以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1を参照して、本発明の一の実施の形態に係る硬貨処理装置10の保留部1並びに通路切替機構の構成を説明する。保留部1は保留筒2とシャッタ3とを含んで構成される。保留筒2は複数の硬貨を収容して一時的に保留することができるように設けられる。一時的とは、例えば、利用者による硬貨の投入があった時から、その後、再度硬貨の投入があるまでの間である。複数の硬貨は複数の異なる種類(金種)の硬貨を含んでもよい。本実施の形態では、保留筒2は、5円硬貨と50円硬貨とを合わせて収容するように設けられる。このため、保留筒2の断面積は、複数の異なる種類の硬貨のうちの最大の平面積を有する種類の硬貨の平面積を収容することができる断面積に設けられる。本実施の形態では、保留筒2の断面形状は、5円硬貨の平面積を収容することができる断面積を有するように設けられる。なお保留する硬貨は、6金種に対して2種類を選択するものである。収納放出部19に収納する硬貨の選択次第で、500円硬貨が保留筒2に保留すべき2金種の1つとなる場合もあり得る。その場合にも対応できるように、保留筒2の断面積は、6金種のうちの最大の硬貨である500円硬貨の平面積を収容することができるように定めるとよい。
本実施の形態の保留筒2は、四角形の断面形状を有するシュート形状に設けられる。この場合には、板金により容易に保留筒2を設けることができる。保留筒2は、鉛直方向最上部の入口2aから最下部の出口2bに向けて末広がりに設けられる。すなわち、保留筒の出口2bの断面積は入口2aの断面積よりも大きく設けられる。このように設けると、保留筒2の内部で硬貨がブリッジして詰まってしまうことを防ぐことができる。このため、硬貨処理装置10は確実に硬貨を処理することができる。なお、他の実施の形態では、硬貨処理装置は、保留筒内に残留する残留硬貨を検出するための残留硬貨検出センサ(不図示)を更に備えるものとしてもよい。このように設ける場合には、保留筒の内部で硬貨がブリッジしたとしても、ブリッジした硬貨を残留硬貨検出センサで検出することができる。
また、本実施の形態の保留筒2のメンテナンス側(手前側、保守側)の壁板2cは、メンテナンスの際に、一時的に取り外すことができるように設けられる。図1では、メンテナンス側の壁板2cを保留筒2から取り外した状態を示している。このように設ける場合には、メンテナンス側の壁板2cを取り外した際に、保守作業者は、保留筒2の内部に保留された硬貨を硬貨処理装置10の外へ直接手で掴んで取り出すことができる。このため、更に容易に硬貨処理装置10のメンテナンスを行うことができる。なお、他の実施の形態では、メンテナンス側の壁板は、蝶番(不図示)等を用いて保留筒に開閉可能に固定されるものとしてもよい。この場合には、メンテナンス側の壁板は保留筒からは取り外されない。しかしながら、この場合にも同様に、保守作業者は、メンテナンス側の壁板を開いた状態で、保留筒の内部に保留された硬貨を硬貨処理装置の外へ取り出すことができる。
また、保留筒2のメンテナンス側の壁板2cには、確認窓(貫通穴)2dが設けられる。このように設けると、保留筒2のメンテナンス側の壁板2cを取り外すことなく、確認窓2dを通して外部から保留筒2の内部の硬貨の状態を目視して確認することができる。このため、更に容易に硬貨処理装置10をメンテナンスすることができる。確認窓2dは、メンテナンス側の壁板2cと対面する背面側(奥側)の壁板にも設けることができる。この場合には、背面側の壁板に設けられた確認窓2dから保留筒2の内部に明かりを取り込むことができるから、保留筒2の内部を逆光で照明した状態で、メンテナンス側の壁板2cに設けられた確認窓2dから保留筒2の内部の硬貨の状態を目視して確認することができる。このため、更に容易に硬貨処理装置10をメンテナンスすることができる。確認窓2dの開口の大きさは、取り扱う硬貨のうち最小の硬貨よりも小さく設けられる。
保留筒2の鉛直方向下方には、出口2bを塞ぐように保留筒2の底を形成するシャッタ3が設けられる。シャッタ3は、保留筒2の内部に収容された硬貨をその最上面に位置する硬貨載置面上に載置する。シャッタ3はシャッタ回動軸4によって軸支され、シャッタ回動軸4の回りを回動方向Rの方向に自在に回動(枢動)することができるように設けられる。このように設けると、シャッタ3の回動により保留筒2の底を自在に開閉することができる。シャッタ3の硬貨載置面のシャッタ回動方向Rの長さは、保留筒2の出口2bのシャッタ回動方向Rの長さよりも長く設けられる。このように、シャッタ3の硬貨載置面のシャッタ回動方向Rの長さがマージンを有する(あるいは繋ぎ目を入れ子構造とする)ように設けると、後に詳述するシャッタ3の回動の位置制御に位置ズレが生じてしまったような場合にも、保留筒2から硬貨が脱落して落下してしまうことを防ぐことができる。このため、硬貨処理装置10は確実に硬貨を処理することができる。
シャッタ3は、保留筒2の内部に収容された硬貨を、硬貨処理装置10を備える取引装置の後に詳述する金庫部14(図3参照)に収納する第1の方向としての収納通路11(一方の通路)に向かう方向、又は利用者に硬貨を返却する第2の方向としての返却通路12(他方の通路)に向かう方向のいずれかの方向に放出するように切替を行うことができる。すなわち、シャッタ3は通路切替機構を構成する。このような通路切替機構を有する硬貨処理装置10を備えることのない他の取引装置では、後に詳述するように、取引装置が取り扱うことのできない金種の硬貨については取引装置内に収納することなく、出金口から硬貨を放出して利用者に硬貨を返却(出金)していた。通路切替機構を有する本実施の形態の硬貨処理装置10を備える取引装置では、通路切替機構が金庫部14に向けて硬貨を放出して金庫部14内に硬貨を収納するように設けることができる。このように、通路切替機構を有する硬貨処理装置10を備える取引装置は、より多くの金種の取り扱いに対応することができる。
シャッタ3は、硬貨処理装置10が備える電動モータ5によって回動されてシャッタ回動軸4回りに回動する。本実施の形態では、電動モータ5はステッピングモータを含んで構成される。また、本実施の形態の電動モータ5は伝動ベルト8を介して、シャッタ3を回動する回動力をシャッタ回動軸4に伝達するように設けられる。伝動ベルト8は、電動モータ5の出力軸とシャッタ回動軸4との間に架け渡されて、電動モータ5の回動出力をシャッタ回動軸4に伝達する。このように設けると、電動モータ5をシャッタ回動軸4から離間した所望の位置に配置してシャッタ3を回動することができる。このため、硬貨処理装置10の内部における電動モータ5の配置の自由度を向上することができる。このように設ける場合には、硬貨処理装置10の所望の空きスペース内に電動モータ5を配置することができるから、硬貨処理装置10を小型に設けることができる。硬貨処理装置10を小型に設けると、硬貨処理装置10を備える取引装置への硬貨処理装置10の内蔵を容易とすることができるから、硬貨処理装置10の汎用性を高めることができる。
なお、本実施の形態の伝動ベルト8は、歯付ベルトを用いて設けられている。このように設ける場合には、ベルトの滑りを防ぐことができるから、精度良くシャッタ3の回動制御を行うことができる。
電動モータ5の回動は、硬貨処理装置10が備える制御装置6により制御される。図示するように、制御装置6は、電動モータ5を駆動してシャッタ3を所望の位置に移動するように制御する、シャッタ位置制御部6bを有する。また、制御装置6は、シャッタ3が硬貨載置位置(定位置)にあるときに、シャッタ3を硬貨載置位置に保持するように制御する、シャッタ位置保持制御部6cを有する。また、制御装置6は、制御のための演算を行うことができる小型演算装置(MPU)6aと、制御装置6によるシャッタ3の制御の履歴を記録しておくことができる記録部6dと、硬貨処理装置10を備える取引装置の制御装置(不図示)と相互に通信することができるように設けられた通信部6eとを有する。
シャッタ位置制御部6bは、電動モータ5の回動を制御することにより、シャッタ3がシャッタ回動軸4の回りの所望の位置に位置するように位置制御を行うことができるように設けられる。シャッタ位置制御部6bによる位置制御に従って、シャッタ3は、図1に示す硬貨載置位置(定位置)、後に詳述する硬貨を収納通路11に向けて放出する第1の位置としての収納位置(図2(a)参照)又は硬貨を返却通路12に向けて放出する第2の位置としての返却位置(図2(b)参照)の3位置のいずれかの所望の位置に位置するように電動モータ5により駆動される。
シャッタ位置保持制御部6cは、シャッタ3が硬貨載置位置(定位置)にあるときに、電動モータ5を励磁する。電動モータ5が励磁されると、電動モータが所定の保持トルク(ホールディングトルク、静止トルク)を有してシャッタ3を硬貨載置位置に保持する。このように、シャッタ位置保持制御部6cは、シャッタ3が硬貨載置位置にあるときに電動モータ5を励磁して、シャッタ3を所定の保持トルクで定位置に保持するように制御を行う。言い換えれば、シャッタ位置保持制御部6cは、シャッタ5が硬貨載置位置にあるときに、電動モータ5が有する回動機構を用いて、電動モータ5を定位置に電磁ロックするように制御を行う。このように設けると、上述の特許文献1に開示される従来の硬貨処理装置のように、カム機構、ソレノイド等の電動モータの外部に設けられる外付けのロック機構(デッドロック機構)を備えることなく電動モータ5を定位置にロックすることができる。このため、従来の硬貨処理装置よりも小型の硬貨処理装置10を提供することができる。シャッタ3は少なくとも入金処理中(後に詳述する「入金時」の期間)は定位置にロックして不意な移動をしないように構成することが望ましい。
なお、シャッタ位置保持制御部6cは、電動モータ5を回動する際の回動トルクよりも大きな保持トルクで電動モータ5を定位置に保持するように制御することができる。このように設けると、シャッタ3を定位置に確実に保持しておくことができるから、シャッタ3の駆動又はメンテナンスの際に、シャッタ3に意図せず加えられた外力によりシャッタ3が定位置から移動してしまうことがない。このため、このようなシャッタ3の定位置からの意図せぬ移動によって、保留部1から硬貨処理装置10内に硬貨が落下してしまうことを防ぐことができる。
シャッタ位置保持制御部6cは、特に利用者による「入金時」に、他の期間と比較して大きな保持トルクでシャッタ3を定位置に保持するように制御を行うことができる。この「入金時」は、シャッタ3の上に複数の硬貨が落下される期間を含み、取引装置の制御装置(不図示)から硬貨処理装置10の制御装置6に入金の終了が伝達される時に終了する。この入金の終了が制御装置6に伝達されたときに、制御装置6が有するシャッタ位置保持制御部6cはシャッタ3及び電動モータ5の定位置への保持を解除することができる。また、シャッタ位置制御部6bは電動モータ5及びシャッタ3を回動して、保留部1に一時保留されている硬貨を金庫部14(図3参照)へと通じる収納通路11に向けて放出することができる。なお、この「入金時」であっても、取引装置又は硬貨処理装置10に何らかの異常が発生した場合には、シャッタ位置保持制御部6cは、シャッタ3の定位置への保持を非常解除して、シャッタ3を回動可能とするように更に制御を行うものとしてもよい。
更に、シャッタ位置保持制御部6cは、シャッタ3が硬貨載置位置に保持されている際に、シャッタ3が外力によって硬貨載置位置から位置ズレして移動した場合には、シャッタ3を再び硬貨載置位置に復帰させるように復帰制御を行うことができるように設けられる。この場合には、保留部1から硬貨処理装置10内に硬貨が意図せず落下してしまう前に、シャッタ3を定位置に復帰させることができる。このため、保留部1から硬貨処理装置10内に硬貨が落下してしまうことを防ぐことができる。
また、シャッタ位置保持制御部6cは、シャッタ3を手動で回動させることができるメンテナンス用の保持トルクでシャッタ3を定位置に保持するように制御することができるように設けられる。この場合には、シャッタ位置保持制御部6cは、電動モータ5を手動で回すことができるように比較的に低下された保持トルクによってシャッタ3を定位置に保持するように制御を行うことができる。このように設けると、シャッタ位置保持制御部6cが行う制御によりメンテナンス作業を補助することができるから、保守作業者は硬貨処理装置10のメンテナンスを容易に行うことができる。
更に、制御装置6が手動によるモータの回動を許容する場合には、シャッタ位置保持制御部6cは、電動モータ5に通電することなく、電動モータ5への電流を完全に遮断する(電動モータを励磁しない)ように設けることができる。この場合には、更に小さな回動トルクでシャッタ3を手動で回動させることができるから、保守作業者は容易に硬貨処理装置10のメンテナンスを行うことができる。
図2を参照して、本実施の形態の保留部1を更に説明する。図2(a)は、保留部1のシャッタ3が収納位置に位置するように制御された状態を示す。図示するようにシャッタ3が第1の位置としての収納位置に位置するとき、保留筒2の内部に収容された硬貨は取引装置の金庫部14(図3参照)へと通じる収納通路11に向けて放出される。制御装置6は、シャッタ位置保持制御部6cによる定位置へのシャッタ3の保持を解除すると共に、シャッタ位置制御部6cを用いてシャッタ3を定位置から時計回りに回動して、保留筒2の底を収納通路11に向けて開くように制御を行う。また、シャッタ3が収納位置に位置することで、シャッタ3が他方の返却通路12の入口を塞ぐことができるように設けられる。このように、シャッタ3が収納位置に位置するように制御されることにより、保留筒2の内部に収容された硬貨は自重で落下して収納通路11内へ放出される。
図2(b)は、保留部1のシャッタ3が第2の位置としての返却位置に位置するように制御された状態を示す。この状態では、シャッタ3は、保留筒2の内部に収容された硬貨を取引装置の出金口(返却口)15(図3参照)へと通じる返却通路12に向けて放出する。制御装置6は、シャッタ位置保持制御部6cによる定位置へのシャッタ3の保持を解除すると共に、シャッタ位置制御部6cを用いてシャッタ3を定位置から反時計回りに回動して、保留筒2の底を返却通路12に向けて開くように制御を行う。また、シャッタ3が返却位置に位置することで、シャッタ3が他方の収納通路11の入口を塞ぐことができるように設けられる。このように、シャッタ3が返却位置に位置するように制御されることにより、保留筒2の内部に収容された硬貨は自重で落下して返却通路12内へ放出される。このようにして、シャッタ3は通路切替機構として機能する。
図3を参照して、本実施の形態の硬貨処理装置10を更に説明する。図3は硬貨処理装置10の構成を模式的に示すブロック図である。硬貨処理装置10は硬貨処理装置10を備える取引装置(不図示)から硬貨が投入される投入口13を備える。利用者がまとめて投入口13に投入した複数の硬貨は、繰出部16に搬送され、繰出部16から一枚ずつ繰り出されて、識別部17に搬送される。識別部17では、硬貨の金種及びその真正が識別され、識別結果が制御装置6の記録部6d(図1参照)に記録される。続いて、識別部17で識別された硬貨が振分計数部18に搬送される。振分計数部18は、硬貨を金種毎に計数すると共に、計数した硬貨を収納放出部19が有する第1乃至第4の収納放出部19a〜19dに向けて金種毎に放出する。この際、識別部17で真正であることが識別できなかった硬貨(入金リジェクト硬貨)は、収納放出部19又は保留部1に振り分けられることなく硬貨の搬送方向において収納放出部19の上流側に設けられた放出経路18aを通して直接出金搬送部12aに向けて放出され、出金口15を通して利用者にそのまま返却される。
収納放出部19は、金種毎に硬貨を収納する第1乃至第4の収納放出部19a〜19dを有し、下流側からこの順番に設けられる。本実施の形態では、硬貨のサイズの順番に、第1の収納放出部19aは500円硬貨を、第2の収納放出部19bは10円硬貨を、第3の収納放出部19cは100円硬貨を、第4の収納放出部は1円硬貨を各々収納するように設けられる。また、制御装置6が、例えば釣銭として利用者に硬貨を出金すべきと判断した場合には、第1乃至第4の収納放出部19a〜19dは、制御装置6による制御に従い、金種毎に収納された硬貨の中から所定の枚数の複数金種の硬貨を組み合わせて、出金搬送部12aに向けて各々硬貨を放出することができるように設けられる。
硬貨の組み合わせは、制御装置6により最少枚数の硬貨を組み合わせて出金するように最適化することが利用者にとって望ましい。また、出金を最適化すると硬貨処理時間を短縮することができると共に、硬貨の補給頻度を減少することができる。なお、収納放出部19は、利用者に出金するための硬貨を収納放出部19の上部から各金種毎に補給することができるように、その上部に開閉可能な上蓋が設けられている。硬貨の補給は、硬貨処理装置10を備える取引装置の制御装置(不図示)による制御(補給モード)に従い、投入口13から硬貨を補給することで行うように設けるものとしてもよい。この場合には、補給した硬貨を振分計数部18で計数することができるから、補給した硬貨の枚数管理を行うことができる。
上述の通り、本実施の形態の硬貨処理装置10では、収納放出部19に個別に収納された500円硬貨、100円硬貨、10円硬貨及び1円硬貨の4金種を除く、50円硬貨及び5円硬貨の2金種を、合わせて保留部1に収容する。保留部1に収容された50円硬貨及び5円硬貨は、識別部17により真正であることが識別され、振分計数部18で計数されている。このため、取引装置の制御装置(不図示)から硬貨処理装置10の制御装置6へ入金処理の終了が伝達された場合には、制御装置6は、シャッタ3を収容位置(図2(a)参照)へ移動して、収容した硬貨を保留部1から金庫部14へ向けて放出する。この場合には、金庫部14内へ硬貨を収容することができる。一方、例えば、利用者が取引装置に対して返却操作をしたために、取引装置の制御装置から硬貨処理装置10の制御装置6へ保留部1に収容された硬貨を利用者に返却すべきことが伝達された場合には、制御装置6は、シャッタ3を返却位置(図2(b)参照)へ移動して、保留部1から出金搬送部12aへ向けて硬貨を放出する。出金搬送部12aに放出された硬貨は出金口に向けて搬送され利用者が入金した硬貨をそのまま利用者に返却する。
保留部1を有しない硬貨処理装置を備える従来の取引装置(不図示)では、第1乃至第4の収納放出部19a〜19dに収容する硬貨を500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨及び10円硬貨に限定して小型化を図るものもあった。しかしながら、この取引装置では、5円硬貨及び1円硬貨は利用することができなかった。一方、5円硬貨及び1円硬貨を利用することができるように、収納放出部を増設した他の従来の取引装置(不図示)では、装置がより大きなものとなってしまっていた。更に他の従来の取引装置(不図示)では、本実施の形態の硬貨処理装置10の出金搬送部12aに相当する部分に5円硬貨及び1円硬貨をストックして小型化を図るものもあった。このような装置では、入金処理から出金処理へ移行するときに通常はそのストックされた硬貨を計数することができない。このため、出金搬送部から金庫部へ硬貨を搬送する搬送時間をより長い時間に設定して、硬貨の搬送をより確実とする誤作動防止対策等が求められていた。しかしながら、このような搬送時間の増大は硬貨の処理に要する硬貨処理時間を増大させるものであった。また、金庫部へ搬送されてしまった硬貨を返却する必要があるときは、収納放出部からの代替放出となるため、補充硬貨の増加と出金時間を増大させるものであった。
本実施の形態の硬貨処理装置10では、出金搬送部12aを介することなく、保留部1から金庫部14に向けて硬貨を直接放出することができる。このため、出金搬送部から金庫部へ硬貨を搬送する搬送時間を要することなく、より短時間で硬貨を処理することができる。また、前述の通り、本実施の形態の硬貨処理装置10では、保留部1に収容された利用者が投入した硬貨は、取引装置の制御装置(不図示)から硬貨処理装置10の制御装置6に入金処理の終了が伝達されるまでは保留部1内にそのまま保留されている。このため、取引装置の制御部(不図示)から硬貨処理装置10の制御装置6へ保留部1に保留された硬貨を利用者に返却すべきことが伝達された場合には、制御装置6は、シャッタ3を返却位置に移動して、利用者によって投入された硬貨をそのまま利用者に返却することができる。このため、出金処理に誤りが生じる可能性を除去することができる。
出金搬送部12aは、放出された硬貨を出金口15へ搬送するように設けられる。典型的には、出金搬送部12aは、図1に示すように、ベルト搬送機の形態で設けられる。なお、取引装置の制御装置(不図示)が硬貨処理装置10の制御装置6に、収納放出部19に収納された硬貨を含めて、全ての硬貨を金庫部14に収納すべきと指示した場合には、制御装置6は出金搬送部12aを駆動して、収納放出部19から放出された硬貨を金庫部14に向けて搬送することができるようにも設けられる。このように設けると、硬貨処理装置10内に収納されたすべての硬貨を金庫部14の一箇所に集めて、取り残すことなく回収することができるから、保守作業者は硬貨処理装置10からすべての硬貨を一括して回収することができる。
図4を参照して、本実施の形態の硬貨処理装置10が備えるシャッタ3の位置を検出するセンサ(検出器)7について説明する。センサ7は、第1乃至第3のセンサ7a〜7cと、遮光板7dとを有し、シャッタ回動軸4の回りを回動するシャッタ3が硬貨載置位置(図5(a)参照)、収納位置(図5(c)参照)又は返却位置(図5(f)参照)の3位置のいずれの位置にあるかを検出することができるように設けられる。本実施の形態のセンサ7a〜7cは、3組の光電センサにより設けられている。センサ7が有する遮光板7dは、シャッタ3に対して連結され、シャッタ3と共にシャッタ回動軸4の回りを回動するように設けられる。センサ7a〜7cの各組(ペア)の各々は、遮光板7dがその投光側のセンサと受光側のセンサとの間に位置するときに、遮光板7dによってセンサ光の受光が遮られたことを検出するように設けられる。
第1乃至第3のセンサ7a〜7cは、シャッタ回動軸4を中心とする一の円弧上にそのセンサ光の光軸が位置するように配置される。第2のセンサ7bと第3のセンサ7cとはシャッタ回動軸4を中心とする該円弧の円弧方向に離間して配置され、第1のセンサ7aは第2のセンサ7bと第3のセンサ7cとの間の該円弧の中点の位置に配置される。センサ7が有する遮光板7dは、シャッタ回動軸4を中心とする該円弧上にセンサ光を遮るために十分な幅と所定の円弧長を有する遮光部を有して設けられる。本実施の形態では、遮光部の所定の円弧長は、該円弧方向における第2のセンサ7bのセンサ光と第3のセンサ7cのセンサ光との間の長さよりもわずかに短い長さに設けられる。「わずかに短い長さ」とは、シャッタ3が定位置に位置するときに遮光板7dの遮光部が第2のセンサ7b及び第3のセンサ7cのセンサ光を遮ることがなく、シャッタ3が該円弧方向に回動を開始した際に遮光板7dの遮光部がセンサ光を直ちに遮ることで、シャッタ3の回動の開始を遅滞なく検出することができる長さをいう。このように、遮光板7dの遮光部は、第2のセンサ7bのセンサ光と第3のセンサ7cのセンサ光との間の該円弧上を遮るように設けられる。なお、図中では、センサ7a〜7cの作動状態を理解し易く示すために、受光側のセンサを図示することなく、投光側のセンサのみを示している。センサ7が検出したシャッタ3の位置(検出情報)は、制御装置6(図1参照)に向けて出力され、上述の制御装置6によるシャッタ3の位置制御及び位置保持制御に用いられる。
このように、シャッタ3と共に回動する遮光板7dを設けてセンサ7で監視することにより、シャッタ3が定位置から意図せず回動を開始してしまった場合に、センサ7がシャッタ3の回動の開始を直ちに検出することができる。また、後に詳述するように、本実施の形態の硬貨処理装置10が備えるセンサ7は、シャッタ3の回動の開始を検出すると同時に、シャッタ3の回動方向(時計回り又は反時計回り)を区別して検出することができるように設けられている。すなわち、本実施の形態の硬貨処理装置10が備えるセンサ7は、本実施の形態では3個の光電センサ7a〜7cを用いてシャッタと共に回動する遮光板7dの回動の開始とその回動方向とを同時に検出することができるように設けられている。このため、硬貨処理装置10が備える制御装置6のシャッタ位置保持制御部6c(図1参照)は、センサ7がシャッタ3(遮光板7d)の回動の開始を検出したときに、同時に検出されたシャッタ3の回動方向とは反対の回動方向に電動モータ5を回動する制御を行うことにより、シャッタ3を定位置に保持するシャッタ3の復帰制御を行うことができる。
本実施の形態の硬貨処理装置10が備える光電センサ7a〜7cはセンサ光の透光/遮光を2値化して検出する比較的簡易な構成を有するセンサである。また、上述のように、硬貨処理装置10が備える制御装置6のシャッタ位置保持制御部6c(図1参照)は、この光電センサ7a〜7cによる遮光板7dの検出に基づいて、上述のように、比較的簡易な制御によりシャッタ3の復帰制御を行うことができる。このため、本実施の形態では、小型の硬貨処理装置10を提供することができる。硬貨処理装置10は、例えば、特許文献1に開示される硬貨処理装置で用いられる外付けのシャッタロック機構を省くことができる。
シャッタ回動軸4を挟んで上述の遮光部とは反対側に突出するように設けられた遮光板7dの遮光板端部7eは、硬貨処理装置10が備える第1の回動ストッパ9a及び第2の回動ストッパ9bに当接するように設けられる。このように遮光版端部7eが回動ストッパ9に当接するように設けることにより、シャッタ3の回動範囲を制限することができる。回動ストッパ9については後に詳述する。センサ7は、シャッタ3が構成する通路切替機構の作動状態を監視する。本実施の形態のセンサ7によるシャッタ3の位置検出は、連続して常時行う(常時監視)ように設けられている。このように設けると、シャッタ3の移動中並びにシャッタ3が硬貨載置位置に保持された後も、連続してシャッタ3の位置検出を行うことができる。このため硬貨処理装置10は、精度良く且つ連続して、確実にシャッタ3の位置制御及び位置保持制御を行うことができる。
図5を参照して、本実施の形態のセンサ7によるシャッタ3の位置検出を更に説明する。図5(a)は、シャッタ3が定位置(硬貨載置位置)に位置する状態を示す。硬貨処理装置の電源投入後、シャッタ3がこの定位置に位置することがセンサ7により確認される。シャッタ3が定位置に位置しない場合には、制御装置のシャッタ位置制御部6b(図1参照)によりシャッタ3が定位置に移動され、シャッタ位置保持制御部6c(図1参照)によりシャッタ3が定位置に保持される。その後、シャッタ3が定位置にあることが上述の通りセンサ7により常時監視される。硬貨処理装置はシャッタ3が定位置に位置する状態で利用者による入金を待機する。この状態(定位置)では、第1のセンサ7aは、遮光板7dによって遮光されている。また、第2のセンサ7b及び第3のセンサ7cは、遮光板7dによって遮光されることなく透光している。このため、センサ7は、第1乃至第3のセンサ7a〜7cの[遮光‐透光‐透光]という検出結果の組み合わせを検出する。この場合には、センサ7は、シャッタ3が定位置に位置していることを検出するように設けられる。
図5(b)は、シャッタ3が収納位置(図5(c)参照)に向けて回動を開始した状態を示す。この状態(収納位置に向けて回動中)では、第3のセンサ7cが遮光板7dによって遮光される。このため、センサ7は、第1乃至第3のセンサ7a〜7cの[遮光‐透光‐遮光]という検出結果の組み合わせを検出する。この場合には、センサ7は、シャッタ3が定位置から収納位置に向けて移動中であることを検出するように設けられる。
図5(c)は、シャッタ3が収納位置に位置する状態を示す。この状態(収納位置)では、第1のセンサ7aが透光する。このため、センサ7は、第1乃至第3のセンサ7a〜7cの[透光‐透光‐遮光]という検出結果の組み合わせを検出する。この場合には、センサ7は、シャッタ3が収納位置に位置していることを検出するように設けられる。収納方向へ硬貨を放出するために十分な所定の時間だけシャッタ3が収納位置に位置した後に、硬貨処理装置の制御装置6(図1参照)はシャッタ3を再び定位置まで移動(復帰)して保持する。
図5(d)は、シャッタ3が所定の収納位置を超えて回動し、遮光板7dの遮光板端部7eが第1の回動ストッパ9aに当接した状態を示す。このようにシャッタ3の回動を制限する回動ストッパ9a、9bを更に設ける場合には、シャッタ3が所定の回動角度以上に回動してしまうこと(オーバーラン)を防ぐことができる。このため、シャッタ3の位置制御の際、又は硬貨処理装置のメンテナンスのために手動でシャッタ3を回動させる際に、シャッタが所定の回動角度以上に回動してしまうことがない。このため、硬貨処理装置は確実に硬貨を処理することができると共に、保守作業者は安全に硬貨処理装置のメンテナンスを行うことができる。
本実施の形態に示すように、センサ7を光電センサを用いて設ける場合には、シャッタ3と共に回動して光電センサのセンサ光を遮るように設けられる遮光板7dの一部を回動ストッパ9に当接させて、シャッタ3の回動範囲を制限するように設けることができる。このように設ける場合には、回動ストッパ9を備える硬貨処理装置を小型に設けることができる。
図5(e)は、シャッタ3が定位置から返却位置(図5(f)参照)に向けて回動を開始した状態を示す。この状態(返却位置に向けて回動中)では、第2のセンサ7bが遮光板7dによって遮光される。このため、センサ7は、第1乃至第3のセンサ7a〜7cの[遮光‐遮光‐透光]という検出結果の組み合わせを検出する。この場合には、センサ7は、シャッタ3が定位置から返却位置に向けて移動中であることを検出するように設けられる。
図5(f)は、シャッタが返却位置に位置する状態を示す。この状態(返却位置)では、第1のセンサ7aが透光する。このため、センサ7は、第1乃至第3のセンサ7a〜7cの[透光‐遮光‐透光]という検出結果の組み合わせを検出する。この場合には、センサ7は、シャッタ3が返却位置に位置していることを検出するように設けられる。出金方向へ硬貨を放出するために十分な所定の時間だけシャッタ3が返却位置に位置した後に、硬貨処理装置の制御装置6(図1参照)はシャッタ3を再び定位置まで移動(復帰)して保持する。
図5(g)は、シャッタ3が所定の返却位置を超えて回動し、遮光板7dの遮光板端部7eが第2の回動ストッパ9bに当接した状態を示す。上述のように、シャッタ3の回動を制限する回動ストッパ9a、9bを更に設ける場合には、シャッタ3が所定の回動角度以上に回動してしまうこと(オーバーラン)を防ぐことができる。
本実施の形態では、センサ7が複数の光電センサ7a、7b、7cを有し、複数のセンサ7a、7b、7cによる複数の異なる検出結果の組み合わせによって、シャッタ3が3位置のいずれの位置にあるかを検出するように構成されている。このように設けると、シャッタ3が硬貨載置位置、収納位置又は返却位置の3位置のいずれの位置にあるかを的確に検出することができる。更に、シャッタ3が硬貨載置置から収納位置又は返却位置のいずれかに向けて移動中であることも検出することができる。このため、シャッタ3の位置を区別して的確に検出することができる。このため、硬貨処理装置10は確実に硬貨を処理することができる。
上述の通り、本実施の形態の硬貨処理装置が備える制御装置6(図1参照)は、センサ7によるシャッタ3の位置検出の結果を記録しておくことができる記録部6d(図1参照)を更に有している。このため、シャッタ3の移動履歴(センサ7の検出履歴)を制御装置の記録部6dに記録して保管しておくことができる。この場合には、シャッタ3の移動(作動)履歴を後の任意のタイミングで検証又は証明することができる。
図6を参照して、本発明の他の実施の形態の硬貨処理装置が備えるセンサ7´について説明する。なお、センサ7´を除く硬貨処理装置の構成は、上述の硬貨処理装置の構成と同一であるので重複する説明を省略する。本実施の形態のセンサ7´は、2組の光電センサを用いてシャッタ3が硬貨載置位置、収納位置又は返却位置の3つの位置のいずれの位置にあるかを検出するように設けられる。本実施の形態のセンサ7´では、上述の硬貨処理装置のセンサのうち、第1のセンサ7a(図4参照)が除かれて、第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´のみが設けられる。また、本実施の形態では、遮光板7d´の遮光板端部7e´は、収納位置(図6(c)参照)及び返却位置(図6(e)参照)において、硬貨処理装置が備える回動ストッパ9に当接するように設けられる。
このように設ける場合には、図6(a)に示すシャッタ3が硬貨載置位置に位置する際の第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´の検出結果の組み合わせは「透光‐透光」となる。また、図6(c)に示す収納位置での第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´の検出結果の組み合わせは「透光‐遮光」となる。また、図6(e)に示す返却位置での第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´の検出結果の組み合わせは「遮光‐透光」となる。上述の通り、図6(c)に示す収納位置では、遮光板の遮光板端部7e´は、第1の回動ストッパ9aに当接する。また、図6(e)に示す返却位置では、遮光板の遮光板端部7e´は、第2の回動ストッパ9bに当接する。
なお、図6(b)に示すシャッタ3が収納位置に向けて回動を開始した際の第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´の検出結果の組み合わせは「透光‐遮光」である。また、図6(d)に示すシャッタ3が返却位置に向けて回動を開始した際の第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´の検出結果の組み合わせは「遮光‐透光」である。このため、本実施の形態では、シャッタ3が収納位置に向けて回動中の状態(図6(b)参照)でのセンサ7´の検出結果の組み合わせと、シャッタ3が収納位置に位置する状態(図6(c)参照)でのセンサ7´の検出結果の組み合わせとは同一となる。また、シャッタ3が返却位置に向けて回動中の状態(図6(d)参照)でのセンサ7´の検出結果の組み合わせと、シャッタ3が返却位置に位置する状態(図6(e)参照)でのセンサ7´の検出結果の組み合わせとは同一となる。
しかしながら、本実施の形態では、シャッタ3が収納位置及び返却位置に位置する際に遮光板の遮光板端部7e´が各々回動ストッパ9a、9bに当接するため、硬貨処理装置が備える制御装置6(図1参照)が電動モータ5(図1参照)を回動するための駆動トルク(供給電力)が当接に伴って上昇することとなる。この電動モータの駆動トルク(供給電力)の上昇を制御装置のシャッタ位置制御部6b(図1参照)で検出するように設けることができる。このように設ける場合には、制御装置6は、図6(b)及び図6(d)に示すシャッタ3が回動中の状態と、図6(c)に示す収納位置並びに図6(e)に示す返却位置にシャッタ3が位置する状態とを区別して検出することができる。この場合には、制御装置のシャッタ位置制御部6bは、供給電力監視センサとしてセンサ7´の一部を構成する。このように、2組の光電センサ7b´、7c´を用いてセンサ7´を構成する場合にも、センサ7´の異なる3つの検出結果の組み合わせに基づいて、シャッタ3が硬貨載置位置、収納位置又は返却位置の3位置のいずれの位置にあるかを検出するように設けることができる。この実施の形態では、光電センサを1つ省略することができる。このため、小型の硬貨処理装置を提供することができる。
なお、上述の実施の形態の保留筒2は四角形の断面形状を有するように設けられるものと説明したが、更に他の実施の形態では、保留筒の断面形状は硬貨の平面形状に合わせた円形に設けられてもよい。この場合には、硬貨処理装置の内部の空きスペースを更に増やすことができる。硬貨処理装置の内部の空きスペースには、電動モータ、制御装置等を高い自由度をもって配置することができる。
また、上述の実施の形態の電動モータ5はステッピングモータで構成されるものと説明したが、更に他の実施の形態では、電動モータは、制御装置によるシャッタの位置制御及び位置保持制御に応じてシャッタの回動軸回りの位置を制御することができるサーボモータ等の任意の他の電動モータを用いるものとしてもよい。この場合にも、制御装置は、シャッタがシャッタ回動軸回りの所望の位置に位置するように位置制御を行うことができ、また、所定の保持トルクを有してシャッタを定位置に保持するように位置保持制御を行うことができる。
また、上述の実施の形態の伝動ベルト8は電動モータ5の出力軸とシャッタ回動軸4との間に直接架け渡されるものと説明したが、更に他の実施の形態では、伝動ベルト8は硬貨処理装置10が備えるプーリ(滑車)によって随意に曲げて架け渡された状態で、電動モータ5からシャッタ3へ回動力を伝達するものとしてもよい。この場合には、硬貨処理装置の内部の空きスペースを更に有効に用いることができる。この硬貨処理装置の内部の空きスペースには、電動モータ、制御装置等を更に高い自由度をもって配置することができる。このため、硬貨処理装置を更に小型に設けることができる。
また、上述の実施の形態の伝動ベルト8はベルトの滑りを防ぐことができる歯付ベルトを用いて設けられるものと説明したが、更に他の実施の形態では、伝動ベルト8は平ベルトを用いて設けられるものとしてもよい。この場合には、高い伝動効率を有して回動力を伝達することができる。あるいは、伝動ベルト8は断面に方向性のない丸ベルトを用いて設けるものとしてもよい。丸ベルトを用いて伝動ベルトを設けることにより、プーリ(滑車)等を用いて随意の方向に伝動方向を変更することができる回動力伝動機構を設けることができる。この場合には、シャッタ回動軸4から所望の3次元方向へ離間した位置に配置された電動モータ5の出力軸からシャッタ3へ回動力を好適に伝動(3次元伝動)することができる。
また、上述の実施の形態のシャッタの位置を検出するセンサの遮光板の遮光部の所定の円弧長は該円弧方向における第2のセンサのセンサ光と第3のセンサのセンサ光との間の長さよりもわずかに短い長さに設けられ、シャッタが定位置に位置するときに遮光板の遮光部が第2及び第3のセンサのセンサ光を遮ることがないものと説明したが、他の実施の形態では、遮光板の遮光部の所定の円弧長は、シャッタが定位置に位置するときに遮光板の遮光部が第2及び第3のセンサ光を遮る長さに設けるものとしてもよい。この場合には、シャッタが定位置に位置する際の第1乃至第3のセンサの検出結果の組み合わせは[遮光‐遮光‐遮光]として検出される。また、シャッタが収納位置に位置する際の第1乃至第3のセンサの検出結果の組み合わせが上述の実施の形態と同様に[透光‐透光‐遮光]となるようにセンサ及び遮光板の配置を行うことができる。また、シャッタが返却位置に位置する際の第1乃至第3のセンサの検出結果の組み合わせが上述の実施の形態と同様に[透光‐遮光‐透光]となるようにセンサ及び遮光板の配置を行うことができる。このように設ける場合にも、センサはシャッタが定位置、収納位置又は返却位置の3位置のいずれの位置に位置しているかを検出することができる。これら例示の検出結果の組み合わせは、遮光板の遮光部の円弧長を変更することによって、又はセンサの間隔を変更することによって実現することができる。図6で説明したセンサが2つ、7b’と7c’の場合も同様である。すなわち、シャッタ3が定位置に位置する際の第2のセンサ7b´及び第3のセンサ7c´の検出結果の組み合わせは「遮光‐遮光」となる。その他の位置での遮光、透光の関係は遮光部が短い場合と同様である。
また、上述の実施の形態のセンサによるシャッタの位置検出は連続して常時行うものと説明したが、更に他の実施の形態では、センサによるシャッタの位置検出は断続的に行うものとしてもよい。この場合には、より簡易な制御機構によってシャッタの位置制御及び位置保持制御を行うことができる。このため、小型の硬貨処理装置を提供することができる。
また、上述の実施の形態のセンサは光電センサを用いて設けられるものと説明したが、更に他の実施の形態では、センサは光電センサに限られることなく、磁気検出センサ等の他の公知のセンサを用いるものとしてもよい。この場合にも、シャッタが硬貨載置位置、収納位置又は返却位置の3位置のいずれの位置にあるかを、上述の光電センサの場合と同様に検出することができる。