JP2015079702A - リチウムイオン伝導性セラミックス材料およびその製造方法、リチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン伝導性セラミックス材料およびその製造方法、リチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン伝導性セラミックス材料の導電性や強度を向上させることができる技術を提供する。【解決手段】全固体電池10の固体電解質層11は、以下のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成されている。リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、NASICON型の結晶構造を有し、Liが過剰に添加されていることによって、化学式(B):Li1-XZr2-XNbX(PO4)3+yLi(0≰X≰0.7,y>0)として表される焼結体によって構成されている。また、この焼結体におけるLiの含有割合αは、一般式(A):Li1-XZr2-XNbX(PO4)3(0≰X≰0.7)におけるLiの組成比から求められる含有割合をβとするとき、α>βの関係を満たしている。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料に関する。
リチウムイオン伝導性セラミックス材料は、全固体電池やリチウム空気電池などの電池において、固体電解質層や電極層を構成する材料として用いられる。リチウムイオン伝導性セラミックス材料には、酸化物系無機固体電解質や、硫化物系無機固体電解質などがある。一般に、酸化物系無機固体電解質は、硫化物系無機固体電解質よりも空気中において高い安定性を示す。
下記の特許文献1には、酸化物系無機固体電解質として、LiZr2(PO43(以下、「LZP」とも呼ぶ)系電解質においてZrサイトにNbを置換したLi(Zr,Nb)2(PO43)(以下、「LZNP」とも呼ぶ)が開示されている。また、下記特許文献2には、全固体電池における固体電解質層の保護層としてLZP系電解質の層を設ける技術が開示されている。
特開平2−250264号公報 国際公開WO2011/065388号パンフレット
リチウムイオン伝導性セラミックス材料においては、電池の性能向上のためにも、導電性が向上されることが望ましい。また、リチウムイオン伝導性セラミックス材料においては、電池の耐久性を向上させるためや、固体電解質層や電極層を薄型化するためにも、密度が高められて強度が向上されることが望ましい。その他に、リチウムイオン伝導性セラミックス材料においては、リチウム原子(Li)が揮発しやすい性質を有しているため、低い焼成温度で製造されることが望ましい。
特許文献1は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料における導電率や化学的安定性を確保することを課題としている。そのため、特許文献1では、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の密度を高めて強度を向上させることについての開示はない。また、特許文献1では、いずれの実施例においても焼成温度が、著しく高い1200℃に設定されており(第8頁)、焼成中のLiの揮発については何らの考慮もなされていない。特許文献2は、固体電解質層の保護を目的としており、上述したようなリチウムイオン伝導性セラミックス材料の課題については開示されていない。
以上のように、リチウムイオン伝導性セラミックス材料においては、依然として、導電性や強度を向上させることや、製造工程中の焼成温度の制御について改良の余地があった。その他に、リチウムイオン伝導性セラミックス材料においては、その製造効率を向上させるためにも、製造工程の簡易化・容易化や、製造設備の小型化、製造コストの低減、省資源化等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
[1]本発明の一形態によれば、NASICON型の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が提供される。このリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、一般式(A):Li1-XZr2-XNbX(PO43(0≦X≦0.7)によって表される組成を有する焼結体に対してLiが過剰に添加されていることによって、化学式(B):Li1-XZr2-XNbX(PO43+yLi(0≦X≦0.7,y>0)として表される焼結体によって構成されていて良い。また、前記一般式(A)によって表される焼結体におけるLiの含有割合をβとするとき、前記化学式(B)によって表される焼結体におけるLiの含有割合αは、α>βの関係を満たしていて良い。この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料にであれば、材料中におけるLiの含有量が確保されているため、導電性や強度が高められる。従って、この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、電池の材料として好適に用いることができる。また、この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料であれば、その製造工程中の焼成工程において、原材料中のLiが焼結助剤として機能するため、低温での焼結が可能となり、焼成温度を低く設定することが許容される。従って、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造効率が向上する。
[2]上記形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料において、前記Liの含有割合αと、前記Liの含有割合βと、の差γは、2.9mol%≦γ≦28.0mol%であっても良い。ここで、γは、一般式(A)で表される焼結体の物質量に対するLiの過剰量(mol%)に相当する。この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によれば、導電性や強度が向上される。
[3]上記形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料において、前記Liの含有割合αと、前記Liの含有割合βと、の差γは、5.5mol%≦γ≦17.8mol%であっても良い。この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によれば、導電性がより向上される。
[4]上記形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料において、前記焼結体の相対密度は90%以上であっても良い。この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によれば十分な強度が確保される。
[5]上記形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料において、前記焼結体におけるリチウムイオンの伝導率は1.0×10-5S/cm以上であっても良い。この形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によれば導電性が確保される。
[6]本発明の他の形態によれば、リチウムイオン電池が提供される。この形態のリチウムイオン電池は、上記形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成された固体電解質層と、前記固体電解質層の両側に配置される電極と、を備えて良い。この形態のリチウムイオン電池によれば、内部抵抗が低減されて性能が向上する。
[7]本発明の他の形態によれば、リチウムイオン電池が提供される。この形態のリチウムイオン電池は、正極と負極との間に配置される固体電解質層と、前記正極と前記固体電解質層との間と、前記負極と前記固体電解質層との間と、の少なくとも一方に配置される保護層とを備えて良い。前記保護層は、上記形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成されていても良い。この形態のリチウムイオン電池によれば、保護層によって固体電解質層の劣化が抑制される。
[8]本発明の他の形態によれば、NASICON型の結晶構造を有し、化学式:Li1-XZr2-XNbX(PO43+yLi(0≦X≦0.7,y>0)として表される焼結体によって構成されるリチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造方法が提供される。この形態の製造方法は、混合工程と、焼成工程と、を備える。前記混合工程は、Zrを含む材料と、Nbを含む材料と、をそれぞれ、前記化学式におけるZrとNbの組成比2−X,Xに応じた量で混合するとともに、Liを含む材料を、前記化学式におけるLiの組成比1−Xに応じた量より多く混合して混合材料を得る工程であって良い。前記焼成工程は、焼成温度T(900℃≦T≦1100℃)で本焼成することによって前記焼結体を得る工程であって良い。この形態の製造工程によれば、混合材料にLiが過剰に添加されているため、低い焼成温度によって導電性と強度とが向上されているリチウムイオン伝導性セラミックス材料を得ることができる。
本発明は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造装置やリチウムイオン伝導性セラミックス材料を用いた電池の製造方法および製造装置、それらの製造方法や製造装置を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等として実現することができる。その他に、本発明は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料を構成する焼結体や、その焼結体の製造方法および製造装置、それらの製造方法や製造装置を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することもできる。
全固体電池の構成を示す概略断面図。 リチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造工程の手順を示す工程図。 リチウムイオン伝導性セラミックス材料のサンプルの製造条件と各種の測定結果とを示す説明図。 サンプルにおけるLiの過剰量と相対密度との関係を示す説明図。 サンプルにおけるLiの過剰量と粒界抵抗およびイオン伝導率との関係を示す説明図。 第二相の存在の検証するための回折パターンを示す説明図。 第二相の検出結果を示す説明図。 焼結体の断面における撮影画像を示す説明図。 リチウムイオン伝導性セラミックス材料のサンプルの製造条件と各種の測定結果とを示す説明図。 第2実施形態の全固体電池の構成を示す概略断面図。
A.第1実施形態:
[全固体電池の構成]
図1は、本発明の第1実施形態としての全固体電池10の構成を示す概略断面図である。全固体電池10は、全固体型のリチウムイオン電池であり、固体電解質層11と、正極電極層12と、負極電極層13と、第1の集電部材14と、第2の集電部材15と、を備えている。
固体電解質層11は、酸化物系のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成されている。このリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、その製造工程においてLiが過剰に添加されていることによって、その導電性や強度が向上されている。このリチウムイオン伝導性セラミックス材料については後述する。
正極電極層12および負極電極層13はそれぞれ、固体電解質層11の両側に配置されている。正極電極層12は、正極活物質と、固体電解質と、を含有する材料によって形成されている。正極活物質としては、特に限定はなく、例えば硫黄や、TiS2、LiCoO2、LiMn24、LiFeO4などが用いられる。また、固体電解質としては、特に限定はなく、Liイオン伝導性を有している材料であれば良い。具体的には、例えば、LZNP、Li2S−P25、Li3BO3、Li1+XAlXGe2-X(PO43、LiPO3などが用いられる。なお、正極活物質に電子導電性がない場合には、正極活物質および固体電解質とともに導電助剤が含有されても良い。導電助剤としては、特に限定はなく、電子導電性を有する材料であれば良い。具体的には、例えば、導電性カーボンや、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銀(Ag)などが用いられる。
負極電極層13は、負極活物質と、固体電解質と、を含有する材料によって形成されている。負極活物質としては、特に限定はなく、例えば、Li金属や、リチウム−アルミニウム合金(Li−Al合金)、Li4Ti512、カーボン、ケイ素(Si)、一酸化ケイ素(SiO)などが用いられる。また、固体電解質としては、特に限定はなく、Liイオン伝導性を有している材料であれば良い。具体的には、例えば、LZNP、Li2S−P25、Li3BO3、Li1+XAlXGe2-X(PO43、LiPO3などが用いられる。なお、負極活物質に電子導電性がない場合には、負極活物質および固体電解質とともに導電助剤が含有されても良い。導電助剤としては、特に限定はなく、電子導電性を有している材料であれば良い。具体的には、例えば、導電性カーボン、Ni、Pt、Agなどが用いられる。
第1と第2の集電部材14,15はそれぞれ、導電性を有する板状部材であり、正極電極層12および負極電極層13のそれぞれの表面に積層配置されている。第1と第2の集電部材14,15は、ステンレス鋼(SUS)や、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金から選択される導電性金属材料や、炭素材料等によって構成される。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料]
固体電解質層11を構成するリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、電池の材料として好適な材料であり、NASICON型の結晶構造を有する焼結体によって構成される。この焼結体は、下記の一般式(A)によって表される焼結体を得るための製造工程においてLiを原材料中に過剰に添加することによって得られ、下記の化学式(B)として表される。
一般式:Li1-XZr2-XNbX(PO43(0≦X≦0.7)…(A)
化学式:Li1-XZr2-XNbX(PO43+yLi(0≦X≦0.7,y>0)…(B)
化学式(B)で表される焼結体におけるLiの含有割合αは、上記の一般式(A)で表される焼結体におけるLiの含有割合βに対して、α>βの関係を満たしている。なお、前記の含有割合αと含有割合βとの差γは、化学式(B)におけるyによって表されているLiの量に相当する。この化学式(B)で表される焼結体によって構成されるリチウムイオン伝導性セラミックス材料であれば、高い導電性や強度が得られる。従って、固体電解質層11の抵抗の低減や薄型化が可能となり、全固体電池10の性能や耐久性の向上、小型化などが可能となる。
図2は、固体電解質層11を構成するリチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造工程の手順を示す工程図である。工程1では、原材料として、リチウム化合物と、ジルコニウム化合物と、ニオブ化合物と、リン酸化合物と、が所定の時間(例えば、10時間以上)かけて粉砕・混合され、スラリー状の混合材料が生成される。具体的に、工程1の原材料としては、炭酸リチウム(LI2CO3)と、二酸化ジルコニウム(ZrO2)と、五酸化ニオブ(Nb25)と、リン酸水素アンモニウム((NH42HPO4)化合物と、が用いられる。
ここで、この工程1では、完成後の焼結体においてLiが上記の一般式(A)の組成比から求められるLiの含有割合より多く存在するように、リチウム化合物が過剰に添加される。すなわち、上記一般式(A)で表される焼結体を得るための混合材料中におけるLiの含有割合をxmol%とするとき、工程1において得られる混合材料中におけるLiの含有割合は、x+amol%(a>0)となる。
工程2では、工程1において得られた混合材料が乾燥される。工程3では、工程2において乾燥された乾燥混合材料が白金るつぼ等の容器に入れられた状態で仮焼成される(一次焼成)。仮焼成は、例えば、900〜1100℃程度の温度で、1〜3時間程度行われる。工程4では、仮焼成によって得られた仮焼成済粉末材料にバインダーが添加され、所定の時間(例えば、10時間以上)かけて粉砕・混合されることによって、未成型粉末材料が生成される。
工程5では、工程4において生成された未成型粉末材料に対してプレス成型が行われ、未焼成成型体が生成される。工程6では、工程5において生成された未焼成成型体に対して本焼成が行われる(二次焼成)。本焼成は、例えば、900〜1100℃程度の温度で1〜3時間程度行われる。以上の工程によって、本実施形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料を構成する焼結体が生成される。
ここで、一般に、焼結体における焼結性を高めるためには焼成温度は高く設定されることが望ましい。これに対して、リチウムイオン伝導性材料を構成する焼結体においては、Liが揮発しやすい性質を有しているため、焼成温度を1200℃より低く設定し、Liの含有量の低下を抑制することが望ましい。上記の本実施形態の焼結体であれば、過剰に添加されているLiが本焼成において焼結助剤として働くため、本焼成の焼成温度が1100℃以下の低温に設定されている場合であっても高い焼結性を得ることができる。従って、本実施形態のリチウムイオン伝導性セラミックス材料を構成する焼結体であれば、焼結性が低いことに起因する密度の低下や比抵抗の増大が抑制される。さらに、本実施形態の焼結体であれば、焼成した後であっても十分な量のLiを含有しているため、イオン伝導率の低下が抑制されている。よって、当該リチウムイオン伝導性セラミックス材料を用いた電池の性能を向上させることができる。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料の実施例1]
図3は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料のサンプルS1〜S8の製造条件と、各種の測定結果とをまとめて表として示す説明図である。図3の表には、各サンプルの製造条件として、上記の工程1(図2)に相当する原材料の混合工程におけるLiの過剰添加量と、上記の工程6に相当する本焼成工程における焼成温度と、が示されている。また、図3の表には、各サンプルの評価結果として、Liの過剰量と、各サンプルS1〜S8の相対密度と、粒界抵抗と、イオン伝導率と、が示されている。
各サンプルS1〜S8は、上記の化学式(B)の式中のXが0.3である焼結体である。各サンプルS1〜S8は、下記の化学式(Ba)によって表される。
Li0.7Zr1.7Nb0.3(PO43+yLi …(Ba)
各サンプルS1〜S8は、原材料中に添加されるLiの量や焼成温度を変えて、図2で説明した工程手順に沿って作成された。具体的には以下の通りである。
1.各サンプルの作成手順:
(1)以下の原材料を、ジルコニアボールとともにナイロンポットに投入し、ボールミルを用いてエタノール中で15時間にわたって粉砕混合して、スラリー状の混合材料を得た。
〈原材料〉
・Li2CO3(株式会社高純度化学研究所製)
・ZrO2(第一稀元素化学工業株式会社製)
・Nb25(三井化学株式会社製)
・(NH42HPO4(キシダ化学株式会社製)
Li2CO3以外の原材料については、上記の化学式(Ba)における組成比に応じた量を秤量して用いた。Li2CO3については、上記の化学式(Ba)におけるLiの組成比0.7に応じた量に加えて図3の表中に示されたLiの過剰添加量に応じた量を秤量して用いた。なお、図3の表におけるLiの過剰添加量は、一般式(Li0.7Zr1.7Nb0.3(PO43)で表される焼結体の物質量に対するmol比(mol%)によって表してある。
(2)スラリー状の混合材料を乾燥させた乾燥混合材料を、白金るつぼ中において仮焼成を行った。焼成温度は、900〜1100℃とし、焼成時間は、2時間程度とした。
(3)仮焼成済粉末材料にバインダーを加えて、ボールミルを用いて、エタノール中で15時間にわたって粉砕混合した後、乾燥させて未焼成粉末材料を得た。
(4)得られた未焼成粉末材料を、10φの金型で、厚さが1mm程度となるようにプレス成型した後に、冷間静水等方圧プレス機(CIP;Cold Isostatic Pressing)を用いて1.5t/cm2の静水圧を印加し、未焼成成型体を得た。
(5)得られた未焼成成型体を、試料と同じ組成の目砂が敷かれたアルミナさやの上に配置して本焼成を行った。焼成温度は、サンプルS1〜S7については1050℃とし、サンプルS8については1200℃とした。いずれのサンプルS1〜S8についても焼成時間は2時間程度とした。
2.各サンプルの評価:
(1)結晶構造:
各サンプルS1〜S8の結晶相をX線回折装置(XRD;X‐Ray Diffraction)によって同定したところ、いずれについても、主結晶相がNASICON構造であることが確認された。
(2)Liの過剰量γ:
ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置を用いて各サンプルS1〜S8に含有されているLiの量を測定した。図3の表中の「Liの過剰量γ」は、各サンプルS1〜S8におけるLiの含有割合であるαmol%と、一般式(Li0.7Zr1.7Nb0.3(PO43)における組成比から求められるLiの含有割合であるβmol%との差に相当する(γ=α−β)。「Liの過剰量γ」は、本発明のリチウムイオン伝導性材料を表す化学式(B)においてyによって表される量に相当する。
原材料の混合工程においてLiを過剰に添加しなかったサンプルS7,S8についてはLiの過剰量γが0より小さくなった。これは、Liが焼成時に揮発してしまったためである。これに対して、Liを過剰に添加したサンプルS1〜S6についてはいずれもLiの過剰量γが0より大きくなった。このように、サンプルS1〜S6においては、焼成によってLiの含有量が、一般式(Li0.7Zr1.7Nb0.3(PO43)における組成比から求められる量よりも不足してしまうことが抑制された。
(3)相対密度:
アルキメデス法によって、各サンプルS1〜S8の相対密度を測定した。
(4)粒界抵抗およびイオン伝導率:
各サンプルS1〜S8の両面を研磨して金蒸着を施した後に、交流インピーダンス法によって、各サンプルS1〜S8の粒界抵抗(比抵抗)およびイオン伝導率を測定した。この測定には、ソーラトロン(Solartron)社製1470E型マルチスタットにソーラトロン社製1255B型周波数応答アナライザを接続して用いた。なお、固体電解質における抵抗R(比抵抗)は、粒内抵抗raと粒界抵抗rbとの合計である(R=ra+rb)。また、固体電解質におけるイオン伝導率Icは、その抵抗Rの逆数として求められる(Ic=1/R)。
(5)Liの過剰量γと相対密度/粒界抵抗/イオン伝導率の関係:
図4には、各サンプルS1〜S8におけるLiの過剰量γと相対密度との関係を示すグラフを図示してある。図5には、各サンプルS1〜S8におけるLiの過剰量γと粒界抵抗および相対密度との関係を示すグラフを図示してある。Liの過剰量γが0mol%より大きいサンプルS1〜S6ではいずれも、相対密度が90%以上であった(図4)。これに対して、Liの過剰量γが0mol%以下であるサンプルS7,S8では、相対密度が70%以下であった。
また、Liの過剰量γが0mol%より大きいサンプルS1〜S6ではいずれも、粒界抵抗が25000Ω・cm以下であり、イオン伝導率が2.0×10-5S/cmであった(図5)。これに対して、Liの過剰量γが0mol%以下であるサンプルS7,S8では、粒界抵抗が45000Ω・cm以上であり、イオン伝導率が1.0×10-5S/cm以下であった。
このように、Liの過剰量γが0mol%より大きいサンプルS1〜S6については、リチウムイオン伝導性セラミックス材料において十分な密度であり、強度と導電性とが高められた。これは、サンプルS1〜S6においては、過剰に添加されていたLiが焼成中に焼結助剤としてより効果的に機能したためであると推察される。また、焼成後に十分な量のLiが残留したことにも起因すると推察される。この結果から、Liの過剰量γは、少なくともγ>0mol%であることが望ましいことがわかる。
ここで、サンプルS1〜S6においては、相対密度はLiの過剰量γが大きいほど高くなった。これに対して、粒界抵抗やイオン伝導率は、Liの過剰量γがある程度大きくなると、粒界抵抗については低下傾向から増加傾向に、イオン伝導率については増加傾向から低下傾向に移行した。この結果から、強度と導電性とを良好にバランスさせるためには、Liの過剰量γを適切な範囲で規定することが望ましいことがわかる。
Liの過剰量γが、2.9mol%≦γ≦28.0mol%の範囲内であるサンプルS1〜S6においては、93.7%以上の相対密度が確保され、23000Ω・cm以下の粒界抵抗および2.2×10-5S/cm以上のイオン伝導率が確保された。この結果から、Liの過剰量γは2.9mol%≦γ≦28.0mol%の範囲内であることが好ましいと言える。すなわち、一般式(A)で表される焼結体よりも、2.9mol%以上、かつ、28.0mol%以下の範囲でLiを過剰に含有していれば、Liの焼結助剤としての働きによって、低温の焼成によっても高密度のリチウムイオン伝導性セラミックス材料が得られる。なお、一般式(A)で表される焼結体よりもLiを28.0mol%を越えて含有している場合には、後述する第二相などの影響により、粒界抵抗が所望の値より増大する可能性や、イオン伝導率が所望の値より低下する可能性がある。
Liの過剰量γが、5.5mol%≦γ≦17.8mol%の範囲内であるサンプルS2〜S5においては、93.7%以上の相対密度が確保されるとともに、1400Ω・cm以下の粒界抵抗および5.6×10-5S/cm以上のイオン伝導率が確保された。この結果から、Liの過剰量γは5.5mol%≦γ≦17.8mol%の範囲内であることがより好ましいと言える。すなわち、一般式(A)で表される焼結体よりも、5.5mol%以上、かつ、17.8mol%以下の範囲でLiを過剰に含有していれば、低温の焼成によっても、密度と比抵抗とがより好適にバランスされたリチウムイオン伝導性セラミックス材料が得られる。
Liの過剰量γが、7.5mol%であるサンプルS3においては、96.6%の相対密度が確保されるとともに、粒界抵抗が180Ω・cmに抑えられ、イオン伝導率が6.3×10-5S/cmまで向上した。この結果から、Liの過剰量γは、7.5mol%に対する±10%の誤差範囲を考慮して、6.75mol%≦γ≦8.25mol%の範囲内であることがより好ましいことがわかる
(6)第二相の形成について:
上述のように、サンプルS4〜S6では、Liの過剰量γの増加に対して粒界抵抗が増大傾向になるとともに、イオン伝導率が低下傾向になっていた。この理由としては、以下に説明するように、Liの過剰量γが焼結体中における不純物相(第二相)の形成が影響していることが推察される。
図6〜図8はそれぞれ、サンプルS3,S5,S6,S7における第二相の存在の検証結果を示す説明図である。図6には、XRDによって得られたサンプルS3,S5,S6,S7についての回折パターンを示してある。図7には、サンプルS3,S5,S6,S7において検出された第二相の種類をまとめて表として示してある。図8には、サンプルS3,S6のそれぞれの断面を撮影した撮影画像を示してある。
Liの過剰量γが10.0mol%以下のサンプルS3については、第二相はほとんど検出されなかった。一方、Liの過剰量γが10.0mol%より大きいサンプルS4,S5についてはそれぞれ、NbPO5を含有する第二相が検出された。この結果から、第二相の発生を抑制するためには、Liの過剰量γは10.0mol%以下であることが望ましいことがわかる。なお、Liの過剰量γが0mol%より小さいサンプルS7においては、ZrP27を含有する第二相が検出された。これは、含有するLiの量がサンプルS7では不足していたためであると推察される。このように、リチウムイオン伝導性セラミックス材料を構成する焼結体において第二相の形成を抑制するためには、Liの過剰量γは2.9mol%より大きく、10mol%以下であることが望ましいと言える。ただし、Liの過剰量γが10.0mol%より大きいサンプルS4〜S6であっても、相対密度や粒界抵抗、イオン伝導率のいずれについても高い値が得られており、リチウムイオン伝導性セラミックス材料として問題なく使用することが可能である。
(7)製造工程におけるLiの過剰添加量:
焼結体におけるLiの過剰量γは、製造工程における原材料混合時のLiの過剰添加量aによって制御することができる。Liの過剰添加量aは、0mol%より大きければ良く、少なくとも、1.0mol%以上であることが望ましい。より詳細には、各サンプルS1〜S6の結果から、Liの過剰添加量aは、5.0mol%≦a≦30.0mol%の範囲内であることが好ましく(サンプルS1〜S6)、7.5mol%≦a≦20.0mol%の範囲内であることがより好ましい(サンプルS2〜S5)。また、サンプルS3におけるLiの過剰添加量10.0mol%に対して±10%の誤差範囲を考慮して、Liの過剰添加量aは、9.0mol%≦a<11.0mol%の範囲内であることがより好ましい。
(8)本焼成工程における焼成温度:
サンプルS7,S8では、焼成温度が高温である1200℃のサンプルS8の方が、焼成温度が低温である1050℃のサンプルS7よりも、相対密度が高くなるとともに(図4)、粒界抵抗が低下して、イオン伝導率が向上している(図5)。これに対して、サンプルS1〜S6では、サンプルS7と同じ焼成温度で焼成しているのにもかかわらず、サンプルS8よりも相対密度や粒界抵抗、イオン伝導率についてより良好な測定結果が得られている。
このように、Liが過剰に添加されているサンプルS1〜S6であれば、焼成工程において焼結助剤として機能するLiの含有量が確保されているため、比較的低い焼成温度であっても、良好な焼成結果が得られている。従って、Liを過剰に添加することによって、焼成温度を低くすることができ、リチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造効率が向上する。
ただし、本焼成工程では、焼成温度を900℃より低くすると焼結体を十分に焼き固めることができないなど、焼結性の制御が困難になる可能性がある。また、焼成温度を1100℃より高くすると焼成工程におけるコストが増大してしまう可能性がある。従って、本焼成の焼成温度Tは、900℃≦T≦1100℃の範囲内であることが望ましい。
[リチウムイオン伝導性セラミックス材料の実施例2]
図9は、リチウムイオン伝導性セラミックス材料のサンプルS11〜S13,S21,S22,S31,S41,S51,S52の製造条件と、各種の測定結果と、をまとめて表として示す説明図である。図9の表には、図3の表と同様に、各サンプルの製造条件として、Liの過剰添加量と、焼成温度と、が示されており、各サンプルの測定結果として、Liの過剰量と、各サンプルの相対密度と、粒界抵抗と、イオン伝導率と、が示されている。
サンプルS11〜S13は、上記の化学式(B)の式中のXが0.1である焼結体である。各サンプルS11〜S13は下記の化学式(Bb)によって表される。
Li0.9Zr1.9Nb0.1(PO43+yLi …(Bb)
サンプルS11では、製造工程におけるLiの過剰添加量が10.0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γが7.4mol%であった。これに対して、サンプルS12,S13では、製造工程におけるLiの過剰添加量が0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γがそれぞれ−2.3mol%と、−2.8mol%であった。また、サンプルS11,S12については焼成温度が1050℃であったのに対して、サンプルS13では焼成温度が1200℃であった。
製造工程においてLiが過剰に添加されたサンプルS11では、相対密度が95.3%であり、粒界抵抗が9700Ω・cmであり、イオン伝導率が2.0×10-5S/cmであった。これは、Liが過剰に添加されなかったサンプルS12,S13よりも著しく良好な結果であった。なお、サンプルS13は焼成温度がサンプルS12よりも高かったが、上記の通り、相対密度や粒界抵抗、イオン伝導率についての良好な結果は得られなかった。このように、上記の化学式(Bb)で表される焼結体においても、Liを過剰に添加されることによって、本焼成における焼成温度が低温であっても、強度や導電性が高められる。
サンプルS21,S22は、上記の化学式(B)の式中のXが0.2である焼結体である。各サンプルS21,S22は、下記の化学式(Bc)によって表される。
Li0.8Zr1.8Nb0.2(PO43+yLi …(Bc)
サンプルS21では、製造工程におけるLiの過剰添加量が10.0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γが7.9mol%であった。これに対して、サンプルS22では、製造工程におけるLiの過剰添加量が0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γが−2.2mol%であった。Liが過剰に添加されたサンプルS21では、相対密度が96.6%であり、粒界抵抗が2800Ω・cmであり、イオン伝導率が3.9×10-5S/cmであった。これは、Liが過剰に添加されなかったサンプルS22よりも著しく良好な結果である。このように、化学式(Bc)で表される焼結体においても、Liが過剰に添加されることによって、強度や導電性が高められる。
サンプルS31は、上記の化学式(B)の式中のXが0.4である焼結体である。サンプルS31は、下記の化学式(Bd)によって表される。
Li0.6Zr1.6Nb0.4(PO43+yLi …(Bd)
サンプルS31では、製造工程におけるLiの過剰添加量が10.0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γが7.5mol%であった。サンプルS31では、相対密度が97.6%であり、粒界抵抗が310Ω・cmであり、イオン伝導率が5.0×10-5S/cmであった。サンプルS31では、粒界抵抗がいずれのサンプルよりも低い値であった。このように、化学式(Bd)で表される焼結体においては、Liが過剰に添加されることによって高い強度や導電性が確保され、特に、粒界抵抗が著しく低減される。
サンプルS41は、上記の化学式(B)の式中のXが0.5である焼結体である。サンプルS41は、下記の化学式(Be)によって表される。
Li0.5Zr1.5Nb0.5(PO43+yLi …(Be)
サンプルS41では、製造工程におけるLiの過剰添加量が10.0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γが8.2mol%であった。サンプルS41では、相対密度が97.9%であり、粒界抵抗が2300Ω・cmであり、イオン伝導率が3.1×10-5S/cmであった。サンプルS41では、相対密度がいずれのサンプルよりも高い値であった。このように、化学式(Be)で表される焼結体においては、Liを過剰に添加されることによって高い強度や導電性が確保され、特に、強度が高められる。
サンプルS51,S52は、上記の化学式(B)の式中のXが0.7である焼結体である。各サンプルS51,S52は、下記の化学式(Bf)によって表される。
Li0.3Zr1.3Nb0.7(PO43+yLi …(Bf)
サンプルS51では、製造工程におけるLiの過剰添加量が10.0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰量γが7.8mol%であった。これに対して、サンプルS52では、製造工程におけるLiの過剰添加量が0mol%であり、焼結体におけるLiの過剰添加量γが−2.3mol%であった。Liが過剰に添加されたサンプルS51では、相対密度が97.1%であり、粒界抵抗が18000Ω・cmであり、イオン伝導率が1.1×10-5S/cmであり、Liが過剰に添加されなかったサンプルS52よりも著しく良好な結果が得られた。このように、化学式(Bf)で表される焼結体においても、Liが過剰に添加されることによって、強度や導電性が高められる。
以上のように、本実施形態の全固体電池10では、固体電解質層11を構成するリチウムイオン伝導性セラミックス材料が、その製造工程においてLiが過剰に添加されていることによって導電性及び強度が高められている。従って、全固体電池10の内部抵抗が低減されるとともに、全固体電池10の耐久性が高められている。
B.第2実施形態:
図10は、本発明の第2実施形態としての全固体電池10Aの構成を示す概略断面図である。第2実施形態の全固体電池10Aは、以下に説明する点以外は、第1実施形態の全固体電池10とほぼ同じ構成である。
第2実施形態の全固体電池10Aは、第1実施形態で説明した固体電解質層11とは構成材料が異なる固体電解質層11Aを備えている。第2実施形態の固体電解質層11Aは、NASICON型構造のリチウムアルミニウムチタンリン酸複合酸化物や、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸複合酸化物、ペロブスカイト型構造のリチウムランタンチタン複合酸化物によって構成される。より具体的には、第2実施形態の固体電解質層11Aは、Li(Al,Ti)2(PO43(いわゆるLATP)や、Li(Al,Ge)2(PO43(いわゆるLAGP)、La2/3-XLi3XTiO3(いわゆるLLT)によって構成されている。
第2実施形態の全固体電池10Aは、固体電解質層11Aと正極電極層12との間および固体電解質層11Aと負極電極層13との間にそれぞれ、第1と第2の保護層16,17が配置されている。第1と第2の保護層16,17は、第1実施形態で説明したLiが過剰に添加されているリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成されている。
第2実施形態の全固体電池10Aでは、第1と第2の保護層16,17によって、固体電解質層11が正極電極層12や負極電極層13に含有されている正極活性物質や負極活性物質に直接的に接触することが抑制されている。従って、正極活性物質や負極活性物質の接触による固体電解質層11の酸化劣化または還元劣化が抑制されている。
ここで、第1実施形態で説明したように、Liが過剰に添加されているリチウムイオン伝導性セラミックス材料は導電性が高められているため、第1と第2の保護層16,17を設けることによる全固体電池10Aの内部抵抗の増大が抑制されている。また、Liが過剰に添加されているリチウムイオン伝導性セラミックス材料は強度が高められているため、第1と第2の保護層16,17の薄型化が容易である。従って、第1と第2の保護層16,17を設けることによる全固体電池10Aの内部抵抗の増大や大型化の抑制が容易である。
以上のように、第2実施形態の全固体電池10Aでは、第1と第2の保護層16,17によって、固体電解質層11Aの酸化劣化または還元劣化が抑制されている。また、第1と第2の保護層16,17を設けることによる内部抵抗の増大や大型化が抑制される。
C.変形例:
C1.変形例1:
上記実施形態で説明したLiが過剰に添加されているリチウムイオン伝導性セラミックス材料は、上記実施形態で説明した全固体電池10,10A以外の種々の電池の材料として用いられても良い。なお、本明細書において「電池」とは、正極側と負極側の両方において酸化還元反応が行われて、正極と負極の間で電荷のやりとりが行われるものを意味する。
C2.変形例2:
上記第2実施形態の全固体電池10Aでは、固体電解質層11Aの両側に第1と第2の保護層16,17が設けられていた。全固体電池10Aでは、固体電解質層11Aの両側に第1と第2の保護層16,17が設けられていなくても良い。すなわち、第1と第2の保護層16,17は、いずれか一方が省略されても良い。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10,10A…全固体電池
11,11A…固体電解質層
12…正極電極層
13…負極電極層
14,15…第1と第2の集電部材
16,17…第1と第2の保護層

Claims (8)

  1. NASICON型の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性セラミックス材料であって、
    一般式:
    Li1-XZr2-XNbX(PO43(0≦X≦0.7)…(A)
    によって表される組成を有する焼結体に対してLiが過剰に添加されていることによって、
    化学式:
    Li1-XZr2-XNbX(PO43+yLi(0≦X≦0.7,y>0)…(B)
    として表される焼結体によって構成され、
    前記一般式(A)によって表される焼結体におけるLiの含有割合をβとするとき、前記化学式(B)によって表される焼結体におけるLiの含有割合αは、α>βの関係を満たす、リチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  2. 請求項1記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料であって、
    前記Liの含有割合αと、前記Liの含有割合βと、の差γが、
    2.9mol%≦γ≦28.0mol%
    である、リチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  3. 請求項2記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料であって、
    前記Liの含有割合αと、前記Liの含有割合βと、の差γが、
    5.5mol%≦γ≦17.8mol%
    である、リチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料であって、
    前記焼結体の相対密度は90%以上である、リチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料であって、
    前記焼結体におけるリチウムイオンの伝導率は1.0×10-5S/cm以上である、リチウムイオン伝導性セラミックス材料。
  6. リチウムイオン電池であって、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成された固体電解質層と、
    前記固体電解質層の両側に配置される電極と、
    を備える、リチウムイオン電池。
  7. リチウムイオン電池であって、
    正極と負極との間に配置される固体電解質層と、
    前記正極と前記固体電解質層との間と、前記負極と前記固体電解質層との間と、の少なくとも一方に配置される保護層と、を備え、
    前記保護層は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリチウムイオン伝導性セラミックス材料によって構成されている、リチウムイオン電池。
  8. NASICON型の結晶構造を有し、
    化学式:
    Li1-XZr2-XNbX(PO43+yLi(0≦X≦0.7,y>0)
    として表される焼結体によって構成されるリチウムイオン伝導性セラミックス材料の製造方法であって、
    Zrを含む材料と、Nbを含む材料と、をそれぞれ、前記化学式におけるZrとNbの組成比2−X,Xに応じた量で混合するとともに、Liを含む材料を、前記化学式におけるLiの組成比1−Xに応じた量より多く混合して混合材料を得る混合工程と、
    前記混合材料を仮焼成した後に成形して、焼成温度T(900℃≦T≦1100℃)で本焼成することによって前記焼結体を得る焼成工程と、
    を備える、製造方法。
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