JP5705364B1 - Pin型ダイオード - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布法等の簡易な方法で作製でき、再結合電流及び内部抵抗が小さく、整流作用に優れたPIN型ダイオードを提供する。【解決手段】P層、I層及びN層を有するPIN型ダイオードであって、前記P層が有機半導体、前記I層及び前記N層が無機半導体で形成されており、前記I層と前記N層との間に、更に、下記式(1)〜(3)を満たすバッファー層であるX層を有するPIN型ダイオード。L(N)+0.1eV<L(X)<L(I)+0.3eV (1)N(N)>N(X)>N(I) (2)Eg(X)>Eg(I)かつEg(N)>Eg(I) (3)(式(1)〜(3)中、L(I)、L(X)及びL(N)は、それぞれI層、X層及びN層のLUMO準位を表し、N(I)、N(X)及びN(N)は、それぞれI層、X層及びN層のキャリア密度を表し、Eg(I)、Eg(X)及びEg(N)は、それぞれI層、X層及びN層のバンドギャップを表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、塗布法等の簡易な方法で作製でき、再結合電流及び内部抵抗が小さく、整流作用に優れたPIN型ダイオードに関する。
従来から、例えば、P型半導体(アノード領域)とN型半導体(カソード領域)とを有する半導体層を備えたPN型ダイオードが知られている。
このようなPN型ダイオードのPN接合部では、P型半導体に存在する正孔とN型半導体に存在する電子とが打ち消し合い、内蔵電位が生じている。このため、PN型ダイオードは、順方向のバイアス(順バイアス)を印加すると電流が流れるが逆方向のバイアス(逆バイアス)を印加すると電流が遮断状態となる、いわゆる整流作用を有する。
また、PN型ダイオードは、逆方向のバイアスを印加して光を照射すると、PN接合部で電子−正孔対が生成し、光の照度に応じた光電流が生じるため、光センサとしても利用されている(フォトダイオード)。更に、順方向のバイアスを印加することで発光する発光ダイオードとしても利用されている。
また、例えば、PN型ダイオードのP型半導体とN型半導体との間に、更に、高抵抗半導体領域であるI層を有するPIN型ダイオードも知られている(例えば、特許文献1)。
これらのダイオードには、再結合が発生しにくく(再結合電流が小さく)、内部抵抗が小さく、整流作用に優れることが求められる。
また、これらのダイオードは、一般に単結晶シリコン、多結晶シリコン等のシリコンに対してボロン等のP型不純物、又は、リン等のN型不純物を添加した無機半導体により形成されているが(例えば、特許文献1)、このような材料からなるダイオードは製造にコストがかかるうえ、簡易な方法で作製することが難しかった。
特開2010−98120号公報
本発明は、塗布法等の簡易な方法で作製でき、再結合電流及び内部抵抗が小さく、整流作用に優れたPIN型ダイオードを提供することを目的とする。
本発明は、P層、I層及びN層を有するPIN型ダイオードであって、前記P層が有機半導体、前記I層及び前記N層が無機半導体で形成されており、前記I層と前記N層との間に、更に、下記式(1)〜(3)を満たすバッファー層であるX層を有するPIN型ダイオードである。
L(N)+0.1eV<L(X)<L(I)+0.3eV (1)
N(N)>N(X)>N(I) (2)
Eg(X)>Eg(I)かつEg(N)>Eg(I) (3)
(式(1)〜(3)中、L(I)、L(X)及びL(N)は、それぞれI層、X層及びN層のLUMO準位を表し、N(I)、N(X)及びN(N)は、それぞれI層、X層及びN層のキャリア密度を表し、Eg(I)、Eg(X)及びEg(N)は、それぞれI層、X層及びN層のバンドギャップを表す。)
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、P層、I層及びN層を有するPIN型ダイオードにおいて、P層に有機半導体を、I層及びN層に無機半導体を用い、I層とN層との間に更に特定条件を満たすバッファー層であるX層を設けることにより、塗布法等の簡易な方法で作製でき、再結合電流及び内部抵抗が小さく、整流作用に優れたPIN型ダイオードが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のPIN型ダイオードは、P層、I層及びN層を有する。
なお、本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、PIN型ダイオードの断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
本発明のPIN型ダイオードにおいては、上記P層が有機半導体、上記I層及び上記N層が無機半導体で形成されている。
このような材料からなることにより、本発明のPIN型ダイオードは、塗布法等の簡易な方法で作製でき、また、クラック等があったとしても有機半導体がクラックに対して追従するため優れた性能を発揮できる。一方、上記P層が無機半導体で形成されている場合には、クラックに対して追従できないため、再結合電流が増加し、整流作用が悪くなってしまう。
上記P層を形成している有機半導体は特に限定されず、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格等を有する化合物も挙げられる。なかでも、比較的耐久性が高いことから、チオフェン骨格、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ベンゾポルフィリン骨格を有する化合物が好ましい。
上記I層を形成している無機半導体は、周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物であることが好ましい。上記I層がこのような硫化物及び/又はセレン化物で形成されていることにより、PIN型ダイオードの耐久性が向上する。
上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物は特に限定されず、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、周期表15族元素の2種以上の元素を同一の分子に含有する複合硫化物及び/又は複合セレン化物であってもよい。なかでも、硫化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化アンチモン、セレン化ビスマスが好ましく、硫化アンチモン、セレン化アンチモンがより好ましい。
硫化アンチモン及び/又はセレン化アンチモンは、有機半導体とのエネルギー準位の相性がよく、かつ、例えば酸化亜鉛、酸化チタン等より可視光に対する吸収が大きい。このため、上記I層が硫化アンチモン及び/又はセレン化アンチモンで形成されていることにより、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電荷分離効率が極めて高くなり、光電変換効率が向上する。
更に、上記I層が硫化アンチモン及び/又はセレン化アンチモンで形成されていることにより、他の周期表15族元素の硫化物で形成されている場合よりも、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に光電変換効率の再現性が高くなる。この理由ははっきりとは判っていないが、硫化アンチモン及び/又はセレン化アンチモンは結晶構造が安定であることから、アンチモン金属が硫化アンチモン及び/又はセレン化アンチモン中に析出しにくいためと推測される。一方、周期表15族元素のなかでも、例えばビスマスは結晶構造が不安定であり、ビスマス金属が硫化ビスマス中に析出しやすく、PIN型ダイオードの光電変換効率の再現性が低下しやすいと推測される。
なお、光電変換効率の再現性とは、同一の方法でPIN型ダイオードを複数個作製したときの各PIN型ダイオード間での光電変換効率の再現性を意味する。
上記I層を形成している無機半導体は、結晶性半導体であることが好ましい。これにより、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電子の移動度が高くなり、光電変換効率が向上する。
なお、結晶性半導体とは、X線回折測定等で測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味する。
また、上記I層を形成している無機半導体の結晶性の指標として、結晶化度を用いることもできる。上記I層を形成している無機半導体の結晶化度は、好ましい下限が30%である。上記結晶化度が30%以上であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電子の移動度が高くなり、光電変換効率が向上する。上記結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
なお、結晶化度は、X線回折測定等により検出された結晶質由来の散乱ピークと、非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶質部分の比を算出することにより求めることができる。
上記I層を形成している無機半導体の結晶化度を高める方法として、例えば、上記I層に対して、焼成、レーザー又はフラッシュランプ等の強度の強い光の照射、エキシマ光照射、プラズマ照射等を行う方法が挙げられる。なかでも、上記I層の酸化を低減できることから、強度の強い光の照射、プラズマ照射等を行う方法が好ましい。
上記P層及び上記I層は、薄膜状の上記P層と薄膜状の上記I層とを積層した積層体であってもよいし、上記P層と上記I層とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記P層の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
積層体の場合、上記P層及び上記I層のそれぞれの厚みは特に限定されないが、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が向上する。上記厚みが5000nm以下であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は1000nmであり、特に好ましい上限は500nmである。
上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が向上する。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
また、上記複合膜においては、上記P層と上記I層との比率が非常に重要である。上記P層と上記I層との比率は、1:9〜9:1(体積比)であることが好ましい。上記比率が上記範囲内であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に正孔又は電子が電極まで到達しやすくなり、そのため光電変換効率の向上につながる。上記比率は、2:8〜8:2(体積比)であることがより好ましい。
上記N層を形成している無機半導体は特に限定されず、例えば、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。なかでも、キャリア密度が比較的高く、電子の移動度が高いことから、酸化チタンが好ましい。
上記N層は、薄膜状のN層のみからなっていてもよいが、多孔質状のN層を含むことが好ましい。特に、上記P層及び上記I層が複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に光電変換効率が向上することから、多孔質状のN層上に後述するX層が形成されていることが好ましい。
上記N層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に充分に正孔をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が向上する。上記N層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明のPIN型ダイオードは、上記I層と上記N層との間に、更に、下記式(1)〜(3)を満たすバッファー層であるX層を有する。
L(N)+0.1eV<L(X)<L(I)+0.3eV (1)
N(N)>N(X)>N(I) (2)
Eg(X)>Eg(I)かつEg(N)>Eg(I) (3)
(式(1)〜(3)中、L(I)、L(X)及びL(N)は、それぞれI層、X層及びN層のLUMO準位を表し、N(I)、N(X)及びN(N)は、それぞれI層、X層及びN層のキャリア密度を表し、Eg(I)、Eg(X)及びEg(N)は、それぞれI層、X層及びN層のバンドギャップを表す。)
上記X層が上記式(1)を満たすことにより、本発明のPIN型ダイオードは、再結合が発生しにくく、内部抵抗が小さくなる。
L(X)がL(N)+0.1eV以下であると、上記X層のLUMO準位において再結合が発生する。L(X)がL(I)+0.3eV以上であると、再結合は低減されるが界面での抵抗が高くなり、内部抵抗が大きくなる。
上記X層が上記式(2)を満たすことにより、本発明のPIN型ダイオードは、理想的なバンド構造を形成することができるため、再結合が発生しにくく、内部抵抗が小さくなる。
N(X)がN(N)以上であると、充分に再結合電流が低減されなくなる。N(X)がN(I)以下であると、内部抵抗が大きくなってしまう。
上記X層が上記式(3)を満たすことにより、本発明のPIN型ダイオードは、再結合電流が小さくなる。
従って、上記X層を有することにより、本発明のPIN型ダイオードは、再結合電流及び内部抵抗が小さくなる。整流作用は再結合電流と内部抵抗とに依存しているため、再結合電流と内部抵抗とが小さい場合、整流作用も優れたものとなる。
なお、各層のバンドギャップ、LUMO準位、キャリア密度は、例えば、吸収スペクトル、光電子分光法、C−V測定等により求めることができる。
具体的には、LUMO準位は、例えば、イオン化ポテンシャル測定装置によりHOMO準位を測定し、紫外可視光吸収スペクトルより算出したバンドギャップをHOMO準位の値から差し引いて求めることができる。キャリア密度は、例えば、C−V測定により得られたC−Vグラフをもとにモット−ショットキープロットに変換することにより求めることができる。
上記式(1)〜(3)を満たすX層を作製する方法として、上記I層及び上記N層を上述したような無機半導体で形成(特に好ましくは、上記I層を上記周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物、上記N層を酸化チタンで形成)したうえで、上記X層を金属酸化物、金属硫化物等で形成する方法が好ましい。
上記金属酸化物としては、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム、カドミウム、ストロンチウム等の金属元素を含む酸化物が挙げられる。上記金属酸化物は、これらの金属元素とは異なる他の金属元素をドープしたものであってもよい。
また、上記金属酸化物は、更に金属硫化物を含む金属酸化硫化物であってもよい。上記金属酸化硫化物として、例えば、硫化亜鉛を部分酸化することより得られるZn(O,S)等が挙げられる。
上記金属酸化物のなかでも、キャリア密度を制御しやすく、再結合電流を小さくすることができることから、立方晶ペロブスカイト構造を有する金属酸化物(立方晶ペロブスカイト酸化物)が好ましい。
上記立方晶ペロブスカイト酸化物は、構造式(A,B)(C,D)Oによって表される。上記立方晶ペロブスカイト酸化物としては、0℃から100℃の温度範囲にわたって空気中において実質上安定であり、立方晶ペロブスカイト構造であれば特に限定されず、2種以上の元素を同一のサイトに含有する複合ペロブスカイト酸化物であってもよい。
A及びBはペロブスカイト構造のAサイト元素であり、各々1種又は複数種の(一般的に酸素と同程度の大きさを有する)陽イオンであり、C及びDはペロブスカイト構造のBサイト元素であり、各々1種又は複数種の遷移金属である。Oは酸素元素を表す。A及びB、並びに、C及びDは互いに異なる組成である。
Aサイト元素の総モル数が1.0であり、かつ、Bサイト元素の総モル数が1.0である場合が標準であるが、Aサイト元素の総モル数及びBサイト元素の総モル数はペロブスカイト構造をとりうる範囲内で1.0からずれてもよい。また、酸素のモル数は3.0である場合が標準であるが、酸素のモル数はペロブスカイト構造をとりうる範囲内で3.0からずれてもよい。
例えば、Aがランタノイド元素であり、Bがアルカリ土類金属元素であり、C及びDはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びZn並びにこれらの混合物よりなる群から選択される物質である場合、立方晶ペロブスカイト酸化物の具体的な化合物としては(La,Sr)TiO、(La,Ba)TiO、(La,Ba)CoO等が挙げられるが、元素の組み合わせ及び混合比率は0℃から100℃で立方晶ペロブスカイト構造をとれば特に限定されない。
また、A及びBがアルカリ土類金属元素であり、C及びDはTi、Zr及びMn並びにこれらの混合物よりなる群から選択される物質である場合、立方晶ペロブスカイト酸化物の具体的な化合物としてはSrTiO、(Sr,Ba)TiO、(Sr,Ca)TiO、Sr(Ti,Zr)O、BaMnO、BaZrO等が挙げられるが、元素の組み合わせ及び混合比率は0℃から100℃で立方晶ペロブスカイト構造をとれば特に限定されない。
また、A及びBがアルカリ金属元素であり、C及びDはNb及びTa並びにこれらの混合物よりなる群から選択される物質である場合、立方晶ペロブスカイト酸化物の具体的な化合物としてはKTaO、NaTaO、(K,Na)TaO、NaNbO等が挙げられるが、元素の組み合わせ及び混合比率は0℃から100℃で立方晶ペロブスカイト構造をとれば特に限定されない。
上記立方晶ペロブスカイト酸化物は、立方晶ペロブスカイト構造をとれば、他の元素をドープしたものであってもよい。また、上述した立方晶ペロブスカイト酸化物以外であっても、立方晶ペロブスカイト構造をとれば特に限定されない。また、立方晶以外のペロブスカイト酸化物に適切な元素を添加することで立方晶ペロブスカイト構造となるものであってもよい。
上記立方晶ペロブスカイト酸化物の格子定数及び結晶構造は、X線回折(XRD)測定により得たプロファイルをリートベルト解析によりフィッティングすることで求めることができる。
上記立方晶ペロブスカイト酸化物としては、再結合電流をより小さくすることができる観点からは、ストロンチウムを含む酸化物が好ましく、SrTiO、(Sr,Ca)TiO、(Sr,La)TiOがより好ましい。内部抵抗を小さくすることができる観点からは、上記立方晶ペロブスカイト酸化物は(Sr,La)TiOが好ましい。
上記金属硫化物としては、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム、カドミウム、ストロンチウム等の金属元素を含む硫化物が挙げられる。
また、上記金属硫化物は、金属酸化物に更に金属硫化物を含む金属酸化硫化物であってもよい。部分的に硫化されることによりバンドギャップ又はLUMO準位を好適な値に調整することができる。上記金属酸化硫化物として、例えば、Zn(O,S)等が挙げられる。
上記X層は、上記I層と同様に、PIN型ダイオードを光センサ等の光デバイスに用いた場合に電子の移動度が高くなるため、結晶性半導体であることが好ましい。また、上記X層の結晶化度は、上記I層と同様に、好ましい下限が30%、より好ましい下限が50%、更に好ましい下限が70%である。上記X層の結晶化度を高める方法としても、上記I層の場合と同様の方法を用いることができる。
上記X層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が200nmである。上記厚みが1nm以上であれば、安定的に均一な膜を製膜することができる。上記厚みが200nm以下であれば、キャリアをエネルギー損失なく受け渡しすることができる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は100nmである。
上記X層の移動度は、好ましい下限が0.00001である。上記移動度が0.00001以上であれば、キャリアをエネルギー損失なく受け渡しすることができる。上記移動度のより好ましい下限は0.001である。
なお、移動度は、例えば、ホール測定等により測定することができる。
図1に、バッファー層であるX層を有する本発明のPIN型ダイオード1の概略図を示す。図1に示す本発明のPIN型ダイオード1は、P層、I層及びN層を有し、I層とN層との間に、更に、バッファー層であるX層を有する。なお、図2に、従来のPIN型ダイオード2の概略図を示す。
本発明のPIN型ダイオードを作製する方法は特に限定されないが、塗布法等の簡易な方法で作製でき、例えば、上記P層、上記I層、上記X層、上記N層をこの順で形成する方法、上記N層、上記X層、上記I層、上記P層をこの順で形成する方法等が挙げられる。上記塗布法は特に限定されず、例えば、スピンコート法、ロールtoロール法等の印刷法が挙げられる。
上記P層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記有機半導体を含有する塗布液を用いたスピンコート法等の印刷法が挙げられる。
上記I層を形成する方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタ法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法等であってもよいが、I層形成用塗布液を用いたスピンコート法等の印刷法が好ましい。また、上記P層及び上記I層が複合膜である場合には、上記有機半導体と上記I層形成用塗布液とを混合した混合液を用いてスピンコート法等の印刷法により複合膜を形成することが好ましい。
上記I層形成用塗布液は、周期表15族元素を含む化合物と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物とを含有することが好ましい。
上記周期表15族元素を含む化合物と、上記硫黄含有化合物及び/又は上記セレン含有化合物とは、形成されるI層において、上述したような周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物を形成するものである。上記周期表15族元素を含む化合物として、周期表15族の金属元素を含む金属含有化合物が好ましく、例えば、周期表15族の金属元素の金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。
上記周期表15族の金属元素の金属塩として、例えば、周期表15族の金属元素の塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、過酸化物等が挙げられる。また、上記周期表15族の金属元素の金属塩には、その水和物も含まれる。
上記周期表15族の金属元素の有機金属化合物として、例えば、周期表15族の金属元素のカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の塩化合物が挙げられ、より具体的には、周期表15族の金属元素の酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の塩化合物等が挙げられる。
上記周期表15族元素を含む化合物として、具体的には例えば、塩化アンチモン、酢酸アンチモン、臭化アンチモン、フッ化アンチモン、オキシ酸化アンチモン、トリエトキシアンチモン、トリプロポキシアンチモン、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、硝酸水酸化ビスマス、トリス(2−メトキシフェニル)ビスマス、炭酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、リン酸ビスマス、臭化ビスマス、トリエトキシビスマス、トリイソプロポキシアンチモン、ヨウ化砒素、トリエトキシ砒素等が挙げられる。これらの周期表15族元素を含む化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記I層形成用塗布液における上記周期表15族元素を含む化合物の含有量は、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が30重量%である。上記含有量が5重量%以上であれば、良質なI層を容易に形成することができる。上記含有量が30重量%以下であれば、安定なI層形成用塗布液を容易に得ることができる。
上記硫黄含有化合物として、例えば、チオ尿素、チオ尿素の誘導体、チオアセトアミド、チオアセトアミドの誘導体、ジチオカルバミン酸塩(Dithiocarbamate)、キサントゲン酸塩(Xanthate)、ジチオリン酸塩(Dithiophosphate)、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、ジチオビウレット等が挙げられる。
上記チオ尿素の誘導体として、例えば、1−アセチル−2−チオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3−ジエチルー2−チオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N−メチルチオ尿素、1−フェニルー2−チオ尿素等が挙げられる。上記ジチオカルバミン酸塩として、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジエチルジチオカルバミン酸カリウム等が挙げられる。上記キサントゲン酸塩として、例えば、エチルキサントゲン酸ナトリウム(sodium ethyl xanthate)、エチルキサントゲン酸カリウム、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸カリウム等が挙げられる。上記チオ硫酸塩として、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙げられる。上記チオシアン酸塩として、例えば、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの硫黄含有化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記セレン含有化合物として、例えば、セレノ尿素、セレノ尿素の誘導体、セレノアセトアミド、セレノアセトアミドの誘導体、ジセレノカルバミン酸塩、セレノ硫酸塩、セレノシアン酸塩、セレン化水素、塩化セレン、臭化セレン、ヨウ化セレン、セレノフェノール、亜セレン酸等が挙げられる。これらのセレン含有化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記セレノ尿素の誘導体として、例えば、1−アセチル−2−セレノ尿素、エチレンセレノ尿素、1,3−ジエチル−2−セレノ尿素、1,3−ジメチルセレノ尿素、テトラメチルセレノ尿素、N−メチルセレノ尿素、1−フェニル−2−セレノ尿素等が挙げられる。上記ジセレノカルバミン酸塩として、例えば、ジメチルジセレノカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジセレノカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジセレノカルバミン酸カリウム、ジエチルジセレノカルバミン酸カリウム等が挙げられる。上記セレノ硫酸塩として、例えば、セレノ硫酸ナトリウム、セレノ硫酸カリウム、セレノ硫酸アンモニウム等が挙げられる。上記セレノシアン酸塩として、例えば、セレノシアン酸カリウム、セレノシアン酸アンモニウム等が挙げられる。
上記I層形成用塗布液における上記硫黄含有化合物及び/又は上記セレン含有化合物の含有量は、上記周期表15族元素を含む化合物のモル数に対して、1〜30倍が好ましく、2〜20倍がより好ましい。上記含有量が1倍以上であれば、量論比の周期表15族元素の硫化物及び/又はセレン化物が得られやすくなる。上記含有量が30倍以下であれば、I層形成用塗布液の安定性がより向上する。
上記周期表15族元素を含む化合物と、上記硫黄含有化合物及び/又は上記セレン含有化合物とは、錯体を形成していることが好ましく、該錯体は、上記周期表15族元素と、上記硫黄含有化合物及び/又は上記セレン含有化合物との間に形成されることがより好ましい。上記硫黄含有化合物又は上記セレン含有化合物中の硫黄元素又はセレン元素は、化学結合に関与していない孤立電子対を有するため、上記周期表15族元素の空の電子軌道(d軌道又はf軌道)との間に配位結合を形成しやすい。このような錯体が形成されることで、上記I層形成用塗布液の安定性が向上し、その結果、均一な良質のI層が形成されるだけではなく、その電気的な特性及び半導体特性も向上する。
なお、周期表15族元素と、硫黄含有化合物及び/又はセレン含有化合物との間に形成された錯体は、赤外吸収スペクトルにて、周期表15族元素−硫黄間又は周期表15族元素−セレン間の結合に由来する吸収ピークを測定することで確認することができる。
上記周期表15族元素と、上記硫黄含有化合物との間に形成された錯体として、例えば、ビスマス−チオ尿素錯体、ビスマス−チオ硫酸錯体、ビスマス−チオシアン酸錯体、アンチモン−チオ尿素錯体、アンチモン−チオ硫酸錯体、アンチモン−チオシアン酸錯体、アンチモン−ジチオカルバミン酸錯体、アンチモン−キサントゲン酸錯体等が挙げられる。
上記周期表15族元素と、上記セレン含有化合物との間に形成された錯体として、例えば、ビスマス−セレノ尿素錯体、アンチモン−セレノ尿素錯体、アンチモン−セレノアセトアミド錯体、アンチモン−ジメチルセレノ尿素錯体等が挙げられる。
上記I層形成用塗布液は、更に、有機溶媒を含有することが好ましい。
上記有機溶媒を適宜選択することで、上述したような錯体を形成させやすくすることができる。上記有機溶媒は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、n−プロパノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ピリジン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、メタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、電気的な特性及び半導体特性のより優れたI層が形成されることから、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
また、上記I層形成用塗布液は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、水等の非有機溶媒成分を更に含有してもよい。
上記X層を形成する方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、X層形成用塗布液を用いたスピンコート法等の印刷法、ディップコーティング法、化学析出法、電解法、その他の真空プロセス(例えば、スパッタリング、CVD等)等が挙げられる。
上記X層形成用塗布液は、上述したようなペロブスカイト構造のAサイト元素(A及びB)を含む単体又は化合物と、上述したようなペロブスカイト構造のBサイト元素(C及びD)を含む単体又は化合物とを含有することが好ましい。
上記Aサイト元素を含む単体又は化合物と、上記Bサイト元素を含む単体又は化合物とは、形成されるX層において、上述したような立方晶ペロブスカイト酸化物を形成するものである。
上記Aサイト元素を含む単体又は化合物として、例えば、上記Aサイト元素の塩化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩(例えば、酢酸ストロンチウム等)等が挙げられる。溶解性が高い点では塩化物、硝酸塩が好ましく、不純物元素が混入しない点では炭酸塩、酢酸塩が好ましい。上記Bサイト元素を含む単体又は化合物として、例えば、上記Bサイト元素の金属粉末(例えば、チタン粉末等)等が挙げられる。
上記Aサイト元素を含む単体又は化合物と、上記Bサイト元素を含む単体又は化合物とは、上記X層形成用塗布液中の含有量がそれぞれ0.1〜50重量%であることが好ましい。
また、上記X層形成用塗布液は、アルカリ土類金属元素を含む単体又は化合物と、チタンを含む単体又は化合物とを含有することも好ましい。
上記アルカリ土類金属元素を含む単体又は化合物と、上記チタンを含む単体又は化合物とは、形成されるX層において、上述したような金属酸化物を形成するものである。
上記アルカリ土類金属元素を含む単体又は化合物として、例えば、上記アルカリ土類金属元素の塩化物、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩(例えば、酢酸ストロンチウム、酢酸カルシウム等)等が挙げられる。溶解性が高い点では塩化物、硝酸塩が好ましく、不純物元素が混入しない点では炭酸塩、酢酸塩が好ましい。上記チタンを含む単体又は化合物として、例えば、チタン粉末等が挙げられる。
上記アルカリ土類金属元素を含む単体又は化合物と、上記チタンを含む単体又は化合物とは、上記X層形成用塗布液中の含有量がそれぞれ0.1〜50重量%であることが好ましい。
上記X層形成用塗布液は、上記I層形成用塗布液と同様に、更に、有機溶媒を含有することが好ましく、また、本発明の効果を阻害しない範囲内において、水等の非有機溶媒成分を更に含有してもよい。
上記N層を形成する方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、N層形成用塗布液を用いたスピンコート法等の印刷法、ディップコーティング法、化学析出法、電解法、その他の真空プロセス(例えば、スパッタリング、CVD等)等が挙げられる。
上記N層形成用塗布液は、チタンを含む単体又は化合物を含有することが好ましい。上記チタンを含む単体又は化合物として、例えば、チタン粉末等が挙げられる。
上記N層形成用塗布液は、上記I層形成用塗布液及び上記X層形成用塗布液と同様に、更に、有機溶媒を含有することが好ましく、また、本発明の効果を阻害しない範囲内において、水等の非有機溶媒成分を更に含有してもよい。
本発明によれば、塗布法等の簡易な方法で作製でき、再結合電流及び内部抵抗が小さく、整流作用に優れたPIN型ダイオードを提供することができる。
バッファー層であるX層を有する本発明のPIN型ダイオードの概略図を示す。 従来のPIN型ダイオードの概略図を示す。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)P層形成用有機半導体
P層形成用有機半導体として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)を用いた。
(2)I層形成用塗布液の作製
N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、塩化アンチモン(III)20重量部を添加した後、攪拌することによって溶解した。N,N−ジメチルホルムアミド100重量部に、チオ尿素(CS(NH)20重量部を添加した後、攪拌することによって溶解した。塩化アンチモンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液50重量部に、チオ尿素のN,N−ジメチルホルムアミド溶液40重量部を攪拌しながら徐々に添加した。その際、溶液は混合前の無色透明から黄色透明に変わった。添加終了後に更に30分間攪拌することによって、I層形成用塗布液(Sb層形成用塗布液)を作製した。
(3)X層形成用塗布液の作製
チタン粉末10mmolを精秤し、ビーカーに入れ、そこへ過酸化水素水40gを加え、更にアンモニア水10gを加えた。これを2時間水冷した後、L−乳酸50mmolと酢酸ストロンチウム0.5水和物10mmolとを添加し、80℃に設定したホットプレートで一日加温し、そこへ蒸留水50mLを添加することによって、X層形成用塗布液(SrTiO層形成用塗布液)を作製した。
(4)N層形成用塗布液の作製
チタン粉末10mmolを精秤し、ビーカーに入れ、そこへ過酸化水素水40gを加え、更にアンモニア水10gを加えた。これを2時間水冷した後、L−乳酸30mmolを添加し、80℃に設定したホットプレートで一日加温し、そこへ蒸留水10mLを添加することによって、N層形成用塗布液(TiO層形成用塗布液)を作製した。
(5)PIN型ダイオードの作製
FTOガラス基板上に、N層形成用塗布液(TiO層形成用塗布液)を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、大気中550℃で10分間焼成し、N層(TiO層)を形成した。
得られたN層(TiO層)上に、X層形成用塗布液(SrTiO層形成用塗布液)を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、大気中600℃で30分間焼成し、20nmの厚みのX層(SrTiO層)を形成した。
得られたX層(SrTiO層)上に、I層形成用塗布液(Sb層形成用塗布液)を回転数1500rpmの条件でスピンコート法により塗布した。塗布後、サンプルを真空炉に入れ、真空に引きながら260℃で10分間焼成し、I層(Sb層)を形成した。真空炉から取出したI層(Sb層)は黒色であった。
真空炉から取出した後、得られたI層(Sb層)上に、スピンコート法によりP層を100nmの厚みに成膜した。
次いで、P層上に厚み80nmの金電極を真空蒸着法により成膜することによってPIN型ダイオードを作製した。
(6)バンドギャップ、LUMO準位、キャリア密度
イオン化ポテンシャル測定装置により各層のHOMO準位を測定し、紫外可視光吸収スペクトルより算出したバンドギャップをHOMO準位の値から差し引くことにより各層のLUMO準位を求めた。また、キャリア密度を、C−V測定により得られたC−Vグラフをもとにモット−ショットキープロットに変換することにより算出した。
そしてこれらバンドギャップ、LUMO準位、キャリア密度の値に対して、X層が上記式(1)〜(3)を満たすか否かを判定した。なお、X層の物性値が上限以上となり上記式(1)〜(2)を満たさない場合は×↑とし、X層の物性値が下限以下となり上記式(1)〜(3)を満たさない場合は×↓として、判定結果を表1に示した。
(実施例2)
X層形成用塗布液の作製において、酢酸ストロンチウム0.5水和物10mmolの代わりに酢酸ストロンチウム0.5水和物9mmolと酢酸カルシウム1mmolとを用いたこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(実施例3)
X層形成用塗布液の作製において、酢酸ストロンチウム0.5水和物10mmolの代わりに酢酸ストロンチウム0.5水和物9mmolと酸化ランタン1mmolとを用いたこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(実施例4)
X層形成用塗布液として、塩化カドミウム10mmolとチオ尿素15mmolとをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させてX層形成用塗布液を作製した。これをN層上にスピンコート法により塗布して、300℃30分間真空焼成することにより50nmの厚みのX層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(実施例5)
X層形成用塗布液として、酢酸亜鉛9mmolと酢酸マグネシウム1mmolとをエタノールに溶解させて、X層形成用塗布液を作製し、50nmの厚みのX層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(実施例6)
I層形成用塗布液として、チオ尿素(CS(NH)の代わりにセレノ尿素を使用したこと以外は実施例3と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(比較例1)
X層形成用塗布液として、ニオブエトキシド10mmolをエタノールに溶解させて、X層形成用塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(比較例2)
X層形成用塗布液として、酢酸亜鉛10mmolをメタノールに溶解させて、X層形成用塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(比較例3)
X層形成用塗布液として、塩化スズ10mmolとチオ尿素15mmolとをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させてX層形成用塗布液を作製した。これをN層上にスピンコート法により塗布して、300℃30分間真空焼成することにより50nmの厚みのX層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(比較例4)
X層形成用塗布液として、ジルコニウムエトキシド10mmolをエタノールに溶解させて、X層形成用塗布液を作製したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
(比較例5)
P層形成用有機半導体であるポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)の代わりにヨウ化銅を50nm蒸着したこと以外は実施例1と同様にして、PIN型ダイオードを作製した。
<評価>
実施例、比較例で得られたPIN型ダイオードについて、以下の評価を行った。結果を表2に示した。
(1)再結合電流
PIN型ダイオードの電流−電圧特性を測定し、得られた結果を用いて電圧に対する電流の対数プロットからPIN型ダイオードの拡散電流領域を求め、その領域での近似直線をV=0まで外挿し、再結合電流を求めた。
それぞれのPIN型ダイオードについてX層がないものを別途作製し、X層がある場合の再結合電流が、X層がない場合の10分の1以下に低減できている場合を○、10分の1より大きい場合を×とした。
(2)内部抵抗
PIN型ダイオードの電流−電圧曲線において、電流値が0のときの接線の傾きより内部抵抗を算出した。
それぞれのPIN型ダイオードについてX層がないものを別途作製し、X層がある場合の内部抵抗が、X層がない場合の2倍未満である場合を◎、5倍未満2倍以上である場合を○、5倍以上の場合を×とした。
(3)整流作用比
PIN型ダイオードの暗時の電流−電圧曲線を測定し、その電圧が−2V(逆バイアス)のときの電流値を2V(順バイアス)のときの電流値で割った値を整流作用比とした。
それぞれのPIN型ダイオードについてX層がないものを別途作製し、X層がある場合の整流作用比が、X層がない場合の値よりも小さい場合を○、X層がある場合の値以上の場合を×とした。
Figure 0005705364
Figure 0005705364
本発明によれば、塗布法等の簡易な方法で作製でき、再結合電流及び内部抵抗が小さく、整流作用に優れたPIN型ダイオードを提供することができる。
1 本発明のPIN型ダイオード
2 従来のPIN型ダイオード

Claims (3)

  1. P層、I層及びN層を有するPIN型ダイオードであって、
    前記P層が有機半導体、前記I層及び前記N層が無機半導体で形成されており、
    前記I層と前記N層との間に、更に、下記式(1)〜(3)を満たすバッファー層であるX層を有する
    ことを特徴とするPIN型ダイオード。
    L(N)+0.1eV<L(X)<L(I)+0.3eV (1)
    N(N)>N(X)>N(I) (2)
    Eg(X)>Eg(I)かつEg(N)>Eg(I) (3)
    (式(1)〜(3)中、L(I)、L(X)及びL(N)は、それぞれI層、X層及びN層のLUMO準位を表し、N(I)、N(X)及びN(N)は、それぞれI層、X層及びN層のキャリア密度を表し、Eg(I)、Eg(X)及びEg(N)は、それぞれI層、X層及びN層のバンドギャップを表す。)
  2. X層の厚みが、1〜200nmであることを特徴とする請求項1記載のPIN型ダイオード。
  3. I層を形成している無機半導体は、周期表15族元素の硫化物又はセレン化物であることを特徴とする請求項1又は2記載のPIN型ダイオード。
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