以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
実施の形態に係る画像表示装置として、車両のダッシュボード内に設置して使用されるヘッドアップディスプレイ10を例に挙げて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ10の設置態様を模式的に示す図である。ヘッドアップディスプレイ10は、光学ユニット100と制御装置50とを含む。図1は、車両の進行方向(図1における左方向)を基準として左側のダッシュボード内に光学ユニット100を配置して使用する場合を示す図であり、以下の実施の形態は、左ハンドル車における運転者向けにヘッドアップディスプレイ10が配置されている例を示している。なお、右ハンドル車用とするためには、車両の進行方向を基準として光学ユニット100の内部構成を左右反転させればよい。以下図1を参照して、ヘッドアップディスプレイ10の概要を説明する。
制御装置50は図示しないCPU(Central Processing Unit)を備え、光学ユニット100に表示させるための画像信号を生成する。制御装置50はまた、図示しない外部入力インタフェースを備えており、ナビゲーション装置やメディア再生装置などの外部装置から出力された画像信号が入力され、その入力された信号に対して所定の処理を行った後、光学ユニット100に出力することもできる。
光学ユニット100は、制御装置50が生成した画像信号をもとに、ウィンドシールド610に虚像450として表示させる画像表示光を生成する。このため光学ユニット100は、筐体110の内部に画像投射部210、中間鏡350、中間像形成部360、および投射鏡400を備える。
画像投射部210には、光源、画像表示素子、及び各種光学レンズなどが収納される。画像投射部210は制御装置50が出力した画像信号をもとに画像表示光を生成して投射する。なお、本実施の形態では画像表示素子として反射型液晶表示パネルであるLCOS(Liquid crystal on silicon)を用いる場合を例示するが、画像表示素子としてDMD(Digital Micromirror Device)を用いてもよい。その場合、適用する表示素子に応じた光学系及び駆動回路で構成するものとする。
画像投射部210が投射した画像表示光は中間鏡350で反射される。中間鏡350で反射された画像表示光は、中間像形成部360に結像される。中間像形成部360で結像した実像に係る画像表示光は、中間像形成部360を透過し、投射鏡400に投射される。
投射鏡400は凹面鏡であり、中間像形成部360を透過した画像表示光は投射鏡400によって拡大されてウィンドシールド610に投射される。ウィンドシールド610に投射された画像表示光は、ウィンドシールド610によってユーザに向かう光路へ変更される。運転者であるユーザEは、ウィンドシールド610で反射さた画像表示光を虚像450として、ウィンドシールド610よりも視線方向の前方に認識する。
図2は、本発明の実施の形態に係る光学ユニット100の内部構成を示す図である。以下、図2を参照して、光学ユニット100の内部構成を説明する。
上述したように、光学ユニット100は、筐体110の内側に画像投射部210、中間鏡350、中間像形成部360、および投射鏡400を備える。詳細は後述するが、画像投射部210は、赤色、緑色、または青色の光をそれぞれ発生する3種類の異なる光源を備える。光源はLED(Light Emitting Diode)や半導体レーザー光源を用いて実現できるが、本実施の形態では、光源としてLEDを用いる場合について説明する。
光源は使用時に熱を発生する。このため、光学ユニット100は、光源を冷却するためのヒートシンクを備える。光源は3種類あるため、それらの光源を冷やすために、光学ユニット100の筐体110の外側に、赤色の光源と接続するヒートシンク120a、緑色の光源と接続するヒートシンク120b(図示せず)、および青色の光源と接続するヒートシンク120cを備える。
筐体110はアルミ製のダイキャストである。ここで、青色の光源および緑色の光源をそれぞれ冷却するためのヒートシンク120bおよびヒートシンク120cはともに、筐体110と一体に構成されている。これに対し、赤色の光源を冷やすためのヒートシンク120aは、ヒートシンク120bおよびヒートシンク120cから空間的に離れた場所に設置されるとともに、筐体110とは分離して外付けされている。このため、赤色の光源が発生する熱は、ヒートパイプ25を介してヒートシンク120aまで運ばれる。
次に、図3および図4を参照してヘッドアップディスプレイ10の光学系について説明する。図3は、画像投射部210の内部構成を画像表示光の光路とともに模式的に示す図である。図4は、中間鏡350、中間像形成部360および投射鏡400を介してウィンドシールド610に投射される画像表示光の光路を示す図である。
まず、図3を参照して画像投射部210の内部構成を説明する。画像投射部210は、照明部230a、230b、230c(以下総称して照明部230ともいう)、ダイクロイッククロスプリズム244、反射鏡236、フィールドレンズ237、偏光ビームスプリッタ238、位相差板239、検光子241、及び投射レンズ群242を備える。なお、図3では第1照明部230a、第3照明部230cの内部構成の記載を省略し、第2照明部230bの内部構成のみを示すが、それぞれの照明部230は、同様の構成を有する。
照明部230は、光源231、コリメートレンズ232、UV−IR(UltraViolet-Infrared Ray)カットフィルタ233、偏光子234、フライアイレンズ235を備える。光源231は赤色、緑色、青色のいずれかの色の光を発する発光ダイオードからなる。第1照明部230aは、光源として赤色の光を発する発光ダイオードを有する。第2照明部230bは、光源231として緑色の光を発する発光ダイオードを有する。第3照明部230cは、光源として青色の光を発する発光ダイオードを有する。
光源231は、光源取付部243に取り付けられる。光源取付部243は、図示しないヒートシンクと熱的に結合され、光源231の発光に伴い発生する熱を放熱する。光源231が発光した光は、コリメートレンズ232によって平行光に変えられる。UV−IRカットフィルタ233は、コリメートレンズ232を通過した平行光から紫外光及び赤外光を吸収し除去する。偏光子234は、UV−IRカットフィルタ233を通過した光を乱れのないP偏光へと変える。そしてフライアイレンズ235が、偏光子234を通過した光の明るさを均一に整える。
それぞれの照明部230のフライアイレンズ235を透過した光は、ダイクロイッククロスプリズム244に異なる向きから入射される。ダイクロイッククロスプリズム244に入射した赤色、緑色、青色の光は、三色が合成された白色光となって反射鏡236へ向かう。反射鏡236は、ダイクロイッククロスプリズム244により合成された白色光の光路を90度変更する。反射鏡236で反射された光は、フィールドレンズ237によって集光される。フィールドレンズ237が集光した光は、P偏光を透過する偏光ビームスプリッタ238及び位相差板239を介して、画像表示素子240に照射される。
画像表示素子240は、画素毎に赤色、緑色、及び青色のカラーフィルタを備えている。画像表示素子240に照射された光は、各画素に対応する色となり、画像表示素子240の備える液晶組成物によって変調が施され、S偏光の画像表示光となって偏光ビームスプリッタ238に向けて出射される。出射されたS偏光の光は偏光ビームスプリッタ238で反射され、光路を変えて検光子241を通過した後に投射レンズ群242へ入射される。投射レンズ群242を透過した画像表示光は、画像投射部210を出て中間鏡350に入射する。
次に、図4を参照して中間鏡350から中間像形成部360および投射鏡400を介してウィンドシールド610に投射される画像表示光の光路について説明する。画像投射部210の投射レンズ群242から出射された画像表示光の光路は、中間鏡350によって投射鏡400に向かう光路へ変更される。その途中で、中間鏡350で反射された画像表示光に基づく実像が中間像形成部360で結像する。
中間像形成部360は、拡散スクリーン362と、凹レンズ364を有する。拡散スクリーン362は、中間像形成部360を透過する画像表示光に基づく実像を結像させるとともに、投射鏡400へと向かう画像表示光の配光角ψを制御する。凹レンズ364は、投射鏡400へと向かう画像表示光の主光線の方向を制御し、中間像形成部360を透過する前後の画像表示光がなす角度θを調整する。
中間像形成部360を透過した画像表示光は、投射鏡400により反射されウィンドシールド610に投射される。ウィンドシールド610に投射された画像表示光は、ウィンドシールド610によってユーザに向かう光路へ変更される。これにより、ユーザは上述したように、ウィンドシールド610を介して画像表示光に基づく虚像を前方に視認することができる。したがって、ウィンドシールド610は、虚像提示面としての機能を有することとなる。
以上の構成とすることで、ユーザは、制御装置50から出力された画像信号に基づく虚像を、ウィンドシールド610を介して現実の風景に重畳して視認することができる。
つづいて、図5および図6を参照しながら、本実施の形態に係る中間像形成部360の機能について詳述する。図5は、異なる高さの視点E1、E2に対して虚像450を提示する場合の画像表示光の光路を示す図である。図6は、中間像形成部360により配光される画像表示光を示す図であり、図5の中間像形成部360と投射鏡400の間の光路を拡大して示したものである。
図5に示すように、運転者であるユーザの視点E1、E2は、運転者の身長や、着座位置により上下方向に変わる。ユーザの視点が変わるような場合においても、虚像450の上端部451から下端部452までの全体を視認できることが好ましい。また、車両前方を見る視線方向C1、C2の真正面に虚像450を提示するのではなく、上下方向に少しずらした位置に虚像450を提示すると、必要なときに視線方向を少しずらして虚像450を参照することができるのでユーザにとって使いやすい。
そこで、本実施の形態では、中間像形成部360として拡散スクリーン362と凹レンズ364を組み合わせることにより、中間像形成部360を透過した画像表示光の主光線の向きと配光角を制御し、虚像450の視認性を高める。特に、凹レンズ364を上下方向に偏心して設けることにより、虚像450の提示位置を上下方向にずらして、見やすい位置に虚像450を提示することができる。なお、本実施の形態では、虚像450を視線方向C1、C2に対して下方に提示する場合の構成を示すが、凹レンズ364の偏心の態様を変えることにより、虚像450を異なる位置に提示することとしてもよい。
まず、図5を参照して視点E1、E2の違いによる画像表示光の経路の相違について詳述する。第1視点E1は、虚像450の全体を視認することのできる上限位置であり、第2視点E2は虚像450の全体を視認できる下限位置である。よって、第1視点E1から第2視点E2の間の範囲であれば、ユーザは虚像450の全体を視認することができる。
図5において、実線で示す光A1、A2は、虚像450の上端部451をユーザに提示するための光線を示しており、中間像形成部360に結像される実像370の上端部371から出射される光が投射鏡400およびウィンドシールド610に反射してユーザの視点E1、E2に到達する。第1視点E1に向かう光A1は、投射鏡400の第1反射位置401で反射され、第2視点E2に向かうA2は、投射鏡400の第2反射位置402で反射される。なお、本実施の形態で示す光学系においては、投射鏡400とウィンドシールド610とで画像表示光を反射する構成としているため、中間像形成部360には上下反転した実像が結像される。
一方、破線で示す光B1、B2は、虚像450の下端部452をユーザに提示するための光線を示しており、中間像形成部360に結像される実像370の下端部372から出射される光が投射鏡400およびウィンドシールド610に反射して視点E1、E2に達する。第1視点E1に向かう光B1は、投射鏡400の第3反射位置403で反射され、第2視点E2に向かう光B2は、投射鏡400の第4反射位置404で反射される。
つづいて図6を参照して、中間像形成部360により上下方向に配光される画像表示光について詳述する。図6は、図5の中間像形成部360と投射鏡400の間の光路を拡大して示したものである。実像370の上端部371として結像する光Aは、拡散スクリーン362に直交する方向(z方向)を基準に、凹レンズ364に入射して角度θ1だけ上方向(y方向)に方向を変えて透過する。その後、拡散スクリーン362に実像として結像するとともに拡散されて、配光角ψ1を有する画像表示光として投射鏡400に向かう。その結果、中間像形成部360に入射する光Aは、主光線A0を中心にして、第1反射位置401に向かう光A1と、第2反射位置402に向かう光A2の間で配光する画像表示光となる。
同様に、実像370の下端部372として結像する光Bは、凹レンズ364に入射して角度θ2だけ上方向(y方向)に方向を変えて透過する。その後、拡散スクリーン362に実像として結像するとともに拡散されて、配光角ψ2を有する画像表示光として投射鏡400に向かう。その結果、中間像形成部360に入射する光Bは、主光線B0を中心にして、第3反射位置403に向かう光B1と、第4反射位置404に向かう光B2の間で配光する画像表示光となる。
ここで、本実施の形態の凹レンズ364は、z方向を基準として上下方向(図4における上下方向)に偏心して設けられる。より詳細には、凹レンズ364の光軸の位置は、拡散スクリーン362の中心位置よりも下方に位置される。そのため、凹レンズ364の光軸に近い上端部371から出射される主光線A0の角度θ1よりも、凹レンズ364の光軸から遠い下端部372から出射される主光線B0の角度θ2の方が大きくなる。また、本実施の形態の凹レンズ364は、凹レンズ364の光軸が凹曲面に含まれないように構成されるため、主光線A0およびB0は、いずれも上方向(y方向)に傾いて出射される。
つづいて図7を参照しながら、本実施の形態における拡散スクリーン362について詳述する。図7は、拡散スクリーン362の構成を示す図である。透過型スクリーンである拡散スクリーン362は、二枚の光拡散板363a、363bを備える。二枚の光拡散板363a、363bは、拡散ビーズ369a、369bが設けられる光拡散面367a、367bが互いに対向する向きで積層される。拡散スクリーン362は、光拡散面367a、367bを対向して配置させることにより、拡散スクリーン362へ入射する光の入射角θinと、拡散スクリーン362から出射される拡散光の主光線の出射角θoutとの差を小さくする。これにより、拡散スクリーン362は、拡散光の主光線の出射角θoutを適切に調整して、ユーザにとって視認性の高い画像を提示する。
拡散スクリーン362は、第1光拡散板363aと第2光拡散板363bを備える。第1光拡散板363aは、第1ベース部材366aと、複数の第1拡散ビーズ369aとを有する。第1ベース部材366aは、互いに対向する第1光拡散面367aと第1平坦面368aとを有する。同様に、第2光拡散板363bは、第2ベース部材366bと、複数の第2拡散ビーズ369bとを有し、第2ベース部材366bは、互いに対向する第2光拡散面367bと第2平坦面368bとを有する。
第1ベース部材366a及び第2ベース部材366b(以下、総称してベース部材366ともいう)は、透明な樹脂材料などで構成される平板である。なお、ベース部材366として柔軟性を有する透明フィルムを用いてもよい。第1拡散ビーズ369a及び第2拡散ビーズ369b(以下、総称して拡散ビーズ369ともいう)は、光学用の高透明ビーズであり、その直径は略10マイクロメートル以下である。拡散ビーズ369は、第1光拡散面367a及び第2光拡散面367b(以下、総称して光拡散面367ともいう)の上に、10〜15マイクロメートル厚で塗布される。
本実施の形態では、第1光拡散板363a及び第2光拡散板363bとして、光を拡散させる性能が同じ光拡散板363を用いる。したがって、互いに対向して設けられる第1光拡散板363aと第2光拡散板363bは、同一の配光分布で光を拡散させる。ここで、配光分布が同一であるとは、特定の強度分布を有する光を入射させた場合に、透過光の強度分布がほぼ同一となる光学特性を有することをいう。
つづいて図8及び図9を参照しながら、拡散スクリーン362を構成する光拡散板363の光学特性について説明する。図8は、光拡散板363に入射する光の入射角θinと透過する光の出射角θout1、θout2の関係を示す図である。図8(a)は、ビーズ面である光拡散面367に光を入射させる場合を示し、図8(b)は、ビーズ面ではない平坦面368に光を入射させる場合を示す。ビーズ面である光拡散面367から光を入射させる場合には、入射角θinに対してΔθ1だけ角度が大きくなった出射角θout1に主光線の角度が変化する。一方、ビーズ面ではない平坦面368から光を入射させる場合には、入射角θinに対してΔθだけ角度が小さくなった出射角θout2に主光線の角度が変化する。球面を構成する拡散ビーズ369に入射して角度が変化する場合と、拡散ビーズ369から出射して角度が変化する場合とで、角度の変化の仕方が異なるためである。
図9は、光拡散板363に入射する光の角度と光拡散板363から出射される主光線とのずれ角の関係を示すグラフである。(a)で示す直線は、ビーズ面である光拡散面367に光を入射させる場合のずれ角Δθ1を示し、図8(a)のように光を入射させる場合に対応する。一方、(b)で示す直線は、ビーズ面ではない平坦面368から光を入射させる場合のずれ角Δθ2を示し、図8(b)のように光を入射させる場合に対応する。なお、図9において、ずれ角Δθの正負は、入射角θinよりも出射角θoutが大きくなる場合を正の値とし、入射角θinよりも出射角θoutが小さくなる場合を負の値としており、θout=θin+Δθの関係を満たす。
図9に示されるように、光拡散面367に入射させる(a)の場合と平坦面368に入射させる(b)の場合のいずれにおいても、入射角θinが大きくなるにつれてずれ角Δθの値が大きくなることがわかる。また、光拡散面367に入射させる(a)の場合と、平坦面368に入射させるの(b)場合とで、ずれ角Δθの正負が異なるものの、入射角θinに対するずれ角Δθの大きさがほぼ同じとなることがわかる。
図9に示す光学的特性から、仮に拡散スクリーンとして光拡散板363を一枚だけ用いることとすると、拡散スクリーンに斜めに光が入射する場合、出射光の主光線の角度が変化することとなる。そうすると、凹レンズ364により主光線の方向を適切に制御したとしても、単独で用いた光拡散板363により主光線の方向が変化することとなり、ユーザに提示する画像表示光の視認性が低下するおそれがある。
一方、本実施の形態における拡散スクリーン362は、同一の配光分布を有する第1光拡散板363aと第2光拡散板363bを、互いの光拡散面367a、367bが対向するように組み合わせている。このため、第1光拡散板363aと第2光拡散板363bのそれぞれにおいて入射角と出射角の間にずれ角が生じたとしても、第1光拡散板363aにより生じるずれ角を、第2光拡散板363bにより生じるずれ角によって補正することができる。図7に示すように、第1光拡散板363aの第1平坦面368aに入射する光は、ずれ角Δθだけ小さな出射角となって第1光拡散面367aから出射し、そのまま第2光拡散板363bの第2光拡散面367bに入射する光は、ずれ角Δθだけ大きな出射角となって第2平坦面368bから出射されるためである。
以下、本実施の形態における中間像形成部360により奏する効果について述べる。
本実施の形態における中間像形成部360は、主光線A0、B0に対して所定の配光角ψ1、ψ2を有した画像表示光となるよう主光線の配光角を制御する拡散スクリーン362を有する。このため、視点位置が移動する場合であっても所定範囲内であれば一定の明るさの虚像を提示することができる。また、拡散スクリーン362として、配光角ψ1、ψ2が投射鏡400の第1反射位置401から第2反射位置402の範囲内、または第3反射位置403から第4反射位置404の範囲内となる特性のものを選択することにより、画像表示光を高効率に利用することができる。この反射位置の範囲よりも配光角が狭くなってしまうと、明るい虚像450を提示できる視点の範囲が狭くなってしまう一方で、この反射位置の範囲よりも配光角が広くなってしまうと、投射鏡400で反射されない画像表示光の割合が増えて、ユーザに提示される虚像450が暗くなってしまうためである。このように、配光角ψ1、ψ2を適切に制御することにより、明るい虚像450を高効率でユーザに提示することができ、虚像450の視認性を高めることができる。
また、中間像形成部360は、中間像形成部360を透過した主光線A0、B0の方向を制御する凹レンズ364を有する。中間像形成部360として凹レンズ364を設けることにより、中間像形成部360と投射鏡400の間の距離Dを短くしなければならない場合であっても、ユーザに提示する虚像450をより大きくすることができる。したがって、凹レンズ364を設けることにより、光学ユニット100の大きさを小型化しつつ、より大きな虚像450を提示することができ、虚像450の視認性を高めることができる。
また、中間像形成部360は、凹レンズ364が上下方向に偏心して設けられる。これにより、虚像450をユーザの視線方向に対して真正面ではなく、上下方向に少しずらした位置に提示することができる。虚像450の上端部451を提示するための光と、虚像450の下端部452を提示するための光との間に角度差をつけることができるためである。虚像450を上下方向にずらすことによって、ユーザにとって見やすい位置に虚像450を提示することができ、虚像450の視認性を高めることができる。また、上下方向に偏心させた凹レンズを用いることにより、光学ユニット100をより小型化することができる。
また、中間像形成部360は、拡散スクリーン362として、ビーズ面である光拡散面367a、367bを対向して積層させた二つの光拡散板363a、363bを用いる。これにより、ユーザに角度差をつけた画像表示光を提示するために拡散スクリーン362に斜めに光を入射させる場合であっても、拡散スクリーン362の透過前後における主光線の方向の変化を小さくすることができる。よって、凹レンズ364によって生じさせた角度差を維持した画像表示光をユーザに提示することができ、虚像450の視認性を高めることができる。
また、拡散スクリーン362は、二つの光拡散板363a、363bの光拡散面367a、367bが対向するようにして積層される。拡散スクリーン362の構成として、平坦面368a、368bを対向するように積層した構成も考えられるが、この場合には画像表示光が結像する第1光拡散面367aと第2光拡散面367bとの間の距離が大きくなる。その結果、第1光拡散面367aと第2光拡散面367bのそれぞれに画像表示光が結像して拡散スクリーン362に二重の像が生じることとなり、ユーザの視認性が低下してしまう。本実施の形態では、第1光拡散面367aと第2光拡散面367bを近接して配置させることで、二重像の発生を防ぎ、虚像450の視認性を高めることができる。
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
上述の実施の形態においては、中間像形成部360として凹レンズ364を拡散スクリーン362の手前に配置する場合、つまり、凹レンズ364を透過した画像表示光が拡散スクリーン362に入射する構成となる場合を示した。さらなる変形例として、拡散スクリーン362と凹レンズ364を逆に配置することとしてもよい。この場合、中間鏡350から投射鏡400の間は、中間鏡350、拡散スクリーン362、凹レンズ364、投射鏡400の順に光学素子が配列されることとなる。中間像形成部360の向きを逆にしたとしても、拡散スクリーン362により画像表示光の配光角を制御するとともに、凹レンズ364により主光線の向きを制御して、視認性の高い虚像450を提示することができる。
上述の実施の形態においては、中間像形成部360として凹レンズ364を用いることにより画像表示光の主光線の方向を制御することとした。変形例においては、凹レンズ364を設けず、中間像形成部360が拡散スクリーン362のみを備える構成としてもよい。この変形例においては、画像投射部210が備える投射レンズ群242により、画像表示光の主光線の方向が調整される。この場合においても、拡散スクリーン362の透過前後における主光線の方向の変化を抑えることができるため、投射レンズ群242により決まる主光線の方向の維持した画像表示光を提示することができる。これにより、視認性の高い虚像450を提示することができる。
上述の実施の形態においては、拡散スクリーン362を構成する光拡散板363として、複数の拡散ビーズ369を設けたビーズ面を有するものを用いたが、変形例においては拡散ビーズを用いない光拡散板を用いることとしてもよい。例えば、光拡散面にマイクロレンズアレイを形成した光拡散板を用いるとともに、二枚の光拡散板のマイクロレンズアレイを対向して積層させる。この場合においても、光拡散面を対向して設けることにより透過前後の主光線の方向の変化を低減させるとともに、二重像の発生を防ぐことができるため、虚像450の視認性を高めることができる。また、さらなる変形例として、光拡散面に粗面加工を施すことにより光拡散性を持たせたベース部材を光拡散板として用いておよい。
上述の実施の形態では、ヘッドアップディスプレイ向けの中間像形成部360に用いる拡散スクリーン362について説明したが、変形例として、リアプロジェクションテレビにおけるスクリーンとして上述の拡散スクリーン362を用いてもよい。拡散スクリーン362の透過前後で主光線の方向の変化を少なくすることができるため、視認性の高い画像を提供することができる。