JP2015088725A - 薄膜太陽電池、半導体薄膜、及び、半導体形成用塗布液 - Google Patents

薄膜太陽電池、半導体薄膜、及び、半導体形成用塗布液 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池、該薄膜太陽電池に用いられる半導体薄膜、及び、該薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成でき、性能安定性を向上させることができる半導体形成用塗布液を提供する。【解決手段】光電変換層5を有する薄膜太陽電池1であって、前記光電変換層は、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有する部位を有する薄膜太陽電池。【選択図】図1

Description

本発明は、高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池に関する。また、本発明は、該薄膜太陽電池に用いられる半導体薄膜、及び、該薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成でき、性能安定性を向上させることができる半導体形成用塗布液に関する。
従来から、半導体からなる薄膜を複数種積層し、この積層体の両側に電極を設けた光電変換素子が開発されている。また、このような積層体の代わりに、複数種の半導体を複合化した複合膜を用いることも検討されている。このような光電変換素子では、各半導体がP型半導体又はN型半導体として働き、光励起によりP型半導体又はN型半導体で光キャリア(電子−ホール対)が生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
光電変換素子に用いられる半導体として、硫化アンチモン(Sb)、硫化ビスマス(Bi)、セレン化アンチモン等の硫化物又はセレン化物半導体が注目されている。硫化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化アンチモン等の硫化物又はセレン化物半導体は、そのバンドギャップが1.0〜2.5eVであり、可視光領域において高い光吸収特性を示すため、光電変換材料として有望視されている。また、硫化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化アンチモン等の硫化物又はセレン化物半導体は、可視光応答型光触媒材料としても期待されており、その赤外領域での高い透過性から、赤外線センサーとしても精力的に検討されており、更に、光照射によりその導電率が変化するため、光導電材料としても注目されている。
しかしながら、硫化物又はセレン化物半導体を用いて製造された薄膜太陽電池は、例えばシリコン太陽電池、有機薄膜太陽電池等の他の光電変換素子と比べて光電変換効率が低いという問題点があった。
また硫化物又はセレン化物半導体からなる薄膜は、従来、真空蒸着法、スパッタ法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法等の方法により形成されてきたが(例えば、非特許文献1及び2)、真空蒸着法やスパッタ法等の方法は、装置が高価でコスト面で不利であるだけでなく、大面積の成膜が困難であるという問題点があった。また、電気化学沈積法は、真空設備を必要せず、常温で成膜できるが、導電性の基板にしか成膜できないという問題点があった。
Matthieu Y.Versavel and Joel A.Haber,Thin Solid Films,515(18),7171−7176(2007) N.S.Yesugade,et al.,Thin Solid Films,263(2),145−149(1995)
本発明は、高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池を提供することを目的とする。また、本発明は、該薄膜太陽電池に用いられる半導体薄膜、及び、該薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成でき、性能安定性を向上させることができる半導体形成用塗布液を提供することを目的とする。
本発明は、光電変換層を有する薄膜太陽電池であって、前記光電変換層は、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有する部位を有する薄膜太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、薄膜太陽電池において、光電変換層を、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有する部位を有するものとすることにより、光電変換効率を向上できることを見出した。
また、本発明者は、このような薄膜太陽電池を製造する際に、周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有する半導体形成用塗布液を用いることにより、印刷法を採用でき、高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成できることを見出した。更に、本発明者は、周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物とが錯体を形成していることで薄膜太陽電池の性能安定性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の薄膜太陽電池は、光電変換層を有する薄膜太陽電池である。
上記光電変換層は、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有する部位(本明細書中、硫化物及び/又はセレン化物半導体部位ともいう)を有する。
上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位は、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物を含有する。上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物は耐久性が高いことから、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物が含まれることにより、本発明の薄膜太陽電池は、耐久性に優れたものとなる。
上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物は特に限定されず、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、周期表15族元素の2種以上の元素を同一の分子に含有する複合硫化物又はセレン化物であってもよい。なかでも、硫化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化アンチモンが好ましく、硫化アンチモン、セレン化アンチモンがより好ましい。
硫化アンチモン又はセレン化アンチモンは、後述する有機半導体及び/又は無機半導体とのエネルギー準位の相性がよく、かつ、従来の酸化亜鉛、酸化チタン等より可視光に対する吸収が大きい。このため、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に硫化アンチモン又はセレン化アンチモンが含まれることにより、薄膜太陽電池の電荷分離効率が極めて高くなり、光電変換効率が高くなる。
更に、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に硫化アンチモン又はセレン化アンチモンが含まれることにより、他の周期表15族元素の硫化物又はセレン化物が含まれる場合よりも、薄膜太陽電池の性能安定性(光電変換効率の再現性)が高くなる。この理由ははっきりとは判っていないが、アンチモン金属が硫化アンチモン又はセレン化アンチモン中に析出しにくいためと推測される。一方、周期表15族元素のなかでも、例えばビスマスは結晶構造が不安定であり、ビスマス金属が硫化ビスマス中に析出しやすく、薄膜太陽電池の性能安定性(光電変換効率の再現性)が低下しやすいと推測される。
なお、性能安定性(光電変換効率の再現性)とは、同一の方法で薄膜太陽電池を複数個作製したときの各薄膜太陽電池間での光電変換効率の再現性を意味する。
上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位は、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物(本明細書中、希土類元素等を含む化合物ともいう)を含有する。上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に、上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物に加えて、上記希土類元素等を含む化合物が含まれることにより、本発明の薄膜太陽電池は、高い光電変換効率を発揮できるものとなる。
上記希土類元素には、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、及び、一般にランタノイドと呼ばれる元素が含まれる。
上記希土類元素として、具体的には例えば、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)に加えて、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等のランタノイドが挙げられる。これらの希土類元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、アンチモン(Sb)と同じく3価が安定で放射性同位元素でないことから、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ルテチウム(Lu)が好ましい。
上記希土類元素等を含む化合物は、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含んでいれば特に限定されず、チタンを含む化合物(例えば、チタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシド)又は亜鉛を含む化合物(例えば、塩化亜鉛)であってもよいが、希土類元素を含む化合物(例えば、希土類元素の塩化物又は硝酸塩)が好ましい。上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に上記希土類元素を含む化合物が含まれることにより、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の界面抵抗が低下する。なかでも、希土類元素と亜鉛とを含む化合物がより好ましく、ランタンと亜鉛とを含む化合物、ルテチウムと亜鉛とを含む化合物が特に好ましい。
上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位における上記希土類元素等を含む化合物の含有量は、上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、上記希土類元素等を含む化合物との合計を100モル%としたとき、好ましい下限が1モル%、好ましい上限が50モル%である。上記含有量が1モル%以上であれば、上記希土類元素等を添加する効果が充分に得られ、光電変換効率が高くなる。上記含有量が50モル%以下であれば、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の結晶構造が保たれ、光電変換効率が高くなる。上記含有量のより好ましい下限は2モル%であり、より好ましい上限は35モル%である。
なお、硫化物及び/又はセレン化物半導体部位における希土類元素等を含む化合物の含有量は、例えば、ICP発光分光分析装置(SHIMAZDU社製、ICPS−7500)等により測定することができる。
上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位は、結晶性半導体であることが好ましい。上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位が結晶性半導体であることにより、電子の移動度が高くなり、光電変換効率が向上する。
なお、結晶性半導体とは、X線回折測定等で測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味する。
また、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の結晶性の指標として、結晶化度を用いることもできる。上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の結晶化度は、好ましい下限が30%である。上記結晶化度が30%以上であれば、電子の移動度が高くなり、光電変換効率が向上する。上記結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
なお、結晶化度は、X線回折測定等により検出された結晶質由来の散乱ピークと、非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶質部分の比を算出することにより求めることができる。
上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の硫化物及び/又はセレン化物の結晶化度を高める方法として、例えば、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に対して、焼成、レーザー又はフラッシュランプ等の強度の強い光の照射、エキシマ光照射、プラズマ照射等を行う方法が挙げられる。なかでも、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の酸化を低減できることから、強度の強い光の照射、プラズマ照射等を行う方法が好ましい。
上記光電変換層は、更に、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に隣接する、有機半導体及び/又は無機半導体を含有する部位を有することが好ましい。なかでも、薄膜太陽電池の性能安定性、耐衝撃性、フレキシビリティ等が優れたものとなることから、有機半導体を含有する部位(本明細書中、有機半導体部位ともいう)を有することが好ましい。
上記有機半導体は特に限定されず、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格等を有する化合物も挙げられる。なかでも、比較的耐久性が高いことから、チオフェン骨格、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ベンゾポルフィリン骨格を有する化合物が好ましい。
上記有機半導体は、長波長領域の光を吸収できることから、ドナー−アクセプター型であることも好ましい。なかでも、チオフェン骨格を有するドナー−アクセプター型の化合物がより好ましく、チオフェン骨格を有するドナー−アクセプター型の化合物のなかでも、光吸収波長の観点から、チオフェン−ジケトピロロピロール重合体が特に好ましい。
上記光電変換層が上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位とを有する場合には、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位が主にN型半導体として、上記有機半導体部位が主にP型半導体として働くと推測され、光励起によりP型半導体又はN型半導体で光キャリア(電子−ホール対)が生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。ただし、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位は、部分的にはP型半導体として働いていてもよいし、上記有機半導体部位は、部分的にはN型半導体として働いていてもよい。
また、上記光電変換層が上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位とを有する場合、上記光電変換層は、薄膜状の上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と薄膜状の上記有機半導体部位とを積層した積層体であってもよいし、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜であってもよい。上記有機半導体部位の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましく、製法が簡便である点では積層体が好ましい。
上記無機半導体は特に限定されず、例えば、酸化モリブデン、硫化モリブデン、硫化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、硫化銅、硫化鉄、銅−インジウム−セレン化合物(CuInSe)、銅−インジウム硫化物(CuInS)、銅−亜鉛−スズ硫化物(CuZnSnS)等が挙げられる。なかでも、より安定性が高いことから、酸化モリブデン、硫化モリブデン、硫化スズが好ましい。
上記無機半導体は、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、上述したような主成分となる無機半導体に加えて他の元素を含有していてもよい。上記他の元素は特に限定されないが、銅、亜鉛、銀、インジウム、カドミウム、アンチモン、ビスマス、ガリウム等が挙げられる。これらの他の元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、電荷の移動度が高くなることから、銅、インジウム、ガリウム、亜鉛が好ましい。
本発明の薄膜太陽電池は、一組の電極間に上述したような光電変換層が形成されていることが好ましい。
上記電極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができるが、陽極材料として、例えば、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO、IZO、GZO等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。また、陰極材料として、例えば、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の薄膜太陽電池は、更に、基板、ホール輸送層、電子輸送層等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、透明プラスチック基板等が挙げられる。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンのポリスチレンスルホン酸付加物、カルボキシル基含有ポリチオフェン、フタロシアニン、ポルフィリン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸等が挙げられる。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
特に、本発明の薄膜太陽電池は、一組の電極間に、薄膜状の上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と薄膜状の上記有機半導体部位とを積層した積層体である光電変換層を有し、一方の電極と上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位との間に更に電子輸送層を有することが好ましい。更に、他方の電極と上記有機半導体部位との間に更にホール輸送層を有することがより好ましい。
薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と薄膜状の有機半導体部位とを積層した積層体である光電変換層を有する本発明の薄膜太陽電池の一例を、図1に模式的に示す。図1に示す薄膜太陽電池1においては、基板2、透明電極(陽極)3、薄膜状の有機半導体部位4、薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位5、電子輸送層6、電極(陰極)7がこの順で積層されている。
上記薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記薄膜状の有機半導体部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は1000nmである。
また、本発明の薄膜太陽電池は、一組の電極間に、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である光電変換層を有し、一方の電極と光電変換層との間に更に電子輸送層を有することが好ましい。更に、他方の電極と光電変換層との間に更にホール輸送層を有することが好ましい。
硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と有機半導体部位とを複合化した複合膜である光電変換層を有する本発明の薄膜太陽電池の一例を、図2に模式的に示す。図2に示す薄膜太陽電池8においては、基板9、透明電極(陽極)10、ホール輸送層11、有機半導体部位12と硫化物及び/又はセレン化物半導体部位13との複合膜14、電子輸送層15、電極(陰極)16がこの順で積層されている。
上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
また、上記複合膜においては、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位との比率が非常に重要である。上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位との比率は、1:9〜9:1(体積比)であることが好ましい。上記比率が上記範囲内であれば、ホール又は電子が電極まで到達しやすくなり、そのため光電変換効率の向上につながる。上記比率は、2:8〜8:2(体積比)であることがより好ましい。
上記ホール輸送層の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の薄膜太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、基板上に電極(陽極)を形成した後、この電極(陽極)の上に光電変換層を形成し、更に、この光電変換層の上に電極(陰極)を形成する方法が挙げられる。また、基板上に電極(陰極)を形成した後、光電変換層、電極(陽極)をこの順で形成してもよい。
上記光電変換層を形成する方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタ法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法等であってもよいが、周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物と、希土類元素等を含む化合物とを含有する半導体形成用塗布液を用いた印刷法が好ましい。真空蒸着法、スパッタ法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法等ではドーパント(即ち、希土類元素等を含む化合物)の含有量及び分布の制御が難しいのに対し、印刷法で上記光電変換層を作製することによりドーパントの含有量及び分布を制御しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。
より具体的には、例えば、上記光電変換層が薄膜状の上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と薄膜状の上記有機半導体部位とを積層した積層体である場合には、上記半導体形成用塗布液を用いてスピンコート法等の印刷法により薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位を成膜し、この薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の上にスピンコート法等の印刷法により薄膜状の有機半導体部位を成膜することが好ましい。また、逆に薄膜状の有機半導体部位の上に薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位を成膜してもよい。
また、例えば、上記光電変換層が上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合には、上記半導体形成用塗布液と有機半導体とを混合した混合液を用いてスピンコート法等の印刷法により複合膜を成膜することが好ましい。
周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物と、希土類元素等を含む化合物とを含有する半導体形成用塗布液もまた、本発明の1つである。
本発明の半導体形成用塗布液を用いることにより、上述したような本発明の薄膜太陽電池の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位を形成することができる。本発明の半導体形成用塗布液を用いることにより、印刷法を採用でき、高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成することができる。印刷法として、例えば、スピンコート法、ロールtoロール法等が挙げられる。
本発明の半導体形成用塗布液は、周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物と、希土類元素等を含む化合物とを含有する。
上記周期表15族元素を含む化合物と、上記硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物とは、形成される硫化物及び/又はセレン化物半導体部位において、上述したような周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物を形成するものである。上記周期表15族元素を含む化合物として、周期表15族の金属元素を含む金属含有化合物が好ましく、例えば、周期表15族の金属元素の金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。
上記周期表15族の金属元素の金属塩として、例えば、周期表15族の金属元素の塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、過酸化物等が挙げられる。また、上記周期表15族の金属元素の金属塩には、その水和物も含まれる。
上記周期表15族の金属元素の有機金属化合物として、例えば、周期表15族の金属元素のカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の塩化合物が挙げられ、より具体的には、周期表15族の金属元素の酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の塩化合物等が挙げられる。
上記周期表15族元素を含む化合物として、具体的には例えば、塩化アンチモン、酢酸アンチモン、臭化アンチモン、フッ化アンチモン、オキシ酸化アンチモン、トリエトキシアンチモン、トリプロポキシアンチモン、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、硝酸水酸化ビスマス、トリス(2−メトキシフェニル)ビスマス、炭酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、リン酸ビスマス、臭化ビスマス、トリエトキシビスマス、トリイソプロポキシアンチモン、ヨウ化砒素、トリエトキシ砒素等が挙げられる。これらの周期表15族元素を含む化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の半導体形成用塗布液における上記周期表15族元素を含む化合物の含有量は、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が70重量%である。上記含有量が0.5重量%以上であれば、良質な硫化物及び/又はセレン化物半導体部位を容易に形成することができる。上記含有量が70重量%以下であれば、安定な半導体形成用塗布液を容易に得ることができる。
上記硫黄含有化合物として、例えば、チオ尿素、チオ尿素の誘導体、チオアセトアミド、チオアセトアミドの誘導体、ジチオカルバミン酸塩(Dithiocarbamate)、キサントゲン酸塩(Xanthate)、ジチオリン酸塩(Dithiophosphate)、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられる。
上記チオ尿素の誘導体として、例えば、1−アセチル−2−チオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3−ジエチルー2−チオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N−メチルチオ尿素、1−フェニルー2−チオ尿素等が挙げられる。上記ジチオカルバミン酸塩として、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジエチルジチオカルバミン酸カリウム等が挙げられる。上記キサントゲン酸塩として、例えば、エチルキサントゲン酸ナトリウム(sodium ethyl xanthate)、エチルキサントゲン酸カリウム、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸カリウム等が挙げられる。上記チオ硫酸塩として、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙げられる。上記チオシアン酸塩として、例えば、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの硫黄含有化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記セレン含有化合物として、例えば、セレン化水素、塩化セレン、臭化セレン、ヨウ化セレン、セレノフェノール、セレノウレア、亜セレン酸、セレノアセトアミド等が挙げられる。これらのセレン含有化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の半導体形成用塗布液における上記硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物の含有量は、上記周期表15族元素を含む化合物のモル数に対して、1〜30倍が好ましく、2〜20倍がより好ましい。上記含有量が1倍以上であれば、量論比の硫化物及び/又はセレン化物半導体が得られやすくなる。上記含有量が30倍以下であれば、半導体形成用塗布液の安定性がより向上する。
上記周期表15族元素を含む化合物と、上記硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物とは、錯体を形成していることが好ましく、該錯体は、上記周期表15族元素と、上記硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物との間に形成されることがより好ましい。上記硫黄含有化合物中の硫黄元素及び上記セレン含有化合物中のセレン元素は、化学結合に関与していない孤立電子対を有するため、上記周期表15族元素の空の電子軌道(d軌道又はf軌道)との間に配位結合を形成しやすい。
このような錯体が形成されることで、半導体形成用塗布液の安定性が向上し、その結果、均一な良質の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位が形成されるため性能安定性が向上する。更に、硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の電気的な特性及び半導体特性も向上するため性能も向上する。
なお、周期表15族元素と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物との間に形成された錯体は、赤外吸収スペクトルにて、周期表15族元素−硫黄間の結合に由来する吸収ピーク又は周期表15族元素−セレン間の結合に由来する吸収ピークを測定することで確認することができる。また、溶液の色の変化で確認することもできる。
上記周期表15族元素と、上記硫黄含有化合物との間に形成された錯体として、例えば、ビスマス−チオ尿素錯体、ビスマス−チオ硫酸錯体、ビスマス−チオシアン酸錯体、アンチモン−チオ尿素錯体、アンチモン−チオ硫酸錯体、アンチモン−チオシアン酸錯体、アンチモン−ジチオカルバミン酸錯体、アンチモン−キサントゲン酸錯体等が挙げられる。
上記周期表15族元素と、上記セレン含有化合物との間に形成された錯体として、例えば、アンチモン-セレノ尿素錯体、アンチモン−セレノアセトアミド錯体、アンチモン―ジメチルセレノ尿素錯体等が挙げられる。
上記希土類元素等を含む化合物は、上述したような本発明の薄膜太陽電池の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に含まれるものと同じである。
本発明の半導体形成用塗布液における上記希土類元素等を含む化合物の含有量は特に限定されないが、上記周期表15族元素と上記希土類元素等とのモル比(周期表15族元素:希土類元素等)が10:0.1〜10:5が好ましい。上記希土類元素等のモル比が0.1以上であれば、上記希土類元素等を添加する効果が充分に得られ、半導体形成用塗布液を用いて形成された薄膜太陽電池の光電変換効率が高くなる。上記希土類元素等のモル比が5以下であれば、上記硫化物及び/又はセレン化物半導体部位の結晶構造が保たれ、光電変換効率が高くなる。上記周期表15族元素と上記希土類元素等とのモル比(周期表15族元素:希土類元素等)は10:0.2〜10:3.5がより好ましい。
本発明の半導体形成用塗布液は、更に、有機溶媒を含有することが好ましい。
上記有機溶媒を適宜選択することで、上述したような錯体を形成させやすくすることができる。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、n−プロパノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ピリジン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、メタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、電気的な特性及び半導体特性のより優れた硫化物及び/又はセレン化物半導体部位が形成されることから、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
また、本発明の半導体形成用塗布液は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、水等の非有機溶媒成分を更に含有してもよい。
周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素等を含む化合物とを含有する半導体薄膜もまた、本発明の1つである。
上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、上記希土類元素等を含む化合物とは、上述したような本発明の薄膜太陽電池の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位に含まれるものと同じである。上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物に加えて、上記希土類元素等を含む化合物が含まれることにより、本発明の半導体薄膜は、薄膜太陽電池の光電変換材料として有用なものとなる。更に、本発明の半導体薄膜は、光触媒材料、光導電材料等としても有用である。
本発明によれば、高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池を提供することができる。また、本発明によれば、該薄膜太陽電池に用いられる半導体薄膜、及び、該薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成でき、性能安定性を向上させることができる半導体形成用塗布液を提供することができる。
薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と薄膜状の有機半導体部位とを積層した積層体である光電変換層を有する本発明の薄膜太陽電池の一例を、模式的に示す断面図である。 硫化物及び/又はセレン化物半導体部位と有機半導体部位とを複合化した複合膜である光電変換層を有する本発明の薄膜太陽電池の一例を、模式的に示す断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(半導体形成用塗布液の作製)
N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、塩化アンチモン(III)20重量部を添加した後、攪拌することによって溶解した。N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、チオ尿素(CS(NH)20重量部を添加した後、攪拌することによって溶解した。塩化アンチモンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液50重量部に、チオ尿素のN,N−ジメチルホルムアミド溶液40重量部を攪拌しながら徐々に添加した。その際、溶液は混合前の無色透明から黄色透明に変わった。また、溶液について赤外吸収スペクトルを測定し、錯体の形成を確認した。添加終了後に更に30分間攪拌することによって、塩化アンチモンとチオ尿素とを含有するストック溶液を作製した。
N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、硝酸イットリウムn水和物Y(NOnHOを20重量部添加した後、攪拌することによって溶解した。添加終了後に更に30分間攪拌することによって、硝酸イットリウムを含有するストック溶液を作製した。
塩化アンチモンとチオ尿素とを含有するストック溶液95重量部に対し、硝酸イットリウムを含有するストック溶液5重量部を添加した後、攪拌することによって溶解し、半導体形成用塗布液を作製した。得られた半導体形成用塗布液において、アンチモン:硫黄:イットリウムのモル比は10:24:0.5であった。
(薄膜太陽電池の作製)
半導体形成用塗布液を回転数3000rpmの条件でITOガラス基板(ITO膜の厚み240nm)上にスピンコートによって塗布した。塗布後、室温で10分間放置した後に、70℃で5分間乾燥した。その時の膜はほぼ無色透明であった。その後、サンプルを真空炉に入れ、真空に引きながら260℃で10分間焼成することによって硫化物半導体薄膜(薄膜状の硫化物半導体部位)を得た(厚み120nm、バンドギャップ1.7eV)。真空炉から取出した硫化物半導体薄膜は黒色であった。真空炉から取出した後、硫化物半導体薄膜をメタノールで5分間超音波洗浄した。なお、硫化物半導体薄膜の厚みは、膜厚計(KLA−TENCOR、P−16+)を用いて平均膜厚として測定し、硫化物半導体薄膜のバンドギャップは、分光光度計(日立ハイテック社製、U−4100)を用いて測定した吸収スペクトルから見積もった。
得られた硫化物半導体薄膜についてICP発光分光分析装置(SHIMAZDU社製、ICPS−7500)により測定したところ、硫化アンチモン、硝酸イットリウムの含有量は、これらの合計を100モル%としたとき、それぞれ92モル%、8モル%であった。
得られた硫化物半導体薄膜の上に、有機半導体薄膜(薄膜状の有機半導体部位)としてポリ(3−アルキルチオフェン)(P3HT)をスピンコート法により100nmの厚みに成膜した。その後、有機半導体薄膜の上にホール輸送層としてポリエチレンジオキサイドチオフェン:ポリスチレンスルフォネート(PEDOT:PSS)をスピンコート法により100nmの厚みに成膜した。次いで、ホール輸送層の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜することによって薄膜太陽電池を作製した。
(実施例2〜25、比較例1〜15)
周期表15族元素を含む化合物、硫黄含有化合物又はセレン含有化合物、希土類元素等を含む化合物(又はその他の化合物)を表1及び2に示す化合物及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で半導体形成用塗布液及び薄膜太陽電池を作製した。
(実施例26、27)
(薄膜太陽電池の作製)
半導体形成用塗布液を用いる代わりに以下に示す化学析出法を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で薄膜太陽電池を作製した。
[化学析出法]
1MのNa水溶液25mL(溶液温度5〜10℃)にイオン交換水(水温度5〜10℃)72.5mLを加え、更に、1MのSbClアセトン溶液2.5mLを加えた。得られた溶液を1分間攪拌した後、ブロッキング層を形成した多孔質酸化チタン膜を溶液に浸漬し、冷蔵庫(温度5〜10℃)で3時間成膜した。得られたサンプルを溶液から取り出した後、イオン交換水で余分なものを洗い流し、サンプルを真空炉に入れ、真空に引きながら260℃で10分間焼成することによって硫化物半導体薄膜(薄膜状の硫化物半導体部位)を得た。
次いで、実施例26では、1MのSbClアセトン溶液2.5mLの代わりに0.05Mの塩化チタンアセトン溶液2.5mLを用い、硫化物半導体薄膜が形成されたサンプルを浸漬した以外は上記と同様の方法で、チタンを5モル%でドープした。実施例27では、1MのSbClアセトン溶液2.5mLの代わりに0.05Mの塩化亜鉛アセトン溶液2.5mLを用い、硫化物半導体薄膜が形成されたサンプルを浸漬した以外は上記と同様の方法で、亜鉛を5モル%でドープした。
<評価>
実施例及び比較例で得られた薄膜太陽電池について、以下の評価を行った。
(1)太陽電池特性評価
実施例及び比較例で得られた薄膜太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて薄膜太陽電池の光電変換効率を測定した。
なお、比較例1で得られた薄膜太陽電池の光電変換効率を1.0として実施例1〜24、26、27、比較例2〜14で得られた薄膜太陽電池の光電変換効率を規格化し(硫化アンチモン薄膜の場合)、比較例15で得られた薄膜太陽電池の光電変換効率を1.0として実施例25で得られた薄膜太陽電池の光電変換効率を規格化した(セレン化アンチモン薄膜の場合)。結果を表1及び2に示した。
(2)性能安定性評価
実施例及び比較例における薄膜太陽電池の作製方法と同じ方法で、評価用セルをそれぞれ4個ずつ作製した。4個の評価用セルの光電変換効率を上記(1)と同様にしてそれぞれ測定した。
△ 光電変換効率の最大値と最小値との差が、最大値の20%より大きかった
○ 光電変換効率の最大値と最小値との差が、最大値の20%以下であった
Figure 2015088725
Figure 2015088725
本発明によれば、高い光電変換効率を発揮できる薄膜太陽電池を提供することができる。また、本発明によれば、該薄膜太陽電池に用いられる半導体薄膜、及び、該薄膜太陽電池を大面積で簡易に形成でき、性能安定性を向上させることができる半導体形成用塗布液を提供することができる。
1 薄膜太陽電池
2 基板
3 透明電極(陽極)
4 薄膜状の有機半導体部位
5 薄膜状の硫化物及び/又はセレン化物半導体部位
6 電子輸送層
7 電極(陰極)
8 薄膜太陽電池
9 基板
10 透明電極(陽極)
11 ホール輸送層
12 有機半導体部位
13 硫化物及び/又はセレン化物半導体部位
14 複合膜
15 電子輸送層
16 電極(陰極)

Claims (7)

  1. 光電変換層を有する薄膜太陽電池であって、
    前記光電変換層は、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有する部位を有する
    ことを特徴とする薄膜太陽電池。
  2. 光電変換層は、更に、有機半導体を含有する部位を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜太陽電池。
  3. 一組の電極間に光電変換層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜太陽電池。
  4. 周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有することを特徴とする半導体薄膜。
  5. 周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物と、希土類元素、チタン及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の元素を含む化合物とを含有することを特徴とする半導体形成用塗布液。
  6. 周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物とが、錯体を形成していることを特徴とする請求項5記載の半導体形成用塗布液。
  7. 更に、有機溶媒を含有することを特徴とする請求項5又は6記載の半導体形成用塗布液。
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