JP2015077117A - Gps車速連動散布システム - Google Patents
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Abstract
Description
ちなみに、散布装置によって圃場に散布される被散布物としては、粉状、粒状、ペレット状などの肥料や薬剤などが挙げられる。
例えば、被散布物が湿気によってホッパ内壁面に沿って底部開口へ流下する被散布物の流動性(流れ)が悪くなることや、ホッパの底部開口や繰出しロール側の機械的な摩耗などによって生じる隙間などから被散布物が零れるなどによって、繰出しロールの回転数に応じて繰り出される散布量が、繰出しロールの回転数との関係から予め計測された実測値と異なり、変化することがある。
つまりは、繰出しロールの回転数に応じて繰り出される被散布物の散布量は、車体の作業速度に応じて予め計測された実測値とは異なり、当該実測値よりも被散布物の散布量が多すぎたり、逆に少なすぎるという不安定な増減散布となるなど、散布当日の環境条件などによって散布量が変化しているのが実情である。特に、散布量が実測値よりも過剰に多すぎることによる被散布物の無駄な消費が大きな問題になっている。
そのために、従来技術では、散布作業中の車体の作業速度に連動させて繰出しロールの回転数(回転速度)を制御可変しながら被散布物を散布する車速連動散布機能を備えていながら、過剰な散布によって肥料や薬剤などの被散布物の年間消費量が莫大になるなど、被散布物を大量に取り扱う農家などの消費者にとっては多大な失費となっているのが現状であった。
前記GPS受信機から得られる前記車体の作業速度に連動させて前記繰出しロールの回転数を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、散布作業開始前に、前記繰出しロールを予め設定された回転数の低速回転にて所定時間回転させる低速調量手段および前記前記繰出しロールを予め設定された回転数の高速回転にて所定時間回転させる高速調量手段と、前記低速調量手段および高速調量手段により現状の前記散布装置の前記ホッパから繰り出される被散布物のそれぞれの繰出し量から計量により得られるそれぞれの被散布物の計量値を少なくとも入力することで、散布作業を行なう圃場の面積当たりの被散布物の総散布量から散布作業の時間当たりの実散布量を算出する実散布量算出手段とを備えていることを特徴とする。
また、前記制御装置は、前記実散布量算出手段により実散布量が割り出し設定されるとき、駆動モータによる制御可能な繰出しロールの回転数の範囲内に車体の作業速度が入るように、当該作業速度の時間当たりの下限速度値から上限速度値の適正な速度範囲を算出する速度算出手段と、散布作業中、GPS受信機から得られる車体の作業速度が前記速度範囲内か否かを監視する速度監視手段と、該速度監視手段により車体の作業速度が前記速度範囲内から外れた速度異常と判定されたとき、速度異常を報知する速度異常報知手段をさらに備えている構成を採用することが好適なものとなる。
また、前記制御装置は、低速調量手段および高速調量手段によるホッパ内被散布物の低速回転時と高速回転時の繰出し量から計量により得られる計量値、散布装置の総散布巾、散布圃場の面積当たりの被散布物の総散布量から算出される散布作業の時間当たりの実散布量、これらの各種の調量設定情報を保存し、呼び出しを可能とするメモリ機能を備えている構成を採用することが好適なものとなる。
これにより、被散布物の無駄を省いて当該被散布物の年間消費量を大幅に削減し、被散布物を大量に取り扱う農家などの消費者の多大な失費を抑えることが期待できる。
これにより、前記した効果に加え、GPS受信機から得られる作業速度に連動させた適正な繰出しロールの回転数制御が可能な作業速度を監視しながら、車速連動の無駄のない散布量(現状の散布装置における実散布量)のもとで散布作業を遂行させることができる。
図1および図2は、本発明の実施形態に係るGPS車速連動散布システムを適用搭載させた自走式作業機の一例を示す説明図であり、図3および図4は、同GPS車速連動システムの散布装置の一例を示す説明図である。
GPS車速連動散布システムは、自走式作業機であるトラクタBの車体B1後部に搭載されて、トラクタBの作業速度に連動させた散布量にて被散布物Mを圃場に繰り出し散布する散布装置A1と、散布作業中のトラクタBの作業速度情報(車速信号情報)をGPS衛星からリアルタイムに受信するGPS受信機(GPSアンテナ)A2と、GPS受信機A2から得られるトラクタBの作業速度に連動させて散布装置A1の後記する繰出しロール2の回転数(駆動モータ3のモータ出力)を制御するなどの機能を有する制御装置A3とを備えて構成されている。
被散布物Mとしては、粒状、砂状、ペレット状などの各種の肥料や薬剤などを挙げることができる。
図3は、散布装置の一例を縦断面して示す説明図であり、図4は、同散布装置を後方から見たときの説明図である。ここでは、図1および図2を適宜参照しながら説明する。
この散布装置A1は、周知の構成を成している。すなわち、図3および図4に示すように、被散布物Mが収容されるホッパ1と、ホッパ1内の被散布物Mをトラクタの作業速度に連動させた回転によりホッパ1底部から繰り出す繰出しロール2および繰出しロール2を駆動回転させる駆動モータ3を有する散布部4と、散布部4の後記する分配漏斗5の各散布口に一端側が接続されて圃場の地表近くにわたり取り付けられる散布ホース(導出管)6を備えた構成を成している。
これにより、左右の繰出しロール2は、図4に示すように、左右の漏斗部1aの何れか一方の支持部材7の側方に位置して同軸上に取り付けられる一台の駆動モータ3により駆動回転するようになっている。
クランプ手段40は、分配漏斗5側に備えられる環状に引掛け部を有する締付け操作部40aと、支持部材7側に備えられる引掛け部40bとからなり、後記の図11の(a)示すように、分配漏斗5を支持部材7から適宜取り外すことができるようになっている。
GPS受信機A2は、例えば、トラクタBの運転席の屋根上などに設置されて(図1および図2参照)、制御装置A3に有線又は無線にて接続される。
このGPS受信機A2の基本構成としては特に限定されるものではない。例えば、複数のGPS衛星からの散布作業中のトラクタBの作業速度情報(車速信号情報)をリアルタイムに受信し、トラクタBの現在走行位置データとして記憶するとともに、時計回路で計測される所定時間毎にトラクタBの現在走行位置データを更新しながらトラクタBの移動距離を算出し、当該時計回路による所定時間おきにトラクタBの作業速度を、制御装置A3のマイクロコンピュータ内蔵の速度算出手段(図示省略)により算出する構成とすることができる。
つぎに、本実施形態に係るGPS車速連動散布システムの制御装置A3について説明する。
図5は、GPS車速連動散布システムを概略的に示すシステム構成ブロック図であり、図6は、操作パネルの一例を正面から見たときの説明図であり、図7および図8は、操作パネルの液晶表示部に表示される表示内容の一例を示す説明図である。ここでは、図1および図2を適宜参照しながら説明する。
この制御装置A3は、散布作業中に、GPS受信機A2から得られるトラクタBの作業速度(車速信号)を取り込みながら、当該作業速度に連動させた回転数(rpm)にて散布装置A1の繰出しロール2を駆動回転させるように駆動モータ3のモータ出力(%)を制御する機能を備えている。
また、制御装置A3は、後記する低速調量手段11および高速調量手段12により現状の散布装置A1のホッパ1から繰り出されるそれぞれの被散布物Mの繰出し量(kg/s)から秤D計測(図11のc参照))により得られる低速回転時および高速回転時のそれぞれの計量値(kg)と、散布作業を行なう圃場の単位面積当たりの被散布物Mの散布量(総散布量)、そしてロータリ巾(総散布巾)Lとから、散布当日における現状の散布装置A1の散布作業の単位時間当たりの正確な実散布量(kg/min)を、後記する実散布量算出手段13により算出する機能を備えている。
また、制御装置A3は、GPS受信機A2から得られるトラクタBの作業速度が、下限速度値から上限速度値の適正な速度範囲内か否かを監視し、当該速度範囲から作業速度が外れた場合には作業者(オペレータ)に警告音などで報知する機能を備えている。
また、制御装置A3は、操作パネル10aに配置される液晶表示部(ディスプレイ)27、GPS連動/解除モードであるGPS連動/解除ランプ28,29、GPS受信中ランプ30、メモリ機能ボタン20を押すことで切り換わるメモリ1,2ランプ31a,31b、さらに速度異常報知手段16の速度異常ランプ32およびブザー33、不揮発メモリ34などを備えている。
低速調量手段11は、散布作業開始前の調量設定時に、図7の(a)〜(n)に示すように、液晶表示部27に調量1の表示内容にて、また、高速調量手段12は、調量2の表示内容にて、散布量(圃場の面積当たりの総散布量)とロータリ巾(総散布巾)とともに表示されるように不揮発メモリ34に書き込み設定されている。
例えば、低速調量手段11は、20%のモータ出力で30秒間、駆動モータ3を駆動させるようにマイクロコンピュータに設定されている。このときの繰出しロール2の回転数は11rpmである。一方、高速調量手段12は、90%のモータ出力で30秒間、駆動モータ3を駆動させるようにマイクロコンピュータに設定されている。このときの繰出しロール2の回転数は50rpmである。
つまり、散布作業開始前の調量設定時に、作業者がダウン/アップボタン25により操作パネル10aの液晶表示部27に表示されている調量1を選択することで、駆動モータ3が20%のモータ出力で駆動して繰出しロール2を回転数11rpmの低速回転にて30秒間回転させる。一方、調量2を選択することで、駆動モータ3が90%のモータ出力で駆動して繰出しロール2を回転数50rpmの高速回転にて30秒間回転させるように低速調量手段11および高速調量手段12は設定されている。
例えば、20%のモータ出力で30秒間、駆動モータ3が駆動して繰出しロール2を低速回転させる低速調量手段(調量1)11では1.2kgの計量値が得られ、90%のモータ出力で30秒間、駆動モータ3が駆動して繰出しロール2を高速回転させる高速調量手段(調量2)12では4.3kgの計量値が得られるものである。なお、この計量値は、砂状やペレット状などの被散布物Mの種類などによって異なることは言うまでもの無い。
つぎに、散布当日の現状の散布装置A1の散布時間の時間当たりの実散布量(kg/min)を算出する実散布量算出手段13について説明する。
この実散布量算出手段は13、以下に示す一次関数方程式(直線の方程式)を備えている。一次関数方程式は、マイクロコンピュータにプログラムされている。
まず、10アールの圃場にロータリ巾1.7mで散布作業する場合を距離に換算すると、
1000m2÷(1.7m−0.1m)=625m
625m÷1000=0.625km
となる。ここで、−0.1mは、ロータリの重ね代である。
つぎに、10アールの作業時間(T)を求めると、
0.625km÷2.0km/h=0.3125h≒18.78min
0.3125h×60min=18.75min
となる。
つまり10アールの作業時間(T)を求める方程式
T=1000m2÷(1.7m-0.1m)÷1000÷ν×60min
が成り立つ。
Y2−Y1 4.3−1.2
a= = = 0.044
X2−X1 90−20
となる。
つぎに、一次関数グラフの傾きaより一次関数方程式を求めると、
y=ax+b
4.3=0.044×90+b
b=0.34
となる。
つまり、低速調量手段(調量1)11と高速調量手段(調量2)12からなる一次方程式は、
y=0.044+0.34
となる。
まず、1分間当たりの実散布量(kg/min)=10アール当たりの散布量(kg)÷10アールの作業時間(min)
60kg÷18.75min=3.2kg/min
つぎに、以下の数式で求められる一次関数方程式に3.2kgを代入する。
y(座標軸)=0.044x+0.34にy=3.2kgを代入
3.2=0.044+0.34
x(座標軸)=65
となる。
つまり、10アール当たりの散布量(総散布量)60kg、トラクタBのロータリ巾1.7m、GPS速度2.0km/hとして、1分間当たりの実散布量3.2kg/minにて散布作業を行なう場合、一次関数グラフで示すように、駆動モータ3のモータ出力を65%で制御することになる。これにより、2.0km/hのトラクタBの作業速度に連動させて散布量(総散布量)60kgのホッパ1内被散布物Mを10アール当たりの圃場に散布する場合、駆動モータ3のモータ出力を65%に制御して繰出しロール2を回転数36rpmにて駆動回転させることで、1分間当たり3.2kg/minの実散布量にて10アール当たりの圃場への散布作業を遂行(実行)されることができる。
つぎに、実散布量算出手段13により割り出された現状の散布装置A1の実散布量にてホッパ1内被散布物Mを繰り出す回転数にて繰出しロール2を駆動回転させる駆動モータ3の出力制御可能なトラクタBの作業速度の時間当たりの下限速度値から上限速度値の適正な速度範囲を算出するための速度算出手段14について説明する。
この速度算出手段14は、以下に示す数式を備えて、駆動モータ3のモータ出力10%〜95%の間におけるトラクタBの作業速度の時間当たりの制御可能な速度範囲の下限速度値と上限速度値をそれぞれ算出するように構成されている。この数式は、マイクロコンピュータにプルグラムされている。
そして、この速度算出手段14により算出されて設定される下限速度値から上限速度値の速度範囲情報は、マイクロコンピュータ(一次保存メモリ)に送られて書き込み保存される。
・低速調量手段(調量1)(低速回転 モータ出力20%):計量値1.2kg
・高速調量手段(調量2)(高速回転 モータ出力90%):計量値4.3kg
・y=1分間当たりの散布量(kg/min)
・x=モータ出力(%)
この条件からなる一次方程式 y=0.044x+0.34とすると、
y=0.044x+0.34にx=10%を代入
y=0.044×10+0.34
y=0.78
となる。
そして、1分間当たりの散布量=10アール当たりの散布量(総散布量)÷10アールの作業時間の式により
・y=1分間当たりの散布量(kg/min)
・T=10アール当たりの作業時間(min)
・60kg:10アール当たりの散布量(総散布量)
0. 78=60÷T
T=76.92min
そして、前記詳述の低速調量手段(調量1)11および高速調量手段(調量2)12によるホッパ1内被散布物Mの繰出し量(kg/s)、そして低速回転時と高速回転時のそれぞれの繰出し量の秤D計測により得られるそれぞれの計量値(kg)から現状の散布装置A1の時間当たりの実散布量(kg/min)を実散布量算出手段13により算出するときの10アール当たりの作業時間(T)を求める方程式
T=1000m2÷(L-0.1m)÷1000÷ν×60min
により下限速度値ν1を求めると、
上式にT=76.92min、L=1.7m(ロータリ巾)を代入
76.92min=1000m2÷(1.7m-0.1m)÷1000÷ν1×60min
76.92min=0.625km÷ν1×60min
ν1=0.49km/h≒0.5km/h
となる。
つまり、速度範囲の下限速度値ν1は、0.5km/hとなる。
y=0.044x+0.34にx=95%を代入
y=0.044×95+0.34
y=4.52
そして、1分間当たりの散布量=10アール当たりの散布量(総散布量)÷10アール当たりの作業時間の式により
・y=1分間当たりの散布量(kg/min)
・T=10アールの作業時間(min)
・60:10アール当たりの総散布量(kg)
4.52=60÷T
T=13.27min
そして、前記の下限速度値ν1と同様に、低速調量手段(調量1)11および高速調量手段(調量2)12によるホッパ1内被散布物Mの繰出し量(kg/s)、そして低速回転時と高速回転時のそれぞれの繰出し量の秤D計測により得られるそれぞれの計量値(kg)から現状の散布装置A1の時間当たりの実散布量(kg/min)を実散布量算出手段13により算出するときの10アールの作業時間(T)を求める方程式
T=1000m2÷(L-0.1m)÷1000÷ν×60min
により上限速度値ν2を求めると、
上式にT=13.27min、L=1.7m(ロータリ巾)を代入
13.27min=1000m2÷(1.7m-0.1m)÷1000÷ν2×60min
13.27min=0.625km÷ν2×60min
ν2=2.83km/h≒2.8km/h
となる。
つまり、速度範囲の上限速度値ν2は、2.8km/hとなる。
このようにして求められた下限速度値0.5km/hから上限速度値2.8km/hの適正な速度範囲情報はマイクロコンピュータ(一次保存メモリ)に送られて書き込み保存される。
つぎに、散布作業中のトラクタBの作業速度が、速度算出手段14に算出設定された下限速度値(例えば、0.5km/h)から上限速度値(例えば、2.8km/h)の適正な速度範囲内に入っているか否かを監視する速度監視手段15について説明する。
つまり、GPS受信機A2から得られるトラクタBの作業速度が、当該作業速度に連動させた回転数にて繰出しロール2を駆動回転させるように駆動モータ3のモータ出力を制御できる速度範囲から外れた場合、作業者に作業速度の異常を知らせる速度異常信号を速度異常報知手段16に送信するように構成されている。
なお、速度監視手段15から速度異常報知手段16への速度異常信号の送信は、GPS受信機A2から得られる作業速度が、駆動モータ3のモータ出力を制御できる速度範囲から外れたと速度監視手段15が検出判定してから3秒以上続いた場合に送信されるように設定されている。
つぎに、散布作業中のトラクタBの作業速度が、速度算出手段14に算出設定された下限速度値(例えば、0.5km/h)から上限速度値(例えば、2.8km/h)の適正な速度範囲内から外れたと速度監視手段15が判定した場合、作業者に速度異常を報知する速度異常報知手段16について説明する。
この速度異常報知手段16は、速度異常ランプ(発光ダイオードやハロゲンランプなど)32、そしてブザー33を備えている。これにより、速度監視手段15から速度異常信号が送信されてきたとき、速度異常ランプ32を点灯、または、点滅、そしてブザー33を鳴らすなどによって、トラクタBの作業速度が異常であることを作業者(オペレータ)に知らせるように構成されている。
メモリ機能は、調量設定時に操作パネル10aの液晶表示部27に外部数値入力により設定される図7の(n)に示す調量設定内容(散布量、ロータリ巾、調量1,2)をそれぞれ保存したり、それぞれに既に保存されている調量設定内容を呼び出すメモリ1とメモリ2を備えている(図8の(s)参照)。
このメモリ機能は、メモリ機能ボタン20を押すことで、操作パネル10aの液晶表示部27に図8の(r)に示すメモリ機能の選択画面が表示される。そして、ダウン/アップボタン25により矢印を移動させることで、メモリ保存か、メモリ呼出しかの何れかを選択できるように構成されている。
すなわち、メモリ機能のメモリ1またはメモリ2に保存された調量設定内容は、数日後に行なわれる散布作業のときに、前回の散布作業時に設定された現状の散布装置A1の実散布量の調量設定内容として呼び出すことで再利用できるようになっている。そして、既に調量設定内容が保存されているメモリ機能のメモリ1またはメモリ2に数日後の調量設定内容を保存する場合には、上書き保存されるように構成されている。
これにより、作業者は、散布作業を開始するときに、メモリ機能のメモリ1またはメモリ2の何れかに記憶保存されている散布装置A1の調量設定情報をメモリ機能ボタン20とダウン/アップボタン25により選択することで、前回の散布作業時のときの調量設定情報をもとに、トラクタBの作業速度に連動させた回転数にて繰出しロール2を駆動回転させるように駆動モータ3のモータ出力を制御させながら散布作業を遂行させることができる。つまり、作業者は、メモリ1またはメモリ2に記憶保存されている数日前の調量設定内容をもとに、数日後の散布作業を遂行させることができる。
散布量微調整ツマミ26は、調量設定時に実散布量算出手段13により割り出された現状の散布装置A1の実散布量によるGPS連動モード(車速連動)による散布作業中において、作業者が自ら+側または−側に回す手動にて実散布量などを微調整するためのものである。
例えば、砂状、ペレット状などの被散布物Mの種類により異なる実散布量算出手段13により割り出された実散布量を微調整、または、図2および図4に示すように、独立の駆動モータ3をそれぞれ備える左右一対の散布装置A1のうち、いずれか一方の散布装置A1の実散布量算出手段13により割り出された実散布量を微調整するためのものである。
つまり、左右一対の散布装置A1からそれぞれ繰り出される被散布物Mの繰出し量(散布量)の微量なバラツキが気になる場合、作業者が散布量微調整ツマミ26を+側または−側に回す手動にて実散布量を微調整するものである。
なお、この散布量微調整ツマミ26による散布量の微調整は、GPS連動モードのみにおいて機能するようになっている。
図9〜図10は、GPS連動モードによる調量設定(現状の散布装置における圃場面積当たりの被散布物の総散布量から、散布作業の時間当たりの実散布量を算出設定する)時の動作フローチャートであり、図11は、調量設定時における低速調量手段および高速調量手段による単位時間当たりの被散布物の繰出し量の測定と繰出し量の秤計測に用いる説明図である。ここでは、図7の(a)〜(o)を適宜参照しながら説明する。なお、図7の(c)〜(m)において、点線で囲まれた表示部分が点滅状態にあることを意味する。
点滅が散布量表示の数値入力位置に移動したことを確認し、当該数値入力位置に10アール当たりの散布量(総散布量)として60(kg)をダウン/アップボタン25を押して数値入力する(図7の(e)参照)。散布量の数値入力が終了したところで、OKボタン23を押す。すると、点滅が数値入力位置から散布量表示位置に移動する(戻る(S5))。これにより散布量への数値入力が確定する。
容器Cのセットが完了したところで、ダウン/アップボタン25のダウンボタン側を押して、点滅を調量1に移動させ(S8、図7の(h)参照)、OKボタン23を押す。すると、点滅が調量1の数値入力位置に移動する(S9、図7の(i)参照)とともに、散布装置A1の散布部4の駆動モータ3が、10%のモータ出力で30秒間低速回転して繰出しロール2を駆動回転させる(S10)。すると、図11の(b)に示すように、繰出しロールの30秒間の低速回転によりホッパ1から容器C内に被散布物Mが繰出し排出される。
30秒経過後、駆動モータ3が停止(S11)したところで、容器Cを外し、容器C内に繰出し排出された被散布物Mの繰出し量(重さ)を容器C毎、図11の(c)に示すように、秤Dにて計量する。秤D計量により得られた低速回転時の計量値をダウン/アップボタン25により調量1の点滅する数値入力位置に入力する。例えば、調量1の計量値として1.2(kg)を外部入力して(図7の(j)参照)、OKボタン23で確定させる。
30秒経過後、駆動モータ3が停止(S15)したところで、調量1と同様に、容器Cを外し、容器C内に繰出し排出された被散布物Mの繰出し量(重さ)を容器C毎、秤Dにて計量する。秤D計量により得られた計量値をダウン/アップボタン25により調量2の数値入力位置に外部入力する。例えば、調量2の計量値として4.3(kg)を外部入力して(図7の(m)参照)、OKボタン23で確定させる。
設定ボタン22による数値入力内容が確定されると、散布当日における現状の散布装置A1による10アール当たりの圃場面積に対して散布する被散布物Mの散布量(総散布量)60kgと、10アールの作業時間18.75分から、1分間当たり実散布量3.2kg/minが、前記詳述の実散布量算出手段13により算出される(S17)。
これにより、散布当日の天気や湿度などの環境条件や散布装置A1自体の機械的劣化などによる散布量の変動の影響を受けることなく、トラクタBの作業速度に連動させた正確、かつ、適正な実散布量にてホッパ1内被散布物Mを散布することができる。
図12は、GPS連動モードによる散布作業における作業速度の適正速度を監視する動作フローチャートである。
つぎに、調量設定作業による現状の散布装置A1の散布作業の時間当たりの実散布量の算出、そして、この調量設定のときに行なわれる作業速度の適正な速度範囲の算出が完了したところで、操作パネル10aのモータ運転スイッチ18をオンにして、シャッタ9を開き、ロータリB2を降ろしてトラクタBを走行させて散布作業を開始する。このとき、作業者(オペレータ)は、GPS受信中ランプ30が点灯しているか否かを確認し、点灯していない場合には点灯するまで待つ(S20)。
GPS受信中ランプ30が点灯したところで、トラクタBを走行させる。すると、GPS受信機A2から得られるトラクタBの作業速度に連動させた回転数にて散布装置A1の繰出しロール2を駆動回転させるように駆動モータ3のモータ出力を制御しながらホッパ1内の被散布物Mを分配漏斗5に繰り出し、散布ホース6にて圃場に散布する散布作業が開始する。
このとき、速度監視手段15が速度異常と判定してから3秒以内にトラクタBの作業速度が適正な速度範囲内に戻ったときには速度監視手段15から速度異常報知手段16に速度異常信号は送信されずに散布作業は継続される。一方、3秒以上経過しても作業速度が適正な速度範囲内に戻らなかったときには速度監視手段15から速度異常報知手段16に速度異常信号が送信される(S25)。速度監視手段15から速度異常報知手段16に速度異常信号が送信されると、速度異常報知手段16から速度異常ランプ32、ブザー33に動作信号が送信され、速度異常ランプ32が点灯し(S26)、ブザー33が鳴る(S27)。
これにより、GPS受信機A2から得られる現在のトラクタBの作業速度に連動させた回転数にて繰出しロール2を駆動回転させる駆動モータ3のモータ出力制御が不能になったことを作業者に知らせることができる。
つぎに、操作パネル10aのGPS連動/解除モード切替ボタン19によりGPS解除モードに切り替え選択した場合の散布作業、所謂手動散布について簡単に説明する。
図13は、GPS解除モードによる散布作業の一例を示す動作フローチャートである。ここでは、図8の(p)および(q)を適宜参照しながら説明する。なお、図8の(p)および(q)において、点線で囲まれた表示部分が点滅状態にあることを意味する。
GPS解除モードによる手動散布は、主に、天候や近くに障害物があるなどによってGPS衛星からの受信状態が悪かったり、受信状態が一時的に低下した場合などには受信状態が正常に戻る間、などにおいて行なわれるものである。
このGPS解除モードでの手動散布作業では、操作パネル10aの電源スイッチ17をオンにしてコントローラ10を起動させ、GPS連動/解除モード切替ボタン19によりGPS解除モードを選択する。すると、操作パネル10aのGPS解除ランプ29が点灯し(S28)、液晶表示部27の画面表示が不揮発メモリ34から呼び出された図8の(p)に示す上段から速度、目盛りの表示内容のGPS解除モードによる散布作業の表示画面に切り換わる(S29)。
これにより、被散布物の無駄を省いて当該被散布物の年間消費量を大幅に削減し、被散布物を大量に取り扱う農家などの消費者の多大な失費を抑えることができるなどを期待することができる。
これにより、散布作業中、作業者は液晶表示部27に表示される現在の作業速度と適正な速度範囲の下限速度値から上限速度値を確認しながらトラクタBを走行させて散布作業を継続遂行させることができる。
これにより、作業者は、操作パネル10aに液晶表示部27に表示されている現在の速度を確認してトラクタBの作業速度を適正な速度範囲に戻すように速度を上げるか、下げるか、または、散布作業を中止する処置を取ることができるので、GPS受信機A2から得られる作業速度に連動させた繰出しロール2の回転数の制御(駆動モータ3のモータ出力の制御)が困難になることで招く、単位面積当たりの被散布物Mの無駄な散布作業を未然に防ぐことができる。つまり、実散布量算出手段13により算出された実散布量よりも散布量が少なくなったり、逆に多すぎるなどのバラツキの無い平均した散布量にて散布作業を遂行(実行)させることができる。
1 ホッパ
2 繰出しロール
3 駆動モータ
A2 GPS受信機
A3 制御装置
10 コントローラ
10a 操作パネル
11 低速調量手段(調量1)
12 高速調量手段(調量2)
13 実散布量算出手段
14 速度算出手段
15 速度監視手段
16 速度異常報知手段
17 電源スイッチ
18 モータ運転スイッチ
19 GPS連動/解除モード切替ボタン(GPS連動/解除モード切替手段)
20 メモリ機能ボタン(メモリ機能)
27 液晶表示部
28 GPS連動ランプ(GPS連動モード)
29 GPS解除ランプ(GPS解除モード)
31a メモリ1ランプ(メモリ機能)
31b メモリ2ランプ(メモリ機能)
32 速度異常ランプ
B トラクタ
B1 車体
B2 ロータリ
C 容器(バケツ)
D 秤
M 被散布物
Claims (5)
- 被散布物が収容されるホッパと、該ホッパ内被散布物を繰り出す繰出しロールと、該繰出しロールを駆動回転させる駆動モータとを有する散布装置と、
前記散布装置を搭載して散布作業を行う車体の作業速度情報をGPSから受信するGPS受信機と、を備え、
前記車体の作業速度に連動して回転する前記繰出しロールにより前記ホッパ内被散布物を繰り出しながら圃場に散布する構成のGPS車速連動散布システムであって、
前記GPS受信機から得られる前記車体の作業速度に連動させて前記繰出しロールの回転数を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、散布作業開始前に、前記繰出しロールを予め設定された回転数の低速回転にて所定時間回転させる低速調量手段および前記繰出しロールを予め設定された回転数の高速回転にて所定時間回転させる高速調量手段と、
前記低速調量手段および高速調量手段により現状の前記散布装置の前記ホッパから繰り出される被散布物のそれぞれの繰出し量から計量により得られる低速回転時および高速回転時のそれぞれの被散布物の計量値を少なくとも入力することで、散布作業を行なう圃場の面積当たりの被散布物の総散布量から散布作業の時間当たりの実散布量を算出する実散布量算出手段と、
を備えていることを特徴とするGPS車速連動散布システム。 - 前記制御装置の前記実散布量算出手段は、前記低速調量手段および高速調量手段によるそれぞれの前記繰出し量から計量により得られる前記計量値、圃場の面積当たりの被散布物の総散布量に加えて、前記散布装置の総散布巾から散布作業の時間当たりの前記実散布量を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載されたGPS車速連動散布システム。
- 前記制御装置は、駆動モータによる制御可能な繰出しロールの回転数の範囲内に車体の作業速度が入るように、当該作業速度の時間当たりの下限速度値と上限速度値からなる速度範囲を算出する速度算出手段と、
散布作業中、GPS受信機から得られる車体の作業速度が前記速度範囲内か否かを監視する速度監視手段と、
該速度監視手段により車体の作業速度が前記速度範囲内から外れた速度異常と判定されたとき、速度異常を報知する速度異常報知手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載されたGPS車速連動散布システム。 - 前記制御装置は、GPS連動/解除モード切替手段により切り替えるGPS連動モードとGPS解除モードを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載されたGPS車速連動散布システム。
- 前記制御装置は、低速調量手段および高速調量手段によるホッパ内被散布物の低速回転時と高速回転時の繰出し量から計量により得られるそれぞれの計量値、散布装置の散布巾、圃場の面積当たりの被散布物の総散布量から算出される散布作業の時間当たりの実散布量、これら各種の調量設定情報を記憶保持し、呼び出しを可能とするメモリ機能を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載されたGPS車速連動散布システム。
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