JP2015074743A - 水系脱錆塗料 - Google Patents

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直巳 竹中
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Yusuke Sainouchi
祐介 齊ノ内
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篤斉 植田
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Abstract

【課題】塗装すべき鉄材や鉄合金材である金属材の塗装直前での防錆処理の有無、防錆剤除去の有無、脱スケール処理・錆除去処理の有無に関わらず、金属材への塗装の際に被膜形成途中で生じる錆を脱錆して、金属材を平滑で綺麗に被覆する水系脱錆塗料を提供する。
【解決手段】水系脱錆塗料は、鉄材、及び鉄合金材から選ばれる金属材の素地表面へ付される水系脱錆塗料であって、アルキリデンジホスホン酸化合物等の有機ホスホン酸化合物と、アミノカルボン酸化合物等の両性化合物との少なくとも何れかからなる水溶性・水分散性又は水懸濁性の脱錆成分の0.1〜40重量部と、水溶性又は水分散性若しくは水懸濁性であって不飽和モノマー及び被膜形成用樹脂成分から選ばれる少なくとも何れかの被膜形成成分の10〜99重量部と、水からなり又は水を含んでいる水系溶剤の1〜99重量部とを、含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、錆び易い金属材に付して被膜を形成して、被膜形成途中で生じる錆を脱錆し更に防錆して、金属材を平滑で綺麗に被覆するのに用いられる水系脱錆塗料に関する。
鉄や鉄合金の金属材は、車両車体、電化製品、工業機械、精密機器、電化製品の部品や建築材等の原材として汎用されている。これら金属材の表面と、水、酸、又は大気中の湿気、酸素、二酸化炭素とが接触すると、金属材表面が腐食又は酸化されて錆びたり変色したりしてしまい、金属材の強度、性能、美的外観等を損ねてしまう。
そこで、これら金属材を錆びさせないために塗料で塗装しその被膜で被覆し、金属材表面を外界の湿気等から遮断して腐食や酸化から保護している。塗料には、大別して、有機溶剤を希釈剤として含有する非水系塗料と、水を希釈剤として含有する水系塗料とがある。非水系塗料は、有機溶剤の揮発を要するため、環境保全・作業者の健康維持・作業効率化の観点から使用が敬遠されつつある。最近では、車両車体、電化製品等を形成する成形金属材の塗装に、水系塗料が汎用されるようになっている。
鉄・鉄合金製の成形金属材は、容易く腐食又は酸化されるので、特許文献1のようにアルキリデンジホスホン酸誘導体とベンゾチアゾール誘導体及び/又はメルカプトベンゾチアゾール誘導体の塩とが配合された金属保護液が防錆や変色防止に用いられたり、特許文献2のように金属表面からの金属酸化物を含むスケールを溶解除去するために1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の第三アルカノールアミン塩の水溶液からなるスケール溶解液が用いられたりする。
しかし塗装前の成形金属材は、金属保護液で防錆されていても、スケール溶解液で表面処理されていても、また水系塗料がたとえ従来の防錆剤を含有していても、水系塗料が塗布された途端に塗料中の水や溶存酸素・溶存二酸化炭素の影響を直に受ける。その所為で、水系塗料中の水が揮発して塗料の被膜が完全に形成されるまでの間に、金属材素地表面で僅かながら速やかに腐食や酸化が進行し、錆発生や表面変色を引き起こしてしまう。
塗装前の成形金属材に従来の金属保護液や防錆剤が残存していても、水系塗料の塗装過程で希釈されてしまう。そのため、水系塗料中の被膜形成成分の硬化によって生じる被膜との界面で錆ごと被覆する作用が、金属保護液や防錆剤による錆から保護する作用に優り、水系塗料の所為で一旦生じた錆発生や表面変色は、容易く消失しない。
このような成形金属材素地表面での錆発生や表面変色は、凹凸・色ムラを生じ、水系塗料の塗装によって形成された被膜の凹凸、ブツ、ハジキを誘発し平滑性を低下させたり、色調の均一性を低下させたりして、見映えを悪くしてしまう。
特開2011−21244号公報 特開平9−53193号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、塗装すべき鉄材や鉄合金材である金属材の塗装直前での防錆処理の有無、防錆剤除去の有無、脱スケール処理・錆除去処理の有無に関わらず、金属材への塗装の際に被膜形成途中で生じる錆を脱錆して、金属材を平滑で綺麗に被覆する水系脱錆塗料を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の水系脱錆塗料は、鉄材、及び鉄合金材から選ばれる金属材の素地表面へ付される水系脱錆塗料であって、アルキリデンジホスホン酸化合物、アルキレンホスホン酸化合物、アルキレンジホスホン酸化合物、アルキルホスホン酸化合物、アルキレンジアミンホスホン酸化合物、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種類の有機ホスホン酸化合物と、アミノカルボン酸化合物及びその塩から選ばれる少なくとも1種類の両性化合物との少なくとも何れかからなる水溶性・水分散性又は水懸濁性の脱錆成分の0.1〜40重量部と、水溶性又は水分散性若しくは水懸濁性であって不飽和モノマー及び被膜形成用樹脂成分から選ばれる少なくとも何れかの被膜形成成分の10〜99重量部と、水からなり又は水を含んでいる水系溶剤の1〜99重量部とを、含有することを特徴とする。
請求項2に記載の水系脱錆塗料は、請求項1に記載されたもので、前記アルキリデンジホスホン酸化合物が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、前記アルキレンホスホン酸化合物がニトロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩から選ばれる何れかであり、前記アルキレンジホスホン酸化合物がヒドロキシメチレンジホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、前記アルキルホスホン酸化合物がトリアミノメチルホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、前記アルキレンジアミンホスホン酸化合物がエチレンジアミン−3−ホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、前記アミノカルボン酸化合物がニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸及びその塩から選ばれる何れかであることを特徴とする。
請求項3に記載の水系脱錆塗料は、請求項1に記載されたもので、前記有機ホスホン酸化合物が塩であってアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩及びアルカノールアミン塩から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする。
請求項4に記載の水系脱錆塗料は、請求項1に記載されたもので、前記不飽和モノマーが、(メタ)アクリル酸化合物、マレイン酸化合物、イタコン酸化合物、それらの何れかの塩、(メタ)アクリルアミド化合物、アクリロニトリル化合物及びスチレン化合物から選ばれる少なくとも1種類であり、前記皮膜形成用樹脂成分が、アクリル樹脂、アルキッド樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種類の水溶性樹脂と、アクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素樹脂及びアクリルシリコン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の非水溶性樹脂との少なくとも何れかであってエマルジョンとなっていることを特徴とする。
請求項5に記載の水系脱錆塗料は、請求項1に記載されたもので、防錆成分の0.01〜20重量部を、含有することを特徴とする。
請求項6に記載の水系脱錆塗料は、請求項5に記載されたもので、前記防錆成分が、ベンゾチアゾールカルボン酸化合物、メルカプトベンゾチアゾール化合物、パラターシャルブチル安息香酸化合物、亜硝酸化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする。
請求項7に記載の脱錆塗料被膜は、請求項1に記載の水系脱錆塗料が前記素地表面へ付され、前記被膜形成成分が硬化して形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の脱錆塗料被膜は、請求項7に記載されたもので、前記素地表面が、防錆未処理若しくは防錆剤除去処理され、及び/又は脱スケール処理若しくは錆除去処理若しくは脱脂処理されていることを特徴とする。
請求項9に記載の脱錆塗料被膜は、請求項7に記載されたもので、前記脱錆成分が、前記素地表面の錆にキレートしていることを特徴とする。
請求項10に記載の被覆金属材は、請求項1に記載の水系脱錆塗料が前記素地表面へ付されて前記被膜形成成分が硬化し形成されている脱錆塗料被膜で、被覆されていることを特徴とする。
請求項11に記載の被覆金属材の製造方法は、請求項1に記載の水系脱錆塗料を調製する工程と、前記金属材を用意し、前記素地表面を防錆未処理とし及び/又は脱脂処理する工程と、前記素地表面へ前記水系脱錆塗料を付した後、前記水系溶剤を揮発させつつ前記被膜形成成分を硬化させて脱錆塗料被膜を形成し、脱錆塗料被膜で前記金属材を被覆して、被覆金属材にする工程とを、有することを特徴とする。
本発明の水系脱錆塗料は、塗装すべき金属材が酸化し易くとも、塗装直前に金属材への防錆処理の有無、防錆剤除去の有無、脱スケール処理・錆除去処理の有無に関わらず、金属材へ塗装し水のような水系溶剤を揮発させつつ被膜を形成する途中で金属材素地表面に生じる錆を、脱錆しつつ、被膜内に、又は被膜と金属材素地表面との界面に、閉じ込めることができる。そのため水系脱錆塗料は、単に錆の発生を防ぐ防錆剤と根本的に異なり、錆をキレートによって脱錆すると同時にキレートした金属ごと被膜に包含したり被膜界面で閉じ込めたりするというメカニズムにより、金属材素地表面を綺麗なまま維持しつつ、外部の水分・酸素・二酸化炭素を遮断して脱錆成分の防錆作用と相俟って新たな錆を生じさせない。
この水系脱錆塗料によれば、水系塗料であっても、被膜を形成する途中で成形金属材素地表面での錆発生や表面変色による凹凸・色ムラを生じさせない。
この水系脱錆塗料の塗装によって形成された脱錆塗料被膜は、錆中の金属酸化物や炭酸金属塩や金属水酸化物などの金属と脱錆成分とのキレートにより、錆を被膜内に又は被膜と金属材素地表面との界面に閉じ込めつつ、金属材素地表面を平滑化させているので、被膜表面に凹凸、ブツ、ハジキを誘発しない。そのため脱錆塗料被膜は、平滑性に優れ、色調を均一とし、見映えが良く、金属材を綺麗に被覆している。
この脱錆塗料被膜は、脱錆成分が専ら金属材素地表面の錆中の金属のみとキレートして不活性化しそこを修復しつつ被膜形成成分の硬化によって被膜するが、金属材素地表面の錆びていない箇所の金属とキレートすることなく被膜形成成分の硬化によって直接被膜するから、金属材を殆ど傷めない。
この脱錆塗料被膜で被覆された被覆金属材は、水系脱錆塗料を塗装して水のような水系溶剤を揮発させて金属材素地表面で脱錆されつつ、被膜形成成分を硬化させて金属材素地表面で防錆されているので、高い耐水性・耐候性を有し、外界の環境に対して化学的に安定であって且つ摩擦や擦傷に対して物理的に安定であり、耐久性に優れている。
本発明の被覆金属材の製造方法によれば、簡易な装置で、簡便かつ大量に効率良く被覆金属材を得ることができる。
本発明を適用する水系脱錆塗料で脱錆塗料被膜を形成した被膜金属材の製造途中を示す模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の水系脱錆塗料は、遊離又は塩である有機ホスホン酸化合物からなり水溶性・水分散性又は水懸濁性の脱錆成分の0.1〜40重量部、好ましくは1〜10重量部と、水溶性・水分散性又は水懸濁性の被膜形成成分の10〜99重量部、好ましくは45〜99重量部、より好ましくは60〜98重量部と、水のみからなり又は水と水溶性有機溶媒とからなる水系溶剤の1〜99重量部、好ましくは1〜20重量部と、必要に応じ防錆成分の0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部と、適宜添加剤の0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜5重量部とを、含有するものである。
水系脱錆塗料は、鉄材;フェロアロイ、例えば鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、チタン鋼、フェロシリコン、フェロマンガン、フェロクロム、フェロタングステン、フェロモリブデン、フェロホスホル、フェロチタン、フェロバナジウム、フェロニッケル、フェロジルコン、フェロボロンのような鉄合金材の素地表面へ付されるものである。
有機ホスホン酸化合物は遊離のものとして、具体的には1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸のようなアルキリデンジホスホン酸化合物;ニトロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)のようなアルキレンホスホン酸化合物;ヒドロキシメチレンジホスホン酸のようなアルキレンジホスホン酸化合物;トリアミノメチルホスホン酸のようなアルキルホスホン酸化合物;エチレンジアミン−3−ホスホン酸のようなアルキレンジアミンホスホン酸化合物;アミノカルボン酸化合物はニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、及びトリエチレンテトラミン六酢酸のようなアミノカルボン酸化合物が挙げられる。
有機ホスホン酸化合物は塩のものとして、これら遊離の有機ホスホン酸に対応する塩、例えば、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の塩;アンモニア由来のアンモニウム塩、炭素数1〜5の直鎖状・分岐鎖状又は環状鎖状のアルキル基を有する第1〜第4級有機アミン由来の有機アンモニウム塩、第三アルカノールアミン塩具体的にはN,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ポリオキシエチレン4モルエチレンジアミン付加物のような分子内に1個以上のOH基を有する脂肪族第三アルカノールアミン由来のアンモニウム塩、これらの第三アルカノールアミンのポリオキシエチレン付加物由来のアンモニウム塩などの無機又は有機塩基塩が、挙げられる。
有機ホスホン酸化合物は、これら有機ホスホン酸化合物を単独で用いても複数混合して用いてもよく、有機ホスホン酸化合物の部分塩であってもよい。
有機ホスホン酸化合物は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)7ナトリウムであると一層好ましい。
有機ホスホン酸化合物は、水系塗料中で均質に溶解又は分散若しくは懸濁し易い。有機ホスホン酸化合物は、それのホスホン酸基が金属にキレートすることから、錆中の金属原子や金属イオンをキレートにより安定化して脱錆し、水系溶剤が存在していてもまた揮発していても錆の進行を抑制することができる。
水系溶剤は、水のみからなることが好ましいが、水を主溶剤とするもので、水と任意に相溶する溶剤であれば特に限定されず、これらの混合物であってもよい。
被膜形成成分は、水系塗料中で均質に溶解又は分散若しくは懸濁し易い。被膜形成成分は、カチオン重合性、アニオン重合性又はラジカル重合性の不飽和モノマーや被膜形成用樹脂成分であることが好ましい。不飽和モノマーは、アクリル酸やメタクリル酸で例示される(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルのような(メタ)アクリル酸化合物やその塩;マレイン酸、マレイン酸エステルのようなマレイン酸化合物やその塩;イタコン酸、イタコン酸エステルのようなイタコン酸化合物やその塩;アクリルアミドやメタクリルアミドで例示される
(メタ)アクリルアミド化合物;アクリロニトリル化合物やスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエンで例示されるスチレン化合物が挙げられる。それらの塩は例えばアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。これらを単独で用いてもよく複数混合して用いてもよい。
被膜形成用樹脂成分は、アクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ樹脂等や種々の反応性ポリマーが挙げられる。これらを単独で用いてもよく複数混合して用いてもよい。
防錆成分は、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸のようなベンゾチアゾールカルボン酸化合物やその塩;2−メルカプトベンゾチアゾールのようなメルカプトベンゾチアゾール化合物やその塩;パラターシャルブチル安息香酸やその塩;ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩、亜硝酸塩のような亜硝酸化合物が挙げられる。それらの塩は例えばアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。これらを単独で用いてもよく複数混合して用いてもよい。
水系脱錆塗料は、必要に応じ、pH調整剤、界面活性剤、顔料、染料、分散剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤剤、揺変剤、紫外線吸収剤、硬化触媒などの添加剤を必要に応じて含有していても良い。
脱錆塗料被膜は、水系脱錆塗料が金属材の素地表面へ、塗布又は噴霧される塗装によって付され、常温乾燥、加熱、減圧によって水系溶剤を揮発させて硬化させるか、加熱、紫外線・電子線のような活性エネルギー線照射、及び/又は共存触媒によって被膜形成成分が硬化させることによって、形成されたものである。
金属材の素地表面は、水系脱錆塗料が塗装される時点で、防錆剤による防錆処理を未だ施されていなくてもよく、予め防錆処理を施されていたが直前に防錆剤除去処理を施されてもよく、既に生じていたスケールや錆の除去処理を直前に施されていてもよく、表面に付着した油脂の脱脂処理を施されていてもよい。
水系脱錆塗料を金属材1に塗装して被覆金属材10を製造する方法は、水系脱錆塗料で脱錆塗料被膜3を形成した被膜金属材10の製造途中を示す図1の通り、塗装すべき金属材1を用意し、金属材1の素地表面を防錆未処理とし及び/又は脱脂処理し(不図示)、その素地表面へ水系脱錆塗料を付した後(図1(a)参照)、水系溶剤を揮発させつつ被膜形成成分を硬化させて脱錆塗料被膜3を形成し(図1(b)参照)、脱錆塗料被膜3で金属材1を被覆して、被覆金属材10にするというものである。
図1(a)に示すように金属材1の素地表面は、予め、酸化されて酸化金属膜2aで被覆され場合によっては酸化膜2aの不動態を形成したり、腐食金属塩2dを形成したりしていることがある。水系脱錆塗料は、水を含んでおり、金属材1の素地表面に塗装されたときに、その水に溶存している活性種例えば溶存酸素により金属材1の素地表面を酸化させて金属酸化物粒子2bを生じさせたり、その水に二酸化炭素が溶解して生じた炭酸により酸性化したり炭酸イオンを発生したりその水と共存する塩によりイオンを発生して金属材1の素地表面の金属をイオン化させたりして被覆すべき金属材1の素地表面を腐食金属粒子2cにして腐食させたりし易いというものである。そのため、金属材素地を、酸化金属膜2a・金属酸化物粒子2b・腐食金属粒子2c・腐食金属塩2d等の錆2で、錆びつかされたり変色させられたりし得る。
しかし、塗装すべき金属材1が酸化し易くとも、また予め金属材1の素地表面が酸化又は腐食されていても、さらに水系脱錆塗料の塗装で経時的に短時間で金属材1の素地表面が酸化又は腐食されても、水系脱錆塗料が乾燥したりその被膜形成成分が硬化したりして脱錆塗料被膜3になると、脱錆成分が、例えば、以下のように錆2を脱錆する。
水系脱錆塗料中の脱錆成分のホスホン基が、図1(b)に示すように、酸化金属膜2aの酸化金属とキレートしたり、金属酸化物粒子2bの酸化金属とキレートしたり、腐食金属粒子2c例えば酸化金属粒子を浮き上がらせてキレートしたり、腐食金属粒子2c例えば酸化金属粒子塊と直接キレートしたり、腐食金属粒子2cの塊から例えば酸化金属粒子を脱離させつつキレートしたり、腐食金属塩2dを覆い及び/又は浸潤してそれの酸化金属粒子や腐食金属粒子とキレートしたりして、これら錆2を脱錆する。
同時に水系脱錆塗料中の水系溶剤が揮発しつつ被膜形成成分が重合し及び/又は硬化すると、脱錆塗料被膜3が形成され、錆2をキレートによって脱錆すると同時にキレートした金属ごと被膜に包含したり被膜界面で閉じ込めたりする。
脱錆塗料被膜3は、気体透過性が殆ど無いので、外部の水分・酸素・二酸化炭素を遮断して脱錆成分の脱錆作用及び防錆作用と相俟って新たな錆を生じさせない。
脱錆塗料被膜3は、被膜形成成分のキレートによる脱錆によって金属材1の素地表面を平滑化させているので、錆2に基づく凹凸を緩和し被膜形成成分による膜厚を均一化し、均等に硬化し、被膜表面に凹凸やブツを誘発していない。さらに脱錆塗料被膜3は、溶存気体による気泡を残存させず、被膜表面にハジキを誘発していない。さらに、脱錆塗料被膜3は、金属材1の素地表面を変色させないので、被膜表面の色調が均一となる。そのため脱錆塗料被膜3は、平滑性に優れ、見映えが良く、金属材1を綺麗に被覆し、塗装膜として優れている。
なお、脱錆塗料被膜3は、このようなメカニズムで脱錆・防錆を行うので、塗装直前に金属材1へ防錆処理されていても防錆未処理であっても、金属材1の素地表面に防錆剤が残存していても除去処理されていても、また金属材1の素地表面に脱スケール処理や錆除去処理が行われていても、平滑性に優れ、色調を均一とし、見映えが良く、金属材1を綺麗に被覆することができる。
この脱錆塗料被膜3は、脱錆成分が専ら金属材1の素地表面の錆2中の金属のみとキレートして不活性化しそこを修復しつつ被膜形成成分の硬化によって被膜するので、金属材1の非錆箇所の金属とキレートしないから、単に被膜形成成分の硬化によって直接被膜するだけであってその非錆箇所を殆ど傷めない。得られた被覆金属材10は、耐錆性・耐候性のような耐久性に優れている。
本発明を適用する水系脱錆塗料を下記表に示す配合で調製し金属材に塗装して、脱錆塗料被膜で被覆された被覆金属材を作製した例を実施例に示し、本発明を適用外の水系塗料を調製し金属材に塗装して被覆金属材を作製した例を比較例に示す。
(実施例1)
ボンコート5400EF(大日本インキ化学工業(株)製、アクリル−スチレンエマルジョン樹脂水溶液、不揮発成分55%)100重量部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の水酸化カリウム中和物(不揮発成分25%)5重量部、脱イオン水10重量部、メルカプトベンゾチアゾール誘導体(プロピオン酸付加)のトリエタノールアミン中和物(不揮発成分60%)3重量部、消泡剤としてアクアレンHS−01(共栄社化学(株)製、不揮発成分100%)0.5重量部との配合量(a−1)で、ラボディスパーを用いて500rpmで3分間混練し、水系脱錆塗料を得た。
(実施例2)
実施例1の各成分の配合量を(a−2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例3)
実施例1の各成分の配合量を(a−3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例4)
実施例1のボンコート5400EFをボンコートBC−280(大日本インキ化学工業(株)製、アクリルエマルジョン樹脂水溶液、不揮発成分50%)110重量部(a−4)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例5)
実施例1のボンコート5400EFをボンコートVF−2020(大日本インキ化学工業(株)製、アクリル−ウレタン複合エマルジョン樹脂水溶液、不揮発成分45%)122重量部(a−5)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例6)
実施例1のボンコート5400EFをボンコートSA−6340(大日本インキ化学工業(株)製、アクリル−スチレン複合エマルジョン樹脂水溶液、不揮発成分50%)110重量部(a−6)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例7)
実施例1のボンコート5400EFをボンコートCF−2800(大日本インキ化学工業(株)製、酢酸ビニル−アクリルエマルジョン樹脂水溶液、不揮発成分50%)110重量部(a−7)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例8)
実施例1のボンコート5400EFをボンコートCC−3010(大日本インキ化学工業(株)製、酢酸ビニル−ベオバエマルジョン樹脂水溶液、不揮発成分50%)110重量部(a−8)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例9)
ウォーターゾールCD−520(大日本インキ化学工業(株)製、油変性アルキド樹脂水溶液、不揮発成分39%)127重量部、サイメル303(日本サイテックインダストリーズ(株)製、メラミン化合物樹脂)5.5重量部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の水酸化カリウム中和物(不揮発成分25%)5重量部、脱イオン水10重量部、メルカプトベンゾチアゾール誘導体(プロピオン酸付加)のトリエタノールアミン中和物(不揮発成分60%)3重量部、消泡剤としてアクアレンHS−01(共栄社化学(株)製、不揮発成分100%)0.5重量部(a−9)とをラボディスパーを用いて500rpmで3分間混練し、水系脱錆塗料を得た。
(実施例10)
ウォーターゾールCD−520をウォーターゾールBCD−3040(大日本インキ化学工業(株)製、ビニル変性アルキド樹脂水溶液、不揮発成分38%)130重量部(a−10)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例11)
ウォーターゾールCD−520をウォーターゾールCD−540(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシエステル樹脂水溶液、不揮発成分40%)124重量部(a−11)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例12)
ウォーターゾールCD−520をウォーターゾールS−701(大日本インキ化学工業(株)製、アクリル樹脂水溶液、不揮発成分41.5%)119重量部(a−12)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例13)
バーノックWE−306(大日本インキ化学工業(株)製、水性ポリオール樹脂水溶液、不揮発成分45%)79重量部、バーノックDNW−5000(大日本インキ化学工業(株)製、水性ポリイソシアネート樹脂水溶液、不揮発成分80%)25重量部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の水酸化カリウム中和物(不揮発成分25%)5重量部、脱イオン水10重量部、メルカプトベンゾチアゾール誘導体(プロピオン酸付加)のトリエタノールアミン中和物(不揮発成分60%)3重量部、消泡剤としてアクアレンHS−01(共栄社化学(株)製、不揮発成分100%)0.5重量部(a−13)とをラボディスパーを用いて500rpmで3分間混練し、水系脱錆塗料を得た。
(比較例1)
実施例1の各成分の配合量を(b−1)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(比較例2)
実施例1の各成分の配合量を(b−2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(比較例3)
実施例1の各成分の配合量を(b−3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例14)
実施例1の各成分の配合量を(a−14)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
表1、2は、実施例1〜14、表3は、比較例1〜3で用いた各成分の配合量を示したものである。また、表1〜3の数値の単位は、重量部である。
Figure 2015074743
Figure 2015074743
Figure 2015074743
(実施例15)
ウォーターゾールS−727(大日本インキ化学工業(株)製、アルキル樹脂溶液、不揮発成分60%)83重量部、サイメル303(日本サイテックインダストリーズ(株)製、メラミン化合物樹脂)5.5重量部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の水酸化カリウム中和物(不揮発成分25%)5重量部、脱イオン水10重量部、メルカプトベンゾチアゾール誘導体(プロピオン酸付加)のトリエタノールアミン中和物(不揮発成分60%)3重量部、消泡剤としてアクアレンHS−01(共栄社化学(株)製、不揮発成分100%)0.5重量部(a−15)とをラボディスパーを用いて500rpmで3分間混練し、水系脱錆塗料を得た。
(実施例16)
実施例15の各成分の配合量を(a−16)に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例17)
実施例15の各成分の配合量を(a−17)に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例18)
ウォーターゾールS−118(大日本インキ化学工業(株)製、油変性アルキド樹脂溶液、不揮発成分60%)83重量部、サイメル303(日本サイテックインダストリーズ(株)製、メラミン化合物樹脂)5.5重量部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の水酸化カリウム中和物(不揮発成分25%)5重量部、脱イオン水10重量部、メルカプトベンゾチアゾール誘導体(プロピオン酸付加)のトリエタノールアミン中和物(不揮発成分60%)3重量部、消泡剤としてアクアレンHS−01(共栄社化学(株)製、不揮発成分100%)0.5重量部(a−18)とをラボディスパーを用いて500rpmで3分間混練し、水系脱錆塗料を得た。
(実施例19)
ウォーターゾールCD−520をウォーターゾールS−346(大日本インキ化学工業(株)製、ビニル変性アルキド樹脂溶液、不揮発成分65%)76重量部(a−18)に変更したこと以外は、実施例18と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例20)
ウォーターゾールCD−520をウォーターゾールBC−3010(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ変性アルキド樹脂溶液、不揮発成分59%)84重量部(a−19)に変更したこと以外は、実施例18と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例21)
ウォーターゾールCD−520をウォーターゾールS−370(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシエステル樹脂溶液、不揮発成分55%)90重量部(a−19)に変更したこと以外は、実施例18と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(比較例4)
実施例15の各成分の配合量を(b−4)に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(比較例5)
実施例15の各成分の配合量を(b−5)に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(比較例6)
実施例15の各成分の配合量を(b−6)に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
(実施例22)
実施例15の各成分の配合量を(a−22)に変更したこと以外は、実施例15と同様の方法で、水系脱錆塗料を得た。
表4は、実施例15〜21、表5は、比較例4〜6及び実施例22で用いた各成分の配合量を示したものである。また、表4、5の数値の単位は、重量部である。
Figure 2015074743
Figure 2015074743
(被覆金属材の作製)
上記実施例1〜22、比較例1〜6で得られた水系脱錆塗料を荒研磨したSS−400鋼板及び、同鋼板をP150サンドペーパーで研磨し、脱イオン水に浸漬、乾燥させ、予め表面に錆を発生させた鋼板に、それぞれ44番のバーコーターを用いて塗装し、実施例1〜14、比較例1〜3を塗装した被覆金属材は23℃の室温にて硬化、実施例15〜22、比較例4〜6を塗装した被覆金属材は80℃で20分間加熱硬化させることにより、目的の被覆金属材を得た。
実施例1〜22、比較例1〜6で得られた被覆金属材について、以下の脱錆性試験、防錆性試験の各理化学試験を行った。
(脱錆性試験)
脱錆性試験は、予め表面に錆を発生させた鋼板に、実施例1〜22、比較例1〜6で得られた水系脱錆塗料を塗装した被覆金属材の脱錆性を目視で観察し、その脱錆性を評価するというものである。その結果が錆が消えて脱錆されている場合を○、錆が僅かに残っている場合を△、錆が消えずに脱錆されていない場合を×とする3段階で評価した。
(防錆性試験)
防錆性試験は、荒研磨したSS−400鋼板及び、予め表面に錆を発生させた鋼板に、実施例1〜22、比較例1〜6で得られた水系脱錆塗料を塗装した被覆金属材の防錆性を目視で観察し、その防錆性を評価するというものである。その結果が塗装硬化5日経過後も、新たな錆が発生しない場合を○、新たな錆が僅かに発生した場合を△、新たな錆が発生する場合を×とする3段階で評価した。
(平滑生およびハジキ防止性試験)
平滑生およびハジキ防止性試験は、実施例1〜22、比較例1〜6で得られた水系脱錆塗料を塗装した被覆金属材表面の平滑性、ハジキ防止性を目視で観察し、その平滑性、ハジキ防止性を評価するというものである。その結果が被覆金属材表面の平滑性が良好かつ、ハジキ、ブツが発生しない場合を○、平滑性が不良及び/又はハジキ、ブツが発生僅かに発生する場合を△、平滑性が不良及び/又はハジキ、ブツが発生する場合を×とする3段階で評価した。
それらの結果をまとめて表6に示す。表6から明らかなとおり、実施例1〜22で得られた水系脱錆塗料を塗装した被覆金属材は、脱錆性試験、防錆性試験、平滑性およびハジキ防止性試験に優れていた。一方、比較例1〜6の被覆金属材は、いずれかの項目が実施例1〜22の被覆金属材に比べ不十分であった。
Figure 2015074743
本発明の水系脱錆塗料は、水性塗料でありながら錆び易い鉄やその合金のような金属材に付して被膜を形成して、被膜形成途中で生じる錆を脱錆して、それら金属材を平滑で綺麗に被覆して各種金属製品の原材料を作製するのに用いられる。この水系脱錆塗料で塗装して形成された脱錆塗料被膜が付されて製造された被覆金属材は、家電製品のハウジング、自動車や電車等の車両など各種製品の原材料として用いられる。
1は金属材、2は錆、2aは酸化金属膜、2bは金属酸化物粒子、2c・2c・2c・2cは腐食金属粒子、2dは腐食金属塩、3は脱錆塗料被膜、10は被覆金属材である。

Claims (11)

  1. 鉄材、及び鉄合金材から選ばれる金属材の素地表面へ付される水系脱錆塗料であって、
    アルキリデンジホスホン酸化合物、アルキレンホスホン酸化合物、アルキレンジホスホン酸化合物、アルキルホスホン酸化合物、アルキレンジアミンホスホン酸化合物、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種類の有機ホスホン酸化合物と、アミノカルボン酸化合物及びその塩から選ばれる少なくとも1種類の両性化合物との少なくとも何れかからなる水溶性・水分散性又は水懸濁性の脱錆成分の0.1〜40重量部と、
    水溶性又は水分散性若しくは水懸濁性であって不飽和モノマー及び被膜形成用樹脂成分から選ばれる少なくとも何れかの被膜形成成分の10〜99重量部と、
    水からなり又は水を含んでいる水系溶剤の1〜99重量部とを、
    含有することを特徴とする水系脱錆塗料。
  2. 前記アルキリデンジホスホン酸化合物が1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、
    前記アルキレンホスホン酸化合物がニトロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩から選ばれる何れかであり、
    前記アルキレンジホスホン酸化合物がヒドロキシメチレンジホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、
    前記アルキルホスホン酸化合物がトリアミノメチルホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、
    前記アルキレンジアミンホスホン酸化合物がエチレンジアミン−3−ホスホン酸及びその塩から選ばれる何れかであり、
    前記アミノカルボン酸化合物がニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸及びその塩から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項1に記載の水系脱錆塗料。
  3. 前記有機ホスホン酸化合物が塩であってアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩及びアルカノールアミン塩から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1に記載の水系脱錆塗料。
  4. 前記不飽和モノマーが、(メタ)アクリル酸化合物、マレイン酸化合物、イタコン酸化合物、それらの何れかの塩、(メタ)アクリルアミド化合物、アクリロニトリル化合物及びスチレン化合物から選ばれる少なくとも1種類であり、
    前記皮膜形成用樹脂成分が、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種類の水溶性樹脂と、アクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素樹脂及びアクリルシリコン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の非水溶性樹脂との少なくとも何れかであってエマルジョンとなっていることを特徴とする請求項1に記載の水系脱錆塗料。
  5. 防錆成分の0.01〜20重量部を、含有することを特徴とする請求項1に記載の水系脱錆塗料。
  6. 前記防錆成分が、ベンゾチアゾールカルボン酸化合物、メルカプトベンゾチアゾール化合物、パラターシャルブチル安息香酸化合物、亜硝酸化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項5に記載の水系脱錆塗料。
  7. 請求項1に記載の水系脱錆塗料が前記素地表面へ付され、前記被膜形成成分が硬化して形成されていることを特徴とする脱錆塗料被膜。
  8. 前記素地表面が、防錆未処理若しくは防錆剤除去処理され、及び/又は脱スケール処理若しくは錆除去処理若しくは脱脂処理されていることを特徴とする請求項7に記載の脱錆塗料被膜。
  9. 前記脱錆成分が、前記素地表面の錆にキレートしていることを特徴とする請求項7に記載の脱錆塗料被膜。
  10. 請求項1に記載の水系脱錆塗料が前記素地表面へ付されて前記被膜形成成分が硬化し形成されている脱錆塗料被膜で、被覆されていることを特徴とする被覆金属材。
  11. 請求項1に記載の水系脱錆塗料を調製する工程と、前記金属材を用意し、前記素地表面を防錆未処理とし及び/又は脱脂処理する工程と、前記素地表面へ前記水系脱錆塗料を付した後、前記水系溶剤を揮発させつつ前記被膜形成成分を硬化させて脱錆塗料被膜を形成し、脱錆塗料被膜で前記金属材を被覆して、被覆金属材にする工程とを、有することを特徴とする被覆金属材の製造方法。
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