JP2016124777A - 単結晶炭化珪素の製造方法 - Google Patents

単結晶炭化珪素の製造方法 Download PDF

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隆 櫻田
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隆 櫻田
勉 堀
Tsutomu Hori
勉 堀
錬 木村
Isamu Kimura
錬 木村
俊策 上田
Shunsaku Ueta
俊策 上田
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Abstract

【課題】高品質な単結晶炭化珪素を安定して得ることが可能な単結晶炭化珪素の製造方法を提供する。【解決手段】単結晶炭化珪素の製造方法は、台座11を有する坩堝1を準備する工程と、炭化珪素からなる種結晶91を台座11に接着剤を介して貼り付ける工程と、台座11に貼り付けられた種結晶91上に炭化珪素からなる単結晶93を成長させる工程と、を備える。台座11において種結晶91が貼り付けられる面である保持面11Aの粗さは、Raで10μm以下である。【選択図】図4

Description

本発明は単結晶炭化珪素の製造方法に関するものである。
半導体装置の高耐圧化、低損失化、高温環境下での使用などを可能とするため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素の採用が進められつつある。炭化珪素は、従来から半導体装置を構成する材料として広く使用されている珪素に比べてバンドギャップが大きい。そのため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素を採用することにより、半導体装置の高耐圧化、オン抵抗の低減などを達成することができる。また、炭化珪素を材料として採用した半導体装置は、珪素を材料として採用した半導体装置に比べて、高温環境下で使用された場合の特性の低下が小さいという利点も有している。
炭化珪素を半導体装置の材料として採用するためには、単結晶炭化珪素を作製する必要がある。単結晶炭化珪素は、たとえば再結晶法により製造することができる。具体的には、坩堝内の台座に単結晶炭化珪素からなる種結晶を貼り付けて保持するとともに、当該坩堝内に保持された炭化珪素の原料粉末を加熱して昇華させ、種結晶上に再結晶させることにより製造することができる。このような製造方法においては、台座と種結晶との貼り付け状態が、得られる単結晶炭化珪素の品質に影響を与えることが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。より具体的には、接着剤を用いて種結晶を台座に貼り付ける場合、接着剤の厚みのばらつき、台座および種結晶の表面粗さや平面度が、得られる単結晶炭化珪素の品質に影響する。特許文献2では、種結晶と台座との間に緩衝材を配置することにより、これらの影響を排除可能であるとされている。
特開2004−269297号公報 特開2002−308697号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、種結晶と台座との間に緩衝材を配置した場合でも、ボイドなどのマクロ欠陥の発生、所望のポリタイプ以外のポリタイプの混入、転位密度の上昇などが発生し、単結晶炭化珪素の品質が低下する場合がある。
そこで、高品質な単結晶炭化珪素を安定して製造することが可能な単結晶炭化珪素の製造方法を提供することを目的の1つとする。
本発明に従った単結晶炭化珪素の製造方法は、台座を有する坩堝を準備する工程と、炭化珪素からなる種結晶を台座に接着剤を介して貼り付ける工程と、台座に貼り付けられた種結晶上に炭化珪素からなる単結晶を成長させる工程と、を備える。台座において種結晶が貼り付けられる面である保持面の粗さは、Raで10μm以下である。
上記単結晶炭化珪素の製造方法によれば、高品質な単結晶炭化珪素を安定して製造することができる。
単結晶炭化珪素の製造方法の一例を示すフローチャートである。 単結晶炭化珪素の製造方法の製造方法を説明するための概略断面図である。 図2の台座周辺を拡大して示す概略断面図である。 単結晶炭化珪素の製造方法を説明するための概略断面図である。 保持面の表面粗さと種結晶の剥離の面積率との関係を示す図である。 保持面の表面粗さと成長結晶の基底面転位密度との関係を示す図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願の単結晶炭化珪素の製造方法は、台座を有する坩堝を準備する工程と、炭化珪素からなる種結晶を台座に接着剤を介して貼り付ける工程と、台座に貼り付けられた種結晶上に炭化珪素からなる単結晶を成長させる工程と、を備える。台座において種結晶が貼り付けられる面である保持面の粗さは、Raで10μm以下である。
上述のように、本発明者らの検討によれば、台座や種結晶の表面粗さの影響を排除する目的で種結晶と台座との間に緩衝材を配置した場合でも、得られる単結晶炭化珪素の品質が不十分となる場合がある。より具体的には、台座と種結晶との間に緩衝材を配置したか否かにかかわらず、台座の表面粗さが大きい場合、成長結晶の品質が低下することが本発明者らの検討により明らかとなった。これは、たとえば以下のような理由によるものと考えることができる。台座の表面粗さが大きい場合、当該表面粗さに対応して接着剤の厚みのばらつきが大きくなる。接着剤の厚みのばらつきは、緩衝材の有無にかかわらず発生する。また、接着剤の熱伝導率は、坩堝や種結晶の熱伝導率に比べて低い。そのため、接着剤の厚みのばらつきに起因して、種結晶の部位による温度のばらつきが大きくなる。その結果、熱応力により種結晶の一部が台座から剥離する場合がある。種結晶の台座からの剥離が広い領域で発生すると、ボイドなどのマクロ欠陥の発生や、所望のポリタイプ以外のポリタイプの混入などの問題が生じる。
これに対し、本願の単結晶炭化珪素の製造方法においては、台座の保持面の粗さがRaで10μm以下とされる。これにより、種結晶の台座からの剥離が抑制され、高品質な単結晶炭化珪素を製造することができる。
上記単結晶炭化珪素の製造方法において、保持面の粗さはRaで1μm以下であってもよい。種結晶の台座からの剥離が少ない場合や剥離が発生しない場合でも、熱応力に起因して転位密度が上昇する場合がある。保持面の粗さをRaで1μm以下にまで低減することにより、転位密度の上昇を抑制することができる。
上記単結晶炭化珪素の製造方法において、種結晶を台座に貼り付ける工程では、緩衝材の両側の主面上に接着剤が配置された接着部を保持面と種結晶との間に配置することにより、種結晶が台座に貼り付けられてもよい。このようにすることにより、台座の表面のうねりなどのマクロな表面形状の変化が、得られる単結晶炭化珪素の品質に影響を与えることを抑制することができる。
上記単結晶炭化珪素の製造方法において、上記緩衝材のヤング率は2GPa以上であってもよい。このようにすることにより、台座の表面のうねりなどのマクロな表面形状の変化が、得られる単結晶炭化珪素の品質に影響を与えることをより確実に抑制することができる。
上記単結晶炭化珪素の製造方法において、上記緩衝材はカーボンシートであってもよい。カーボンシート(グラファイトシート)は、上記緩衝材として好適である。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明にかかる単結晶炭化珪素の製造方法の一実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態における単結晶炭化珪素の製造方法では、まず工程(S10)として坩堝準備工程が実施される。この工程(S10)では、図2を参照して、たとえばカーボン(グラファイト)からなる坩堝1が準備される。坩堝1は、蓋部10と、本体部20とを備えている。本体部20は、中空円筒状の形状を有する側壁部22と、側壁部22の一方の端部に接続され、円盤状の形状を有する底壁部21とを含んでいる。つまり、本体部20は、軸方向において一方の端部に底壁部21が形成され、他方の端部が開口する。蓋部10は、円盤状の形状を有し、外周を含む領域において本体部20の開口を取り囲む側壁部22と接触することにより、本体部20の開口を覆うように本体部20に対して着脱可能となっている。蓋部10が本体部20に取り付けられた状態において本体部20の内側に面する主面(底壁部21に面する主面)の中央を含む領域には、円盤状の突出部である台座11が形成されている。台座11の軸方向先端には、円形の平面領域である保持面11Aが形成されている。保持面11Aの粗さは、Raで10μm以下である。
次に、工程(S20)として原料粉末装填工程が実施される。この工程(S20)では、坩堝1内に原料粉末が装填される。より具体的には、図2を参照して、坩堝1の蓋部10が取り外された状態で、本体部20内に炭化珪素からなる原料粉末92が装填される。原料粉末92は、本体部20の底壁部21上に保持される。
次に、工程(S30)として種結晶貼り付け工程が実施される。この工程(S30)では、図2を参照して、単結晶炭化珪素からなる種結晶91が、台座11の保持面11Aに接着剤を介して貼り付けられる。図3を参照して、たとえば緩衝材81の両側の主面上に接着剤82の層が配置された接着部80を保持面11Aと種結晶91との間に配置することにより、種結晶91を台座11に貼り付けることができる。より具体的には、たとえば保持面11Aに接着剤82を塗布し、接着剤82上に緩衝材81を配置したうえで、緩衝材81上にさらに接着剤82を塗布して接着部80を作製し、接着部80上に種結晶91を配置してもよい。また、緩衝材81の両側の主面上に接着剤82を塗布して接着部80を作製した後、これを保持面11Aに貼り付けたうえで、接着部80上に種結晶91を配置してもよい。緩衝材81は、単結晶炭化珪素の成長時における種結晶と台座との変形量の差を緩衝可能な特性を有する材料、具体的にはヤング率が5GPa以下である材料からなり、たとえば板状またはシート状の形状を有する。緩衝材を構成する材料のヤング率は2GPa以上であることが好ましい。緩衝材81としては、たとえばカーボンシートを採用することができる。緩衝材81としては、カーボンシートのほか、たとえばフッ素ゴムシート、シリコーンゴムシートを採用することもできる。
種結晶91は、たとえば円盤状の形状を有する種基板である。たとえば{0001}面を成長面として単結晶炭化珪素を成長させる場合、主面が{0001}面である種結晶91が当該主面と保持面11Aとが平行となるように台座11に貼り付けられる。結晶成長の方向が台座11の中心軸に沿った方向となるように、種結晶91が台座11に貼り付けられる。これにより、蓋部10を本体部20に取り付けると、結晶成長の方向が本体部20の側壁部22の中心軸に沿った方向となる。種結晶91が台座11に貼り付けられた蓋部10が本体部20に取り付けられることにより、工程(S30)が完了する。なお、接着剤82としては、たとえば加熱されることによって難黒鉛化炭素となる樹脂と、黒鉛微粒子と、溶媒とを含むものを採用することができる。加熱されることによって難黒鉛化炭素となる樹脂としては、たとえばノボラック樹脂、フェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂などが挙げられる。溶媒としては、上記の樹脂および炭水化物を溶解させ、分散させることができるものを適宜選択することができる。溶媒は単一種類の液体に限られず、複数の種類の液体の混合物であってもよい。たとえば、炭水化物を溶解させるアルコールと、樹脂を溶解させるセロソルブアセテートとを含む溶媒が用いられてもよい。接着剤82は、黒鉛微粒子に加えて、炭化珪素微粒子、ダイヤモンド微粒子など、他の微粒子を含んでいてもよい。
次に、工程(S40)として結晶成長工程が実施される。この工程(S40)では、工程(S30)において台座11に貼り付けられた種結晶91上に、単結晶炭化珪素が成長する。具体的には、図4を参照して、種結晶91および原料粉末92を保持する坩堝1が加熱されることにより、種結晶91上に単結晶炭化珪素からなる成長結晶93が形成される。成長結晶93の成長方向は、台座11の中心軸に沿った方向となる。円盤状の形状を有する種結晶91の主面が{0001}面である場合、<0001>方向に成長結晶93は成長する。種結晶91の温度が原料粉末92の温度に比べて低くなるように坩堝1内に適切な温度勾配が形成されつつ坩堝1が加熱されることにより、成長結晶93が形成される。
次に、工程(S50)として結晶採取工程が実施される。この工程(S50)では、工程(S40)において成長した成長結晶93が採取される。具体的には、工程(S40)における結晶成長が終了した坩堝1の蓋部10が取り外され、台座11上の成長結晶93(単結晶炭化珪素)が採取される。これにより、単結晶炭化珪素の製造が完了する。採取された成長結晶93は、たとえば円筒形状などの適切な形状に加工された後、スライスされる。これにより、半導体装置を製造するための炭化珪素基板が得られる。
本実施の形態における単結晶炭化珪素の製造方法では、台座11の保持面11Aの粗さがRaで10μm以下とされる。これにより、保持面11Aの表面粗さに対応した接着剤82の厚みのばらつきが小さくなり、種結晶91の部位による温度のばらつきが小さくなる。その結果、熱応力に起因した種結晶91の台座11からの剥離が抑制され、高品質な単結晶炭化珪素である成長結晶93を得ることができる。
上記保持面11Aの粗さはRaで1μm以下であることが好ましい。これにより、成長結晶93における転位密度の上昇を抑制することができる。
上記実施の形態と同様の手順において、台座11の保持面11Aの表面粗さを変化させ、種結晶91の台座11からの剥離の面積率および成長結晶93の基底面転位密度を調査する実験を行った。剥離の面積率は、成長結晶93の成長完了後に種結晶における剥離発生の面積率を確認して算出した。基底面転位密度は、得られた成長結晶93をスライスして基板形状とし、その主面を研磨した後、KOHエッチング法により調査した。種結晶は円板形状を有し、その直径は76mm、厚みは1mmとした。接着剤82には、日清紡ケミカル株式会社製のST−201を用いた。緩衝材81としては、カーボンシートであるグラフテック株式会社製のGRAFOIL(厚み0.25mm、引張強度5MPa)を用いた。成長結晶93の成長方向における厚み(高さ)は10mmとした。実験結果を図5および図6に示す。
図5および図6において、横軸は台座11の保持面11Aの表面粗さを示す。図5において、縦軸は剥離の面積率を示す。剥離の面積率は、種結晶91において保持面11Aに貼り付けられるべき領域のうち、成長結晶93の成長完了後に保持面11Aから剥離していた領域の面積率に対応する。図6において、縦軸は得られた成長結晶93における基底面転位密度を示す。
図5を参照して、保持面11Aの表面粗さがRaで10μmを超える場合、剥離の面積率は40%を超える。このように種結晶91の台座11からの剥離が広い領域で発生すると、ボイドなどのマクロ欠陥の発生や、所望のポリタイプ以外のポリタイプの混入などの問題が生じる可能性が高くなる。一方、剥離の面積率は、保持面11Aの表面粗さ10μmを閾値として急激に減少する。保持面11Aの表面粗さを10μm以下にまで低減すると、剥離の面積率は10%以下にまで抑制されている。剥離の面積率をこのレベルにまで低減すると、ボイドなどのマクロ欠陥の発生や、所望のポリタイプ以外のポリタイプの混入などの問題が生じる可能性が大幅に抑制される。このことから、保持面の粗さはRaで10μm以下にすべきであるといえる。
図6を参照して、成長結晶93における基底面転位密度は、保持面11Aの表面粗さ1〜3μmを閾値として急激に減少する。保持面11Aの表面粗さを1μm以下にまで低減すると、基底面転位密度は極めて低い値に抑制されている。このことから、転位密度の低い高品質な成長結晶を得るためには、保持面の粗さはRaで1μm以下とすることが好ましいといえる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願の単結晶炭化珪素の製造方法は、高い品質が求められる単結晶炭化珪素の製造に、特に有利に適用され得る。
1 坩堝
10 蓋部
11 台座
11A 保持面
20 本体部
21 底壁部
22 側壁部
80 接着部
81 緩衝材
82 接着剤
91 種結晶
92 原料粉末
93 成長結晶

Claims (5)

  1. 台座を有する坩堝を準備する工程と、
    炭化珪素からなる種結晶を前記台座に接着剤を介して貼り付ける工程と、
    前記台座に貼り付けられた前記種結晶上に炭化珪素からなる単結晶を成長させる工程と、を備え、
    前記台座において前記種結晶が貼り付けられる面である保持面の粗さは、Raで10μm以下である、単結晶炭化珪素の製造方法。
  2. 前記保持面の粗さは、Raで1μm以下である、請求項1に記載の単結晶炭化珪素の製造方法。
  3. 前記種結晶を前記台座に貼り付ける工程では、緩衝材の両側の主面上に前記接着剤が配置された接着部を前記保持面と前記種結晶との間に配置することにより、前記種結晶が前記台座に貼り付けられる、請求項1または2に記載の単結晶炭化珪素の製造方法。
  4. 前記緩衝材のヤング率は2GPa以上である、請求項3に記載の単結晶炭化珪素の製造方法。
  5. 前記緩衝材はカーボンシートである、請求項3または4に記載の単結晶炭化珪素の製造方法。
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