JP6745214B2 - 太陽電池及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)が抑制された太陽電池、及び、該太陽電池の製造方法に関する。
従来から、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体を備えた光電変換素子が開発されている。このような光電変換素子では、光励起により光キャリアが生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
現在、実用化されている光電変換素子の多くは、シリコン等の無機半導体を用いて製造される無機太陽電池である。しかしながら、無機太陽電池は製造にコストがかかるうえ大型化が困難であり、利用範囲が限られてしまうことから、無機半導体の代わりに有機半導体を用いて製造される有機太陽電池が注目されている。
有機太陽電池においては、ほとんどの場合フラーレンが用いられている。フラーレンは、主にN型半導体として働くことが知られている。例えば、特許文献1には、P型半導体となる有機化合物とフラーレン類とを用いて形成された半導体ヘテロ接合膜が記載されている。しかしながら、フラーレンを用いて製造される有機太陽電池において、その劣化の原因はフラーレンであることが知られており(例えば、非特許文献1参照)、フラーレンに代わる材料が求められている。
そこで近年、有機無機ハイブリッド半導体と呼ばれる、中心金属に鉛、スズ等を用いたペロブスカイト構造を有する光電変換材料が発見され、高い光電変換効率を有することが示された(例えば、非特許文献2)。
特開2006−344794号公報
Reese et al.,Adv.Funct.Mater.,20,3476−3483(2010) M.M.Lee et al.,Science,338,643−647(2012)
本発明は、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)が抑制された太陽電池、及び、該太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記太陽電池に強度ImW/cmの光照射を開始した直後の前記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度をN(0,I)、前記太陽電池に強度ImW/cmの光照射をT時間続けた後の前記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度をN(T,I)としたとき、下記式(1)を満たす太陽電池である。
N(T,I)/N(0,I)<5 (1)
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する太陽電池において、光電変換層に特定の有機無機ペロブスカイト化合物を用いることを検討した。有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率の向上が期待できる。
しかしながら、光電変換層が有機無機ペロブスカイト化合物を含む太陽電池は、光照射を開始した直後は高い光電変換効率を示すものの、光を照射し続けると光電変換効率が低下していくことが新たに明らかとなった(光劣化)。これに対して、本発明者らは、太陽電池に強度ImW/cmの光照射を開始した直後の有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度をN(0,I)、太陽電池に強度ImW/cmの光照射をT時間続けた後の有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度をN(T,I)としたとき、下記式(1)を満たす太陽電池は、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
N(T,I)/N(0,I)<5 (1)
本発明の太陽電池は、電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する。
なお、本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池の断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記電極及び上記対向電極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。なお、上記対向電極は、パターニングされた電極であることが多い。
電極材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、金、銀、チタン、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物等が挙げられる。対向電極材料として、例えば、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、上記電極及び上記対向電極は、それぞれ陰極になっても、陽極になってもよい。
上記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、イミダゾリン、カルバゾール、メチルカルボキシアミン、エチルカルボキシアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ヘキシルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン、アニリン、ピリジン及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンがより好ましい。中でも高い光電変換効率が得られることから、メチルアミン、ホルムアミニジウム及びこれらのイオンが更に好ましい。
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。なかでも、電子軌道の重なりの観点から、鉛又はスズが好ましい。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素又は臭素がより好ましく、ヨウ素が更に好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図1は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
本発明の太陽電池は、該太陽電池に強度ImW/cmの光照射を開始した直後(1分以内)、上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度をN(0,I)、該太陽電池に強度ImW/cmの光照射をT時間続けた後の上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度をN(T,I)としたとき、下記式(1)を満たす。
N(T,I)/N(0,I)<5 (1)
上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度が上記式(1)を満たすことにより、本発明の太陽電池は、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)が抑制される。N(T,I)/N(0,I)は5未満であればよいが、3未満が好ましく、2未満がより好ましい。N(T,I)/N(0,I)の下限は特に限定されないが、1以上になることが一般的である。
なお、有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度(N(0,I)及びN(T,I))は、例えば、吸収スペクトル、光電子分光法、C−V測定等により求めることができる。具体的には例えば、有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度は、C−V測定により得られたC−Vグラフをもとにモット−ショットキープロットに変換することにより求めることができる。
上記強度ImW/cmは特に限定されず、例えば、10〜200mW/cmが好ましい。上記T時間も特に限定されず、例えば、1〜7時間が好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度を、上記式(1)を満たすように調整する方法としては、具体的には例えば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を結晶化度70%以上の結晶性半導体とし、かつ、上記光電変換層に周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、アンチモン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有する部位を含ませる方法が挙げられる。
電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する太陽電池であって、上記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶化度70%以上の結晶性半導体であり、かつ、上記光電変換層が周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、アンチモン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有する部位を有する太陽電池もまた、本発明の1つである。
上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度が上記式(1)を満たしやすくなり、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。
なお、本明細書において結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。
上記結晶化の指標として結晶化度を評価することができる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度が70%以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度が上記式(1)を満たしやすくなり、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記結晶化度の好ましい下限は80%、更に好ましい下限は90%である。
また、他の結晶化の指標として結晶子径を評価することもできる。結晶子径は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークの半値幅からhalder−wagner法で算出することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶子径が5nm以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度が上記式(1)を満たしやすくなり、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。上記結晶子径の好ましい下限は10nm、より好ましい下限は20nmである。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度及び結晶子径を上げる方法として、例えば、熱アニール(加熱処理)、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
上記熱アニール(加熱処理)を行う場合、上記有機無機ペロブスカイト化合物を加熱する温度は特に限定されないが、100℃以上、200℃未満であることが好ましい。上記加熱温度が100℃以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度及び結晶子径を充分に上げることができる。上記加熱温度が200℃未満であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。より好ましい加熱温度は、120℃以上、170℃以下である。また、加熱時間も特に限定されないが、3分以上、2時間以内であることが好ましい。上記加熱時間が3分以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度及び結晶子径を充分に上げることができる。上記加熱時間が2時間以内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。なお、有機無機ペロブスカイト化合物が熱劣化すると、結晶性が崩れる。
これらの加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが好ましく、露点温度は10℃以下が好ましく、7.5℃以下がより好ましく、5℃以下が更に好ましい。
上記光電変換層が上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、周期表2族元素、周期表11族元素、アンチモン、マンガン、ネオジム、イリジウム、チタン及びランタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する部位を有することにより、該元素を含む有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度が上記式(1)を満たしやすくなり、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流とフィルファクターの低下に起因する光劣化が抑制される。
上記周期表2族元素、周期表11族元素、アンチモン、マンガン、ネオジム、イリジウム及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素として、具体的には例えば、カルシウム、ストロンチウム、銀、銅、アンチモン、マンガン、ネオジム、イリジウム、チタン及びランタン等が挙げられる。なかでも、特に上記式(1)を満たしやすいことから、カルシウム、ストロンチウム、銀、銅、ネオジム、イリジウムが好ましい。また初期変換効率も高くなるという観点からは、カルシウム、ストロンチウム、銀、銅、マンガン、ランタンがより好ましく、カルシウム、ストロンチウム、銀、銅が特に好ましい。
上記周期表2族元素、周期表11族元素、アンチモン、マンガン、ネオジム、イリジウム、チタン及びランタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素の含有量の割合(モル)は特に限定されないが、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の金属元素(R−M−Xで表されるM)100に対する好ましい下限が0.01、好ましい上限が20である。上記含有量の割合(モル)が0.01以上であれば、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流密度、フィルファクターの低下に起因する光劣化が抑制される。上記含有量の割合(モル)が20以下であれば、上記元素の存在による初期変換効率低下を抑制することができる。上記含有量の割合(モル)のより好ましい下限は0.1、より好ましい上限は10である。
上記有機無機ペロブスカイト化合物に上記周期表2族元素、周期表11族元素、アンチモン、マンガン、ネオジム、イリジウム、チタン及びランタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有させる方法は特に限定されず、例えば、有機無機ペロブスカイト化合物の層を成膜する際に使用する溶液に上記元素のハロゲン化物を混合しておく方法等が挙げられる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度を、上記式(1)を満たすように調整する方法としては、また、光電変換層中のアミン化合物の量を一定以下に低減させる方法も挙げられる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、一般に、ハロゲン化金属化合物とアミン化合物とを反応させることにより調製される。得られた有機無機ペロブスカイト化合物には、上記有機無機ペロブスカイト化合物を形成する反応工程において、反応しきれずに残ったアミン化合物等の成分が残存している。このような残存アミン化合物は、短絡電流の低下をもたらし、太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)の原因となる。上記光電変換層中における上記有機無機ペロブスカイト化合物1モルに対する残存したアミン化合物の量が0.5モル以下とすることにより、残存アミン化合物の悪影響を抑えて、上記有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度を、上記式(1)を満たすようにすることができる。上記残存した上記アミン化合物の量は、好ましい上限が0.3モル、より好ましい上限が0.1モルであり、最も好ましい上限は0.05モルである。
電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する太陽電池であって、上記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、上記有機無機ペロブスカイト化合物は、ハロゲン化金属化合物とアミン化合物との反応物であり、上記光電変換層中における上記有機無機ペロブスカイト化合物1モルに対する残存したアミン化合物の量が0.5モル以下である太陽電池もまた、本発明の1つである。
上記光電変換層中の残存したアミン化合物の量を上記範囲に調整する具体的な方法としては、原料となるハロゲン化金属化合物とアミン化合物とを反応させて上記有機無機ペロブスカイト化合物を調製する際に、上記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液と、上記アミン化合物を含有する溶液との濃度を調整する方法や、上記有機無機ペロブスカイト化合物は溶解せず、上記アミン化合物が溶解する溶媒に上記光電変換層を浸漬させ、残存した上記アミン化合物を減少させる方法等が挙げられる。なかでも、上記有機無機ペロブスカイト化合物は溶解せず、上記アミン化合物が溶解する溶媒に上記光電変換層を浸漬させ、残存したアミン化合物を減少させる方法が好ましい。
原料となるハロゲン化金属化合物は、上記有機無機ペロブスカイト化合物において上記金属原子M及び上記ハロゲン原子Xを構成するものである。従って、上記ハロゲン化金属化合物としては、例えば、上記金属原子M及び上記ハロゲン原子Xを含む化合物が挙げられ、より具体的には例えば、ヨウ化鉛、臭化鉛、塩化鉛、ヨウ化スズ、臭化スズ、塩化スズ等が挙げられる。これらのハロゲン化金属化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
原料となるアミン化合物は、有機無機ペロブスカイト化合物において上記有機分子R及び上記ハロゲン原子Xを構成するものである。従って、上記アミン化合物としては、例えば、上記有機分子R及び上記ハロゲン原子Xを含む化合物が挙げられ、より具体的には例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、臭化メチルアンモニウム、塩化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、臭化ホルムアミジニウム、塩化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジン、臭化グアニジン、塩化グアニジン等が挙げられる。これらのアミン化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記アミン化合物におけるハロゲン原子Xと、上記ハロゲン化金属化合物におけるハロゲン原子Xとは、異なるものであってもよい。
これらのハロゲン化金属化合物及びアミン化合物は、目的とする有機無機ペロブスカイト化合物の構造にあわせて、適宜組み合わせることができる。
上記光電変換層中に残存したアミン化合物の量を測定する方法としては例えば、次の方法が挙げられる。まず、太陽電池をプロパノール等の上記アミン化合物のみが溶出する溶媒で洗浄し、洗浄液に含まれる上記アミン化合物又は上記アミン化合物が有するハロゲン元素をガスクロマトグラフ質量分析法(GCMS)(例えば、日本電子社製)等で定量化する。又は、同様にして得られた上記洗浄液の溶媒を純水に置換した後、イオンクロマトグラフィー(例えば、Dionex社製)等を用いて元素分析する。これらの操作により、残存した上記アミン化合物の量を検出する。その後、上記光電変換層をDMF等の上記有機無機ペロブスカイト化合物が溶出する溶媒で洗浄し、洗浄液に含まれる上記有機無機ペロブスカイト化合物をラザフォード後方散乱法(RBS法)の金属の元素ピーク検出により定量化し、上記有機無機ペロブスカイト化合物の量を検出する。
なお、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を70%以上又は結晶子径を5nm以上とし、かつ、上記光電変換層に周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、アンチモン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有する部位を含ませる方法と、上記光電変換層中に残存したアミン化合物の量を一定以下に低減させる方法とは、単独で行ってもよいし、併用してもよい。
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。なお、ここでいう有機半導体又は無機半導体は、後述する電子輸送層又はホール輸送層としての役割を果たしてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物や、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、CuO、CuI、MoO、V、WO、MoS、MoSe、CuS等が挙げられる。
上記光電変換層は、上記有機無機ペロブスカイト化合物と上記有機半導体又は上記無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
本発明の太陽電池においては、上記電極と上記光電変換層との間に、電子輸送層が配置されていてもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層(バッファ層)のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物を複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合膜が製膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の太陽電池においては、上記光電変換層と上記対向電極との間に、ホール輸送層の材料が積層されてもよい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、トリフェニルアミン骨格、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
上記ホール輸送層の材料は一部が上記光電変換層に浸漬していてもよいし、上記光電変換層上に薄膜状に配置されてもよい。上記ホール輸送層の材料が薄膜状に存在する時の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の太陽電池は、更に、基板等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、金属基板、透明プラスチック基板等が挙げられる。
本発明の太陽電池は、上述したような、必要に応じて配置される上記基板上に上記電極、必要に応じて上記電子輸送層、上記光電変換層、必要に応じて上記ホール輸送層及び上記対向電極が形成された上記積層体が、封止材で封止されていてもよい。上記封止材としてはバリア性を有していれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又は無機材料等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ブチルゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリイソブチレン等が挙げられる。
上記封止剤が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂である場合、封止層(樹脂層)の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
上記無機材料としては、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、上記封止材に水蒸気バリア性及び柔軟性を付与するために、Zn、Snの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましい。
上記封止剤が無機材料である場合、封止層(無機層)の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、太陽電池の耐久性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層と上記積層体との剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE−3000等)を用いて測定することができる。
上記封止材のうち、上記熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂で上記積層体を封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状の封止材を用いて上記積層体をシールする方法、封止材を有機溶媒に溶解させた封止材溶液を上記積層体に塗布する方法、封止材となる液状モノマーを上記積層体に塗布した後、熱又はUV等で液状モノマーを架橋又は重合させる方法、封止材に熱をかけて融解させた後に冷却させる方法等が挙げられる。
上記封止材のうち、上記無機材料で上記積層体を覆う方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記積層体上に原料を堆積して製膜することにより、無機材料からなる無機層を形成することができる。
上記封止材は、上記熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂と、上記無機材料との組み合わせでもよい。
また、本発明の太陽電池においては、更に、上記封止材上を、例えばガラス板、樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム、金属箔等のその他の材料が覆っていてもよい。即ち、本発明の太陽電池は、上記積層体と上記その他の材料との間を、上記封止材によって封止、充填又は接着している構成であってもよい。これにより、仮に上記封止材にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
本発明の太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、必要に応じて配置される上記基板上に上記電極、必要に応じて上記電子輸送層、上記光電変換層、必要に応じて上記ホール輸送層及び上記対向電極をこの順で形成して上記積層体を作製した後、上記封止材で上記積層体を封止する方法等が挙げられる。
上記光電変換層を形成するには、上記ハロゲン化金属化合物と、上記アミン化合物とを反応さて上記有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を形成させる。
上記ハロゲン化金属化合物と、上記アミン化合物とを反応させる方法としては、特に限定されず、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法等であってもよいが、上記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液と、上記アミン化合物を含有する溶液とを用いた印刷法が好ましい。具体的には、基板(必要に応じて、基板上に上記電極及び上記電子輸送層を有する)をこれらの溶液に浸漬したり、これらの溶液を基板に塗布したりしてもよい。この際、上記ハロゲン化金属化合物を製膜後に、上記アミン化合物を含有する溶液を塗布してもよい。予め上記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液と、上記アミン化合物を含有する溶液とを混合した後に該混合液に、基板(必要に応じて、基板上に上記電極及び上記電子輸送層を有する)を浸漬したり、予め上記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液と、上記アミン化合物を含有する溶液とを混合した後に該混合液を基板に塗布したりしてもよい。
印刷法を採用することで、高い光電変換効率を発揮できる太陽電池を大面積で簡易に形成することができる。塗布する方法として、例えば、スピンコート法、キャスト法等が挙げられ、印刷法を用いた方法としてはロールtoロール法等が挙げられる。
上記光電変換層に周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、アンチモン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有させる場合には、上記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液、上記アミン化合物を含有する溶液のいずれか一方又は両方に該元素を添加する。
上記有機無機ペロブスカイト化合物を結晶性半導体とする場合には、光電変換層を形成した後、得られた光電変換層を加熱する工程を行うことが好ましい。上記光電変換層を加熱する工程を行うことにより、上記溶媒を効率よく除去させることができるとともに、太陽電池を劣化させることなく、有機無機ペロブスカイト化合物を結晶化させることができる。
上記光電変換層を加熱する工程における加熱温度は100℃以上、200℃未満であることが好ましく、120℃以上、170℃以下であることがより好ましい。
上記光電変換層を加熱する工程における加熱時間は特に限定されないが、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させない観点からは、3分以上、2時間以内であることが好ましい。
上記光電変換層を加熱する工程における加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが好ましく、露点温度は10℃以下が好ましく、7.5℃以下がより好ましく、5℃以下が更に好ましい。
なお、上記光電変換層を加熱する工程は、上記光電変換層を形成した直後に行ってもよいが、後述する光電変換層中の残存するアミン化合物を減少させる工程を更に行う場合には、該工程の後に行った方が、残存したアミン化合物を効率よく減少させることができる。
電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する太陽電池の製造方法であって、ハロゲン化金属化合物を含有する溶液とアミン化合物を含有する溶液とを用いた印刷法により有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を形成する工程と、上記光電変換層を加熱温度100℃以上、200℃未満、加熱時間3分以上、2時間以内の条件で加熱する工程とを有し、上記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液とアミン化合物を含有する溶液とのいずれか一方又は両方に周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、アンチモン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有させる太陽電池の製造方法もまた、本発明の1つである。
上記光電変換層中の残存したアミン化合物を減少させる場合には、上記光電変換層中の残存するアミン化合物を減少させる工程を行う。
上記光電変換層中の残存するアミン化合物を減少させる工程としては、例えば、上記有機無機ペロブスカイト化合物は溶解せず、上記アミン化合物が溶解する溶媒に上記光電変換層を浸漬させる方法等が挙げられる。このような溶媒に上記光電変換層を浸漬させることにより、残存したアミン化合物を効率よく減少させ、残存したアミン化合物の量を上記範囲に調整することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は溶解せず、上記アミン化合物が溶解する溶媒は、上記有機無機ペロブスカイト化合物及び上記アミン化合物にあわせて適宜選択される。これらの溶媒は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記溶媒は、できるだけ水を含まないことが好ましいことから、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等が好ましい。
上記溶媒に上記光電変換層を浸漬させる温度は、特に限定されないが、10〜100℃が好ましく、15〜80℃がより好ましい。
上記溶媒に上記光電変換層を浸漬させる時間は、特に限定されないが、1秒以上、1時間以下が好ましい。1秒以上浸漬させることにより効率よく上記アミン化合物を減少させることができ、1時間以下であることにより上記溶媒中に微少量存在する水等による影響を抑制できる。
電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する太陽電池の製造方法であって、ハロゲン化金属化合物を含有する溶液とアミン化合物を含有する溶液とを用いた印刷法により有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を形成する工程と、上記光電変換層を有機無機ペロブスカイト化合物は溶解せず、アミン化合物が溶解する溶媒に浸漬させる工程を有する太陽電池の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)が抑制された太陽電池、及び、該太陽電池の製造方法を提供することができる。
有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)チタンを含有する塗布液の作製
チタン粉末10mmolを精秤し、ビーカーに入れ、過酸化水素水40gを加え、さらにアンモニア水10gを加えた。これを2時間水冷した後、L−乳酸30mmolを添加し、80℃に設定したホットプレートで一日加温し、そこへ蒸留水10mlを添加しチタンを含有する塗布液を作製した。
(2)太陽電池の作製
ガラス基板上に、電極(陰極)として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させた。
チタンを含有する塗布液を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、大気中550℃で10分間焼成し、薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、有機バインダとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、500℃で10分間焼成し、厚み300nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、ハロゲン化金属化合物としてヨウ化鉛をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの溶液を調製した。さらに銅を添加するために、上記ヨウ化鉛のDMF溶液に0.01Mの濃度になるように添加物として塩化銅を溶解させて、これを上記多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法によって製膜した。更に、アミン化合物としてヨウ化メチルアンモニウムを2−プロパノールに溶解させて1Mの溶液を調製した。この溶液内に上記のヨウ化鉛を製膜したサンプルを浸漬させることによって有機無機ペロブスカイト化合物であるCHNHPbIを含む層を形成した。浸漬後、得られたサンプルに対して80℃にて30分間加熱処理を行った。
更に、Poly(4−butylphenyl−diphenyl−amine)(1−Material社製)の1wt%クロロベンゼン溶液を有機無機ペロブスカイト化合物部位上にスピンコート法によって50nmの厚みに積層し、ホール輸送層を形成した。
得られたホール輸送層上に、対向電極(陽極)として真空蒸着により厚み100nmの金膜を形成し、太陽電池を得た。
(3)有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度及び結晶子径の測定
X線散乱強度分布測定により検出されたスペクトルの2θが13°〜15°の領域において、結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより、結晶化度を求めた。また、得られたスペクトルから、rigaku data analysis softwareのpdxlを用い、halder−wagner法にて結晶子径を算出した。
(4)有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度の測定
朝日分光社製のHAL−320を用いて、太陽電池に100mW/cmの擬似太陽光を照射しながら、インピーダンスアナライザ(ソーラートロン社製、Sl1287)を用いて、太陽電池のC−V測定を行った。測定は周波数1000Hzにて行い、+2Vから−2Vまで100mV/sの挿引速度で測定した。光照射を開始した直後の有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度N(0,I)と光照射を1時間続けた後の有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度N(T,I)とを、C−V測定により得られたC−Vグラフをもとにモット−ショットキープロットに変換することにより求め、N(T,I)/N(0,I)を算出した。
実施例2〜12、14、参考例1
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液を調製する際に実施例1の塩化銅0.01Mを表1に記載の化合物・添加量に変更したこと、またホール輸送層を表1に記載の材料に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
(実施例15、16)
実施例1の多孔質状の電子輸送層上に有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒としてCHNHIとPbIをモル比1:1で溶かし、Pbの濃度が1Mになるように調製した。さらにストロンチウム、又はチタンを添加するために、上記の調製した溶液に0.01Mの濃度になるように添加物として塩化ストロンチウム又はヨウ化チタンを溶解させて、これを上記多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法によって製膜した。更に、ホール輸送層としてPoly(4−butylphenyl−diphenyl−amine)(1−Material社製)の1wt%クロロベンゼン溶液を有機無機ペロブスカイト化合物部位上にスピンコート法によって50nmの厚みに積層し、光電変換層を形成した。光電変換層上に、対向電極(陽極)として真空蒸着により厚み100nmの金膜を形成し、太陽電池を得た。
(実施例17)
実施例1の多孔質状の電子輸送層上に有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液として、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒としてCHNHIとPbClをモル比3:1で溶かし、Pbの濃度が1Mになるように調製した。さらにストロンチウムを添加するために、上記の調製した溶液に0.01Mの濃度になるように塩化ストロンチウムを溶解させて、これを上記多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法によって製膜した。更に、ホール輸送層としてPoly(4−butylphenyl−diphenyl−amine)(1−Material社製)の1wt%クロロベンゼン溶液を有機無機ペロブスカイト化合物部位上にスピンコート法によって50nmの厚みに積層し、光電変換層を形成した。光電変換層上に、対向電極(陽極)として真空蒸着により厚み100nmの金膜を形成し、太陽電池を得た。
(比較例1)
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液を調製する際に添加物を使用しないこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
(比較例2)
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液を調製する際に添加物を使用しないこと以外は実施例3と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
(比較例3〜7)
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液を調製する際に使用した添加物の種類及び濃度を、表1に記載の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
(比較例8)
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液を調製する際に添加物を使用しないこと以外は実施例15と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
(比較例9)
有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液を調製する際に添加物を使用しないこと以外は実施例17と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
(比較例10)
有機無機ペロブスカイト化合物であるCHNHPbIを含む層を形成した後、得られたサンプルに対して200℃にて30分間加熱処理したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。実施例1と同様にして、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度やキャリア密度等の測定を行った。
<評価>
実施例1〜12、14〜17、比較例1〜9及び参考例1で得られた太陽電池について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)光劣化試験
太陽電池の電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、ソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて強度100mW/cmの光を照射した。光照射を開始した直後の光電変換効率と光照射を1時間続けた後の光電変換効率とをそれぞれ測定した。光照射を1時間続けた後の光電変換効率/光照射を開始した直後の光電変換効率の値を求め、その値が0.9以上であった場合を○○○、0.8以上、0.9未満であった場合を○○、0.6以上、0.8未満であった場合を○、0.6未満であった場合を×とした。
(2)初期変換効率
太陽電池の電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、ソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて強度100mW/cmの光を照射し光電変換効率を測定した。実施例1−14、比較例2−7については比較例1の変換効率を1に規格化した際、1以上であった場合を○、1未満であった場合を×とし、実施例15−16については比較例8の変換効率を1に規格化した際、1以上であった場合を○、1未満であった場合を×とし、実施例17については比較例9の変換効率を1に規格化した際、1以上であった場合を○、1未満であった場合を×とした。
Figure 0006745214
参考例2
(1)太陽電池の作製
ガラス基板上に、電極(陰極)として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させた。
チタンを含有する塗布液を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、大気中550℃で10分間焼成し、薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、有機バインダとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、500℃で10分間焼成し、厚み300nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、ハロゲン化金属化合物としてヨウ化鉛をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの溶液を調製した。これを上記酸化チタンの層上にスピンコート法によって製膜した。更に、アミン化合物としてヨウ化メチルアンモニウムを2−プロパノールに溶解させて1Mの溶液を調製した。この溶液内に上記のヨウ化鉛を製膜したサンプルを浸漬させることによって有機無機ペロブスカイト化合物であるCHNHPbIを含む層を形成した。更に得られた層を2−プロパノール(ヨウ化メチルアンモニウムが溶解する溶媒)に20秒間浸漬させる処理(洗浄処理)を行った。浸漬させる処理後、得られたサンプルに対して150℃にて30分間加熱処理を行った。
更に、Spiro−OMeTAD(スピロビフルオレン骨格を有する)を68mM、Tert−butylpyridineを55mM、Lithium Bis(trifluoromethylsulfonyl)imide塩を9mM溶解させた溶液を有機無機ペロブスカイト化合物部位上にスピンコート法によって50nmの厚みに積層し、ホール輸送層を形成した。
得られたホール輸送層上に、対向電極(陽極)として真空蒸着により厚み100nmの金膜を形成し、太陽電池を得た。
(2)有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度の測定
朝日分光社製のHAL−320を用いて、太陽電池に100mW/cmの擬似太陽光を照射しながら、インピーダンスアナライザ(ソーラートロン社製、Sl1287)を用いて、太陽電池のC−V測定を行った。測定は周波数1000Hzにて行い、+2Vから−2Vまで100mV/sの挿引速度で測定した。光照射を開始した直後の有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度N(0,I)と光照射を1時間続けた後の有機無機ペロブスカイト化合物のキャリア密度N(T,I)とを、C−V測定により得られたC−Vグラフをもとにモット−ショットキープロットに変換することにより求め、N(T,I)/N(0,I)を算出した。
参考例3〜5
浸漬させる処理(洗浄処理)後の加熱処理における加熱温度又は加熱時間を変更するか、加熱処理を行わなかった以外は参考例2と同様にして太陽電池を得た。
参考例6
ヨウ化メチルアンモニウムの代わりにヨウ化ホルムアミジニウムを用い、浸漬させる処理(洗浄処理)後の加熱処理における加熱温度又は加熱時間を変更した以外は参考例2と同様にして太陽電池を得た。
参考例7〜9
2−プロパノールに浸漬させる処理(洗浄処理)の時間を変更することで、有機無機ペロブスカイト化合物を含む層中における残存したアミン化合物の量(残存量)を表2に示される数値に変更し、また、ハロゲン化金属化合物の種類、アミン化合物の種類を表2に示されるものに変更したこと以外は参考例2と同様にして太陽電池を得た。
参考例10
浸漬させる処理(洗浄処理)を行う溶媒として2−プロパノールの代わりにエタノールを用いた以外は参考例2と同様にして太陽電池を得た。
(比較例11)
CHNHPbIを含む層を形成後、2−プロパノール(ヨウ化メチルアンモニウムが溶解する溶媒)に浸漬させる処理(洗浄処理)を行わなかったこと以外は実施例18と同様にして太陽電池を得た。
(比較例12)
浸漬させる処理(洗浄処理)後の加熱処理を行わなかったこと以外は比較例11と同様にして太陽電池を得た。
<評価>
参考例2〜10及び比較例11、12で得られた太陽電池について、以下の評価を行った。結果を表2に示した。
(1)初期変換効率評価
太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、ソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて強度100mW/cmの光を照射し、光照射を開始した直後の光電変換効率を測定した。
○:光電変換効率が10%以上
△:光電変換効率が10%未満、7%以上
×:光電変換効率が7%未満
(2)光劣化試験
太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、ソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて強度100mW/cmの光を照射し、光照射を開始した直後の開放電圧及び短絡電流と光を20分間照射した後の開放電圧及び短絡電流とをそれぞれ測定した。光を20分間照射した後の開放電圧/光照射を開始した直後の開放電圧の値(開放電圧の相対値)、及び、光を20分間照射した後の短絡電流/光照射を開始した直後の短絡電流の値(短絡電流の相対値)を求めた。
(3)アミン化合物残存量測定
光劣化試験終了後、太陽電池を2−プロパノール(ヨウ化メチルアンモニウム及びヨウ化ホルムアミジニウムのみが溶出する溶媒)で洗浄し、洗浄液をガスクロマトグラフ質量分析法(GCMS)(JMS−Q1050GC、日本電子社製)により元素分析した。その後、DMFにより有機無機ハイブリッド化合物を溶出させた洗浄液をRBS法により元素分析することで有機無機ペロブスカイト化合物1モルに対し、残存したアミン化合物の量(モル)を定量化した。
Figure 0006745214
本発明によれば、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)が抑制された太陽電池、及び、該太陽電池の製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する太陽電池であって、
    前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
    前記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶化度70%以上の結晶性半導体であり、かつ、前記光電変換層が周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有する部位を有する
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 一般式R−M−Xで表される有機無機ペロブスカイト化合物において、Mが鉛又はスズであることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 一般式R−M−Xで表される有機無機ペロブスカイト化合物において、Xがヨウ素又は臭素であることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池。
  4. 一般式R−M−Xで表される有機無機ペロブスカイト化合物において、Rがホルムアミジニウム又はそのイオンであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の太陽電池。
  5. 電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する太陽電池の製造方法であって、
    ハロゲン化金属化合物を含有する溶液とアミン化合物を含有する溶液とを用いた印刷法により有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を形成する工程と、前記光電変換層を加熱温度100℃以上、200℃未満、加熱時間3分以上、2時間以内の条件で加熱する工程とを有し、
    前記ハロゲン化金属化合物を含有する溶液とアミン化合物を含有する溶液とのいずれか一方又は両方に周期表2族元素、周期表11族元素、マンガン、チタン、ネオジム、イリジウム及びランタンからなる群から選択される1種以上の元素を含有させる
    ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
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