JP2015083337A - ブレイク装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】脆性材料基板の主面上に樹脂または金属からなる層を積層してなる積層脆性材料基板を、前工程を要することなく好適かつ容易にブレイクすることができるブレイク装置を提供する。
【解決手段】脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる異種材料層が付設され、他方主面にスクライブラインが形成されてなる積層脆性材料基板を前記異種材料層の側から前記スクライブラインに沿ってブレイクするブレイク装置が、ブレイクに際して前記積層脆性材料基板と当接するブレイクバーの刃先が、50°以下の角度をなす2つの刃面を有するとともに、前記2つの刃面の間に、曲率半径が5μm以下の円弧状の断面を有する曲面であるか、あるいは、幅が10μm以下の直線状の断面を有する平坦面である別の刃面を、さらに有するようにした。
【選択図】図7

Description

この発明は、基板をブレイクする装置に関し、特に、樹脂または金属からなる層が付設された積層脆性材料基板をブレイクするブレイク装置に関する。
半導体素子は、セラミック基板などの脆性材料基板上に複数の素子領域が二次元的に繰り返し形成されてなる母基板を、それぞれの素子領域の境界位置(分割予定位置)にあらかじめ形成されてなる起点に沿ってブレイク(割断)することにより製造される。ブレイクの起点としては、スクライビングホイールにより基板表面をスクライブすることによって形成されたスクライブラインや、ダイヤモンドカッター等の切削器具により基板表面を線状に削り取ったスクライブ溝や、レーザ光により基板表面をアブレーションさせて線状に除去したアブレーション加工ラインや、レーザ光により基板表面を局所的に溶融させることで基板の構造を線状に変質(融解改質)させた加工ラインなどがある。
このような分割予定位置に沿ったブレイクを実施可能なブレイク装置はすでに公知である(例えば、特許文献1参照)。係る従来公知のブレイク装置においては、受刃などとも称される一対の基板支持部材(特許文献1においては基板保持部)が、水平面内において離間して配置されてなり、母基板の分割予定位置が、それら基板支持部材の間に位置するように、母基板を基板支持部材にて支持した状態で、母基板の上方から分割予定位置に沿ってブレイクバー(特許文献1においてはブレード)を押し当てることによって、母基板をブレイクする構成ことができるようになっている。
また、上述した半導体素子製造用の母基板には、脆性材料基板の主面上に形成された回路パターンの保護などを目的としてガラスエポキシなどの熱硬化性樹脂を当該主面上に付設させたものや、金属層を主面に付設させたものがある。このような母基板を上述した方法によりブレイクしようとする場合、樹脂や金属と脆性材料基板とでは材質が異なることが原因で、樹脂または金属からなる層の一部が完全には分断されないという問題が生ずる。
係る問題に対応すべく、脆性材料基板の一方主面側に樹脂を付着させてなる樹脂付き脆性材料基板を主面に垂直に分割する方法として、樹脂付き脆性材料基板の樹脂側の分割予定位置に溝部を形成する溝部形成工程と、樹脂付き脆性材料基板の脆性材料基板側の分割予定位置にスクライブラインを形成するスクライブライン形成工程と、スクライブラインに沿って樹脂付き脆性材料基板を分割するブレイク工程とを行うものが既に公知である(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−39931号公報 特開2012−66479号公報
特許文献2に開示された方法は、樹脂付き脆性材料基板を、分割予定位置にて確実に、しかも、優れた寸法精度にて、その主面に対して垂直に分割することができる優れたものではあるが、基板のブレイク工程の前に溝部形成工程を実行する必要があることから、作業工程が増加し、効率的にブレイク作業を実行できないという問題がある。製造効率化の観点からは、一のブレイク装置におけるブレイク工程のみで良好なブレイクが行われることが望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、脆性材料基板の主面上に樹脂または金属からなる層を積層してなる積層脆性材料基板を、前工程を要することなく好適かつ容易にブレイクすることができるブレイク装置を提供することを、目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる異種材料層が付設され、他方主面にスクライブラインが形成されてなる積層脆性材料基板を前記異種材料層の側から前記スクライブラインに沿ってブレイクするブレイク装置であって、ブレイクに際して前記積層脆性材料基板と当接するブレイクバーの刃先が、50°以下の角度をなす2つの刃面を有するとともに、前記2つの刃面の間に、曲率半径が5μm以下の円弧状の断面を有する曲面である別の刃面をさらに有する、ことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のブレイク装置であって、前記別の刃面が、曲率半径が2μm以上3μm以下の円弧状の断面を有する曲面である、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる異種材料層が付設され、他方主面にスクライブラインが形成されてなる積層脆性材料基板を前記異種材料層の側から前記スクライブラインに沿ってブレイクするブレイク装置であって、ブレイクに際して前記積層脆性材料基板と当接するブレイクバーの刃先が、50°以下の角度をなす2つの刃面を有するとともに、前記2つの刃面の間に、幅が10μm以下の直線状の断面を有する平坦面である別の刃面をさらに有する、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載のブレイク装置であって、前記別の刃面が、幅が1μm以上5μm以下の断面を有する平坦面である、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のブレイク装置であって、前記2つの刃面のなす角が10°以上30°以下である、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項5の発明によれば、異種材料層への溝形成といった前処理を行うことなく、積層脆性材料基板を、刃こぼれを生じさせることもなく良好にブレイクすることができる。
本実施の形態に係るブレイク装置100の斜視図である。 本実施の形態に係るブレイク装置100の斜視図である。 ブレイク装置100におけるブレイクに供する際の基板Wの保持態様を示す平面図である。 ブレイク装置100において基板Wをブレイクする際の配置関係を示す断面図である。 ブレイクバー14を取り付けた状態のブレイクバー取り付け部15の模式断面図である。 ブレイクバー14の概略構成図である。 刃先14bの詳細構成を示す断面図である。 刃先14bの詳細構成を示す断面図である。 ブレイクバー14を用いて積層脆性材料基板である基板Wのブレイクを行う場合の様子を模式的に示す図である。 従来ブレイクバー114を用いて積層脆性材料基板である基板Wのブレイクを行う場合の様子を示す図である。
<ブレイク装置の概要>
図1および図2は、本実施の形態に係るブレイク装置100の斜視図である。ブレイク装置100は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)やHTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)などのセラミックスやガラスその他の脆性材料を用いて構成された脆性材料基板や、あるいはさらに、係る脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる層を形成してなる積層脆性材料基板などであるブレイク対象基板(以下、単に基板とも称する)Wを、あらかじめ当該基板Wに設定されてなる線状の分割予定位置(分割予定線)に沿ってブレイク(割断)するためのものである。なお、図1および図2には、水平面内において互いに直交する2方向をX方向およびY方向とし、垂直方向をZ方向とする右手系のXYZ座標系を付している。より詳細にいえば、ブレイクを行う際に分割予定位置を延在させる方向を、X方向としている。
図3は、ブレイク装置100におけるブレイクに供する際の基板Wの保持態様を示す平面図である。図4は、ブレイク装置100において基板Wをブレイクする際の配置関係を示す断面図である。図4においては、基板Wが脆性材料基板Waの一方主面S1に樹脂または金属からなる異種材料層Fを設けてなる積層脆性材料基板であり、かつ、脆性材料基板Waの他方主面S2の分割予定位置にあらかじめ、ブレイクの起点とすべく、スクライビングホイール等により基板表面をスクライブすることによってスクライブラインSLが設けられてなる場合を、例示している。
なお、図4においては、図示の簡単ため、一のスクライブラインSLのみが示されているが、実際の基板Wには、多数のスクライブラインSLが形成される。
また、ブレイクの起点には、上述のスクライブラインの他、ダイヤモンドカッター等の切削器具により基板表面を線状に削り取ったスクライブ溝や、レーザ光により基板表面をアブレーションさせて線状に除去したアブレーション加工ラインや、レーザ光により基板表面を局所的に溶融させることで基板の構造を線状に変質(融解改質)させた加工ラインなどを適用可能である。
基板Wは、図3および図4に示すように、ダイシングテープとも呼称される粘着性フィルム1にその一方主面S1側を貼付固定させたうえで、ブレイク装置100に供される。より詳細には、粘着性フィルム1は、その周辺部分が環状のリング部材2に貼設されてなり、基板Wは該リング部材2の中央部分において粘着性フィルム1に貼付されてなる。なお、図3においては、粘着性フィルム1における粘着面とは反対側の面が、図面手前側を向いた状態を例示しており、基板Wおよびリング部材2がともに該粘着面の側に存在することを示すべく、基板Wの外周縁Weおよびリング部材2の内周縁2eを破線にて表している。
ブレイク装置100は、ブレイク時に基板Wを下方から支持するサポート部材10と、基板Wを保持してなるリング部材2を水平面内において回転自在に支持する回転部材11と、光学的に透明な部材からなり、回転部材11を下方から支持するとともにY方向に移動自在とされてなる水平可動テーブル12と、水平可動テーブル12を支持する支持テーブル13とを備える。
より詳細には、図4に示すように、サポート部材10は、それぞれがX方向に長手方向を有してなるとともにY方向において互いに離間する一対の受刃61、62を備える。また、図2に示すように、水平可動テーブル12は、ステッピングモータ31の駆動により回転するボールねじ32の駆動を受け、支持テーブル13上をY方向に往復移動する。さらには、回転部材11の回転角度位置は、ステッピングモータ34によりボールねじ33を回転させることにより調整することが可能となっている。以上のような構成を有することにより、ブレイク装置100においては、基板Wを保持するリング部材2を支持した状態で、回転部材11を水平面内において回転させることにより、受刃61、62の間においてスクライブラインSLがX方向に延在するように、水平面内における基板Wの姿勢を調整することが可能となっている。
一方、支持テーブル13の上面であって、回転部材11の外側の四方位置には、4本の柱状昇降ガイド24が立設されてなる。これら4本の柱状昇降ガイド24の上端を架け渡すようにして架台21が固定されている。また、支持テーブル13と架台21の間には、柱状昇降ガイド24によって昇降可能に案内される昇降テーブル16が設けられている。
架台21上には、支持部材22を介して、ステッピングモータ23が設置されている。このステッピングモータ23の回転軸には、架台21を回転自在な状態で貫通するボールねじ25が連結されてなる。ボールねじ25は、昇降テーブル16に形成された雌ネジ部に螺合している。ステッピングモータ23の駆動によりボールねじ25が回転することで、昇降テーブル16がZ方向に昇降する。
図2に示すように、この昇降テーブル16の下面には、ブレイクバー14を取付固定されるブレイクバー取り付け部15が設けられてなる。ブレイクバー14は、ブレードまたはブレイク刃とも呼称され、その長手方向がX方向に延在する態様にて、取り付けられてなる。ブレイク装置100においては、概略、図4に示すように、スクライブラインSLが形成された側の主面を下側にした状態で、受刃61、62の間においてスクライブラインSLがX軸方向に延在するように配置された基板Wに対し、異種材料層Fが形成されてなる面の側からスクライブラインSLの形成位置に沿って基板Wをブレイクバー14により押圧することによって、基板Wのブレイクが実現される。ブレイクバー14およびブレイクバー取り付け部15の詳細については後述する。
一方、支持テーブル13は、基台17の上に立設された4本のシャフト18および基台17から下方に延在する脚部19を介して地面に設置される。
さらには、図2に示すように、支持テーブル13の下方には、CCDカメラ35が設置されている。CCDカメラ35は、図4において矢印AR1にて示すように、支持テーブル13の中央部分に設けられた開口部13hおよび水平可動テーブル12を介して、基板Wとブレイクバー14との位置関係を観察することが可能となっている。
CCDカメラ35は、基台17の上に設けられた支持部41の上に付設されてなる。支持部41は、基台17上に立設されてなるレール支持板39に設けられた一対のガイドレール37に沿ってX方向に案内されてなるとともに、X方向に延在しかつステッピングモータ36の駆動により回転するボールねじ38と螺合している。これらの構成を有することにより、CCDカメラ35は、ステッピングモータ36の駆動を受け、X方向に往復移動が可能とされてなる。
<ブレイクバー>
次に、ブレイクバー14およびその周辺部分の詳細構成について説明する。図5は、ブレイクバー14を取り付けた状態のブレイクバー取り付け部15の模式断面図である。図6は、ブレイクバー14の概略構成図である。より詳細には、図6(a)に示すのはブレイクバー14の長手方向側面図であり、図6(b)に示すのはブレイクバー14の刃先14bの近傍の概略断面図である。
ブレイクバー14は、超鋼合金や部分安定化ジルコニア等からなり、図6(a)に示すように、側面視矩形状の本体部14aの一方の長辺側に刃先14bが設けられた構成を有する。ブレイクバー14としては、全長Lが例えば60mm〜300mm程度であり、刃幅Wが例えば15mm〜30mm程度であるものを用いる。また、図6(b)に示すように、刃先14bは、ある鋭角θをなす2つの刃面c1、c2を有する。なお、刃面c1、c2は研削によって形成されるが、係る研削は、ブレイクバー14の短手方向(図6(a)の場合であれば上下方向)において行われるのが好ましい。係る場合、ブレイクバー14による異種材料層Fの切削性がより高められる。
ブレイクバー14は、ブレイクバー取り付け部15に取り付けられることによってブレイク装置100に固定される。なお、ブレイクバー14の本体部14aには、係る取り付けの際に使用される複数の(図6(a)においては2つの)貫通孔14hが長手方向において互いに離間する態様にて設けられてなる。
ブレイクバー取り付け部15は、図5に示すように、ホルダ15aと、フランジ15bと、取り付けベース15cとを有してなる。ホルダ15aとフランジ15bとは、着脱自在とされてなる。一方、取り付けベース15cは、昇降テーブル16の下面に固設されてなる。
ブレイクバー14をブレイク装置100に固定するにあたっては、まず、ブレイクバー14に備わる貫通孔14hとホルダ15aおよびフランジ15bにそれぞれ設けられたねじ穴TH1、TH2とを一直線に位置させた状態にて、ブレイクバー14をホルダ15aとフランジ15bとの間に挟み込んだうえで、固定ボルト15dをねじ穴TH1およびTH2と螺合させる。これにより、ブレイクバー14はホルダ15aおよびフランジ15bと一体となる。さらに、取り付けベース15cに設けられたねじ穴TH3とホルダ15aに設けられたねじ穴TH4とに固定ボルト15eを螺合させることにより、ブレイクバー14は、刃先14bが鉛直下方を向くとともにX方向に延在する姿勢にて、ブレイク装置100に固定される。換言すれば、ブレイク装置100においては、ブレイクバー14が着脱自在に設けられてなるともいえる。これにより、破損、劣化による交換や、基板Wの材質に応じた変更などが、容易となっている。
次に、刃先14bについてより詳細に説明する。本実施の形態に係るブレイク装置100においては、刃先14bの形状が特徴的なものとなっている。図7および図8は、刃先14bの詳細構成を示す断面図である。
刃先14bは、概略的には、従来の一般的なブレイクバーの刃先と同様、図6(b)に示すようにある角度θをなす2つの刃面c1、c2を有するものとなっているが、より詳細には、角度θの値は50°以下、好ましくは、10°以上30°以下とされてなり、さらには、図7および図8に示すように、刃先14bの最先端部においては、刃面c1、c2の間に別の刃面が設けられてなる。図7には、刃面c1、c2の間に断面視円弧状(曲率半径r)の曲面である刃面c3が設けられてなる場合を例示しており、図8には、刃面c1、c2の間に断面視直線状の平坦面である刃面c4が設けられてなる場合を例示している。
図7に示す刃面c3は、曲率半径rが5μm以下であるのが好ましく、2μm以上3μm以下であるのがより好ましい。一方、図8に示す刃面c4は、幅が10μm以下であるのが好ましく、1μm以上5μm以下であるのがより好ましい。
このように、本実施の形態に係るブレイク装置100が備えるブレイクバー14の刃先14bの形状は、約90°の角度をなす2つの刃面が直接に交わる従来の一般的なブレイクバー(以下、従来ブレイクバー)の刃先の形状とは明確に相違するものとなっている。そして、ブレイクバー14の刃先14bが上述のような形状となっていることで、本実施の形態に係るブレイク装置100においては、ブレイク対象たる基板Wが図4に示すような積層脆性材料基板である場合であっても、好適なブレイクが実現できるようになっている。
図9は、上述のような形状の刃先14bを有するブレイクバー14を用いて積層脆性材料基板である基板Wのブレイクを行う場合の様子を模式的に示す図である。また、図10は、対比のために示す、従来ブレイクバー114を用いて積層脆性材料基板である基板Wのブレイクを行う場合の様子を示す図である。なお、従来ブレイクバー114の刃先114bは、約90°の角度をなす2つの刃面が直接に交わる形状を有してなるものとする。ただし、ブレイクバー14および従来ブレイクバー114以外のブレイク装置100の構成要素と刃先14bの詳細構成とについては図示を省略している。
まず、図9(a)および図10(a)に示すように、基板Wは、異種材料層Fが形成されてなる側を上面とし、脆性材料基板WaのスクライブラインSLが形成されてなる側を下面とする態様にて、サポート部材10の受刃61、62上に載置される。その際、基板Wは、スクライブラインSLが概ね受刃61、62の間の位置においてX方向に延在する姿勢にて載置される。
続いて、CCDカメラ35により、基板Wに形成されたスクライブラインSLを撮影する。このスクライブラインSLの撮影時には、ステッピングモータ36を駆動させることによってCCDカメラ35をX方向に移動させつつ撮像を行うことで、X方向に延びるスクライブラインSLの全体を撮像するようにする。
そして、得られた撮像画像に基づいて、基板Wの水平姿勢を調整し、さらに、ブレイクバー14の位置決めを行う(従来ブレイクバー114も同様)。すなわち、ステッピングモータ34を駆動することによって回転部材11の回転角度位置を調整することで、基板Wの水平姿勢を調整してスクライブラインSLの延在方向を正確にX方向と合致させたうえで、ステッピングモータ31を駆動させることによって水平可動テーブル12をY方向に移動させることで、スクライブラインSLがブレイクバー14の鉛直下方に配置されるようにする。
係る位置決めが終了すると、基板Wのブレイクを行う。すなわち、ステッピングモータ23の駆動により昇降テーブル16を下降させることによって、図9(a)および図10(a)においてそれぞれ矢印AR2およびAR4にて示すようにブレイクバー14および従来ブレイクバー114を下降させる。やがて、ブレイクバー14の刃先14bおよび従来ブレイクバー114の刃先114bは、基板Wの上面の異種材料層Fと接触し、異種材料層Fの上面に力を加えることとなるが、図9(b)および図10(b)においてそれぞれ矢印AR3およびAR5にて示すように、係る接触の後も、ブレイクバー14および従来ブレイクバー114の下降は続けられる。
すると、本実施の形態に係るブレイクバー14を用いている場合は、図9(b)に示すように、ブレイクバー14が下降することにより、異種材料層Fを切削する(異種材料層Fの中に入り込んでいく)態様にて異種材料層Fを分断していく。そして、刃先14bが脆性材料基板Waの上面に到達すると、ブレイクバー14と受刃61、62とで基板Wを三点支持する状態となり、図9(c)に示すように、スクライブラインSLから伸展した亀裂CRが刃先14bのところに到達する。これにより、基板Wは好適に2つの個片W1、W2に分断される。
一方、従来ブレイクバー114を用いている場合、図10(b)に示すように、刃先114bが異種材料層Fに入り込むよりも先に、下側の脆性材料基板WaにおいてスクライブラインSLからの亀裂CRの伸展が生じてしまい、異種材料層Fは分断されていないにも関わらず、脆性材料基板Waのみ、2つの個片W3、W4に分断されてしまう。いったん係る分断が生じてしまうと、矢印AR5にて示すように従来ブレイクバー114を下降させたとしても、個片W3、W4が動くことで従来ブレイクバー114が加える力が逃げてしまい、図10(c)に示すように異種材料層Fは好適には分断されないままか、あるいは、せいぜい、正しくない位置で分断されるに留まってしまう。
本実施の形態に係るブレイクバー14を用いる場合と従来ブレイクバー114を用いる場合とでこのような差異が生じる理由は、以下の通りである。
まず、前者の場合、刃面c1、c2のなす角度θが比較的小さく、かつ、刃面c3あるいはc4も含め、異種材料層Fとの接触面積が小さいために、異種材料層Fの弾性に起因した抵抗力(反発力)を受けにくく、結果として、単位面積あたりの押圧力が相対的に大きくなるために、脆性材料基板Waにおいて亀裂CRの伸展が生じるよりも先に、異種材料層Fが分断される。
これに対して、後者の場合、2つの刃面のなす角が90°と大きいために、異種材料層Fとの接触面積が大きいために、異種材料層Fからの抵抗力を強く受けてしまい、刃先114bが異種材料層Fに入り込めないままの状態で、その下方の脆性材料基板Waに力が加わってしまうために、積層脆性材料基板について、良好な分断を行うことが難しくなっている。
また、本実施の形態に係るブレイクバー14の場合、刃面c1、c2のなす角度θは小さいものの、両者の間に刃面c3あるいはc4が存在することから、刃こぼれは生じにくくなっている。それゆえ、繰り返しの使用をする場合であっても、その発生頻度は、少なくとも従来ブレイクバー114と同程度には抑制される。
なお、詳細な説明は省略するが、本実施の形態に係るブレイクバー14は、異種材料層Fを有さない脆性材料基板についても、当然に、好適に分断することが可能である。
以上、説明したように、本実施の形態に係るブレイク装置においては、ブレイクバーとして、その刃先が50°以下の角度をなす2つの刃面を有するとともに、これら2つの刃面の間に断面視円弧状の曲面もしくは断面視直線状の平坦面である別の刃面をさらに有するものを用いることで、ブレイク対象たる基板が、脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる異種材料層が設けられてなる積層脆性材料基板であり、かつ該異種材料層にブレイクバーを接触させてブレイクする場合であっても、異種材料層への溝形成といった前処理を必要とすることなく、しかも、刃こぼれを生じさせることもなく、良好にブレイクすることができる。
<変形例>
上述の実施の形態においては、基板Wを水平可動テーブル12上に設けたサポート部材(受刃61、62)にて下方支持した状態でブレイクを行うようにしているが、ブレイク装置100における基板の支持態様はこれに限られるものではない。例えば、水平可動テーブル12上に透明なゴム板が敷設されてなり、その上に基板Wを載置してブレイクを行う態様であってもよい。係る場合も、ブレイクバー14を用いた積層脆性材料基板のブレイクは好適に行うことが出来る。
1 粘着性フィルム
2 リング部材
10 サポート部材
11 回転部材
12 水平可動テーブル
13 支持テーブル
13h 開口部
14 ブレイクバー
14a 本体部
14b 刃先
14h 貫通孔
15 ブレイクバー取り付け部
15a ホルダ
15b フランジ
15c ベース
15d、15e 固定ボルト
16 昇降テーブル
35 CCDカメラ
61、62 受刃
100 ブレイク装置
114 従来ブレイクバー
114b (従来ブレイクバーの)刃先
c1〜c4 刃面
CR 亀裂
F 異種材料層
SL スクライブライン
TH1〜TH4 ねじ穴
W 基板(積層脆性材料基板)
Wa 脆性材料基板

Claims (5)

  1. 脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる異種材料層が付設され、他方主面にスクライブラインが形成されてなる積層脆性材料基板を前記異種材料層の側から前記スクライブラインに沿ってブレイクするブレイク装置であって、
    ブレイクに際して前記積層脆性材料基板と当接するブレイクバーの刃先が、50°以下の角度をなす2つの刃面を有するとともに、前記2つの刃面の間に、曲率半径が5μm以下の円弧状の断面を有する曲面である別の刃面をさらに有する、
    ことを特徴とするブレイク装置。
  2. 請求項1に記載のブレイク装置であって、
    前記別の刃面が、曲率半径が2μm以上3μm以下の円弧状の断面を有する曲面である、
    ことを特徴とするブレイク装置。
  3. 脆性材料基板の一方主面に樹脂または金属からなる異種材料層が付設され、他方主面にスクライブラインが形成されてなる積層脆性材料基板を前記異種材料層の側から前記スクライブラインに沿ってブレイクするブレイク装置であって、
    ブレイクに際して前記積層脆性材料基板と当接するブレイクバーの刃先が、50°以下の角度をなす2つの刃面を有するとともに、前記2つの刃面の間に、幅が10μm以下の直線状の断面を有する平坦面である別の刃面をさらに有する、
    ことを特徴とするブレイク装置。
  4. 請求項3に記載のブレイク装置であって、
    前記別の刃面が、幅が1μm以上5μm以下の断面を有する平坦面である、
    ことを特徴とするブレイク装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のブレイク装置であって、
    前記2つの刃面のなす角が10°以上30°以下である、
    ことを特徴とするブレイク装置。
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