト上のUV−ランプの下に20m/分の速度で試料を輸送した。硬化は2回、1回目は周囲空気条件下で、2回目は窒素不活性化条件下で行なわれた。
窒素不活性化条件下における硬化のために、コーティングされた基質を金属プレート上に載せ、上に非−UV−吸収性石英ガラス窓を有する1cmの高さの金属枠を置き、次いで、純粋な窒素ガスを30秒間満たしてから、コーティングをコンベアーベルト上に置いた。
結果を表35に示す。
Figure 2015091962
表35は、顔料添加インキに非常に多量の安定剤が加えられる場合でさえ、顔料添加インキを硬化できる可能性への効果を示す。窒素不活性化条件下で、24重量%のSTAB−1の場合でさえ(インキINV−59)、硬化は完全である。かくして、重合可能安定剤の添加により、インキの保存の間の望ましくない重合に対して顔料添加インキを安定化できることは、窒素不活性化条件下で、硬化速度の喪失を伴わないようである。
この実施例は、アクリレート基及びメタクリレート基を有する重合可能化合物Aの、抽出物のレベルへの効果を例示する。
フリーラジカル硬化性液の調製
実施例3におけると同じ方法で、しかし表36に従う化合物を用いて、フリーラジカル硬化性液COMP−36及びCOMP−37を調製した。
Figure 2015091962
硬化試料の調製及び評価
実施例2により開示されたと全く同じ方法で、フリーラジカル硬化性液COMP−36及びCOMP−37のコーティングされた試料を調製し、硬化した。
フリーラジカル硬化性液COMP−36及びCOMP−37の硬化試料に関して硬化度を決定した。フリーラジカル硬化性液COMP−36及びCOMP−37の両方の硬化試料は、完全に硬化したようであった。しかしながら、COMP−36の硬化試料は、強い臭いを示した。両方の硬化試料に関し、熱脱着による揮発性抽出物の量を決定した。結果を表37に示す。
Figure 2015091962
表37中の結果は、アクリレート基及びメタクリレート基を有するモノマーが重合可能化合物Aに取って代わることはできないことを示す。
この実施例は、本発明に従うが開始剤がないフリーラジカル硬化性インキが、電子ビーム硬化の使用により完全に硬化し得、示す抽出物が少量であることを例示する。
シアン分散系CPD5の調製
4.0kgの高分子分散剤DB162及び267gの重合抑制剤GenoradTM 16を、50Lの容器中で18.4kgのDPGDA中に溶解した。8.0kgのシアン顔料PB15:4を溶液に加え、DISPERLUXTM分散機(DISPERLUX S.A.R.L.,Luxembourgから)を用いて10分間攪拌した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化ジルコニアビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いて52%充填された10Lの内部体積を有するNETZSCHTM LMZ10ミル(NETZSCH−Feinmahltechnik GmbH,Germanyから)に連結した。約15m/秒のミル内における回転速度で、ミルを経て(over the mill)混合物を245分間循環させた。磨砕手順の間ずっと、ミルの内容物を42℃の温度に冷却した。濃厚顔料分散系CPD5を、別の60Lの容器中に排出した。ミルを経てそれを循環させた後、DPGDA中のDB162の30重量%溶液の13.3kgを分散系に加えた。得られる表38に従う濃厚顔料分散系CPD5は、110nmの平均粒度を示した。
Figure 2015091962
シアン分散系CPD6の調製
1000mLの容器中で、DISPERLUXTMYELLOW075(DISPERLUX S.A.R.L..Luxembourgから)を用い、表39に従う成分を30分間混合することにより、濃厚顔料分散系CPD6を調製した。次いで容器を、0.4mmのイットリウム安定化ジルコニウムビーズ(TOSOH Co.からの「高磨耗抵抗性ジルコニア磨砕媒体」)を用いる52%のビーズ充填率を有するEIGERTM Lab Bead mill(EIGER TORRANCE Ltdから)に連結し、100分
間磨砕した。磨砕の後、濾布を用いて分散系をビーズから分離した。
Figure 2015091962
硬化性インキの調製
濃厚シアン分散系それぞれCPD5及びCPD6に、表40に従う成分を加えることにより、比較顔料添加硬化性インキCOMP−38及び本発明の顔料添加硬化性インキINV−60を調製した。成分の重量%(重量%)は、硬化性インキの合計重量に基づく。
Figure 2015091962
硬化性インキの評価
バーコーター及び10μmのワイアバーを用い、比較顔料添加硬化性インキCOMP−38及び本発明の顔料添加硬化性インキINV−60をPET100上にコーテイングした。
空気を窒素で置き換えるためにEB−装置の試料室に導かれる4.5バールの窒素ガスの流れにより、最初にコーティングを窒素不活性化条件に導き、次いでコーティングをEBにより硬化させるべく輸送した。
Duerr EB−装置を用いてe−ビームで、14m/分の輸送速度において180kVの加速電圧及び7mAの電流で60kGyの線量を生じ、コーティングを硬化させた。
熱脱着による揮発性抽出物の量を決定し、表41に示す。
Figure 2015091962
表41から、開始剤がなく且つ電子ビームにより硬化した本発明に従うフリーラジカル硬化性インキジェットインキの場合に、観察された熱脱着による揮発性抽出物が少量であったことが明らかである。

Claims (19)

  1. 高分子開始剤及び重合可能開始剤より成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い開始剤含んでなる食品包装材料のインキジェット印刷用のフリーラジカル硬化性液であって;
    ここで該液の重合可能組成物は
    a)25〜100重量%の、少なくとも1個のアクリレート基G1ならびにビニルエーテル基、アリルエーテル基及びアリルエステル基より成る群から選ばれる少なくとも1個の第2のエチレン性不飽和重合可能官能基G2を有する1種もしくはそれより多い重合可能化合物A;
    b)0〜55重量%の二官能性アクリレートより成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い重合可能化合物B;ならびに
    c)0〜55重量%のトリアクリレート、テトラアクリレート、ペンタアクリレート及びヘキサアクリレートより成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い重合可能化合物Cから実質的に成り;
    且つここで、A、B及びCのすべての重量パーセンテージは重合可能組成物の合計重量に基づく
    フリーラジカル硬化性液。
  2. 重合可能性化合物A、B、C以外の重合可能性化合物の含量が、重合可能組成物の合計重量に基づき5重量%より少ない、請求項1記載のフリーラジカル硬化性液。
  3. 化合物Aが式(I)
    Figure 2015091962
    [式中、
    G1はアクリレート基を示し;
    G2はビニルエーテル基、アリルエーテル基及びアリルエステル基より成る群から選ばれるエチレン性不飽和重合可能官能基G2を示し;
    GX及びGYは、独立してG1及びG2より成る群から選ばれ;
    n及びmは、0又は1の値を有する独立して選ばれる整数であり;そして
    Lは、少なくとも1個の炭素原子を含んでなる(n+m+2)価の連結基を示す]
    により示される請求項2記載のフリーラジカル硬化性液。
  4. 整数n及びmが両方とも0に等しい値を有する請求項3記載のフリーラジカル硬化性液。
  5. 化合物Aの分子量が800ダルトンより小さい請求項1〜4のいずれか1つに記載のフリーラジカル硬化性液。
  6. 重合可能官能基G2がビニルエーテル基である請求項1〜5のいずれか1つに記載のフリーラジカル硬化性液。
  7. 重合可能性化合物Aが2−(ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートまたは式PC−1
    Figure 2015091962
    のアリルエステルアクリレートを包含する、請求項1〜6のいずれか1つに記載のフリーラジカル硬化性液。
  8. アルコキシル化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリート、ジオキサングリコールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクルレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールA EO(エチレンオキシド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールA PO(プロピレンオキシド)付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバレートネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシル化ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される化合物Bを含む請求項1〜7のいずれか1つに記載のフリーラジカル硬化性液。
  9. インキジェット印刷のためのフリーラジカル硬化性インキであって、フリーラジカル硬化性インキが着色剤及び請求項1〜8のいずれか1つに記載のフリーラジカル硬化性液を含んでなる、インキ。
  10. 請求項9記載のインキジェット印刷のためのフリーラジカル硬化性インキを含むUV硬化性顔料インキジェットインキセット。
  11. 圧電ヘッド中に請求項9記載のフリーラジカル硬化性インキを有するインキジェット印刷系。
  12. 請求項9記載のフリーラジカル硬化性インキの硬化層を有する食品包装用の包装材料。
  13. 印刷方法であって、
    請求項1〜8のいずれか1つに記載のフリーラジカル硬化性液を提供する段階、および
    基質上に上記フリーラジカル硬化性液の層を適用する段階
    を含み、
    ここで、上記層は、インキジェット印刷、フレキソグラフ印刷、オフセット印刷及びスクリーン印刷より成る群から選ばれる印刷法、または、浸漬コーティング、ナイフコーティング、押出コーティング、スピンコーティング、スライドホッパーコーティング及び流し塗(curtain coating)より成る群から選ばれるコーティング法により適用される、
    方法。
  14. 上記層が顔料を含む、請求項13記載の印刷方法。
  15. 上記層が二酸化チタン顔料を含むホワイト層である、請求項13記載の印刷方法。
  16. 上記適用された層が、最外層として存在する無色層である、請求項13記載の印刷方法。
  17. 上記層がインキジェット印刷によって適用される、請求項13〜16のいずれか1つに記載の印刷方法。
  18. 印刷方法が、インキ受容体表面の幅全体に及ぶページ幅インキジェット印刷ヘッド又は多数の互い違いのインキジェット印刷ヘッドを使用する1回通過印刷法である、請求項13〜17のいずれか1つに記載の印刷方法。
  19. 硬化性液が紫外LEDの化学線によって硬化される、請求項13〜18のいずれか1つに記載の印刷方法。
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