JP2015074602A - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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俊策 上田
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勉 堀
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智博 川瀬
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Abstract

【課題】基底面転位密度が低い炭化珪素単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】炭化珪素からなる種結晶10を準備する工程(S10)と、種結晶10を台座20の接合面20Aに固定する工程(S20)と、台座20を坩堝30内に設置し、種結晶10の表面(第4の主面)10Aに炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)とを備え、台座20において接合面20Aを含む表面層21の、接合面20Aに沿った方向における径方向熱伝導率を、接合面20Aに垂直な方向における軸方向熱伝導率で割った値が20以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に関し、特に昇華法を用いた炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素単結晶は、たとえば昇華法を用いて、炭化珪素からなる種結晶および原料を坩堝内に配置し、当該原料を昇華させて種基板上に炭化珪素層を成長させることにより製造される。
昇華法において、種結晶は、一般に黒鉛等からなる台座(支持部材)に固定された状態で坩堝内に配置されて、炭化珪素の結晶成長温度である2000℃程度の高温下に曝される。このとき、種結晶と台座とは、特に伝熱の観点から、種結晶の表面の面内においてムラなく接続されているのが好ましい。
特開2003−318010号公報には、種結晶を坩堝内に配置する方法として、接着剤を介して台座に固定する方法が提案されている。
特開2003−318010号公報
しかしながら、昇華法において、台座を構成する黒鉛は、一般に冷間静水圧プレス法(CIP: Cold Isostatic Pressing)で成形が行われ、かつ、その物性が等方性(成形体の方向による特性の違いが非常に少ない)である黒鉛(以下、等方性黒鉛という)が用いられている。等方性黒鉛は、熱伝導率についても等方性を示すとともに、炭化珪素の結晶成長温度である2000℃程度の高温下においては熱伝導率が低い。
そのため、従来の昇華法では、結晶成長中において、種結晶と台座との接合面に沿った方向(種結晶の表面(成長面)に沿った方向。以下、径方向という)における種結晶の表面の温度勾配が大きかった。具体的には、結晶成長中の種結晶の当該表面において、中心側の温度に対して外周側の温度が高かった。その結果、外周側に比べて中心側で成長速度が速くなることにより、種結晶の当該表面上に成長した炭化珪素単結晶は、上記接合面に垂直な方向(以下、軸方向という)において凸形状を有するとともに、炭化珪素単結晶の基底面である(0001)面に存在する転位密度(基底面転位密度)が高く、クラックの発生確率が高いという問題があった。この問題は、大口径の単結晶を成長させる際に特に顕著に現れている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、基底面転位密度が低い炭化珪素単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明の炭化珪素単結晶の製造方法は、炭化珪素からなる種結晶を準備する工程と、前記種結晶を台座の接合面に固定する工程と、前記台座を坩堝内に設置し、前記種結晶の表面に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備え、前記台座において前記接合面を含む表面層の、前記接合面に沿った方向における径方向熱伝導率を、前記接合面に垂直な方向における軸方向熱伝導率で割った値が20以上である。
本発明によれば、基底面転位密度が低い炭化珪素単結晶の製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法に用いる炭化珪素単結晶の製造装置の断面図である。 本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法のフローチャートである。 本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法において、種結晶の表面(第4の主面)の温度分布を説明するための図である。
[本願発明の実施形態の説明]
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
はじめに、本発明の実施の形態の概要について説明する。
(1)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、炭化珪素からなる種結晶10を準備する工程(S10)と、種結晶10を台座20の接合面20Aに固定する工程(S20)と、台座20を坩堝30内に設置し、種結晶10の表面(第4の主面)10Aに炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)とを備え、台座20において接合面20Aを含む表面層21の、接合面20Aに沿った方向における径方向熱伝導率を、接合面20Aに垂直な方向における軸方向熱伝導率で割った値が20以上である。
このように、固定する工程(S20)において、種結晶10は接合面20Aにおいて接合面20Aに沿った方向(径方向)における径方向熱伝導率が接合面20Aに垂直な方向(軸方向)における軸方向熱伝導率よりも十分に高い表面層21に固定される。このため、炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)において炭化珪素の成長温度(昇華温度)にまで坩堝30内が加熱されることにより種結晶10が2000℃程度にまで昇温されたときに、種結晶10から表面層21を介して台座20へ軸方向に伝わる伝熱量と比べて、種結晶10の表面(第4の主面)10Aに沿った方向へ径方向に伝わる伝熱量を多くすることができる。これにより、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布を小さく抑えることができる。そのため、成長時の結晶内のひずみを小さくすることが可能であり、基底面転位の発生を抑制することができる。
これに対し、従来の昇華法により得られる炭化珪素単結晶は、種結晶の表面における温度分布が大きいため、結晶内のひずみが大きくなり、基底面転位が発生する。
その結果、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる炭化珪素単結晶11は、従来の昇華法により得られる炭化珪素単結晶と比べて、任意の面における基底面転位密度(任意の面と交差する基底面転位の転位線の密度)を低減することができる。また、ひずみが低減することで、クラック発生確率を低減することができる。また、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる炭化珪素単結晶11は、従来の昇華法により得られる炭化珪素単結晶よりも種結晶10の表面(第4の主面)10Aに沿った方向において高い平坦性を有している。
(2)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、上記値(台座20において接合面20Aを含む表面層21の、接合面20Aに沿った方向における径方向熱伝導率を、接合面20Aに垂直な方向における軸方向熱伝導率で割った値)が150以上であるのが好ましい。このようにすれば、炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)において炭化珪素の成長温度にまで坩堝30内が加熱されたときに、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布をより小さく抑えることができる。その結果、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる炭化珪素単結晶11は基底面転位密度をより効果的に低減することができ、クラック発生確率をより効果的に低減することができる。
(3)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、表面層21の径方向熱伝導率が100W/(m・k)以上であればよい。この場合、上述の(1)および(2)により、台座20において接合面20Aを含む表面層21の、接合面20Aに沿った方向における径方向熱伝導率を、接合面20Aに垂直な方向における軸方向熱伝導率で割った値が少なくとも20以上であるため、表面層21の軸方向の熱伝導率は十分低く抑えられていることになる(たとえば、従来の炭化珪素単結晶の製造装置において台座を構成する一般的な部材(本実施の形態の炭化珪素の製造装置100においては後述するベース体22)の熱伝導率と比べても十分低く抑えられている)。このため、種結晶10に加えられた熱は表面層21において軸方向よりも径方向に伝熱し易い。その結果、炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)において炭化珪素の成長温度にまで坩堝30内が加熱されたときに、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布をより小さく抑えることができる。その結果、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる炭化珪素単結晶11は、表面(第4の主面)10Aに沿った方向において高い平坦性を有するとともに、基底面転位密度を低減することができ、クラック発生確率を低減することができる。
(4)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、表面層21の径方向熱伝導率が500W/(m・k)以上であるのが好ましい。このようにすれば、種結晶10に加えられた熱は表面層21において軸方向よりもより径方向に伝熱し易い。その結果、炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)において炭化珪素の成長温度にまで坩堝30内が加熱されたときに、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布をさらに小さく抑えることができる。その結果、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる炭化珪素単結晶11は、表面(第4の主面)10Aに沿った方向において高い平坦性を有するとともに、基底面転位密度をより効果的に低減することができ、クラック発生確率を低減することができる。
(5)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、表面層21の厚みは0.01mm超えであればよい。このようにすれば、表面層21は、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布をより小さく抑えるために必要とされる径方向の伝熱経路として十分に機能することができる。
なお、表面層21の厚みが0.01mm以下である場合には、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布をより小さく抑えるために必要とされる径方向の伝熱経路として十分に機能することが困難となる。また、表面層21がその軸方向の熱伝導率を十分に低く設けられていたとしても、軸方向の伝熱量を径方向の伝熱量よりも十分に小さく抑えることが困難となる。つまり、表面層21の厚みが0.01mm以下である場合には、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布を小さく抑えることが困難となるため、大口径でかつ基底面転位密度の小さい炭化珪素単結晶11を得ることが難しい。
(6)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、表面層21は炭素材料で構成されていてもよい。このようにすれば、炭化珪素の結晶成長温度においても十分な耐熱性を有するとともに、比較的安価な表面層21を得ることができる。表面層21は、たとえばグラファイトが所定の方向に配向した異方性黒鉛で構成されていてもよい。なお、本明細書において「異方性黒鉛」とは、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が20以上である黒鉛をいう。
(7)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、台座20は、ベース体22と表面層21となるべき熱伝導部材21とが接着層23を介して接着されることにより構成されており、固定する工程(S20)では、接着層24を介して種結晶10を接合面20Aに固定すればよい。
このようにすれば、既存のベース体22に接着層23を介して表面層21となるべき熱伝導部材21を接着することにより、本実施の形態に係る表面層21を含む台座20を構成することができる。つまり、表面層21となるべき熱伝導部材21と、接着層23とを新たに準備することにより、既存の結晶成長装置を用いて本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法を実施することができる。
(8)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、種結晶10の外径は、100mm以上であってもよい。このような場合であっても、種結晶10の表面(第4の主面)10Aの径方向における温度分布を小さく抑えることができるため、基底面転位密度が低く、クラック発生確率が低い、外径が100mm以上の炭化珪素単結晶を得ることができる。
(9)本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、種結晶10の外径は、150mm以上であってもよい。このような場合であっても、種結晶10の表面(第4の主面)10Aの径方向における温度分布を小さく抑えることができるため、基底面転位密度が低く、クラック発生確率が低い、外径が150mm以上の炭化珪素単結晶を得ることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
図1を参照して、まず、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶製造方法に用いる炭化珪素単結晶の製造装置について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素結晶の製造装置は、種結晶10を保持する台座20と、該台座20が配置される坩堝30と、坩堝30内を加熱する加熱部40とを主に備えている。
台座20は、表面層21となるべき熱伝導部材とベース体22とが接着層23で接着されることにより構成されている。台座20は、種結晶10を固定するための接合面20Aを有し、該接合面20Aは表面層21の一方の表面(第1の主面)で構成されている。
表面層21は、たとえば円板状の熱伝導部材で構成されており、台座20として構成されたときに接合面20Aとなる第1の主面と、軸方向において該主面の反対側に位置する第2の主面とを有している。第1の主面と第2の主面とは、いずれも高い平坦性を有しているのが好ましい。表面層21の外径(該主面(接合面20A)の外径)は、種結晶10の外径と同等程度とすればよい。表面層21の厚みは、0.01mm超えであればよく、たとえば0.02mmである。
表面層21は、少なくとも炭化珪素の成長温度(昇華温度)において安定的に固体状態を有することのできる程度の耐熱性を有する材料であって、上記第1の主面(接合面20A)に沿った方向(径方向)における熱伝導率を、上記第1の主面(接合面20A)に垂直な方向(軸方向)における熱伝導率で割った値が20以上である任意の材料で構成されている。好ましくは、表面層21は上記値が100以上である材料で構成されている。このとき、表面層21の径方向における熱伝導率は、100W/(m・k)以上であればよく、好ましくは500W/(m・k)以上である。一方、表面層21の軸方向における熱伝導率は、上記径方向における熱伝導率の1/20以下であればよいが、好ましくは5W/(m・k)以下である。表面層21は、たとえば第1の主面(接合面20A)と垂直な方向にc軸が配向している異方性黒鉛である。
ベース体22は、表面層21の第2の主面21Bと接着される第3の主面22Aを有する。第3の主面22Aは高い平坦性を有しているのが好ましい。ベース体22を構成する材料は、少なくとも炭化珪素の成長温度(昇華温度)において安定的に固体状態を有することのできる程度の耐熱性を有する材料であればよく、たとえば等方性黒鉛である。なお、本明細書において「等方性黒鉛」とは、「異方性黒鉛」に該当しない黒鉛を指す。つまり、等方性黒鉛で構成されたベース体22は、接合面20Aに沿った方向における熱伝導率を、接合面20Aに垂直な方向における熱伝導率で割った値が20未満である。ベース体22の熱伝導率は、接合面20Aに沿った方向および接合面20Aに垂直な方向のいずれについても、たとえば100W/(m・k)程度であればよい。つまり、本実施の形態において、表面層21の軸方向熱伝導率は、ベース体22の熱伝導率と比べて十分に小さく、好ましくはベース体22の熱伝導率の1/20以下である。
接着層23は、炭化珪素の昇華温度付近においても、表面層21となるべき熱伝導部材の第2の主面21Bとベース体22の第3の主面22Aとを接着可能な材料であればよく、たとえば炭素粉末と高分子材料とを有機溶剤により混合してなる接着剤を熱処理して硬化した層である。高分子材料とはたとえばフェノール樹脂であり、有機溶剤とはたとえばフェノールおよびエチルアルコールの混合溶剤である。
台座20はこれらの部材により構成される。なお、台座20の接合面20Aに種結晶10が固定される際には、表面層21と種結晶10とは接着層24を介して接着される。詳細は後述する。
坩堝30は、たとえば純化処理されたグラファイトで構成されている。坩堝30は、内部において炭化珪素の原料となる固体原料50を収容可能に設けられている。さらに坩堝30は、内部において固体原料50と対向するように台座20が配置可能に設けられている。
加熱部40は、坩堝30の外部を囲うように設けられている。加熱部40は、坩堝30内に配置された種結晶10や固体原料50などを加熱可能(固体原料50を炭化珪素の昇華温度まで昇温可能)に設けられている。加熱部40は、たとえば誘導加熱により坩堝30等を加熱可能に設けられている。
次に、図1および図2を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、昇華法を用いた炭化珪素単結晶の製造方法であり、炭化珪素からなる種結晶10を準備する工程(S10)と、種結晶10を台座20の接合面20Aに固定する工程(S20)と、台座20を坩堝30内に設置し、種結晶10の表面(第4の主面)10Aに炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)とを備える。
まず、炭化珪素からなる種結晶10を準備する(工程(S10))。具体的には、種結晶10は、炭化珪素から作られた単結晶である。種結晶10の炭化珪素の結晶構造は六方晶系であることが好ましい。また結晶構造のポリタイプは4Hまたは6Hであることが好ましい。種結晶10は、炭化珪素単結晶11が成長される第4の主面(成長面)10Aと、第4の主面10Aの反対側に位置して台座20の接合面20Aと接着される第5の主面10Bとを有している。第4の主面10Aは、たとえば(0001)面に対して10度以下のオフ角を有する面である。第4の主面10Aと第5の主面10Bとは、いずれも高い平坦性を有しているのが好ましい。種結晶10の第4の主面10Aにおける外径は、たとえば100mm以上であり、好ましくは150mm以上である。
次に、種結晶10を台座20の接合面20Aに固定する(工程(S20))。具体的には、まず、表面層21となるべき熱伝導部材とベース体22とが接着層23を介して接着され構成されている台座20を準備する。
表面層21となるべき熱伝導部材は、接着層23を介してベース体22と接着されたときに、上述した表面層21を構成可能なように設けられている。つまり、表面層21となるべき熱伝導部材の厚みは、0.01mm超えであればよく、たとえば0.02mmである。また、表面層21となるべき熱伝導部材は、第1の主面(接合面20A)に沿った方向(径方向)における熱伝導率を、第1の主面(接合面20A)に垂直な方向(軸方向)における熱伝導率で割った値が20以上である任意の材料で構成されている。
次に、このようにして準備された台座20の接合面20Aに、接着層24を介して種結晶10を固定する。接着層24は、炭化珪素の昇華温度付近においても、表面層21となるべき熱伝導部材の第2の主面21Bとベース体22の第3の主面22Aとを接着可能である限りにおいて、任意の材料で構成されていればよく、接着層23と同じ材料で構成されていてもよい。たとえば炭素粉末と高分子材料とを有機溶剤により混合してなる接着剤を接合面20Aに塗布し、該接着剤を挟むように接合面20A上に種結晶10を配置した後、熱処理を行う。これにより、接着剤が硬化して、種結晶10と台座20とは接着層24により接着される。
次に、台座20を坩堝30内に設置し、種結晶10の第4の主面10Aに炭化珪素単結晶11を成長させる(工程(S30))。具体的には、まず、先の工程(S20)において準備された、種結晶10が固定された台座20を、坩堝30に設置する。このとき、坩堝30の内部には、台座20が設置されることにより種結晶10と対向する位置に固体原料50があらかじめ収容されている。固体原料50は、たとえば炭化珪素多結晶を粉砕することによって得られる炭化珪素の粉末である。これにより、台座20が坩堝30に設置されることにより、種結晶10の第4の主面10Aと固体原料50とは坩堝30内において互いに対向するように配置される。
次に、昇華法によって、種結晶10の第4の主面(成長面)10A上に炭化珪素単結晶11を成長させる。具体的には、加熱部40によって坩堝30内に収容された固体原料50を炭化珪素の昇華温度にまで加熱する。これにより、固体原料50を昇華して、種結晶10の第4の主面10A上に再結晶化することができる。この結果、種結晶10の第4の主面10A上に炭化珪素単結晶11を成長させることができる。炭化珪素を昇華させるための温度は、たとえば、2100℃以上2500℃以下程度である。一方、種結晶10の温度は、固体原料50よりも低温に維持されており、たとえば2000℃以上2400℃以下程度である。このとき、坩堝30内の雰囲気中には、ドーパントとなる原子が添加されてもよい。これにより、炭化珪素単結晶11のドーパントの濃度を大きくすることができる。たとえば、雰囲気中に窒素を含めることで、炭化珪素単結晶11中にドーパントとしての窒素を含めることができる。このようにして、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶11を得ることができる。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶10が熱伝導率に異方性を有する表面層21を介して台座20に固定された状態で、種結晶10の第4の主面10A上に炭化珪素単結晶11を昇華法により成長する。表面層21は、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が20以上であるように設けられている。そのため、炭化珪素単結晶11を成長させる工程(S30)において炭化珪素の成長温度(昇華温度)にまで坩堝30内が加熱されることにより種結晶10が2000℃程度にまで昇温されたときに、種結晶10から表面層21を介して台座20へ軸方向に伝わる伝熱量と比べて、種結晶10の表面(第4の主面)10Aに沿った方向へ径方向に伝わる伝熱量を多くすることができる。
このため、図3を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によって得られる炭化珪素単結晶(図3中のA)は、外径が100mm以上と大口径の種結晶10においても結晶成長中における第4の主面10A上での温度分布を小さく抑えることができる。図3は、第4の主面10Aの温度分布を説明するための図であり、図3の縦軸は第4の主面10Aの温度を示し、横軸は第4の主面10Aの中心に対する径方向の距離を示す。
第4の主面10Aの温度分布について、種結晶10、表面層21およびベース体22の各外周端部は、各中心部と比べて高温雰囲気に曝されている領域が多いため、第4の主面10A上の中心部で最低温度を示し外周部で最高温度を示している。しかし、表面層21の径方向熱伝導率が軸方向熱伝導率よりも十分に高いため、上述のように、種結晶10から表面層21を介して台座20へ軸方向に伝わる伝熱量と比べて、種結晶10の表面(第4の主面)10Aに沿った方向へ径方向に伝わる伝熱量を多くすることができ、結晶の径方向の温度分布を小さくすることが可能となる。これにより、結晶中で均一な成長速度が得られ、平坦な結晶が作製可能である。また、ひずみが低減するため、このようにして得られる炭化珪素単結晶11中に含まれる基底面転位の転位線を少なくすることが可能となる。
これに対し、従来の昇華法により得られる炭化珪素単結晶は、等方性黒鉛からなる台座(本実施の形態におけるベース体に相当)と接着剤を介して固定されている種結晶上に成長されるため、種結晶から台座へ伝わる伝熱量と、種結晶の表面に沿った方向へ伝わる伝熱量が同等程度となる。そのため、図3を参照して、従来の昇華法により得られる炭化珪素単結晶(図3中のB)は、種結晶の第4の主面上での温度分布が大きくなる。これにより、従来の昇華法では、結晶成長中において炭化珪素単結晶の成長速度を一定に維持することが困難であり、基底面転位の発生を抑制することが困難である。
その結果、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる炭化珪素単結晶11は、従来の昇華法により得られる炭化珪素単結晶と比べて、任意の面における基底面転位密度を低減することができ、クラック発生確率を低減することができる。さらに、炭化珪素単結晶11は、外径が100mm以上であって、第4の主面10Aに沿う方向において高い平坦性を有することができる。
本実施の形態において、表面層21の軸方向熱伝導率は、ベース体22の熱伝導率と比べて十分に小さく設けられている。そのため、表面層21を介してベース体22に伝わった熱は、ベース体22においてを効果的に放熱される。その結果、結晶成長中において、種結晶10と固体原料50と温度差を一定以上に維持することができ、成長速度の低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態において、ベース体22は、接合面20Aに沿った方向における熱伝導率を接合面20Aに垂直な方向における熱伝導率で割った値が20未満である、等方性黒鉛により構成されているが、これに限られるものではない。ベース体22も、表面層21と同様に上記値が20以上の異方性材料で構成されていてもよい。このようにしても、種結晶10の表面(第4の主面)10Aにおける温度分布を小さく抑えることができる。
ここで、基底面転位密度の測定方法について説明する。基底面転位密度は、炭化珪素単結晶11の表面にエッチング処理を行なった後、炭化珪素単結晶11の所定の面のエッチピットの数を、たとえばノマルスキー微分干渉顕微鏡を用いてカウントすることにより求められる。なお、エッチング処理は、炭化珪素単結晶11を、たとえば500℃の水酸化カリウム(KOH)融液に10分間浸漬させることにより行われてもよい。また、エッチング処理は、炭化珪素単結晶11の表面を、たとえば1000℃の塩素と酸素の混合ガスによりドライエッチングすることによって行われてもよい。
次に、本実施の形態の実施例1について説明する。
実施例1では、外径が100mmの種結晶上に、昇華法により炭化珪素単結晶を成長したときの該炭化珪素単結晶の厚みのばらつきと、基底転位密度を評価した。
実施例1に係る試料としての炭化珪素単結晶(試料ID1〜試料ID3)を以下の方法により製造した。まず、炭化珪素からなり、外径が100mmで厚みが1mmの種結晶を準備した。種結晶の表面(第4の主面)は、(000−1)面から4度のオフ角を有する面とした。
次に、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が28以上428.6以下であって、径方向熱伝導率が140W/(m・k)以上1500W/(m・k)以下である3種類の表面層を準備した。各表面層を構成する材料はそれぞれ材質の異なる異方性黒鉛とし、いずれも表面層の外径は100mm、表面層の厚みは0.5mmとした。
また、等方性黒鉛からなるベース体と、炭素粉末と高分子材料とを有機溶剤により混合した材料からなる接着剤とを準備した。高分子材料はフェノール樹脂とし、有機溶剤とはフェノールおよびエチルアルコールの混合溶剤とした。ベース体の熱伝導率は、130W/(m・k)以上であった。
上記3種類の表面層を、それぞれ上記接着剤を介して上記ベース体に接着させ、必要な熱処理などを行うことにより、接合面に表面層を含む3種類の台座を準備した。
次に、先に準備した種結晶を、接着剤を介して3種類の台座の接合面に固定した。接着剤は、表面層とベース体との接着に用いた接着剤と同一のものとした。
次に、種結晶が固定された3種類の台座を、炭化珪素単結晶の製造装置における坩堝に設置した。坩堝内には、あらかじめ炭化珪素の粉末を固体原料として収容させておいた。
次に、昇華法により、種結晶の表面(第4の主面)上に炭化珪素単結晶を成長させた。具体的には、坩堝の外部を囲う加熱部によって坩堝内の炭化珪素粉末を昇華温度(2100℃以上2500℃以下)にまで昇温し、種結晶の表面上で再結晶させた。成長圧力は、1000Pa以上3000Pa以下とし、成長時間は2時間とした。以上の工程により、実施例1に係る炭化珪素単結晶(試料ID1〜試料ID3)を製造した。
(比較例1)
一方、比較例1に係る試料としての炭化珪素単結晶(試料ID4)を以下の方法により製造した。具体的には、上述した実施例1と同様に種結晶、ベース体、接着剤を準備し、種結晶を接着剤を介してベース体に直接接着させた。
さらに、種結晶が固定されたベース体(台座)を、炭化珪素単結晶の製造装置における坩堝に設置し、実施例1と同様の条件で種結晶の表面(第4の主面)上に炭化珪素単結晶を成長させた。このようにして、比較例1に係る炭化珪素単結晶(試料ID4)を製造した。つまり、比較例1に係る試料(試料ID4)は、表面層を含まない台座に固定された種結晶上に成長された点で実施例1に係る試料(試料ID1〜試料ID3)と異なる。
(評価1)
試料ID1〜試料ID4の炭化珪素単結晶について、種結晶の第4の主面(成長面)に沿った方向における炭化珪素単結晶の厚みのばらつきを評価した。ここで、炭化珪素単結晶の厚みは、種結晶の第4の主面に対して垂直な方向における炭化珪素単結晶の厚みとした。炭化珪素単結晶の厚みのばらつきの評価は、種結晶の第4の主面に沿った方向における炭化珪素単結晶の厚みを測定し、測定結果の内の最大値(最大厚み)と最小値(最小厚み)との差を算出することにより行った。
(評価2)
試料ID1〜試料ID4の炭化珪素単結晶について、(0001)面から4度のオフ角を有する面おける基底面転位密度を測定した。具体的には、まず、炭化珪素単結晶を500℃の水酸化カリウム(KOH)融液に10分間浸漬させることによりエッチングした。(0001)面から4度のオフ角を有する面をノマルスキー微分干渉顕微鏡を用いて観察して所定の観察視野における、基底面転位に対応するエッチピットの数を測定し、エッチピットの密度(単位:cm−2)を算出した。算出されたエッチピットの密度は基底面転位密度に等しいと考えることができる。
(評価結果)
評価1および評価2の結果を表1に示す。
Figure 2015074602
試料ID1〜試料ID4の炭化珪素単結晶は、いずれも種結晶の第4の主面に沿った方向において中心部よりも外周部において厚みが厚く形成されていた。しかし、試料ID1〜試料ID3の炭化珪素単結晶は、種結晶の第4の主面に沿った方向における最大厚みと最小厚みとの差が620μm以下であったのに対し、試料ID4の炭化珪素単結晶における上記差は820μmであった。つまり、実施例1に係る炭化珪素単結晶は、比較例1に係る炭化珪素単結晶と比べて種結晶の第4の主面に沿った方向において高い平坦性を有していることが確認された。
また、実施例1に係る炭化珪素単結晶において、試料ID2および試料ID3の炭化珪素単結晶は、試料ID1の炭化珪素単結晶と比べて種結晶の第4の主面に沿った方向における最大厚みと最小厚みとの差が低減されていた。つまり、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が100以上である表面層を用いて製造された試料ID2および試料ID3の炭化珪素単結晶は、種結晶の第4の主面に沿った方向において極めて高い平坦性を有しており、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が20以上である表面層を用いて製造された試料ID1の炭化珪素単結晶よりもさらに優れた平坦性を有していた。
さらに、表1に示すように、試料ID1〜試料ID3の炭化珪素単結晶は、基底面転位密度が8000cm−2以下と低く抑えられていた。これに対し、試料ID4の炭化珪素単結晶は、基底面転位密度が24000cm−2であった。つまり、実施例1に係る炭化珪素単結晶は、比較例1に係る炭化珪素単結晶と比べて(0001)面から4度のオフ角を有する面における基底面転位密度が十分に低減されていることが確認された。
また、実施例1に係る炭化珪素単結晶において、試料ID2および試料ID3の炭化珪素単結晶は、試料ID1の炭化珪素単結晶と比べて基底面転位密度が低減されていた。つまり、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が100以上である表面層を用いて製造された試料ID2および試料ID3の炭化珪素単結晶は、基底面転位密度が極めて低く抑えられており、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が20以上である表面層を用いて製造された試料ID1の炭化珪素単結晶よりも基底面転位密度が低く抑えられていた。
次に、本実施の形態の実施例2について説明する。
実施例2では、外径が150mmの種結晶上に、昇華法により炭化珪素単結晶を成長したときの該炭化珪素単結晶の厚みのばらつきと、基底転位密度を評価した。
実施例2に係る試料としての炭化珪素単結晶(試料ID5〜試料ID7)は、外径が150mmの種結晶と、外径が150mmである表面層とを準備する点を除いて、実施例1に係る試料としての炭化珪素単結晶(試料ID1〜試料ID3)と同様に準備した。
具体的には、まず、炭化珪素からなり、外径が150mmで厚みが1mmの種結晶を準備した。種結晶の表面(第4の主面)は、(000−1)面から4度のオフ角を有する面とした。
次に、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が28以上428.6以下であって、径方向熱伝導率が140W/(m・k)以上1500W/(m・k)以下である3種類の表面層を準備した。各表面層を構成する材料は、それぞれ材質の異なる異方性黒鉛とし、いずれも表面層の外径は100mm、表面層の厚みは0.5mmとした。
また、等方性黒鉛からなるベース体と、炭素粉末と高分子材料とを有機溶剤により混合した材料からなる接着剤とを準備した。高分子材料はフェノール樹脂とし、有機溶剤はフェノールおよびエチルアルコールの混合溶剤とした。ベース体の熱伝導率は、130W/(m・k)以上であった。
上記3種類の表面層を、それぞれ上記接着剤を介して上記ベース体に接着させることにより、接合面に表面層を含む3種類の台座を準備した。
次に、先に準備した種結晶を、接着剤を介して3種類の台座の接合面に固定した。接着剤は、表面層とベース体との接着に用いた接着剤と同一のものとした。
次に、種結晶が固定された3種類の台座を、炭化珪素単結晶の製造装置における坩堝に設置した。坩堝内には、あらかじめ炭化珪素の粉末を固体原料として収容させておいた。
次に、昇華法により、種結晶の表面(第4の主面)上に炭化珪素単結晶を成長させた。具体的には、坩堝の外部を囲う加熱部によって坩堝内の炭化珪素粉末を昇華温度(2100℃以上2500℃以下)にまで昇温し、種結晶の表面上で再結晶させた。成長圧力は、1000Pa以上3000Pa以下とし、成長時間は2時間とした。以上の工程により、実施例2に係る炭化珪素単結晶(試料ID5〜試料ID7)を製造した。
(比較例2)
一方、比較例に係る試料としての炭化珪素単結晶(試料ID8)を以下の方法により製造した。具体的には、上述した実施例2と同様に種結晶、ベース体、接着剤を準備し、種結晶とベース体とを接着剤を介して直接接着させた。
さらに、種結晶が固定されたベース体(台座)を、炭化珪素単結晶の製造装置における坩堝に設置し、実施例2と同様の条件で種結晶の表面(第4の主面)上に炭化珪素単結晶を成長させた。このようにして、比較例に係る炭化珪素単結晶(試料ID8)を製造した。つまり、比較例2に係る試料(試料ID8)は、表面層を含まない台座に固定された種結晶上に成長された点で実施例2に係る試料(試料ID5〜試料ID7)と異なる。
(評価3)
試料ID1〜試料ID4の炭化珪素単結晶に対する評価1と同様の方法により、試料ID5〜試料ID8の炭化珪素単結晶について、種結晶の第4の主面(成長面)に沿った方向における炭化珪素単結晶の厚みのばらつきを評価した。
(評価4)
試料ID1〜試料ID4の炭化珪素単結晶に対する評価1と同様の方法により、試料ID5〜試料ID8の炭化珪素単結晶について、(0001)面から4度のオフ角を有する面における基底面転位密度を測定した。
(評価結果)
評価3および評価4の結果を表2に示す。
Figure 2015074602
試料ID5〜試料ID8の炭化珪素単結晶は、いずれも種結晶の第4の主面に沿った方向において中心部よりも外周部において厚みが厚く形成されていた。しかし、試料ID5〜試料ID7の炭化珪素単結晶は、種結晶の第4の主面に沿った方向における最大厚みと最小厚みとの差が860μm以下であったのに対し、試料ID8の炭化珪素単結晶における上記差は1230μmであった。つまり、実施例2に係る炭化珪素単結晶は、比較例2に係る炭化珪素単結晶と比べて種結晶の第4の主面に沿った方向において高い平坦性を有していることが確認された。
また、実施例2に係る炭化珪素単結晶において、試料ID6および試料ID7の炭化珪素単結晶は、試料ID5の炭化珪素単結晶と比べて種結晶の第4の主面に沿った方向における最大厚みと最小厚みとの差が低減されていた。つまり、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が100以上である表面層を用いて製造された試料ID6および試料ID7の炭化珪素単結晶は、種結晶の第4の主面に沿った方向において極めて高い平坦性を有しており、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が20以上である表面層を用いて製造された試料ID5の炭化珪素単結晶よりもさらに優れた平坦性を有していた。
さらに、表2に示すように、試料ID5〜試料ID7の炭化珪素単結晶は、基底面転位密度が13000cm−2以下と低く抑えられていた。これに対し、試料ID4の炭化珪素単結晶は、基底面転位密度が42000cm−2であった。つまり、実施例2に係る炭化珪素単結晶は、比較例2に係る炭化珪素単結晶と比べて(0001)面から4度のオフ角を有する面における基底面転位密度が十分に低減されていることが確認された。さらに、実施例2に係る炭化珪素単結晶は、比較例1に係る単結晶と比べても、基底面転位密度が十分に低減されていることが確認された。つまり、本実施の形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法により得られる外径が150mm以上と大口径の炭化珪素単結晶は、従来の炭化珪素単結晶の製造方法において得られる外径が100mmの炭化珪素単結晶と比べても基底面転位密度をおよそ半減させることができることが確認された。
また、実施例2に係る炭化珪素単結晶において、試料ID6および試料ID7の炭化珪素単結晶は、試料ID5の炭化珪素単結晶と比べて基底面転位密度が低減されていた。つまり、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が100以上である表面層を用いて製造された試料ID6および試料ID7の炭化珪素単結晶は、基底面転位密度が極めて低く抑えられており、径方向熱伝導率を軸方向熱伝導率で割った値が20以上である表面層を用いて製造された試料ID5の炭化珪素単結晶よりも基底面転位密度が低く抑えられていた。
以上のように本発明の実施の形態および実験例について説明を行ったが、上述の実施の形態および実験例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実験例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
本発明は、大口径の炭化珪素単結晶の製造方法に特に有利に適用される。
10 種結晶
10A 第4の主面
10B 第5の主面
11 単結晶
20 台座
20A 接合面(第1の主面)
21 表面層、熱伝導部材
21B 第2の主面
22 ベース体
22A 第3の主面
23,24 接着層
30 坩堝
40 加熱部
50 固体原料
100 製造装置

Claims (9)

  1. 炭化珪素からなる種結晶を準備する工程と、
    前記種結晶を台座の接合面に固定する工程と、
    前記台座を坩堝内に設置し、前記種結晶の表面に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備え、
    前記台座において前記接合面を含む表面層の、前記接合面に沿った方向における径方向熱伝導率を、前記接合面に垂直な方向における軸方向熱伝導率で割った値が20以上である、炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記値が150以上である、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記表面層の前記径方向熱伝導率が100W/(m・k)以上である、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記表面層の前記径方向熱伝導率が500W/(m・k)以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記表面層の厚みは0.01mm超えである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記表面層は炭素材料で構成されている、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 前記台座は、ベース体と前記表面層となるべき熱伝導部材とが接着層を介して接着されることにより構成されており、
    前記固定する工程では、接着層を介して前記種結晶を前記接合面に固定する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  8. 前記種結晶の外径は、100mm以上である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  9. 前記種結晶の外径は、150mm以上である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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