JP2016015410A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布工程を含む方法により大面積で簡易に作製でき、近赤外領域の光の光電変換効率が高く、例えば赤外線センサ等として好適に用いられる光電変換素子を提供する。
【解決手段】陰極7と、陽極3と、前記陰極と前記陽極との間に配置された光電変換層とを有し、前記光電変換層は、セレン化アンチモンを含む部位を有する光電変換素子1である。
【選択図】図1
【解決手段】陰極7と、陽極3と、前記陰極と前記陽極との間に配置された光電変換層とを有し、前記光電変換層は、セレン化アンチモンを含む部位を有する光電変換素子1である。
【選択図】図1
Description
本発明は、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に作製でき、近赤外領域の光の光電変換効率が高く、例えば赤外線センサ等として好適に用いられる光電変換素子に関する。
従来から、複数種の半導体を積層し、この積層体の両面に電極を設けた光電変換素子が開発されている。また、このような積層体の代わりに、複数種の半導体を複合化した複合膜を用いることも検討されている。このような光電変換素子では、各半導体がP型半導体又はN型半導体として働き、光励起によりP型半導体又はN型半導体で光キャリア(電子−ホール対)が生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
このように光のエネルギーを電気信号に変換できる光電変換素子は、構成材料である半導体のバンドギャップ、及び、それによる光吸収能に応じて、様々な用途に用いられている。例えば、可視光領域において高い光吸収能を示す光電変換素子は、可視光応答型光触媒材料等としての使用が検討されており、近赤外領域において高い光吸収能を示す光電変換素子は、赤外線センサ等としての使用が検討されている。
赤外線センサとは、赤外領域の光を捕集し、光エネルギーを電気信号に変換することによって様々な情報を非接触で得ることができる装置である。赤外線センサには、近赤外領域(波長1.4μm以下)の光を主に使用するものと中遠赤外領域(波長1.4μm〜1000μm)の光を使用するものとがある。近赤外領域の光を用いた赤外線センサの更に具体的な使用用途としては、自動車の暗視装置等に用いられる近赤外カメラ等が挙げられる。このような赤外線センサに用いられる光電変換素子に必要な材料物性としては、各赤外領域における光吸収能及び吸収した光を電気に変換する光電変換能が挙げられる。
従来、赤外線センサに用いられる光電変換素子の半導体薄膜としては、真空蒸着法、スパッタ法、気相反応法(CVD)等の方法により製造された無機半導体薄膜が挙げられる。例えば、非特許文献1には、スパッタ法による硫化アンチモン薄膜の作製方法が報告されている。このような方法では、成膜直後の膜がアモルファス(バンドギャップ2.24eV)であり、400℃で硫黄雰囲気での焼成により、結晶膜(バンドギャップ1.73eV)が得られるとしている。
また、非特許文献2には、電気化学沈積法を用いた硫化物薄膜の作製方法も開示されている。このような方法では、バンドギャップがそれぞれ、1.58eV(Sb2S3)、1.3eV(Bi2S3)である薄膜が得られている。
また、非特許文献2には、電気化学沈積法を用いた硫化物薄膜の作製方法も開示されている。このような方法では、バンドギャップがそれぞれ、1.58eV(Sb2S3)、1.3eV(Bi2S3)である薄膜が得られている。
しかしながら、真空蒸着法、スパッタ法等の方法は、装置が高価でコスト面で不利であるだけでなく、大面積の成膜が困難であるという問題点があった。また、電気化学沈積法は、真空設備を必要とせず、常温で成膜できるが、成膜後洗浄工程が必要であり、また任意の膜厚への制御が困難であるという問題点があった。
Matthieu Y.Versavel and Joel A.Haber,Thin Solid Films,515(18),7171−7176(2007)
N.S.Yesugade,et al.,Thin Solid Films,263(2),145−149(1995)
本発明は、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に作製でき、近赤外領域の光の光電変換効率が高く、例えば赤外線センサ等として好適に用いられる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された光電変換層とを有し、前記光電変換層は、セレン化アンチモンを含む部位を有する光電変換素子である。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、光電変換層をセレン化アンチモンを含む部位を有するものとすることにより、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に光電変換素子を作製でき、また、セレン化アンチモンはバンドギャップが狭く、より長波長の光を吸収できるため、近赤外領域の光の光電変換効率が高い光電変換素子が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。このような光電変換素子は、例えば、赤外線センサ等として好適に用いられる。
本発明の光電変換素子は、陰極と、陽極と、上記陰極と上記陽極との間に配置された光電変換層とを有する。
なお、本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、光電変換素子の断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
なお、本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、光電変換素子の断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記陰極及び上記陽極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。陰極材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al2O3混合物、Al/LiF混合物等が挙げられる。陽極材料として、例えば、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO2、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)、FTO等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光電変換層は、セレン化アンチモンを含む部位(以下、セレン化アンチモン部位ともいう)を有する。
上記光電変換層にセレン化アンチモンを用いることにより、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に本発明の光電変換素子を作製できる。上記塗布工程における塗布方法として、例えば、スピンコート法、キャスト法等の印刷法、ロールtoロール法等の印刷法を用いた方法が挙げられる。
また、上記光電変換層にセレン化アンチモンを用いることにより、本発明の光電変換素子を耐久性に優れたものとすることができる。
また、近年、光電変換層に金属硫化物(例えば、硫化錫、硫化アンチモン)を用いることが検討されているが、このような金属硫化物又は従来の金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン)では、バンドギャップが広いことから赤外領域の光を吸収することができず、例えば赤外線センサ等に用いることはできない。更に、硫化錫を用いた場合は元素拡散が激しく、光電変換素子の作製直後は光電変換を行うことができたとしても、すぐに劣化してしまう。これに対して、セレン化アンチモンはバンドギャップが狭く、より長波長の光を吸収できる。このため、上記光電変換層にセレン化アンチモンを用いることにより、本発明の光電変換素子を近赤外領域の光吸収能に優れた感度の高いものとすることができる。なお、波長800nm以上の領域を近赤外領域とした場合、波長800nmをエネルギーに変換すると約1.55eVであるため、少なくともバンドギャップが1.55eV以下であれば、近赤外領域の光吸収能を少なくとも有してはいると判断することができる。
上記光電変換層にセレン化アンチモンを用いることにより、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に本発明の光電変換素子を作製できる。上記塗布工程における塗布方法として、例えば、スピンコート法、キャスト法等の印刷法、ロールtoロール法等の印刷法を用いた方法が挙げられる。
また、上記光電変換層にセレン化アンチモンを用いることにより、本発明の光電変換素子を耐久性に優れたものとすることができる。
また、近年、光電変換層に金属硫化物(例えば、硫化錫、硫化アンチモン)を用いることが検討されているが、このような金属硫化物又は従来の金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン)では、バンドギャップが広いことから赤外領域の光を吸収することができず、例えば赤外線センサ等に用いることはできない。更に、硫化錫を用いた場合は元素拡散が激しく、光電変換素子の作製直後は光電変換を行うことができたとしても、すぐに劣化してしまう。これに対して、セレン化アンチモンはバンドギャップが狭く、より長波長の光を吸収できる。このため、上記光電変換層にセレン化アンチモンを用いることにより、本発明の光電変換素子を近赤外領域の光吸収能に優れた感度の高いものとすることができる。なお、波長800nm以上の領域を近赤外領域とした場合、波長800nmをエネルギーに変換すると約1.55eVであるため、少なくともバンドギャップが1.55eV以下であれば、近赤外領域の光吸収能を少なくとも有してはいると判断することができる。
上記セレン化アンチモンは、アンチモン及びセレンを含む錯体を前駆体として形成されてなることが好ましい。このためには、上記セレン化アンチモン部位を、アンチモン含有化合物と、セレン含有化合物とを含有する半導体形成用塗布液を用いた印刷法により形成することが好ましい。
上記アンチモン含有化合物として、例えば、アンチモンの金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。
上記アンチモンの金属塩として、例えば、アンチモンの塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、過酸化物等が挙げられる。また、上記アンチモンの金属塩には、その水和物も含まれる。
上記アンチモンの有機金属化合物として、例えば、アンチモンのカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の塩化合物が挙げられ、より具体的には、アンチモンの酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の塩化合物等が挙げられる。
上記アンチモンの金属塩として、例えば、アンチモンの塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、過酸化物等が挙げられる。また、上記アンチモンの金属塩には、その水和物も含まれる。
上記アンチモンの有機金属化合物として、例えば、アンチモンのカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の塩化合物が挙げられ、より具体的には、アンチモンの酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の塩化合物等が挙げられる。
上記半導体形成用塗布液における上記アンチモン含有化合物の含有量は、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が50重量%である。上記含有量が5重量%以上であれば、良質なセレン化アンチモン部位を容易に形成することができる。上記含有量が50重量%以下であれば、安定な半導体形成用塗布液を容易に得ることができる。
上記セレン含有化合物として、例えば、セレノ尿素、セレノ尿素の誘導体、セレノアセトアミド、セレノアセトアミドの誘導体、ジセレノカルバミン酸塩、セレノ硫酸塩、セレノシアン酸塩、セレン化水素、塩化セレン、臭化セレン、ヨウ化セレン、セレノフェノール、亜セレン酸等が挙げられる。これらのセレン含有化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記セレノ尿素の誘導体として、例えば、1−アセチル−2−セレノ尿素、エチレンセレノ尿素、1,3−ジエチルー2−セレノ尿素、1,3−ジメチルセレノ尿素、テトラメチルセレノ尿素、N−メチルセレノ尿素、1−フェニルー2−セレノ尿素等が挙げられる。上記ジセレノカルバミン酸塩として、例えば、ジメチルジセレノカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジセレノカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジセレノカルバミン酸カリウム、ジエチルジセレノカルバミン酸カリウム等が挙げられる。上記セレノ硫酸塩として、例えば、セレノ硫酸ナトリウム、セレノ硫酸カリウム、セレノ硫酸アンモニウム等が挙げられる。上記セレノシアン酸塩として、例えば、セレノシアン酸カリウム、セレノシアン酸アンモニウム等が挙げられる。
上記半導体形成用塗布液における上記セレン含有化合物の含有量は、上記アンチモン含有化合物のモル数に対して、1〜30倍が好ましく、2〜20倍がより好ましい。上記含有量が1倍以上であれば、量論比のセレン化アンチモンが得られやすくなる。上記含有量が30倍以下であれば、半導体形成用塗布液の安定性がより向上する。
上記半導体形成用塗布液における上記アンチモン及びセレンを含む錯体は、赤外吸収スペクトルにて、アンチモン−セレン間の結合に由来する吸収ピークを測定することで確認することができる。また、溶液の色の変化で確認することもできる。セレンは化学結合に関与していない孤立電子対を有するため、アンチモンの空の電子軌道(d軌道又はf軌道)との間に配位結合を形成しやすい。このような錯体が形成されることで、半導体形成用塗布液の安定性が向上し、その結果、均一な良質のセレン化アンチモン部位が形成されるだけではなく、その電気的な特性及び半導体特性も向上する。
上記錯体としては、例えば、アンチモン−セレノ尿素錯体、アンチモン−セレノアセトアミド錯体、アンチモン−ジメチルセレノ尿素錯体等が挙げられる。
上記錯体としては、例えば、アンチモン−セレノ尿素錯体、アンチモン−セレノアセトアミド錯体、アンチモン−ジメチルセレノ尿素錯体等が挙げられる。
上記半導体形成用塗布液は、更に、有機溶媒を含有することが好ましい。
上記有機溶媒を適宜選択することで、上述したような錯体を形成させやすくすることができる。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、n−プロパノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ピリジン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、メタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、電気的な特性及び半導体特性のより優れたセレン化アンチモン部位が形成されることから、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
上記有機溶媒を適宜選択することで、上述したような錯体を形成させやすくすることができる。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、n−プロパノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ピリジン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、メタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、電気的な特性及び半導体特性のより優れたセレン化アンチモン部位が形成されることから、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
また、上記半導体形成用塗布液は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、水等の非有機溶媒成分を更に含有してもよい。
上記セレン化アンチモン部位は、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、セレン化アンチモンに加えて他の元素を含有していてもよい。上記他の元素は特に限定されないが、周期表の第4周期、第5周期及び第6周期に属する元素が好ましく、具体的には例えば、インジウム、ガリウム、スズ、カドミウム、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銀、チタン、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、鉄、コバルト等が挙げられる。これらの他の元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、電子の移動度が高くなることから、インジウム、ガリウム、スズ、カドミウム、亜鉛、銅が好ましい。
上記他の元素の含有量は、上記セレン化アンチモン部位中の好ましい上限が50重量%である。上記含有量が50重量%以下であると、上記セレン化アンチモン部位と他の半導体との相性の低下を抑制することができ、光電変換効率が高くなる。
上記セレン化アンチモン部位は、結晶性半導体であることが好ましい。上記セレン化アンチモン部位が結晶性半導体であることにより、電子の移動度が高くなり、光電変換効率が高くなる。
なお、結晶性半導体とは、X線回折測定等で測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味する。
なお、結晶性半導体とは、X線回折測定等で測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味する。
また、上記セレン化アンチモン部位の結晶性の指標として、結晶化度を用いることもできる。上記セレン化アンチモン部位の結晶化度は、好ましい下限が30%である。上記結晶化度が30%以上であると、電子の移動度が高くなり、光電変換効率が高くなる。上記結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
なお、結晶化度は、X線回折測定等により検出された結晶質由来の散乱ピークと、非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶質部分の比を算出することにより求めることができる。
なお、結晶化度は、X線回折測定等により検出された結晶質由来の散乱ピークと、非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶質部分の比を算出することにより求めることができる。
上記セレン化アンチモン部位の結晶化度を高める方法として、例えば、上記セレン化アンチモン部位に対して、熱アニール、レーザー又はフラッシュランプ等の強度の強い光の照射、エキシマ光照射、プラズマ照射等を行う方法が挙げられる。なかでも、セレン化アンチモンの酸化を低減できることから、強度の強い光の照射、プラズマ照射等を行う方法が好ましい。
上記光電変換層は、上記セレン化アンチモン部位に加えて、ホール輸送性を持つ半導体を含有する部位を有してもよい。ホール輸送性を持つ半導体を含有する部位を有することにより、上記セレン化アンチモン部位における電荷分離が促進されるうえ、電荷再結合が抑制されることにより、上記光電変換層の機能が向上する。上記半導体は、無機半導体であってもよいし、有機半導体であってもよい。なかでも、上記光電変換層は、有機半導体を含有する部位(以下、有機半導体部位ともいう)を有することが好ましい。
上記有機半導体を用いることにより、光電変換素子は、耐衝撃性、フレキシビリティ等にも優れたものとなる。また、セレン化アンチモンは上記有機半導体のエネルギーギャップとの相性が良いため、上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを組み合わせて用いることにより、光電変換素子の電荷分離効率が極めて高くなり、光電変換効率が高くなる。また、上記有機半導体部位を有する場合には固溶体の析出がなく、高温時においても高い安定性を得ることができる。
上記有機半導体を用いることにより、光電変換素子は、耐衝撃性、フレキシビリティ等にも優れたものとなる。また、セレン化アンチモンは上記有機半導体のエネルギーギャップとの相性が良いため、上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを組み合わせて用いることにより、光電変換素子の電荷分離効率が極めて高くなり、光電変換効率が高くなる。また、上記有機半導体部位を有する場合には固溶体の析出がなく、高温時においても高い安定性を得ることができる。
上記有機半導体は特に限定されず、例えば、チオフェン骨格、スピロビフルオレン骨格、フタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ペリレン骨格、ポルフィリン骨格(例えば、ベンゾポルフィリン骨格)、ナフタロシアニン骨格、トリフェニルアミン骨格等の骨格を有する化合物が挙げられる。なかでも、ホール輸送性が高く、耐久性にも優れることから、チオフェン骨格、スピロビフルオレン骨格、フタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ペリレン骨格及びポルフィリン骨格からなる群から選択される少なくとも1種の骨格を有する化合物が好ましい。
上記光電変換層は、上記有機半導体部位を有する場合、薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層と薄膜状の有機半導体部位からなる層とを積層した積層体であってもよいし、上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記有機半導体部位の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
上記光電変換層が積層体である場合、上記セレン化アンチモン部位からなる層の厚みは、好ましい下限が20nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが20nm以上であると、より充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であると、電荷分離できない領域の発生を抑制することができ、光電変換効率の低下を防ぐことができる。上記セレン化アンチモン部位からなる層の厚みのより好ましい下限は30nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が積層体である場合、上記有機半導体部位からなる層の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が300nmである。上記厚みが5nm以上であると、より充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが300nm以下であると、電荷分離できない領域の発生を抑制することができ、光電変換効率の低下を防ぐことができる。上記有機半導体部位からなる層の厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は200nmであり、更に好ましい下限は100nmである。
上記光電変換層が上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合、上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
上記光電変換層が上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合には、上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位との比率が非常に重要である。上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位との比率は、1:9〜9:1(体積比)であることが好ましい。上記比率が上記範囲内であると、ホール又は電子が電極まで到達しやすくなり、そのため光電変換効率の向上につながる。上記比率は、2:8〜8:2(体積比)であることがより好ましい。
本発明の光電変換素子においては、上記陰極と上記光電変換層との間に、電子輸送層が配置されてもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に上記光電変換層が成膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の光電変換素子においては、上記陽極と上記光電変換層との間に、更にホール輸送層が配置されていてもよい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンのポリスチレンスルホン酸付加物、カルボキシル基含有ポリチオフェン、フタロシアニン、ポルフィリン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸等が挙げられる。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンのポリスチレンスルホン酸付加物、カルボキシル基含有ポリチオフェン、フタロシアニン、ポルフィリン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸等が挙げられる。
上記ホール輸送層の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明の光電変換素子は、更に、基板等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、透明プラスチック基板等が挙げられる。
光電変換層が薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層と薄膜状の有機半導体部位からなる層とを積層した積層体である場合の本発明の光電変換素子の一例を図1に模式的に示す。図1に示す光電変換素子1においては、基板2、透明電極(陽極)3、薄膜状の有機半導体部位からなる層4、薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層5、電子輸送層6、電極(陰極)7がこの順で積層されている。
光電変換層がセレン化アンチモン部位と有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合の本発明の光電変換素子の一例を図2に模式的に示す。図2に示す光電変換素子8においては、基板9、透明電極(陽極)10、ホール輸送層11、有機半導体部位12とセレン化アンチモン部位13との複合膜14、電子輸送層15、電極(陰極)16がこの順で積層されている。
光電変換層がセレン化アンチモン部位と有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合の本発明の光電変換素子の一例を図2に模式的に示す。図2に示す光電変換素子8においては、基板9、透明電極(陽極)10、ホール輸送層11、有機半導体部位12とセレン化アンチモン部位13との複合膜14、電子輸送層15、電極(陰極)16がこの順で積層されている。
本発明の光電変換素子を製造する方法は特に限定されず、例えば、基板上に電極(陽極)、光電変換層、電子輸送層、電極(陰極)をこの順で形成する方法が挙げられる。また、基板上に電極(陰極)、電子輸送層、光電変換層、電極(陽極)をこの順で形成してもよい。
上記光電変換層を形成する方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタ法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法等であってもよいが、上述したようなアンチモン含有化合物と、セレン含有化合物とを含有する半導体形成用塗布液を用いた印刷法が好ましい。
上記光電変換層を形成する方法として、より具体的には、例えば、上記光電変換層が薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層と薄膜状の有機半導体部位からなる層とを積層した積層体である場合には、上記半導体形成用塗布液を用いてスピンコート法等の印刷法により薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層を成膜し、この薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層の上にスピンコート法等の印刷法により薄膜状の有機半導体部位からなる層を成膜することが好ましい。また、逆に薄膜状の有機半導体部位からなる層の上に薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層を成膜してもよい。
また、例えば、上記光電変換層が上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合には、上記半導体形成用塗布液と上記有機半導体とを混合した混合液を用いてスピンコート法等の印刷法により複合膜を成膜することが好ましい。
また、例えば、上記光電変換層が上記セレン化アンチモン部位と上記有機半導体部位とを複合化した複合膜である場合には、上記半導体形成用塗布液と上記有機半導体とを混合した混合液を用いてスピンコート法等の印刷法により複合膜を成膜することが好ましい。
本発明の光電変換素子の用途は特に限定されないが、近赤外領域の光の光電変換効率が高いことから、例えば、赤外線センサ、即ち、量子型(冷却型)の赤外線センサとして好適に用いられる。また、本発明の光電変換素子は、近赤外領域の光のエネルギーを電気信号に変換できる太陽電池としても好適に用いられる。
光電変換効率の評価手法は特に限定されず、例えば、外部量子収率(IPCE)測定が挙げられる。上記IPCE測定では、照射光量に対して得られる電子数から単色光あたりの光電変換効率を求めることができる。特に波長800〜1000nmにおけるIPCE測定を行うことにより、近赤外領域の光の光電変換効率を求めることができる。
光電変換効率の評価手法は特に限定されず、例えば、外部量子収率(IPCE)測定が挙げられる。上記IPCE測定では、照射光量に対して得られる電子数から単色光あたりの光電変換効率を求めることができる。特に波長800〜1000nmにおけるIPCE測定を行うことにより、近赤外領域の光の光電変換効率を求めることができる。
本発明によれば、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に作製でき、近赤外領域の光の光電変換効率が高く、例えば赤外線センサ等として好適に用いられる光電変換素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(電子輸送層用チタン含有塗布液の作製)
チタン粉末10mmolを精秤し、ビーカーに入れ、過酸化水素水40gを加え、更にアンモニア水10gを加えた。これを2時間水冷した後、L−乳酸30mmolを添加し、80℃に設定したホットプレートで一日加温し、そこへ蒸留水10mLを添加し、電子輸送層用チタン含有塗布液を作製した。
(電子輸送層用チタン含有塗布液の作製)
チタン粉末10mmolを精秤し、ビーカーに入れ、過酸化水素水40gを加え、更にアンモニア水10gを加えた。これを2時間水冷した後、L−乳酸30mmolを添加し、80℃に設定したホットプレートで一日加温し、そこへ蒸留水10mLを添加し、電子輸送層用チタン含有塗布液を作製した。
(半導体形成用塗布液の作製)
窒素雰囲気下において、N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、塩化アンチモン(III)40重量部を添加した後、攪拌することによって溶解した。得られた塩化アンチモン溶液を、セレノ尿素34重量部を秤量したサンプル管に徐々に添加した。その際、溶液は混合前の無色透明から黄色透明に変わった。また、溶液について赤外吸収スペクトルを測定することにより、錯体形成を確認した。添加終了後に更に30分間攪拌することによって、塩化アンチモンとセレノ尿素とを含有する半導体形成用塗布液を作製した。
窒素雰囲気下において、N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、塩化アンチモン(III)40重量部を添加した後、攪拌することによって溶解した。得られた塩化アンチモン溶液を、セレノ尿素34重量部を秤量したサンプル管に徐々に添加した。その際、溶液は混合前の無色透明から黄色透明に変わった。また、溶液について赤外吸収スペクトルを測定することにより、錯体形成を確認した。添加終了後に更に30分間攪拌することによって、塩化アンチモンとセレノ尿素とを含有する半導体形成用塗布液を作製した。
(光電変換素子の作製)
FTOガラス基板上に、電子輸送層用チタン含有塗布液を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、大気中550℃で10分間焼成し、電子輸送層を形成した。
得られた電子輸送層上に、半導体形成用塗布液を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、サンプルを真空炉に入れ、真空に引きながら260℃で10分間焼成し、セレン化アンチモン薄膜(薄膜状のセレン化アンチモン部位)を形成した。真空炉から取出したセレン化アンチモン薄膜は黒色であった。真空炉から取出した後、得られたセレン化アンチモン薄膜の上に、更に半導体としてP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))をスピンコート法を用いて50nm積層し、有機半導体薄膜(薄膜状の有機半導体部位)を形成した。その後、有機半導体薄膜の上にホール輸送層としてポリエチレンジオキサイドチオフェン:ポリスチレンスルフォネート(PEDOT:PSS)をスピンコート法により100nmの厚みに成膜した。次いで、ホール輸送層の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜することによって光電変換素子を作製した。
FTOガラス基板上に、電子輸送層用チタン含有塗布液を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、大気中550℃で10分間焼成し、電子輸送層を形成した。
得られた電子輸送層上に、半導体形成用塗布液を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、サンプルを真空炉に入れ、真空に引きながら260℃で10分間焼成し、セレン化アンチモン薄膜(薄膜状のセレン化アンチモン部位)を形成した。真空炉から取出したセレン化アンチモン薄膜は黒色であった。真空炉から取出した後、得られたセレン化アンチモン薄膜の上に、更に半導体としてP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))をスピンコート法を用いて50nm積層し、有機半導体薄膜(薄膜状の有機半導体部位)を形成した。その後、有機半導体薄膜の上にホール輸送層としてポリエチレンジオキサイドチオフェン:ポリスチレンスルフォネート(PEDOT:PSS)をスピンコート法により100nmの厚みに成膜した。次いで、ホール輸送層の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜することによって光電変換素子を作製した。
(実施例2)
得られたセレン化アンチモン薄膜の上に、基板を100℃に加熱しながらCuSCN硫化プロピル0.5M溶液を滴下し、無機半導体であるCuSCN層を50nmの厚みに形成した後、CuSCN層の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
得られたセレン化アンチモン薄膜の上に、基板を100℃に加熱しながらCuSCN硫化プロピル0.5M溶液を滴下し、無機半導体であるCuSCN層を50nmの厚みに形成した後、CuSCN層の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
(実施例3)
半導体としてのP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))及びホール輸送層を積層せず、セレン化アンチモン薄膜の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
半導体としてのP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))及びホール輸送層を積層せず、セレン化アンチモン薄膜の上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
(比較例1)
セレン化アンチモン薄膜の代わりに硫化錫薄膜を真空蒸着法により同膜厚形成したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
セレン化アンチモン薄膜の代わりに硫化錫薄膜を真空蒸着法により同膜厚形成したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
(比較例2)
セレノ尿素34重量部の代わりにチオ尿素40重量部を用いて半導体形成用塗布液を作製し、セレン化アンチモン薄膜の代わりに硫化アンチモン薄膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
セレノ尿素34重量部の代わりにチオ尿素40重量部を用いて半導体形成用塗布液を作製し、セレン化アンチモン薄膜の代わりに硫化アンチモン薄膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
(比較例3)
塩化アンチモン(III)40重量部の代わりに塩化ビスマス55重量部を用いるとともにセレノ尿素34重量部の代わりにチオ尿素40重量部を用いて半導体形成用塗布液を作製し、セレン化アンチモン薄膜の代わりに硫化ビスマス薄膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
塩化アンチモン(III)40重量部の代わりに塩化ビスマス55重量部を用いるとともにセレノ尿素34重量部の代わりにチオ尿素40重量部を用いて半導体形成用塗布液を作製し、セレン化アンチモン薄膜の代わりに硫化ビスマス薄膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた光電変換素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた光電変換素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示した。
(1)バンドギャップの測定
光電変換素子のセレン化アンチモン薄膜(比較例1〜3では、材料1からなる薄膜)の紫外可視光吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトル曲線の長波長側の立ち上がりに対して接線を引き、横軸(波長)との接点を読み取ることにより、光電変換素子のバンドギャップを算出した。
光電変換素子のセレン化アンチモン薄膜(比較例1〜3では、材料1からなる薄膜)の紫外可視光吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトル曲線の長波長側の立ち上がりに対して接線を引き、横軸(波長)との接点を読み取ることにより、光電変換素子のバンドギャップを算出した。
(2)近赤外領域の光の光電変換効率の測定(IPCE(900nm))
光電変換素子の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、100mW/cm2の強度のソーラーシミュレータ(山下電装社製)を用いて近赤外領域の900nmでの光電変換効率(IPCE)を測定した。下記に示す基準で判定を行った。
○:900nmでの光電変換効率が30%以上
×:900nmでの光電変換効率が30%未満
光電変換素子の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、100mW/cm2の強度のソーラーシミュレータ(山下電装社製)を用いて近赤外領域の900nmでの光電変換効率(IPCE)を測定した。下記に示す基準で判定を行った。
○:900nmでの光電変換効率が30%以上
×:900nmでの光電変換効率が30%未満
(3)塗布性の評価
下記に示す基準で判定を行った。
○:塗布工程を含む湿式の方法で作製できた
×:塗布工程を含む湿式の方法では作製できなかった
下記に示す基準で判定を行った。
○:塗布工程を含む湿式の方法で作製できた
×:塗布工程を含む湿式の方法では作製できなかった
本発明によれば、塗布工程を含む方法により大面積で簡易に作製でき、近赤外領域の光の光電変換効率が高く、例えば赤外線センサ等として好適に用いられる光電変換素子を提供することができる。
1 光電変換素子
2 基板
3 透明電極(陽極)
4 薄膜状の有機半導体部位からなる層
5 薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層
6 電子輸送層
7 電極(陰極)
8 光電変換素子
9 基板
10 透明電極(陽極)
11 ホール輸送層
12 有機半導体部位
13 セレン化アンチモン部位
14 複合膜
15 電子輸送層
16 電極(陰極)
2 基板
3 透明電極(陽極)
4 薄膜状の有機半導体部位からなる層
5 薄膜状のセレン化アンチモン部位からなる層
6 電子輸送層
7 電極(陰極)
8 光電変換素子
9 基板
10 透明電極(陽極)
11 ホール輸送層
12 有機半導体部位
13 セレン化アンチモン部位
14 複合膜
15 電子輸送層
16 電極(陰極)
Claims (4)
- 陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された光電変換層とを有し、
前記光電変換層は、セレン化アンチモンを含む部位を有する
ことを特徴とする光電変換素子。 - セレン化アンチモンは、アンチモン及びセレンを含む錯体を前駆体として形成されてなることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 陰極と光電変換層との間に、電子輸送層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光電変換素子。
- 光電変換層と陽極との間に、ホール輸送層を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の光電変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014136922A JP2016015410A (ja) | 2014-07-02 | 2014-07-02 | 光電変換素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014136922A JP2016015410A (ja) | 2014-07-02 | 2014-07-02 | 光電変換素子 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=55231408
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016015410A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109309145A (zh) * | 2018-11-16 | 2019-02-05 | 常州大学 | 一种新型p+/p/n硒化锑薄膜电池的制备方法 |
JP2019530976A (ja) * | 2016-09-27 | 2019-10-24 | ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド | 狭く可変のスペクトル応答の有機マイクロキャビティ光検出器 |
US10854832B2 (en) | 2018-01-05 | 2020-12-01 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Photoelectric devices and image sensors and electronic devices |
-
2014
- 2014-07-02 JP JP2014136922A patent/JP2016015410A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019530976A (ja) * | 2016-09-27 | 2019-10-24 | ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド | 狭く可変のスペクトル応答の有機マイクロキャビティ光検出器 |
US10854832B2 (en) | 2018-01-05 | 2020-12-01 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Photoelectric devices and image sensors and electronic devices |
CN109309145A (zh) * | 2018-11-16 | 2019-02-05 | 常州大学 | 一种新型p+/p/n硒化锑薄膜电池的制备方法 |
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